(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の切り込みは、前記第1のパイプ状部材の先端側部分が、前記第1所定軸を軸にして前記所定方向に屈曲したときにV字状開口を形成し、前記第1のパイプ状部材の先端側部分が、直線状となったときに閉口状態になる切り込みであり、
前記第2の切り込みは、前記第2のパイプ状部材の先端側部分が、直線状となったときにV字状開口を形成し、前記第2のパイプ状部材の先端側部分が、前記第2所定軸を軸にして前記所定方向に屈曲したときに閉口状態になる切り込みである、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシストシステム。
前記第1のパイプ状部材及び前記配管を介した前記ベローズへの作動流体の供給、及び、前記配管及び前記第2のパイプ状部材を介した前記ベローズからの作動流体の排出を行う流体給排装置を更に備え、
前記第1のパイプ状部材の末端部は、前記作動流体を供給する前記流体給排装置の吐出口に接続され、
前記第2のパイプ状部材の末端部は、前記作動流体を排出する前記流体給排装置の吸引口に接続されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の関節運動アシストシステム。
前記関節運動には、関節伸展状態から関節屈曲状態へ向かう第1回転方向に沿った第1関節運動、及び、関節屈曲状態から関節伸展状態へ向かう第2回転方向に沿った第2関節運動が含まれ、
前記第1のパイプ状部材の内部空間と前記ベローズの内部空間とを連通させ、かつ、前記第2のパイプ状部材の内部空間と前記ベローズの内部空間とを離隔させたときには、前記第1関節運動のアシストが行われ、
前記第1のパイプ状部材の内部空間と前記ベローズの内部空間とを離隔させ、かつ、前記第2のパイプ状部材の内部空間と前記ベローズの内部空間とを連通させたときには、前記第2関節運動のアシストが行われる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の関節運動アシストシステム。
前記第1所定軸及び前記第2所定軸の双方は、前記第1対象物における関節運動をアシストすべき関節の回動運動の回動軸に対応する前記第2対象物の関節の回動運動の回動軸と平行であり、
前記所定方向は、前記第2対象物の関節を関節伸展状態から関節屈曲状態にする方向であり、
前記第1の切り込み部分及び前記第2の切り込み部分は、前記第2対象物の関節の回動運動の回動軸に対して垂直方向の関節部分に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の関節運動アシストシステム。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図17を参照して説明する。なお、本実施形態においては、人体の右手に装着される関節運動アシスト装置、及び、当該関節運動アシスト装置を装着する人体とは異なる人体の右手に装着されるマスタ装置を有する関節運動アシストシステムを例示して説明する。また、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
[構成]
図1には、一実施形態に係る関節運動アシストシステム100の構成が示されている。
図1に示されるように、関節運動アシストシステム100は、関節運動アシスト装置200と、マスタ装置500と、配管800とを備えている。また、関節運動アシストシステム100は、流体給排装置900を備えている。ここで、関節運動アシスト装置200は、スレーブ装置に対応している。
【0035】
<関節運動アシスト装置200の構成>
上記の関節運動アシスト装置200の構成ついて、説明する。
【0036】
図2には、関節運動アシスト装置200の外観図が示されている。
図2は、第1対象物としての「人体HB1の右手HDR1」に装着された関節運動アシスト装置200を、手指の関節が伸展状態にあるときに手背側から眺めた外観図である。
図2に示されるように、関節運動アシスト装置200は、手部装着部210と、母指関節運動アシスト部230
1と、手指関節運動アシスト部230
2,230
3,230
4,230
5とを備えている。
【0037】
なお、以下の説明では、母指関節運動アシスト部230
1及び手指関節運動アシスト部230
2,230
3,230
4,230
5を総称して、「手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)」とも記す。また、以下の説明では、母指関節運動アシスト部230
1以外の手指関節運動アシスト部230
2,230
3,230
4,230
5を総称する場合には、「手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)」とも記す。また、以下の説明では、母指、示指、中指、薬指及び小指を、単に「手指」とも記す。さらに、示指、中指、薬指及び小指を、「四指」とも記す。
【0038】
《手部装着部210》
上記の手部装着部210について、説明する。手部装着部210は、例えば、布製の部材であり、右手HDR1の手背及び手掌に装着される。手部装着部210には、母指関節運動アシスト部230
1の一方側の部分が取り付けられる。
【0039】
また、手部装着部210には、手指関節運動アシスト部230
2,230
3,230
4,230
5の一方側の部分が取り付けられる。そして、手部に手部装着部210が装着されている状態では、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)は、手背側の指部に配置されるようになっている。
【0040】
《母指関節運動アシスト部230
1の構成》
上記の母指関節運動アシスト部230
1の構成について、説明する。
【0041】
母指関節運動アシスト部230
1は、母指の関節運動をアシストする。母指関節運動アシスト部230
1は、手部装着部210が手部に装着されている状態で、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。
【0042】
母指関節運動アシスト部230
1は、
図2及び
図3(A),(B)により総合的に示されるように、ベローズ342
1,1,342
1,2と、伝達部材321
1,323
1,324
1とを備えている。また、母指関節運動アシスト部230
1は、母指装着部390
1を備えている。
【0043】
なお、
図3(A),(B)における座標系(X
1,Y
1,Z
1)は、母指が伸びている状態で、指先方向を+Y
1方向、指の手掌側である指の腹(以下、「指腹」とも記す)側から指の手背側である指の背(以下、「指背」とも記す)側へ向かう方向を+Z
1方向、Y
1方向及びZ
1方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X
1方向とする座標系である。ここで、
図3(A)は、母指に装着された母指関節運動アシスト部230
1を、+Z
1方向側から視た図である。また、
図3(B)は、母指に装着された母指関節運動アシスト部230
1を、−X
1方向側から視た図である。
【0044】
上記のベローズ342
1,1は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第1関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ342
1,1の一方側(
図3における「−Y
1方向側」)端部は、伝達部材323
1の他方側の端部側(
図3における「+Y
1方向側」)に形成された他方側接続部に接続される。ベローズ342
1,1の他方側端部は、伝達部材321
1の一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ342
1,1は、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0045】
上記のベローズ342
1,2は、ベローズ342
1,1と同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ342
1,2の一方側端部は、伝達部材324
1の他方側(ベローズ342
1,2側)の端部側に形成された接続部に接続される。ベローズ342
1,2の他方側端部は、伝達部材323
1の一方側の端部側に形成された一方側接続部に接続される。こうして配置されたベローズ342
1,2は、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0046】
ここで、ベローズ342
1,1には、可撓性を有する樹脂製の配管821
1,1が取り付けられ、当該ベローズ342
1,1は、配管821
1,1を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ342
1,1内の空気圧が変化すると、当該ベローズ342
1,1が膨縮する。この結果、ベローズ342
1,1が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0047】
また、ベローズ342
1,2には、可撓性を有する樹脂製の配管821
1,2が取り付けられ、当該ベローズ342
1,2は、配管821
1,2を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ342
1,2内の空気圧が変化すると、当該ベローズ342
1,2が膨縮する。この結果、ベローズ342
1,2が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0048】
上記の伝達部材321
1は、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
1軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部には、一方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる板状の接続部が形成されている。伝達部材321
1の長板部の一方側の端部には、ベローズ342
1,1を介して、伝達部材323
1が接続されている。そして、伝達部材321
1の一方側の端部の接続部は、ベローズ342
1,1の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材321
1の長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、母指の第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材323
1に接続されるようになっている。この伝達部材321
1の長板部は、母指装着部390
1の後述する装着部材391
1を介して、母指の末節部位に装着される。
【0049】
上記の伝達部材323
1は、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
1軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部の一方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の一方側接続部が形成されている。また、当該長板部の他方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の他方側接続部が形成されている。この他方側接続部には、配管821
1,1を挿入する挿入穴が成型されている。
【0050】
伝達部材323
1の長板部の一方側の端部には、ベローズ342
1,2を介して、伝達部材324
1が接続されている。そして、伝達部材323
1の一方側接続部は、ベローズ342
1,2の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材323
1の長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、母指の第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材324
1に接続されるようになっている。
【0051】
また、伝達部材323
1の長板部の他方側の端部には、ベローズ342
1,1を介して、伝達部材321
1が接続されている。そして、伝達部材323
1の他方側接続部は、ベローズ342
1,1の一方側端部に接続されている。この伝達部材323
1の長板部は、母指装着部390
1の後述する装着部材391
1を介して、母指の基節部位に装着される。
【0052】
上記の伝達部材324
1は、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
1軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部には、他方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる板状の接続部が形成されている。この接続部には、配管821
1,2を挿入する挿入穴が成型されている。伝達部材324
1の長板部の他方側の端部には、ベローズ342
1,2を介して、伝達部材323
1が接続されている。そして、伝達部材324
1の他方側の端部の接続部は、ベローズ342
1,2の一方側端部に接続されている。この伝達部材324
1の長板部は、母指装着部390
1の後述する装着部材391
1を介して、母指の中手部位に装着される。
【0053】
上記の母指装着部390
1は、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。母指装着部390
1は、装着部材391
1と、指サック392
1と、バンド部材393
1とを備えている。
【0054】
上記の装着部材391
1は、弾力性を有する長形状の部材であり、母指が延びる方向に沿って、母指の指及び中手部位の手背側に配置される。装着部材391
1の+Z
1方向側には、伝達部材321
1,323
1,324
1の長板部が固定されている。また、装着部材391
1における伝達部材324
1が固定されている面の反対側(−Z
1方向側)には、手部装着部210が取り付けられている。
【0055】
上記の指サック392
1は、例えば、皮製の部材であり、装着部材391
1の指先側に固定される。そして、指サック392
1は、母指関節運動アシスト部230
1を母指に装着する際に、母指の指先に固定される。上記のバンド部材393
1は、例えば、長形状の布製の部材であり、基節部位と伝達部材323
1の長板部とを固定する。
【0056】
《手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)の構成》
上記の手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)の構成について、説明する。
【0057】
手指関節運動アシスト部230
2は、示指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部230
3は、中指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部230
4は、薬指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部230
5は、小指の関節運動をアシストする。手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)のそれぞれは、手部装着部210が手部に装着されている状態で、対応する手指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。
【0058】
図4(A),(B)には、手指関節運動アシスト部230
kの代表として、手指関節運動アシスト部230
2の構成図が示されている。なお、
図4(A),(B)における座標系(X
2,Y
2,Z
2)は、示指が伸びている状態で、指先方向を+Y
2方向、指腹側から指背側へ向かう方向を+Z
2方向、Y
2方向及びZ
2方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X
2方向とする座標系である。
【0059】
ここで、
図4(A)は、示指に装着された手指関節運動アシスト部230
2を、+Z
2方向側から視た図である。また、
図4(B)は、示指に装着された手指関節運動アシスト部230
2を、−X
2方向側から視た図である。本実施形態では、手指関節運動アシスト部230
3,230
4,230
5についても、手指関節運動アシスト部230
2と同様に構成されている。
【0060】
手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)のそれぞれは、
図2及び
図4(A),(B)により総合的に示されるように、ベローズ341
k,342
k,1,342
k,2と、配管331
kと、伝達部材321
k,322
k,323
k,324
kとを備えている。また、手指関節運動アシスト部230
kのそれぞれは、手指装着部390
kを備えている。
【0061】
上記のベローズ341
kは、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第1関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ341
kの一方側(
図4における「−Y
k方向側」)端部は、伝達部材322
kの他方側の端部側(
図4における「+Y
k方向側」)に形成された他方側接続部に接続される。ベローズ341
kの他方側端部は、伝達部材321
kの一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ341
kは、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0062】
上記のベローズ342
k,1は、ベローズ341
kと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ342
k,1の一方側端部は、伝達部材323
kの他方側の端部側に形成された他方側接続部に接続される。ベローズ342
k,1の他方側端部は、伝達部材322
kの一方側の端部側に形成された一方側接続部に接続される。こうして配置されたベローズ342
k,1は、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0063】
上記のベローズ342
k,2は、ベローズ341
k,342
k,1と同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第3関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ342
k,2の一方側端部は、伝達部材324
kの他方側(ベローズ342
k,2側)の端部側に形成された接続部に接続される。ベローズ342
k,2の他方側端部は、伝達部材323
kの一方側の端部側に形成された一方側接続部に接続される。こうして配置されたベローズ342
k,2は、第3関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0064】
ここで、ベローズ341
kの内部空間とベローズ342
k,1の内部空間とは、可撓性を有する樹脂製の配管331
kを介して、連通している。また、ベローズ342
k,1には、可撓性を有する樹脂製の配管821
k,1が取り付けられ、当該ベローズ342
k,1は、配管821
k,1を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ341
k,342
k,1内の空気圧が変化すると、当該ベローズ341
k,342
k,1が膨縮する。この結果、ベローズ341
k,342
k,1が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0065】
また、ベローズ342
k,2には、可撓性を有する樹脂製の配管821
k,2が取り付けられ、当該ベローズ342
k,2は、配管821
k,2を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ342
k,2内の空気圧が変化すると、当該ベローズ342
k,2が膨縮する。この結果、ベローズ342
k,2が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0066】
上記の伝達部材321
kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
k軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部には、一方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる板状の接続部が形成されている。伝達部材321
kの長板部の一方側の端部には、ベローズ341
kを介して、伝達部材322
kが接続されている。そして、伝達部材321
kの一方側の端部側の接続部は、ベローズ341
kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材321
kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材322
kに接続されるようになっている。この伝達部材321
kの長板部は、手指装着部390
kの後述する装着部材391
kを介して、手指の末節部位に装着される。
【0067】
上記の伝達部材322
kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
k軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部の一方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の一方側接続部が形成されている。また、当該長板部の他方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の他方側接続部が形成されている。この一方側接続部及び他方側接続部には、配管331
kを挿入する挿入穴が成型されている。
【0068】
伝達部材322
kの長板部の一方側の端部には、ベローズ342
k,1を介して、伝達部材323
kが接続されている。そして、伝達部材322
kの一方側接続部は、ベローズ342
k,1の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材322
kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材323
kに接続されるようになっている。
【0069】
また、伝達部材322
kの長板部の他方側の端部には、ベローズ341
kを介して、伝達部材321
kが接続されている。そして、伝達部材322
kの他方側接続部は、ベローズ341
kの一方側端部に接続されている。この伝達部材322
kの長板部は、手指装着部390
kの後述する装着部材391
kを介して、手指の中節部位に装着される。
【0070】
上記の伝達部材323
kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
k軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部の一方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の一方側接続部が形成されている。また、当該長板部の他方の端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる板状の他方側接続部が形成されている。この他方側接続部には、配管821
k,1を挿入する挿入穴が成型されている。
【0071】
伝達部材323
kの長板部の一方側の端部には、ベローズ342
k,2を介して、伝達部材324
kが接続されている。そして、伝達部材323
kの一方側接続部は、ベローズ342
k,2の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材323
kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第3関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材324
kに接続されるようになっている。
【0072】
また、伝達部材323
kの長板部の他方側の端部には、ベローズ342
k,1を介して、伝達部材322
kが接続されている。そして、伝達部材323
kの他方側接続部は、ベローズ342
k,1の一方側端部に接続されている。この伝達部材323
kの長板部は、手指装着部390
kの後述する装着部材391
kを介して、手指の基節部位に装着される。
【0073】
上記の伝達部材324
kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、Y
k軸方向に沿って延びる長板部を有している。そして、当該長板部には、他方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる板状の接続部が形成されている。この接続部には、配管821
k,2を挿入する挿入穴が成型されている。伝達部材324
kの長板部の他方側の端部には、ベローズ342
k,2を介して、伝達部材323
kが接続されている。そして、伝達部材324
kの他方側の端部の接続部は、ベローズ342
k,2の一方側端部に接続されている。この伝達部材324
kの長板部は、手指装着部390
kの後述する装着部材391
kを介して、手指の中手部位上に装着される。
【0074】
上記の手指装着部390
k(k=2,…,5)は、手指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。手指装着部390
k(k=2,…,5)のそれぞれは、装着部材391
kと、指サック392
kと、バンド部材393
k,396
kとを備えている。
【0075】
上記の装着部材391
kは、弾力性を有する長形状の部材であり、手指が延びる方向に沿って、手指の指及び中手部位の手背側に配置される。装着部材391
kの+Z
k方向側には、伝達部材321
k,322
k,323
k,324
kの長板部が固定されている。また、装着部材391
kにおける伝達部材324
kが固定されている面の反対側(−Z
k方向側)には、手部装着部210が取り付けられている。
【0076】
上記の指サック392
kは、例えば、皮製の部材であり、装着部材391
kの指先側に固定される。そして、指サック392
kは、手指関節運動アシスト部230
kを手指に装着する際に、手指の指先に固定される。上記のバンド部材393
k,396
kは、例えば、長形状の布製の部材である。そして、バンド部材393
kは、中節部位と伝達部材322
kの長板部とを固定する。バンド部材396
kは、基節部位と伝達部材323
kの長板部とを固定する。
【0077】
<マスタ装置500の構成>
上記のマスタ装置500の構成ついて、説明する。
【0078】
図5には、マスタ装置500の外観図が示されている。
図5は、第2対象物としての「人体HB2の右手HDR2(関節運動アシスト装置200が装着される人とは別の人の右手)」に装着されたマスタ装置500を、手指の関節が伸展状態にあるときに手背側から眺めた外観図である。
図5に示されるように、マスタ装置500は、手部装着部510と、母指マスタ部530
1と、手指マスタ部530
k(k=2,…,5)とを備えている。本実施形態では、「人体HB2の右手HDR2」は、「人体HB1の右手HDR1」と合同対称性を有している。この「合同対称性」とは、完全な合同以外にほぼ合同である場合も含む。
【0079】
なお、以下の説明では、母指マスタ部530
1及び手指マスタ部530
k(k=2,…,5)を総称して、「手指マスタ部530
j(j=1,…,5)」とも記す。
【0080】
《手部装着部510》
上記の手部装着部510について、説明する。手部装着部510は、例えば、布製の部材であり、右手HDR2の手背及び手掌に装着される。手部装着部510には、母指マスタ部530
1の一方側の部分が取り付けられる。
【0081】
また、手部装着部510には、手指マスタ部530
k(k=2,…,5)の一方側の部分が取り付けられる。そして、手部に手部装着部510が装着されている状態では、母指マスタ部530
1及び手指マスタ部530
k(k=2,…,5)は、手背側の指部に配置されるようになっている。
【0082】
《手指マスタ部530
j(j=1,…,5)の構成》
上記の手指マスタ部530
j(j=1,…,5)の構成について、説明する。
【0083】
母指マスタ部530
1は、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着され、人体HB1における右手HDR1の母指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部230
1を制御する。また、手指マスタ部530
2は、示指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着され、人体HB1における右手HDR1の示指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部230
2を制御する。また、手指マスタ部530
3は、中指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着され、人体HB1における右手HDR1の中指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部230
3を制御する。
【0084】
手指マスタ部530
4は、薬指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着され、人体HB1における右手HDR1の薬指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部230
4を制御する。また、手指マスタ部530
5は、小指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着され、人体HB1における右手HDR1の小指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部230
5を制御する。
【0085】
図6(A),(B)には、母指マスタ部530
1の構成図が示されている。また、
図7(A),(B)には、手指マスタ部530
k(k=2,…,5)の代表として、手指マスタ部530
2の構成図が示されている。
【0086】
なお、
図6(A),(B)における座標系(U
1,V
1,W
1)は、母指が伸びている状態で、指先方向を+V
1方向、指腹側から指背側へ向かう方向を+W
1方向、V
1方向及びW
1方向に直交し、小指側へと向かう方向を+U
1方向とする座標系である。ここで、
図6(A)は、母指に装着された母指マスタ部530
1を、+W
1方向側から視た図である。また、
図6(B)は、母指に装着された母指マスタ部530
1を、−U
1方向側から視た図である。
【0087】
また、
図7(A),(B)における座標系(U
2,V
2,W
2)は、示指が伸びている状態で、指先方向を+V
2方向、指腹側から指背側へ向かう方向を+W
2方向、V
2方向及びW
2方向に直交し、小指側へと向かう方向を+U
2方向とする座標系である。ここで、
図7(A)は、示指に装着された手指マスタ部530
2を、+W
2方向側から視た図である。また、
図7(B)は、示指に装着された手指マスタ部530
2を、−U
2方向側から視た図である。本実施形態では、手指マスタ部530
3,530
4,530
5についても、手指マスタ部530
2と同様に構成されている。
【0088】
手指マスタ部530
j(j=1,…,5)のそれぞれは、
図5、
図6(A),(B)及び
図7(A),(B)により総合的に示されるように、関節運動マスタ部610
j,1,610
j,2と、手指装着部690
jを備えている。
【0089】
(手指装着部690
j(j=1,…,5)の構成)
上記の手指装着部690
j(j=1,…,5)の構成について、説明する。
【0090】
上記の手指装着部690
1は、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。また、上記の手指装着部690
k(k=2,…,5)のそれぞれは、示指、中指、薬指及び小指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。ここで、母指装着部690
1は、
図6(A),(B)に示されるように、装着部材691
1と、指サック692
1と、バンド部材693
1とを備えている。また、手指装着部690
k(k=2,…,5)のそれぞれは、
図7(A),(B)に示されるように、装着部材691
kと、指サック692
kと、バンド部材693
k,696
kとを備えている。
【0091】
上記の装着部材691
jは、弾力性を有する長形状の部材であり、手指が延びる方向に沿って、手指の指及び中手部位の手背側に配置される。装着部材691
jの+W
j方向側には、関節運動マスタ部610
j,1,610
j,2が固定されている。また、装着部材691
jの−W
j方向側には、手部装着部510が取り付けられている。
【0092】
上記の指サック692
jは、例えば、皮製の部材であり、装着部材691
jの指先側に固定される。そして、指サック692
jは、手指マスタ部530
jを手指に装着する際に、手指の指先に固定される。
【0093】
上記のバンド部材693
1は、例えば、長形状の布製の部材であり、母指の基節部位と装着部材691
1とを固定する(
図6(A),(B)参照)。
【0094】
上記のバンド部材693
kは、例えば、長形状の布製の部材であり、四指の中節部位と装着部材691
kとを固定する。また、上記のバンド部材696
kは、例えば、長形状の布製の部材であり、四指の基節部位と装着部材691
kとを固定する(
図7(A),(B)参照)。
【0095】
(関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)の構成)
上記の関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)の構成について、説明する。
【0096】
ここで、関節運動マスタ部610
1,1は、母指の第1関節の関節軸の周りに沿って、指背側(関節部分の伸展側)に装着される。また、関節運動マスタ部610
1,2は、母指の第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に装着される(
図6(A),(B)参照)。また、関節運動マスタ部610
k,1(k=2,…,5)のそれぞれは、示指、中指、薬指、小指の第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に装着される。また、関節運動マスタ部610
k,2のそれぞれは、示指、中指、薬指、小指の第3関節の関節軸の周りに沿って、指背側に装着される(
図7(A),(B)参照)。
【0097】
本実施形態では、関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)のそれぞれは、全てが同様に構成されている。以下の説明では、関節運動マスタ部610
1,1の構成図を参照して、関節運動マスタ部610
j,mの構成を説明する。
【0098】
関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)のそれぞれは、
図8(A),(B)〜
図10(A),(B)により総合的に示されるように、収納部材620
j,mと、第1のパイプ状部材621
j,mと、第2のパイプ状部材622
j,mとを備えている。
【0099】
ここで、
図8(A)には、
図6(A)に示した関節運動マスタ部610
1,1を拡大した図が示されている。また、
図8(B)には、
図6(B)に示した関節運動マスタ部610
1,1を拡大した図が示されている。
【0100】
また、
図9には、関節運動マスタ部610
1,1のB−B(
図8(B)参照)断面図が示されている。さらに、
図10(A),(B)には、関節運動マスタ部610
1,1のA−A(
図8(A)参照)断面図が示されている。ここで、
図10(A)では、収納部材620
1,1及び第1のパイプ状部材621
1,1を図示し、第2のパイプ状部材622
1,1の図示を省略している。また、
図10(B)では、収納部材620
1,1及び第2のパイプ状部材622
1,1を図示し、第1のパイプ状部材621
1,1の図示を省略している。
【0101】
上記の収納部材620
j,mは、内部空間を有する可撓性の樹脂製の部材であり、U
j方向及びV
j方向に延びる略直方体のシート状に形成されている。そして、収納部材620
j,mは、内部空間に、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分をUV平面上で平行配置して、収納する。また、収納部材620
j,mの内部空間は、配管821
j,mと連通している。
【0102】
上記の第1のパイプ状部材621
j,mは、先端部が閉塞されている可撓性の円筒形状のパイプ部材であり、先端側部分が収納部材620
j,mに収納されている。そして、第1のパイプ状部材621
j,mの末端部は、流体給排装置900に接続されている。
【0103】
この第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分の+W
j方向側(関節部分の伸展側と対向する側とは反対側)には、第1の切り込みCU1が形成されている。第1の切り込みCU1は、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分が直線状となったときに閉口状態になる切り込みであり、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分が直線状となっているときには、第1の切り込みCU1が閉口し、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材の内部空間620
j,mとを離隔させるようになっている(
図9、
図10(A)参照)。この第1のパイプ状部材621
j,mは、関節運動アシスト装置200におけるベローズ342
j,m内への空気の供給に使用される。
【0104】
上記の第2のパイプ状部材622
j,mは、先端部が閉塞されている可撓性の円筒形状のパイプ部材であり、先端側部分が収納部材620
j,mに収納されている。そして、第2のパイプ状部材622
j,mの末端部は、流体給排装置900に接続されている。
【0105】
この第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の−W
j方向側(関節部分の伸展側と対向する側)には、第2の切り込みCU2が形成されている。第2の切り込みCU2は、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分が直線状となったときにV字状開口を形成する切り込みであり、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分が直線状となっているときには、第2の切り込みCU2が開口し、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させるようになっている(
図9、
図10(B)参照)。この第2のパイプ状部材622
j,mは、関節運動アシスト装置200におけるベローズ342
j,m内からの空気の排出に使用される。
【0106】
<配管800>
上記の配管800の構成ついて、説明する。
【0107】
配管800は、関節運動アシスト装置200及びマスタ装置500に取り付けられる。配管800は、
図11に示されるように、配管821
j,m(j=1,…,5;m=1,2)を備えている。
【0108】
上記の配管821
j,m(j=1,…,5;m=1,2)の一方の端部は、手指関節運動アシスト部230
jのベローズ342
j,mに取り付けられている。そして、配管821
j,mの他方の端部は、手指マスタ装置530
jの関節運動マスタ部610
j,m(より詳しくは、収納部材620
j,m)に取り付けられている。
【0109】
<流体給排装置900の構成>
上記の流体給排装置900の構成について、説明する。
【0110】
流体給排装置900は、第1のパイプ状部材621
j,m(j=1,…,5;m=1,2)を介してマスタ装置500と連通している。また、流体給排装置900は、第2のパイプ状部材622
j,mを介してマスタ装置500と連通している。流体給排装置900は、
図12に示されるように、加圧ポンプ911と、減圧ポンプ912とを備えている。また、流体給排装置900は、配管921,922を備えている。
【0111】
上記の加圧ポンプ911は、配管921を介して、関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)の第1のパイプ状部材621
j,mと接続している。加圧ポンプ911は、マスタ装置500への空気の強制的供給を行う際に利用される。
【0112】
上記の減圧ポンプ912は、配管922を介して、関節運動マスタ部610
j,mの第2のパイプ状部材622
j,mと接続している。減圧ポンプ912は、マスタ装置500からの空気の強制的排出を行う際に、利用される。
【0113】
<関節運動アシストシステム100の全体構成>
上記のようにして構成された関節運動アシスト装置200、マスタ装置500、配管800及び流体給排装置900の接続関係が、
図13に示されている。
【0114】
図13に示されるように、収納部材620
j,mに先端側部分が収納される第1のパイプ状部材621
j,mの末端部は、空気の供給を行う加圧ポンプ911に接続されている。また、収納部材620
j,mに先端側部分が収納される第2のパイプ状部材622
j,mの末端部は、空気の排出を行う減圧ポンプ912に接続されている。そして、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分を収納する収納部材620
j,mは、配管821
j,mを介して、関節運動アシスト装置200のベローズ342
j,mに接続されている。
【0115】
こうした関節運動アシストシステム100の構成で、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させ、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させている場合には、関節運動アシスト装置200におけるベローズ342
j,m内の空気が、配管821
j,m、収納部材620
j,m及び第2のパイプ状部材622
j,mを介して、減圧ポンプ912により排出される。こうしてベローズ342
j,m内から空気が排出されると、ベローズ342
j,mが収縮する。
【0116】
また、こうした関節運動アシストシステム100の構成で、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させ、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させている場合には、加圧ポンプ911から供給された空気が、第1のパイプ状部材621
j,m、収納部材620
j,m及び配管821
j,mを介して、ベローズ342
j,m内に供給される。こうしてベローズ342
j,m内へ空気が供給されると、ベローズ342
j,mが膨張する。
【0117】
[動作]
以上のようにして構成された関節運動アシストシステム100の動作について、マスタ・スレーブ方式による手指の関節運動のアシスト動作を説明する。
【0118】
以下の動作の説明では、マスタ装置500の状態を説明する際に、手指マスタ部530
j(j=1,…,5)の代表として、手指マスタ部530
2の状態図を参照することがある。また、以下の動作の説明では、関節運動アシスト装置200の状態を説明する際に、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)の代表として、手指関節運動アシスト部230
2の状態図を参照することがある。
【0119】
また、前提として、流体給排装置900によるマスタ装置500への空気の供給、及び、マスタ装置500からの空気の排出が行われているものとする。
【0120】
<関節運動アシスト装置200の関節伸展状態へのアシスト動作>
まず、マスタ装置500の装着者が、マスタ装置500を装着した手指の全ての関節を伸展状態にしたとする。上述した
図5〜
図10(A),(B)には、マスタ装置500を装着する手部の手指が、関節伸展状態となっているときの様子が示されている。
【0121】
こうした伸展状態では、収納部材620
j,m(j=1,…,5;m=1,2)に収納された第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の双方は、直線状になる。そして、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分が直線状となったときには、
図14(A)に示されるように、第1の切り込みCU1が閉口して閉口状態を形成し、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させる。また、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分が直線状となったときには、
図14(B)に示されるように、第2の切り込みCU2がV字状開口を形成して、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させる。
【0122】
かかる連通状態では、関節運動アシスト装置200におけるベローズ342
j,m内の空気が、配管821
j,m、収納部材620
j,m及び第2のパイプ状部材622
j,mを介して、流体給排装置900の減圧ポンプ912により排出される。こうしてベローズ342
j,m内からの空気の排出が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部230
1では、ベローズ342
1,mが収縮する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)では、ベローズ342
k,m,341
kが収縮する。
【0123】
この結果、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、上述した
図2〜
図4(A),(B)に示されるように、伸展状態になる。
【0124】
<関節運動アシスト装置200の関節屈曲状態へのアシスト動作>
引き続き、マスタ装置500の装着者が、手指の全ての関節を、屈曲状態にしたとする(第1回転方向に沿った第1関節運動)。
図15には、マスタ装置500を装着する手部の手指が、屈曲状態となっているときの様子が示されている。
【0125】
こうした屈曲状態になると、収納部材620
j,m(j=1,…,5;m=1,2)に収納された第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の双方は、所定軸AX
j,m(第1所定軸、第2所定軸)を軸にして関節伸展状態から関節屈曲状態にする方向(所定方向)に屈曲する。ここで、所定軸AX
j,1は、収納部材620
j,1を装着する関節部分の関節軸(関節の回動運動の回動軸)と略平行になっている。また、所定軸AX
j,2は、収納部材620
j,2を装着する関節部分の関節軸(関節の回動運動の回動軸)と略平行になっている。
【0126】
そして、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分が所定方向に屈曲したときには、
図16(A)に示されるように、第1の切り込みCU1がV字状開口を形成して、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させる。また、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分が所定方向に屈曲したときには、
図16(B)に示されるように、第2の切り込みCU2が閉口して閉口状態を形成して、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させる。
【0127】
かかる連通状態では、流体給排装置900の加圧ポンプ911から送られた空気が、第1のパイプ状部材621
j,m、収納部材620
j,m及び配管821
j,mを介して、ベローズ342
j,m内に供給される。こうしてベローズ342
j,m内への空気の供給が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部230
1では、ベローズ342
1,mが膨張する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)では、ベローズ342
k,m,341
kが膨張する。
【0128】
この結果、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、
図17に示されるように、屈曲状態になる。
【0129】
以後、マスタ装置500の装着者が、手指の関節を伸展状態(第2回転方向に沿った第2関節運動)、屈曲状態へと順次変化させると、上述したように、収納部材620
j,mの形状が変化し、第1のパイプ状部材621
j,mと収納部材620
j,mとの間の連通状態及び第2のパイプ状部材622
j,mと収納部材620
j,mとの間の連通状態が変化する。そして、当該連通状態の変化に応じて、関節運動アシスト装置200を装着した手指の関節についても、伸展状態、屈曲状態へと順次アシストされる。
【0130】
以上説明したように、本実施形態では、マスタ側の関節部分に装着される関節運動マスタ部610
j,m(j=1,…,5;m=1,2)は、第1のパイプ状部材621
j,mと、第2のパイプ状部材622
j,mと、収納部材620
j,mとを備えている。当該収納部材620
j,mは、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の双方を収納している。
【0131】
ここで、母指に装着される収納部材620
1,mは、配管821
1,mを介して関節運動アシスト装置200のベローズ342
1,m内と連通する内部空間を形成している。また、四指の第2関節に装着される収納部材620
k,1(k=2,…,5)は、配管821
k,1を介して関節運動アシスト装置200のベローズ342
k,1内及びベローズ341
k内と連通する内部空間を形成している。また、四指の第3関節に装着される収納部材620
k,2は、配管821
k,2を介して関節運動アシスト装置200のベローズ342
k,2内と連通する内部空間を形成している。
【0132】
そして、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分には、当該先端側部分が直線状のときに閉口状態になり、所定方向に屈曲したときにV字状開口を形成する第1の切り込みCU1が形成されている。また、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分には、当該先端側部分が直線状のときにV字状開口を形成し、所定方向に屈曲したときに閉口状態になる第2の切り込みCU2が形成されている。このように、関節運動マスタ部610
j,mは、非常に簡易な構成になっている。このため、非常に容易にマスタ装置500を製作することができる。
【0133】
こうしたマスタ装置500の構成で、マスタ装置500の装着者が、手指の全ての関節を伸展状態にすると、収納部材620
j,m(j=1,…,5;m=1,2)に収納された第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の双方は、直線状になる。そして、このときには、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分における第1の切り込みCU1が閉口して閉口状態を形成し、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させる。また、このときには、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分における第2の切り込みCU2がV字状開口を形成し、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させる。
【0134】
かかる連通状態では、関節運動アシスト装置200におけるベローズ342
j,m内の空気が、配管821
j,m、収納部材620
j,m及び第2のパイプ状部材622
j,mを介して、流体給排装置900の減圧ポンプ912により排出される。こうしてベローズ342
j,m内からの空気の排出が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部230
1では、ベローズ342
1,mが収縮する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)では、ベローズ342
k,m,341
kが収縮する。この結果、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、伸展状態になる。
【0135】
このため、電子制御を行わずに、マスタ・スレーブ方式により、関節運動アシスト装置200を装着した手指を関節伸展状態にすることができる。
【0136】
引き続き、マスタ装置500の装着者が、手指の全ての関節を屈曲状態にすると、収納部材620
j,mに収納された第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分及び第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分の双方は、所定軸AX
j,mを軸にして関節伸展状態から関節屈曲状態にする方向に屈曲する。そして、このときには、第1のパイプ状部材621
j,mの先端側部分における第1の切り込みCU1がV字状開口を形成し、第1のパイプ状部材621
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを連通させる。また、このときには、第2のパイプ状部材622
j,mの先端側部分における第2の切り込みCU2が閉口状態を形成し、第2のパイプ状部材622
j,mの内部空間と収納部材620
j,mの内部空間とを離隔させる。
【0137】
かかる連通状態では、流体給排装置900の加圧ポンプ911から送られた空気が、第1のパイプ状部材621
j,m、収納部材620
j,m及び配管821
j,mを介して、ベローズ342
j,m内に供給される。こうしてベローズ342
j,m内への空気の供給が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部230
1では、ベローズ342
1,mが膨張する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230
k(k=2,…,5)では、ベローズ342
k,m,341
kが膨張する。この結果、手指関節運動アシスト部230
j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、屈曲状態になる。
【0138】
このため、電子制御を行わずに、マスタ・スレーブ方式により、関節運動アシスト装置200を装着した手指を関節屈曲状態にすることができる。
【0139】
したがって、本実施形態によれば、簡易な構成で、関節運動アシスト装置を遠隔動作させ、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0140】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0141】
例えば、上記の実施形態では、母指、示指、中指、薬指及び小指のそれぞれに手指関節運動アシスト部を装着し、母指、示指、中指、薬指及び小指の関節運動をアシストするようにした。これに対して、任意の手指に関節運動アシスト部を装着し、当該任意の手指の関節運動をアシストするようにしてもよい。この場合には、当該任意の手指の数と同数の手指マスタ部を用意すればよい。
【0142】
また、上記の実施形態では、四指については、マスタ側の第2関節の部分に関節運動マスタ部610
k,1(k=2,…,5)を装着し、第3関節の部分装置に関節運動マスタ部610
k,2(k=2,…,5)を装着した。そして、第2関節の部分に装着される関節運動マスタ部610
k,1(k=2,…,5)は、関節運動アシスト装置200のベローズ342
k,1及びベローズ341
kと連通されるようにした。これに対して、マスタ側の第1関節の部分、第2関節の部分、及び、第3関節の部分のそれぞれに、関節運動マスタ部を装着するようにしてもよい。この場合には、第2関節の部分に装着する関節運動マスタ部を、関節運動アシスト装置の四指の第2関節部分に配置されるベローズと連通させ、第1関節の部分に装着する関節運動マスタ部を、関節運動アシスト装置の四指の第1関節部分に配置されるベローズと連通させるようにすればよい。
【0143】
また、上記の実施形態では、収納部材に収納される第1のパイプ状部材の先端側部分に、1つの第1の切り込みが形成されることとしたが、第1の切り込みの数を、2つ以上としてよい。また、上記の実施形態では、収納部材に収納される第2のパイプ状部材の先端側部分に、1つの第2の切り込みが形成されることとしたが、第2の切り込みの数を、2つ以上としてもよい。こうした場合には、マスタ装置を装着した関節部分の屈曲状態及び伸展状態を、関節運動アシスト装置がより正確にトレースすることができる。
【0144】
また、上記の実施形態では、人体の右手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を有する関節運動アシストシステムについて説明したが、左手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を有する関節運動アシストシステムであってもよいことは勿論である。
【0145】
また、上記の実施形態では、関節運動アシスト装置を右手に装着する場合に、マスタ装置を、関節運動アシスト装置を装着する人体とは異なる人体の右手に装着するようにした。これに対して、マスタ装置を、当該異なる人体の左手(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0146】
また、上記の実施形態では、マスタ装置を装着する手部は、関節運動アシスト装置を装着する手部と合同対称性を有することとしたが、マスタ装置を装着する手部は、関節運動アシスト装置を装着する手部と相似対称性及び左右対称性の少なくとも1つを有する場合であってもよい。
【0147】
また、人体の一方の手部が拘縮し、他方の手部が健常な場合には、関節運動アシスト装置を当該人体の拘縮している手部に装着し、マスタ装置を当該人体の健常な手部(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0148】
また、上記の実施形態では、手指の関節運動をアシストするようにした。これに対して、手首の関節運動をアシストするようにしてもよい。この場合には、
図18(A),(B)に示されるように、スレーブ装置の手首関節用のベローズ1342に配管1821の一方の端部を取り付け、マスタ装置の収納部材1620に配管1821の他方の端部を取り付ける。そして、収納部材1620に先端側部分が収納される第1のパイプ状部材1621の末端部を加圧ポンプの吐出口に接続すればよい。また、収納部材1620に先端側部分が収納される第2のパイプ状部材1622の末端部を減圧ポンプの吸引口に接続すればよい。
【0149】
なお、手首の関節運動をアシストする際にも、関節運動アシスト装置を右手に装着する場合に、マスタ装置を、関節運動アシスト装置を装着する人体とは異なる人体の右手に装着するようにしてもよい。また、これに対して、マスタ装置を、当該異なる人体の左手(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0150】
また、手首の関節運動をアシストする際に、マスタ装置を装着する手部は、関節運動アシスト装置を装着する手部と合同対称性、相似対称性及び左右対称性の少なくとも1つを有する場合であってもよい。
【0151】
また、手首の関節運動をアシストする際に、人体の一方の手部が拘縮し、他方の手部が健常な場合には、関節運動アシスト装置を当該人体の拘縮している手部に装着し、マスタ装置を当該人体の健常な手部(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0152】
また、上記の実施形態では、第1のパイプ状部材及び第2のパイプ状部材を円筒のパイプ部材とした。これに対して、第1のパイプ状部材及び第2のパイプ状部材を、四角の筒状のパイプ部材や三角の筒状のパイプ部材等の他の形状としてもよい。
【0153】
また、上記の実施形態では、第1のパイプ状部材及び第2のパイプ状部材を収納する収納部材を関節部分の伸展側に装着した。これに対して、収納部材を関節部分の屈曲側に配置するようにしてもよい。
【0154】
また、上記の実施形態では、マスタ装置を手部に装着するようにした。これに対して、マスタ装置を手部に装着せずに、例えば、指先やつま先で関節運動マスタ部における収納部材の形状を変化させるようにしてもよい。
【0155】
また、本実施形態においては、樹脂製のベローズを採用したが、伸縮自在であり、人体に装着される装置の重さ等の負担をかけることがない素材であれば、他の素材であってもよい。
【0156】
また、流体給排装置の構成としては、空気の吐出、及び、空気の吸引を行うことのできる手動式ポンプであってもよい。
【0157】
また、本発明の関節運動アシスト装置は、作動流体を空気としたが、他の気体や、水や油等の液体であってもよい。
【0158】
本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野で利用する場合には、リハビリテーション用として装着するだけでなく、力が弱っている者がパワーアシスト用の装置としても利用することができる。また、本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野以外で、物を掴む等のパワーアシスト装置としても利用することができる。
【0159】
また、上記の実施形態においては、人体の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムに本発明を適用したが、関節機構を有する人体以外の内骨格形の哺乳類、内骨格形のロボット等の所定対象物の関節運動アシストシステムにも本発明を適用することができる。