特許第6682642号(P6682642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682642
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】粉砕ローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B02C15/04
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-541296(P2018-541296)
(86)(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公表番号】特表2019-504764(P2019-504764A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2016052583
(87)【国際公開番号】WO2017137056
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】591031407
【氏名又は名称】ロエシェ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルティ ラルフ
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−142047(JP,U)
【文献】 特表2012−500724(JP,A)
【文献】 特開平04−330951(JP,A)
【文献】 特開2009−274141(JP,A)
【文献】 特開2016−077938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/00−16、23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕ローラ(2)の主軸(5)を固定するためのスリーブ状の取付部(4)を有するローラミルのための粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記粉砕ローラ(2)は、前記主軸(5)の端領域において固定方式で、前記主軸(5)の軸線方向に回転可能に取り付けられ、
少なくとも1つのクランプ手段(22)が、前記主軸(5)にトルク耐性および軸線方向の動きを確保するために、前記スリーブ状の取付部(4)に設けられる、粉砕ローラデバイス(1)において、
前記スリーブ状の取付部(4)は、前記粉砕ローラ(2)の前記主軸(5)の調整機能を提供する内側偏心スリーブ(10)という特徴を有すること、並びに 前記内側偏心スリーブ(10)を回転させることにより、前記主軸(5)の長手方向軸線(14)が前記スリーブ状の取付部(4)内で変化すること、
および/または前記内側偏心スリーブ(10)は、前記粉砕ローラ(2)の前記主軸(5)の、前記主軸(5)の方向への軸線方向変位を提供するように、前記スリーブ状の取付部(4)内に変位可能に収容されること
を特徴とする粉砕ローラデバイス(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記内側偏心スリーブ(10)は、90°から120°であるスリーブの壁の角度領域にわたって、偏心した壁厚(36)を有することを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記内側偏心スリーブ(10)の前記偏心した壁厚(36)は、前記主軸(5)の約90°の領域に設けられ、0°領域または180°領域の方向に、少なくとも前記主軸(5)において回転可能であるように提供されることを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
通常の動作における前記内側偏心スリーブ(10)の垂直断面は、0°領域および180°領域において、ほとんど強度が等しいように設計される壁厚(38)という特徴を有することを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記粉砕ローラ(2)の前記主軸(5)の軸線方向変位を行うために、前記スリーブ状の取付部(4)は、前記内側偏心スリーブ(10)との軸線方向に変位可能な係合という特徴を有することを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記主軸(5)の回転調整を行うために、前記粉砕ローラ(2)の反対側の前記内側偏心スリーブ(10)の端部側は、調整用ピニオン(26)を用いて回転可能に作動できる前記内側偏心スリーブ(10)の環状フランジ(21)上の扇形歯車部(25)を有する調整手段(24,29)という特徴を有することを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項7】
請求項5または6に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記内側偏心スリーブ(10)の外周は、前内側偏心スリーブ(10)の前記偏心した壁厚(36)に対して半径方向に適合される2つの円周方向リング(31)を有する環状部分という特徴を有すること、
および確実にロックする係合領域(32)は、軸線方向に変位可能な係合のために、前記円周方向リング(31)の間に形成されること
を特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項8】
請求項7に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記軸線方向に変位可能な係合は、作動要素(43)により前記円周方向リング(31)の間の前記係合領域(32)と共に外部から作動可能である係合要素(42)という特徴を有すること、および
前記係合要素(42)は、回転作動要素として設計された前記作動要素(43)の長手方向軸線に対して偏心して構成されること
を特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記粉砕ローラ(2)の通常位置における前記内側偏心スリーブ(10)の中心の長手方向軸線は、前記粉砕ローラ(2)の前記主軸(5)の中心の長手方向軸線(14)に対して、前記内側偏心スリーブ(10)の前記偏心した壁厚(36)の方向にわずかにオフセット(16)されていることを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項10】
前記粉砕ローラ(2)の円筒形の、ボール形状の、または円錐台状の外側輪郭を有するローラミルのための請求項1から9のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記スリーブ状の取付部(4)は、前記主軸(5)および前記粉砕ローラ(2)に対するレバーを形成し、前記レバーが、作動可能なスイングレバー(7)の上側にフォーク(8)によりしっかりと固定され、かつ前記スイングレバーが、そのスイングレバー軸(9)の周りで回動可能であることを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【請求項11】
回転可能な粉砕テーブル(11)と、粉体化されるミル供給材に摩擦係合する際に回転する少なくとも1つの粉砕ローラ(2)とを有するローラミルのための請求項1から10のいずれか1項に記載の粉砕ローラデバイス(1)であって、
前記粉砕ローラ(2)と、前記粉砕テーブル(11)の縁部領域(54)との間の半径方向距離、および/または前記粉砕ローラ(2)の転動面(52)と前記粉砕テーブル(11)との間の距離(A)が、前記内側偏心スリーブ(10)の調整機能により調整可能であることを特徴とする粉砕ローラデバイス(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラミルのための粉砕ローラデバイスに関し、粉砕ローラの主軸を固定するためのスリーブ状の取付部が設けられ、粉砕ローラは、主軸の端領域において、回転可能であるが、軸線方向に固定された位置に取り付けられ、さらにスリーブ状の取付部は、回転および軸線方向の動きに対抗して主軸を取付部に固定するための少なくとも1つのクランプ手段という特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
この種の粉砕ローラデバイスは、例えば、DE3100341A1またはWO2005/028112A1から知られている。
【0003】
本文脈では、本発明による粉砕ローラデバイスは、基本的に、クランプ手段により粉砕ローラの主軸にトルク耐性が確保されるスリーブ状の取付部、ならびにベース本体および粉砕ローラ外殻を有し、通常、ローラミルの中に突き出た主軸の端部で回転できるユニットとして取り付けられる粉砕ローラそれ自体に関する。
【0004】
そのようなローラミルは、通常、少なくとも2つの粉砕ローラデバイスという特徴を有するものを指すが、より大きなローラミルは、6個の粉砕ローラデバイスをすでに有するように設計される。この種のローラミルおよび粉砕ローラは、特にクリンカー材料、鋳物砂、石灰石、および同様の材料を、前記材料から最終製品として、望ましい粒子サイズを有する細粒化されたものを作るために、粉砕することを目的として使用される。
【0005】
前述の、または同様の材料を粉砕するための工程における1つの重要な因子が、ローラミルの粉砕テーブルと、ミル供給材に対して回転する粉砕ローラの粉砕面、またはローラ外殻との間の対応する粉体化ギャップであることを考慮すると、この種の粉砕ローラデバイスおよびローラミルの製造者は、望ましい微細な材料を製作することに関して、ローラミルに対する最適な効率を達成するために、この粉体化ギャップを少なくとも垂直方向に容易に調整できるように努力している。
【0006】
また本文脈では、この種のローラミルの製造者および操作者は、ミル供給材に対して転がるローラ外殻の粉砕面の摩耗および材料の摩滅を常に考慮する必要があり、したがって、可能な限り迅速にローラ外殻の転動面からの材料の摩滅を補償するように努めている。
【0007】
従来これは、摩耗しやすい粉砕面上に溶接する、または外装で覆うことにより行われた。これは、通常、ローラミルの停止時間中に、かつローラミルの温度が低下したとき、粉体化空間内で直接実施された。
【0008】
加えて、最適な粉砕工程に関するさらなる因子は、主軸および粉砕ローラ、ならびに粉砕テーブルに対するそれらの配置を有する粉砕ローラデバイスの製作許容差から明らかである。このためには、粉砕ローラが、軸線方向に、例えば、粉砕テーブルの縁部からの距離に対して容易に調整できることがさらに望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開3100341号
【特許文献2】国際公開第2005/028112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、この種の粉砕ローラデバイスを有するローラミルの前述の不利な点を克服すること、およびローラミルの比較的短い停止時間が与えられた場合、摩耗の影響を、特にローラ外殻に対する影響を補償すること、ならびに粉体化ギャップに対して垂直方向に、また任意選択で、さらに効率的な粉砕工程の観点から、粉砕テーブルの縁部に対する半径方向距離に関して、粉砕ローラを調整できるように設計をより簡単化かつより経済的にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、本目的は、前記タイプの前述の粉砕ローラデバイスを用いて、また請求項1の特徴部分の特徴により達成され、それによって、スリーブ状の取付部は、粉砕ローラの主軸を調整できるようにするための内側偏心スリーブという特徴を有し、偏心スリーブは、スリーブ状の取付部の中に配置されて、主軸の少なくとも回転調整を提供し、それによって、任意選択で、また代替的に、偏心スリーブは、スリーブ状の取付部の中に収容されて、主軸の方向に、粉砕ローラの主軸の軸線方向変位を提供する。
【0012】
したがって、本発明の中心となる考えは、粉砕ローラの主軸が、スリーブ状の取付部、またはレバーにある中心軸受に直接固定される従来使用された構成を放棄し、それに代えて、レバー内の偏心スリーブを回転させることにより、または回動させることにより、例えば、20°から90°または180°まで、粉砕テーブルに対して、粉砕ローラの粉砕面の垂直調整が可能になるように、変位可能な偏心スリーブの中に主軸をシフトさせることである。
【0013】
本発明のさらなる中心となる考えは、粉砕ローラと粉砕テーブルの縁部との間の半径距離も調整可能であるようにし、したがって、粉砕ローラの粉砕表面の軸線方向、または、ほぼ水平方向の調整を達成するように、レバーのスリーブ状の取付部における偏心スリーブの軸線方向変位を達成することから明らかである。
【0014】
前記調整の選択肢の前提条件は、スリーブ状の取付部における偏心スリーブであり、それは、偏心スリーブ内の主軸にトルク耐性および軸線方向の動きを確保するように設計されるクランプ手段と相互作用する。
【0015】
粉砕ローラの垂直調整、または水平調整に関する前述の用語は、ある点において、粉砕ローラの粉砕面に基づいている。本文脈で主として参照されるのは、円錐台形状を有するように設計された粉砕ローラであり、その粉砕面は、水平方向に配向された粉砕テーブルの粉砕ベッドに対して、垂直方向に多少高くする、または多少低くする、あるいは水平方向に多少変位される。
【0016】
特に円錐台形状を有する粉砕ローラにおいて、粉砕ローラの主軸の調整は、常に傾斜している主軸を用いて行われることを考慮すると、調整はまた、主軸に対して「直角」、というよりはほぼ垂直である、または主軸に対して「軸線方向」、というよりはほぼ水平であると呼ぶこともできる。
【0017】
簡潔にするために、粉砕ローラの「垂直調整」、または「水平調整」という用語が選択されるが、その文脈において、これらの記述は、粉砕テーブル上の水平に配向された粉砕ベッドに対して、円錐台形状を有する粉砕ローラの調整機能に対し焦点を合わせている。
【0018】
粉砕ローラの主軸を、垂直方向に、および/または軸線方向に調整する機能を提供する設計原理は、無段階調整が可能であるように設計されるので有利である。その変形として、設計はまた、段階的な調整選択肢を有することもできる。
【0019】
粉砕ローラデバイスは、広範囲の様々な粉砕ローラ形状に適したものである。粉砕ローラは、したがって、円筒形、ボール状、円錐形、または円錐台の形状とすることができる。
【0020】
したがって、その調整機能が与えられると、粉砕ローラデバイスは、水平に配向された粉砕ローラ主軸に対して、および円錐台形状を有する粉砕ローラ(または、そのローラ外殻)の典型である傾斜配向を有する主軸に対して共に使用できるので有利である。
【0021】
本発明による粉砕ローラデバイスの非常に顕著な利点は、主軸および粉砕ローラの垂直方向の調整機能とその軸線方向の調整機能を共に外部から、したがって、ローラミルの通常封止されたハウジングの外部から実施できることにある。
【0022】
その結果、本発明による設計および構成は、対応するローラミルのハウジングの封止に影響を与えることなく、対応する粉砕ローラの調整を、約4時間の比較的短い時間期間内に可能にする。この比較的短い調整期間の別の結果は、比較的短いローラミルの停止時間に起因して、ローラミルの長くかかる冷却が回避され、その結果、ローラミルを起動し、その動作温度に達するためのエネルギー需要が大幅に低減されることである。
【0023】
その結果、本発明による粉砕ローラデバイスは、比較的わずかな構造的複雑さを用いて、例えば、粉砕ローラの軸受の修正、および/またはローラ外殻上に材料を溶接すること、もしくはローラ主軸それ自体を延ばすことが必要なものなど、粉砕テーブルに対する粉砕ローラの正確な位置決めを行うための従来の対策を越えることができる。
【0024】
加えて本発明により使用される解決策は、組立体の重量のシフトおよび移動をできるだけ小さく保つように、また例えば、粉体化ギャップなど、その領域に対するほんのわずかな距離が調整されるのを達成するようにして、それにより調整精度を向上させるために、例えば、主軸および粉砕ローラなど、調整される組立体の可能な限り近くに、垂直および/または軸線方向調整に使用される調整手段を設ける手法に従う。
【0025】
本発明によれば、偏心軸受が、粉砕ローラデバイスから遠く離れて位置決めされる可能性のある不利な点もこのように克服される。
【0026】
本発明は、従来のWO2005/028112A1に記述されるように、モジュール構成のローラミルで使用するのに特に適している。
【0027】
有利には、偏心スリーブは、180°未満、特に約90°から120°であるスリーブ壁の角度領域にわたって偏心した壁厚を有するように設計される。その結果、スリーブの偏心した壁厚は、偏心スリーブが、約90°または270°における主軸の水平断面において最大壁厚に達するような偏心の基礎円から連続的に増加する。
【0028】
結果として、約90°または270°で、したがって、粉砕ローラの主軸に直角をなす方向のスリーブの偏心した壁厚の構成は、偏心スリーブを、したがって、粉砕ローラと共に主軸を、90°上方向の回転調整が行われた場合、「垂直に」、いわゆる最小の粉体化ギャップ距離へと調整できるようにする。
【0029】
対照的に、最大の偏心した壁厚の180°配向への下方回転は、最大の可能な粉体化ギャップ距離まで、主軸および粉砕ローラの垂直変位を可能にする。
【0030】
したがって、スリーブの偏心した壁厚を、主軸の約90°または270°の領域に提供し、また0°または180°の方向の少なくとも主軸の領域を回転可能であるように構成することが好ましい。
【0031】
粉砕ローラデバイスを、90°の領域で最大の偏心した壁厚を有するように設計することにより、この通常の位置における偏心スリーブの垂直断面は、大部分は、強度が等しくなるように設計される0°領域および180°領域における壁厚という特徴を有することになり、これは、それらが粉砕ローラの主軸の長手方向軸線からほぼ同じ半径距離にあることを意味する。
【0032】
粉砕ローラの主軸の軸線方向変位を可能にするために、スリーブ状の取付部は、偏心スリーブとの軸線方向に変位可能な係合という特徴を有する。
【0033】
有利には、軸線方向に変位可能な係合は、係合要素により実現され、係合要素は、作動要素により外部から作動され、また偏心スリーブの周囲に延びる2つのリングの間に係合領域を有する。
【0034】
係合要素を、スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に向いている作動要素の長手方向軸線に対して偏心して構成することによって、さらなる簡単化が達成され、その文脈において、作動要素は、特に回転する作動要素として設計され、したがって、わずかな回転動作により、粉砕ローラの主軸の軸線方向の調整機能を可能にする。
【0035】
主軸および粉砕ローラの垂直な調整は、主軸が、クランプ手段により軸線方向に、また回転に関し固定される内側の偏心スリーブの回転調整により、回転する方向で行われる。この目的のために、主軸の領域の端部側で、粉砕ローラの反対側に調整手段が設けられ、それは、偏心スリーブの外側の環状フランジ上の扇形歯車部という特徴を有し、したがって、前記扇形歯車部が、例えば、調整ピニオンとして働くものなど、歯車により回転可能であるので有利である。この手段により、偏心スリーブの最大壁厚を、例えば、90°領域から0°領域に回転することができ、したがって、この場合、ローラミルの粉砕テーブルに対して、粉砕ローラの垂直方向の下降が達成される。
【0036】
結果として、環状フランジは、偏心スリーブとの剛性のある接続を有しているので、回転動作はまた、主軸に、したがって粉砕ローラへと伝達される。
【0037】
さらなる有利な実施形態においては、偏心スリーブの外周は、半径方向に、偏心スリーブの偏心した壁厚に適合される2つの円周方向リングを有する環状領域という特徴を有すること、および有利には、軸線方向に変位可能な係合を行うためにリング間に、しっかりとロックする係合領域が形成されることが提供される。
【0038】
本発明の例示的な実施形態では、粉砕ローラの通常の位置は、最大の偏心した壁厚が、90°領域に存在する構成であると考えられ、偏心スリーブの0°領域および180°領域は、ほぼ同じ半径方向の壁厚という特徴を有し、それは、円周方向リングにも適用可能である。
【0039】
この態様に関して、通常位置における偏心スリーブの中心の長手方向軸線は、粉砕ローラの主軸の中心の長手方向軸線に対して、偏心スリーブの偏心した壁厚の方向にわずかにオフセットされている。構造の点では、粉砕ローラデバイスのサイズ、および粉砕されるミル供給材に応じて、このオフセットは、例えば、25mm、またはさらに15mmから35mmとなるシフトとすることができる。
【0040】
したがって、主軸および粉砕ローラを、このオフセットにより垂直方向に調整することができる。
【0041】
本発明は、例えば、円錐台形状の、円筒形状の、またはボール形状の外側輪郭など、様々な粉砕ローラの外側輪郭に適している。目的の点からは、本発明は、スリーブ状の取付部が、主軸および粉砕ローラに対するレバーを形成するローラミルに対して有利であり、またわかりやすい方法で使用することができるが、その場合、レバーの上側は、フォークのフォーク部材によりしっかりと固定され、またフォークは、そのスイングレバー軸の周りで作動可能なスイングレバーにより回動可能である。
【0042】
この設計原理は、主としてローラミルで使用されるモジュール構造で達成される。
【0043】
特許請求される粉砕ローラデバイスは、回転可能な粉砕テーブルを有するローラミルに特に適しており、粉砕テーブル上に、粉体化されるミル供給材と摩擦係合する際に回転する少なくとも1つの粉砕ローラが設けられる。この文脈において、偏心スリーブの調整機能により、粉砕ローラと、粉砕テーブルの縁部領域との間の半径方向距離、および/または粉砕ローラの転動面と粉砕テーブルの間の距離の両方を、ミル供給材の粉体化を最適化するように調整することができる。
【0044】
様々なミル供給材を粉体化するように意図されるミルに関して特に、粉砕ローラデバイスの調整機能はまた、前記調整機能により、比較的短い時間期間で、粉砕ローラと粉砕テーブルの間で、粉体化されるミル供給材に対する最適な位置を調整できる利点も提供する。前記調整機能はまた、粉砕ローラの主軸が、粉体化ギャップを最適化するために、粉砕テーブルの粉砕ベッドに対する摩耗に関して両方向に補償できるようにする。
【0045】
さらに、保持縁部に対する摩耗に関して、粉砕ローラのほぼ水平の調整機能は、摩耗により影響される内側の保持縁部と、粉砕ローラの外側縁部との間の距離を、基本的に一定に保つことを可能にするが、それは、内側の保持縁部からの材料の摩滅は、粉砕ローラを後退させる、またはそれを半径方向外側に変位させることにより、基本的に補償され得るからである。
【0046】
本発明は、いくつかの図面を用いて、例示的かつ概略的に、以下でより詳細に説明するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】粉砕ローラデバイス、およびそれを、どのようにして、ローラミルにおけるスイングレバーのフォークに取り付けることができ、また対応するローラミルの粉砕テーブルに対して動作可能に構成できるかの概略的な側面図である。
図2】主軸の回転調整機能、したがって粉砕ローラの垂直方向の調整機能に使用される主要な組立体を備えた図1による例の背面図である。
図3】主軸および粉砕ローラに対する中心の長手方向軸線と共に、下方に突き出たスイングレバーおよびそのスイングレバー軸を有するさらなる粉砕ローラデバイスの類似の例の部分的な垂直断面図である。
図4】偏心スリーブがその通常位置に配置され、また最大の偏心した壁厚が90°領域(図4の下方)にある状態で、また偏心スリーブおよび粉砕ローラの中心の長手方向軸線のわずかなオフセットが示された状態の、水平断面と称される、図3による線B−Bに沿った断面図である。
図5図1で示されたものと同様の粉砕ローラの側面図である。
図6】主軸および粉砕ローラの軸線方向調整機能に対して使用される対応する組立体の概略的な構成と共に、図5による対応するレバーを通る線E−Eに沿った概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本出願における図面は、粉砕ローラデバイスのわずかに改変した例示的な実施形態に関し、その文脈では、ローラミルのさらなる組立体に対するその構成および関連がまた概略的に示されている。
【0049】
同じ参照記号の使用は、同じ組立体に関するが、組立体におけるわずかなずれが存在する可能性がある。加えて、図面で示された粉砕ローラデバイスの図および断面は、様々な尺度で示されている場合であっても、互いに関連性を有することになる。
【0050】
図1は、スイングレバー7(図3)のフォーク8の2つのフォーク側面部材12の内側に、粉砕ローラデバイス1をしっかりと固定することに関して、その概略的な構成の側面図を示しており、同時に、粉砕ローラ2の作動位置が、ローラミルの粉砕テーブル11に対して示されている。
【0051】
粉砕ローラデバイス1の左側は、フォーク8のフォーク側面部材12の端領域において、固定手段28によりしっかりと固定されるスリーブ状レバー4という特徴を有する。レバー4の内部は、偏心スリーブ10(図3および図4)を収容する。粉砕ローラデバイス1の主軸5は、クランプ手段19(図3)により、回転および軸線方向運動に対して、この偏心スリーブ10内に固定される。
【0052】
その結果、主軸5は、偏心スリーブ10内に少なくとも摩擦で収容され、また主軸5の回転またはわずかな軸線方向変位は、偏心スリーブ10を動かすための対応する操作によってのみ起こり得るように固定される。
【0053】
図1による例における粉砕ローラ2は、円錐台形の、円錐形と呼ばれるローラ外殻3(図3)を備える。この構成のために、粉砕ローラデバイス1の長手方向軸線は、例えば、10°から30°などの角度だけ、水平に配向された粉砕テーブル11の方向に傾斜している。
【0054】
粉砕ローラデバイス1が、円錐形の粉砕ローラ2に代えて、円筒形の粉砕ローラという特徴を有する限りにおいては、粉砕ローラデバイスの長手方向中心軸は、原理上、水平になるはずであり、粉砕テーブルの方向に傾斜することはない。その構成はまた、ボール形状の粉砕ローラを用いても同様に行うことができる。
【0055】
図2は、矢印Rの方向に見た概略的な背面図を用いて、図1で示された実施形態、およびその主要な組立体を示す。第一に、レバー4は、フォーク8(図3)のフォーク側面部材12の固定手段28により固定される。第二に、粉砕ローラデバイス1の背面図は、偏心スリーブ10に対する環状フランジ21を示している。必要とされるクランプリング22が半径方向内側に示されており、本文脈では、スリーブ4の背面蓋は、バヨネット式蓋23を用いて実現することができる。
【0056】
図2で示すように、調整手段24が存在しており、それは、基本的に、環状フランジ21の扇形歯車25から構成される。例では、約90°から120°の角度範囲にわたって設けられる前記扇形歯車25は、非常に小さな半径を有する調整ピニオン26と歯タイプの回転係合状態にある。
【0057】
長手方向軸線14(図4)の方向に見た図である図2は、主軸5(図3)およびローラ2(図4)に対する0°、90°、および180°の角度値を示す。それに対する参照を、スリーブ10の偏心した壁厚に関して以下でさらに行うものとする。
【0058】
図3では、粉砕ローラデバイス1を通る概略的な垂直断面が、レバー4内に偏心スリーブ10を備える主軸5の内部構造およびその構成を示している。線B−B(図3)に沿った図4に示される断面が、偏心スリーブ10を明確にするための参照用として、同時に含まれている。
【0059】
図3で示すように、スリーブ4は、固定手段28(図1)によりフォーク8のフォーク側面部材12の上端にしっかりと接続される。この種の粉砕ローラデバイス1を装備するローラミルの動作中に、必要な粉砕力は、そのスイングレバー軸9の周りで回動可能であるスイングレバー7、この例では、フォーク8、フォーク側面部材12、およびレバー4の組合せ、ならびにそれに取り付けられる粉砕ローラデバイス1に関係するスイングレバー7を介して、粉砕ローラ2の転動面52に加えられるが、本文脈において、粉体化されるミル供給材からの対抗する力は、スイングレバー7に作用し得る。
【0060】
偏心スリーブ10は、レバー4の内部に、ある角度範囲で少なくとも回転可能に収容されると共に、軸線方向に変位可能に収容される。クランプ手段19により、偏心スリーブ10それ自体は、粉砕ローラデバイス1の主軸5に、回転および軸線方向の動きに抗してしっかりと接続される。
【0061】
図3に示される断面は、原理的に、粉砕ローラデバイス1の「通常位置」を示しており、それにより、粉砕ローラ2と粉砕テーブル11の間のローラ粉体化ギャップ39(図1)が、動作の開始時に距離Aに調整される。
【0062】
クリンカーなどの関連する材料を粉体化する工程中に発生するローラ外殻3の転動面の摩耗、およびこの結果として生じるローラ材料物質の摩滅がもたらされると、粉体化ギャップ39の距離Aの望ましくない拡大が結果として生ずる。従来、この問題は、材料をローラ上に溶接することにより、または転動面52を適切に外装で覆うことにより手当されていた。
【0063】
しかし、この処置は、ローラミルに対する停止時間を必要とし、その処置が粉体化空間で直接実施されるように、ローラミルを冷却させることになる。
【0064】
本発明によれば、粉体化ギャップ39の距離Aを変更することは、この場合、ローラミルハウジングの封止に影響を与える必要なく、ローラミルハウジングの外側から実行することができる。粉砕ローラデバイス1とローラミルハウジングそれ自体との間の気密性の高い封止が、円周の環状オリフィス49(図3)のおおよその領域に提供され、したがって、粉砕ローラ2の調整を、ローラミルハウジングの外側から、ほぼ垂直方向に、またはほぼ水平に、すなわち、軸線方向に実施することができる。
【0065】
図3は、0°から180°(図2)の線に沿った粉砕ローラの構成の断面図を示しているが、図4による断面図は、90°領域(図2)におけるレバー4内の偏心スリーブ10の内部構成を示している。
【0066】
図3で示された図では、偏心スリーブ10は、上側領域(0°領域)と下側領域(180°領域)の両方で大部分が等しい壁厚38であるという特徴を有する。スリーブ10の外周は、軸線方向に間隔を空けた2つのリング34を有し、その間に溝状の係合領域32が形成される。
【0067】
図3で示された粉砕ローラデバイス1の図4で示される概略図は、90°領域(図2)における壁厚36を備えた偏心スリーブ10を示している。壁部分の偏心した厚い部分に対応する図4で示された下側領域において、スリーブ10から半径方向に突き出した2つのリング31が設けられ、係合領域32がそれらの間に提供される。
【0068】
加えて偏心スリーブ10の下側領域(90°領域)において壁厚36がより大きいため、スリーブ10の長手方向軸線15は、主軸5および粉砕ローラ2の長手方向軸線14に対してオフセット(16)される。
【0069】
ローラ外殻3上の摩耗のため、粉体化ギャップ39の距離Aを最適化するために、粉砕ローラ2を再調整することが必要になる限り、粉体化ギャップ39の増加した距離Aを、望ましい通常の距離に戻すために、本発明に従って、調整手段24(図2)を作動させることができる。図2および図4で示されるように、90°領域で増加した壁厚36を有する偏心スリーブ10は、これを目的として、ほぼ0°領域になるまで、回転させるように上方に回される(図2)。
【0070】
粉砕ローラ2およびその転動面52のほぼ垂直下方への変位はこのように達成され、したがって、粉体化ギャップ39は、材料の大きな摩滅の後であっても、その正常な距離へと調整することができる。
【0071】
偏心スリーブ10は、作動手段29(図1)という特徴を有する調整手段24によって回転するように主軸5と共に回されるが、粉砕ローラ2のほぼ垂直な変位が得られる。
【0072】
図5は、図1で示されたものと同様の設計を有する粉砕ローラデバイス1を示す。
【0073】
この場合のレバー4は、フォーク8のフォーク側面部材12、およびそのスイングレバーに、固定手段28によりしっかりと接続される。偏心スリーブ10の長手方向軸線15にも相当する断面線E−Eのレベルにおいて、軸線方向変位手段46が、図示のように調整具43と共に存在する。
【0074】
図5で示された線E−Eに沿った図6で示される概略の断面図は、部分的な断面図として、また基本的に長手方向軸線15に対して対称的に、レバー4および偏心スリーブ10だけに関して示されている。
【0075】
この場合スリーブ10は、係合領域32として働く、間に形成された溝を備えた2つの間隔を空けた円周方向リング31を用いて、レバー4内に回転可能に、また軸線方向に調整可能であるように収容される。この文脈では、スリーブ10は、クランプ手段により主軸5にしっかりと接続される。スリーブ10の軸線方向再配置可能性を簡単化する円周方向の外側凹部47が、リング31のそれぞれの両側に設けられる。
【0076】
図6で示す例では、軸線方向調整手段46は、調整シリンダ41という特徴を有し、その長手方向軸線44に対して係合ピン42が偏心しており、係合ピン42は、係合領域32の溝部の中に突き出ている。
【0077】
例えば、外側方向に取り付けられた調整具43を用いて、調整具43の回転運動により、偏心して配置された係合ピン42を作動させ、したがって、偏心スリーブ10の軸線方向の変位を達成することが可能である。
この場合、対応する軸線方向への変位距離は、例えば、最高で10cmの範囲など、比較的小さくすることができる。偏心スリーブ10のこの軸線方向変位により、主軸5、およびその端部に回転可能に配置された粉砕ローラ2もまた軸線方向に変位される。その結果、図1で示されるような粉砕ローラ2は、このように、粉砕テーブル11の右方向に変位させることができ、したがって、さらに半径方向内側に変位される。当然であるが、反対方向への変位も可能である。
【0078】
したがって、本発明による粉砕ローラデバイスは、対応するローラミルのハウジングの外側から粉砕ローラを、ほぼ垂直に、またほぼ軸線方向に調整できるようにし、それにより、ローラ外殻からの材料の摩耗を補修するために使用される修復期間を比較的短くすることができ、ならびに正常な粉体化ギャップと、粉砕テーブルに対する粉砕ローラの半径方向配置の両方に関して、最適な調整を達成することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6