【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立形式の請求項1に記載の諸特徴の組み合わせを有する、燃料噴射システム用の切換弁によって解決される。
【0010】
このような切換弁を有する、燃料噴射システム用の燃料高圧ポンプが、別の独立形式の請求項の対象である。
【0011】
本発明の有利な態様は、従属請求項の対象である。
【0012】
内燃機関の燃料噴射システム用の切換弁が、弁ハウジングを有し、この弁ハウジングは、弁座を形成しており、この弁座は、切換弁の開閉のために、長手方向軸線に沿って可動の弁エレメントと協働する。弁ハウジングは、円錐状に形成された周壁面を有し、弁ハウジングは、軸方向にばね弾性を有するように形成された、半径方向に延びるばね突出部を有し、このばね突出部は、半径方向で周壁面を超えて突出している。
【0013】
「半径方向」という用語は、実質的に、切換弁の長手方向軸線に対して垂直な配置を意味し、「軸方向」という用語は、実質的に、切換弁の長手方向軸線に対して平行な配置、またはそれどころか、切換弁の長手方向軸線と合致した軸線を意味する。
【0014】
弁ハウジングを円錐状に形成することにより、例えば、切換弁と燃料噴射システムハウジングとの接続部をシールするためのシールエレメントを配置するために設けられている導入面取部を不要にすることができる。ばね突出部は、軸方向でのばね弾性的な特性に基づいて、弁ハウジングで切換弁をシールするために配置されているシールエレメントを、軸方向で負荷軽減することができるので、作用する高い圧力に基づくシールエレメントの損傷が回避される。
【0015】
有利な態様では、ばね突出部が、弁ハウジングの全周壁面を巡って全周にわたって延びるように形成されており、これにより、場合によっては同じく全周にわたって延びているシールエレメントを、有利に支持することができる。
【0016】
好適には、弁ハウジングとアクチュエータアッセンブリとは、長手方向軸線に沿って相前後して配置されており、弁ハウジングは、アクチュエータアッセンブリを起点として、アクチュエータアッセンブリから離れる方向に向かって先細りになっている。
【0017】
燃料噴射システムハウジングは、例えば燃料高圧ポンプのポンプハウジングによって形成されていてよい。しかしまた、燃料噴射システムハウジングが、例えばレールによって形成されていることも可能である。この場合、切換弁は、有利には、この燃料噴射システムハウジングに設けられた収容孔内に取り付けられる。
【0018】
有利な態様では、弁ハウジングが、周壁面に、半径方向の流出環状溝を有しており、この流出環状溝は、弁ハウジングを、第1の円錐状リングエレメントと、第2の円錐状リングエレメントとに分割する。この場合、第1の円錐状リングエレメントの第1の周壁面と、第2の円錐状リングエレメントの第2の周壁面とは、それぞれ長手方向軸線に対して等しい開き角を成す。特に有利には、第1の周壁面と第2の周壁面とは、互いに
同一平面上に配置されている。
【0019】
特に、等しい開き角および
同一平面上の配置によって、有利には、第1の円錐状リングエレメントから第2の円錐状リングエレメントまで弁ハウジングの一貫した周壁面が得られる。
【0020】
特に有利な態様では、両円錐状リングエレメントが、特にばね突出部も含めて、全体として一体の構成部分として形成されている。
【0021】
好適には、半径方向の流出環状溝を起点として、弁ハウジングの内部へ少なくとも1つの流出孔が突入しており、この流出孔を介して流体が弁ハウジングから流出することができる。このために、複数の流出孔が弁ハウジングに設けられていてもよい。これらの流出孔は、有利には、長手方向軸線に対して垂直に配置されている。流出孔は、有利には、例えば切換弁がデジタル式の流入弁として、例えば燃料高圧ポンプに配置されている場合には、流入孔として働くこともできる。
【0022】
好適には、ばね突出部が第1のリングエレメントに形成されており、ばね突出部は、半径方向の載着面と、この載着面とは反対の側に配置された進出面とを有し、この進出面は、特に、長手方向軸線に対して傾けられて配置されていて、かつ流出環状溝に移行している。
【0023】
有利には、弁座と弁流入部とが第1のリングエレメントに形成されており、弁流入部は、特に、第1のリングエレメントに設けられた少なくとも1つの軸方向の孔によって形成されている。
【0024】
さらに有利には、第2のリングエレメントが、アクチュエータアッセンブリを取り付けるための、軸方向の、ほぼ中央に配置された取付け用孔を有していてよい。
【0025】
したがって、弁ハウジングの種々異なる機能が、弁ハウジングの種々異なる領域に割り当てられている。有利には、第1の円錐状リングエレメントは、弁座を有するので、切換弁が開閉される領域として用いられ、かつ、第1の円錐状リングエレメントにはばね突出部が配置されているので、第1の円錐状リングエレメントは、組み込まれた切換弁のシールを実施する領域として用いられる。
【0026】
第2のリングエレメントは、有利には、アクチュエータアッセンブリを弁ハウジングに取り付けるために用いられる。
【0027】
有利には、第1のリングエレメントが、第1の周壁面に、シールエレメントを備えた、全周にわたって延びる第1のシール溝を有しており、第2のリングエレメントは、第2の周壁面に、シールエレメントを備えた、全周にわたって延びる第2のシール溝を有している。特に有利には、両方のシール溝が、特にリングエレメントの周壁面に対して平行に配置されている。
【0028】
したがって有利には、シールエレメントは、シール溝内部に配置されており、それにより、収容孔内で切換弁をシールするための簡単なシール配置構成を提供することができる。この場合、特に有利には、一方では周囲環境に対するシーリングを提供し、他方では、例えば高圧領域に対するシーリングを提供するために、それぞれ1つのシールエレメントを備えた2つのシール溝が設けられている。
【0029】
弁ハウジング全体の有利な円錐状の周壁面を維持するためには、シール溝が、有利には、同じく傾けられていて、したがって周壁面に対して平行に配置されており、これにより、シール溝内に収納されるシールエレメントも傾けられており、これによって弁ハウジングの一貫して整合した周壁面が得られる。
【0030】
シールエレメントは、例えばOリングによって形成されていてよい。このことは、シールエレメントを形成するための、特に簡単な配置構成である。
【0031】
第1のシール溝は、例えばばね突出部の載着面によって画定されていてもよいし、この載着面によって一緒に規定されていて、ばね突出部が第1のシール溝に移行していてもよい。これは、弁ハウジングにおけるばね突出部の特に安定的な形成となる。
【0032】
有利には、燃料噴射システムハウジングに設けられた収容孔内に弁ハウジングを位置固定するための、円筒状の外面を有する位置固定リングが設けられている。この位置固定リングは、弁ハウジングとは別個の構成エレメントとして形成されており、かつ、特に、弁ハウジングの最大外径よりも大きい位置固定リング外径を有している。
【0033】
有利には、弁ハウジングが、アクチュエータアッセンブリに向けられた側に、位置固定リングに設けられた対応位置固定面と協働するための、半径方向の位置固定面を有している。
【0034】
位置固定面と対応位置固定面との協働により、弁ハウジングには、切換弁の長手方向軸線に対してほぼ垂直に作用し、かつ、アクチュエータアッセンブリから離れる方向に向けられた力が加えられる。
【0035】
これにより、弁ハウジングは、燃料噴射システムハウジング内に組み込まれた状態で、燃料噴射システムハウジングに設けられた収容孔内にしっかりと位置固定される。
【0036】
位置固定のために、例えば位置固定リングが、有利には雄ねじ山を有しており、その場合、位置固定リングを、この雄ねじ山によって、例えば燃料噴射システムハウジングにねじ込むことができる。
【0037】
好適には、アクチュエータアッセンブリが収容される、弁ハウジングに設けられた取付け用孔が、アクチュエータアッセンブリを保持する案内壁を有する。この案内壁は、長手方向軸線に対してほぼ平行に配置されており、かつ、アクチュエータアッセンブリに向かう方向に、弁ハウジングの位置固定面を超えて延びている。
【0038】
燃料噴射システム内の燃料に高圧を付与するための燃料高圧ポンプが、ポンプハウジングと、上で説明した切換弁とを有する。ポンプハウジングは、切換弁の少なくとも1つの弁ハウジングを収容するための収容孔を有し、この収容孔の孔壁が、少なくとも所定の領域において、ポンプハウジング内に向かって円錐状に先細りになるように形成されている。
【0039】
したがって、孔壁は、実質的に弁ハウジングと同じ形状を有しており、したがって、収容孔内で切換弁を良好にシールするために、弁ハウジングの周壁面と確実に協働することができる。
【0040】
特に好適には、孔壁と切換弁の長手方向軸線とが成す開き角が、弁ハウジングの周壁面と切換弁の長手方向軸線とが成す開き角に等しい。
【0041】
このことにより、弁ハウジングを、例えば簡単に締まり嵌めによって、収容孔内に取り付けることができる。
【0042】
有利には、収容孔が、円錐状に形成された領域に加えて、円筒状に形成された領域を有しており、この円筒状の領域には、位置固定リングも収容することができる。特に有利には、この領域に雌ねじ山が設けられており、この雌ねじ山は、位置固定リングを取り付けるために、位置固定リングの雄ねじ山と協働することができる。
【0043】
特に有利には、円筒状の領域と円錐状の領域との間の移行領域に、孔壁に負荷軽減溝が設けられている。
【0044】
特に有利な態様では、孔壁の、ポンプハウジング内に向かって円錐状に先細りに形成された領域に、ばね突出部を収容するための収容溝が配置されている。
【0045】
さらに有利には、ポンプハウジングに供給孔が配置されており、この供給孔は、切換弁が組み込まれている状態で、流出環状溝と整合するように配置されている。
【0046】
切換弁は、特に有利には、燃料高圧ポンプの高圧領域と、燃料高圧ポンプの低圧領域、すなわち供給領域とを分離する、デジタル式の流入弁として形成されている。
【0047】
以下に、本発明の有利な態様を添付の図面に基づき詳しく説明する。