(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自律して移動する機能を有する自律移動体と、当該自律移動体と利用者との乗り合わせが許容される複数台のエレベータを群管理制御するエレベータ群管理制御装置とを備えるエレベータシステムであって、
前記自律移動体によって登録される乗場呼びを移動体呼びとして取得する移動体呼び取得手段と、
取得した移動体呼びに各乗りかごが応答した際のかご内の状態を予測するかご内状態予測手段と、
予測したかご内状態と、前記自律移動体の形状情報と、前記自律移動体の走行情報とに基づいて当該自律移動体が各乗りかごに乗車可能か否かを判断して乗車可否情報を生成する乗車可否情報生成手段と、
前記乗車可否情報に基づき割当て候補号機を絞り込んで、当該自律移動体に号機を割当てる割当て号機決定手段と、
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
前記乗車可否情報生成手段は、前記自律移動体に設けられ、前記移動体呼び取得手段、前記かご内状態予測手段、及び前記割当て号機決定手段は前記エレベータ群管理制御装置に設けられており、
各乗りかごに対する前記自律移動体の乗車可否の判断を自律移動体側で実施することを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
前記移動体呼び受信部から移動体呼びの登録状態を取得し、前記割当て号機決定部から移動体呼びの割当てられた乗りかごの情報を取得し、前記乗車可否受信部から前記自律移動体の各乗りかごへの乗車可否情報を取得し、移動体呼びに応答する予定の乗りかごに対して、前記自律移動体が乗車できない状態となった際に、前記割当て候補号機評価部に対して、再度、割当てを行うように要求する割当て変更要求部を更に備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のエレベータ群管理制御装置。
前記移動体乗車簡易判断部は、かご内情報に対して空きスペースの確認を行う際に、乗りかごのドア付近の領域を空きスペースの判断から除いた状態で、空きスペースの判断を行う機能を有し、利用者の乗降を妨げないように、乗りかごのドア付近の領域以外で前記移動体が乗車可能なスペースがある場合のみ割当てが行われる、
ことを特徴とする請求項8に記載のエレベータ群管理制御装置。
自律して移動する機能を有する自律移動体がエレベータを利用する際に、当該エレベータの利用者との乗り合わせを許容する複数台のエレベータの号機を割当てる方法であって、
前記自律移動体によって登録される乗場呼びを移動体呼びとして取得し、
取得した移動体呼びに各乗りかごが応答した際のかご内の状態を予測し、
予測したかご内状態と、前記自律移動体の形状情報と、前記自律移動体の走行情報とに基づいて当該自律移動体が各乗りかごに乗車可能か否かを判断して乗車可否情報を生成し、
前記乗車可否情報に基づき割当て候補号機を絞り込んで、当該自律移動体に号機を割当てる、
ことを特徴とするエレベータの号機割当て方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態の概要>
自律移動ロボットが移動する際には、自身の移動できる範囲及び経路を考えて動作する。このとき自律移動ロボットは、周囲の環境を障害物センサ等によって観測し、このセンサ情報に基づいて進行方向等を決定する。センサ情報の代わりに、かご内情報をエレベータ側で取得して自律移動ロボット側で伝達することで、自律移動ロボット側にて走行経路の計算や乗車可否の判断が可能となる。
【0011】
エレベータ側から自律移動ロボットに与える情報は、かご内の空スペースを示す画像情報と、かご内の番号、画像の尺度等の情報である。但し、画像の尺度の情報は、事前に自律移動ロボット側と取り決めておけば、自律移動ロボット側に提示する必要は無い。
【0012】
実施形態のエレベータシステムでは、自律移動ロボットにかご内の空きスペースを示す画像を出力する。この画像データは、かご内の監視カメラやスマートドア用のドアカメラ、或いはレーザセンサ等にて取得する画像を基に生成する。カメラ画像は、全戸閉時点で随時更新を行う。
【0013】
かご内のカメラ画像データを取得すると、かご内が空の状態の画像と比較する。画像の変化が閾値以上であれば、その場所に障害物が有るものとする。変化が小さい場合には空スペースとみなす。この操作により、障害物の有る領域は黒く、無い領域は白く塗った画像を生成する。この操作を行うため、エレベータ側では、定期的にかご内が空となっている状態でのかご内画像を取得して保持しておく。
【0014】
≪乗車の可否を自律移動ロボット側で行っている理由≫
第1〜第5実施形態では、乗車の可否を自律移動ロボット側で行っている。自律移動ロボットの種類によっては、移動時に制約が有る自律移動ロボットも存在する。例えば、ステアリングを切って移動する自律移動ロボットでは、その場での旋回ができない。また、乗りかごへの乗り込み動作の終了条件も様々、考えられる。自律移動ロボットのサイズ(大きさ)に関しても、往復の行路で異なる場合もある。例えば、荷物を積み込んだ往路と、荷物を降ろした復路とではロボットサイズが異なる。このような理由から、エレベータ側で乗車可否を計算するよりも自律移動ロボット側で計算する方が確実であり、精度が良い結果を得られる。そこで、エレベータ側からは情報のみを提示し、乗車可否に関しては、自律移動ロボット側で判断するようにしている。
【0015】
≪自律移動ロボット側の判断動作≫
エレベータ側からかご内情報を取得した自律移動ロボットは、各乗りかごのかご内情報に対して、乗車可能であるか否かを判断し、その結果をエレベータ側に返答する。
【0016】
自律移動ロボットは、移動する際に、外界の情報を2次元(2D)や3次元(3D)にて取得して走行経路の計算を行っている。2Dにて判断を行っている自律移動ロボットの場合では、エレベータからの画像情報に対して仮想的に走行処理を実施することで、走行経路の計算を行い、乗車可能か否か判断することができる。3Dにて判断を行っている自律移動ロボットであれば、エレベータからの画像情報を、高さ方向に引き伸ばすことで3D化して走行経路の計算を行うことが可能である。自律移動ロボット側は、判断結果として、かごの番号と乗車可否をエレベータ側に送信する。エレベータ側は自律移動ロボット側から取得した情報に基づき、割当て可能な号機を選定する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、各実施形態で共通のエレベータシステムの構成を示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、エレベータシステム1(1A〜1F)は、自律移動ロボット100(100A,100B)と、エレベータ群管理制御装置200(200A〜200F)と、各号機のエレベータ制御装置300とを備えている。エレベータシステム1(1A〜1F)は、自律移動ロボット100(100A,100B)が複数台の乗りかご10を利用する際の利用者との乗り合いの効率を考慮したものである。なお、以下の各実施形態では、自律移動体である自律移動ロボット100によって登録される乗場呼びをロボット呼びと称する。
【0019】
乗りかご10は、かごドア20と、かご呼び登録装置30と、かご内観測装置40とを備える。かご呼び登録装置30は、かごドア20付近に設定されかご呼び等を入力する。かご内観測装置40は、かご内の混雑状況等を把握するためかご内カメラやかごドアの上に設置されたドアカメラ等で構成される。また、エレベータの乗場50における乗場ドア60付近に設置され乗場呼びを登録するための乗場呼び登録装置70が設定されている。
【0020】
図2は第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、自律移動ロボット100Aは、ロボット呼び送信部101と、かご内情報受信部102と、ロボット形状設定部103と、ロボット走行情報設定部104と、乗車可否判断部105と、乗車可否送信部106とを備えている。
【0022】
ロボット呼び送信部101は、自律移動ロボット100Aの乗場呼びをロボット呼びとしてエレベータ群管理制御装置200Aに向けて無線送信する。なお、ロボット呼びは無線送信に限られず、有線送信でもよい。また、乗場呼びボタンからの呼び操作であってもよい。
【0023】
かご内情報受信部102は、乗りかご10のかご内観測装置40からのかご内情報をエレベータ群管理制御装置200Aを介して受信する。
【0024】
ロボット形状設定部103は、自律移動ロボット100Aの寸法、大きさ等の形状に関する情報をロボット形状情報として記憶する。
【0025】
ロボット走行情報設定部104は、自律移動ロボット100Aの走行経路等の走行情報を設定する。
【0026】
乗車可否判断部105は、かご内情報受信部102で受信したかご内情報とロボット形状設定部103からのロボット形状情報とロボット走行情報設定部104からのロボット走行情報とに基づいて自律移動ロボット100Aが乗りかご10内に乗込めるか否かを判断する。
【0027】
乗車可否送信部106は、乗車可否判断部105における乗車可否の判断結果をエレベータ群管理制御装置200Aに向けて無線送信する。
【0028】
エレベータ群管理制御装置200Aは、エレベータ情報管理部201と、エレベータ号機情報設定部202と、乗場呼び受付部203と、割当て候補号機評価部204と、割当て号機決定部205と、エレベータ制御指令出力部206と、ロボット呼び受信部207と、かご内情報加工部208と、かご内情報送信部209と、乗車可否受信部210と、割当て変更要求部211とを備えている。
【0029】
エレベータ情報管理部201は、エレベータ毎の制御を実行する各別のエレベータ制御装置300を介して各乗りかご10から、エレベータの運転に応じて変化する各乗りかご10の運行情報と、エレベータ号機情報設定部202から取得するエレベータ号機毎の固有情報とを逐次更新しつつ管理する。
【0030】
エレベータ号機情報設定部202は、エレベータの停止階床、各かごの定員人数を少なくとも含むエレベータの仕様に関する当該エレベータ号機の固有情報を記録する。
【0031】
乗場呼び受付部203は、建物各階の乗場に設置される乗場呼び登録装置70から、乗場呼びの階床と行先方向を含めた登録状態を取得し、乗場呼びに乗りかごが応答してから乗場呼びが解消されるまで乗場呼びの登録状態を保持する。
【0032】
割当て候補号機評価部204は、乗場呼び受付部203から乗場呼び登録状態を取得する。また、ロボット呼び受信部207からロボット呼びの登録状態を取得する。更に、乗車可否受信部210から各乗りかご10に対する自律移動ロボット100Aの乗車可否情報を取得する。エレベータ情報管理部201から、かご位置やかご内の荷重等を取得する。そして、取得した情報に基づき、割当てが可能な乗りかごであるかを算出し、割当ての候補号機を求める。加えて、ロボット呼びの場合には自律移動ロボット100Aの乗車可否情報に基づき、乗車否の乗りかごを候補号機から除き、何れの乗りかごに乗場呼びの割当てを行うべきかを決める。割当てを行う際、乗場呼びへの予測到着時間等を考慮し、予測到着時間が短い乗りかごの評価が良くなるように評価値の算出を行う。
【0033】
割当て号機決定部205は、割当て候補号機評価部204から乗場呼びやロボット呼びへの応答時間等をもとに算出した各乗りかご10の評価値を取得する。そして、乗りかご10の中で評価値の最も良い乗りかご10が優先して割当てられるように割当て号機の決定を行う。
【0034】
エレベータ制御指令出力部206は、割当て号機決定部205から、割当てを行う乗場呼びやロボット呼びの登録階床や方向等の情報と、登録された乗場呼びやロボット呼びを割当てる乗りかご10が何れであるかの情報を取得する。そして、各乗りかご10のエレベータ制御装置300に乗場呼びやロボット呼び割当てに応答するよう指令を出力する。
【0035】
ロボット呼び受信部207は、自律移動ロボット100Aからエレベータを呼ぶためのロボット呼びを取得し、ロボット呼びに乗りかご10が応答してロボット呼びが解消されるまでロボット呼びの登録状態を保持する。
【0036】
かご内情報加工部208は、各乗りかご10内に設置されるかご内観測装置40から、各乗りかご10内部の情報を取得し、エレベータ情報管理部201から乗りかご10の戸開閉状態を取得し、各乗りかご10が呼びに応答し戸開後、ドアが閉まりきったタイミングでの各乗りかご10の内部の情報を取得して自律移動ロボット100Aに対して送信可能な形式の情報に加工する。
【0037】
かご内情報送信部209は、ロボット呼び受信部207からロボット呼びの登録状態を取得すると共に、かご内情報加工部208から加工後の乗りかご10内部の情報を取得する。そして、ロボット呼び登録以降、ロボット呼びが解消されるまでの間にかご内情報が更新されたタイミングで、各乗りかごのかご内情報を自律移動ロボット100Aに送信する。
【0038】
乗車可否受信部210は、自律移動ロボット100Aから、かご内情報送信部209から送信された各乗りかご10のかご内情報に対して乗車の可能・不可能を判断した結果を取得する。
【0039】
割当て変更要求部211は、ロボット呼び受信部207からロボット呼びの登録状態を取得すると共に、割当て号機決定部205からロボット呼びの割当てられた乗りかご10の情報を取得する。そして、乗車可否受信部210から自律移動ロボット100Aの各乗りかご10への乗車可否情報を取得し、ロボット呼びに応答する予定の乗りかご10に対して、自律移動ロボット100Aが乗車できない状態となった際に、割当て候補号機評価部204に対して、再度、割当てを行うように要求する。
【0040】
エレベータ制御装置300は、各エレベータ号機を個別に走行制御するもので、乗りかご10のかご呼び登録装置30及びかご内観測装置40と乗場ドア60と接続され、また、エレベータ群管理制御装置200(200A〜200E)と接続されている。
【0041】
≪第1実施形態の動作≫
次に、
図3及び
図4のフローチャート並びに
図5の説明図を参照して第1実施形態の動作を説明する。
【0042】
図3は、第1実施形態における号機割当ての処理手順を示している。
【0043】
自律移動ロボット100Aがエレベータを利用して建物内の階間を移動する場合、ロボット呼び送信部101は、ロボット呼びをエレベータ群管理制御装置200Aに無線送信する(ステップS101)。
【0044】
エレベータ群管理制御装置200Aのロボット呼び受信部207は、自律移動ロボット100Aからのロボット呼びを受信すると、ロボット呼びを登録すると共に登録状態を割当て候補号機評価部204とかご内情報送信部209へ出力する(ステップS102)。
【0045】
一方、エレベータ群管理制御装置200Aのかご内情報加工部208は、各乗りかご10のかご内観測装置40から情報を取得しており、戸閉後にかご内の情報を記録し、自律移動ロボット100Aへ送信する形式(かご内情報)に加工する(ステップS105,S106)。そして、かご内情報送信部209からかご内情報の出力要求が有ると、かご内情報を出力する(ステップS107,S108)。
【0046】
自律移動ロボット100Aの乗車可否判断部105は、かご内情報受信部102からかご内情報を受信(ステップS109)し、乗車可否を判定する(ステップS110,S111)。その判定結果は、乗車可否送信部106から乗車可否受信部210に送信される(ステップS112)。
【0047】
割当て候補号機評価部204は、エレベータ情報管理部から乗りかご情報を取得(ステップS103)すると共に、乗車可否受信部210を介して乗車可否情報を受信する(ステップS113)。そして、割当て候補号機評価部204は、乗車否の号機をロボット呼び割当て候補から除き、次いで、到着予測時間等を考慮した評価値を算出する(ステップS114,S115)。算出された評価値は割当て号機決定部205に出力される。割当て号機決定部205は、評価値から割当て号機を決定し、エレベータ制御指令出力部206を介して各エレベータ制御装置300に出力する(ステップS116〜S119)。
【0048】
図4は、第1実施形態における号機割当ての見直し処理を示すフローチャートである。なお、
図4中、
図3のフローチャートと同一の処理手順には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0049】
乗車可否判断部105からステップS110〜S112の処理において、乗車可否の判定処理が実施され、その結果が出力されると、割当て変更要求部211は、ロボット呼び割当てかごの乗車可否状態を確認する(ステップS120)。そして、自律移動ロボット100Aが割当て乗りかごに対して乗車拒否の場合は、再割当て要求を出力する(ステップS121)。そして、割当て候補号機評価部204は、
図3に示したステップS103の乗りかご情報の取得処理を実施して更にステップS113〜S116の割当て処理を実施して出力する(ステップS122)。エレベータ制御指令出力部206は割当て号機決定部205を介して割当て号機を取得し、各エレベータ制御装置に出力する(ステップS123,S119)。
【0050】
図5は、第1実施形態の動作イメージを示す説明図である。
【0051】
図5において、▼は乗場呼び登録、▽は乗場呼び割当て、〇はかご呼び登録、◎は自律移動ロボット100Aの行先階をそれぞれ示す。
図5に示すように、3階にB1階を行先階とするロボット呼びが有り、2階に下方階への利用者呼びが有るものとする。また、A号機には3階に乗場呼びが割当てられ、1階にかご呼びが登録されている。B号機には2階に乗場呼びが割当てられ、B1階にかご呼びが登録されている。C号機には5階にかご呼びが登録されている。A号機は7階から6階に向けて走行中、B号機は6階から5階に向けて走行中、C号機はB1階から1階に向けて走行中である。各号機のかご内状態として、カメラ画像からA号機は1人、B号機は5人、C号機は1人と、荷物及び荷物運搬者が認識されている。
【0052】
この状態では、一番早く応答できるのはB号機であるが、かご内の状態から判断して自律移動ロボット100Aが乗込めるスペースが無い。従って、自律移動ロボット100Aが乗込むスペースが有る、A号機が割当てられることになる。
【0053】
このように、第1実施形態によれば、自律移動ロボット100Aが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。
【0054】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【0055】
第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、割当て候補号機評価部204に代えて割当て候補号機評価部221、及び割当て号機決定部205に代えて割当て号機決定部222を有する点である。他の構成は
図2に示す第1実施形態と同様である。
【0056】
エレベータ群管理制御装置200Bの割当て候補号機評価部221は、ロボット呼びが割当てられている乗りかごの情報とロボット呼びが登録されている階床を取得し、利用者が登録した乗場呼びの割当て候補号機の評価値を算出する際に、割当てる乗場呼びの登録階が、ロボット呼びに応答するまでの走行区間内にある階床の場合には、ロボット呼びが割当てられている乗りかごに割当てが行われ難くなるように、ロボット呼びが割当てられている乗りかごの評価値を低下させる処理を実行する。
【0057】
エレベータ群管理制御装置200Bの割当て号機決定部222は、割当てる呼びがロボット呼びである場合には、割当てた乗りかごの情報を割当て候補号機評価部221に出力し、割当て候補号機評価部221からの評価値に基づき割当て号機を決定する処理を実行する。
【0058】
図7は、第2実施形態における号機割当て処理を示すフローチャートである。
【0059】
割当て候補号機評価部221は、ロボット呼びが割当てられている乗りかごの情報とロボット呼びが登録されている階床を取得する(S103)。そして、利用者が登録した乗場呼びの割当て候補号機の評価値を算出する際に、割当てる乗場呼びの登録階が、ロボット呼びに応答するまでの走行区間内にある階床の場合には、ロボット呼びが割当てられている乗りかごに割当てが行われ難くなるように、ロボット呼びが割当てられている乗りかごの評価値を低下させる処理を実行する(ステップS115,S204)。
【0060】
割当て号機決定部222は、割当て候補号機評価部221からの評価値に基づき割当て号機を決定する処理を実行する(ステップS117)。
【0061】
図8は、第2実施形態の動作イメージを示す説明図である。
【0062】
図8において、3階にB1階を行先階とするロボット呼びが、4階に人間の呼びが登録されている。A号機は6階付近を下方に向け走行し、B号機は6階付近を上方に向け走行し、C号機は3階に停止中で下方運転中であるものとする。この場合、人間の乗場呼びに対してはA号機が一番早く応答可能である。しかし、A号機は3階の乗場呼びに応答予定であるため、次に4階に早く着く予定のB号機を割当てるようにする。
【0063】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、自律移動ロボット100Aが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、自律移動ロボット100Aが乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。
また、利用者が登録した乗場呼びの割当て候補号機の評価値を算出する際に、割当てる乗場呼びの登録階が、ロボット呼びに応答するまでの走行区間内にある階床の場合には、ロボット呼びが割当てられている乗りかごに割当てが行われ難くなるようにしている。このため、利用者へのサービス低下を防止しつつ、ロボット呼びに対応することが可能となる。
【0064】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【0065】
第3実施形態が第1実施形態と相違する点は、ロボット乗車簡易判断部231と、ロボット形状設定部232を新たに設けたことである。他の構成は
図2に示す第1実施形態と同様である。
【0066】
エレベータ群管理制御装置200Cのロボット乗車簡易判断部231は、かご内情報と自律移動ロボット100Aのサイズ情報とを入力して、かご内に自律移動ロボット100Aが入る空き領域があるか否かを判断する機能を有する。
【0067】
エレベータ群管理制御装置200Cのロボット形状設定部232は、自律移動ロボット100Aの形状や大きさ等のサイズ情報を登録しており、このサイズ情報をロボット乗車簡易判断部231に出力する。
【0068】
図10は、第3実施形態における号機割当て処理を示すフローチャートである。
【0069】
図10のフローチャートにおいて、ロボット形状設定部232は、自律移動ロボット100Aの形状や大きさ等のサイズ情報をロボット乗車簡易判断部231に出力する(ステップS301)。ロボット乗車簡易判断部231は、かご内情報と自律移動ロボット100Aのサイズ情報とを入力して、かご内に自律移動ロボット100Aが入る空き領域があるか否かを判断する(ステップS302)。以下のステップS109〜S119の処理は
図3のフローチャートと同様である。
【0070】
図11は、第3実施形態の動作イメージを示す説明図である。
【0071】
図11はかご内情報を示している。(A)では、かご内に4名の乗客が居るが自律移動ロボット100Aのサイズ情報から判断した自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができるので、自律移動ロボット100Aの乗車が可能である。(B)では、同じ4名の乗車であるが、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができないので、乗車不能と判断される。(C)では、1名乗車、他の1名は台車により荷物を運んでいるが、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができるので、自律移動ロボット100Aの乗車は可能である。(D)では、(C)と同じ条件であるが、それぞれの配置位置が(C)の場合と異なっており、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができない。このため、ロボの乗車不能と判断される。
【0072】
このように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、自律移動ロボット100Aが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、自律移動ロボット100Aが乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。また、ロボットサイズに基づいて、かご室内に自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができるので、確実に乗車が可能となる。
【0073】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の構成を示すブロック図である。
【0074】
第4実施形態が第3実施形態と相違する点は、ロボット乗車簡易判断部231に代えてロボット乗車簡易判断部241を設けた点である。他の構成は
図9に示す第3実施形態と同様である。
【0075】
エレベータ群管理制御装置200Dのロボット乗車簡易判断部241は、乗りかごのドア前の領域を除いた範囲で自律移動ロボット100Aが乗車できるか否かを判断する機能を有する。
【0076】
図13は、第4実施形態における号機割当て処理を示すフローチャートである。
【0077】
図13のフローチャートにおいて、ロボット乗車簡易判断部241は、入力したかご内情報に対してドア前の領域を除いた範囲で、自律移動ロボット100Aが入る空き領域があるか否かを判断する(ステップS401)。自律移動ロボット100Aが入る空き領域があるかご内情報をかご内情報送信部209へ出力する(S303)。以下の処理は
図3に示した第1実施形態と同様である。
【0078】
図14は、第4実施形態の動作イメージを示す説明図である。
【0079】
かご内情報を示す(A)では、かご内に4名の乗客が居るが自律移動ロボット100Aのサイズ情報から判断した自律移動ロボット100Aが示す面積を確保することができるので、自律移動ロボット100Aの乗車が可能である。(B)では、同じ4名の乗車であるが、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができるのはドア前の出入口付近に限られるので、乗車不能と判断される。(C)では、1名乗車、他の1名は台車により荷物を運んでいるが、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保することができるので、自律移動ロボット100Aの乗車は可能である。(D)では、(C)と同じ条件であるが、それぞれの配置位置が(C)の場合と異なっており、自律移動ロボット100Aが占める面積を確保するとドア前の出入口付近に跨ってしまう。このため、ロボの乗車不能と判断される。
【0080】
このように、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様、自律移動ロボット100Aが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、自律移動ロボット100Aが乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。また、エレベータのドア前の出入口に空き領域があるか否かを判断することで自律移動ロボット100Aに対して確実に号機を割当てることができる。
【0081】
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態の構成を示すブロック図である。
【0082】
第5実施形態が第1実施形態と相違する点は、割当て候補号機評価部204に代えて割当て候補号機評価部251及び割当て号機決定部205に代えて割当て号機決定部252を有する点である。他の構成は
図2に示す第1実施形態と同様である。
【0083】
エレベータ群管理制御装置200Eの割当て候補号機評価部251は、エレベータ情報管理部201から、各乗りかごのかご呼び登録状態を取得し、割当て号機決定部252から各乗りかごの乗場呼び割当て状態を取得し、ロボット呼びの割当てを行う際に、自律移動ロボット100Aの乗車階から降車階までの間に応答する予定の乗場呼び,かご呼びの個数が多い乗りかごの評価が低くなるように評価値を設定する。これにより、自律移動ロボット100Aが乗っている状態の乗りかごに対する、利用者の乗降回数を減らすことを可能にする。
【0084】
エレベータ群管理制御装置200Eの割当て号機決定部252は、割当て号機決定部205の機能に加えて、各乗りかごの乗場呼びの割当て状態を出力する機能を有する。
【0085】
図16は、第5実施形態における号機割当て処理を示すフローチャートである。
【0086】
図16のフローチャートにおいて、割当て号機決定部252は、各乗りかごの乗場呼びの割当て状態を示す乗場呼び割当て号機情報を割当て候補号機評価部251に出力する(ステップS501)。割当て候補号機評価部251は、エレベータ情報管理部から乗りかご情報を取得すると共に、乗りかごのかご呼び情報を取得する(S103,S502)。そして、自律移動ロボット100Aの乗車階から降車階までの間の階床で乗場呼び、かご呼びの応答数の多い乗りかごの評価値を悪く設定する(S503)。以下の処理は第実施形態と同様である。
【0087】
図17は、第5実施形態の動作イメージを示す説明図である。
【0088】
図17において、4階にB1階を行先階とするロボット呼びが、2階に下方向の人間の呼びが登録されている。A号機は6階に停車後下方に向け走行し、B号機は6階と5階の間で下方に向け走行し、C号機は7階に停止中で下方運転中である。A号機には、3階と1階のかご呼びが登録され、2階に乗場呼びが割当てられている。B号機には、3階のかご呼びが登録されている。C号機には1階のかご呼びが登録され、4階の乗場呼びが割当てられている。かご内の状態を見ると、A号機は乗客が1名であり、かご内には空き領域がある。B号機は5名の乗客が居て空き領域がない状態である。C号機は台車を持つ乗客が1名存在している。
【0089】
この場合、B号機は自律移動ロボット100Aが乗車できる領域がないので、評価から除外される。A号機、C号機は自律移動ロボット100Aの乗車が可能である。A号機とC号機を比較すると、A号機の方が早く4階に到着するが、自律移動ロボット100Aが4階で乗車してからB1階へ向かうまでに応答する呼びの個数がC号機よりも多い。このため、A号機の評価値を悪くして、C号機にロボット呼びを割当てる。
【0090】
このように、第5実施形態によれば、第1実施形態と同様、自律移動ロボット100Aが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、自律移動ロボット100Aが乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。また、かご内に自律移動ロボット100Aが乗車できる空き領域が有る場合にロボット呼びを割当てることができ、確実な号機割当てが可能となる。
【0091】
<第6実施形態>
図18は、第6実施形態の構成を示すブロック図である。
【0092】
第6実施形態では、第1から第5実施形態で自律移動ロボット100A側に持たせていた機能の一部を群管理制御装置側に持たせたものである。
【0093】
すなわち、エレベータ群管理制御装置200Fは、ロボット形状設定部261と、ロボット走行情報設定部262と、乗車可否判断部263を備えている。また、自律移動ロボ100Bはロボット呼び送信部101のみを備える構成となる。他の構成は
図2に示す第1実施形態と同様である。
【0094】
エレベータ群管理制御装置200Fのロボット形状設定部261は、自律移動ロボット100Bの寸法、大きさ等の形状に関する情報をロボット形状情報として記憶する。
【0095】
エレベータ群管理制御装置200Fのロボット走行情報設定部262は、自律移動ロボット100Bの走行経路等の走行情報を設定する。
【0096】
乗車可否判断部263は、かご内情報加工部208からのかご内情報とロボット形状設定部261からのロボット形状情報とロボット走行情報設定部262からのロボット走行情報とに基づいて自律移動ロボット100Bが乗りかご10内に乗込めるか否かを判断する。
【0097】
図19は、第6実施形態における号機割当て処理を示すフローチャートである。
【0098】
図19のフローチャートにおいて、ロボット形状設定部261は、自律移動ロボット100Bの寸法、大きさ等の形状に関する情報をロボット形状情報として乗車可否判断部263に出力する(S601)。また、ロボット走行情報設定部262は、自律移動ロボット100Bの走行経路等の走行情報及び乗車完了条件を乗車可否判断部263に出力する(S602)。
【0099】
乗車可否判断部263は、かご内情報を受信し、乗車可否を判定し、乗車可否情報を割当て候補号機評価部に出力する(ステップS603、S604,S605,S606)。以後の処理は第1実施形態と同様である。
【0100】
このように、第6実施形態によれば、第1実施形態と同様、自律移動ロボット100Bが乗込むことができる最適な号機を割当てることが可能となる。このため、自律移動ロボット100Bが乗込めなかった場合に無駄な応答となってしまい運行効率が悪くなるという従来の課題を解決することができる。また、自律移動ロボット100Bにはロボット呼びを送信するロボット呼び送信部101を備えるだけの簡単な構成で第1実施形態と同様の処理を実行することが可能になる。
【0101】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】自律移動体と、当該自律移動体と利用者との乗り合わせが許容される複数台のエレベータを群管理制御するエレベータ群管理制御装置とを備えるエレベータシステムであって、自律移動体によって登録される乗場呼びを移動体呼びとして取得する移動体呼び取得手段と、取得した移動体呼びに各乗りかごが応答した際のかご内の状態を予測するかご内状態予測手段と、予測したかご内状態と、自律移動体の形状情報と、自律移動体の走行情報とに基づいて当該自律移動体が各乗りかごに乗車可能か否かを判断して乗車可否情報を生成する乗車可否情報生成手段と、乗車可否情報に基づき割当て候補号機を絞り込んで、当該自律移動体に号機を割当てる割当て号機決定手段とを備える。