(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0028】
<本実施形態の概要>
はじめに、本実施形態に係る移載装置の概要を説明する。本実施形態に係る移載装置は、ワークが段積みされているバルク体からワークを列単位で下流ラインに移載する作業に用いるものである。具体的には、例えば、清涼飲料水等の工場において、空のPETボトルが段積みされたバルク体から、清涼飲料水等を充填する工程までPETボトルを搬送する下流ラインに、PETボトルを列単位で移載する作業に用いられる。
【0029】
図1は、移載対象とするワークWの一例であるPETボトルを示している。PETボトルは、その水平断面が円形であり、側面に凹部1を有する。ただし、ワークWとしてのPETボトルの形状は、図示するものに限定されない。例えば、PETボトルの水平断面は四角形等の多角形であってもよいし、側面が凹んでいなくてもよい。また、ワークWは、PETボトルに限定されない。
【0030】
図2は、ワークWとしてのPETボトルが段積みされたバルク体4の一例を示している。同図の場合、バルク体4は、パレット3の上にワークWが水平方向の縦横に配置されて1段を形成し、各段の間にセパレートシート2を挟んで複数の段(同図の場合、8段)が積層されている。なお、一般的には、バルク体4では、ワークWが3段以上10段程度まで積層されることが多い。
【0031】
なお、バルク体4におけるワークWは、バルク体4を形成する工程の不具合や、バルク体4の輸送工程における接触等により、適切な配置からずれていることがある。
【0032】
図3は、ワークWとしてのPETボトルが適切な位置に配置されているバルク体4の一例を示しており、同図(A)はバルク体4の上面図、同図(B)はバルク体4の側面図である。ただし、同図(B)には、2段分のワークWを示している。同図に示されるように、ワークWが適切な位置に整列されている場合、規正装置20(
図5)による規正は不要であるか、または軽度の規正を行うだけで済む。
【0033】
次に、
図4は、ワークWとしてのPETボトルが適切な位置からずれて配置されているバルク体4の一例を示しており、同図(A)はバルク体4の上面図、同図(B)はバルク体4の側面図である。ただし、同図(B)には、ワークWを2段分だけ示している。同図(A)に示されるように、ワークWは水平方向にずれたり、同図(B)に示すように、垂直方向にずれたりしてしまうことがある。同図(A)に示された水平方向のずれについては、規正装置20を用いて規正するが、適切な位置に規正できないこともある。
【0034】
次に、
図5は、ワークWのずれを規正するための規正装置20の構成例を示している。
【0035】
規正装置20は、ベース部材21a,21b、可動部材22、規正部材23a,23b,23c,23d,23e,23f及びパレットコンベア26を備える。また、規正装置20は、可動部材22、及び規正部材23a〜23fを移動させるためのモータ等からなる複数の動力部(符号省略)を備える。なお、可動部材22、規正部材23a〜23f、及びパレットコンベア26の動きは、制御装置100(
図8)によって制御される。
【0036】
ベース部材21a,21bは、柱状に形成されており、その長手方向が床面と直交するように、床面に設置されている。同図の例では、ベース部材21は2本設けられているが、ベース部材21の数は、1本または3本以上であってもよい。
【0037】
可動部材22は、柱状に形成されており、その長手方向がベース部材21a,21bの長手方向と直交するように、ベース部材21a,21bに設けられている。また、可動部材22は、バルク体4をなすワークWの段積み方向(z軸方向)に移動できるように、ベース部材21a,21bに装着されている。
【0038】
規正部材23a,23bは、板状に形成されており、x軸方向に伸びるように、可動部材22に設けられている。また、規正部材23a,23bは、互いが対向する方向(y軸方向)に移動できるように、可動部材22に装着されている。
【0039】
規正部材23c,23dは、板状に形成されており、y軸−方向に伸びるように、規正部材23bに設けられている。また、規正部材23c,23dは、互いが対向する方向(x軸方向)に移動できるように、規正部材23bに装着されている。
【0040】
規正部材23e,23fは、板状に形成されており、y軸+方向に伸びるように、規正部材23aに設けられている。規正部材23e,23fは、互いが対向する方向(x軸方向)に移動できるように、規正部材23aに装着されている。
【0041】
規正部材23a〜23fは、それぞれの高さが同一のxy面上に位置するように構成されている。また、規正部材23a〜23fによって囲まれる領域内は、パレットコンベア26に載置されたバルク体4が収まる広さを有する。そして、規正部材23a〜23fの内側の面は、ワークWの外周側面を押圧する規正面として機能する。
【0042】
パレットコンベア26にはバルク体4が載置される。パレットコンベア26は、載置されたバルク体4を規正装置20の正面に搬送する。
【0043】
規正装置20においては、パレットコンベア26がバルク体4を規正部材23a〜23fによって囲まれる領域の直下に搬送し、可動部材22がz軸方向に移動して規正部材23a〜23fを所望の高さに移動する。そして、規正部材23a〜23fをxy平面上で移動し、ワークWを押圧することにより、バルク体4のワークWを規正することができる。
【0044】
次に、
図6は、規正装置20によってワークWとしてのPETボトルを適切に規正できた様子の一例を示しており、同図(A)は規正前の状態、同図(B)は規正後の状態を示している。規正装置20によれば、規正部材23a〜23fによりワークWを4方向から押圧することにより、ワークWを適切な位置に整列させることができる。ただし、ワークWの材料、形状、規正前の配置によっては、規正できないこともある。
【0045】
次に、
図7は、規正装置20によってワークWを適切に規正できなかった様子の一例を示しており、同図(A)は規正前の状態、同図(B)は規正後の状態を示している。上述したように、ワークWが互いに滑り合わない材料で形成されている場合や、同図(A)に示されるように、規正装置20の規正部材23a〜23fの面に対してワークWの列が傾いているような場合、同図(B)に示されるように、ワークWを適切な位置に規正できないことがある。
【0046】
本実施形態に係る移載装置は、
図6(B)に示されたように適切に規正されたワークWは当然、
図7(B)に示されたように、規正後においても適切な位置から若干ずれているワークWの列単位での移載を実現するものである。
【0047】
<本実施形態に係る移載装置30の構成例>
次に、
図8は、本実施形態に係る移載装置30の構成例を示している。
【0048】
移載装置30は、例えば、アーム型ロボットであり、設置ベース31、ボディ32、ロボットアーム33、アーム先端部34、及びロボットハンド40を備える。移載装置30は、例えば、
図5に示された規正装置20とパレットコンベア26を挟んで対向する位置に設置される。
【0049】
設置ベース31は、設置ベース架台31bを介して床面に固定される。ボディ32は、設置ベース31の上に設けられ、z軸周りに回転することができる。ロボットアーム33は、その基部がボディ32に固定され、その先端に設けたアーム先端部34がボディ32の上方に配置されている。
【0050】
ボディ32には、ロボットアーム33を動作させる駆動部、ボディ32を動作させる駆動部(いずれも不図示)等の機構が内蔵されている。ボディ32に内蔵されている各駆動部は、移載装置30の外に設置された制御装置100と接続され、各駆動部の動作(回転方向や回転速度等)は、制御装置100により制御される。制御装置100は、ボディ32内に設置されてもよい。
【0051】
ロボットアーム33は、複数のリンクを複数のジョイントで接続して構成されており、各ジョイントを連動させることにより、アーム先端部34の姿勢を保ったまま、その位置をx軸方向及びz軸方向に移動させることができる。ロボットアーム33は、ボディ32の回転動作に伴って、アーム先端部34をz軸周りに旋回させることもできる。
【0052】
アーム先端部34は、ロボットハンド40を着脱自在に保持する。アーム先端部34に設けられている駆動部35は、その軸P1周りに回転動作することができる。よって、駆動部35に保持されているロボットハンド40は、駆動部35の軸P1周りの回転動作に伴って旋回することができる。なお、軸P1は、通常、垂直になるように制御されるが、傾くように制御されてもよい。
【0053】
ロボットハンド40は、吸引ユニット44及び把持板47を備える。吸引ユニット44は、箱状に形成されており、その上面にはパイプ接続部443(
図11)が、その正面(ワークWに正対する面)には吸引孔442(
図11)が設けられている。パイプ接続部443には、真空ポンプに繋がるパイプ(いずれも不図示)が接続される。そして、吸引ユニット44は、吸引孔442に生じる負圧によりワークWを吸引する。なお、真空ポンプの代わりにブロワーを用いてもよい。
【0054】
把持板47は、z軸−方向(図面下側)、及びx軸−方向(図面右側)に移動することができ、吸引ユニット44に吸引されているワークWを、吸引ユニット44との間に狭持する。
【0055】
次に、
図9は、ロボットハンド40の詳細な構成例を示しており、同図(A)は把持板47が初期位置にある状態、同図(B)は把持板47がz軸−方向に移動した状態、同図(C)は把持板47がさらにx軸−方向に移動した状態を示している。
【0056】
ロボットハンド40は、吸引ユニット44及び把持板47の他、接続部41、ベース部材42、支持部材43、及び把持板移動部45,46を有する。接続部41は、アーム先端部34とベース部材42とを接続する。ベース部材42は、その下面(xy面)に支持部材43が接続されており、支持部材43の下方には吸引ユニット44が接続されている。また、ベース部材42の側面(yz面)には、把持板移動部45が接続されている。
【0057】
把持板移動部45は、その下面(xy面)に接続されている把持板移動部46、及び把持板移動部46の側面(yz面)に接続されている把持板47を初期位置からz軸−方向(図面下側)に移動させることができる。なお、把持板47のz軸方向の初期位置は、その下端がワークWの上端よりも高い位置に設定されている。
【0058】
把持板移動部46は、把持板47を初期位置からx軸−方向(図面右側)に移動させることができる。なお、把持板47のx軸方向の初期位置は、吸引ユニット44との間隔がワークWの横幅よりも広い位置に設定されている。把持板移動部45,46は、本発明の第1及び第2の把持板移動部に相当する。
【0059】
同図(B)に示されたように、把持板47を初期位置からz軸−方向に移動させた後、同図(C)に示されたように、把持板47をx軸−方向に移動させることにより、吸引ユニット44と把持板47との間に、吸引ユニット44に吸引されているワークWを狭持することができる。
【0060】
次に、
図10は、
図9(B)に示されたように、把持板移動部45によってz軸−方向に移動された把持板47を吸引ユニット44側から見た状態の一例を示す図である。ただし、吸引ユニット44の図示は省略している。
【0061】
同図に示されるように、把持板47は、y軸方向に長く形成されており、その長さは少なくともワークWの1列分の長さよりも長く形成されている。把持板47の吸引ユニット44に正対する面(yz面)(以下、把持板47の表面と称する)には、板ゴム等からなる滑り止め48が貼付されている。これにより、把持板47の表面においてワークWが滑ることを抑止できる。
【0062】
図11は、把持板47側から見た吸引ユニット44の一例を示す図である。ただし、把持板47の図示は省略している。
【0063】
同図に示されるように、吸引ユニット44は、把持板47と同様、y軸方向に長く箱状に形成されており、その長さは少なくともワークWの1列分の長さよりも長く形成されている。吸引ユニット44の上面(xy面)には、真空ポンプに繋がれたパイプを接続するためのパイプ接続部443が設けられている。
【0064】
吸引ユニット44の正面(yz面)には、凸部441が設けられており、凸部441には吸引孔442が形成されている。なお、凸部441及び吸引孔442の詳細については、
図13を参照して後述する。
【0065】
図12は、アーム先端部34側から見下ろしたロボットハンド40の構成例を示す上面図である。ただし、アーム先端部34の図示は省略している。
【0066】
同図に示されるように、吸引ユニット44の正面と、把持板47の表面(yz面)は、y軸方向に沿って平行となるように構成されている。これにより、把持板47を吸引ユニット44と同じ高さまでz軸−方向に下げて、さらに、吸引ユニット44に近づけるようにx軸方向に移動させることにより、吸引ユニット44に吸引されているワークW(不図示)を狭持することができる。
【0067】
次に、
図13は、吸引ユニット44の一例を示しており、同図(A)は、吸引ユニット44の部分正面図、同図(B)は吸引ユニット44の側面図を示している。
【0068】
同図(A)に示されるように、吸引ユニット44の正面(yz面)には、水平方向に長い吸引孔442の列がz軸方向に複数列(同図の場合、2列)が設けられている。
【0069】
吸引ユニット44の正面に設けられた吸引孔442の複数の列は、y軸方向の何れの位置においても吸引孔442の非開口部分444が重複しないように形成されている。これにより、吸引ユニット44は、吸引ユニット44の正面に対してy軸方向にずれているワークWやz軸方向に若干ずれているワークWであっても吸引することができる。
【0070】
なお、吸引孔442の開口は、水平方向に限らず、水平面に対して斜め方向であってもよい。
【0071】
また、同図(B)に示されるように、吸引ユニット44の正面(yz面)には、その形状が吸引するワークWとしてのPETボトルの凹部1と略合致するように凸部441が形成されている。凸部441の曲率は、PETボトルの凹部1の曲率よりも小さいことが望ましい。これにより、吸引ユニット44は、凸部441において、ワークWとしてのPETボトルの凹部1と密着することができ、より確実にワークWを吸引することができる。
【0072】
<規正装置20(
図5)、及び移載装置30(
図8)によるワーク移載処理>
次に、
図14は、規正装置20、及び移載装置30によるワーク移載処理の一例を説明するフローチャートである。
図15は、該ワーク移載処理の様子を説明するための図である。
【0073】
該ワーク移載処理は、バルク体4の全体を対象として実行する処理であり、ユーザからの所定の操作に応じて開始される。前提として、規正装置20のパレットコンベア26には、バルク体4が載置されているものとする。
【0074】
はじめに、規正装置20のパレットコンベア26が、制御装置100からの制御に従い、載置されているバルク体4を規正装置20と移載装置30との間に搬送する(ステップS1)。
【0075】
次に、人力または他の装置によってバルク体4の最上段のセパレートシート2を取り除いてから、規正装置20が、制御装置100からの制御に従い、可動部材22をz軸方向に移動することにより、規正部材23a〜23fをバルク体4の最上段の高さまで移動する。そして、
図15の左側上段に示すように、規正部材23a〜23fをxy平面上でワークW側に移動することにより、ワークWを4方向から押圧して規正する(ステップS2)。
【0076】
次に、規正装置20が、制御装置100からの制御に従い、
図15の左側中段に示すように、規正部材23a〜23fのうち、規正部材23d,23fによる規正面を開放する(ステップS3)。
【0077】
次に、移載装置30が、制御装置100からの制御に従い、ロボットハンド40を移動することにより、
図15の左側下段及び中央上段に示すように、開放された面からワークWに対して吸引ユニット44を押圧することによってワークWを規正する(ステップS4)。
【0078】
次に、移載装置30が、制御装置100からの制御に従い、
図15の中央中段に示すように、吸引ユニット44によりワークWを吸引しながら、ロボットハンド40をx軸方向に移動することにより、1列分のワークWをx軸方向に引き出して、ワークWの1列目と2列目との間隔を広げる(ステップS5)。
【0079】
次に、移載装置30が、制御装置100からの制御に従い、把持板移動部45により把持板47をz軸−方向に移動させることにより、
図15の中央下段に示すように、引き出されたワークWの1列目と2列目との間(引き出されたワークWの背後)に把持板47を挿入する(ステップS6)。
【0080】
次に、移載装置30が、制御装置100からの制御に従い、把持板移動部46により把持板47をx軸方向に移動させることにより、
図15の右側上段に示すように、把持板47と吸引ユニット44との間に1列分のワークWを狭持する(ステップS7)。
【0081】
次に、移載装置30が、制御装置100からの制御に従い、把持板47と吸引ユニット44との間に1列分のワークWを狭持した状態でロボットハンド40を移動することにより、
図15の右側中段及び右側下段に示すように、1列分のワークWを下流ラインに移動して、ワークWの狭持を解除する(ステップS8)。これにより、1列分のワークWが下流ラインに移載されたことになる。
【0082】
次に、制御装置100が、バルク体4の処理対象としている1段に配置されている全てのワークWの移載が終了したか否かを判定する(ステップS9)。処理対象としている1段に配置されている全てのワークWが下流ラインに移載されていない、すなわち、処理対象としている1段にワークWが残っていると判定した場合(ステップS9でNO)、制御装置100が、処理をステップS4に戻して、ステップS4〜S9を繰り返す。
【0083】
その後、制御装置100が、バルク体4の処理対象としている1段に配置されている全てのワークWを下流ラインに移載した、すなわち、処理対象としている1段にワークWが残っていないと判定した場合(ステップS9でYES)、次に、制御装置100が、バルク体4の全ての段の移載が終了したか否かを判定する(ステップS10)。バルク体4の全ての段の移載が終了していない、すなわち、処理対象としていない段が残っていると判定した場合(ステップS10でNO)、制御装置100が、処理をステップS2に戻して、ステップS2〜S10を繰り返す。
【0084】
その後、制御装置100が、バルク体4の全ての段の移載が終了したと判定した場合(ステップS10でYES)、該ワーク移載処理は終了される。
【0085】
以上に説明したワーク移載処理によれば、適切な位置から若干ずれているワークWであっても、把持板47と吸引ユニット44とにより、その間に狭持することができるので、確実に下流ラインに移載することが可能となる。ただし、上述したように、バルク体4の各段の間に設けられているセパレートシート2を人力または他の装置によって取り除く必要がある。
【0086】
<移載装置30の変形例>
次に、
図16は、本実施形態に係る移載装置30の変形例である移載装置50の構成例を示している。
【0087】
移載装置50は、移載装置30(
図8)のロボットハンド40に吸着ユニット60を追加したものである。移載装置50の吸着ユニット60以外の構成要素については、移載装置30の構成要素と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
次に、
図17は、吸着ユニット60を含むロボットハンド40の構成例を示している。
図18は、アーム先端部34側から見下ろした、吸着ユニット60を含むロボットハンド40の構成例を示す上面図である。ただし、アーム先端部34の図示は省略している。
【0089】
吸着ユニット60は、接続部61、ベース部材62、複数の移動部63、複数の支持部材64、及び複数の吸着部65を有する。接続部61は、アーム先端部34とベース部材62とを接続する。ベース部材62は、その下面(xy面)に接続部41を介してベース部材42を接続する。また、ベース部材62の両側面(yz面)には、移動部63が接続される。移動部63は、両端に吸着部65が設けられている支持部材64を、吸着部65が把持板47の下端よりも高い位置から吸引ユニット44よりも低い位置まで移動するように、z軸方向に移動することができる。吸着部65は、例えば、吸引ユニット44と同様に真空ポンプ(不図示)に接続されており、物体(例えば、セパレートシート2)を吸着することができる。
【0090】
図18の場合、吸着ユニット60は、4つの吸着部65を有している。ただし、吸着部65の数は4に限らない。複数の吸着部65は、例えば、セパレートシート2等のようにxy面に広がる物体を吸着することができる。
【0091】
次に、
図19は、移動部63が支持部材64をz軸−方向に移動することによって、吸着部65が吸引ユニット44よりも低い位置まで移動され、吸着部65がセパレートシート2を吸着している状態を示している。同図に示すように、吸着ユニット60によってセパレートシート2を吸着し、バルク体4から取り除くようにすれば、セパレートシート2を取り除くユーザの手間を省くことができる。
【0092】
<規正装置20(
図5)、及び移載装置50(
図16)によるワーク移載処理>
次に、
図20は、規正装置20、及び移載装置50によるワーク移載処理の一例を説明するフローチャートである。
【0093】
該ワーク移載処理は、バルク体4の全体を対象として実行する処理であり、ユーザからの所定の操作に応じて開始される。前提として、規正装置20のパレットコンベア26には、バルク体4が載置されているものとする。
【0094】
はじめに、規正装置20のパレットコンベア26が、制御装置100からの制御に従い、載置されているバルク体4を規正装置20と移載装置50との間に搬送する(ステップS21)。次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、ロボットハンド40を移動し、吸着ユニット60によってバルク体4の上面のセパレートシート2を吸着して除去し、以降の工程の妨げとならない位置に移動させる(ステップS22)。
【0095】
次に、規正装置20が、制御装置100からの制御に従い、可動部材22をz軸方向に移動することにより、規正部材23a〜23fをバルク体4の最上段の高さまで移動し、規正部材23a〜23fをxy平面上でワークW側に移動することにより、ワークWを4方向から押圧して規正する(ステップS23)。次に、規正装置20が、制御装置100からの制御に従い、規正部材23a〜23fのうち、規正部材23d,23fによる規正面を開放する(ステップS24)。
【0096】
次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、ロボットハンド40を移動することにより、開放された面からワークWに対して吸引ユニット44を押圧することによってワークWを規正する(ステップS25)。次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、吸引ユニット44によりワークWを吸引しながらロボットハンド40をx軸方向に移動することにより、1列分のワークWをx軸方向に引き出して、ワークWの1列目と2列目との間隔を広げる(ステップS26)。
【0097】
次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、把持板移動部45により把持板47をz軸−方向に移動させることにより、引き出されたワークWの1列目と2列目との間に把持板47を挿入する(ステップS27)。次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、把持板移動部46により把持板47をx軸方向に移動させることにより、把持板47と吸引ユニット44との間に1列分のワークWを狭持する(ステップS28)。
【0098】
次に、移載装置50が、制御装置100からの制御に従い、把持板47と吸引ユニット44との間に1列分のワークWを狭持した状態でロボットハンド40を移動することにより、1列分のワークWを下流ラインに移動して、ワークWの狭持を解除する(ステップS29)。これにより、1列分のワークWが下流ラインに移載されたことになる。
【0099】
次に、制御装置100が、バルク体4の処理対象としている1段に配置されている全てのワークWの移載が終了したか否かを判定する(ステップS30)。処理対象としている1段に配置されている全てのワークWが下流ラインに移載されていない、すなわち、処理対象としている1段にワークWが残っていると判定した場合(ステップS30でNO)、制御装置100が、処理をステップS25に戻して、ステップS25〜S30を繰り返す。
【0100】
その後、制御装置100が、バルク体4の処理対象としている1段に配置されている全てのワークWが下流ラインに移載された、すなわち、処理対象としている1段にワークWが残っていないと判定した場合(ステップS30でYES)、次に、制御装置100が、バルク体4の全ての段の移載が終了したか否かを判定する(ステップS31)。バルク体4の全ての段の移載が終了していない、すなわち、処理対象としていない段が残っていると判定した場合(ステップS31でNO)、制御装置100が、処理をステップS22に戻して、ステップS22〜S31を繰り返す。
【0101】
その後、制御装置100が、バルク体4の全ての段の移載が終了したと判定した場合(ステップS31でYES)、該ワーク移載処理は終了される。
【0102】
以上に説明したワーク移載処理によれば、バルク体4のセパレートシート2を手動等によって除去することなく、適切な位置から若干ずれているワークWであっても把持板47と吸引ユニット44とにより、その間に狭持することができるので、確実に下流ラインに移載することが可能となる。
【0103】
<本実施形態による効果>
次に、本実施形態による効果を説明する。
【0104】
図21は、ワークWを列単位で吸引するときの本実施形態と従来技術との違いを示す3面図であり、同図(A)は本実施形態の吸引ユニット44によるワークWの列単位の吸引の様子を示し、同図(B)は従来技術として真空パッド110によるワークWの吸引の様子を示している。なお、各真空パッド110は、適切な位置に規正されているワークWを吸引できるように配置されているものとする。
【0105】
同図(a)に示すように、規正後のワークWの列がずれなく整列している場合、本実施形態、従来技術ともにワークWを列単位で吸引することができる。
【0106】
しかしながら、同図(b)に示すように、規正後のワークWの列がy軸方向やz軸方向にずれている場合、本実施形態ではワークWを列単位で吸引することができるが、従来技術では吸引できないワークWが生じる。
【0107】
さらに、同図(c)に示すように、規正後のワークWの列がx軸方向にずれている場合、本実施形態、従来技術ともに吸引できないワークWが生じる。
【0108】
ただし、吸引できなかったワークWについて、本実施形態では、把持板47が吸引ユニット44側に移動してこれらのワークWを吸引ユニット44に押し付けるので、最終的には、全てのワークWを吸引して移載することができる。一方、従来技術では、x軸方向にずれているワークWを真空パッド110側に押し付ける術が無いので、改めて規正を行う必要がある。
【0109】
次に、
図22は、ワークWを吸引するときの本実施形態と従来技術との違いを示しており、同図(A)は本実施形態の吸引ユニット44によるワークWの吸引の様子を示し、同図(B)は従来技術として真空パッド110によるワークWの吸引の様子を示している。なお、同図(B)の場合、各真空パッド110は、ワークWの重心よりも若干高い位置を吸引するように配置されているものとする。
【0110】
同図(B)に示される従来技術の場合、真空パッド110がワークWの重心よりも若干高い位置をx軸−方向に吸引すると、ワークWが転倒してしまう可能性がある。一方、本実施形態は、吸引ユニット44の正面に吸引孔442の列をz軸方向に複数設けているので、同図(A)に示されるように、吸引ユニット44によってワークWをx軸−方向に吸引しても、ワークWの重心の高さに拘わらず、ワークWの転倒を防ぐことができる。
【0111】
以上説明したように、本実施形態の移載装置30によれば、規正が不十分なワークWであっても転倒させたりすることなく、確実に列単位で下流ラインに移載することができる。さらに、その変形例である移載装置50によれば、人力によってバルク体4のセパレートシート2を除去することなく、バルク体4をなすワークWを列単位で下流ラインに移載できる。これにより、下流ラインにて行われる工程(例えば、ワークWとしてのPETボトルに対する液体の充填工程等)に対して滞りなくワークWを供給することが可能となる。
【0112】
なお、上記した実施形態では本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【解決手段】 移載装置は、ロボットハンドを備え、バルク体を形成しているワークを移載する移載装置であって、前記ロボットハンドは、前記ワークを列単位で吸引する吸引ユニットと、前記吸引ユニットによって吸引されている列単位の前記ワークを前記吸引ユニットとの間に狭持する把持板と、を有することを特徴とする。前記吸引ユニットの正面には、負圧によって前記ワークを吸引する吸引孔の列を形成することができる。