特許第6682690号(P6682690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682690情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6682690
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20200406BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-178194(P2019-178194)
(22)【出願日】2019年9月30日
【審査請求日】2019年10月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506143492
【氏名又は名称】クックパッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原島 純
(72)【発明者】
【氏名】津田 理恵
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−155767(JP,A)
【文献】 米国特許第09489377(US,B1)
【文献】 特開2017−204194(JP,A)
【文献】 特開2018−194897(JP,A)
【文献】 特開2009−169605(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196197(WO,A1)
【文献】 特開2019−133624(JP,A)
【文献】 特開2018−112905(JP,A)
【文献】 特開2017−215687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、レシピ情報の使用者であるユーザの属性情報を格納したユーザ情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部と、
前記レシピ情報から所定のユーザが指定するものを特定し、前記特定したレシピ情報での調理対象たる料理の情報と、前記ユーザ情報から前記ユーザに関する属性を抽出して得た当該ユーザの属性とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する推定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記情報保持部は、前記対応情報として、前記人の属性の1つである国籍ないし出身地と、前記各料理のジャンルの難易度との関係を規定する情報を保持し、
前記推定部は、前記ユーザ情報から前記ユーザに関して抽出した前記ユーザの国籍ないし出身地と、当該レシピ情報での調理対象たる料理のジャンルを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記推定部は、料理ジャンルごとに、前記各料理のレシピ情報が含む各調理手順の出現頻度を分析して、各ジャンルと調理手順との親和性を推定し、当該推定の結果を保持し、
前記ユーザが使用する前記レシピ情報から調理手順の情報を抽出して、当該調理手順と所定の親和性を有するジャンルを前記推定の結果に基づき特定し、当該ジャンルと、前記ユーザの国籍ないし出身地を、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報保持部は、各レシピ情報の使用者である各ユーザによる当該レシピ情報に関するコメントと、前記対応情報の1つである、文字列と各料理の難易度との関係をさらに規定した情報と、をさらに保持し、
前記推定部は、前記レシピ情報の使用者である前記ユーザと属性が一致または類似する他ユーザによる前記コメントを抽出し、当該コメントが含む文字列と前記対応情報とに基づいて、前記属性を有するユーザ群にとって共通の難易度として、コメント対象のレシピ情報に関する難易度を推定する処理と、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度として、当該ユーザの所属ユーザ群に関して推定した当該レシピ情報の難易度を適用する処理をさらに行う、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記推定部は、前記レシピ情報における、調理時間、調理の技術、調理の工程、調理の工程数、調理器具、又は、調理器具の数を、前記料理の情報として抽出し、当該情報と前記ユーザの属性を前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記推定部は、前記レシピ情報における、材料、材料費、材料の旬の季節、又は、流通量を、前記料理の情報として抽出し、当該情報と前記ユーザの属性とを前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、レシピ情報の使用者であるユーザの属性情報を格納したユーザ情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部と、
前記レシピ情報から所定のユーザが指定するものを特定し、前記特定したレシピ情報での調理対象たる料理の情報と、前記ユーザ情報から前記ユーザに関する属性を抽出して得た当該ユーザの属性とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、レシピ情報の使用者であるユーザの属性情報を格納したユーザ情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部を備えて、
前記レシピ情報から所定のユーザが指定するものを特定し、前記特定したレシピ情報での調理対象たる料理の情報と、前記ユーザ情報から前記ユーザに関する属性を抽出して得た当該ユーザの属性とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する、
情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置において、
人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、レシピ情報の使用者であるユーザの属性情報を格納したユーザ情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部を備えて、
前記レシピ情報から所定のユーザが指定するものを特定し、前記特定したレシピ情報での調理対象たる料理の情報と、前記ユーザ情報から前記ユーザに関する属性を抽出して得た当該ユーザの属性とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、調理のレシピ情報をインターネット等のネットワークを介してユーザに提供するサービスが増えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、検索条件を指定すると、その条件に合致する料理名を料理候補として抽出する電子献立作成装置について記載されている。この電子献立作成装置は、配列条件に材料費が指定されると、料理候補を材料費のランクに基づき配列表示し、配列条件に難易度が指定されると、料理候補を難易度のランクに基づき配列表示し、配列条件に調理時間が指定されると、調理時間に基づき配列表示し、配列条件に使用材料の分量が指定されると、使用材料の分量に基づき配列表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−034871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、調理名毎に、調理作業の難易度
(以下、「調理難易度」とも称する)を予め格納しなければならない、という問題があっ
た。また、レシピ作成者が、そうして当該調理作業の難易度を設定・登録したとしても、レシピ作成者の主観に基づくもので、妥当な設定精度が担保されるかは不明である。
【0006】
他方、そうしたレシピの使用者の視点に立てば、レシピ作成者が考える難易度と、当該使用者にとっての難易度との間に小さくない乖離が生じるケースもある。つまり、調理経験豊富なレシピ作成者にとって、或る料理は非常に簡単で難易度は低いと考えたとしても、調理初心者の目には高難度の料理と映る可能性は高い。
【0007】
しかも、レシピ使用者個々にとって難易度は、その調理経験に由来するもののみならず、その他の種々の属性によっても変化しうる。つまり、各レシピ使用者の立場を踏まえて、各レシピの調理難易度を使用者別に推定しなければ、結局のところ、上述した難易度の乖離を回避し難い状況が生まれる。
【0008】
そこで、本開示は、上述した事情に鑑みてなされたもので、レシピの調理難易度を、ユーザごとに精度良く推定可能とする情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の情報処理システムは、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部と、前記レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する推定部と、を備える。
【0010】
また、本開示の情報処理装置は、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、各料理のレシピ情報とを保持する情報保持部と、前記レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する推定部と、を備える。
【0011】
また、本開示の情報処理方法は、情報処理装置が、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、各料理のレシピ情報とを保持し、前記レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定するものである。
【0012】
また、本開示のプログラムは、情報処理装置において、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、各料理のレシピ情報とを保持し、前記レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する処理を実行させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本開示の情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムによれば、レシピの調理難易度を、ユーザごとに精度良く推定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概要を示す構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るユーザ情報の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るレシピ情報の構成例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るコメント情報の構成例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る対応情報の構成例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る対応情報の構成例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る親和性情報の構成例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る出力例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る出力例を示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る出力例を示す図である。
図13】本発明の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図14】本発明の実施形態に係る出力例を示す図である。
図15】本発明の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図16】本発明の実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
<構成>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム10の概要を示す構成図である。情報処理システム10は、1又は複数の情報処理装置100と、1又は複数の端末装置200と、を含んで構成される。図1に示す例では、情報処理装置100及び端末装置200の数は、N(Nは、1以上の整数)個である。N個の情報処理装置100は、互いに共通の構成を有し、情報処理装置100−1〜100−Nとして個々に区別される。N個の端末装置200は、互いに共通の構成を有し、端末装置200−1〜200−Nとして個々に区別される。
【0017】
情報処理装置100−1〜100−Nと、端末装置200−1〜200−Nは、それぞれ有線又は無線のネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、その一部にインターネット、公衆無線ネットワークなどの広域ネットワークを含んで構成されてもよいし、構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)を含んで構成されてもよい。
【0018】
なお、本明細書では、情報処理装置100−1〜100−Nと端末装置200−1〜200−Nにおいて、共通の事項を説明する場合など、個々の情報処理装置100−1〜情報処理装置100−N、個々の端末装置200−1〜200−Nを区別しない場合には、単に情報処理装置100、端末装置200と呼ぶ。
【0019】
情報処理装置100は、例えば、レシピサイトのサーバである。一方、端末装置200は、携帯機器やPC(パーソナルコンピューター)等であり、例えば、レシピサイトを表示閲覧する。
【0020】
情報処理装置100は、各端末装置200から投稿されたレシピ情報を記憶する。ここで、レシピ情報は、調理方法を表し、例えば、ユーザID(レシピを作成(投稿)した人又はレシピで料理を作った人を表す)、レシピ名(料理名)、調理工程、材料、調理器具等の各種情報が含まれている。
【0021】
情報処理装置100は、各端末装置200からの要求に基づいて、レシピ情報(レシピ情報の一覧を含む。以下、同じ)の一部又は全部を、各端末装置200へ配信し表示させる。各端末装置200は、情報処理装置100から配信されたレシピ情報を、ディスプレイ等で表示する。
【0022】
上述の情報処理装置100は、各レシピ情報ないし当該レシピ情報が示す料理(やジャンル)について、そのユーザ個々に関して調理難易度を推定し、適宜に利用可能である。情報処理装置100は、各端末装置200等から入力された当該ユーザの属性や調理履歴、使用レシピへのコメントなどを取得し、これらとレシピ情報及び後述する対応情報とに基づいて、調理難易度を推定し、これに応じたレシピ情報を当該ユーザの端末装置200に出力する。
【0023】
こうした情報処理装置100は、例えば、コンピュータやメインフレーム等の情報処理装置で構成される。また、情報処理装置100は、図2で例示するように、情報保持部110、推定部120、及び通信部130から構成される。
【0024】
このうち情報保持部110は、ユーザ情報111、レシピ情報112、コメント情報113、対応情報114、及び親和性情報115を記憶する。
【0025】
ユーザ情報111は、図3で例示するように、レシピ情報の投稿や使用を行う者のID、すなわちユーザIDをキーに、その属性情報を格納したテーブルとなっている。ここで保持する属性情報としては、例えば、国籍ないし出身地、料理経験年数、使用レシピ履歴、所有機材、といったものを想定できる。
【0026】
上述の所有機材の情報としては、ユーザが保有する調理器具や調理道具と、その仕様情報を含むものとしてよい。この仕様情報は、例えばガスコンロの熱量や、電子レンジのワット数、お鍋の容積や、熱容量等の情報である。なお、こうした仕様情報は、端末装置200を介してユーザから入力を受け付けて取得してもよいし、調理機材のメーカーがウェブサイトで公開中の製品カタログ情報等から取得してもよい。或いは、当該ユーザが使用したレシピ情報に記述されている調理器具や調理道具のキーワードから該当情報を抽出し取得するとしてもよい。
【0027】
また、レシピ情報は、図4で例示するように、料理を作るための情報であって、レシピを一意に識別するレシピIDをキーに、そのジャンル、タイトル、及び料理内容の各情報が紐付けて格納されたテーブルである。このうち料理内容としては、材料と使用機材、調理動作といった各種情報を調理工程ごとに記述した情報となっている。なお、このレシピ情報は、画像とテキストから構成されるコンテンツであってもよいし、動画であってもよい。情報処理装置100が配信するレシピ情報は、ユーザ(投稿者又は閲覧者)によって投稿されてもよいし、サービス提供事業者によって投稿されてもよい。
【0028】
また、コメント情報113は、レシピサイトで公開しているレシピ情報に関して、それを実際に参照して調理を行ったユーザが寄せた(投稿した)コメント、を格納したテーブルである。その具体例としては、図5に示すとおり、投稿したユーザを一意に識別するユーザIDおよび投稿対象のレシピ情報のレシピIDをキーに、コメント、使用レポート、といった情報を対応付けたレコードとなっている。
【0029】
また、対応情報114は、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する情報である。図6にその具体例を示すように、人の属性である、国籍ないし出身地と、料理経験年数とのパターンごとに、料理ジャンルごとの難易度を規定したレコードの集合体となっている。図6で示す例では、国籍ないし出身地別に、料理経験年数の多少で、和食や中華といった各料理ジャンルの難易度を規定している。
【0030】
また、情報保持部110は、さらなる対応情報114として、図7で例示するように、文字列と各料理ジャンルの難易度との関係を規定した情報をさらに保持している。この場合の対応情報114は、料理ジャンルごとに、技術、食材、所有機材、及びコメント、といった項目に関して、文字列と、その場合の難易度を対応付けて規定したものとなっている。これらの文字列は、レシピ情報の記述に含まれているケースと、ユーザがレシピサイトに投稿したコメント等に含まれているケースの両方を想定できる。
【0031】
また、親和性情報115は、図8で例示するように、料理ジャンルごとに、当該料理ジャンルと親和性が高いと推定された各調理手順を規定したテーブルである。この親和性情報115は、情報処理装置100の推定部120が、料理ジャンルごとに、各料理のレシピ情報が含む各調理手順(のキーワードや文節)の出現頻度を分析し、その出現頻度が所定の基準以上となった調理手順を抽出して、各ジャンルと当該調理手順との親和性を規定し生成したものとなる。
【0032】
また、情報処理装置100における推定部120は、情報保持部110で保持するレシピ情報112(のうちいずれか)を使用するユーザの国籍ないし出身地と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報すなわちジャンルとを、対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定するものとなる。
【0033】
なお、推定部120は、上述の料理の情報として、レシピ情報112における、調理時間、調理の技術、調理の工程、調理の工程数、調理器具、又は、調理器具の数を抽出し、当該情報と当該ユーザの属性とを対応情報114に適用することで、当該ユーザにとってのレシピ情報の難易度を推定するとしてもよい。
【0034】
また、推定部120は、レシピ情報112における、材料、材料費、材料の旬の季節、又は、流通量を、上述の料理の情報として抽出し、当該情報と当該ユーザの属性とを対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定するとしてもよい。
【0035】
また、こうした推定部120は、既に述べたように、料理ジャンルごとに、各料理のレシピ情報112が含む各調理手順の出現頻度を分析して、各ジャンルと調理手順との親和性を推定し、当該推定の結果を親和性情報115として情報保持部110に格納する。
【0036】
この場合、推定部120は、或るユーザが使用するレシピ情報から調理手順の情報を抽出して、当該調理手順と所定の親和性を有するジャンルを、上述の推定の結果すなわち親和性情報115に基づき特定し、当該ジャンルと、当該ユーザの国籍ないし出身地とを、対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定することが可能である。
【0037】
また、推定部120は、処理対象となるユーザと属性(例:国籍ないし出身地、料理経験年数など)が一致または類似する他ユーザによるコメントをコメント情報113から抽出し、当該コメントが含む文字列と対応情報114(図7で例示したもの)とに基づいて、当該属性を有するユーザ群にとって共通の難易度として、コメント対象のレシピ情報に関する難易度を推定する。この場合、推定部120は、上述の処理対象となるユーザにとっての、今回使用するレシピ情報の難易度として、当該ユーザの所属ユーザ群(属性が一致または類似するユーザの群れ)に関して推定した当該レシピ情報の難易度を適用する。
【0038】
なお、推定部120は、ユーザの属性と行動履歴の少なくとも一方を表すユーザ情報111に基づき、当該ユーザの技術力を推定し、この技術力と既に推定した難易度の各情報に基づき、当該ユーザの端末装置200にレシピ情報を配信するとしてもよい。
【0039】
また、情報処理装置100における通信部130は、ネットワークNWを介して端末装置200と通信を行う通信インタフェースである。通信部130は、端末装置200から送信される当該ユーザの属性や調理履歴、コメント等の情報や、レシピ選択情報を受信する。また、通信部130は、端末装置200に対し、レシピ情報や調理難易度の情報を送信する。
【0040】
一方、端末装置200は、情報処理装置100から送信される情報を表示する。また、端末装置200は、情報処理装置100へ情報を送信することができる。
【0041】
端末装置200は、スマートフォン、携帯電話、PHS、コンピュータ、PDA、腕時計、スマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、画像生成装置等の情報処理装置であり、インターネット(WAN)、LANなどのネットワークNWを介して情報処理装置100に接続可能な装置である。なお、端末装置200と情報処理装置100間の接続は、有線でもよいし無線でもよい。
【0042】
また、端末装置200は、インストールされた専用のアプリケーションソフトウェアによって情報処理装置100にアクセスしてもよい。また、情報処理装置100や、別途サーバ(不図示)が提供する動作環境(API(アプリケーションプログラミングインタフェース)、プラットフォーム等)を利用して情報処理装置100にアクセスしてもよい。
【0043】
<処理の流れ>
次に、本開示の実施形態に係る情報処理システム10の動作について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。図9のフローチャートは、主として情報処理装置100における動作を示している。
【0044】
ステップS101において、情報処理装置100は、例えば、ユーザの操作する端末装置200から、所望のレシピに関する条件入力を受け付けて、当該条件に合致するレシピ情報をレシピ情報112から特定する。この場合、上述のユーザが指定する条件としては、料理ジャンルや料理名といったものを想定する。
【0045】
また、ステップS102において、情報処理装置100は、上述のユーザの属性情報を、ユーザ情報111から抽出する。この場合のユーザが、レシピサイトの登録ユーザであれば、ログイン済みの当該ユーザのユーザIDをキーに、ユーザ情報111にて国籍ないし出身地、料理経験年数、使用レシピ履歴、所有機材といった各種の属性情報を抽出すればよい。
【0046】
一方、このユーザが登録ユーザではない場合、情報処理装置100は、例えば、図10で示すような、属性要求画面G10を端末装置200に配信し、この画面を介して同様の属性情報を取得するとしてもよい。
【0047】
また、ステップS103において、情報処理装置100は、上述のユーザの属性(例:国籍ないし出身地)と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報すなわちジャンルとを、対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定する。
【0048】
例えば、上述のユーザの国籍ないし出身地が「米国」(US)で料理経験年数が「2年未満」であったとする。また、このユーザが所望するレシピ情報の料理ジャンルが「中華」であったとする。その場合、図6で例示する対応情報114において、該当属性のユーザでは料理経験年数「5年未満」のカテゴリに属し、難易度「高」と推定される。
【0049】
なお、情報処理装置100は、上述の料理の情報として、ジャンル以外にも、レシピ情報112における、調理時間、調理の技術、調理の工程、調理の工程数、調理器具、又は、調理器具の数を抽出し、当該情報と当該ユーザの属性とを対応情報114に適用することで、当該ユーザにとってのレシピ情報の難易度を推定するとしてもよい。
【0050】
この場合、当然ながら対応情報114として、料理ジャンルごとに、上述の調理時間、調理の技術、調理の工程、調理の工程数、調理器具、又は、調理器具の数、の各組み合わせにおける難易度が規定されているものとする。
【0051】
また、情報処理装置100は、レシピ情報112における、材料、材料費、材料の旬の季節、又は、流通量を、上述の料理の情報として抽出し、当該情報と当該ユーザの属性とを対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定するとしてもよい。
【0052】
この場合にも、当然ながら対応情報114として、料理ジャンルごとに、上述の材料、材料費、材料の旬の季節、又は、流通量の各組み合わせにおける難易度が規定されているものとする。
【0053】
また、ステップS104において、情報処理装置100は、上述のS103で推定した難易度の情報を、図11で例示する画面G20のように、当該レシピ情報のユーザの端末装置200に配信する。
【0054】
また、ステップS105において、情報処理装置100は、上述のようなユーザの属性情報と行動履歴(レシピの使用履歴)の少なくとも一方を表すユーザ情報111に基づき、当該ユーザの技術力を推定し、この技術力と既に推定した難易度の各情報に基づき、当該ユーザの端末装置200にレシピ情報を配信(図12の画面G30参照)するとしてもよい。
【0055】
例えば、国籍ないし出身地が「米国」(US)で料理経験年数が「2年未満」の属性で、行動履歴として「中華」ジャンルの「10個以上」の使用レシピ履歴を備えるユーザである場合、属性のみであれば所望のレシピの難易度「高」だが、中華のレシピ情報に相応の馴染みがあることを踏まえて、当該レシピの難易度を「中」と判定し、このユーザ(ないしその属性が一致または類似する他ユーザら)にとって難易度「中」の他レシピ(当初所望の条件ではヒットしない異なるもの)を、当該ユーザの端末装置200に配信する。
【0056】
また、こうした情報処理装置100は、図13のフローチャートにて例示するように、上述の図9のフローチャートとは別に、親和性情報115の生成を行っておくものとする。この場合、情報処理装置100は、ステップS201において、情報保持部110のレシピ情報112を参照し、その料理ジャンルごとに、各料理のレシピ情報が含む各調理手順の出現頻度を分析する。
【0057】
この分析では、まず、レシピ情報の内容のテキストデータに関して形態素解析を行い、文節を抽出する。また、この文節のうち、調理手順辞書(調理手順を表現した文の辞書で予め用意し保持しているもの)にヒットするものを調理手順の記載として特定する。そして、特定した各調理手順の記載が、各料理ジャンルのレシピ情報でどれくらい出現するか、その頻度確率を算定するのである。
【0058】
ステップS202において、情報処理装置100は、各料理ジャンルにおいて、例えば、調理手順間での出現頻度平均より高い出現頻度を有する調理手順の記載を特定し、この調理手順が、当該料理ジャンルと親和性が高いと推定する。
【0059】
ステップS203において、情報処理装置100は、親和性が高いと推定した調理手順の記載を、対応する料理ジャンルに紐付けて、親和性情報115として格納する。こうして親和性情報115が生成されることとなる。
【0060】
この場合、情報処理装置100は、ステップS204において、或るユーザが使用するレシピ情報から調理手順の情報を上述同様に抽出して、当該調理手順と所定の親和性を有する料理ジャンルを親和性情報115に基づき特定する。
【0061】
続いて、ステップS205において、情報処理装置100は、特定した料理ジャンルと、当該ユーザの国籍ないし出身地といった属性情報を、対応情報114に適用することで、当該ユーザにとっての当該レシピ情報の難易度を推定し、これを端末装置200に配信する(図14の画面G40)。
【0062】
なお、情報処理装置100は、図15のフローチャートで示すように、処理対象となるユーザと属性(例:国籍ないし出身地、料理経験年数など)が一致または類似する他ユーザ群にとって共通の難易度を、当該ユーザにとっての難易度として適用するとしてもよい。
【0063】
この場合、情報処理装置100は、ステップS301において、処理対象となるユーザと属性(例:国籍ないし出身地、料理経験年数など)が一致または類似する他ユーザを、ユーザ情報111で特定する。
【0064】
続いて、ステップS302において、情報処理装置100は、S301で特定した他ユーザによる、各料理ジャンルのレシピ情報に対するコメントを、コメント情報113から検索する。
【0065】
また、ステップS303において、情報処理装置100は、各料理ジャンルのレシピ情報に関して検索した、他ユーザによるコメントから、文字列を抽出し、これを対応情報114(図7で例示したもの)に照合することで、当該属性を有するユーザ群にとって、当該料理ジャンルないし当該レシピ情報に関して共通の難易度を推定する。
【0066】
例えば、料理ジャンル「和食」の所定のレシピ情報に関して、他ユーザによるコメントから得た文字列(例:桂剥き、あん肝、圧力鍋、やや手間)を、図7の対応情報114に照合することで、各文字列に関して難易度の値を得る。こうして得た難易度の値のうち、最多のものを、当該料理ジャンルの該当レシピ情報における上述のユーザ群にとっての難易度とする。
【0067】
また、ステップS304における、情報処理装置100は、上述の処理対象となるユーザが所望のレシピ情報(今回使用するレシピ情報)の難易度として、当該ユーザの所属ユーザ群(属性が一致または類似するユーザの群れ)に関してS303で推定した当該レシピ情報の難易度を適用する。勿論、情報処理装置100は、こうして得た難易度に適合するレシピ情報を、情報保持部110のレシピ情報112から検索し、その情報を当該ユーザの端末装置200に配信するとしてもよい。
【0068】
以上のように、本開示の実施形態に係る情報処理装置100は、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報114と、各料理のレシピ情報112とを情報保持部110にて保持し、レシピ情報112のユーザの属性と、当該レシピ情報112での調理対象たる料理の情報とを、対応情報114に適用することで、当該ユーザにとってのレシピ情報112の難易度を推定することができる。このことは、ユーザ視点に立てば、レシピ作成者が考える難易度と、当該ユーザにとっての難易度との間に乖離があることを懸念することなく、ユーザ個別の事情に合致した難易度を知りうることにつながる。したがって、レシピの調理難易度を、ユーザごとに精度良く推定可能となる。
【0069】
(プログラム)
図16は、コンピュータ801の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ801は、CPU802、主記憶装置803、補助記憶装置804、インタフェース805を備える。
【0070】
ここで、実施形態に係る情報処理装置100を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0071】
情報処理装置100は、コンピュータ801に実装される。そして、情報処理装置100の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶されている。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読み出して主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0072】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報と、各料理のレシピ情報とを保持し、前記レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での調理対象たる料理の情報とを、前記対応情報に適用することで、前記ユーザにとっての前記レシピ情報の難易度を推定する処理を実行させる、プログラムである。
【0073】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークNWを介してコンピュータ801に配信される場合、配信を受けたコンピュータ801が当該プログラムを主記憶装置803に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0074】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)
であってもよい。
【0075】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0076】
10 情報処理システム
100 情報処理装置
110 情報保持部
111 ユーザ情報
112 レシピ情報
113 コメント情報
114 対応情報
115 親和性情報
120 推定部
130 通信部
200 端末装置
801 コンピュータ
802 CPU
803 主記憶装置
804 補助記憶装置
805 インタフェース
【要約】      (修正有)
【課題】レシピの調理難易度を、ユーザごとに精度良く推定可能とする情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置100は、人の属性と各料理の難易度との関係を規定する対応情報114と、各料理のレシピ情報112とを保持する情報保持部110と、レシピ情報のユーザの属性と、当該レシピ情報での対象たる料理の情報とを、対応情報114に適用することで、ユーザにとってのレシピ情報の難易度を推定する推定部120とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16