特許第6682710号(P6682710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682710評価情報生成システム、評価情報生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682710
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】評価情報生成システム、評価情報生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20200406BHJP
【FI】
   G06Q40/02 300
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-562694(P2019-562694)
(86)(22)【出願日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】JP2017047326
(87)【国際公開番号】WO2019130568
(87)【国際公開日】20190704
【審査請求日】2019年11月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397060072
【氏名又は名称】スカパーJSAT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 大輔
【審査官】 山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−117327(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/217169(WO,A1)
【文献】 特開2013−089021(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/137697(WO,A1)
【文献】 特開2017−169511(JP,A)
【文献】 特開2014−026507(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/164009(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0292626(US,A1)
【文献】 奥野 祐介,GISと地理空間情報,古今書院,2016年 3月27日,第4版,p.106-135,155-158
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成システムであって、
前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得手段と、
前記衛星データを取得する衛星データ取得手段と、
前記衛星データのうち人工衛星のセンサによって感知される電磁波の波長帯が異なる複数のバンドに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出手段と、
前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成手段と、
を有し、
前記地上エリアの状況は、水、土および植生を含む複数の地上情報であって、
前記状況検出手段は、異なる組合せの前記バンドを用いて前記水、土および植生の状況を検出し、
前記評価データ生成手段は、前記地上エリアの状況の時間変化に基づいて、前記地上エリアにおける二期作の有無を判断する、
ことを特徴とする評価情報生成システム。
【請求項2】
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成システムであって、
前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得手段および衛星測位システムを有する端末と、
前記衛星データを取得する衛星データ取得手段と、
前記衛星データに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出手段と、
前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成手段と、
を有し、
前記地上エリア情報取得手段は、前記地上エリアの外周を移動する前記端末の前記衛星測位システムから所定の時間間隔で複数の位置情報を取り込むことにより前記地上エリア情報を生成し、
前記評価データ生成手段は、前記地上エリアの状況の時間変化に基づいて、前記地上エリアにおける二期作の有無を判断する、
ことを特徴とする評価情報生成システム。
【請求項3】
前記評価データ生成手段は、前記地上エリアと前記地上エリアの周辺における水源との距離に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の評価情報生成システム。
【請求項4】
前記状況検出手段は、前記衛星データに基づいて生成される画像データに基づいて前記地上エリアの状況を検出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の評価情報生成システム。
【請求項5】
前記地上エリアは、圃場であって、
前記状況検出手段は、前記画像データに基づいて、水、土または植生のうち少なくともいずれか1つを前記状況として検出し、前記状況ごとの分布を示すマップを生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の評価情報生成システム。
【請求項6】
前記評価情報生成システムは、気象データを取得する気象データ取得手段をさらに有し、
前記評価データ生成手段は、前記気象データ、前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の評価情報生成システム。
【請求項7】
前記評価データ生成手段は、人工知能アルゴリズムを用いて前記評価データを生成する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の評価情報生成システム。
【請求項8】
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成方法であって、
コンピュータが前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
コンピュータが前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得ステップと、
コンピュータが前記衛星データを取得する衛星データ取得ステップと、
コンピュータが前記衛星データのうち人工衛星のセンサによって感知される電磁波の波長帯が異なる複数のバンドに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出ステップと、
コンピュータが前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成ステップと、
を有し、
前記地上エリアの状況は、水、土および植生を含む複数の地上情報であって、
前記状況検出ステップでは、コンピュータが異なる組合せの前記バンドを用いて前記水、土および植生の状況を検出し、
前記評価データ生成ステップでは、コンピュータが前記地上エリアの状況の時間変化に基づいて、前記地上エリアにおける二期作の有無を判断する、
ことを特徴とする評価情報生成方法。
【請求項9】
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成方法であって、
コンピュータが前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得ステ
ップと、
コンピュータが前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得ステップと、
コンピュータが前記衛星データを取得する衛星データ取得ステップと、
コンピュータが前記衛星データに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出ステップと、
コンピュータが前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成ステップと、
を有し、
前記地上エリア情報取得ステップでは、コンピュータが前記地上エリアの外周を移動する端末の衛星測位システムから所定の時間間隔で複数の位置情報を取り込むことにより前記地上エリア情報を生成し、
前記評価データ生成ステップでは、コンピュータが前記地上エリアの状況の時間変化に基づいて、前記地上エリアにおける二期作の有無を判断する、
ことを特徴とする評価情報生成方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の評価情報生成方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価情報生成システム、評価情報生成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
東南アジアなどの途上国では、金融機関の与信判断に必要な給与明細などの客観的な評価データがないため金融アクセスが制限されている。金融機関による貸付を受けることができない農家は、農業投資を行いたくてもあきらめざるを得ず、その結果収穫量を増やすことができないという貧困の連鎖が続いている。
【0003】
近年、貸付先の資産評価を把握するための技術が提案されている。特許文献1では、顧客の属性情報、審査情報または取引情報に基づいて、人工知能により顧客のニーズ情報またはリスク情報を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−049673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金融機関において熟練者が判断する作業を人工知能に代替するものであるため、評価データを持たない農家を対象としたものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザの保有する地上エリアの客観的な評価データを生成することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成システムであって、
前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得手段と、
前記衛星データを取得する衛星データ取得手段と、
前記衛星データに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出手段と、
前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成手段と、
を有することを特徴とする評価情報生成システムである。
【0008】
このような構成によれば、評価データ生成手段は、ユーザの保有する地上エリアの客観的な評価データ(客観データ)を生成することができる。ここで、ユーザの保有する地上エリアとは、例えば、圃場や養殖場などのエリアを示す。また、保有するとは、実際にユーザ自身が土地を保有していなくてもよく、例えば、親族が保有する場合や、ユーザが圃場等のエリアの監督者である場合等も含む。
【0009】
本発明において、前記地上エリア情報は、衛星測位システムを備える端末を用いて前記地上エリアの外周を移動することにより取得されることが好ましい。例えば、地上エリア情報取得手段は、GPSまたはGNSS等の衛星測位システムを用いて地上エリア情報を取得することで、地上エリアの位置を容易に取得することができる。
【0010】
本発明において、前記状況検出手段は、前記衛星データに基づいて生成される画像データに基づいて前記地上エリアの状況を検出することができる。ここで、地上エリアの状況とは、例えば、水源、土壌および植生等の地上情報、地表の温度、海面の温度、地表の高さ、雲の状態等、ならびにこれらの時系列情報である。
【0011】
本発明において、前記地上エリアは、圃場であって、前記状況検出手段は、前記画像データに基づいて、水、土または植生のうち少なくともいずれか1つを前記状況として検出し、前記状況ごとの分布を示すマップを生成することが好ましい。このようなマップを生成することで、状況検出手段は、例えば、ユーザの保有する圃場から水源までのアクセス(距離)を検出することができる。また、マップを時系列に並べることで、状況検出手段は、1年間の土→植生の移り変わりの回数から二期作の有無等を検出することができる。「水源との距離が近い」場合は、例えば、水が豊富な圃場として高い評価が得られるというメリットがある一方、洪水リスク等の天災が生じるというデメリットもあり、評価データの生成に活用される。
【0012】
本発明において、前記評価情報生成システムは、気象データを取得する気象データ取得手段をさらに有し、前記評価データ生成手段は、前記気象データ、前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成することが好ましい。このようにすることで、ユーザの申告する情報の確度の算出や、地上エリアの客観的な評価をすることができる。例えば、ユーザ情報の確度として、ユーザが二期作を行っていると申告する場合に、衛星データに基づく画像データの時間変化により二期作の有無を判定できるため、申告内容の確度を算出することができる。また、地上エリアの客観的な評価とは、例えば、[圃場面積]×[平均収穫高]×[平均作物価格]×[作付数(二期作有無)]で算出される圃場スコア(評価値)である。
【0013】
本発明において、前記評価データ生成手段は、(機械学習等の)人工知能アルゴリズムを用いて前記評価データを生成することができる。例えば、機械学習アルゴリズムを用いて生成される分類器を用いて衛星データに基づく画像データの時系列データから、植生の状況が通常であるか異常であるかの判断を行い、異常である場合は圃場のリスクとして評価データを作成してもよい。学習アルゴリズムは特に限定されず、任意のアルゴリズムが採用可能である。例えば、ディープラーニング、SVM等のアルゴリズムを採用することができる。
【0014】
本発明の第二の態様は、
人工衛星によって観測される衛星データを用いて、ユーザの保有する地上エリアを評価する評価情報生成方法であって、
前記ユーザの個人情報であるユーザ情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記地上エリアの位置を含む地上エリア情報を取得する地上エリア情報取得ステップと、
前記衛星データを取得する衛星データ取得ステップと、
前記衛星データに基づいて、前記地上エリアの状況を検出する状況検出ステップと、
前記ユーザ情報、前記地上エリア情報および前記地上エリアの状況に基づいて、前記ユーザまたは前記地上エリアの評価データを生成する評価データ生成ステップと、
を有することを特徴とする評価情報生成方法である。
【0015】
本発明の第三の態様は、上記方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0016】
なお、本発明は、上記構成の少なくとも一部を有する評価情報生成システムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む評価情報生成方法や地上マップ生成方法、または、かかる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムやそのプログラムを非一時的に記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体として捉えることもできる。上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザの保有する地上エリアの客観的な評価データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のシステム概要を示す図
図2】実施形態に係る評価情報生成システムの機能ブロック図
図3】実施形態に係る各種データのデータフォーマットの一例を示す図
図4】実施形態に係る衛星データの一例を示すフローチャート
図5】実施形態に係る衛星データの一例を示すフローチャート
図6】実施形態に係る状況検出部の作成するマップの一例を示す図
図7】実施形態に係る圃場情報取得処理の一例を示すフローチャート
図8】実施形態に係る圃場情報取得方法の一例を示す図
図9】実施形態に係る評価情報生成処理の一例を示すフローチャート
図10】実施形態に係る圃場情報と地上エリアの状況との紐付けの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る評価情報生成システムは、ユーザの保有する圃場(地上エリア)に関する地上データと人工衛星によって観測される衛星データとを用いて、ユーザおよび圃場の客観的な評価データを生成する。生成された評価データは、例えば金融機関がユーザに融資を行う際の与信情報として用いられる。本実施形態では、ユーザの端末、ユーザの保有する圃場を監督する情報収集係の端末およびサーバ装置を用いて評価データの生成を行う。以下、本実施形態に係る評価情報生成システムのシステム構成、地上エリア情報取得処理および評価情報生成処理について順に説明する。
【0020】
<システム構成>
図1は、本実施形態のシステム概要を示す図である。本実施形態に係る評価情報生成システムは、ネットワークを介して通信可能なユーザの保有する端末100、情報収集係の保有する端末200およびサーバ装置300等から構成される。
【0021】
図2は、本実施形態に係る評価情報生成システムの各装置における機能ブロック図である。
端末100は、演算装置(プロセッサ)、メモリ、記憶装置、入出力装置等を含む情報処理装置(コンピュータ)である。記憶装置に格納されたプログラムを端末100が実行することで、顧客情報取得部101、第1情報送信部102等の機能が提供される。これらの機能の一部または全部は、ASICやFPGAなどの専用の論理回路により実装されてもよい。本実施形態では、ユーザが保有するスマートフォン等の情報機器を端末100として使用する例について説明する。以下では、端末100をユーザ端末100と称する。
【0022】
端末200は、演算装置(プロセッサ)、メモリ、記憶装置、入出力装置等を含む情報処理装置(コンピュータ)である。記憶装置に格納されたプログラムを端末200が実行することで、地理情報取得部201、第2情報送信部202等の機能が提供される。これらの機能の一部または全部は、ASICやFPGAなどの専用の論理回路により実装されてもよい。本実施形態では、情報収集係が保有するスマートフォン等の情報機器を端末200として使用する。以下では、端末200を情報収集係端末200と称する。
【0023】
サーバ装置300は、演算装置(プロセッサ)、メモリ、記憶装置、入出力装置等を含む情報処理装置(コンピュータ)である。記憶装置に格納されたプログラムをサーバ装置300が実行することで、衛星データ解析部310、地上データ取得部320、客観データ生成部330等の機能が提供される。衛星データ解析部310は、衛星データ取得部311、画像処理部312、状況検出部313等から構成される。また、地上データ取得部320は、気象データ取得部321、顧客データ取得部322、農地データ取得部323等から構成される。さらに、客観データ生成部330は、農地評価部331、農家評価部332、与信情報記憶部333等から構成される。これらの機能の一部または全部は、ASICやFPGAなどの専用の論理回路により実装されてもよい。
【0024】
本実施形態では、サーバ装置300は、クラウドストレージなどの外部記憶装置から各種データを取得する。外部記憶装置には、衛星データ記憶部401、気象データ記憶部402、顧客データ記憶部403、農地データ記憶部404、統計データ記憶部405等の記憶部が設けられている。なお、各記憶部は、複数の外部記憶装置に別々に記録されていてもよい。また、各記憶部は、サーバ装置300内に設けられていてもよい。
【0025】
(ユーザ端末100)
顧客情報取得部101(ユーザ情報取得手段)は、ユーザの氏名、年齢、自家保有有無、家族構成等の個人情報や履歴情報などを取得する機能部である。顧客情報取得部101は、例えば、ユーザ端末100に搭載されるアプリケーションを用いてユーザが入力した情報を取得する。
第1情報送信部102は、ユーザの送信指示に応じて無線通信を介して情報を外部記憶装置へ送信する機能部である。第1情報送信部102が送信する情報には、顧客情報取得部101が取得した顧客情報が含まれる。本実施形態において、第1情報送信部102は、図3(A)に示すフォーマットの顧客情報10の一部を送信する。送信された顧客情報は、顧客データ記憶部403に記録される。ここで、本実施形態では、顧客情報には少なくともユーザの識別情報が含まれる。なお、本実施形態では、第1情報送信部102は、ユーザの送信指示に応じて情報を送信するが、顧客情報の取得に応じて情報を送信してもよい。
【0026】
顧客情報10は、圃場を保有するユーザの情報(ユーザ情報)であって、氏名11、年齢12、自家保有有無13、家族構成14、過去の融資実績15、行動履歴16等を含む。氏名11、年齢12、自家保有有無13および家族構成14は、ユーザを特定するための個人情報である。また、これらの個人情報は、公的機関の保有する情報を照合するためにも用いられる。過去融資の実績15は、ユーザが過去に金融機関から融資を受けたことがある既存顧客か、新規顧客かを特定するための情報である。行動履歴16は、例えば、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いてユーザ端末100等のデバイスから取得される位置情報である。なお、本実施形態では、自家保有有無は、ユーザ自身が保有する家の有無とするが、家を保有する主体はユーザ以外であってもよい。例えば、自家保有有無は、ユーザの家族や親族が保有する家の有無であってもよい。なお、顧客情報10は上述の項目に限定されず任意の情報でもよい。
【0027】
(情報収集係端末200)
地理情報取得部201は、ユーザの保有する圃場の位置や面積等の圃場情報や統計データを取得する機能部である。地理情報取得部201は、例えば、情報収集係端末200に搭載される衛星測位システムを用いて情報収集係が測位した情報や、アプリケーションを用いて情報収集係が入力した情報を取得する。
第2情報送信部202は、情報収集係の送信指示に応じて外部記憶装置へ無線通信を介して情報を送信する機能部である。第2情報送信部202が送信する情報には、地理情報取得部201によって取得される圃場情報が含まれる。本実施形態において、第2情報送信部202は、図3(B)および図3(C)に示すフォーマットの圃場情報20、統計データ30の一部を送信する。送信された圃場情報20、統計データ30は、それぞれ農地データ記憶部404、統計データ記憶部405に記録される。ここで、本実施形態では、圃場情報20には少なくとも圃場の位置情報が含まれる。なお、本実施形態では、第2情報送信部202は、情報収集係の送信指示に応じて情報を送信するが、情報の取得に応じて圃場情報20を送信してもよい。
【0028】
圃場情報20は、ユーザの保有する圃場の情報として、圃場の位置21、圃場面積22、耕作作物23,品種24,水害リスク25,水源アクセス26、二期作有無27,農薬・肥料使用量28,農機具有無29等を含む。
圃場の位置21は、情報収集係によって衛星測位システムを用いて取得される位置情報であって、例えば、圃場の緯度・経度を示す情報である。本実施形態では、位置情報は、情報収集係端末200を用いて圃場の外周(周囲)を情報収集係が移動することにより所定間隔毎に取得される複数の位置を示す情報であるとするが、圃場の一部分の位置を示す情報であってもよい。圃場面積22は、ユーザの保有する圃場の大きさを示す情報である。圃場面積22は、例えば、情報収集係端末200のアプリケーションを介して情報収集係によって入力されてもよく、上述の圃場の位置に基づいて情報収集係端末200によって算出されてもよい。耕作作物23および品種24は,ユーザの保有する圃場で耕作される作物を示す情報である。水害リスク25、水源アクセス26および二期作有無27は、本実施形態では、情報収集係によって入力される圃場情報である。農薬・肥料使用量28は、圃場で使用される農薬または肥料に関する情報であって、情報収集係によって入力される。農機具有無29は、ユーザの保有する農機具の有無を示す情報であって、情報収集係によって入力される情報や、農機具に搭載されるデバイスに基づいて取得される情報である。なお、圃場情報20は上述の項目に限定されず任意の情報でもよい。
【0029】
(統計データ30)
統計データ30は、所定エリアの情報として、平均作物価格31、平均収穫高32等を有する。平均作物価格31および平均収穫高32は、所定エリア毎の統計情報を示す。これらの統計データは、情報収集係によって入力される情報や、公的機関から取得される情報である。なお、統計データ30は上述の項目に限定されず任意の情報でもよい。
【0030】
(サーバ装置300)
≪衛星データ解析部310≫
衛星データ解析部310は、衛星データ取得部311および画像処理部312および状況検出部313等の機能部により、衛星データに基づいて地球表面付近の状態を検出する機能部である。本実施形態では、衛星データ解析部310が解析する対象は、地上における水源、土壌および植生の有無とするが、地表の温度、海面の温度、地表の高さ、雲の状態等でもよい。以下、衛星データ解析部310の各機能部について説明する。
【0031】
衛星データ取得部311は、人工衛星によって観測される衛星データを衛星データ記憶部401から取得する機能部である。本実施形態では、衛星データ取得部311は、外部記憶装置に記録される衛星データのうち光学衛星やSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)衛星によって取得される衛星データを取得する。衛星データには、人間の目に見える可視光以外の波長である紫外光、赤外線およびマイクロ波等も含まれる。
図4は、衛星データ取得部311によって取得される衛星データの一例を示す図である。衛星データ取得部311は、紫外光、可視光および赤外線等の光学衛星によって観測される光と、SAR衛星によって観測されるマイクロ波等を取得する。なお、本実施形態では、光学衛星やSAR衛星によって取得される衛星データに基づいて圃場の状態を検出するが、これら以外の任意のリモートセンシングに基づいて圃場の状態を検出してもよい。
【0032】
図3(D)は、本実施形態に係る衛星データ40を示す。衛星データ40には、宇宙機関によって提供されるオープンデータ(光学)41,オープンデータ(SAR)や、民間会社によって提供される高時空間分解能(オープンデータよりも空間分解能が高いだけでなく、高頻度撮影により時間分解能が高い)データ(光学)43,高時空間分解能データ(SAR)44が含まれる。
【0033】
画像処理部312は、衛星データを画像化して地上画像データを生成する機能部である。本実施形態では、画像処理部312は、光学衛星データのセンサによって感知される電磁波が異なる複数のバンドに基づいて、図4に示す水源61、土壌62および植生63を検出するための画像データを生成する。
【0034】
衛星データに基づいて植生の分布状況を把握することを目的とした代表的な植生指標として、NDVI(正規化植生指標:Normalized Difference Vegetation Index)が知られている。NDVIは、植物による光の反射の特性を考慮して、衛星データを用いて簡易な計算式(以下の式(1))で植生の分布状況を把握することを目的として考案された指標である。
【数1】

ここで、IRは近赤外波長、Rは可視光(橙)を示す。NDVIを用いた画像データでは、植生が強調される一方、画像データに表現可能な色調が限られているため、水源または土壌の識別や、植生→土壌→植生といった稲作プロセスの識別を行うのは困難である。
【0035】
そこで、本実施形態では、画像処理部312は、水源61、土壌62および植生63を強調した画像データを生成する。
図5は、本実施形態の画像処理において用いる衛星データの各バンドの例である。画像処理部312は、各バンドのうちできるだけ解像度(空間分解能)の高い波長の成分を合成して水源61、土壌62および植生63を検出するための画像処理を行う。また、画像処理部312は、水源61、土壌62および植生63について、それぞれ別個に波長成分を合成して画像データを生成する。具体的には、画像処理部312は、図5に示すバンドのうちB3、B4、B5およびB8を用いて、以下の式(2)で示す合成方法により水源61、土壌62および植生63を検出するための画像データを生成する。
【数2】

ここで、α,β,γは各色味を調整するための係数である。なお、本実施形態では、画像処理部312は、上述の検出対象毎に異なるバンドを用いて画像処理を行うが、NDVI、GRVI(Green and Red ratio Vegetation Index)、SAVI(Soil Adjusted Vegetation Index)、EVI(Enhanced Vegetation Index)またはLAI(Leaf Area Index)等の任意の指標を用いて画像処理を行ってもよい。
【0036】
状況検出部313は、上述の画像処理後の画像データを用いて地上の状況を検出する。本実施形態では、画像処理後の画像データから水源61、土壌62および植生63それぞれの分布を示すマップを作成する。
【0037】
図6(A)は、画像処理後の画像データ(水源)である。本実施形態では、状況検出部313は、1つの領域が10m×10mのマップを設け、画像処理後の画像データに基づいてマッピングを行う。図6(D)は、水源61に該当する領域を網掛けで示す図である。本実施形態では、状況検出部313は、水源61がそれぞれの領域のうち50%を占めると判定する場合に、水源61に該当する領域であるとしてマッピングを行うとするが、判定方法は特に限定されない。
同様に、状況検出部313は、図6(B)に示す画像処理後の画像データ(土壌)に基づいてマッピングを行い、図6(E)に示す土壌マップを生成する。また、状況検出部313は、図6(C)に示す画像処理後の画像データ(植生)に基づいてマッピングを行い、図6(F)に示す植生マップを生成する。なお、本実施形態では、状況検出部313は、1つの領域が10m×10mのマップを用いるが、領域のサイズや形状は特に限定されない。例えば、衛星データの分解能に応じて領域のサイズを3m×3mのマップ等に変更してもよい。また、本実施形態では、画像データに水源61、土壌62および植生63のいずれかが存在する例を示したが、上記以外であると認識する領域があってもよい。
【0038】
≪地上データ取得部320≫
気象データ取得部321は、気象データを気象データ記憶部402から取得する機能部である。本実施形態では、気象データ取得部321は、気象データ記憶部402に記録される図3(E)に示す気象データ50を含む気象データを取得する。図3(E)は、本実施形態に係る気象データ50を示す。
気象データ50は、一般的な気象観測システムによって観測される気象データであって、気温推移51、日照時間52、降雨量53、風向54、風速55、風水害履歴56等を含む。なお、気象データ50は上述の項目に限定されず任意の情報でもよい。また、気象データとして、スマートフォンや農機具に搭載されるセンサから取得されたデータを使用してもよい。
【0039】
顧客データ取得部322は、外部装置に記録される顧客情報10を含む顧客データを取得する機能部である。
農地データ取得部323は、外部装置に記録される圃場情報20を含む農地データおよび統計データ30を含む統計データを取得する機能部である。
【0040】
≪客観データ生成部330(評価データ生成手段)≫
農地評価部331は、衛星データおよび地上データに基づいて圃場の評価を行う機能部である。本実施形態では、農地評価部331は、上述の各種情報に基づいて圃場情報の検証および圃場の評価を行う。
【0041】
圃場情報の検証は、例えば、圃場の位置21、圃場面積22、水源アクセス26、二期作有無27等の地上データと衛星データに基づいて取得される画像データとを比較することで、農地評価部331は圃場情報を検証する。例えば、農地評価部331は、衛星データに基づく画像データの時間変化から、二期作を行っているか否かを判断する。例えば、画像データの時間変化に基づいて、圃場における土→植生の変化を1年間に2回以上検出する場合は、二期作が行われていると農地評価部331は判断する。他の例では、農地評価部331は、行動履歴16の位置情報から、ユーザが圃場に訪れる頻度を求めることで、圃場がユーザの保有する土地か否かを判断する。具体的には、ユーザの行動履歴16に基づいて、所定の期間内にユーザが圃場を訪れている場合は、農地評価部331は、圃場の位置が正しいと判断する。
【0042】
また、本実施形態では、以下の式(3)に示す圃場スコアにより、農地評価部331は圃場の評価を行う。
【数3】

ここでa,b,c,dは、それぞれのパラメータの重みを調整するための係数である。また、各情報の重み付けは与信情報を参照する金融機関等に応じて変更することもできる。さらに、上述の式(3)の圃場スコアを補正する項目として気象データや他の情報を用いて圃場スコアを算出してもよい。なお、上述の式(3)に基づく圃場スコアは一例であり、農地評価部331は、任意の情報を組み合わせて評価データを生成してもよい。なお、農地評価部331は、上述の検証の結果と圃場情報とが相違する場合には、別途、信用度スコアを設けて評価データとして出力してもよい。
【0043】
農家評価部332は、衛星データおよび地上データに基づいて農家(ユーザ)の評価を行う機能部である。本実施形態では、農家評価部332は、ユーザによって申告される支出や収入等の顧客情報(地上データ)と上述の圃場スコアに基づいて推定される収入とを比較しての評価を行う。登記簿がない土地では、ユーザの収入や支出は申告内容に依存してしまうが、農家評価部332は申告内容(地上データ)と衛星データに基づくデータとを比較することで客観的な評価データを生成する。例えば、推定される収入は、上述の圃場スコアを過去12か月分求めることで算出される。なお、農家評価部332は、任意の情報を組み合わせて評価データを生成してもよい。
【0044】
与信情報記憶部333は、上述の農地評価部331および農家評価部332により出力される与信情報(客観データまたは評価データ)を記録する機能部である。与信情報記憶部333は、金融機関毎に各種情報に重み付けされて得られたスコアを算出してもよい。なお、与信情報記憶部333は、クラウドストレージ等の外部装置に設けられていてもよい。
【0045】
<地上エリア情報取得処理>
本実施形態に係る地上エリア情報取得処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、情報収集係端末200(例えば、スマートフォン)を用いて圃場の位置等の情報を取得する。情報収集係は、ユーザの保有する圃場で衛星測位システムを用いて圃場の位置を測定する。具体的には、情報収集係が圃場の外周を移動し、その間に情報収集係端末200の衛星測位システムにより所定の時間間隔毎に情報収集係端末200の位置を取得する。そして、情報収集係端末200は、取得された1つ以上の位置情報を圃場情報としてサーバ装置300へ送信する。
【0046】
ステップS101では、地理情報取得部201は、情報収集係の指示に応じて衛星測位システムによる圃場の位置測定を開始する。
ステップS102では、地理情報取得部201は、所定の時間毎に位置情報を取得する。本実施形態では、地理情報取得部201は、情報収集係が圃場の外周を移動する間に情報収集係端末200の衛星測位システムを用いて図8のP〜P12に示す位置情報を取得する。なお、本実施形態では、所定の時間毎に等間隔で位置情報を取得したが、位置情報を取得するタイミングは特に限定されない。また、位置情報の取得数や圃場の形状は特に限定されない。なお、地理情報取得部201は、情報収集係の指示に応じて、その都度、位置情報を取得してもよい。
【0047】
ステップS103では、地理情報取得部201は、情報収集係の取得終了指示の有無を判断する。取得終了指示なしと判断する場合(S103−NO)は、ステップS102の処理を行う。取得終了指示ありと判断する場合(S103−YES)は、ステップS104へ移行する。
【0048】
ステップS104では、地理情報取得部201は、ステップS102で取得した位置情報に基づいて圃場の面積を算出する。本実施形態では、地理情報取得部201は、情報収集係端末200によって取得される位置情報P〜P12を繋いで得られる軌跡で囲まれる領域の面積を算出する。面積の算出方法は特に限定されないが、例えば、位置情報の座標情報P(x,y)を用いて式(4)より面積(S)を求めることができる。
【数4】

ここで、nは位置情報の個数を示す。また、i=nの場合は、n+1=0とする。図8の縦線部は、本実施形態において地理情報取得部201が取得する圃場(面積)を示す。
【0049】
ステップS105では、第2情報送信部202は、取得した圃場情報(位置・面積を含む)をサーバ装置300へ送信する。なお、第2情報送信部202は、位置情報を取得する度に位置情報をサーバ装置300へ送信してもよい。
【0050】
<評価情報生成処理>
本実施形態に係る評価情報生成処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS201では、衛星データ取得部311は、衛星データ40を取得する。そして、気象データ取得部321は、気象データ50を取得する。さらに、顧客データ取得部322は、顧客データ10を取得する。そして、農地データ取得部323は、圃場情報20および統計データ30を取得する。
ステップS202では、画像処理部312は、衛星データに基づいて画像データの生成を行う。具体的には、画像処理部312は、衛星データに含まれるバンドのうち上述の式(2)を用いて、水源、土壌および植生を強調表示する画像データをそれぞれ生成する。
ステップS203では、状況検出部313は、上述の画像処理後の画像データに基づいて、図6(D),図6(E),図6(F)に示す水源61、土壌62および植生63の分布を表すマップを生成する。
ステップS204では、農地評価部331は、上述のマップと圃場情報(位置、面積等)との紐付けを行うことにより、ユーザの圃場(地上エリア)の状況を特定する。本実施形態では、農地評価部331は、図10(A)に示す圃場情報(位置・面積)と、図10(B)に示す地上エリアの状況とを紐づけて図10(C)に示す評価用のマップを生成することで、ユーザの圃場の状況を特定する。これにより、例えば、図10(C)に示す圃場の状況が「土壌」であると農地評価部331は特定することができる。
ステップS205では、農地評価部331は、気象データ、顧客データおよび農地データ等の地上データと上述の評価用のマップとを用いて、圃場の農地評価を行う。例えば、農地評価部331は上述の式(3)に示す圃場スコアを求めることで圃場の評価を行う。また、農家評価部332は、ユーザ(農家)の評価データを生成する。例えば、農家評価部332は、上述の圃場スコアを過去12か月分求めることでユーザの収入を算出する。
【0051】
<本実施形態の有利な効果>
本実施形態に係る評価情報生成システムは、給与明細等のような客観的なデータを有しない途上国の農業生産者に対して、衛星データと地上データとに基づいてユーザまたは圃場の客観データである評価データを生成することができる。また、衛星測位システムを搭載する端末等により圃場の位置を特定しているため、個々のユーザの圃場を正確に特定することができる。
【0052】
[変形例]
上述の実施形態では、評価情報生成システムは、農地評価部331および農家評価部332によって評価データを生成したが、機械学習等の人工知能アルゴリズムを用いて評価データを生成してもよい。例えば、機械学習アルゴリズムを用いて生成される分類器を用いて衛星データに基づく画像データの時系列データから、植生の状況が通常であるか異常であるかを判断し、異常である場合は圃場のリスクとして評価データを作成してもよい。学習アルゴリズムは特に限定されず、任意のアルゴリズムが採用可能である。例えば、ディープラーニング、SVM等のアルゴリズムを採用することができる。
【0053】
上述の実施形態では、金融機関の融資の際に使用する与信情報を評価データとして作成する例について説明したが、評価データは与信情報に限定されない。例えば、評価データは、保険申込または保険請求の際のリスク判断および債券回収の判断等に必要な情報であってもよい。
保険に関する例として、保険申込時に圃場が位置するエリアの水没リスクの判断や、保険請求時の過失有無の証明として各種データを使用することができる。
また、債権回収の判断の例として、債権者が債務者の圃場収穫時期を検出して、債券回収に適した状態か否かを判断することができる。なお、債券回収に適した状態とは資金が十分にある状態を示し、例えば、衛星データに基づいて圃場の植生が土壌に変化したタイミング=収穫時期とすることで資金が十分にある状態を判断することができる。
【0054】
上述の実施形態では、評価データは、衛星データおよび地上データに基づいて生成されたが、上述のデータに加えて情報収集係の端末から直接取得されるアラート情報に基づいて生成されてもよい。この場合、評価情報生成システムは、アラート情報に基づいて信用度スコア(評価データ)を生成することもできる。
【0055】
上述の実施形態では、ユーザおよび情報収集係は別の端末を用いて地上データを送信したが、ユーザまたは情報収集係のいずれか一方が地上データを送信してもよい。また、別の端末を用いて地上データを送信する場合、双方が任意の情報を送信してもよい。さらに、3つ(3人)以上の端末を用いて上述の処理を行ってもよい。
【0056】
上述の例では、地上エリアの位置は、スマートフォンの衛星測位システムを用いて測定されたが、スマートフォン以外の端末(例えば、ウェアラブル端末)や、衛星測位システムを搭載する農耕機、遠隔操作によって飛行(移動)可能なドローン(無人航空機)等の装置を用いて測定されてもよい。また、上記の測定は、人が現地で操作する場合に限らず、自律制御で移動しユーザと対話可能なドローンなどの機械によって実装されてもよい。
【0057】
上述の実施形態では、衛星データ記憶部、気象データ記憶部、顧客データ記憶部、農地データ記憶部および統計データ記憶部は、オンラインストレージ等に設けられているが、各記憶部はサーバ装置内に設けられていてもよい。
【0058】
上述の実施形態では、評価情報生成システムは、衛星測位システムによって測位される値を位置情報として用いているが、衛星測位システムの精度を考慮して位置情報の補正処理を行ってもよい。
【0059】
上述の実施形態では、地上エリア情報は、地上エリアの外周を移動することにより特定されているが、衛星データに基づく画像データを参照して地上エリアを指定することにより特定されてもよい。
【0060】
上述の実施形態では、評価データは地上(圃場)を対象にして生成されているが、海面上のエリア(例えば、養殖場)を対象にして生成されてもよい。
【0061】
上述の実施形態では、評価データはユーザの保有する圃場毎に生成されているが、所定のエリア(地域)毎に生成されてもよい。
【0062】
[その他]
上記の実施形態および変形例の構成は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、適宜組み合わせて利用することができる。また、本発明は、その技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更を加えて実現しても構わない。
【符号の説明】
【0063】
100:端末 200:端末 300:サーバ装置
101:顧客情報取得部 102:第1情報送信部
201:地理情報取得部 202:第2情報送信部
310:衛星データ解析部 320:地上データ取得部 330:客観データ生成部
311:衛星データ取得部 312:画像処理部 313:状況検出部
321:気象データ取得部 322:顧客データ取得部 323:農地データ取得部
331:農地評価部 332:農家評価部 333:与信情報記憶部
410:衛星データ記憶部 402:気象データ記憶部 403:顧客データ記憶部
404:農地データ記憶部 405:統計データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10