(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図10を参照して説明する。
【0008】
スロットマシン1は、遊技機の一例であり、従来のスロットマシンと同様に、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0009】
具体的には、スロットマシン1は、筐体1bと、筐体1bの前面側を覆う前扉1aとから構成されている。
前扉1aは、
図1、
図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この正面には、遊技者に操作される複数の操作手段が設けられている。
【0010】
例えば、操作手段として、機内にメダルを投入するためのメダル投入口2が設けられ、所定数(例えば、3枚)のメダルがメダル投入口2から投入されることで、メダル投入口2と連通するメダルセレクタ2bによってメダルが検出され、ゲーム開始可能な状態となる。
【0011】
また、押下操作可能なベットボタン2a(例えば、マックスベットボタン)が設けられ、操作に応じて内部的に記憶したクレジットメダルからデータ形式のメダルをゲームに投入することもできる。
【0012】
また、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、ゲーム開始可能な状態において遊技者により操作されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転を開始する。
【0013】
また、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により各停止ボタン5が押下操作されることで、回転している各リール41を停止させることができる。
【0014】
前扉1aには、操作手段の他にも様々な装置が設けられ、例えば、停止状態にある各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が視認可能な表示窓6、メダルが払い出されるメダル払出口7bなどが設けられている。
また、前扉1aには、着脱可能な演出装置として、左部に演出ユニット8aを設け、演出ユニット8aの上側に第一電飾ユニット8cを設け、右部に第二電飾ユニット8eを設けている。また、これらのユニット装置とは別に、演出ユニット8aの右側に電飾部8bを設け、電飾部8bの右側に表示器8dを設けている。
また、演出ユニット8aにおける操作手段として演出ボタン100を設けている。
この他、前扉1aには、所定の音声を出力するスピーカ9や、ランプ11(
図3参照)などの演出手段が設けられている。
【0015】
一方、筐体1bは、筐体構造を有し、スロットマシン遊技に必要な様々な機械、装置などが収納されている。
【0016】
例えば、リール41a,41b,41c、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット4が設けられている。
また、メダルの貯留・払い出しを行うメダル払出装置7が設けられ、払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に提供される。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルがメダルセレクタ2bを介してホッパー7aに誘導される。
【0017】
また、筐体1bには、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作手段からの操作信号に基づいて、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することでスロットマシン遊技を実行可能な主制御部10が設けられている(
図3参照)。
主制御部10は、CPUなどを備えるコンピュータとして構成され、例えば、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー3に対する操作を検知すると、各リール41の回転を開始させる。
また、これと同時に、再遊技役、小役、ボーナスなどの当選役を抽選により決定する内部抽選処理を実行し、各リール41の回転中において、各停止ボタン5に対する押下操作を検知すると、抽選結果に対応した図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41の停止制御を行う。
主制御部10は、停止した各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せを判定し、小役に対応する図柄の組合せでの停止を判定したときには、所定数のメダルを払い出すようにメダル払出装置7を制御する。
【0018】
前扉1aには、スロットマシン遊技に同期した演出を実行可能な副制御部20が設けられている。
副制御部20は、本発明の演出制御手段であり、主制御部10と同様にCPUなどを備えるコンピュータとして構成され、主制御部10から送信される制御コマンドに基づいて演出ユニット8a、電飾部8b、第一電飾ユニット8c、表示器8d、第二電飾ユニット8e、スピーカ9、ランプ11などを制御して(
図3参照)、スロットマシン遊技の進行に対応した演出動作を行わせる。例えば、主制御部10からボーナスの当選を示す制御コマンドを受信すると、演出ユニット8aを制御して所定の演出を行わせる。
また、副制御部20は、演出ボタン100からの操作信号に基づいて演出ユニット8aの動作を制御することで様々な制御を行う。
このような構成を有するスロットマシン1は、
図4〜
図7に示す構成の演出ユニット8aを備えることによって特徴的な演出を行う。
【0019】
[演出ユニット]
演出ユニット8aは、本発明の演出装置であり、前方(遊技者側)を臨むように前扉1aの左部に設けられる(
図1,2参照)。
演出ユニット8aは、
図4,5に示すように、カバー部材81と機構部82によって構成される。
カバー部材81は、機構部82の前側を覆う部材(例えば、樹脂部材)であり、所定のデザイン・形状(例えば、建物を模したデザイン等)が施されている。
カバー部材81の上部には、透明な部材(例えば、アクリル板)により形成した窓部81aを設けている。これにより、遊技者は、後述する合わせ鏡部83による演出を、窓部81aを通して見ることができる。
【0020】
機構部82は、
図5に示すように、上部に配置される合わせ鏡部83と、下部に配置される駆動部84と、後部に配置されるベース部材85によって構成される。
【0021】
合わせ鏡部83は、本発明の本体部に相当し、
図6に示すように、2つの円形のハーフミラー831(第一のハーフミラー831a、第二のハーフミラー831b)と、2つの支持部材832(第一の支持部材832a,第二の支持部材832b)と、基板部833と、拡散部材834とによって構成される。
【0022】
ハーフミラー831は、入射した光に対し、一部を透過させる透過性と一部を反射させる反射性を併せ持つ光学部材である。
例えば、ハーフミラー831により仕切られた2つの空間があり、このうち一方を明るくし他方を暗くした場合、明るい空間からハーフミラー831越しに暗い空間を見ようとしても明るい空間の様子が反射して映し出される。これは、明るい空間における光の反射光の光量が、暗い空間からの透過光の光量より多く、これにより、ハーフミラー831が鏡面(反射面)として機能するからである。
他方、暗い空間からハーフミラー831を見た場合には、ハーフミラー831を透して明るい空間の内部を見ることができる。この場合、暗い空間における光の反射光の光量よりも、明るい空間からの透過光の光量が多く、これにより、ハーフミラー831が透過面として機能するからである。
また、両方の空間が明るい場合、ハーフミラー831は、鏡面及び透過面として機能する。つまり、この場合、一方の空間から他方の空間を見た場合には、ハーフミラー831に一方の空間の様子が映されながら、そのハーフミラー831を透して他方の空間を見ることができる。
【0023】
合わせ鏡部83は、このような性質を有する2つのハーフミラー831a,831bを対向した配置構成としている。
具体的には、基板部833を挟むように配置した第一のハーフミラー831aと第二のハーフミラー831bに対し、第一の支持部材832aと第二の支持部材832bによって両側から挟み込むように組み合わせることで、これらの支持部材832によって第一のハーフミラー831aと第二のハーフミラー831bの周縁が支持されて対向配置される。
また、これにより、合わせ鏡部83を下方から支持する台座部832cが一体的に形成される。
第一の支持部材832aには、合わせ鏡部83の上部をフレーム部材840(
図7参照)によって軸支可能とする上軸部832dが設けられている。
【0024】
基板部833は、円盤状の基礎基板833bの上に環状のLED基板833aが固定して構成される。
LED基板833aは、支持部材832の内側面に沿って周設され、基礎基板833bは、台座部832cの内部に一体的に収容される。
LED基板833aには、内側面上に複数のLED833cが実装されており、各LED833cは、LED基板833aの回路を通じて基礎基板833bの下部のコネクタ(図示せず)と導通可能に接続されている。このコネクタには、給電ケーブル(図示せず)が接続され、この給電ケーブルを介してLED833cを発光させるための電力が供給される。
基礎基板833bは、駆動部84の回転軸841に軸支され、この回転軸の回転に伴って回転する。
これにより、合わせ鏡部83は、回転軸841の回転に伴って、第一のハーフミラー831a及び第二のハーフミラー831bの面(以下、ハーフミラー面という)が水平方向を向いた状態で360°回転するようにしている。
【0025】
拡散部材834は、LED基板833aの内側面に沿って周設される光学部材であり、これにより、各LED833cの発光面が拡散部材834により覆われるようにしている。
拡散部材834は、LED833cから出射された光を拡散し、これによって合わせ鏡部83の内部空間を明るくする。また、拡散された光の一部は、第一のハーフミラー831aや第二のハーフミラー831bに向かって進行する。
【0026】
駆動部84は、本発明の駆動手段であり、
図7に示すように、主に、合わせ鏡部83を支持する回転軸841と、回転体である合わせ鏡部83に対する電力供給を担うスリップリング842と、モーター847の駆動力を回転軸841に伝達するための第一ギア843a及び第二ギア843bと、合わせ鏡部83の回転制御に用いられる遮光板845及び回転センサ844と、これらの駆動部材を収容する収容部材846と、駆動軸847aを有するモーター847と、によって構成される。
このような構成からなる駆動部84において、モーター847が駆動されると、駆動軸847aに取り付けられている第一ギア843aが回転し、第一ギア843aに噛み合わされている第二ギア843bが回転し、第二ギア843bに取り付けられている回転軸841が回転し、この結果、合わせ鏡部83が回転する。
第一ギア843aと第二ギア843bのギア比は1:2であり、第一ギア843aが1周するごとに第二ギア843bが半周し、これに応じ、第二ギア843bと同軸の合わせ鏡部83が180°回転するようにしている。
【0027】
スリップリング842は、回転体に対する電力供給を可能とする部材である。
スリップリング842は、回転テーブル842aを備え、回転軸841を貫通した状態で固定可能な貫通孔842bが設けられている。これにより、回転テーブル842aは、回動軸841の回転に応じて回転するようになっている。
また、このスリップリング842には、外部からの電力を入力するための入力コネクタ842dを側部に設け、入力電力を合わせ鏡部83(基礎基板833b)に出力するための出力コネクタ842cを回転テーブル842a上に設けている。そして、図示しないが、出力コネクタ842cと基礎基板833bのコネクタとの間には回転軸841とほぼ平行して給電ケーブルが取り付けられている。
そうすると、合わせ鏡部83の回転時には、基礎基板833bとともに、回転軸841の回転に応じて回転テーブル842aが回転し、これに伴って給電ケーブルもねじれずに回転する。
また、入力コネクタ842dと出力コネクタ842cとは、図示しない内部機構(例えば、同心円状に配置された環状の電路とこの電路に常時接触させる接点等)によって、回転テーブル842aが回転しても常に電気的な接続が保持されるようにしている。
このようなスリップリング842を用いた構成によれば、合わせ鏡部83の回転時に、給電ケーブルが回転軸841に絡まることがなく、回転体である合わせ鏡部83に対する電力供給を安定的に行うことができる。
【0028】
遮光板845は、駆動軸847aに取り付けられた円板状の部材であり、周縁部に1箇所突出した遮光部845aを設けている。
回転センサ844は、対向して配置される投光部844aと受光部844bを備え、受光部844bにおける受光量の変化を検出することを利用して遮光板845の回転を検知することができる。
回転センサ844は、遮光部845aの回転軌道上に配置されており、遮光部845aの通過時の受光量の変化を検出することによって遮光板845が1周したことを検知することができる。
ここで、第一ギア843aと第二ギア843bのギア比を1:2とすると、第一ギア843aが1周するたびに第二ギア843bが半周することから、第一ギア843aと同軸の遮光板845が1周するたびに、第二ギア843bと同軸の合わせ鏡部83が半周する。
このため、回転センサ844は、合わせ鏡部83が半周するたびに遮光部845aを1回検知するようになっている。
回転センサ844は、遮光部845aを検知すると、所定の制御信号(「ON」信号)を副制御部20に送信する。
なお、本実施形態の遮光部845aは、第一のハーフミラー831a又は第二のハーフミラー831bが真正面を向く状態において、投光部844aと受光部844bの間に位置するようにしている(
図7参照)。
【0029】
ベース部材85は、合わせ鏡部83と駆動部84を収容する収容部材であるとともに、演出ユニット8aを、前扉1aに取り付けるための取付け部材である。
ベース部材85は、合わせ鏡部83の後方の所定部位に絵柄を形成可能な領域(図示せず)を有している。
【0030】
このような構成からなる演出ユニット8aにおいて、LED833cを発光させると、LED833cから出射された光が拡散部材834により拡散され、合わせ鏡部83の内部空間を明るくする。
このため、前側に第一のハーフミラー831aが位置する状態(第一回転状態)において、遊技者は、第一のハーフミラー831aを透して、合わせ鏡部83の内部を視認することができる。
また、拡散された光はハーフミラー831よって反射される。
第一のハーフミラー831aにより反射された光は、第一のハーフミラー831aに対向する第二のハーフミラー831bに到達し、ここでも反射される。
また、第二のハーフミラー831bにより反射された光は、第二のハーフミラー831bに対向する第一のハーフミラー831aに到達し、ここでも反射される。
このため、LED833cから出射された光は、対向する2つのハーフミラー831a,831bの間の内部空間で、それぞれを反射面として反射を繰り返して、互いの面にLED833cの光像を映し出す。
【0031】
これにより、遊技者は、第一のハーフミラー831aを透して合わせ鏡部83の内部にある第二のハーフミラー831bを視認することができ、この第二のハーフミラー831bに映し出されるLED833cの光像であって、反射の繰り返しによって奥行き方向に多数連なった光像を視認することができる(合わせ鏡の演出)。
本実施形態の合わせ鏡部83は、内側面に沿って周設された環状のLED基板833a上にLED833cが配置されている。
このため、遊技者は、リング状の光像が奥行き方向に連なっている様子を、窓部81aを通して見ることができる。
【0032】
なお、第二のハーフミラー831bが前側に位置する状態(第二回転状態という)のときも、第一回転状態のときと同様に、合わせ鏡部83の内部空間が明るくなり、かつ、光がハーフミラー831a、831bの反射面を繰り返し反射して複数の光像を出現させることから、遊技者は、第二のハーフミラー831bを透して、内部空間にある第一のハーフミラー831aに映し出される合わせ鏡の光像を見ることができる。
【0033】
また、演出ユニット8aは、LED833cの発光とともに、合わせ鏡部83を回転させることで、合わせ鏡の光像の見せ方を変化させることができる。
例えば、ハーフミラー面が遊技者の目線を向いているときには、奥行き方向に真っ直ぐに連なって延びるきれいな光像を遊技者に見せることができる。また、ハーフミラー面が遊技者の目線に対し斜めを向いている場合には、斜めに延びる光像を遊技者に見せることができる。
また、合わせ鏡部83が回転する構成であるため、演出ユニット8aが前扉1aのどの位置に設けられたとしても、回転の途中で、ハーフミラー面と遊技者の目線とが対向するタイミングが必ずある。
このため、本実施形態の演出ユニット8aによれば、遊技者に、合わせ鏡の光像をきれいに見せる機会を必ず提供することができる。
【0034】
また、演出ユニット8aは、LED833cを発光させないことで、ハーフミラー831を鏡として利用することができる。
このようにLED833cを発光させない場合、合わせ鏡部83の内部空間は様々な部材によって周りが囲まれているため暗く、他方、前側に位置するハーフミラー831の前方の外部空間は、通常、室内灯等により一定の明るさを有している。
このため、遊技者が、前側に位置するハーフミラー831を見たときには鏡面として機能し、例えば、遊技者はハーフミラー面に映される自分の姿を見ることができる。
さらに、本実施形態の演出ユニット8aは、LED833cを発光させていない状態においては、所定操作に応じ、合わせ鏡部83の回転角度を調整できるようにしている。
例えば、演出ボタン100の押下操作によって、ハーフミラー面を所望の向きに調整することができる。これにより、遊技者は、ハーフミラー面に自身の姿をきれいに映すことができる。
なお、操作によって合わせ鏡部83を回転させる制御方法については後述する。
【0035】
また、本実施形態の演出ユニット8aでは、LED833cを発光させることによって、第一のハーフミラー831aと第二のハーフミラー831bを透して、ベース部材85に施したデザインを見せる演出も可能である。
具体的には、LED833cが発光されると、LED833cから出射された光が拡散部材834により拡散され、これにより、合わせ鏡部83の内部空間を明るくするとともに、一部の光が後側に位置するハーフミラー831(例えば、第二のハーフミラー831b)を透過してその後方に位置するベース部材85の所定部位を照射して明るくする。
そうすると、遊技者は、第一のハーフミラー831aを透して合わせ鏡部83の内部にある第二のハーフミラー831bを視認することができ、その第二のハーフミラー831bを透して第二のハーフミラー831bの後方に位置するベース部材85の所定部位を視認することができる。
このため、ベース部材85の所定部位に絵柄を形成している場合、LED833cを発光させると、遊技者は、第一のハーフミラー831a及び第二のハーフミラー831bを透して絵柄を視認することができる。
これにより、合わせ鏡部83による演出にバリエーションを加えることができる。
さらに、演出ユニット8aは、ベース部材85に発光手段(LED)を設け、この発光手段により発光させた絵柄を見せる演出も可能である。
この場合、絵柄を形成する光が第一のハーフミラー831aと第二のハーフミラー831bを透過するため、絵柄を鮮明に見せることができる。
【0036】
次に、操作によって合わせ鏡部83を回転させる制御方法について説明する。
具体的には、演出ボタン100を押下すると、演出ボタン100が副制御部20に対し所定の制御信号を送信し、副制御部20は、この制御信号を受信したときに、モーター847を所定時間だけ駆動させるようにしている。
このようにすると、演出ボタン100を押下すると、その所定時間に応じた回転角度で合わせ鏡部83を回転させることができる。
例えば、本実施形態のように演出ユニット8aが前扉1aの左側にあり、ハーフミラー面が真正面を向いた状態で合わせ鏡部83が停止している状態から、合わせ鏡部83を約15°回転させることによってハーフミラー面と遊技者の目線が対向する場合は、演出ボタン100を押下すると、合わせ鏡部83を15°回転させるために必要な時間だけモーター847を駆動させるようにする。
このようにすると、ハーフミラー831を鏡として用いる場合に、演出ボタン100を押下するだけで、ハーフミラー面に遊技者の顔がきれいに映るように合わせ鏡部83の回転角度を自動調整することができる(オートモード)。
モーター847がステッピングモータの場合、副制御部20は、演出ボタン100の押下に応じて所定数のパルス信号をモーター847に送り、そのパルス数に対応した回転を行わせる。例えば、1パルス当りの回転角度(ステップ角度)が15°のモーター847について、前述のオートモードの例を適用する場合、パルス信号を1送ることで、目的を達成することができる。
また、演出ボタン100を押下している間モーター847を駆動させ、演出ボタン100の押下を解除したときにモーター847の駆動を停止させることもできる。
このようにすると、演出ボタン100を押下している間、合わせ鏡部83を回転させることができるため、あらゆる角度に完全対応することができる(マニュアルモード)。
また、このようなオートモードとマニュアルモードを選択できるようにすることもできる。
【0037】
このような構成の演出ユニット8aは、副制御部20により制御されて以下のように動作する。
具体的には、再遊技役、小役、ボーナス役などの当選役を抽選により決定する内部抽選処理の結果に基づいて様々な演出を行うことができる。
例えば、ボーナスに当選したときには、合わせ鏡部83を回転させながらLED833cを発光させることで、奥行き方向に多数連なるリング状の光像を、角度を変えながら見せることができ、このような特徴的な演出によってボーナス当選の告知を行うことができる。
【0038】
また、このような演出ユニット8aとは別に、電飾部8bや表示器8dなどの演出装置も備えており、これらの演出装置と演出ユニット8aの動作を連動させた演出も可能である。
以下、電飾部8b、及び、電飾部8bと演出ユニット8aとの連動動作について説明する。
【0039】
電飾部8bは、本発明の特定演出部に相当し、演出ユニット8aの右側の所定領域に配置されている。
電飾部8bは、多数のLEDからなるLED群を縦横に配置したLED基板を背面に備え(図示省略)、これらのLED群を発光させることで、前面パネルPの所定領域(演出ユニット8aの右側から右方向に放射状に造形や模様が施された領域)を発光させる演出を行う(
図1参照)。
そして、本実施形態の電飾部8bは、このような発光演出を、演出ユニット8aにおける合わせ鏡部83の回転角度に応じ行うようにしている。
具体的には、第一のハーフミラー831aが前側に位置する状態(第一回転状態)から第二のハーフミラー831bが前側に位置する状態(第二回転状態)に変位する途中の状態(第三回転状態)になることに連動して電飾部8bによる発光演出を行う。
より具体的には、副制御部20は、回転センサ844から「ON」信号を受信した後、次の「ON信号」を受信するまでの間の所定時間について電飾部8bによる発光演出を行う。
このようにすると、ハーフミラー面が横を向くことで、合わせ鏡の光像を視認しづらい状態であっても、代わりに、電飾部8bによる発光演出を提供することができる。
つまり、ハーフミラー面が前方を向いているときは、遊技者は、リング状の光像が複数連なる合わせ鏡の演出を見ることができ、ハーフミラー面が横を向いているときには、遊技者は、電飾部8bによる発光演出を見ることができる。
このため、合わせ鏡部83の回転状態を問わず、常に演出を提供して飽きさせないようにすることができる。
また、発光演出は、所定領域を一斉に発光させる演出が可能だが、所定領域のうち、演出ユニット8aに近い領域から発光させ、徐々に右側に発光領域を広げる演出を行うこともできる。
これにより演出のバリエーションを増やすことができるとともに、演出ユニット8aが、建物を模しているため、あたかも、建物の回転灯が回転しながら遠くを照らしているように見せる演出が可能である。
【0040】
次に、合わせ鏡部83の回転停止制御について説明する。
合わせ鏡部83は、例えば、ボーナス当選の告知が終了したときにはその回転を停止して演出を終了することで、遊技の進行と演出とを同期するようにしている。
ここで、本実施形態の演出ユニット8aは、合わせ鏡部83の回転停止に際しては、ハーフミラー面が正面を向いた状態で停止する動作をできるだけ早く実施するようにしている。
【0041】
具体的には、副制御部20は、例えば、ボーナス当選の告知を終了させるタイミングが到来すると、その直後の回転センサ844からの「ON」信号の受信と同時にモーター847の駆動を停止させることでハーフミラー面がほぼ正面を向いた状態で停止させることができる。
これは、第一のハーフミラー831aと第二のハーフミラー831bがともに同じ機能・形状であり、これらを対向配置することで、ハーフミラー面としては、180°回転するごとに同じ位置を通過するからである。
例えば、仮に、ハーフミラーを対向配置せず、片側のみ配置した場合には、最大360°回転しなければ、ハーフミラー面を遊技者側に配置することができない場合が生ずる。
これに対し、本実施形態の合わせ鏡部83は、最大でも180°回転させることで、ハーフミラー面を遊技者側の位置に停止させることが可能となる。
したがって、本実施形態の演出ユニット8aによれば、合わせ鏡部83を、第一回転状態と第二回転状態のうち、変位が完了するまでに要する時間の短い状態で停止させることができる。
【0042】
本実施形態のスロットマシン1は、このような演出ユニット8aとは別に、着脱可能な演出装置として第一電飾ユニット8cや第二電飾ユニット8eを備えている。
このうち、第一電飾ユニット8cやこの第一電飾ユニット8cに設けられている基板について説明する。
【0043】
[第一電飾ユニット]
第一電飾ユニット8cは、本発明の装飾ユニットに相当し、
図1,2,8に示すように、前方(遊技者側)を臨むように前扉1aの上部に設けられる。
第一電飾ユニット8cは、
図8,9に示すように、主に、所定の加工(例えば、ダイヤカット等の光拡散加工)が施された装飾部材8c1と、装飾部材8c1の背面に取り付けられた基板(以下、電飾用基板8c2という)とによって構成され、これがビス等の取付部材によって前扉1aに取り付けるようになっている。
電飾用基板8c2には図示しない複数のLEDが実装され、このLEDが発光されるとLEDから出射された光が、装飾部材8c1を後方から照射して拡散される。
これにより、例えば、星が輝いているような発光演出を行うことができる。
【0044】
このような第一電飾ユニット8cは、
図8に示すように、前扉1aに対し前方から取り付けるところ、第一電飾ユニット8cの設置領域は、演出ユニット8aや第二電飾ユニット8eの設置領域と一部重なり、演出ユニット8a及び第二電飾ユニット8eが第一電飾ユニット8cの前側に設けられるようになっている。
このため、スロットマシン1の組み立て時においては、前扉1aに対し、まず、第一電飾ユニット8cを取り付け、その後に、演出ユニット8aや第二電飾ユニット8eを取り付ける必要がある。
つまり、第一電飾ユニット8cを取り外す場合は、まず、演出ユニット8aや第二電飾ユニット8eを取り外す必要がある。
しかしながら、このように、演出ユニット8aや第二電飾ユニット8eを取り外した後に第一電飾ユニット8cを取り外す方法だと、第一電飾ユニット8cのメンテナンスを行う場合に不便である。
【0045】
特に、第一電飾ユニット8cに設けられている電飾用基板8c2は、LEDを実装するだけでなく、周囲の他の電子部品(LED基板やスピーカ等)や副制御部20からの制御ケーブルを接続するためのコネクタ8c3等の電子部品が実装されており、副制御部20から他の電子部品に送信される制御信号を中継する役割を担う重要な基板である。
このため、例えば、このような重要な電飾用基板8c2を交換する場合に、まず、演出ユニット8aや第二電飾ユニット8eを取り外し、その後に、第一電飾用ユニット8cを取り外してから行うようにすると、交換までに手間や時間がかかりすぎる。
【0046】
そこで、本実施形態の第一電飾ユニット8cは、
図9,10に示すように、第一電飾ユニット8cの後側に露出した態様で電飾用基板8c2を設けるようにしている。
このようにすると、電飾用基板8c2の後側は、副制御部20や副制御部20を前扉1aに取り付けるための取付部材21といった取り外し容易な部材を除き、開放されているため、電飾用基板8c2に容易にアクセスすることができる。
具体的には、前扉1aを開き、取付部材21等を、ビス等を外して取り外すだけで、電飾用基板8c2にアクセスして取り外すことができる。
したがって、電飾用基板8c2のメンテナンスを行う場合には、演出ユニット8a、第二電飾ユニット8e、第一電飾ユニット8cを取り外すことなく、前扉1aの後方から迅速かつ容易にアクセスして行うことができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、2つのハーフミラー831a,831bを対向配置した合わせ鏡部83の内部に発光手段を設け、これを回転させるように構成した演出ユニット8aを備えることで、合わせ鏡の演出を効果的に提供することができ、この結果、遊技演出の幅を広げ、遊技者の興趣をより高めることができる。
また、演出ユニット8aの配置位置を問わず、合わせ鏡の演出を効果的に提供することができる。
【0048】
一方、従来のスロットマシンでは、本実施形態の遊技者の目線との関係上、例えば、演出表示装置が前扉の中央付近に配置されないと合わせ鏡の像がきれいに見えないなど、演出表示装置の配置位置に制限があった。
本実施形態のスロットマシン1によれば、従来のスロットマシンが改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0049】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、前述の実施形態では、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【0051】
また、演出ユニット8aに関連した以下の構成や演出が可能である。
例えば、ハーフミラー831は円形に限らず、合わせ鏡部83の回転方向は、垂直方向や斜め方向でもよい。
また、演出ユニット8aの動作と連動して表示器8dや第二電飾ユニット8eによる演出を行わせることもできる。
回転センサ844は、遮光板845が、遮光部845aを複数設けた構成でも良く、遮光部の代わりに貫通孔を設け、貫通孔を通過によって生ずる光量の変化に基づいて回転を検知する方法でもよい。
【0052】
また、ベース部材85を左右方向に移動できるように構成し、合わせ鏡部83を左右に移動させながら回転させる演出を行うようにすることもできる。
また、合わせ鏡部83の外側面にLED等を設け、イルミネーションのように発光させる演出を加えることもできる。このようにすると、演出のバリエーションを増やすことができるとともに、合わせ鏡による演出に気づきにくい場合(例えば、上記の例において、合わせ鏡部83が遊技者の視野外を移動中の場合など)であっても、ボーナス当選を確実に知らせることができる。
また、前扉1aの所定位置にカメラを搭載し、公知の顔認識手段等により遊技者の目線を検出できるようにして、遊技者の目線に対応した演出を行うこともできる。
例えば、合わせ鏡部83の回転角度を遊技者の目線に合わせて自動調整することにより、光像が連なって見える合わせ鏡の演出を、常に、きれいに見せることができる。
また、合わせ鏡部83は、左回転又は右回転のどちらの方向でも回転させることができる。この場合、例えば、ビックボーナス時には左回転、レギュラーボーナス時には右回転といったように、回転方向で付与される遊技価値を異ならせることもできる。
また、合わせ鏡部を高速回転させたり、振動させることもできる。
さらに、上述した様々な構成を備えることで、複合的な演出を行うこともできる。