(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記口座情報管理手段は、前記顧客から前記振込情報が送信されると、前記口座情報から、前記口座情報の過去の履歴情報を参照し、前記過去の履歴情報に基づいて、口座の入金予定情報を推測し、前記推測した入金予定情報を前記情報端末に通知することを特徴とする請求項3に記載の振込案内通知サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0020】
(基本概念)
図1は、本発明の実施形態に係る振込案内通知サーバを含む振込システムの基本概念を示す図である。以下では上記のシステムを「本システム」と呼ぶことにする。
【0021】
本システムの特徴は、顧客に、振込先から振込依頼(例えば、家賃、通販代金、宴会の清算)が葉書やメール等で通知されたときに、金融機関のサーバ(振込案内通知サーバ)にその振込情報の内容(振込先口座、振込金額等)をあらかじめ通知しておき、次回、顧客が金融機関を現金自動預け払い機(ATM:Automatic Teller Machine)、ネットバンキング、窓口等で利用するときに、その振込情報を確認の上、振込を指示する仕組みを構築するものである。
【0022】
そのため、本システムは、顧客の振込情報を管理する金融機関の振込案内通知サーバ(
図1においては金融機関と称する)と、ネットワークで接続されるその振込情報の利用者が所持する情報端末とを備える。
【0023】
なお、本システムのサービスを受ける場合、顧客は、あらかじめ、金融機関で口座を開設したり登録情報を変更したりするときに、専用メールアドレスを取得するものとする。ここで、「専用メールアドレス」とは、通常の電子メールアドレスの他に、SNS(Social Networking Service)、例えば、LINE(登録商標)、Facebook(登録商標)及びTwitter(登録商標)等におけるダイレクトメッセージの宛先を含む。顧客は、振込先から振込依頼が通知されると、顧客が所持する情報端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末やパーソナルコンピュータ)で取得した専用メールアドレス宛にその振込情報の内容を金融機関に送信する。そして、その振込情報を受信した金融機関は、その振込情報と口座開設時に取得した顧客情報とを紐づけて管理し、勘定系と同期をとるために転送する。
【0024】
そして、顧客が金融機関のサービス(ネットバンキング、ATM、窓口等)を利用するときに、金融機関は、顧客によって過去に通知された振込情報をデータベースから抽出して、顧客に振込情報を通知する。なお、ネットバンキングでは、その振込情報が、顧客が所持する情報端末の画面に表示され、ATMでは、その端末画面に表示される。また、窓口では、窓口で使用されている行員の情報端末の画面に表示され、その内容を顧客に口頭で伝えることも可能になる。
【0025】
次に、ネット通販サービスに本サービスを適用したケースについて、
図2Aを用いて説明する。
図2Aに示すように、まず、ネット通販を利用する顧客は、情報端末から希望する商品が購入可能なネット通販サイトにログインを行い、希望する商品を選択の上、購入手続きを行う。
【0026】
顧客から購入手続きを受信したネット通販サイト(店舗)側は、購入内容を確認し、支払い方法が銀行振込であった場合、商品を購入した顧客の情報端末宛に振込情報メールを付加した返信メールを送信する。ここで、「振込情報メール」とは、顧客に振込情報を送信させるためのリンク付メール(
図2Aでは、振込情報メール送信と表示)である。返信メールには、振込情報メールと、例えば、商品の購入に対するお礼の文章や購入した商品で間違いないか否かの確認文章等が記述されている。
【0027】
顧客は、受信した返信メールのリンク先(振込情報メール送信)をクリックすると、例えば、宛先がブランク(金融機関が顧客に付与する専用メールアドレスを店舗側は知らないため)、件名が任意であり、本文には、振込先と金額等が表示された振込情報が入力された顧客入力画面に遷移する。
【0028】
顧客は、宛先入力欄に金融機関から取得した専用メールアドレスを入力し、更に、本文に振込の内容を確認した上で振込情報メールを金融機関宛に送信する。振込情報メールを受信した金融機関は、その専用メールアドレスに基づいて、顧客名を検索し、データベースに登録されている顧客情報と振込情報との紐付けを行って管理しておく。
【0029】
続いて、金融機関は、顧客が振込情報メールを送信して以降、顧客が後に、金融機関を利用するとき(例えばネットバンキング)に、そのログイン情報から顧客の顧客情報を検索して、それに紐付いて管理している振込情報を抽出し、顧客の情報端末の画面に振込情報の一覧を表示する。顧客は、この振込情報の一覧の中から現時点で振込に必要な振込情報を選択指示することにより、金融機関による振り込み処理を実行させることができる。
【0030】
このように、振込依頼の通知ごとに金融機関にその振込情報を通知しておくことで、次回金融機関の利用時に、振込情報を一覧で表示することが可能となるため、顧客は、振込依頼の管理が容易となる。
【0031】
次に、専用メールアドレスを持たない顧客が公開メールアドレスを用いて、本サービスを適用したケースを説明する。ここで、公開メールアドレスとは、不特定多数のものが使用できる金融機関宛のメールアドレスである。
【0032】
以下の説明では、飲食等の会計時に本サービスを適用した場面を想定している。なお、あらかじめ、飲食のメンバー全員が同じグループ内の公開メールアドレスを金融機関から取得しているものとする。また、各メンバーは、公開メールアドレスを取得したときに、個人メールアドレスを金融機関に通知し、金融機関のデータベースで個人メールアドレスと公開メールアドレスとが紐付けられているものとする。
【0033】
図2Bに示すように複数のメンバーでの食事を行う場合、幹事が料金を一括で会計を済ませることがある。その場合、その他のメンバーは、幹事に代金を清算しなければならない。そのとき、現金を用意できないメンバーは、金融機関で取得した公開メールアドレスを利用して、後日幹事に現金を振り込むことを伝える。これを受けて幹事は、公開メールアドレス宛にメンバーの食事の代金と振込先等を入力の上、金融機関に送信する。メールには、例えば、宛先に公開メールアドレス、件名に食事した日付等、本文には、振込先と金額等の振込情報が入力される。
【0034】
そして、公開メールアドレス宛に振込情報を受信した金融機関は、受信された公開メールアドレスから顧客情報(少なくとも、氏名、メールアドレス)を抽出し、該当するメンバーの個人メールアドレス宛に振込情報及び振込対象者か否かの確認メール通知を送信する。これを受けて各メンバーは、振込情報の内容及び振込対象者の可否を確認の上、金融機関に返信を行う。具体的には、飲食の会計時に幹事に現金を手渡ししたメンバーは、振込対象者ではないため、確認メールの返信は行わない。一方、飲食の会計時に幹事に現金を支払わなかったメンバーは、確認メールの振込情報を確認の上、金融機関に返信する。
【0035】
振込情報を受信した金融機関は、受信した個人メールアドレスに基づいて、顧客情報と振込情報の紐付けを行いデータベースに保存する。なお、本説明では、グループ内の公開メールアドレス取得者全員に振込情報を一括送信することとしたが、例えば、公開メールアドレスを更に分割して、その対象者のみに振込情報を送れるようにしてもよい。その場合、幹事から公開メールアドレス宛に、振込情報が送信されたときに、その対象者の個人メールアドレスに基づいて、顧客情報と振込情報の紐付けを行ってもよい。また、幹事以外のメンバーで専用メールアドレスを所持している場合は、そのメンバーが所持する専用メールアドレスで直接、金融機関に振込情報を通知するようにしてもよい。
【0036】
以降は、上述したネット通販サービスと同様に、金融機関に振込情報が登録され、その後に金融機関を利用する際に、振込情報が通知される。
【0037】
ここで、公開メールアドレスを一時的に利用できるように制限したのは、専用メールアドレスと同様に何らかの手段で公開メールアドレスを取得した第三者によるなりすましを防止するためである。また、公開メールアドレスを複数のメンバーに教えてしまった場合、公開メールアドレスが第三者に漏れる可能性が高まるため、定期的に、又は公開メールアドレス発行ごとにアドレスを変更するようにしてもよい。
【0038】
(機能構成)
図3は、本実施形態に係る振込案内通知サーバを含む本システムの機能構成を示す図である。
【0039】
図3に示すように、本システムは、顧客の振込情報を通知する金融機関の振込案内通知サーバ30と、ネットワーク経由で接続され、その振込情報の利用者が所持する情報端末10と、情報端末10とネットワーク経由で接続される店舗端末20とを備える。なお、振込案内通知サーバ30と、ネットバンキングシステム50とは、統合されていてもよい。
【0040】
情報端末10は、入力手段11と、表示手段12と、端末制御手段13と、を備える。
【0041】
入力手段11は、例えば、キーボード、マウスを備え、顧客が表示手段12に表示される情報を入力したり、指示したりするときに用いられる。
【0042】
表示手段12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)等を表示モニタとして用い、GUI(Graphical User Interface)を使用した操作画面や、端末制御手段13により生成され描画されるデータ等を表示出力する。なお、入力手段11と表示手段12を兼ね備えたタッチパネルを用いてもよい。
【0043】
端末制御手段13は、顧客による入力手段11の操作に応じて、振込案内通知サーバ30、店舗端末20及びネットバンキングシステム50に入力情報を送信する。また、端末制御手段13は、店舗端末20から送信される振込情報メールを付加した返信メールや、ネットバンキングシステム50を利用するときに、振込情報の一覧を表示手段12に表示させる。
【0044】
店舗端末20は、顧客情報受付手段21と、振込情報生成手段22と、を備える。
【0045】
顧客情報受付手段21は、顧客の情報端末10からネット通販等の商品の購入手続きがなされると、初回もしくは更新時に情報端末10宛に顧客の顧客情報(例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス)を入力させる画面を表示させ、その顧客情報を登録する。
【0046】
振込情報生成手段22は、顧客の情報端末10からネット通販等の商品の購入手続きがなされると、その情報から振込情報メールを生成する。具体的には、顧客に振込情報を送信させるためのリンク付メッセージを生成する。顧客がリンクをクリックすると、例えば、本文に、振込先(店舗名及び口座番号)と、購入時の金額が入力されたメール画面に遷移する。なお、宛先と件名はブランク表示であってもよい。
【0047】
振込案内通知サーバ30は、典型的には、顧客情報登録手段31と、振込情報取得手段32と、メールアドレス通知手段33と、顧客情報管理手段34と、口座情報管理手段35と、振込情報抽出手段36と、顧客情報データベース37(顧客情報DB)と、を備える。
【0048】
顧客情報登録手段31は、顧客の送信メールアドレスを含む顧客情報を取得し、顧客情報DB37の顧客情報テーブル100に格納する。具体的には、顧客情報登録手段31は、顧客が口座を開設や登録情報を変更したタイミングで取得した顧客情報を顧客情報テーブル100に格納する。
【0049】
振込情報取得手段32は、顧客の振込情報を取得し、顧客情報DB37の振込情報テーブル400に格納する。具体的には、振込情報取得手段32は、顧客から振込先によって通知された振込情報を受信したときに、その振込情報を振込情報テーブル400に格納する。
【0050】
メールアドレス通知手段33は、メールアドレスをメールアドレステーブル300に格納する。また、メールアドレス通知手段33は、顧客又は顧客の情報端末10からの要求に基づき、顧客が利用できる専用メールアドレスを発行し、顧客又は顧客の情報端末10に通知する。なお、顧客又は顧客の情報端末10からの要求前に、予め専用メールアドレスを発行し、その専用メールアドレスを顧客に通知してもよい。ここで、専用メールアドレスとは、顧客の振込情報を金融機関に送るための顧客ごとに付与されるユニークなメールアドレスである。メールアドレスがSNSのダイレクトメッセージの宛先である場合は、SNSサイトと連携し、専用アドレスを生成するものとする。また、メールアドレス通知手段33は、専用メールアドレスを一時的に不特定多数が使用できるようにすることも設定可能である。
【0051】
また、メールアドレス通知手段33は、顧客又は顧客の情報端末10からの要求に基づき、すでに述べたような公開メールアドレスを発行し、顧客又は顧客の情報端末10に通知する。また、メールアドレス通知手段33は、公開メールアドレスの利用時間を限定し、定期的にアドレスを変更するように設定可能である。
【0052】
顧客情報管理手段34は、顧客情報と専用メールアドレスとを紐付けて管理する。具体的には、顧客からの専用メールアドレス発行時に、顧客の情報端末10からの送信メールアドレス等から得られる顧客情報を割り出し、その顧客情報と発行した専用メールアドレスとを紐付ける。
【0053】
また、顧客情報管理手段34は、顧客の情報端末10から専用メールアドレスの宛先に振込情報が送信されると、登録されている顧客の顧客情報と振込情報とを紐付けて保存する。具体的には、顧客は、振込先から振込依頼が通知されると、あらかじめ取得した専用メールアドレス宛(振込案内通知サーバ30)にその内容を送信する。それを受けて、顧客情報管理手段34は、受信した専用メールアドレスに基づいて顧客情報を導出し、導出した顧客情報と、振込情報とを紐付ける。顧客情報管理手段34は、例えば、顧客ごとにユニークな顧客IDを生成し、その顧客IDで、顧客情報テーブル100と、振込情報テーブル400とを紐付ける。
【0054】
また、顧客情報管理手段34は、上記した紐付け処理後に、顧客が金融機関のATM60を操作した場合、顧客の情報端末10を操作してネットバンキングシステム50にアクセスした場合、又は窓口を利用した場合に、振込情報テーブル400に保存した振込情報の内容をATM60、情報端末10の表示手段12又は窓口の窓口端末70に表示し、顧客の確認入力を得て振込情報に基づく振込を勘定系システム80に実行させる。
【0055】
口座情報管理手段35は、顧客から振込情報が送信されると、顧客の口座情報を参照し、振込情報に記述されている振込金額が口座残高の金額以上であるか否かを情報端末10に通知する。例えば、振込情報として、振込先に金額1万円を振り込むよう記載があった場合、口座情報管理手段35は、口座情報テーブル200からその顧客の口座情報を抽出して、口座残高が1万円以上あるか否かを判定し、その判定結果を顧客の情報端末10に通知する。
【0056】
また、口座残高が1万円未満の場合であっても、口座情報管理手段35は、口座情報から、口座情報の過去の履歴情報を参照し、過去の履歴情報に基づいて、口座の入金予定情報を推測し、推測した入金予定情報を情報端末10に通知してもよい。例えば、毎月、給与振込で決まった日時に所定の金額の入金が確認できる場合は、その旨を顧客の情報端末10に通知してもよい。
【0057】
また、口座情報管理手段35は、店舗端末20と連携するようにして、顧客から振込情報が送信されると、顧客の口座情報を参照し、振込情報に記述されている振り込み金額が口座に振込情報の金額以上あるか否かを店舗端末20に通知するようにしてもよい。また、口座残高が振込情報に記述されている振り込み金額未満の場合でも、口座情報管理手段35は、口座情報から、口座情報の過去の履歴情報を参照し、過去の履歴情報に基づいて、口座の入金予定情報を推測し、推測した入金予定情報を店舗端末20に通知してもよい。このようにすることで、事前に、商品を購入する顧客の購入意思があるか否かの推定が可能となる。
【0058】
振込情報抽出手段36は、顧客が金融機関のATM60を操作した場合、又は顧客の情報端末10を操作してネットバンキングシステム50にアクセスした場合に、振込情報テーブル400から、その顧客の振込情報を抽出する。
【0059】
顧客情報DB37には、上述の顧客情報テーブル100と、口座情報テーブル200と、メールアドレステーブル300と、振込情報テーブル400と、が割り付けられ記憶されている。
【0060】
顧客情報テーブル100には、
図4(a)にそのデータ構造の一例が示されているように、少なくとも、顧客ごとに割り当てられる「顧客ID」、「氏名」、「年齢」、「住所」、顧客の情報端末10の「送信メールアドレス」等のデータ項目が登録される。
【0061】
口座情報テーブル200には、
図4(b)にそのデータ構造の一例が示されているように、少なくとも、顧客ごとに割り当てられる「顧客ID」、「口座番号」、口座を開設した支店の「支店名」、口座の「利用履歴」等のデータ項目が登録される。
【0062】
メールアドレステーブル300には、
図4(c)にそのデータ構造の一例が示されているように、顧客ごとに登録される専用メールアドレスと、公開メールアドレスが登録される。専用メールアドレスには、少なくとも、顧客ごとに割り当てられる「顧客ID」、専用メールアドレスの「アドレス」、専用メールアドレスを一時的に第三者へ利用させる「許可有無」、第三者へ許可した場合の「使用期間」等のデータ項目が登録される。公開メールアドレスには、少なくとも、顧客ごとに割り当てられる「顧客ID」、公開メールアドレスの「アドレス」、公開メールアドレスを登録しているか否かの「所持有無」、公開メールアドレスの「使用期間」等のデータ項目が登録される。
【0063】
図4(c)によれば、専用メールアドレスを取得している顧客ID「No.00100」のアドレス「jfaeda_456@XXX.com」は、第三者への一時的利用を許可していない。一方、顧客ID「No.00200」のアドレス「aihde_123@XXX.com」は、「2015/09/15 9:00〜2015/09/15 15:00」の6時間の間、第三者への一時的利用を許可している。
【0064】
また、公開メールアドレスを取得している顧客ID「No.00100」のアドレス「ABC123@XXX.co.jp」は、2015/09/21 19:00〜2015/09/21 19:30」の30分の間、利用を許可している。一方、顧客ID「No.00200」は、公開メールアドレスを所持していない。
【0065】
なお、専用メールアドレスを一時的に許可できるようにしたのは、例えば、複数のメンバーでの飲食等の会計に本サービスを適用するときに、サービスに加入している者が金融機関へアクセス(振込情報を送信)する手段がない場合である。
【0066】
基本的に、顧客の送信メールアドレスと専用メールアドレスとは紐付いているため、別の送信メールアドレスからその専用メールアドレス宛に振込情報を送信した場合、振込情報は登録されずエラーとして返信される。そのため、一時的に専用メールアドレスへの送信を許可することで、本サービスの未加入の他のメンバー(サービス非加入者)が、その金融機関の専用メールアドレス宛に登録されている者(サービス加入者)とは異なる送信メールアドレスから振込情報を送信することが可能になる。そのようにすることで、サービス非加入者が振込情報を送信した後に、サービス加入者が金融機関を利用した際に、その振込情報が通知される。ここで、一時的のみ専用メールアドレスを利用できることとしたのは、何らかの手段で専用メールアドレスを取得した第三者によるなりすましを防止するためである。
【0067】
振込情報テーブル400には、
図4(d)にそのデータ構造の一例が示されているように、少なくとも、顧客ごとに割り当てられる「顧客ID」、「振込先」、振り込みの「金額」、振り込みの「締切期限」等のデータ項目が登録される。
【0068】
図4(d)によれば、専用メールアドレスを取得している顧客ID「No.00100」は、振込先「○△支店」に金額「12,300円」を「2015/10/01」までに支払わなければならないことが登録されている。この振込情報テーブル400に登録されている情報が、顧客が後に、金融機関を利用するときに、一覧表示される。
【0069】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0070】
(処理フロー)
次に、本実施形態に係る振込案内通知サーバの処理動作についてフローチャートを用いて説明する。以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0071】
図5〜
図7は、本発明の実施の形態に係る振込案内通知サーバの処理動作を示すフローチャートである。なお、顧客は、あらかじめ、口座を開設して、顧客情報登録手段31によって、その顧客の送信メールアドレスを含む顧客情報を顧客情報テーブル100に登録しているものとする。
【0072】
最初に、
図5を用いて振込案内通知サーバ30(メールアドレス通知手段33)が専用メールアドレスを発行する処理から説明する。
図5に示すように、顧客の情報端末10から専用メールアドレスの取得要求を受信すると(ステップS11“YES”)、メールアドレス通知手段33は、情報端末10の送信メールアドレスと要求に基づく専用メールアドレスを紐付けた後、その専用メールアドレスを発行する(ステップS12)。
【0073】
続いて、顧客情報管理手段34は、送信メールアドレスに基づいて、それに紐付けてある顧客情報テーブル100から顧客情報を抽出し(ステップS13)、顧客情報と、専用メールアドレスとの紐付けを行い(ステップS14)、情報端末10に、発行した専用メールアドレスを送信する(ステップS15)。
【0074】
次に、
図6を用いて顧客情報管理手段34が顧客ごとの振込情報を登録する処理について説明する。
図6に示すように、顧客は、振込先から振込依頼があると(ステップS21“YES”)、情報端末10を操作して、情報端末10から振込案内通知サーバ30にその振込依頼の内容である振込情報を送信する(ステップS22“YES”)。
【0075】
これを受けて、顧客情報管理手段34は、振込情報が送られてきた送信メールアドレスに基づいて顧客情報を顧客情報テーブル100から抽出する(ステップS23)。そして、振込情報取得手段32が抽出した顧客情報と送られてきた振込情報とを紐付けて振込情報を振込情報テーブル400に保存する(ステップS24)。
【0076】
また、送られてきた振込情報の金額を抽出し、その顧客の口座情報を顧客に通知するようにしてもよい。その場合、口座情報管理手段35は、顧客の口座情報を参照し(ステップS25)、送られてきた振込情報の金額と口座残高とを比較し、口座残高がその金額以上であるか否か判定する(ステップS26)。口座残高が振込情報の金額以上ある場合(ステップS26“YES”)、口座情報管理手段35は、その口座を所有する顧客の情報端末10宛に、口座残高が振込情報の金額以上ある旨を通知する(ステップS27)。
【0077】
一方、口座残高が振込情報の金額未満の場合、(ステップS26“NO”)、口座情報管理手段35は、その口座を所有する顧客の情報端末10宛に、口座残高が振込情報の金額未満である旨を通知する(ステップS28)。このとき口座情報管理手段35は、口座情報の過去の履歴情報を参照し、過去の履歴情報に基づいて、口座の入金予定情報を推測し、推測した入金予定情報を情報端末10に通知するようにしてもよい。
【0078】
次に、
図7を用いて振込情報の登録後に、顧客が金融機関にアクセスすることで、送信した振込情報が表示される処理について説明する。
図7に示すように、振込案内通知サーバ30は、顧客が金融機関を利用していることを確認すると(ステップS31“YES”)、振込情報抽出手段36が、その顧客によって以前に振込情報が登録されているか否かを判定する(ステップS32)。振込情報が登録されている場合(ステップS32“YES”)、振込情報抽出手段36は、振込情報テーブル400から該当する振込情報を抽出する(ステップS33)。
【0079】
続いて、振込情報抽出手段36は、顧客が金融機関のどのサービスを利用したかを判定する(ステップS34)。ここで、顧客がネットバンキングを利用した場合(ステップS34“ネットバンキング”)、振込情報抽出手段36は、ネットバンキングシステム50を利用している顧客の振込情報をネットバンキングシステム50に送信し、情報端末10の表示手段12に振込情報を表示させる(ステップS35)。
【0080】
図8(a)に画面構成の一例を示すように、情報端末10の表示画面には、顧客が金融機関宛に送った全ての振込情報が表示される。なお、振込情報は、店舗端末20等と連携することで、詳細を取得できるようにしてもよい。その場合は、画面右に割り当てられた「詳細」ボタンを押下することで、
図8(b)に示すように、その振込情報の詳細が表示される。顧客は、振込情報の一覧から振込を希望するものにチェックマークの付与と、「振込手続き」ボタンを押下することによって、勘定系システム80による振込処理が実行される。
【0081】
また、口座情報管理手段35によって、口座残金を抽出し、口座残高から振込予定欄に表示されている振込が可能か判定し、画面に表示するようにしてもよい。その場合、例えば、口座残高が40,000円であるとすると、一覧に表示されている「□○商店」と「○△支店」は、振込金額が合計で18,450円であるため、振込が可能である。そのため、口座残金の列に○が表示される。一方、「××営業所」の振込金額は、50,000円であるため、現在の口座残高では足りないため、口座残金の列に×と表示される。また、振込情報を金融機関に送ったものの、別のルート(例えば、コンビニ払い)で振込がなされた場合、金融機関にその情報が残ったままになってしまうため、顧客がその情報を「削除」ボタンを押下することで、振込情報を削除できるようにしてもよい。
【0082】
一方、顧客がATM60を利用した場合(ステップS34“ATM”)、振込情報抽出手段36は、顧客が利用しているATM60に振込情報を送信し、ATM60の端末画面に振込情報を表示させる(ステップS36)。
【0083】
他方、顧客が窓口を利用した場合(ステップS34“窓口”)、振込情報抽出手段36は、顧客が来店している窓口で使用されている行員の窓口端末70に振込情報を送信し、その振込情報が端末画面に表示される(ステップS37)。
【0084】
振込情報に基づいて、顧客によって振込手続きの確認入力が行われた場合(ステップS38“YES”)、顧客情報管理手段34は、振込手続きを行うために、勘定系システム80に振込情報を送信し、勘定系システム80によって振込される(ステップS39)。
【0085】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る振込案内通知サーバによれば、金融機関が顧客ごとにメールアドレスを発行して顧客に通知し、そのメールアドレスを介して、顧客の振込情報を取得し、顧客情報と紐付けて保存する。その後、顧客が金融機関のATMを操作した場合、又は顧客の情報端末を操作してネットバンキングにアクセスした場合に、保存した振込情報の内容をATM又は情報端末の画面に表示し、顧客による、振込情報の中から実行する振り込みの確認入力を得て、その振込情報に基づく振り込みを実行させる。この仕組みにより、利用者が実行しなければならない振込を容易に把握できる振込サービスを実現することができる。また、クレジットカードサービスでは、商品の購入とともに、決済がされてしまうが、振込決済を利用した場合、振込を行うまで時間があるため、例えば、衝動買い等をしてしまった商品の購入を見直すことができる。
【0086】
また、振込案内通知サーバは、顧客から振込情報が送信されると、顧客の口座情報を参照し、振込情報に記述されている振込金額が口座に入金されているか否かを情報端末に通知することで、口座残高の範囲内で実行可能な振込情報を確認できる。したがって、顧客は、事前にその振込実行の可否を確認でき、使い勝手が向上する。
【0087】
また、振込案内通知サーバは、振込を実行すると顧客の口座が残高不足になる場合でも、口座情報の過去の履歴情報を参照し、過去の履歴情報に基づいて、口座の入金予定情報を推測し、推測した入金予定情報を情報端末に通知することで、今後の入金予定の確認をとることができ、このため、一層使い勝手が向上する。
【0088】
また、振込案内通知サーバは、金融機関から顧客を識別する専用メールアドレスを通知する。そして、そのメールアドレスと顧客情報を紐付けることで、第三者からのなりすましを防止することができる。
【0089】
また、不特定多数の者が使用できる公開メールアドレスを使用することで、専用メールアドレスを持っていない顧客に対しても、サービス(例えば、複数メンバーでの飲食の会計)のときに、円滑な振込手続きが可能となる。また公開メールアドレスを、利用時間を限定し、定期的にアドレスを変更することで、第三者へのなりすまし対策にも貢献することができる。
【0090】
なお、上記の実施形態では、主にネット通販を例示したが、飲食等の会計や飲食等の代金のツケ払いにも適用が可能である。その場合は、店舗から利用料金を確認の上、顧客が専用メールアドレス宛に振込情報を送信することで、金融機関に顧客情報と振込情報が登録される。この仕組みを活用することにより、上記した実施形態と同様に、以降、顧客が金融機関のATMを操作した場合、顧客の情報端末を操作してネットバンキングにアクセスした場合、又は窓口を利用した場合に、保存した振込情報の内容をATM、情報端末の画面又は窓口の窓口端末70に表示し、顧客の確認入力を得て振込情報に基づく振込を実行させることができる。
【0091】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、振込案内通知サーバについて説明したが、本発明は、コンピュータ・プログラムの発明(振込案内通知サーバ用のプログラム)としても捉えることもできる。