(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された室内ユニット(即ち、吹出し気流の方向を上下方向だけに変更可能な室内ユニット)のユーザーが、吹出し気流の方向を左右方向にも変更したいと考える場合がある。例えば、オフィス空間等において特定の座席に居る人にばかり吹出し気流が当たる場合には、その特定の座席から吹出し気流が外れるように、吹出し気流の方向を左右方向に変更することが望まれる。
【0005】
このような要望を実現するため、特許文献1に開示された室内ユニットの吹出口の前方に、特許文献2の垂直羽根に相当する複数の案内羽根を配置することが考えられる。しかし、この複数の案内羽根だけを吹出口の前方に配置すると、吹出し気流が案内羽根に当たって拡散するため、吹出し気流を所望の方向に確実に案内することができないおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、間隔をおいて配置された複数の案内羽根を有し、空気調和装置の室内ユニットに取り付けられて吹出し気流の方向を案内羽根によって所望の方向へ案内できる風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、空気調和装置の室内ユニット(10)に取り付けられ、該室内ユニット(10)の吹出し気流の方向を調節する風向調整装置を対象とする。そして、上記室内ユニット(10)の吹出口(24a)の前方に互いに所定の間隔をおいて配列され、それぞれが回動することによって上記吹出し気流の方向を変更する複数の案内羽根(130)と、上記案内羽根(130)の上記吹出口(24a)とは逆側に該吹出口(24a)と向かい合うように設けられ、配列された全ての上記案内羽根(130)を覆う遮蔽板(110)とを備えるものである。
【0008】
第1の発明では、室内ユニット(10)の吹出口(24a)の前方に複数の案内羽根(130)が配置され、吹出口(24a)と向かい合うように遮蔽板(110)が配置される。遮蔽板(110)は、配列された全ての案内羽根(130)を、吹出口(24a)とは反対側から覆うように配置される。吹出口(24a)から吹き出された空気の流れ(即ち、吹出し気流)は、案内羽根(130)に当たることによって、その方向が変化する。一方、案内羽根(130)の吹出口(24a)の反対側には、遮蔽板(110)が配置されている。案内羽根(130)に当たって拡散しようとする吹出し気流は、遮蔽板(110)によって案内され、配列された案内羽根(130)の間を流れる。このため、吹出し気流の向きは、案内羽根(130)によって設定された所望の方向へ確実に変化する。
【0009】
第1の発明は、
上記の構成に加えて、上記遮蔽板(110)は、上記吹出口(24a)側の面である風受け面(113)に上記案内羽根(130)が取り付けられ、各上記案内羽根(130)は、上記遮蔽板(110)の上記風受け面(113)と交わる回転軸(130c)まわりに回動可能となっているものである。
【0010】
第1の発明では、遮蔽板(110)に取り付けられた案内羽根(130)が、遮蔽板(110)の風受け面(113)と交わる回転軸まわりに回動できる。遮蔽板(110)の風受け面(113)に沿って流れる吹出し気流は、その方向が風受け面(113)に取り付けられた案内羽根(130)によって変更される。
【0011】
第1の発明は、
上記の構成に加えて、底面に吹出口(24a)が形成された天井設置型の室内ユニット(10)に取り付けられるように構成される一方、上記遮蔽板(110)は、上記案内羽根(130)の配列方向に沿った外縁(
111)が上下に変位するように水平方向に対する角度が調節可能であり、上記案内羽根(130)は、上記遮蔽板(110)が最も下向きとなった状態で、上記遮蔽板(110)の下側の外縁(
111)よりも内側に上記案内羽根(130)の全体が位置するように配置されるものである。
【0012】
第1の発明の風向調整装置(100)は、天井設置型の室内ユニット(10)に、室内ユニット(10)の底部に形成された吹出口(24a)と遮蔽板(110)が向かい合うように取り付けられる。室内ユニット(10)に取り付けられた風向調整装置(100)において、遮蔽板(110)は、水平方向に対する角度が調節可能となっている。遮蔽板(110)が最も下向きとなった状態では、遮蔽板(110)の下側の外縁(
111)よりも内側に案内羽根(130)の全体が位置する。このため、遮蔽板(110)の姿勢にかかわらず、案内羽根(130)の全体が遮蔽板(110)の下側の外縁(
111)よりも内側に位置する。
【0013】
第2の発明は、上記第
1の発明において、上記遮蔽板(110)は、上記室内ユニット(10)の吹出口(24a)から上記案内羽根(130)へ向かう方向の後ろ側に位置し且つ上記案内羽根(130)の配列方向に沿って延びる後方縁部(115)が、上記室内ユニット(10)側へ反っているものである。
【0014】
ここで、室内ユニット(10)の吹出し気流が遮蔽板(110)に当たると、吹出し気流の一部が案内羽根(130)とは逆側に向かって流れる場合がある。一方、室内ユニット(10)では、吹出口(24a)に隣接して空気の吸込口(23)が形成されている場合がある。このため、吹出し気流の一部が案内羽根(130)とは逆側に向かって流れると、この吹出し気流の一部が室内ユニット(10)の吸込口(23)に吸い込まれる現象(いわゆる、ショートサーキット現象)が生じ、室内空間の温度を適切に調節できなくなるおそれがある。
【0015】
これに対し、
第2の発明の遮蔽板(110)は、室内ユニット(10)の吹出口(24a)から案内羽根(130)へ向かう方向の後ろ側に位置する後方縁部(115)が、室内ユニット(10)側に反った形状となっている。遮蔽板(110)に当たって案内羽根(130)とは逆側に向かって流れた吹出し気流は、室内ユニット(10)側に反った遮蔽板(110)の後方縁部(115)にぶつかる。
【0016】
第3の発明は、上記第1
又は第2の発明において、複数の上記案内羽根(130)が連動して回動するように複数の該案内羽根(130)を連結する連結部材(131)を備え、上記連結部材(131)は、上記案内羽根(130)における上記吹出し気流の方向の前側に位置する縁部に取り付けられ、上記連結部材(131)は、上記吹出し気流の方向の前側に突出して上記案内羽根(130)を変位させる際にユーザーが操作する突起部(132)を備えるものである。
【0017】
第3の発明では、複数の案内羽根(130)に連結部材(131)が取り付けられる。連結部材(131)に設けられた突起部(132)をユーザーが例えば指で摘んで連結部材(131)を移動させると、連結部材(131)が取り付けられた複数の案内羽根(130)が連動して回動する。連結部材(131)の突起部(132)は、吹出し気流の方向の前側に突出している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の風向調整装置(100)において、案内羽根(130)に当たって拡散しようとする吹出し気流は、遮蔽板(110)によって案内され、配列された案内羽根(130)の間を流れる。このため、室内ユニット(10)の吹出口(24a)からの吹出し気流の向きを、案内羽根(130)によって設定された方向へ確実に変化させることが可能となる。
【0019】
また、本発明では、遮蔽板(110)の風受け面(113)に沿って流れる吹出し気流の方向を、遮蔽板(110)の風受け面(113)に取り付けられた案内羽根(130)によって確実に変更することが可能となる。
【0020】
また、本発明の風向調整装置(100)は、天井設置型の室内ユニット(10)に取り付けられる。室内ユニット(10)の冷房運転中には、室内ユニット(10)の吹出口(24a)から比較的低温の空気が吹き出され、この低温の気流が案内羽根(130)に当たる。このため、案内羽根(130)の温度が低くなり、案内羽根(130)の表面で結露が生じるおそれがある。そして、案内羽根(130)から水滴が落下すると、室内ユニット(10)の下方に位置するユーザーや家具などが濡れてしまう。
【0021】
これに対し、
本発明では、遮蔽板(110)の姿勢にかかわらず、案内羽根(130)の全体が遮蔽板(110)の下側の外縁(
111)よりも内側に位置する。このため、案内羽根(130)の表面で生じた水滴が落下しても、落下した水滴を遮蔽板(110)で受け止めることができる。従って、この発明によれば、案内羽根(130)から落下した水滴によってユーザーや家具などが濡れるというトラブルを、未然に防ぐことができる。
【0022】
上記
第2の発明では、遮蔽板(110)に当たって案内羽根(130)とは逆側に向かって流れた吹出し気流は、室内ユニット(10)側に反った遮蔽板(110)の後方縁部(115)にぶつかるため、この後方縁部(115)よりも後方へ流れにくくなる。このため、吹出し気流の一部が室内ユニット(10)の吸込口(23)に吸い込まれるショートサーキット現象を抑えることができ、室内ユニット(10)による室内空間の温度調節を確実に行って室内の快適性を確保することができる。
【0023】
上記
第3の発明では、連結部材(131)の突起部(132)をユーザーが操作することによって、連結部材(131)が取り付けられた複数の案内羽根(130)が連動して変位する。ここで、風向調節装置では、吹出し気流をスムーズに流す必要があるため、吹出し気流の方向の前側の領域に吹出し気流を阻害するような部材を設けないのが通常である。つまり、風向調節装置のうち吹出し気流の方向の前側の領域は、ユーザーが手などで触れやすい場所である。一方、この発明では、連結部材(131)の突起部(132)が、吹出し気流の方向の前側に突出している。従って、この発明によれば、連結部材(131)の突起部(132)をユーザーが手などで操作し易くすることができ、風向調節装置の使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の風向調整装置(100)は、空気調和装置の室内ユニット(10)に取り付けられる。そして、後述する風向調整装置(100)のガイドユニット(140)及び遮蔽板(110)は、室内ユニット(10)の外部に配置される。
【0027】
−室内ユニット−
本実施形態の風向調整装置(100)が取り付けられる室内ユニット(10)の概要を説明する。
【0028】
図1に示すように、この室内ユニット(10)は、ケーシング(20)と化粧パネル(22)とを備え、天井設置型に構成されている。ケーシング(20)は、箱状に形成されており、その内部に熱交換器やファン等の構成機器が収容されている。化粧パネル(22)は、ケーシング(20)の底部を覆うように配置されている。室内ユニット(10)は、化粧パネル(22)が室内に露出するように設置される。
【0029】
化粧パネル(22)は、概ね正方形状に形成されている。化粧パネル(22)の中央部には、概ね正方形状の吸込口(23)が形成されている。また、化粧パネル(22)には、吸込口(23)の周囲を囲むように、矩形枠状の吹出開口(24)が形成されている。吹出開口(24)は、四つの主吹出口(24a)と、四つの副吹出口(24b)とに区分されている。各主吹出口(24a)は、化粧パネル(22)の辺に沿って配置された細長い開口である。各副吹出口(24b)は、化粧パネル(22)の角部に対応して配置された湾曲した開口である。
【0030】
化粧パネル(22)の各主吹出口(24a)には、主吹出口(24a)から吹き出される空気の流れ(即ち、主吹出口(24a)の吹出し気流)の方向を調整するための水平フラップ(53)が設けられている。水平フラップ(53)は、主吹出口(24a)の長手方向に沿うように配置された細長い羽根状の部材である。水平フラップ(53)は、その長手方向に沿った回転軸まわりに回動するように構成されている。水平フラップ(53)をその回転軸まわりに変位させると、主吹出口(24a)の吹出し気流の方向が上下方向に変化する。
【0031】
−風向調整装置の構成−
本実施形態の風向調整装置(100)について、
図2〜
図7を適宜参照しながら説明する。なお、
図5〜
図7では、支持部材(120)及びリンク部材(123)の図示を省略している。
【0032】
風向調整装置(100)は、一つのガイドユニット(140)と、一つの遮蔽板(110)と、二つの支持部材(120)と、二つのリンク部材(123)とを備えている。詳しくは後述するが、ガイドユニット(140)は、遮蔽板(110)に取り付けられている。また、遮蔽板(110)は、二つの支持部材(120)と二つのリンク部材(123)とを介して室内ユニット(10)に取り付けられる。
【0033】
〈ガイドユニット〉
ガイドユニット(140)は、一つのベース部材(141)と、八枚の案内羽根(130)と、一つの連結部材(131)とを備えている。なお、案内羽根(130)の枚数は、単なる一例である。
【0034】
図2及び
図5に示すように、ベース部材(141)は、細長い長方形状の部材である。ベース部材(141)は、その長辺に沿った縁部が下方へ折れ曲がっている。このベース部材(141)は、遮蔽板(110)に固定されている。
【0035】
案内羽根(130)は、起立した姿勢で配置された平板状の部材である。
図3に示すように、案内羽根(130)は、その前縁(130a)側の上側の角部が斜めに切り欠かれ、その後縁(130b)の下部が後方へ突出している。各案内羽根(130)は、その前縁(130a)及び後縁(130b)と概ね平行な回転軸(130c)まわりに回動自在となっている。
図5に示すように、八枚の案内羽根(130)は、ベース部材(141)の長手方向に配列されている。これら八枚の案内羽根(130)は、互いに実質的に平行に配置されている。各案内羽根(130)の回転軸(130c)は、ベース部材(141)の幅方向の中心線(141a)上に、互いに所定の間隔D1をおいて配置されている。また、各案内羽根(130)の回転軸(130c)は、後述する遮蔽板(110)の風受け面(113)となす角度が概ね直角となっている。
【0036】
図2及び
図5に示すように、連結部材(131)は、棒状の部材である。連結部材(131)は、ベース部材(141)の中心線(141a)と実質的に平行に配置されている。連結部材(131)は、各案内羽根(130)の前縁(130a)寄りの下部に取り付けられている。連結部材(131)は、全ての案内羽根(130)に対して相対的に回動自在に取り付けられ、全ての案内羽根(130)を連結している。
【0037】
図5に示すように、連結部材(131)の長さ方向の中央部には、レバー(132)が設けられている。このレバー(132)は、案内羽根(130)の前縁(130a)よりも前方へ突出した突起部である。このレバー(132)は、ユーザーが案内羽根(130)を変位させる際に操作する部分である。ユーザーがレバー(132)を左右に動かすと、連結部材(131)が取り付けられた全ての案内羽根(130)が同じ方向へ互いに連動して変位する。
【0038】
〈遮蔽板〉
図5に示すように、遮蔽板(110)は、四隅が切り欠かれた概ね長方形板状の部材である。遮蔽板(110)の外縁は、一対の長辺の一方に対応する部分が前縁(111)となり、一対の長辺の他方に対応する部分が後縁(112)となる。
【0039】
図3に示すように、遮蔽板(110)は、その上面が室内ユニット(10)側を向く姿勢で配置される。この遮蔽板(110)の上面は、室内ユニット(10)の主吹出口(24a)と向かい合う風受け面(113)を構成している。風受け面(113)は、シート状の断熱材(116)によって覆われている。また、詳しくは後述するが、遮蔽板(110)の風受け面(113)には、ガイドユニット(140)が取り付けられている。
【0040】
遮蔽板(110)は、後縁(112)に沿って延びる後方縁部(115)が、風受け面(113)側へ反った形状となっている。また、遮蔽板(110)は、前縁(111)に沿って延びる前方縁部(114)も、風受け面(113)側へ僅かに反った形状となっている。ただし、後方縁部(115)の高さH1は、前方縁部(114)の高さH2よりも高い。
【0041】
遮蔽板(110)には、一対のブラケット(110a)が一体に形成されている。各ブラケット(110a)は、遮蔽板(110)の風受け面(113)から突出した厚板状の部分である。このブラケット(110a)は、遮蔽板(110)の後方縁部(115)付近の左端寄りと右端寄りに一つずつ配置されている。
【0042】
〈支持部材とリンク部材〉
支持部材(120)は、室内ユニット(10)の水平フラップ(53)の軸に取り付けられる部材であって、水平フラップ(53)の一端側と他端側に一つずつ配置される。リンク部材(123)は、棒状の部材であって、各支持部材(120)に一つずつ連結されている。各リンク部材(123)は、その一端が対応する支持部材(120)に対して回動可能に取り付けられ、その他端が対応する遮蔽板(110)のブラケット(110a)に回動可能に取り付けられる。ガイドユニット(140)が取り付けられた遮蔽板(110)は、支持部材(120)とリンク部材(123)とを介して、室内ユニット(10)に支持される。
【0043】
また、リンク部材(123)は、支持部材(120)と遮蔽板(110)のそれぞれに対して回動可能に取り付けられている。このため、遮蔽板(110)は、前縁(111)が上下に変位するように水平方向に対する角度θが調節可能となっている(
図4を参照)。
【0044】
〈ガイドユニットと遮蔽板の関係〉
ガイドユニット(140)は、遮蔽板(110)の風受け面(113)に取り付けられている。このガイドユニット(140)は、ベース部材(141)の中心線(141a)が遮蔽板(110)の前縁(111)と実質的に平行となるように配置されている。また、ガイドユニット(140)は、ベース部材(141)の中心線(141a)が、遮蔽板(110)の幅方向の中央よりも遮蔽板(110)の前縁(111)寄りに位置している。つまり、遮蔽板(110)の後縁(112)からベース部材(141)の中心線(141a)までの距離D2は、遮蔽板(110)の前縁(111)からベース部材(141)の中心線(141a)までの距離D3よりも長い(
図5を参照)。
【0045】
遮蔽板(110)は、八枚の案内羽根(130)を有するガイドユニット(140)の全体を下方から覆うことのできる大きさに形成されている。つまり、遮蔽板(110)の長さL1と幅W1は、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)をどの向きに設定した場合でも、上方または下方から見て、全ての案内羽根(130)の全体が遮蔽板(110)の周縁よりも内側に位置するような値となっている(
図5〜
図7を参照)。
【0046】
具体的に、上方から見て案内羽根(130)の前縁(130a)が最も左向きとなっている
図6の状態において、遮蔽板(110)の左端の外縁は、最も左に位置する案内羽根(130)の前縁(130a)よりも外側(左側)に位置している。また、上方から見て案内羽根(130)の前縁(130a)が最も右向きとなっている
図7の状態において、遮蔽板(110)の右端の外縁は、最も右に位置する案内羽根(130)の前縁(130a)よりも外側(右側)に位置している。また、遮蔽板(110)の幅W1は、案内羽根(130)の幅W2(即ち、前縁(130a)から後縁(130b)までの距離)よりも長くなっている。
【0047】
上述したように、遮蔽板(110)は、水平方向に対する角度θが調節可能となっている。
図4に示すように、本実施形態の遮蔽板(110)が最も下向き(即ち、前縁(111)が最も下方に位置する姿勢)となった状態において、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)は、その全体が遮蔽板(110)の前縁(111)を通る鉛直線(
図4の二点鎖線)よりも遮蔽板(110)の幅方向の中央寄り(
図4における左寄り)に位置している。つまり、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)は、その全体が遮蔽板(110)の前縁(111)よりも内側に位置している。
【0048】
なお、本実施形態の風向調整装置(100)では、遮蔽板(110)が最も下向きとなった状態(
図4に示す状態)においても、遮蔽板(110)は、下方から見て室内ユニット(10)の化粧パネル(22)とオーバーラップしている。従って、この状態においても、遮蔽板(110)の風受け面(113)は、室内ユニット(10)の吹出口と実質的に向かい合っているといえる。
【0049】
−風向調整装置の作用−
風向調節装置の作用について説明する。
【0050】
〈吹出し気流の方向の調整〉
室内ユニット(10)の主吹出口(24a)からは、化粧パネル(22)の外側へ向かって斜め下方へ空気が吹き出される。主吹出口(24a)から吹き出された空気の流れ(即ち、吹出し気流)は、風向調整装置(100)のガイドユニット(140)へ向かって流れ、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)に当たる。案内羽根(130)に当たった吹出し気流は、案内羽根(130)の表面に沿って流れ、その方向が案内羽根(130)の前縁(130a)へ向かう方向に変化する(
図6,
図7を参照)。
【0051】
案内羽根(130)に当たった吹出し気流は、案内羽根(130)の前縁(130a)へ向かう方向だけで無く、それ以外の方向(例えば、遮蔽板(110)へ向かう方向)にも拡散しようとする。特に、本実施形態の風向調整装置(100)では、案内羽根(130)に向かって斜め上方から吹出し気流が当たる。このため、本実施形態の風向調整装置(100)では、案内羽根(130)に当たって下方(即ち、遮蔽板(110)へ向かう方向)へ拡散しようとする空気の流量が比較的多くなる。
【0052】
本実施形態の風向調整装置(100)において、案内羽根(130)に当たって拡散しようとする吹出し気流は、遮蔽板(110)によって案内され、配列された案内羽根(130)の間を、案内羽根(130)の前縁(130a)へ向かって流れる。このため、本実施形態の風向調整装置(100)では、主吹出口(24a)から風向調整装置(100)へ向かって流れてきた吹出し気流の大部分が、案内羽根(130)に沿って案内羽根(130)の前縁(130a)に向かって流れる。
【0053】
上述したように、風向調整装置(100)では、遮蔽板(110)の風受け面(113)に沿って空気が流れる。このため、遮蔽板(110)の水平方向に対する角度θを変更すると、風向調整装置(100)を通過した吹出し気流の方向が、上下方向に変化する。つまり、この角度θが小さくなるほど、風向調整装置(100)を通過した吹出し気流の方向が水平方向に近づき、この角度θが大きくなるほど、風向調整装置(100)を通過した吹出し気流の方向が鉛直下方に近づく。
【0054】
このように、本実施形態の風向調整装置(100)において、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)の向きを変更すれば、吹出し気流の方向が左右に変化し、遮蔽板(110)の水平方向に対する角度θを変更すれば、吹出し気流の方向が上下に変化する。
【0055】
〈ショートサーキットの抑制〉
遮蔽板(110)の水平方向に対する角度θが小さくなるほど、室内ユニット(10)の吹出し気流の方向と遮蔽板(110)のなす角度が直角に近づく。このため、遮蔽板(110)の水平方向に対する角度θが比較的小さい状態(例えば、
図3に示す状態)において、遮蔽板(110)に当たった吹出し気流の一部は、遮蔽板(110)の後縁(112)に向かって流れようとする。
【0056】
一方、室内ユニット(10)では、主吹出口(24a)に隣接して吸込口(23)が配置されている。このため、遮蔽板(110)に当たった吹出し気流が遮蔽板(110)の後縁(112)よりも後方へ流れると、この吹出し気流が吸込口(23)から室内ユニット(10)へ吸い込まれる現象(いわゆる、ショートサーキット現象)が生じるおそれがある。ショートサーキット現象が生じると、主吹出口(24a)から吹き出された空気が室内の温度調節に寄与すること無く室内ユニット(10)へ吸い込まれるため、室内空間の温度を適切に調節できなくなるおそれがある。
【0057】
これに対し、本実施形態の遮蔽板(110)は、後縁(112)に沿った後方縁部(115)が風受け面(113)側に反っている。遮蔽板(110)に当たって遮蔽板(110)の後縁(112)へ向かう吹出し気流は、風受け面(113)側に反った後方縁部(115)に当たるため、遮蔽板(110)の後縁(112)よりも後方へ到達しにくくなる。このため、遮蔽板(110)の水平方向に対する角度θが比較的小さい状態(例えば、
図3に示す状態)においても、いわゆるショートカット現象が抑制される。
【0058】
〈水滴の落下防止〉
室内ユニット(10)の冷房運転中には、室内ユニット(10)の吹出口から比較的低温の空気が吹き出され、この低温の気流がガイドユニット(140)の案内羽根(130)に当たる。このため、案内羽根(130)の温度が低くなり、案内羽根(130)の表面で結露が生じるおそれがある。そして、案内羽根(130)の表面で生じた凝縮水が水滴となって落下すると、室内ユニット(10)の下方に位置するユーザーや家具などが濡れてしまう。
【0059】
一方、本実施形態の風向調整装置(100)では、遮蔽板(110)の姿勢にかかわらず、案内羽根(130)の全体が遮蔽板(110)の前縁(111)よりも内側に位置する。このため、案内羽根(130)の表面で生じた水滴が落下しても、落下した水滴は遮蔽板(110)によって受け止められる。従って、案内羽根(130)から落下した水滴によってユーザーや家具などが濡れるというトラブルは、未然に防止される。
【0060】
−室内ユニットの水平フラップの向き−
本実施形態の風向調整装置(100)によって室内ユニット(10)の吹出し気流の方向を左右方向に変化させるには、室内ユニット(10)の吹出し気流をガイドユニット(140)の案内羽根(130)に当てる必要がある。一方、室内ユニット(10)の主吹出口(24a)には、吹出し気流の方向を上下方向に調節するための水平フラップ(53)が設けられている。
【0061】
そこで、室内ユニット(10)では、風向調整装置(100)が取り付けられた主吹出口(24a)の水平フラップ(53)の姿勢が、その主吹出口(24a)からの吹出し気流が風向調整装置(100)の案内羽根(130)に当たるような姿勢に設定される。その結果、
図8に太い矢印で示すように、風向調整装置(100)が取り付けられた主吹出口(24a)から吹き出された空気は、その主吹出口(24a)から案内羽根(130)へ向かって流れる。そして、この主吹出口(24a)の吹出し気流は、複数の案内羽根(130)の間を通過することによって、案内羽根(130)の前縁(130a)へ向かって案内される。
【0062】
ここで、風向調整装置(100)を室内ユニット(10)に取り付ける際の手順を説明する。先ず、風向調整装置(100)を室内ユニット(10)に固定する。次に、遮蔽板(110)の向き(
図4に示す角度θ)を、ユーザーの希望する向きに設定する。その後、風向調整装置(100)が取り付けられた主吹出口(24a)の水平フラップ(53)を、その主吹出口(24a)からの吹出し気流が案内羽根(130)に当たるような向きに設定する。
【0063】
このように、風向調整装置(100)が取り付けられた主吹出口(24a)の水平フラップ(53)の向きは、風向調整装置(100)の遮蔽板(110)の向きに応じて設定される。従って、遮蔽板(110)が
図4に示す状態となっている場合の水平フラップ(53)は、遮蔽板(110)が
図3に示す状態となっている場合の水平フラップ(53)に比べて、下向きとなる。
【0064】
なお、ガイドユニット(140)の案内羽根(130)による吹出し気流の方向の変更を一時的に止めたい場合は、風向調整装置(100)が取り付けられた主吹出口(24a)の水平フラップ(53)を、その主吹出口(24a)からの吹出し気流が案内羽根(130)に当たらないような向きに設定してもよい。例えば、風向調整装置(100)の遮蔽板(110)を最も下向き(
図4に示す状態)とする一方、主吹出口(24a)からの吹出し気流の方向が概ね水平方向となるように水平フラップ(53)の向きを設定すれば、その主吹出口(24a)からの吹出し気流は、案内羽根(130)に当たらずに直進する。
【0065】
−実施形態の効果−
本実施形態の風向調整装置(100)において、案内羽根(130)に当たって拡散しようとする吹出し気流は、遮蔽板(110)によって案内され、配列された案内羽根(130)の間を流れる。このため、室内ユニット(10)の吹出し気流の向きを、案内羽根(130)によって設定された方向へ確実に変化させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態の風向調整装置(100)では、遮蔽板(110)の姿勢にかかわらず、案内羽根(130)の全体が遮蔽板(110)の前縁(111)よりも内側に位置する。このため、案内羽根(130)の表面から落下した水滴を遮蔽板(110)で受け止めることができ、案内羽根(130)から落下した水滴によってユーザーや家具などが濡れるというトラブルを、未然に防ぐことができる。
【0067】
また、本実施形態の風向調整装置(100)では、遮蔽板(110)の後方縁部(115)が風受け面(113)側に反っている。このため、遮蔽板(110)に当たって遮蔽板(110)の後縁(112)へ向かう吹出し気流は、風受け面(113)側に反った後方縁部(115)に当たるため、遮蔽板(110)の後縁(112)よりも後方へ到達しにくくなる。従って、本実施形態によれば、吹出し気流の一部が室内ユニット(10)の吸込口(23)に吸い込まれるショートサーキット現象を抑えることができ、室内ユニット(10)に室内空間の温度調節を確実に行わせて室内の快適性を確保することができる。
【0068】
ここで、本実施形態の風向調節装置では、吹出し気流をスムーズに流す必要があるため、吹出し気流の方向の前側の領域に吹出し気流を阻害するような部材は設けられていない。つまり、風向調節装置のうち吹出し気流の方向の前側の領域は、ユーザーが手などで触れやすい場所である。一方、本実施形態では、連結部材(131)のレバー(132)が、吹出し気流の方向の前側に突出している。従って、本実施形態によれば、連結部材(131)のレバー(132)をユーザーが手などで操作し易くすることができ、風向調節装置の使い勝手を向上させることができる。
【0069】
−実施形態の変形例−
本実施形態の風向調整装置(100)は、複数のガイドユニット(140)を備えていてもよい。本変形例の風向調整装置(100)の遮蔽板(110)には、例えばそれぞれが四枚ずつの案内羽根(130)を有する二つのガイドユニット(140)が、左右に並んで取り付けられていてもよい。