(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガスケットにおける前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域側の第1突出部は、前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域とは反対側の第2突出部よりも突出量が大きく、
密封対象流体の流体圧力が前記ガスケットに作用していない状態においては、第1突出部は前記溝底に接しており、第2突出部は前記溝底には接していないことを特徴とする請求項1に記載の密封構造。
互いに固定される2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝であって、該環状溝における一対の溝側面には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている環状溝に装着され、前記2部材間の隙間を封止するガスケットにおいて、
一対の側面には、これら一対の側面間の距離が前記溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられ、
前記溝底に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝が設けられ、
前記一対の側面のうち密封対象流体が密封されている領域側の側面には、密封対象流体を前記受圧溝に導く導入溝が形成されると共に、
前記環状溝における密封対象流体が密封されている領域とは反対側の溝側面と、前記2部材のうちの他方の部材の端面とに密着することにより、前記2部材間の隙間を封止することを特徴とするガスケット。
前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域側の第1突出部は、前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域とは反対側の第2突出部よりも突出量が大きく、
密封対象流体の流体圧力が作用されていない状態においては、第1突出部は前記溝底に接しており、第2突出部は前記溝底には接していないことを特徴とする請求項4に記載のガスケット。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに固定される2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着され、これら2部材間の隙間を封止するガスケットが知られている。また、製法上等の理由により、ガスケットが装着される環状溝の溝幅が、溝底に向かうにつれて狭くなるように構成される場合がある。このような場合に、ガスケットの装着状態を安定させるために、ガスケットにおける溝底に対向する対向面側に環状の凹部が設けられる技術が知られている(特許文献1参照)。このような従来例に係る密封構造及びガスケットについて、
図12及び
図13を参照して説明する。
図12及び
図13は従来例に係る密封構造の模式的断面図である。なお、
図12においては、ガスケットに対して流体圧力が作用していない状態を示し、
図13においては、ガスケットに対して流体圧力が作用している状態を示している。
【0003】
ガスケット400は、互いに固定される2部材間の隙間を封止するために用いられる。なお、説明の便宜上、2部材のうちの一方の部材を第1部材200、他方の部材を第2部材300と称する。そして、第1部材200には、環状溝250が設けられている。この環状溝250にガスケット400が装着され、ガスケット400が第1部材200と第2部材300のそれぞれに密着することによって、第1部材200と第2部材300との間の隙間が封止される。
【0004】
上記従来例に係る環状溝250は、溝幅が溝底に向かうにつれて狭くなるように構成されている。そして、ガスケット400における溝底に対向する対向面側には環状の凹部410が設けられている。このように構成される密封構造によって、環状溝250に対してガスケット400は安定的に装着される。なお、
図12において、点線はガスケット400が外力を受けていない状態を示している。
【0005】
しかしながら、密封対象流体の流体圧力が高くなる環境下においては、以下の点が懸念される。
図12及び
図13において、(A)は密封対象流体が密封されている領域側を示し、(B)は密封対象流体が密封されている領域とは反対側を示している。密封対象流体の流体圧力が高くなると、ガスケット400は、環状溝250における図中(B)側に押し付けられた状態となる。ここで、このガスケット400には環状の凹部410が設けられているため、凹部410が設けられている側の剛性は、第2部材300に密着している面側の剛性よりも低い。従って、流体圧力によって、ガスケット400に対して、環状溝250の溝底側に向かって圧縮されるような力が作用することになる。これにより、流体圧力が高い環境下では、第2部材300に対するガスケット400の面圧が低下して、密封性能が低下してしまうことが懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、溝底に向かうにつれて溝幅が狭くなる環状溝にガスケットが装着される場合に、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能を発揮可能とする密封構造及びガスケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、本発明の密封構造は、
互いに固定される2部材と、
これら2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着され、前記2部材間の隙間を封止するガスケットと、
を備える密封構造において、
前記環状溝における一対の溝側面には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられ、
前記ガスケットにおける一対の側面には、これら一対の側面間の距離が前記溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられ、
前記ガスケットにおける前記溝底に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝が設けられ、
前記一対の側面のうち密封対象流体が密封されている領域側の側面には、密封対象流体を前記受圧溝に導く導入溝が形成されると共に、
前記ガスケットが、前記環状溝における密封対象流体が密封されている領域とは反対側の溝壁面と、前記2部材のうちの他方の部材の端面とに密着することにより、前記2部材間の隙間が封止されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のガスケットは、
互いに固定される2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝であって、該環状溝における一対の溝側面には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている環状溝に装着され、前記2部材間の隙間を封止するガスケットにおいて、
一対の側面には、これら一対の側面間の距離が前記溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられ、
前記溝底に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝が設けられ、
前記一対の側面のうち密封対象流体が密封されている領域側の側面には、密封対象流体を前記受圧溝に導く導入溝が形成されると共に、
前記環状溝における密封対象流体が密封されている領域とは反対側の溝側面と、前記2部材のうちの他方の部材の端面とに密着することにより、前記2部材間の隙間を封止することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、密封対象流体が導入溝から受圧溝へと導かれる。これにより、密封対象流体の流体圧力が高まるにつれて、ガスケットは、環状溝における密封対象流体が密封されている領域とは反対側の溝側面と、2部材のうちの他方の部材の端面とに対して、それぞれ押し付けられる。このように、ガスケットは、流体圧力によって、セルフシール機能が発揮される。従って、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能が発揮される。
【0012】
ここで、前記ガスケットにおける前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域側の第1突出部は、前記受圧溝を介して密封対象流体が密封されている領域とは反対側の第2突出部よりも突出量が大きく、
密封対象流体の流体圧力が前記ガスケットに作用していない状態においては、第1突出部は前記溝底に接しており、第2突出部は前記溝底には接していないとよい。
【0013】
このように、流体圧力がガスケットに作用していない状態においても、密封対象流体が密封されている領域側の第1突出部が環状溝の溝底に接しているため、流体圧力が作用し
た際に、ガスケットが溝底側に向かって圧縮されてしまうことが抑制される。
【0014】
なお、環状溝の溝底のうち第1突出部が接する部位は平面により構成されていると好適である。
【0015】
これにより、流体圧力が作用した際に、ガスケットが溝底側に向かって圧縮されてしまうことを、より効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、溝底に向かうにつれて溝幅が狭くなる環状溝にガスケットが装着される場合に、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能を発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(実施例1)
図1〜
図5を参照して、本発明の実施例1に係る密封構造及びガスケットについて説明する。
図1は本発明の実施例1に係るガスケットの平面図である。
図2は本発明の実施例1に係るガスケットの裏面図の一部である。なお、
図2は
図1中の円Oの部位を裏側から見た図である。
図3は本発明の実施例1に係る2部材のうちの一方の部材の平面図である。
図4及び
図5は本発明の実施例1に係る密封構造の模式的断面図である。なお、
図4及び
図5中のガスケットは
図1中のAA断面図に相当し、
図4及び
図5中の一方の部材は
図3中のBB断面図に相当する。また、
図4においては、ガスケットに対して流体圧力が作用していない状態を示し、
図5においては、ガスケットに対して流体圧力が作用している状態を示している。また、
図4及び
図5中、(A)は密封対象流体が密封されている領域側を示し、(B)は密封対象流体が密封されている領域とは反対側を示している。以下、説明の便宜上、密封領域側(A)、反対側(B)と称する。
【0020】
<密封構造>
本実施例に係る密封構造は、互いに固定される2部材と、これら2部材間の隙間を封止するゴム状弾性体製のガスケット100とから構成される。以下、説明の便宜上、2部材
のうちの一方の部材を第1部材200、他方の部材を第2部材300と称する。そして、第1部材200には、環状溝210が設けられている。この環状溝210にガスケット100が装着され、ガスケット100が第1部材200と第2部材300のそれぞれに密着することによって、第1部材200と第2部材300との間の隙間が封止される。
【0021】
環状溝210における一対の溝側面211,212には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例に係る環状溝210においては、溝側面211,212は大部分が平面状の傾斜面で構成され、溝底面は湾曲面となるように構成されている。
【0022】
<ガスケット>
ガスケット100について、より詳細に説明する。ガスケット100の平面形状は、第1部材200に設けられた環状溝210と相似形状となるように設計されている。そして、ガスケット100における一対の側面111,112には、これら一対の側面111,112間の距離が、環状溝210の溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例に係るガスケット100においては、一対の側面111,112の大部分が平面状の傾斜面で構成されている。また、これら一対の側面111,112の傾斜角度は、環状溝210における一対の溝側面211,212における傾斜面の傾斜角度と同一となるように設計されている。
【0023】
そして、ガスケット100における溝底(環状溝210の溝底)に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝120が設けられている。この受圧溝120は、ガスケット100の幅方向中央に、ガスケット100が伸びる方向に沿って、全周に亘って設けられている。
【0024】
また、ガスケット100における一対の側面111,112のうち密封領域側(A)の側面112には、密封対象流体を受圧溝120に導く導入溝130が形成されている。この導入溝130は、ガスケット100において、第2部材300の端面に密着する側の端部から環状溝210の溝底側の端部に至るまで設けられている。つまり、
図4及び
図5において、導入溝130は、ガスケット100の高さ方向の一方の端部から他方の端部に至るまで設けられている。なお、導入溝130は、複数個所に設けられている。導入溝130の配置個数及び配置位置については、ガスケット100の形状や大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0025】
<密封メカニズム>
特に、
図4及び
図5を参照して、本実施例に係る密封構造の密封メカニズムについて説明する。本実施例に係る密封構造においては、密封領域側(A)の密封対象流体は、ガスケット100における導入溝130から環状溝210内へと導かれ、ガスケット100の受圧溝120へと導かれる(
図4中、矢印X参照)。そのため、密封領域側(A)の流体圧力が高くなると、ガスケット100における受圧溝120の内壁面などに流体圧力Pが作用する(
図5参照)。これにより、ガスケット100は、環状溝210における反対側(B)の溝壁面と、第2部材300の端面とに密着し、第1部材200と第2部材300との間の隙間が封止される。
【0026】
<本実施例に係る密封構造及びガスケットの優れた点>
本実施例に係る密封構造及びガスケット100によれば、密封対象流体は、ガスケット100における導入溝130から受圧溝120へと導かれる。これにより、密封対象流体の流体圧力が高まるにつれて、ガスケット100は、第1部材200に設けられた環状溝210における反対側(B)の溝側面211と、第2部材300の端面とに対して、それぞれ押し付けられる。このように、ガスケット100は、流体圧力によって、セルフシー
ル機能が発揮される。従って、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能が発揮される。
【0027】
(実施例2)
図6及び
図7には、本発明の実施例2が示されている。基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図6及び
図7は本発明の実施例2に係る密封構造の模式的断面図である。なお、
図6及び
図7中のガスケットは
図1中のAA断面図に相当し、
図6及び
図7中の一方の部材(第1部材)は
図3中のBB断面図に相当する。また、
図6においては、ガスケットに対して流体圧力が作用していない状態を示し、
図7においては、ガスケットに対して流体圧力が作用している状態を示している。
【0028】
密封構造全体の構成については、上記実施例1と同様であるので、その説明は適宜省略する。本実施例においても、第1部材200に設けられる環状溝220の一対の溝側面221,222には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。そして、環状溝220における溝側面221,222は大部分が平面状の傾斜面で構成されているが、溝底面223は、実施例1の場合とは異なり、平面で構成されている。
【0029】
本実施例に係るゴム状弾性体製のガスケット100aにおいても、その平面形状は、第1部材200に設けられた環状溝220と相似形状となるように設計されている。そして、ガスケット100aにおける一対の側面111a,112aには、これら一対の側面111a,112a間の距離が、環状溝220の溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例に係るガスケット100aにおいても、一対の側面111a,112aの大部分が平面状の傾斜面で構成されている。また、これら一対の側面111a,112aの傾斜角度は、環状溝220における一対の溝側面221,222における傾斜面の傾斜角度と同一となるように設計されている。
【0030】
そして、ガスケット100aにおける溝底(環状溝220の溝底)に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝120aが設けられている。この受圧溝120aは、ガスケット100aの幅方向中央に、ガスケット100aが伸びる方向に沿って、全周に亘って設けられている。
【0031】
また、ガスケット100aにおける一対の側面111a,112aのうち密封領域側(A)の側面112aには、密封対象流体を受圧溝120aに導く導入溝130aが形成されている。この導入溝130aは、ガスケット100aにおいて、第2部材300の端面に密着する側の端部から環状溝220の溝底側の端部に至るまで設けられている。つまり、
図6及び
図7において、導入溝130aは、ガスケット100aの高さ方向の一方の端部から他方の端部に至るまで設けられている。なお、導入溝130aは、複数個所に設けられている。導入溝130aの配置個数及び配置位置については、ガスケット100aの形状や大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0032】
そして、本実施例に係るガスケット100aにおいては、受圧溝120aを介して密封領域側(A)の第1突出部100aXは、受圧溝120aを介して反対側(B)の第2突出部100aYよりも突出量が大きくなるように設計されている。そして、密封対象流体の流体圧力がガスケット100aに作用していない状態においては、第1突出部100aXは環状溝220の溝底面223に接しており、第2突出部100aYは溝底面223には接していない(
図6参照)。なお、第1突出部100aX及び第2突出部100aYは、いずれも環状に設けられていることは言うまでもない。
【0033】
密封メカニズムについては、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0034】
以上のように構成された本実施例に係る密封構造及びガスケット100aにおいても、上記実施例1の場合と同様に、流体圧力によって、セルフシール機能が発揮される。従って、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能が発揮される。また、本実施例の場合には、流体圧力がガスケット100aに作用していない状態においても、密封領域側(A)の第1突出部100aXが環状溝220の溝底面223に接しているため、流体圧力が作用した際に、ガスケット100aが溝底側に向かって圧縮されてしまうことが抑制される。また、環状溝220の溝底のうち第1突出部100aXが接する部位は平面により構成されているため、流体圧力が作用した際に、ガスケット100aが溝底側に向かって圧縮されてしまうことを、より効果的に抑制することができる。
【0035】
(実施例3)
図8及び
図9には、本発明の実施例3が示されている。基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8及び
図9は本発明の実施例3に係る密封構造の模式的断面図である。なお、
図8及び
図9中のガスケットは
図1中のAA断面図に相当し、
図8及び
図9中の一方の部材(第1部材)は
図3中のBB断面図に相当する。また、
図8においては、ガスケットに対して流体圧力が作用していない状態を示し、
図9においては、ガスケットに対して流体圧力が作用している状態を示している。
【0036】
密封構造全体の構成については、上記実施例1と同様であるので、その説明は適宜省略する。本実施例においても、第1部材200に設けられる環状溝230の一対の溝側面231,232には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例においては、これらの傾斜面の傾斜角度が、上記実施例1の場合に比べて大きくなるように構成されている。
【0037】
本実施例に係るゴム状弾性体製のガスケット100bにおいても、その平面形状は、第1部材200に設けられた環状溝230と相似形状となるように設計されている。そして、ガスケット100bにおける一対の側面111b,112bには、これら一対の側面111b,112b間の距離が、環状溝230の溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例に係るガスケット100bにおいても、一対の側面111b,112bの大部分が平面状の傾斜面で構成されている。また、これら一対の側面111b,112bの傾斜角度は、環状溝230における一対の溝側面231,232における傾斜面の傾斜角度と同一となるように設計されている。従って、本実施例に係るガスケット100bにおける一対の側面111b,112bの傾斜角度は、実施例1の場合よりも大きくなっている。
【0038】
そして、ガスケット100bにおける溝底(環状溝230の溝底)に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝120bが設けられている。この受圧溝120bは、ガスケット100bの幅方向中央に、ガスケット100bが伸びる方向に沿って、全周に亘って設けられている。
【0039】
また、ガスケット100bにおける一対の側面111b,112bのうち密封領域側(A)の側面112bには、密封対象流体を受圧溝120bに導く導入溝130bが形成されている。この導入溝130bは、ガスケット100bにおいて、第2部材300の端面に密着する側の端部から環状溝230の溝底側の端部に至るまで設けられている。つまり、
図8及び
図9において、導入溝130bは、ガスケット100bの高さ方向の一方の端部から他方の端部に至るまで設けられている。なお、導入溝130bは、複数個所に設け
られている。導入溝130bの配置個数及び配置位置については、ガスケット100bの形状や大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0040】
密封メカニズムについては、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0041】
以上のように構成された本実施例に係る密封構造及びガスケット100bにおいても、上記実施例1の場合と同様に、流体圧力によって、セルフシール機能が発揮される。従って、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能が発揮される。また、本実施例の場合には、環状溝230における一対の溝側面231,232の傾斜面の傾斜角度と、ガスケット100bにおける一対の側面111b,112bの傾斜角度が、上記実施例1の場合に比べて大きくなるように設計されている。従って、流体圧力が作用した際に、ガスケット100bが溝底側に向かって圧縮されてしまうことが、実施例1の場合よりも、より一層抑制される。
【0042】
(実施例4)
図10及び
図11には、本発明の実施例4が示されている。基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図10及び
図11は本発明の実施例4に係る密封構造の模式的断面図である。なお、
図10及び
図11中のガスケットは
図1中のAA断面図に相当し、
図10及び
図11中の一方の部材(第1部材)は
図3中のBB断面図に相当する。また、
図10においては、ガスケットに対して流体圧力が作用していない状態を示し、
図11においては、ガスケットに対して流体圧力が作用している状態を示している。
【0043】
密封構造全体の構成については、上記実施例1と同様であるので、その説明は適宜省略する。本実施例においても、第1部材200に設けられる環状溝240の一対の溝側面241,242には、溝幅が溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。本実施例においては、これらの傾斜面の傾斜角度が、上記実施例1の場合に比べて大きくなるように構成されている。
【0044】
本実施例に係るゴム状弾性体製のガスケット100cにおいても、その平面形状は、第1部材200に設けられた環状溝240と相似形状となるように設計されている。そして、ガスケット100cにおける一対の側面111c,112cには、これら一対の側面111c,112c間の距離が、環状溝240の溝底に向かって狭くなるように、それぞれ傾斜面が備えられている。なお、本実施例の場合には、一対の側面111c,112cのうち環状溝240の溝底側は傾斜面で構成され、第2部材300の端面に密着する側は、側面111cと側面112cが平行となるように構成されている。また、本実施例に係るガスケット100cにおいても、一対の側面111c,112cにおける傾斜面で構成された部分の大部分は、平面状の傾斜面で構成されている。また、これら一対の側面111c,112cにおける傾斜面の傾斜角度は、環状溝240における一対の溝側面241,242における傾斜面の傾斜角度と同一となるように設計されている。従って、本実施例に係るガスケット100cにおける一対の側面111c,112cのうちの傾斜面の傾斜角度は、実施例1の場合よりも大きくなっている。
【0045】
そして、ガスケット100cにおける溝底(環状溝240の溝底)に対向する対向面側には、密封対象流体の流体圧力を受ける環状の受圧溝120cが設けられている。この受圧溝120cは、ガスケット100cの幅方向中央に、ガスケット100cが伸びる方向に沿って、全周に亘って設けられている。
【0046】
また、ガスケット100cにおける一対の側面111c,112cのうち密封領域側(
A)の側面112cには、密封対象流体を受圧溝120cに導く導入溝130cが形成されている。この導入溝130cは、ガスケット100cにおいて、第2部材300の端面に密着する側の端部から環状溝240の溝底側の端部に至るまで設けられている。つまり、
図10及び
図11において、導入溝130cは、ガスケット100cの高さ方向の一方の端部から他方の端部に至るまで設けられている。なお、導入溝130cは、複数個所に設けられている。導入溝130cの配置個数及び配置位置については、ガスケット100cの形状や大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0047】
密封メカニズムについては、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0048】
以上のように構成された本実施例に係る密封構造及びガスケット100bにおいても、上記実施例1の場合と同様に、流体圧力によって、セルフシール機能が発揮される。従って、密封対象流体の流体圧力が高くなっても安定した密封性能が発揮される。また、本実施例の場合には、環状溝240における一対の溝側面241,242の傾斜面の傾斜角度と、ガスケット100cにおける一対の側面111c,112cのうちの傾斜面の傾斜角度が、上記実施例1の場合に比べて大きくなるように設計されている。従って、流体圧力が作用した際に、ガスケット100cが溝底側に向かって圧縮されてしまうことが、実施例1の場合よりも、より一層抑制される。