(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)ポリオレフィン系樹脂が、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を含み、樹脂組成物層が、酸無水物基とエポキシ基の反応により形成された架橋構造を有する、請求項10に記載の封止用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
耐透湿性を高めるために、ポリオレフィン系樹脂を含む封止用樹脂組成物に吸湿性金属酸化物を添加すると、透明性が低下するという問題が生じる。従って本発明の目的は、熱劣化の問題を回避し得るポリオレフィン系樹脂を使用した上で、良好な耐透湿性および透明性を併せ持つ封止用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂に特定の金属水酸化物を添加することにより、上記目的を達成し得ることを見出した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
【0008】
[1] (A)ポリオレフィン系樹脂、並びに(B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物を含む封止用樹脂組成物。
【0009】
[2] (A)ポリオレフィン系樹脂が、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂および/またはエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を含む前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (A)ポリオレフィン系樹脂中の酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の量が、0〜70質量%である前記[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (A)ポリオレフィン系樹脂中のエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の量は、0〜70質量%である前記[2]または[3]に記載の樹脂組成物。
【0010】
[5] (A)ポリオレフィン系樹脂が、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を含む前記[1]に記載の樹脂組成物。
[6] (A)ポリオレフィン系樹脂中の酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の量が、10〜50質量%である前記[5]に記載の樹脂組成物。
[7] (A)ポリオレフィン系樹脂中のエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の量は、10〜50質量%である前記[5]または[6]に記載の樹脂組成物。
【0011】
[8] エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂のエポキシ基と、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の酸無水物基とのモル比(エポキシ基:酸無水物基)が、100:10〜100:200である前記[5]〜[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[9] エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂のエポキシ基と、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の酸無水物基とのモル比(エポキシ基:酸無水物基)が、100:50〜100:150である前記[5]〜[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[10] エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂のエポキシ基と、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の酸無水物基とのモル比(エポキシ基:酸無水物基)が、100:90〜100:110である前記[5]〜[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0012】
[11] 酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂中の酸無水物基の濃度が、0.05〜10mmol/gである前記[2]〜[10]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[12] 酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂中の酸無水物基の濃度が、0.1〜5mmol/gである前記[2]〜[10]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0013】
[13] エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂中のエポキシ基の濃度が、0.05〜10mmol/gである前記[2]〜[12]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[14] エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂中のエポキシ基の濃度が、0.1〜5mmol/gである前記[2]〜[12]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0014】
[15] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、1,000,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[16] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、750,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[17] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、500,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[18] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、400,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[19] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、300,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[20] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、200,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[21] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、150,000以下である前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0015】
[22] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、1,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[23] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、3,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[24] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、5,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[25] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、10,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[26] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、30,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[27] (A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が、50,000以上である前記[1]〜[21]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0016】
[28] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、80質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[29] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、75質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[30] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、70質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[31] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、60質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[32] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、55質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[33] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、50質量%以下である前記[1]〜[27]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0017】
[34] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、1質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[35] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、3質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[36] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[37] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、7質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[38] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、10質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[39] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、35質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[40] (A)ポリオレフィン系樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、40質量%以上である前記[1]〜[33]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0018】
[41] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物が、半焼成ハイドロタルサイトからなる前記[1]〜[40]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0019】
[42] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物のBET比表面積が、1〜200m
2/gである前記[1]〜[41]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[43] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物のBET比表面積が、5〜150m
2/gである前記[1]〜[41]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0020】
[44] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の平均粒子径が、1〜1000nmである前記[1]〜[43]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[45] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の平均粒子径が、10〜500nmである前記[1]〜[43]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0021】
[46] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、60質量%以下である前記[1]〜[45]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[47] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、55質量%以下である前記[1]〜[45]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[48] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、50質量%以下である前記[1]〜[45]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[49] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、45質量%以下である前記[1]〜[45]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0022】
[50] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、10質量%以上である前記[1]〜[49]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[51] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、20質量%以上である前記[1]〜[49]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[52] (B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、30質量%以上である前記[1]〜[49]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0023】
[53] さらに(C)粘着付与樹脂を含む前記[1]〜[52]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0024】
[54] (C)粘着付与樹脂の軟化点が、50〜200℃である前記[53]に記載の樹脂組成物。
[55] (C)粘着付与樹脂の軟化点が、90〜180℃である前記[53]に記載の樹脂組成物。
[56] (C)粘着付与樹脂の軟化点が、100〜150℃である前記[53]に記載の樹脂組成物。
【0025】
[57] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、80質量%以下である前記[53]〜[56]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[58] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、60質量%以下である前記[53]〜[56]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[59] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、50質量%以下である前記[53]〜[56]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[60] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、40質量%以下である前記[53]〜[56]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0026】
[61] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以上である前記[53]〜[60]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[62] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、10質量%以上である前記[53]〜[60]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[63] (C)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、15質量%以上である前記[53]〜[60]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0027】
[64] さらに(D)硬化剤を含む前記[1]〜[63]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0028】
[65] (D)硬化剤の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以下である前記[64]に記載の樹脂組成物。
[66] (D)硬化剤の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、1質量%以下である前記[64]に記載の樹脂組成物。
【0029】
[67] (D)硬化剤の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、0.01質量%以上である前記[64]〜[66]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[68] (D)硬化剤の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、0.05質量%以上である前記[64]〜[66]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0030】
[69] 吸湿性金属酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、1質量%以下である前記[1]〜[68]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[70] 吸湿性金属酸化物の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、0.5質量%以下である前記[1]〜[68]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0031】
[71] 感圧性接着剤である前記[1]〜[70]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[72] 有機EL素子の封止用である前記[1]〜[71]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0032】
[73] 厚さが20μmである樹脂組成物層の波長450nmでの全光線透過率(平行線透過率)が、90%以上である前記[1]〜[72]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[74] 厚さが20μmである樹脂組成物層の波長450nmでの全光線透過率(平行線透過率)が、95%以上である前記[1]〜[72]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0033】
[75] 前記[1]〜[74]のいずれか一つに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層が支持体の片面または両面に形成されている封止用シート。
[76] (A)ポリオレフィン系樹脂が、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を含み、樹脂組成物層が、酸無水物基とエポキシ基が反応した架橋構造を有する、前記[75]に記載の封止用シート。
[77] 有機EL素子の封止用である前記[75]または[76]に記載の封止用シート。
【0034】
[78] 前記[1]〜[74]のいずれか一つに記載の樹脂組成物で封止された有機EL素子を有する有機ELデバイス。
[79] 前記[75]〜[77]のいずれか一つに記載の封止用シートで封止された有機EL素子を有する有機ELデバイス。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、熱劣化の問題を回避し得るポリオレフィン系樹脂を使用し、良好な耐透湿性と透明性の双方の特性を併せ持つ封止用組成物の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の封止用樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン系樹脂(以下「(A)成分」と略称することがある)、並びに(B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物(以下「(B)成分」と略称することがある)を含むことを特徴とする。
【0037】
本発明の封止用樹脂組成物から、良好な耐透湿性および透明性を有する封止層(樹脂組成物層)を形成することができる。この透明性は、樹脂組成物層の全光線透過率(平行線透過率)によって判断することができる。厚さが20μmである樹脂組成物層の波長450nmでの全光線透過率(平行線透過率)が、90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましい。この全光線透過率は、後述する実施例に記載するようにして、ガラスをリファレンスとすることによって算出される。
【0038】
<(A)ポリオレフィン系樹脂>
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマー由来の骨格を有するものであれば特に限定されない。例えば、特許文献1および2に記載されているポリオレフィン系樹脂が、公知のものとして挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂が好ましい。これらポリオレフィン系樹脂は、単独重合体でもよく、ランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体でもよい。共重合体としては、2種以上のオレフィンの共重合体、およびオレフィンと非共役ジエン、スチレン等のオレフィン以外のモノマーとの共重合体が挙げられる。好ましい共重合体の例として、エチレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン−非共役ジエン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、特許文献1に記載のイソブチレン変性樹脂、特許文献2に記載のスチレン−イソブチレン変性樹脂等が好ましく用いられる。
【0039】
(A)ポリオレフィン系樹脂は、接着性、接着湿熱耐性等の優れた物性を付与する観点から、酸無水物基(即ち、カルボニルオキシカルボニル基(−CO−O−CO−))を有するポリオレフィン系樹脂および/またはエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。酸無水物基としては、例えば、無水コハク酸に由来する基、無水マレイン酸に由来する基、無水グルタル酸に由来する基等が挙げられる。酸無水物基は1種または2種以上を有することができる。酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂は、例えば、酸無水物基を有する不飽和化合物で、ポリオレフィン系樹脂をラジカル反応条件下にてグラフト変性することで得られる。また、酸無水物基を有する不飽和化合物を、オレフィン等とともにラジカル共重合するようにしてもよい。同様に、エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する不飽和化合物で、ポリオレフィン系樹脂をラジカル反応条件下にてグラフト変性することで得られる。また、エポキシ基を有する不飽和化合物を、オレフィン等とともにラジカル共重合するようにしてもよい。(A)成分は1種または2種以上を使用でき、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を併用してもよい。
【0040】
酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂中の酸無水物基の濃度は、0.05〜10mmol/gが好ましく、0.1〜5mmol/gがより好ましい。酸無水物基の濃度はJIS K 2501の記載に従い、樹脂1g中に存在する酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として定義される酸価の値より得られる。また、(A)成分中の酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂の量は、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
【0041】
また、エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂中のエポキシ基の濃度は、0.05〜10mmol/gが好ましく、0.1〜5mmol/gがより好ましい。エポキシ基濃度はJIS K 7236−1995に基づいて得られるエポキシ当量から求められる。また、(A)成分中のエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の量は、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
【0042】
(A)ポリオレフィン系樹脂は、耐透湿性等の優れた物性を付与する観点から、特に酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の両方を含むことが好ましい。このようなポリオレフィン系樹脂は、酸無水物基とエポキシ基を加熱により反応させ架橋構造を形成し、耐透湿性等に優れた封止層を形成することができる。架橋構造形成は封止後に行うこともできるが、例えば有機EL素子等、封止対象が熱に弱いものである場合、封止フィルムを用いて封止し、該封止フィルムを製造する際に架橋構造を形成しておくのが望ましい。酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂とエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の割合は適切な架橋構造が形成できれば特に限定されないが、エポキシ基と酸無水物基とのモル比(エポキシ基:酸無水物基)は、好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:50〜100:150、特に好ましくは100:90〜100:110である。
【0043】
(A)ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量は、特に限定はされないが、樹脂組成物のワニスの良好な塗工性と樹脂組成物における他の成分との良好な相溶性をもたらすという観点から、1,000,000以下が好ましく、750,000以下がより好ましく、500,000以下がより一層好ましく、400,000以下がさらに好ましく、300,000以下がさらに一層好ましく、200,000以下が特に好ましく、150,000以下が最も好ましい。一方、樹脂組成物のワニスの塗工時のハジキを防止し、形成される樹脂組成物層の耐透湿性を発現させ、機械強度を向上させるという観点から、この数平均分子量は、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がより一層好ましく、10,000以上がさらに好ましく、30,000以上がさらに一層好ましく、50,000以上が特に好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定される。GPC法による数平均分子量は、具体的には、測定装置として社島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてトルエン等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0044】
本発明における(A)ポリオレフィン系樹脂は、ワニスの増粘による流動性の低下を抑制する観点から非晶性であるのが好ましい。ここで、非晶性とは、ポリオレフィン系樹脂が明確な融点を有しないことを意味し、例えば、ポリオレフィン系樹脂のDSC(示差走査熱量測定)で融点を測定した場合に明確なピークが観察されないものを使用することができる。
【0045】
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に制限はない。しかし、良好な塗工性と相溶性をもたらし、良好な湿熱耐性と取り扱い性(タック抑制)を確保できるという観点から、該含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がより一層好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、55質量%以下がさらに一層好ましく、50質量%以下が特に好ましい。一方、耐透湿性を向上させ、透明性も向上させるという観点から、該含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がより一層好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がさらに一層好ましく、35質量%以上が特に好ましく、40質量%以上が最も好ましい。
【0046】
次に、(A)ポリオレフィン系樹脂の具体例を説明する。ポリイソブチレン樹脂の具体例としては、BASF社製「オパノールB100」(粘度平均分子量:1,110,000)、BASF社製「B50SF」(粘度平均分子量:400,000)が挙げられる。
【0047】
ポリブテン系樹脂の具体例としては、JXエネルギー社製「HV−1900」(ポリブテン、数平均分子量:2,900)、東邦化学工業社製「HV−300M」(無水マレイン酸変性液状ポリブテン(「HV−300」(数平均分子量:1,400)の変性品)、数平均分子量:2,100、酸無水物基を構成するカルボキシ基の数:3.2個/1分子、酸価:43.4mgKOH/g、酸無水物基濃度:0.77mmol/g)が挙げられる。
【0048】
スチレン−イソブチレン共重合体の具体例としては、カネカ社製「SIBSTAR T102」(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、数平均分子量:100,000、スチレン含量:30質量%)、星光PMC社製「T−YP757B」(無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:100,000)、星光PMC社製「T−YP766」(グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:100,000)、星光PMC社製「T−YP8920」(無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:35,800)、星光PMC社製「T−YP8930」(グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:48,700)が挙げられる。
【0049】
ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の具体例としては、三井化学社製「EPT X−3012P」(エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、三井化学社製「EPT1070」(エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体)、三井化学社製「タフマーA4085」(エチレン−ブテン共重合体)が挙げられる。
【0050】
プロピレン−ブテン系共重合体の具体例としては、星光PMC社製「T−YP341」(グリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン単位とブテン単位の合計100質量%あたりのブテン単位の量:29質量%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:155,000)、星光PMC社製「T−YP279」(無水マレイン酸変性プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン単位とブテン単位の合計100質量%あたりのブテン単位の量:36質量%、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:35,000)、星光PMC社製「T−YP276」(グリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン単位とブテン単位の合計100質量%あたりのブテン単位の量:36質量%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:57,000)、星光PMC社製「T−YP312」(無水マレイン酸変性プロピレン−ブテンランダム共共重合体、プロピレン単位とブテン単位の合計100質量%あたりのブテン単位の量:29質量%、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:60,900)、星光PMC社製「T−YP313」(グリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン単位とブテン単位の合計100質量%あたりのブテン単位の量:29質量%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:155,000)、星光PMC社製「T−YP429」(無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン単位とメチルメタクリレート単位の合計100質量%あたりのメチルメタクリレート単位の量:32質量%、酸無水物基濃度:0.46mmol/g、数平均分子量:2,300)、星光PMC社製「T−YP430」(無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン単位とメチルメタクリレート単位の合計100質量%あたりのメチルメタクリレート単位の量:32質量%、酸無水物基濃度:1.18mmol/g、数平均分子量:4,500)、星光PMC社製「T−YP431」(グリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ基濃度:0.64mmol/g、数平均分子量:2,400)、星光PMC社製「T−YP432」(グリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ基濃度:1.63mmol/g、数平均分子量:3,100)が挙げられる。
【0051】
<(B)ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物>
本発明における「ハイドロタルサイト」は、焼成されていない天然ハイドロタルサイト(Mg
6Al
2(OH)
16CO
3・4H
2O)および合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)を含む概念である。即ち、本発明における「ハイドロタルサイト」とは、「未焼成ハイドロタルサイト」を意味する。
【0052】
吸湿性の観点からは、(B)成分として、半焼成ハイドロタルサイトが好ましい。即ち、金属水酸化物が半焼成ハイドロタルサイトからなることが好ましい。ここで「半焼成ハイドロタルサイト」とは、ハイドロタルサイト(即ち、天然ハイドロタルサイトまたは合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物))を焼成して得られる、層間水の量が減少または消失した金属水酸化物をいう。「層間水」とは、組成式を用いて説明すれば、上述の天然ハイドロタルサイトおよび後述の合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)の組成式に記載の「H
2O」を指す。
【0053】
ハイドロタルサイト(即ち、天然ハイドロタルサイトまたは合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物))または半焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られる、層間水だけでなく、水酸基も縮合脱水によって消失した焼成ハイドロタルサイトは金属酸化物であり、金属水酸化物である本発明の(B)成分(即ち、ハイドロタルサイトおよび/または半焼成ハイドロタルサイト)に含まれない。なお、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトは、それらのTG−DTA(Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis)曲線でピークが観察されるが、焼成ハイドロタルサイトは、水酸基の消失によりアモルファス状態になるため、TG−DTA曲線でピークが観察されない。そのため、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトと、焼成ハイドロタルサイトとは、TG−DTAで明確に区別することができる。
【0054】
また、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトと、焼成ハイドロタルサイトとは、熱重量分析で測定される熱重量減少率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は15質量%未満であり、かつその380℃における熱重量減少率は12質量%以上である。一方、ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は、15質量%以上であり、焼成ハイドロタルサイトの380℃における熱重量減少率は、12質量%未満である。
【0055】
熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、AL製のサンプルパンにハイドロタルサイトを5mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。熱重量減少率は、下記式:
熱重量減少率(質量%)
=100×(加熱前の質量−所定温度に達した時の質量)/加熱前の質量
で求めることができる。
【0056】
また、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトと焼成ハイドロタルサイトとは、粉末X線回折で測定されるピークおよび相対強度比により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折により2θが8〜18°付近に二つにスプリットしたピーク、または二つのピークの合成によりショルダーを有するピークを示し、低角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)の相対強度比(低角側回折強度/高角側回折強度)は、0.001〜1,000である。一方、ハイドロタルサイトは8〜18°付近で一つのピークしか有しないか、または低角側に現れるピークまたはショルダーと高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度の相対強度比が前述の範囲外となる。焼成ハイドロタルサイトは8°〜18°の領域に特徴的ピークを有さず、43°に特徴的なピークを有する。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製, Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/S、測定回折角範囲(2θ):5.0131〜79.9711°の条件で行うことができる。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行うことができる。
【0057】
例えば、上記条件の粉末X線回折測定では、協和化学工業社製のハイドロタルサイト「DHT−4A」は、11.4°に一つのピークを有する。また、協和化学工業社製の半焼成ハイドロタルサイト「DHT−4C」は、13.2°に主ピークおよび11.4°に二つ目のピークを有する。
【0058】
また、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトと、焼成ハイドロタルサイトとは、飽和吸水率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1重量%以上20重量%未満である。一方、ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1重量%未満であり、焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、20重量%以上である。
【0059】
本発明における「飽和吸水率」とは、ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトまたは焼成ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量り取り、初期質量を測定した後、大気圧下、60℃、90%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製SH−222)に200時間静置した場合の、初期質量に対する質量増加率を言い、下記式:
飽和吸水率(質量%)
=100×(吸湿後の質量−初期質量)/初期質量
で求めることができる。
【0060】
合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)としては、例えば、式(I):
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2]
x+・[(A
n−)
x/n・mH
2O]
x− (I)
(式中、M
2+はMg
2+、Zn
2+などの2価の金属イオンを表し、M
3+はAl
3+、Fe
3+などの3価の金属イオンを表し、A
n−はCO
32−、Cl
−、NO
3−などのn価のアニオンを表し、0<x<1であり、0≦m<1であり、nは正の数である。)で表されるものが挙げられる。式(I)中、M
2+は、好ましくはMg
2+であり、M
3+は、好ましくはAl
3+であり、A
n−は、好ましくはCO
32−である。
【0061】
また、合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)としては、例えば、式(II):
M
2+xAl
2(OH)
2x+6−nz(A
n−)
z・mH
2O (II)
(式中、M
2+はMg
2+、Zn
2+などの2価の金属イオンを表し、A
n−はCO
32−、Cl
−、NO
3−などのn価のアニオンを表し、xは2以上の正の数であり、zは2以下の正の数であり、mは正の数であり、nは正の数である。)
で表されるものが挙げられる。式(II)中、M
2+は、好ましくはMg
2+であり、A
n−は、好ましくはCO
32−である。
【0062】
(B)成分のBET比表面積は、1〜200m
2/gが好ましく、5〜150m
2/gがより好ましい。(B)成分のBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(Macsorb HM Model-1210 マウンテック社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0063】
(B)成分の平均粒子径は、1〜1000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましい。(B)成分の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定(JIS Z 8825)により粒度分布を体積基準で作成したときの該粒度分布のメディアン径で得られる。
【0064】
(B)成分は、表面処理剤で表面処理したものを用いることができる。表面処理に使用する表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルシラン類、シランカップリング剤等を使用することができ、なかでも、高級脂肪酸、アルキルシラン類が好適である。表面処理剤は、1種または2種以上を使用できる。
【0065】
高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの炭素数18以上の高級脂肪酸が挙げられ、中でも、ステアリン酸が好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。アルキルシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11−メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0066】
(B)成分の表面処理は、例えば、未処理の(B)成分を混合機で常温にて攪拌分散させながら、表面処理剤を添加噴霧して5〜60分間攪拌することによって行なうことができる。混合機としては、公知の混合機を使用することができ、例えば、Vブレンダー、リボンブレンダー、バブルコーンブレンダー等のブレンダー、ヘンシェルミキサーおよびコンクリートミキサー等のミキサー、ボールミル、カッターミル等が挙げられる。又、ボールミルなどで吸湿材を粉砕する際に、前記の高級脂肪酸、アルキルシラン類またはシランカップリング剤を混合し、表面処理する方法も可能である。表面処理剤の処理量は(B)成分の種類または表面処理剤の種類等によっても異なるが、(B)成分100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
【0067】
本発明の樹脂組成物における(B)成分の含有量は特に限定されるものではない。しかし、樹脂組成物層とガラス等の基板との密着性および樹脂組成物層の透明性を維持する観点から、該含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、60質量%以下が好ましく、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。また、吸湿性の効果を十分得るという観点から、該含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
【0068】
本発明における(B)成分の具体例としては、以下のものが挙げられる:
・DHT−4C(協和化学工業社製):半焼成ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:15m
2/g)
・DHT−4A−2(協和化学工業社製):半焼成ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:10m
2/g)
・DHT−4A(協和化学工業社製):ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:10m
2/g)
【0069】
<吸湿性金属酸化物>
ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物に吸湿性金属酸化物を添加すると、その透明性が低下する傾向にある。そのため、透明性を向上させる観点からは、本発明の樹脂組成物では、実質的に吸湿性金属酸化物を含まないことが好ましい。吸湿性金属酸化物の含有量は、例えば、後掲する樹脂組成物層の透過率の値が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となるような範囲であるのが望ましい。例えば、吸湿性金属酸化物の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、1質量%以下(即ち、0〜1質量%)が好ましく、0.5質量%以下(即ち、0〜0.5質量%)がより好ましい。吸湿性金属酸化物としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、焼成ドロマイト(酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムを含む混合物)、焼成ハイドロタルサイトが挙げられる。
【0070】
<(C)粘着付与樹脂>
本発明の樹脂組成物は、さらに(C)粘着付与樹脂(以下「(C)成分」と略称することがある)を含んでいてもよい。粘着付与樹脂は、タッキファイヤーとも呼ばれ、可塑性高分子に配合して粘着性を付与させる樹脂である。(C)成分としては、特に限定されるものではなく、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール共重合樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等)、クマロン樹脂、インデン樹脂、石油樹脂(脂肪族系石油樹脂、水添脂環式石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物等)が好ましく使用される。
【0071】
(C)成分として使用できる市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。テルペン樹脂として、YSレジンPX、YSレジンPXN(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、芳香族変性テルペン樹脂として、YSレジンTO、TRシリーズ(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、水素添加テルペン樹脂として、クリアロンP、クリアロンM、クリアロンKシリーズ(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、テルペンフェノール共重合樹脂として、YSポリスター2000、ポリスターU、ポリスターT、ポリスターS、マイティエースG(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、水添脂環式石油樹脂として、Escorez5300シリーズ、5600シリーズ(いずれもエクソンモービル社製)等が挙げられ、芳香族系石油樹脂としてENDEX155(イーストマン社製)等が挙げられ、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂としてQuintoneD100(日本ゼオン社製)等が挙げられ、脂環族系石油樹脂としてQuintone1325、Quintone1345(いずれも日本ゼオン社製)等が挙げられ、シクロヘキサン環含有水素化石油樹脂としてアルコンP100、アルコンP125、アルコンP140(いずれも荒川化学社製)等が挙げられ、シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂としてTFS13−030(荒川化学社製)等が挙げられる。
【0072】
(C)成分の軟化点は、樹脂組成物シートの積層工程でシートが軟化し、かつ所望の耐熱性を持つという観点から、50〜200℃が好ましく、90〜180℃がより好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。なお、軟化点の測定は、JIS K2207に従い環球法により測定される。
【0073】
(C)成分は1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。樹脂組成物中の(C)成分の含有量は特に制限はない。しかし、樹脂組成物の良好な耐透湿性を維持するという観点から、(C)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。一方、十分な接着性を有するという観点から、(C)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。
【0074】
なかでも、樹脂組成物の接着性、耐透湿性、透明性等の観点から、石油樹脂が好ましい。石油樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂等が挙げられる。なかでも、樹脂組成物の接着性、耐透湿性、相溶性等の観点から、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂がより好ましい。また透明性を良好にする観点から、脂環族系石油樹脂が特に好ましい。脂環族系石油樹脂は芳香族系石油樹脂を水素添加処理したものを用いることもできる。この場合、脂環族系石油樹脂の水素化率は30〜99%が好ましく、40〜97%がより好ましく、50〜90%がさらに好ましい。水素化率が低すぎると、着色により透明性が低下する問題が生じる傾向にあり、水素化率が高すぎると生産コストが上昇する傾向となる。水素化率は水添前と水素添加後の芳香環の水素の
1H−NMRのピーク強度の比から求めることができる。脂環族系石油樹脂としては、特にシクロヘキサン環含有水素化石油樹脂、ジシクロペンタジエン系水素化石油樹脂が好ましい。石油樹脂は1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。石油樹脂の数平均分子量Mnは100〜2,000が好ましく、700〜1,500がより好ましく、500〜1,000がさらに好ましい。
【0075】
<(D)硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化性能を向上させる観点から、さらに(D)硬化剤(以下「(D)成分」と略称することがある)を含んでいてもよい。(D)成分としては、特に限定はされないが、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ホスホニウム系硬化剤、フェノール系硬化剤などが挙げられる。(D)成分は1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0076】
アミン系硬化剤としては、特に制限はないが、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5)、DBU−フェノール塩、DBU−オクチル酸塩、DBU−p−トルエンスルホン酸塩、DBU−ギ酸塩、DBU−フェノールノボラック樹脂塩等のジアザビシクロ化合物;ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール等の3級アミンおよびそれらの塩、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア、芳香族ジメチルウレア等のジメチルウレア化合物;等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0077】
グアニジン系硬化剤としては、特に制限はないが、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0078】
イミダゾール系硬化剤としては、特に制限はないが、1H−イミダゾール、2−メチル−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−エチル−4−メチル−イミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−イミダゾール、2−ドデシル−イミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチル−イミダゾール等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0079】
ホスホニウム系硬化剤としては、特に制限はないが、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0080】
フェノール系硬化剤の種類は、特に制限はないが、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成社製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬社製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成社製)、TD2090(DIC社製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤の具体例としては、LA3018(DIC社製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤の具体例としては、LA7052、LA7054、LA1356(DIC社製)等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0081】
樹脂組成物中の(D)成分の含有量は特に制限はない。しかし、耐透湿性の低下を防止するという観点から、(D)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。一方、タックを抑制させるという観点から、(D)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
【0082】
<(E)エポキシ基と反応し得る官能基を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物において、(A)成分としてエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を用いる場合、(A)成分と架橋構造を形成するための成分として、(E)エポキシ基と反応し得る官能基を有する樹脂(以下「(E)成分」と略称することがある)を使用するのが望ましい。エポキシ基と反応し得る官能基としては、水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基および酸無水物基等が挙げられ、酸無水物基が好ましい。酸無水物基としては、例えば、無水コハク酸に由来する基、無水マレイン酸に由来する基、無水グルタル酸に由来する基等が挙げられる。樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(但し、(A)成分である酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂を除く)、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。(E)成分であるポリオレフィン系樹脂としては、官能基として、酸無水物基ではなく、水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基等を有すること以外は、上述した(A)成分と同様のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリブテンが好ましい。
【0083】
樹脂組成物中の(E)成分の含有量は特に制限はない。しかし、耐透湿性の低下を防止するという観点から、(E)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。一方、タックを抑制させるという観点から、(E)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0084】
<(F)酸無水物基と反応し得る官能基を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物において、(A)成分として酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂を用いる場合、(A)成分と架橋構造を形成するための成分として、(F)酸無水物基と反応し得る官能基を有する樹脂(以下「(F)成分」と略称することがある)を使用するのが望ましい。酸無水物基と反応し得る官能基としては、水酸基、1級または2級のアミノ基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基等が挙げられ、エポキシ基が好ましい。樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(但し、(A)成分であるエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を除く)、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。(F)成分であるポリオレフィン系樹脂としては、官能基として、エポキシ基ではなく、水酸基、1級または2級のアミノ基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基等を有すること以外は、上述した(A)成分と同様のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリブテンが好ましい。
【0085】
樹脂組成物中の(F)成分の含有量は特に制限はない。しかし、耐透湿性の低下を防止するという観点から、(F)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。一方、タックを抑制させるという観点から、(F)成分を使用する場合、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0086】
<(G)可塑剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに(G)可塑剤(以下「(G)成分」と略称することがある)を含んでいてもよい。(G)成分を使用することにより、樹脂組成物の柔軟性や成形性を向上させることができる。(G)成分としては、特に限定はされないが、室温で液状の材料が好適に用いられる。可塑剤の具体例としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ワセリン等の鉱物油、ヒマシ油、綿実油、菜種油、大豆油、パーム油、ヤシ油、オリーブ油等の植物油、液状ポリブテン、水添液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン等の液状ポリαオレフィン類等が挙げられる。本発明に使用する可塑剤としては、液状ポリαオレフィン類が好ましく、特に液状ポリブタジエンが好ましい。また液状ポリαオレフィンとしては接着性の観点から分子量が低いものが好ましく、重量平均分子量で500〜5,000、さらには1,000〜3,000の範囲のものが好ましい。これら可塑剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、ここで「液状」とは、室温(25℃)での可塑剤の状態である。(G)成分を使用する場合、有機EL素子への悪影響を及ぼさないという観点から、その含有量は、樹脂組成物中の不揮発分の合計100質量%あたり、50質量%以下が好ましい。
【0087】
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に、上述した成分以外の各種添加剤を任意で含有させてもよい。このような添加剤としては、例えば、上述した(A)成分、(E)成分および(F)成分以外の樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等)、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等の無機充填材(但し、吸湿性金属酸化物を除く);ゴム粒子、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素樹脂パウダー等の有機充填剤;オルベン、ベントン等の増粘剤;シリコン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤;トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤;等を挙げることができる。
【0088】
<感圧性接着剤>
本発明の封止用樹脂組成物は、感圧性接着剤であることが好ましい。感圧性接着剤とは、常温で比較的短時間圧力を加えるだけで接着する接着剤を意味し、当業者によく知られている。また、本発明の封止用樹脂組成物は、(C)粘着付与樹脂を含み、粘着性を有する感圧性接着剤であることがより好ましい。
【0089】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合する方法などが挙げられる。
【0090】
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、半導体、太陽電池、高輝度LED、LCD、EL素子等の電子部品、好ましくは太陽電池、有機EL素子等の光学半導体の封止に使用される。本発明の樹脂組成物は、特に有機EL素子の封止に好適に使用される。具体的には、有機EL素子の発光部の上部および/または周囲(側部)に適用して有機EL素子の発光部を外部から保護するために、本発明の樹脂組成物を用いることができる。
【0091】
本発明の樹脂組成物を有機EL素子の封止のために使用する場合、樹脂組成物により形成される封止層(樹脂組成物層)の透明性は、分光光度計により測定することができる。透明性は有機EL素子の発光効率を向上させるという点で高いほど良い。後述する実施例に記載するようにリファレンスをガラスとする場合に、封止層の波長450nmでの全光線透過率(平行線透過率)が、90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのが特に好ましい。なお、上述した450nmでの全光線透過率の値は、厚さが20μmである封止層(樹脂組成物層)での測定値であるが、封止層の厚さは、一般には3〜200μmの範囲で設定される。
【0092】
<封止用シート>
本発明は、上述した本発明の樹脂組成物を含む封止用シートも提供する。具体的な態様としては、支持体、および前記支持体上に本発明の樹脂組成物から形成された樹脂組成物層を有する封止用シートが挙げられる。樹脂組成物層は、当業者に公知の方法で形成すればよく、例えば、有機溶剤に本発明の樹脂組成物を溶解したワニスを調製し、支持体上に、ワニスを塗布および乾燥することで形成することができる。有機溶剤の乾燥は熱風吹きつけ等によって行うことができる。なお、本発明の樹脂組成物が、エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂等の硬化性成分を含む場合、樹脂組成物層をさらに加熱して、硬化した樹脂組成物層を形成してもよい。
【0093】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略称することがある)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等;ソルベントナフサ等の芳香族系混合溶剤を挙げることができる。芳香族系混合溶剤として「スワゾール」(丸善石油社製、商品名)、「イプゾール」(出光興産社製、商品名)が挙げられる。有機溶剤は1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0094】
乾燥条件は特に制限はないが、50〜100℃で1〜60分が好ましい。50℃以上とすることで、樹脂組成物層中に残存する溶剤量を低下させ易くなる。
【0095】
本発明の封止用樹脂組成物において、(1)(A)成分として酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂およびエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂の両方を使用する、(2)(A)成分としてエポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂を使用し、且つ(E)成分(即ち、硬化剤エポキシ基と反応し得る官能基を有する樹脂)を使用する、または(3)(A)成分として酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂を使用し、且つ(F)成分(即ち、酸無水物基と反応し得る官能基を有する樹脂)を使用することによって、封止工程前に樹脂組成物を加熱して架橋構造を形成してもよく、また封止工程後に加熱して架橋構造を形成してもよい。例えば、本発明の封止用シートを用いて、素子(例えば、有機EL素子)の封止を行う場合、封止工程前に樹脂組成物層を予め加熱して架橋構造を形成してもよいし、封止工程後に樹脂組成物層を加熱して架橋構造を形成してもよい。素子(例えば、有機EL素子)の熱劣化を低減させるという観点から、封止工程前に予め加熱して架橋構造を形成することが好ましい。
【0096】
封止工程前に樹脂組成物層を加熱する場合は、加熱条件は特に制限はないが、温度は、50〜200℃が好ましく、100〜180℃がより好ましく、120〜160℃がさらに好ましい。加熱時間は、15〜120分が好ましく、30〜100分がより好ましい。
【0097】
封止工程後に樹脂組成物層を熱硬化する場合は、素子(例えば、有機EL素子)の熱劣化を防止する観点から、硬化温度は、50〜150℃が好ましく、60〜100℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。
【0098】
封止用シートにおける樹脂組成物層の厚さは、3〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。
【0099】
なお、後述のように、目的とする最終的な封止構造が、樹脂組成物層に封止基材が積層された構造の場合、水分が浸入し得る部分は樹脂組成物層の側部のみになるため、樹脂組成物層の層厚を薄くすることで、側部の外気と接触する面積が小さくなる。従って、樹脂組成物層の層厚を薄くすることが、水分を遮断する上で望ましい。しかし、樹脂組成物層の厚さが小さすぎると、封止基材を貼り合わせる際に素子にダメージを与えるおそれがあり、また、封止基材を貼り合わせる際の作業性が低下する傾向にある。また、樹脂組成物層の厚さを上記の好適範囲とすることは、封止対象(例えば、有機EL素子等の素子が形成された基板)に樹脂組成物層を転写した後の樹脂組成物層の厚さの均一性を保つ上でも有効である。
【0100】
封止用シートに使用する支持体としては、防湿性を有する支持体が好ましい。防湿性を有する支持体としては、防湿性を有するプラスチックフィルムや、銅箔、アルミニウム箔などの金属箔等が挙げられる。防湿性を有するプラスチックフィルムとしては、酸化ケイ素(シリカ)、窒化ケイ素、SiCN、アモルファスシリコン等の無機物を表面に蒸着させたプラスチックフィルム等が挙げられる。ここで、表面に無機物が蒸着されるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルムが好適であり、PETフィルムが特に好ましい。市販されている防湿性を有するプラスチックフィルムの例としては、テックバリアHX、AX、LX、Lシリーズ(三菱樹脂社製)や、該テックバリアHX、AX、LX、Lシリーズよりもさらに防湿効果を高めたX−BARRIER(三菱樹脂社製)等が挙げられる。また、防湿性を有する支持体として、2層以上の複層構造を有するもの、例えば、上記のプラスチックフィルムと上記の金属箔とを接着剤を介して張り合わせたものも使用できる。このものは安価であり、ハンドリング性の観点からも有利である。なお、樹脂組成物シートの支持体には、防湿性を有しない支持体(例えば、上記の表面に無機物が蒸着されていないプラスチックフィルムの単体)も使用できる。
【0101】
支持体の厚さは特に限定されないが、封止用シートの取り扱い性等の観点から、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
【0102】
また、本発明の封止用シートは実際に封止構造の形成に使用する前までは、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止するために樹脂組成物層表面が保護フィルムで保護されているのが好ましく、保護フィルムとしては、上記の支持体で例示したプラスチックフィルムを用いることができる。保護フィルムは予めマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。離型剤としては、具体的には、フッ素系離型剤、シリコン系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤等が挙げられる。離型剤は異なる種類のものを混合して用いてもよい。保護フィルムの厚さも特に制限されないが、1〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0103】
本発明の封止用シートは、封止対象にラミネートして使用される。ここでいう、「ラミネート」は支持体を備えたままの封止用シートで封止対象が被覆された状態の他、封止対象が封止用シートから転写された樹脂組成物層で被覆された状態を含む。支持体が防湿性を有しない支持体(例えば、上記の表面に無機物が蒸着されていないプラスチックフィルムの単体)である封止用シートを使用する場合、封止対象に封止用シートをラミネートした後、支持体を剥離し(即ち、樹脂組成物層を転写し)、その後、樹脂組成物層上に、別途、封止基材を積層するのが好ましい。特に、有機EL素子が形成された基板(以下「有機EL素子形成基板」ともいう)が封止対象である場合、かかる封止基材を積層する態様が好ましい。なお、本発明でいう「封止基材」は、封止用シートに用いた防湿性を有する支持体を、それに樹脂組成物層を形成せずに、それ単体で使用するものである。また、封止用シートの支持体として使用するには不向きな、ガラス板、金属板、鋼板等の可とう性を有しないが、防湿性の高い板も「封止基材」に含まれる。
【0104】
本発明の封止用樹脂組成物は、上記に記載した好ましい条件を適宜採用することにより、容易に、耐透湿性に優れる封止用樹脂組成物とすることができる。耐透湿性は、樹脂組成物層(封止層)の厚さによらず、以下の条件で水蒸気透過量を測定した場合に、水蒸気透過量が15g/m
2・24hr未満であるのが好ましく、10g/m
2・24hr未満であるのがより好ましい。水蒸気透過量は、樹脂組成物層(厚さは任意でよい)の1m
2あたりの水蒸気透過量を、JIS Z0208に準拠する方法にて、温度40℃、湿度90%RHおよび24時間の条件で測定する。封止層の厚さは特に限定されず、好ましくは耐透湿性が上記値となるように、その厚さを調整すればよい。封止層の厚さは、一般には3〜200μmの範囲で設定される。
【0105】
本発明において、厚さが20μmである樹脂組成物層の450nmでの全光線透過率が90%以上であることが好ましい。このような樹脂組成物層は、目視において透明であると認識できる。本発明の封止用樹脂組成物は、上記に記載した好ましい条件を適宜採用することにより、容易に、全光線透過率に優れる樹脂組成物層(封止層)を形成することができる。厚さが20μmである樹脂組成物層の450nmでの全光線透過率は、90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましい。樹脂組成物層の450nmでの全光線透過率は、後述する実施例に記載するようにして、樹脂組成物層をガラス板にラミネートして積層体を形成し(ラミネート条件は後掲実施例参照)、ガラス板をリファレンスとすることによって算出される。なお、上述した450nmでの全光線透過率の値は、厚さが20μmである樹脂組成物層の測定値であるが、樹脂組成物層の厚さは、一般には3〜200μmの範囲である。
【0106】
<有機ELデバイス>
本発明は、上述した本発明の樹脂組成物で封止された有機EL素子を有する有機ELデバイスも提供する。例えば、有機EL素子を有する基板に本発明の封止用シートをラミネートすることで、本発明の有機ELデバイスが得られる。封止用シートが保護フィルムで保護されている場合はこれを剥離した後、樹脂組成物層が該基板に直接接するように、封止用シートを該基板上にラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
【0107】
封止用シートの支持体が防湿性を有する支持体である場合は、有機EL素子を有する基板上に封止用シートをラミネートした後、支持体を剥離せず、そのまま有機EL素子の封止工程が完了する。封止工程後に熱硬化が必要な場合は、熱硬化を行う。
【0108】
一般的に、有機EL素子の封止用材料は、封止作業の前に乾燥させて、吸水した水分を除去することが必要であり、その作業が煩雑であるが、防湿性を有する支持体を使用した本発明の封止用シートは耐透湿性が高いため、保存時やデバイス製造作業時における吸水率も低い。また、封止作業時の有機EL素子に与えるダメージも著しく軽減される。
【0109】
防湿性を有しない支持体を使用した封止用シートを使用する場合、有機EL素子を有する基板に封止用シートをラミネート後、支持体を剥離し、露出した樹脂組成物層に封止基材を圧着することで、有機EL素子の封止工程が完了する。封止基材は、防湿効果が上がるという観点から、2枚またはそれ以上を貼り合わせて使用してもよい。また、封止基材の厚さは、有機ELデバイス自体を薄くかつ軽くするという観点から、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましくい。また、水分透過を防ぐ観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。封止基材の圧着時の圧力は0.3〜10kgf/cm
2程度が好適であり、加熱下に圧着する場合、25℃〜130℃が好適である。
【0110】
有機EL素子を有する基板が、透明基板上に有機EL素子が形成されたものである場合、透明基板側をディスプレイの表示面や照明器具の発光面にすれば、封止用シートの支持体には必ずしも透明材料を使用する必要はなく、金属板、金属箔、不透明のプラスチックフィルムまたは板等を使用してもよい。また、有機EL素子を有する基板が、不透明または透明性の低い材料からなる基板上に有機EL素子が形成されたものである場合、封止基材側をディスプレイの表示面や照明器具の発光面にする必要から、封止基材には、透明プラスチックフィルム、ガラス板、透明プラスチック板等が使用される。
【実施例】
【0111】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、成分および共重合単位の量における「部」および「%」は、特に断りがない限り、それぞれ、「質量部」および「質量%」を意味する。
【0112】
実施例および比較例に用いた原料は以下の通りである。
(A)ポリオレフィン系樹脂
・T−YP429(星光PMC社製):無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(エチレン単位/メチルメタクリレート単位=68%/32%、酸無水物基濃度:0.46mmol/g、数平均分子量:2,300)
・T−YP431(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(エポキシ基濃度:0.64mmol/g、数平均分子量:2,400)
・T−YP430(星光PMC社製):無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(エチレン単位/メチルメタクリレート単位=68%/32%、酸無水物基濃度:1.18mmol/g、数平均分子量:4,500)
・T−YP432(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(エポキシ基濃度:1.63mmol/g、数平均分子量:3,100)
・T−YP8920(星光PMC社製):無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(スチレン単位/イソブチレン単位=20%/80%、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:35,800)
・T−YP8930(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(スチレン単位/イソブチレン単位=20%/80%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:48,700)
・T−YP312(星光PMC社製):無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン単位/ブテン単位=71%/29%、酸無水物基濃度:0.464mmol/g、数平均分子量:60,900)
・T−YP313(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン単位/ブテン単位=71%/29%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:155,000)
・T−YP341(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン単位/ブテン単位:71%/29%、エポキシ基濃度:0.638mmol/g、数平均分子量:155,000)
・HV−300M(東邦化学工業社):無水マレイン酸変性液状ポリブテン(酸無水物基濃度:0.77mmol/g、数平均分子量:2,100)
・HV−1900(JXエネルギー社製):ポリブテン(数平均分子量:2,900)
【0113】
(B)金属水酸化物
・DHT−4C(協和化学工業社製):半焼成ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:15m
2/g)
・DHT−4A−2(協和化学工業社製):半焼成ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:10m
2/g)
・DHT−4A(協和化学工業社製):ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:10m
2/g)
【0114】
(B’)吸湿性金属酸化物
・KW2200(協和化学工業社製):焼成ハイドロタルサイト(平均粒子径:400nm、BET比表面積:129m
2/g)
・N41S:焼成ハイドロタルサイト(戸田工業社製)(平均粒径:40nm、BET比表面積:133m
2/g)
・モイストップ#10(三共製粉社製):酸化カルシウム(平均粒子径:4μm、BET比表面積:5m
2/g)
・FNM−G(タテホ化学工業社製):酸化マグネシウム(平均粒子径:400nm、BET比表面積:74m
2/g)
【0115】
(C)粘着付与樹脂
・アルコンP125(荒川化学社製):シクロヘキサン環含有水素化石油樹脂(軟化点125℃)
【0116】
(D)硬化剤
・アミン系硬化剤(2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、以下「TAP」と略記する。)
【0117】
有機溶剤
・トルエン
・スワゾール#1000(丸善石油社製):芳香族系混合溶剤
【0118】
次に示す手順にて実施例および比較例の各組成物を調製した。配合は表1および2に示す量で行った。なお、表1および2に記載の有機溶剤以外の成分の量は、不揮発分で換算した値である。
【0119】
<実施例1>
シクロヘキサン環含有水素化石油樹脂(アルコンP125、60%スワゾール#1000溶液)130部に、無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP429、20%トルエン溶液)120部、ポリブテン(HV−1900)60部、および半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)100部を3本ロールで分散させて、混合物を得た。得られた混合物に、グリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP431、20%トルエン溶液)90部、アミン系硬化剤(TAP)0.5部およびトルエン170部を配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物のワニスを得た。得られたワニスをシリコーン系離型剤で処理されたPETフィルム(厚さ38μm)の離型処理面上に、ダイコーターにて均一に塗布し、130℃で60分間加熱することにより、厚さ20μmの樹脂組成物層を有する封止用シートを得た。
【0120】
<実施例2>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の使用量を100部から80部に変えたこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0121】
<実施例3>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに同量の半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0122】
<実施例4>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに同量のハイドロタルサイト(DHT−4A)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0123】
<実施例5>
無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP429、20%トルエン溶液)の代わりに、同量の無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP430、20%トルエン溶液)を使用したこと、およびグリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP431、20%トルエン溶液)の代わりに、同量のグリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP432、20%トルエン溶液)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0124】
<実施例6>
無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP429、20%トルエン溶液)の代わりに、同量の無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(T−YP8920、20%トルエン溶液)を使用したこと、およびグリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP431、20%トルエン溶液)の代わりに、同量のグリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(T−YP8930、20%トルエン溶液)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0125】
<実施例7>
無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP429、20%トルエン溶液)の代わりに、同量の無水マレイン酸変性プロピレン−ポリブテン共重合体(T−YP312、20%トルエン溶液)を使用したこと、およびグリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP431、20%トルエン溶液)の代わりに、同量のグリシジルメタクリレート変性プロピレン−ブテン共重合体(T−YP313、20%トルエン溶液)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0126】
<実施例8>
無水マレイン酸変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP429、20%トルエン溶液)120部の代わりに、グリシジルメタクリレート変性プロピレンーブテン共重合体(T−YP341、20%トルエン溶液)200部を使用したこと、およびグリシジルメタクリレート変性エチレン−メチルメタクリレート共重合体(T−YP431、20%トルエン溶液)90部の代わりに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV−300M)35部を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0127】
<比較例1>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに焼成ハイドロタルサイト(KW2200)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0128】
<比較例2>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに焼成ハイドロタルサイト(N41S)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0129】
<比較例3>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに酸化カルシウム(モイストップ#10)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0130】
<比較例4>
半焼成ハイドロタルサイト(DHT−4C)の代わりに酸化マグネシウム(FNM−G)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物のワニスおよび封止用シートを作製した。
【0131】
上述のようにして得られた実施例および比較例の封止用シートの樹脂組成物層を以下のようにして評価した。結果を表1および2に示す。
【0132】
1.耐透湿性(水蒸気透過量)の評価
実施例および比較例で作製した封止用シートの支持体(PETフィルム)から剥離した樹脂組成物層(厚さ:45μm)の1m
2あたりの水蒸気透過量を、JIS Z0208に準拠する方法にて、温度40℃、湿度90%RHおよび24時間の条件で測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
良好(○):水蒸気透過量が10g/m
2・24hr未満
可(△):水蒸気透過量が10g/m
2・24hr以上、20g/m
2・24hr未満
不良(×):水蒸気透過量が20g/m
2・24hr以上
【0133】
2.全光線透過率の評価
実施例および比較例で作製した封止用シート(樹脂組成物層の厚さ:20μm)を長さ50mmおよび幅20mmにカットし、カットした封止用シートをガラス板(長さ76mm、幅26mmおよび厚さ1.2mmのマイクロスライドガラス、松浪ガラス工業社製白スライドグラスS1112 縁磨No.2)にバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V−160)を用いてラミネートした。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。その後、封止用シートのPETフィルムを剥離し、露出した硬化した樹脂組成物層にさらに上記と同じガラス板をラミネートして、積層体を作製した。得られた積層体の光透過率スペクトルを、φ80mm積分球(型名SRS−99−010、反射率99%)を装着したファイバー式分光光度計(MCPD−7700、形式311C、大塚電子社製、外部光源ユニット:ハロゲンランプMC−2564(24V、150W仕様))を用いて測定し、波長450nmでの全光線透過率を算出し、以下の基準で評価した。なお、積分球とサンプル(積層体)の距離を0mmとし、リファレンスとしてはガラスを用いた。
良好(○):95%以上
可(△):90%以上、95%未満
不良(×):90%未満
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
表1および2に示されるように、ハイドロタルサイトおよび半焼成ハイドロタルサイトからなる群から選ばれる金属水酸化物(DHT−4C、DHT−4A−2またはDHT−4A)を使用する実施例1〜8は、吸湿性金属酸化物(KW2200、N41S、モイストップ#10またはFNM−G)を使用する比較例1〜4に比べて、透明性(全光線透過率)の結果が良好である。