(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような輻射型室内機(輻射パネル)としては、伝熱部材として、平板状の平板部を用いることが考えられる。ところが、空気調和装置の運転時において、ユーザや作業者等の在室者が伝熱部材に素手で触れてしまうと、在室者が過剰に熱く、あるいは過剰に冷たく感じてしまうおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、在室者が輻射パネルの平板部に触れることに起因して、該在室者が過剰に熱く、あるいは過剰に冷たく感じてしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
室内空間に露出するパネル本体(60)を備えた輻射パネルであって、前記パネル本体(60)は、
平板状の平板部(63)と、前記平板部(63)の前側及び後側の少なくとも一方の面(71a,71b)に形成される複数の突起部(72,73)とを備え、前記複数の突起部(72,73)の間隔は100mm以下であり、前記複数の突起部(72,73)の内部には、突起部側の空洞部(69)が形成され
、前記平板部(63)の内部には、平板部側の空洞部(68)が形成され、熱媒体が流れる断面が円形状の伝熱管(53)を備え、前記平板部(63)の内部には、前記伝熱管(53)が挿通される円形状の挿通孔(64)が形成され、前記突起部(72,73)は、前記挿通孔(64)と前記パネル本体(60)の厚さ方向に重なる位置に設けられることを特徴とする輻射パネルである。
【0007】
第
1の態様では、在室者の手の全域が平板部(63)に接触してしまうことを、突起部(72,73)により抑制できる。隣り合う突起部(72,73)の間隔は100mm以下であるため、手の全体が突起部(72,73)の間に入りにくくなる。
【0008】
第
1の態様では、挿通孔(64)の周囲の周壁と突起部(72,73)の基部とがオーバーラップすることで、該周壁の肉厚を確保し易くなる。
【0009】
第
2の態様は、第
1の態様において、前記複数の突起部(72,73)の間隔は15mm以上であることを特徴とする輻射パネルである。
【0010】
第
2の態様では、隣り合う突起部(72,73)の間隔を15mm以上とすることで、手の全体が突起部(72,73)の先端に接触することを抑制できる。
【0011】
第
3の態様は、第1
又は第2の態様において、前記突起部(72,73)は、前記平板部(63)の前記面(71a,71b)に沿って延びていることを特徴とする輻射パネルである。
【0012】
第
3の態様では、突起部(72,73)を面(71a,71b)に沿って延ばし、隣り合う突起部(72,73)の間隔を100mm以下とすることで、手の全体が隣り合う突起部(72,73)の間に入り込むことを確実に抑制できる。
【0013】
第
4の態様は、第
3の態様において、前記突起部(72,73)は、上下方向に延びていることを特徴とする輻射パネルである。
【0014】
第
4の態様では、平板部(63)の表面で発生した結露水を、突起部(72,73)に沿うように下方へ案内できる。
【0015】
第
5の態様は、第1乃至
4の態様のいずれか1つにおいて、前記突起部(72,73)は、板状に形成されていることを特徴とする輻射パネルである。
【0016】
第
6の態様は、第1乃至
5の態様のいずれか1つにおいて、前記突起部(72,73)は、前記平板部(63)の前面(71a)及び後面(71b)にそれぞれ形成されることを特徴とする輻射パネルである。
【0017】
第
6の態様は、平板部(63)の前面(71a)及び後面(71b)の双方において、手の接触面積が大きくなることを抑制できる。
【0018】
第
7の態様は、第
6の態様において、前記前面(71a)側の突起部(72,73)と、前記後面(71b)側の突起部(72,73)とがパネル本体(60)の厚さ方向に重なっていることを特徴とする輻射パネルである。
【0019】
第
7の態様では、突起部(72,73)及び平板部(63)により、十字形状の横断面を形成でき、パネル本体(60)の美感を向上できる。
【0020】
第
8の態様は、第
7の態様において、前記突起部(72,73)の厚さは、前記伝熱管(53)の直径よりも大きいことを特徴とする輻射パネルである。
【0021】
第
8の態様では、挿通孔(64)の周囲の周壁と突起部(72,73)の基部のオーバーラップ部分の幅を拡大できる。
【0022】
第
9の態様は、第1乃至
8の態様のいずれか1つにおいて、前記突起部(72,73)の突出高さは、前記平板部(63)の厚さ以上であることを特徴とする輻射パネルである。
【0023】
第
9の態様では、突起部(72,73)の突出高さが拡大されることで、在室者の手が平板部(63)の表面まで届きにくくなる。
【0024】
第
10の態様は、第
6の態様において、前記平板部(63)の前面(71a)の突起部(72)の総数と、前記平板部(63)の後面(71b)の突起部(73)の総数とが異なることを特徴とする輻射パネルである。
【0025】
第
10の態様では、平板部(63)の前面(71a)側と後面(71b)側との伝熱面積を、互いに異なる構成とすることができる。
【0026】
第
11の態様は、第1乃至1
0の態様のいずれか1つの輻射パネル(40)を備えた空気調和装置である。
【0027】
第
11の態様は、輻射パネル用の熱交換エレメントであって、平板状の板部(71)と、該板部(71)の前側及び後側の少なくとも一方の面(71a,71b)に形成される複数の突起部(72,73)とを備え、前記複数の突起部(72,73)の間隔は100mm以下であることを特徴とする熱交換エレメントである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
《実施形態》
本実施形態の空気調和装置(10)について図面を参照しながら説明する。
【0030】
〈全体構成〉
空気調和装置(10)は、室内の冷房及び暖房を切り換えて行う。
図1に示すように、空気調和装置(10)は、室外ユニット(20)と、室内ユニット(30)と、輻射パネル(40)とを備える。
【0031】
室外ユニット(20)は、室外に設置される。室外ユニット(20)は、熱源ユニットを構成している。室外ユニット(20)には、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、四方切換弁(24)、及び室外ファン(25)が設けられる。
【0032】
室内ユニット(30)は、室内の天井付近に設けられる。室内ユニット(30)は、室内ファン(33)によって搬送される空気により、冷房又は暖房を行う対流型の室内機を構成する。室内ユニット(30)の数量は、1つ又は2つ以上である。各室内ユニット(30)には、室内熱交換器(31)、室内膨張弁(32)、及び室内ファン(33)が設けられる。
【0033】
輻射パネル(40)は、室内の床面に設置される。輻射パネル(40)は、輻射熱の移動により、冷房又は暖房を行う輻射型の室内機を構成する。輻射パネル(40)の数量は、1つ又は2つ以上である。輻射パネル(40)は、パネル本体(60)と、輻射膨張弁(50)とが設けられる。輻射パネル(40)の詳細は後述する。
【0034】
室外ユニット(20)、室内ユニット(30)、及び輻射パネル(40)が連絡配管で接続されることで、冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)では、充填された冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。本実施形態の冷媒回路(11)では、室内ユニット(30)及び輻射パネル(40)が並列に接続される。
【0035】
〈輻射パネルの全体構成〉
輻射パネル(40)の全体構成について
図2を参照しながら説明する。輻射パネル(40)は、一対の支柱(41)と、パネル本体(60)と、底板(42)とを備える。
【0036】
支柱(41)は、輻射パネル(40)の左右側端に1つずつ設けられる。各支柱(41)は、床面上に立設し、上下方向に延びている。
【0037】
パネル本体(60)は、一対の支柱(41)の間に設けられる。パネル本体(60)は、その前面及び後面が室内空間に露出している。パネル本体(60)は、その内部を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させる。パネル本体(60)の詳細は後述する。
【0038】
底板(42)は、一対の支柱(41)の下端に連結するように、該一対の支柱(41)の間を左右に延びている。底板(42)は、アンカーボルト等の締結部材(図示省略))を介して室内の床面に固定される。一対の支柱(41)の上端は、固定部(43)を介して天井側の吊りボルト(図示省略)と連結する。
【0039】
輻射パネル(40)では、パネル本体(60)の下側に下部収容室(44)が形成される。下部収容室(44)には、パネル本体(60)から発生した結露水を回収するためのドレンパン(45)が設けられる。下部収容室(44)の前側及び後側の各開放面は、下部カバー(46)によってそれぞれ覆われる。各下部カバー(46)は、例えば一対の支柱(41)の下部に着脱可能に取り付けられる。
【0040】
輻射パネル(40)では、パネル本体(60)の上側に上部収容室(47)が形成される。上部収容室(47)には、冷媒配管のガス管(51)及び液管(52)が収容される。液管(52)には、輻射膨張弁(50)(
図2において図示省略)が接続される。上部収容室(47)の前側及び後側の各開放面は、上部カバー(48)によってそれぞれ覆われる。各上部カバー(48)は、例えば一対の支柱(41)の上部に着脱可能に取り付けられる。
【0041】
〈パネル本体の全体構成〉
パネル本体(60)の構成について
図2〜
図5を参照しながら説明する。
【0042】
パネル本体(60)は、下部端板(61)と、上部端板(62)と、複数(本例では6つ)の熱交換エレメント(70)とを備えている。本実施形態のパネル本体(60)では、複数の熱交換エレメント(70)が連結されることで、伝熱部材(70A)が構成される。伝熱部材(70A)の内部には、冷媒回路(11)に接続する伝熱管(53)が配設される。
【0043】
下部端板(61)は、パネル本体(60)の下端に配置される。下部端板(61)は、一対の支柱(41)に連結するように、該一対の支柱(41)の間を左右に延びている。上部端板(62)は、パネル本体(60)の上端に配置される。上部端板(62)は、一対の支柱(41)に連結するように、該一対の支柱(41)の間を左右に延びている。
【0044】
複数の熱交換エレメント(70)は、上部端板(62)及び下部端板(61)の間に支持される。複数の熱交換エレメント(70)は、締結部材(例えばタッピンネジ)を介して上部端板(62)及び下部端板(61)に固定される。
【0045】
熱交換エレメント(70)は、アルミ材料で構成される。熱交換エレメント(70)は、押し出し成型により製造される。つまり、熱交換エレメント(70)は、押し出し方向(
図2の上下方向)に直角な断面形状が、該押し出し方向の両端に亘って略同一となる。
【0046】
熱交換エレメント(70)は、上下に縦長の平板状の板部(71)と、該板部(71)の前面(71a)に設けられる複数の突起部(前側突起部(72))と、該板部(71)の後面(71b)に設けられる複数の突起部(後側突起部(73))と、板部(71)の幅方向の両端にそれぞれ設けられる連結部(74)とを備えている。本実施形態のパネル本体(60)では、複数の板部(71)が幅方向に連結されることで、1つの平板状の平板部(63)が構成される。つまり、パネル本体(60)の平板部(63)は、複数の板部(71)に分割可能に構成される。
【0047】
〈板部/平板部の構成〉
板部(71)(平板部(63))には、複数の挿通孔(64)が上下方向に貫通して形成される。挿通孔(64)は、平板部(63)の幅方向に等間隔を置いて配列される。挿通孔(64)には、伝熱管(53)の直管部(54)が挿通される。挿通孔(64)の周囲には、直管部(54)の外周面と面接触する筒状の周壁(65)が形成される。これにより、伝熱管(53)の内部を流れる冷媒と伝熱部材(70A)との間で熱が伝導する。
【0048】
本実施形態では、複数の挿通孔(64)のうちの一部には、伝熱管(53)が挿通されていない(例えば
図5を参照)。つまり、輻射パネル(40)では、挿通孔(64)の総数よりも直管部(54)の総数が少ない。これにより、伝熱管(53)の全長を短くでき、輻射パネル(40)の内部を流れる冷媒の圧力損失を低減できる。なお、全ての挿通孔(64)に伝熱管(53)の直管部(54)を挿通する構成としてもよい。
【0049】
板部(71)(平板部(63))には、締結部材(例えばタッピンネジ、図示省略)が締結可能な複数の締結孔(66)が形成される。各締結孔(66)は、隣り合う周壁(65)の間にそれぞれ配置される。締結孔(66)の周囲には、横断面が略C字状の締結壁(67)が形成される。つまり、締結壁(67)は、環状の壁の一部が切除された形状をしている。このように環状の締結壁(67)を切除することで、締結部材に対する締結孔(66)の寸法公差を緩和できる。
【0050】
本実施形態の締結壁(67)は、対応する切除部(67a)が板部(71)の幅方向を向いている。熱交換エレメント(70)では、一対の締結壁(67)の断面形状が、板部(71)の幅方向の中間部を挟んで対称となっている(
図4及び
図5を参照)。より詳細には、一対の締結壁(67)は、対応する切除部(67a)が板部(71)の幅方向外方を向いている。
【0051】
板部(71)(平板部(63))には、複数の肉抜き部(板部側肉抜き部(68))が形成されている。板部側肉抜き部(68)は、熱交換エレメント(70)の長手方向(上下方向)の両端に亘るように、該熱交換エレメント(70)を貫通している。板部側肉抜き部(68)は、連結部(74)と周壁(65)との間、及び周壁(65)と締結壁(67)のと間に形成される。これにより、熱交換エレメント(70)の軽量化、ひいてはパネル本体(60)の軽量化が図られる。
【0052】
〈突起部〉
板部(71)(平板部(63))の前面(71a)には、複数の前側突起部(72)が形成される。平板部(63)ないし板部(71)の後面(71b)には、複数の後側突起部(73)が形成される。つまり、熱交換エレメント(70)では、その厚さ方向の両側の面(71a,71b)にそれぞれ複数(2つ以上)の突起部(72,73)が設けられる。本実施形態の輻射パネル(40)では、前側突起部(72)の総数と、後側突起部(73)の総数とが等しい。
【0053】
各突起部(72,73)は、横断面が矩形形状となる略板状に形成される。各突起部(72,73)は、上下方向に延びている。前側突起部(72)は、伝熱管(53)ないし挿通孔(64)と平板部(63)の厚さ方向に重なる位置に設けられる。後側突起部(73)は、伝熱管(53)ないし挿通孔(64)と平板部(63)の厚さ方向に重なる位置に設けられる。つまり、本実施形態では、前側突起部(72)と後側突起部(73)とが平板部(63)の厚さ方向に重なっている。この構成により、前側突起部(72)、後側突起部(73)、及び板部(71)が、全体として略十字形状をなしている。
【0054】
前側突起部(72)及び後側突起部(73)には、それぞれ肉抜き部(突起側肉抜き部(69))が形成される。突起側肉抜き部(69)は、熱交換エレメント(70)の長手方向(上下方向)の両端に亘るように、該熱交換エレメント(70)を貫通している。突起側肉抜き部(69)の横断面形状は、各突起部(72,73)に対応する略矩形状に形成される。これにより、熱交換エレメント(70)の軽量化、ひいてはパネル本体(60)の軽量化が図られる。
【0055】
〈連結部〉
図4及び
図5に示すように、板部(71)の幅方向(左右方向)の両端には、連結部(74)がそれぞれ設けられる。一対の連結部(74)は、板部(71)の側端から側方外方へ突出する突片部(74a)と、該突片部(74a)の先端から板部(71)の厚さ方向内方へ屈曲する爪部(74b)とを有する。突片部(74a)の厚みは、板部(71)の厚みよりも小さい。突片部(74a)は、板部(71)の前面(71a)及び後面(71b)のいずれか一方の面と略面一となる。このように連結部(74)を設けることで、板部(71)の側端と爪部(74b)との間に、爪部(74b)が係合する係合溝(75)が形成される。つまり、係合溝(75)の横断面形状は、爪部(74b)の横断面形状と概ね等しい。本実施形態の熱交換エレメント(70)では、一対の連結部(74)の断面形状が、板部(71)の幅方向の中間部を挟んで対称となっている。
【0056】
パネル本体(60)では、各熱交換エレメント(70)の向きが、交互に逆向きとなるように、複数の熱交換エレメント(70)が幅方向に配列される。パネル本体(60)では、隣り合う2つの熱交換エレメント(70)のうちの一方の熱交換エレメント(70)の爪部(74b)が、他方の熱交換エレメント(70)の係合溝(75)に係合する。これにより、隣り合う熱交換エレメント(70)が互いに連結される(
図3を参照)。
【0057】
〈溝〉
熱交換エレメント(70)の表面には、複数の溝(80)が形成される。具体的に、複数の溝(80)は、板部(71)の前面(71a)及び後面(71b)と、前側突起部(72)の表面と、後側突起部(73)の表面とにそれぞれ形成される。溝(80)は、上下方向に延びている。本実施形態の溝(80)の底面の横断面形状は、略V字状に形成される。溝(80)の横断面形状は、上下に亘って略同一の形状をしている。
【0058】
熱交換エレメント(70)の表面で結露水が発生した場合、この結露水を溝(80)の内部に捕捉できる。更に、溝(80)は、上下方向に延びているため、捕捉した結露水を、溝(80)を通じて下方へ案内できる。
【0059】
−運転動作−
実施形態に係る空気調和装置(10)の運転動作について
図1を参照しながら説明する。空気調和装置(10)は、暖房運転と冷房運転とを切り換えて行う。
【0060】
〈暖房運転〉
暖房運転では、四方切換弁(24)が
図1の破線で示す状態となる。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室内ユニット(30)と輻射パネル(40)とに送られる。
【0061】
室内ユニット(30)では、冷媒が室外熱交換器(22)で放熱(凝縮)する。冷媒によって加熱された空気は、室内ファン(33)によって室内空間へ供給される。
【0062】
輻射パネル(40)では、冷媒がパネル本体(60)の伝熱管(53)を流れる。この結果、伝熱管(53)の冷媒の熱は、伝熱部材(70A)を伝わり、室内空間へ放出される。
【0063】
室内ユニット(30)及び輻射パネル(40)でそれぞれ放熱した冷媒は、室外膨張弁(23)で減圧された後、室外熱交換器(22)で蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(21)で再び圧縮される。
【0064】
〈冷房運転〉
冷房運転では、四方切換弁(24)が
図1の実線で示す状態となる。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)で放熱(凝縮)する。室外熱交換器(22)で放熱した冷媒は、室内ユニット(30)と輻射パネル(40)とに送られる。
【0065】
室内ユニット(30)では、冷媒が室内膨張弁(32)で減圧された後、室内熱交換器(31)を流れる。室内ユニット(30)では、冷媒が室内熱交換器(31)で蒸発する。冷媒によって冷却された空気は、室内ファン(33)によって室内空間へ供給される。
【0066】
輻射パネル(40)では、冷媒が輻射膨張弁(50)で減圧された後、伝熱管(53)を流れる。この結果、伝熱部材(70A)の周囲の空気が冷却される。
【0067】
室内ユニット(30)及び輻射パネル(40)でそれぞれ蒸発した冷媒は、圧縮機(21)で再び圧縮される。
【0068】
〈輻射パネル/熱交換エレメントの各要素の寸法の関係〉
パネル本体(60)(熱交換エレメント(70))の要素の寸法関係について
図5を参照しながら説明する。
【0069】
パネル本体(60)では、隣り合う前側突起部(72)の間隔P1が100mm以下である。また、隣り合う前側突起部(72)の間隔P1は15mm以上である。同様に、隣り合う後側突起部(73)の間隔P2は100mm以下である。隣り合う後側突起部(73)の間隔P2は15mm以上である。本実施形態では、間隔P1と間隔P2とが等しい。本実施形態では、間隔P1及びP2が約36.6mmに設定される。
【0070】
パネル本体(60)では、前側突起部(72)の突出高さL1が、平板部(63)(板部(71))の厚さD以上である。パネル本体(60)では、後側突起部(73)の突出高さL2が、平板部(63)(板部(71))の厚さD以上である。本実施形態では、突出高さL1と突出高さL2とが等しい。本実施形態では、突出高さL1及び突出高さL2が約16.9mmに設定され、厚さDが約10.1mmに設定される。
【0071】
前側突起部(72)の厚さD1は、伝熱管(53)の直径dよりも大きい。後側突起部(73)の厚さD2は、伝熱管(53)の直径dよりも大きい。本実施形態では、厚さD1と厚さD2とが等しい。本実施形態では、厚さD1及び厚さD2が約7.9mmに設定される。直径dは、厚さD1及び厚さD2よりも僅かに小さく設定される。
【0072】
−実施形態の効果−
本実施形態では、複数の前側突起部(72)の間隔P1が100mm以下である。間隔P1が大きすぎると、在室者(ユーザやメンテナンス業者等)の手の全体が平板部(63)の表面に面接触し、在室者が過剰に熱く感じる可能性がある。これに対し、間隔P1を、手の一般的な幅寸法といえる100mm以下とすると、隣り合う前側突起部(72)の間に手が入りにくくなり、手の全体が平板部(63)の前面(71a)に面接触することを抑制できる。同様に、複数の後側突起部(73)の間隔P2を100mm以下とすることで、隣り合う後側突起部(73)の間に手が入りにくくなり、手の全体が平板部(63)の前面(71a)に面接触することを抑制できる。
【0073】
平板部(63)を有する輻射パネル(40)を床面に設置することで、平板部(63)が室内の仕切りとして機能する。ここで、仮に輻射パネルの伝熱部材がルーバのような構造であると、輻射パネルの前後を貫通する複数の隙間が形成されてしまう。この場合、ユーザ等は、これらの隙間を通じて輻射パネルの反対側が見えてしまい、室内の美感が損なわれてしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、輻射パネル(40)の前後を完全に仕切る平板状の平板部(63)を有するため、室内の美感が損なわれることを抑制できる。
【0074】
平板部(63)の前面(71a)及び後面(71b)に突起部(72,73)を形成することで、伝熱部材(70A)の表面積を拡大できる。これにより、輻射パネル(40)の加熱能力や冷却能力を向上できる。
【0075】
本実施形態では、複数の前側突起部(72)の間隔P1が15mm以上である。間隔P2が小さすぎると、在室者が前側突起部(72)の先端に触れてしまう面積が広くなり、在室者が過剰に熱く感じる可能性がある。これに対し、間隔P1を15mm以上とすると、隣り合う前側突起部(72)の間に手の一部(例えば指)が入り込み易くなり、前側突起部(72)の先端の接触面積が小さくなる。同様に、複数の後側突起部(73)の間隔P2を15mm以上とすることで、隣り合う後側突起部(73)の間に手の一部(例えば指)が入り込み易くなる。
【0076】
本実施形態では、前側突起部(72)及び後側突起部(73)が、平板部(63)の面(71a,71b)に沿って延びる凸条で構成される。これらの間隔P1及びP2を100mm以下とすることで、隣り合う前側突起部(72)の間、及び隣り合う後側突起部(73)の間に手が入り込むことを抑制できる。
【0077】
本実施形態では、前側突起部(72)及び後側突起部(73)が上下方向に延びている。このため、伝熱部材(70A)の表面で結露水が発生したとしても、この結露水を下方へ容易に導くことができる。
【0078】
本実施形態では、前側突起部(72)及び後側突起部(73)が板状に形成される。この結果、前側突起部(72)及び後側突起部(73)の先端に触れた手が傷つくことを確実に抑制できる。
【0079】
本実施形態では、平板部(63)の前面(71a)と後面(71b)との双方に突起部(72,73)を形成している。このため、平板部(63)の前面(71a)及び後面(71b)の双方において、手の接触面積が大きくなることを抑制できるとともに、伝熱部材(70A)の伝熱面積を拡大できる。
【0080】
本実施形態では、前側突起部(72)と、後側突起部(73)とがパネル本体(60)の厚さ方向に重なっている。これにより、前側突起部(72)、後側突起部(73)、及び平板部(63)により、十字形状の横断面を形成でき、パネル本体(60)の美感を向上できる。
【0081】
本実施形態では、平板部(63)の内部に伝熱管(53)が挿通される挿通孔(64)を形成し、前側突起部(72)及び後側突起部(73)を挿通孔(64)と厚さ方向に重なる位置に設けている。この構造により、突起部(72,73)の基部と挿通孔(64)の周囲の周壁(65)とがオーバーラップするため、周壁(65)の肉厚を確保し易くなる。加えて、伝熱管(53)と突起部(72,73)との間の伝熱を促進できる。
【0082】
特に本実施形態では、突起部(72,73)の厚さD1、D2を、伝熱管(53)の直径dよりも大きくしているため、突起部(72,73)と周壁(65)とのオーバーラップ部分の幅を十分に確保できる。
【0083】
本実施形態では、前側突起部(72)の突出高さL1が平板部(63)の厚さDよりも大きい。このように前側突起部(72)の突出高さL1を比較的大きくすると、在室者の手が平板部(63)の前面(71a)まで届くのを抑制できる。同様に、後側突起部(73)の突出高さL2を平板部(63)の厚さDよりも大きくすることで、在室者の手が平板部(63)の後面(71b)まで届くのを抑制できる。
【0084】
本実施形態では、複数の熱交換エレメント(70)を伝熱部材(70A)の幅方向に配列し、連結部(74)を介してこれらの熱交換エレメント(70)を連結する構造(分割構造)としている。仮に伝熱部材(70A)を一体構造とすると、熱歪みに起因する伝熱部材(70A)の撓み量が大きくなる。これに対し、伝熱部材(70A)をこのような分割構造とすると、熱歪むに起因する伝熱部材(70A)の撓み量を吸収・緩和できる。この結果、伝熱部材(70A)が全体として大きく撓んでしまうことを抑制できる。また、伝熱部材(70A)を複数の熱交換エレメント(70)として分割することで、伝熱部材(70A)の搬送も容易となる。
【0085】
本実施形態では、熱交換エレメント(70)にそれぞれ連結部(74)を設けることで、各熱交換エレメント(70)の配列・組み立て作業を簡便に行うことができる。
【0086】
〈変形例1〉
図6に示す変形例1は、伝熱部材(70A)(熱交換エレメント(70))において、複数の前側突起部(72)の総数と、複数の後側突起部(73)の総数とが異なる。具体的に、変形例1では、前側突起部(72)の総数が、後側突起部(73)の総数よりも多い。このようにすると、伝熱部材(70A)では、前面(71a)側の伝熱面積が、後面(71b)側の伝熱面積よりも大きくなる。このため、変形例1の輻射パネル(40)では、前面(71a)側の加熱能力及び冷却能力を向上できる。
【0087】
〈変形例2〉
図7に示す変形例2の熱交換エレメント(70)では、その左右の連結部(74)の爪部(74b)の突出方向が互いに逆向きとなっている。この構成では、隣り合う熱交換エレメント(70)の連結部(74)の向きを気にすることなく、隣り合う熱交換エレメント(70)を連結することができる。
【0088】
《その他の実施形態》
上記実施形態や、各変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0089】
前側突起部(72)の間の各間隔P1は、全てが等しくなくてもよい。従って、各間隔P1のうちの少なくとも1つが、上述した関係を満たしていればよい。このことは、後側突起部(73)の間の各間隔P2、各前側突起部(72)の各厚さD1、各後側突起部(73)の各厚さD2、各伝熱管(53)の各直径dについても同様のことがいえる。
【0090】
平板部(63)(板部(71))の前面(71a)のみに突起部(72)を形成してもよい。平板部(63)(板部(71))の後面(71b)のみに突起部(73)を形成してもよい。
【0091】
突起部(72,73)は、必ずしも所定方向に延ばす必要はなく、円柱状、角柱状、錘状等の複数の突起を点状に配列してもよい。突起部(72,73)を面(71a,71b)に沿って延ばす構造とする場合、水平方向、あるいは斜めに延ばしてもよい。
【0092】
突起部(72,73)は、板状でなくてもよい。つまり、突起部(72,73)の長手方向に直角な断面形状は矩形状でなくてもよく、三角形や円形(楕円形)であってもよい。
【0093】
伝熱部材(70A)は、複数の熱交換エレメント(70)からなる分割構造であるが、これを一体構造としてもよい。
【0094】
複数の熱交換エレメント(70)に設けられた連結部(74)を省略する一方、これらの熱交換エレメント(70)を連結するための連結部材を、別途、設けるようにしてもよい。
【0095】
空気調和装置(10)の室内ユニット(30)と輻射パネル(40)とを直列に接続した構成としてもよい。空気調和装置(10)の室内ユニット(30)を省略した構成としてもよい。
【0096】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。