【文献】
垣渕和正 他,近赤外光照射による青果物鮮度保持技術「iRフレッシュ」について,農業電化,2014年11月 1日,Vol.67, No.6,p.42-45
【文献】
高附亜矢子 他,近赤外光を使用した青果物鮮度保持技術の研究,農業電化,2012年11月 1日,Vol.65, No.6,p.34-36
【文献】
高附亜矢子 他,近赤外光照射が収穫後のレタスの蒸散に及ぼす影響,園芸学研究,2012年 9月22日,Vol.11, No.2,p.305
【文献】
高附亜矢子 他,収穫後の近赤外光照射が数種野菜の蒸散、気孔開閉および活性酸素生成に及ぼす影響,園芸学研究 別冊,2013年 9月20日,Vol.12, No.2,p.257
【文献】
高附亜矢子 他,近赤外光照射後の保存条件が葉菜類の蒸散と気孔開閉に及ぼす影響,園芸学研究 別冊,2014年 9月27日,Vol.13, No.2,p.308
【文献】
高附亜矢子 他,収穫後の近赤外光照射が数種青果物の蒸散、気孔開度および外観品質に及ぼす影響,園芸学研究 別冊,2015年 3月28日,Vol.14, No.1,p.249
【文献】
垣渕和正 他,数種柑橘類果実の収穫後における腐敗果発生と果皮色に及ぼす近赤外光照射の影響,日本生物環境工学会大会講演要旨集,2017年 8月30日,Vol.2017,p.40-41
【文献】
高附亜矢子 他,収穫後の近赤外光照射が数種葉菜類の蒸散、気孔開度および外観品質に及ぼす影響,園芸学研究,2016年,Vol.15, No.2,p.197-206
【文献】
滝口祥春 他,カットキャベツの保蔵性に関する研究,農業食料工学会年次大会講演要旨,2017年 9月 4日,Vol.76th,p.121
【文献】
垣渕和正 他,選果時の近赤外光照射がウンシュウミカンの果実品質に及ぼす影響,園芸学研究 別冊,2018年 9月22日,Vol.17, No.2,p.338
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に開示された技術は、いずれも、農作物に対して、所定範囲の波長の近赤外光を、所定範囲の照射光強度および照射時間で照射するという簡単な方法によって、農作物の収穫後の鮮度を長期間保持できる点で優れている。
しかし、農作物の鮮度保持効果を発揮し得る近赤外光の波長、および照射光強度と照射時間との関係、つまり鮮度保持処理の好適条件は必ずしも明確ではなく、また、農作物の種類毎の鮮度保持処理の好適条件も明確ではなかった。
そのため、多種類かつ多量の農作物を取り扱う集出荷場や選果場などでは、十分な鮮度保持効果を期待するがゆえに、農作物に対して近赤外光を過剰に大きな照射光強度で照射したり、過剰に長時間の照射時間で照射したりする傾向があり、このような近赤外光の過多照射によって、光エネルギーのロスの発生や、農作物の出荷作業の遅滞の原因になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および照射光強度(放射照度)と照射時間との関係を明確にすることで、農作物に対して近赤外光を適切量に調節して照射し、光エネルギーを効率的に使用して低コスト(低消費電力)で、かつ鮮度保持効果を確実に得ることができる農作物の鮮度保持方法と鮮度保持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は以下の手段により解決された。
【0009】
〔1〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を
照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
上記光源から照射される近赤外光の照射時間の変更に対応して放射照度を自動制御によって調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持
装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0010】
〔2〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式4で表される関数に凡そ基づいて、放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節して照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式4:Y=413019X−1.872
【0011】
〔3〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式5で表される関数に凡そ基づいて、放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節して照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式5:Y=42471X−1.852
【0012】
〔4〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式6で表される関数に凡そ基づいて、放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節して照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式6:Y=5966X−1.866
【0013】
〔5〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式7で表される関数に凡そ基づいて、放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節して照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式7:Y=117942X−1.9
【0014】
〔6〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式8で表される関数に凡そ基づいて、放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節して照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式8:Y=23059X−1.874
【0015】
〔7〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式4で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式4:Y=413019X−1.872
【0016】
〔8〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式5で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式5:Y=42471X−1.852
【0017】
〔9〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式6で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式6:Y=5966X−1.866
【0018】
〔10〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式7で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式7:Y=117942X−1.9
【0019】
〔11〕収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、
放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ式8で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、
を備えたことを特徴とする農作物の鮮度保持装置。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
式8:Y=23059X−1.874
【発明の効果】
【0020】
上記本発明の〔1〕に記載の農作物の鮮度保持
装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、上記光源から照射される近赤外光の照射時間の変更に対応して放射照度を自動制御によって調節できる調節手段とを備えている。
したがって、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長の範囲、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コスト(低消費電力)で鮮度保持効果を確実に得ることができる。
【0021】
また、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、多量の農作物の鮮度保持処理を連続的に行う際に、農作物の単位時間当たりの処理量が変動することによって個々の農作物に対する近赤外光の照射時間に相違が生ずる場合でも、その相違する照射時間に対応して、放射照度を自動的に調節することができるため、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を、容易かつ確実に防ぐことができ、光エネルギーをより効率的に使用して低コストで高い鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0022】
なお、上記の農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長の範囲、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係、すなわち鮮度保持処理の好適条件は、本発明によって初めて明らかにされたものであり、その詳細は後述する。
本発明による農作物の鮮度保持効果を得るためには、かかる鮮度保持処理の好適条件を、鮮度保持処理の対象である農作物の表面の少なくとも一部分において満たすように、近赤外光を照射する必要がある。
【0023】
本発明において農作物に照射する近赤外光は、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含むものであればよく、1つのピーク波長を持つものであっても、異なる2つ以上のピーク波長を持つものであってもよい。また、照射する近赤外光の中心波長が800〜1000nmの波長領域内に存在することが望ましい。
【0024】
上記本発明の
〔2〕に記載の農作物の鮮度保持方法によれば、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式4で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができる。そのため、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることが可能となる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0025】
上記本発明の〔3〕に記載の農作物の鮮度保持方法によれば、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式5で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができる。そのため、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることが可能となる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0026】
上記本発明の
〔4〕に記載の農作物の鮮度保持方法によれば、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式6で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができる。そのため、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることが可能となる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0027】
上記本発明の
〔5〕に記載の農作物の鮮度保持方法によれば、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式7で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができる。そのため、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることが可能となる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0028】
上記本発明の
〔6〕に記載の農作物の鮮度保持方法によれば、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および上記の式1,式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係が明確であるため、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式8で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができる。そのため、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることが可能となる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0029】
上記本発明の
〔7〕に記載の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ上記の式4で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段とを備えている。
したがって、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式4で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0030】
上記本発明の
〔8〕に記載の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ上記の式5で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段とを備えている。
したがって、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式5で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0031】
上記本発明の
〔9〕に記載の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ上記の式6で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段とを備えている。
したがって、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式6で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0032】
上記本発明の
〔10〕に記載の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ上記の式7で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段とを備えている。
したがって、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式7で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【0033】
上記本発明の
〔11〕に記載の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように、
かつ上記の式8で表される関数に凡そ基づいて、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段とを備えている。
したがって、例えば、多種類かつ多量の農作物の鮮度保持処理を行う集出荷場や選果場などにおいて、農作物の種類や量によって、近赤外光の放射照度または照射時間のいずれか一方、または両方を
、上記の式8で表される関数に凡そ基づいて調節することにより、農作物に対する近赤外光の過多照射および過少照射を確実に防ぐことができ、光エネルギーを効率的に使用して低コストで鮮度保持効果を確実に得ることができる。
さらに、近赤外光の過多照射を防ぎ得ることで、光源の長寿命化を図ることができ、また、農作物に近赤外光を照射する場所が、冷蔵庫等の低温を維持する必要がある密閉空間である場合には、かかる空間の気温上昇を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の農作物の鮮度保持方法および鮮度保持装置の実施形態を説明する。なお、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
また、本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0036】
(1)農作物の鮮度保持方法
本発明の鮮度保持方法は、本発明者らが、農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長、および照射光強度(放射照度)と照射時間との関係を解明したことにより完成したものである。
【0037】
本発明の適用対象となる「農作物」は、農業的手法によって収穫できる作物全般であり、例えば、通常行われている利用部位による分類(園芸的分類または人為的分類と呼ばれる)における野菜類、果実類、花卉類を含むものである。
【0038】
前記野菜類とは、例えば、果菜類(ナス、ペピーノ、トマト、ミニトマト、タマリロ、タカノツメ、トウガラシ、シシトウガラシ、ハバネロ、ピーマン、パプリカ、カラーピーマン、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、ツノニガウリ、シロウリ、ゴーヤ、トウガン、ハヤトウリ、ヘチマ、ユウガオ、オクラ、イチゴ、スイカ、メロン、マクワウリ)に加えて、穀物類(米、小麦、大麦、ライ麦、裸麦、トウモロコシ、ヒエ、アワ、ソバ、モロコシ)、豆類(アズキ、インゲンマメ、エンドウ、エダマメ、ササゲ、シカクマメ、ソラマメ、ダイズ、ナタマメ、ラッカセイ、レンズマメ、ゴマ)、葉茎類(アイスプラント、アシタバ、カラシナ、キャベツ、クレソン、ケール、コマツナ、サラダナ、サニーレタス、サイシン、サンチュ、山東菜、シソ、シュンギク、ジュンサイ、シロナ、セリ、セロリ、タアサイ、ダイコンナ(スズシロ)、タカナ、チシャ、チンゲンサイ、ツケナ、菜の花、野沢菜、白菜、パセリ、ハルナ、フダンソウ、ホウレンソウ、ホトケノザ、ミズナ、ミドリハコベ、コハコベ、ウシハコベ、ミブナ、ミツバ、メキャベツ、モロヘイヤ、リーフレタス、ルッコラ、レタス、ワサビナなどの葉菜類、ネギ、細ネギ、アサツキ、ニラ、アスパラガス、ウド、コールラビ、ザーサイ、タケノコ、ニンニク、ヨウサイ、ネギ、ワケギ、タマネギなどの茎菜類、アーティチョーク、ブロッコリー、カリフラワー、食用菊、なばな、フキノトウ、ミョウガなどの花菜類、スプラウト、モヤシ、かいわれ大根などの発芽野菜を含む)、根菜類(カブ、ダイコン、ハツカダイコン、ワサビ、ホースラディッシュ、ゴボウ、チョロギ、ショウガ、ニンジン、ラッキョウ、レンコン、ユリ根などに加えて、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ナガイモ(大和芋)、ヤマノイモ(山芋、自然薯)などのイモ類を含む)、菌茸類(エノキタケ、エリンギ、キクラゲ、キヌガサタケ、シイタケ、シメジ、シロキクラゲ、タモギタケ、チチタケ、ナメコ、ナラタケ、ハタケシメジ、ヒラタケ、ブナシメジ、ブナピー、ポルチーニ、ホンシメジ、キシメジ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ、ヤマブシタケ、ショウロ、トリュフなど)などがあげられる。ただし、これらは例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
また、前記果実類とは、例えば、ミカンなど各種柑橘類、リンゴ、モモ、ナシ、西洋ナシ、バナナ、ブドウ、サクランボ、グミ、キイチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クワ、ビワ、イチジク、カキ、アケビ、マンゴー、アボカド、ナツメ、ザクロ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイア、アンズ、ウメ、スモモ、モモ、キウイフルーツ、カリン、ヤマモモ、クリ、ミラクルフルーツ、グァバ、スターフルーツ、アセロラなどがあげられる。ただし、これらは例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
また、前記花卉類とは、例えば、ホリホック、ブーバルジア、ゴデチア、ツキミソウ、ストック、ハボタン、ルナリア、アシダンセラ、イリス、グラジオラス、ハナビシソウ、ペペロミア、カルセオラリア、キンギョソウ、トレニア、サクラソウ、シクラメン、マツバギク、アンスリウム、カラー、カラジウム、ショウブ、シンゴニウム、スパシフィルム、ディーフェンバキア、フィロデンドロン、サボテン類、アジュガ、カクトラノオ、サルビア、ベゴニア、クルクマ、スイレン、ポーチュラカ、スミレ、フワイトレースフラワー、セトクレアセア、ムラサキオモト、ムラサキツユクサ、ホウセンカ、ツノナス、ペチュニア、ホオズキ、カーネーション、ナデシコ、セキチク、カスミソウ、宿根カスミソウ、ムシトリナデシコ、グズマニア、ストレリチア、シバザクラ、フロックス、オイランソウ、キョウカノコ、アマクリナム、アマリリス、キク、マーガレット、クンシラン、キルタンサス、スイセン、スノーフレーク、タマスダレ、ネリネ、ハマオモト、ユーチャリス、リコリス、リュウゼツラン、ケイトウ、センニチコウ、アサガオ、エボルブルス、クレオメ、ゼラニウム、カランコエ、スカビオサ、スイートピー、ルピナス、ルリジオ、ワスレナグサ、アスチルベ、ユキノシタ、アガパンサス、アマドコロ、アロエ、オーニソガルム、オモト、オリズルラン、ギボウシ、クロユリ、グロリオーサ、コルチカム、サンセベリア、サンダーソニア、ジャノヒゲ、チューリップ、ツルバキア、ドイツスズラン、ドラセナ、トリテレイア、ナルコユリ、ニューサイラン、バイモ、ヒアシンス、ホトトギス、ヤブカンゾウ、ヤブラン、ユリ、アルストロメリア、ルスカス、アツモリソウ、エビネ、オンシジウム、カトレア、コルマナラ、シラン、シンビジウム、セロジネ、デンドリビウム、ドリテノプシス、ナゴラン、パフィオペディルム、バンダ、ビルステケラ、ファレノプシス、ブラウナウ、ミルトニア、エキザカム、トルコギキョウ、リンドウ、ランタナ、バラ、サクラ、ガーベラなどが挙げられ、さらには葉を鑑賞するために用いられるサカキ、ソテツ、シダ、ドラセナ、ハラン、モンステラ、ポトス、コンパクター、ポリシャス、ジャングルブッシュ、リキュウソウ、ベアグラス、ピトスポラムなどがあげられる。ただし、これらは例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
本発明において「鮮度保持」とは、収穫直前の農作物の状態をできるだけ長期間にわたって保持することをいう。必要とされる鮮度保持効果は、農作物の種類および商品価値によって異なり、例えば、レタスやホウレンソウなどの葉茎部を主に利用する野菜においては、しおれ抑制(蒸散抑制)、変色(黄化、褐変など)抑制、軟化抑制、カビ発生抑制の鮮度保持効果が重要となる。また、イチゴ、トマト、ミカン、リンゴなどの果実を主に利用する野菜や果実においては、変色(黄化、褐変など)抑制、糖度や酸度の低下抑制、軟化抑制、カビ発生抑制の鮮度保持効果が重要となる。さらに、花卉類では、しおれ抑制(蒸散抑制)、変色(黄化、褐変など)抑制、カビ発生抑制の鮮度保持効果が重要となる。ただし、これらは例示にすぎず、本発明はこれらに限定されない。
【0042】
本発明において収穫後の農作物に対し照射する近赤外光は、800〜1000nmの波長領域内で任意に設定された波長を含む近赤外光であり、レーザーのような単波長のものでもよいし、蛍光灯やLED等のような波長分布を有するものでもよい。また、1つのピーク波長を持つものであっても、異なる2つ以上のピーク波長を持つものであってもよいが、照射する近赤外光の中心波長が800〜1000nmの波長領域内に存在することが望ましい。
【0043】
かかる近赤外光を照射できる照射器具としては、例えば、発光ダイオード(LED)、蛍光管、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、ネオン管、無機エレクトロルミネッセンス、有機エレクトロルミネッセンス、ケミルミネッセンス(化学発光)、レーザーなどが使用できる。また、800〜1000nmの波長領域内で任意に設定された波長のみを透過する分光フィルターを透過させた光源から発せられる光または太陽光でもよい。
【0044】
本発明の農作物の鮮度保持方法では、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、次の式1,式2および式3の全てを満たすように照射する必要がある。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0045】
かかる式1,式2および式3は、略全ての農作物において鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の放射照度Xと照射時間Yとの関係を表しており、本発明の発明者らが、多種類の農作物を用いた多数の試験の結果に基づき、本発明によって初めて明らかにしたものである。
【0046】
上記の式1に含まれる回帰式「Y=413019X
−1.872」
(式4)は、
図1の両対数グラフにおいて回帰直線LAで表される。ここで、放射照度Xおよび照射時間Yで示される座標が、回帰直線LAよりも上方に存在する場合は、農作物に対する近赤外光の過多照射に該当する。近赤外光の過多照射の場合、放射照度または照射時間が必要量を超えているので、必要量を超えた分の近赤外光を作るために要した電力が無駄になる。さらに、近赤外光の過多照射によって、農作物の鮮度が劣化する場合がある
なお、農作物に対する近赤外光の過多照射によって、農作物の鮮度が低下することは、本発明によって初めて明らかにされたものである。
【0047】
また、上記の式1に含まれる回帰式「Y=5966X
−1.866」
(式6)は、
図1の両対数グラフにおいて回帰直線LCで表される。ここで、放射照度Xおよび照射時間Yで示される座標が、回帰直線LCよりも下方に存在する場合は、農作物に対する近赤外光の過少照射に該当する。近赤外光の過少照射の場合、十分な鮮度保持効果が得られない。
また、
図1に示す回帰直線LBは、回帰式「Y=42471X
−1.852」
(式5)のグラフであり、農作物の鮮度保持効果が最も高い放射照度と照射時間の関係を示すものである。
なお、
図1については、下記の[試験1:リーフレタスへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]において詳説する。
【0048】
農作物の鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を抑制できる近赤外光の波長の領域(800〜1000nm)、および上記の式1、式2および式3によって表される近赤外光の放射照度と照射時間との関係、すなわち鮮度保持処理の好適条件は、野菜類、果実類、花卉類を含むあらゆる農作物に共通している。
本発明による農作物の鮮度保持効果を得るためには、かかる鮮度保持処理の好適条件を、農作物の表面の少なくとも一部分において満たすように近赤外光を照射する必要がある。
【0049】
本発明の農作物の鮮度保持方法において、近赤外光の照射は、連続照射であっても、間欠照射であってもよい。連続照射とは、例えば、近赤外光を連続して所定時間(例えば、5分間)照射することである。間欠照射とは、例えば、10秒間の照射と10秒間の非照射を、照射時間が合計5分間になるよう30回繰り返すことである。
また、本発明の農作物の鮮度保持方法において、近赤外光の照射は、周囲の光環境が暗黒である必要はなく、例えば蛍光灯やLED等の人工的な照明下でもよいし、太陽光下でもよい。また、照射後の光環境も暗黒である必要はなく、例えば蛍光灯やLED等の人工的な照明下でもよいし、太陽光下でもよい。
【0050】
本発明の具体的な実施方法としては、例えば、農作物の生産現場において収穫後に近赤外光を照射する方法、農作物の箱詰め・袋詰め前に近赤外光を照射する方法、または、箱詰め後、蓋を閉めるまでの間に、近赤外光を照射する方法などが挙げられる。
また、近赤外光は、農作物の収納容器に使われる一般的な材質(例えば、ポリエチレンなど)を透過するため、農作物が箱詰め・袋詰めされた後であっても、上から照射することによって箱および袋の中の農作物全体に略均一に照射することが可能である。また、近赤外光は、農作物自身も透過するため、農作物が重ねられて収納されていても、収納された農作物全体に略均一に照射することができる。したがって、箱詰めおよび袋詰めされた後、出荷前に、近赤外光を照射することもできる。さらに、農作物の小売店の店内で本発明を用いることによって、陳列棚での鮮度をより長期間保持することができる。
【0051】
また、本発明の農作物の鮮度保持方法において、より高い鮮度保持効果を得るには、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、次の式1a,式2および式3の全てを満たすように農作物に近赤外光を照射することが望ましい。
式1a:117942X
−1.9≧Y≧23059X
−1.874
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0052】
上記の式1aは、略全ての農作物において高い鮮度保持効果を発揮し、かつ農作物の鮮度劣化を十分に抑制できる近赤外光の放射照度Xと照射時間Yとの関係を表しており、本発明の発明者らが初めて解明したものである。
【0053】
上記の式1aに含まれる回帰式「Y=117942X
−1.9」
(式7)は、
図2の両対数グラフにおいて回帰直線LDで表される。また、上記の式1aに含まれる回帰式「Y=23059X
−1.874」
(式8)は、
図2の両対数グラフにおいて回帰直線LEで表される。
ここで、放射照度Xおよび照射時間Yで示される座標が、上記の式1a、式2および式3の全てを満たす範囲に存在する場合は、近赤外光の放射照度と照射時間の関係が、農作物の鮮度保持効果が極めて高い状態であるといえる。
なお、
図2については、下記の[試験1]において詳説する。
【0054】
また、さらに高い鮮度保持効果を得るには、次の式1a,式2aおよび式3aの全てを満たすように農作物に近赤外光を照射することが望ましい。
式1a:117942X
−1.9≧Y≧23059X
−1.874
式2a:X≧3
式3a:Y≧0.1
【0055】
上記式2aのX≧3は、下記の[試験5:コマツナへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]の試験結果を根拠としており、また、上記式3aのY≧0.1は、下記の[試験4:マーガレットへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]の試験結果を根拠とするものである。
【0056】
(2)農作物の鮮度保持装置
次に、本発明の農作物の鮮度保持装置について説明する。
本発明の農作物の鮮度保持装置は、収穫後の農作物に対して、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外光を照射する光源と、放射照度(W/m
2)をXとして照射時間(秒)をYとした場合に、下記の式1,式2および式3の全てを満たすように、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段と、を備えたことを特徴とする。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0057】
また、より高い鮮度保持効果を得るには、上記調節手段を、下記の式1a,式2および式3の全てを満たすように、上記光源から照射される近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段を備えたものとすることが望ましい。
式1a:117942X
−1.9≧Y≧23059X
−1.874
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0058】
さらに高い鮮度保持効果を得るには、上記調節手段を、下記の式1a,式2aおよび式3aの全てを満たすように、近赤外光の放射照度または照射時間の少なくとも一方を調節できる調節手段を備えたものとすることが望ましい。
式1a:117942X
−1.9≧Y≧23059X
−1.874
式2a:X≧3
式3a:Y≧0.1
【0059】
本発明において、前記光源は、近赤外光のみを照射する光源であってもよいし、可視光とともに近赤外光を照射する光源であってもよい。可視光とともに近赤外光を照射する光源としては、例えば、白色光照射光源と近赤外光照射光源とを組み合わせた光源があげられ、その他、単一の光源で白色光と近赤外光とをともに照射可能な光源等があげられる。具体的には、例えば、白色LEDと近赤外LEDとを組み合わせて構成された光源を用いることにより、近赤外光の照射領域を可視化でき、また、例えば、スーパーマーケット等で陳列された農作物に対して、ディスプレー機能と鮮度保持機能とを備えた照明として使用することができる。
【0060】
図3に、本発明の農作物の鮮度保持装置の一例を示す。
図3(a)は、本例の農作物の鮮度保持装置30の外観を示す模式図であり、
図3(b)は、農作物の鮮度保持装置30の
図3(a)におけるI−I矢視断面図である。
図示のとおり、農作物の鮮度保持装置30は、照射装置本体31の内部を、その前後方向にベルトコンベア32が貫通して設けられており、照射装置本体31の内天面部に、光源33と制御装置34とが配置されている。光源33は、800〜1000nmの波長領域内で設定された波長(例えば850nm)を含む近赤外光を照射する近赤外LEDからなる。制御装置34は、ベルトコンベア32の駆動速度の変更や放射照度の調節を自動制御する装置であり、本発明の調節手段に該当するものである。照射装置本体31の側面には、制御装置34に各種の指示を手動で入力するためのコントロールパネル35が設けられている。
農作物(
図3においてはイチゴ)Sは、ベルトコンベア32上に載置され、照射装置本体31の内部を矢印方向に通過中に、光源33から近赤外光の照射を受ける。
【0061】
かかる農作物の鮮度保持装置30を、例えば、農作物の集出荷場や選果場などにおいて、農作物の仕分け装置や容器詰め装置の上流側あるいは下流側に接続して配置することによって、農作物の鮮度保持処理を連続的に行うことができる。その場合に、農作物の種類や処理量に応じて、単位時間あたりの鮮度保持処理量を変えるためには、ベルトコンベア32の駆動速度を変化させる必要がある。
【0062】
ベルトコンベア32の駆動速度を高くする場合は、光源33の下方を通過する農作物への近赤外光の照射時間が短くなることから、過少照射を防ぐために放射照度を大きくするように調節する。他方、ベルトコンベア32の駆動速度を低下させる場合は、農作物への近赤外光の照射時間が長くなることから、過多照射を防ぐために放射照度を小さくするように調節する。かかる放射照度の調節は、上記の式1,式2および式3の全てを満たすように行う必要がある。
鮮度保持装置30のベルトコンベア32の駆動速度の変更と、駆動速度の変更に対応した放射照度の調節は、制御装置34による自動制御によって行うことができるが、コントロールパネル35を手動で操作することによって行うこともできる。
【0063】
(3)試験例
[試験1:リーフレタスへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]
収穫後のリーフレタスに近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節が蒸散抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0064】
収穫直後のリーフレタス(品種:ノーチップ)の葉茎部に対し、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光について、放射照度(W/m
2)と照射時間(秒)とを、下記表1のサンプル1〜18欄、および下記表2のサンプル20〜27欄に示すように、26通りに変化させて照射してサンプル1〜18およびサンプル20〜27(以下、「照射サンプル」とも称する。)を作成した。また、近赤外光を照射しないサンプル19(以下、「無照射サンプル」とも称する。)を用意した。
なお、近赤外光の放射照度は、リーフレタスの葉茎部の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9721)により行った。
上記の26種類の照射サンプルと1種類の無照射サンプルは、それぞれプラスチック製の容器に入れて密封し、温度10℃の冷蔵庫内で24時間保管した。
【0065】
上記の各サンプルについて、上記の近赤外光照射の直前の質量と、上記の10℃で24時間保管後の質量との差を各サンプルの蒸散量として、無照射サンプル19の蒸散量と、各照射サンプル1〜18,20〜27の各蒸散量との差を求め、それらの差を無照射サンプル19の蒸散量で除し、さらに100を乗じて得た数値を「蒸散抑制率(%)」とした。各照射サンプルの蒸散抑制率は表1および表2に示すとおりである。
【0068】
上記表1の照射サンプル1〜18を、横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフに配置すると、
図1に示すとおりになる。なお、
図1の各照射サンプルの座標位置に付記された番号は、表1に示すサンプル番号である。
【0069】
蒸散抑制率が18〜20%と極めて高い数値を示したサンプル6〜9は、
図1において右下がりの略直線状に並んでいることから、それらの回帰式を最少二乗法で求めたところ、下記の回帰式Bが得られた。回帰式Bを
図1の両対数グラフに表したものが回帰直線LBである。
回帰式B:Y=42471X
−1.852(決定係数R
2=0.9984)
【0070】
図1において、座標位置が回帰直線LBよりも上方にある照射サンプルのうち、蒸散抑制率が0%を越えて且つ5%未満を示したものは、サンプル1〜5である。これらサンプル1〜5の回帰式を最少二乗法で求めたところ、下記の回帰式Aが得られた。回帰式Aを
図1の両対数グラフに表したものが回帰直線LAである。
回帰式A:Y=413019X
−1.872(決定係数R
2=0.9588)
【0071】
また、
図1において、座標位置が回帰直線LBよりも下方にある照射サンプルのうち、蒸散抑制率が0%を越えて且つ5%未満を示したものは、サンプル10〜14である。これらサンプル10〜14の回帰式を最少二乗法で求めたところ、下記の回帰式Cが得られた。回帰式Cを
図1の両対数グラフに表したものが回帰直線LCである。
回帰式C:Y=5966X
−1.866(決定係数R
2=0.9767)
【0072】
以上のとおり、
図1において、座標位置が回帰直線LAと回帰直線LBの間にある照射サンプルは、全て蒸散抑制率が0%を越えており、鮮度保持効果が認められるといえる。
他方、
図1において、座標位置が回帰直線LAよりも上方にある照射サンプル15および16は、いずれも蒸散抑制率が−20%および−8%と極めて低く負の値を示しており、無照射サンプル19よりも鮮度が大幅に劣化している。これは、近赤外光の過多照射によって、リーフレタスが強いストレスを感知し、呼吸や蒸散が増大したことによると推察される。なお、近赤外光の過多照射によって、農作物の鮮度が劣化することは、本発明によって初めて明らかにされた事項である。
また、
図1において、座標位置が回帰直線LCよりも下方にある照射サンプル17および18は、いずれも蒸散抑制率が−1%および0%であり、近赤外光の過少照射のために、鮮度保持効果が生じなかったと考えられる。
【0073】
さらに、農作物への近赤外光の照射において、放射照度が1W/m
2未満の場合には、照射時間を相当に長くしなければ十分な鮮度保持効果が得られない。そのため、農作物の集出荷場や選果場などにおいて、放射照度を1W/m
2未満にして農作物の鮮度保持処理を行うことは実際的ではない。
また、農作物への近赤外光の照射時間が0.01秒未満の場合には、放射照度を相当に大きくしなければ十分な鮮度保持効果が得られない。そのため、照射時間を0.01秒未満にして農作物の鮮度保持処理を行うことは実際的ではない。
【0074】
そうすると、
図1において、回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で農作物(リーフレタス)に対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
かかる条件を式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす場合であり、このように農作物(リーフレタス)に対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0075】
次に、上記表2の照射サンプル20〜27を、横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフに配置すると、
図2に示すとおりになる。なお、
図2の各照射サンプルの座標位置に付記された番号は、表2に示すサンプル番号である。
【0076】
照射サンプル20〜27は、いずれも蒸散抑制率が10〜13%と高い数値を示しており、そのうちのサンプル20〜23の回帰式を最少二乗法で求めたところ、下記の回帰式Dが得られた。回帰式Dを
図2の両対数グラフの表したものが回帰直線LDである。
回帰式D:Y=117942X
−1.9(決定係数R
2=0.9959)
【0077】
また、サンプル24〜27の回帰式を最少二乗法で求めたところ、下記の回帰式Eが得られた。回帰式Eを
図2の両対数グラフの表したものが回帰直線LEである。
回帰式E:Y=23059X
−1.874(決定係数R
2=0.9976)
【0078】
このように、
図2において、座標位置が回帰直線LDと回帰直線LEの間にある照射サンプルは、全て蒸散抑制率が10%以上であり、高い鮮度保持効果が認められるといえる。
また、農作物への近赤外光の照射において、放射照度が1W/m
2未満の場合には、照射時間を相当に長くしなければ十分な鮮度保持効果が得られないため、放射照度を1W/m
2未満にして鮮度保持処理を行うことは実際的ではない。
さらに、農作物への近赤外光の照射時間が0.01秒未満の場合には、放射照度を相当に大きくしなければ十分な鮮度保持効果が得られないため、照射時間を0.01秒未満にして鮮度保持処理を行うことは実際的ではない。
【0079】
そうすると、
図2において、回帰直線LD,回帰直線LE,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で農作物(リーフレタス)に対して近赤外光を照射すれば、高い鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
かかる条件を式で表すと、下記の式1a,式2および式3の全てを満たす場合であり、このように農作物(リーフレタス)に対して近赤外光を照射すれば、高い鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
式1a:117942X
−1.9≧Y≧23059X
−1.874
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0080】
[試験2:温州ミカン果実への近赤外光の照射量の調節によるカビ発生抑制率の変化]
収穫後の温州ミカンの果実に近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節がカビ発生抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0081】
収穫後の温州ミカン(中生種)の果実を、プラスチック製の泥落しマット上で転がして、果皮に多数の擦り傷を付ける付傷処理を行った。
次に、付傷処理後の温州ミカン果実に対して、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光を、放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図4に示すように10通りに変化させて照射して、10種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を各24個ずつ作成した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を24個用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、温州ミカン果実の果皮の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9271)により行った。
上記の照射サンプル10種類と無照射サンプルとの合計11種類のサンプルは、いずれも温度20℃、湿度85%の保管庫内で24日間保管した。
【0082】
上記の11種類の各サンプルについて、上記保管中に果皮部分にカビが発生した個体の数量割合をカビ発生率とし、無照射サンプルのカビ発生率と、10種類の各照射サンプルのカビ発生率との差を求め、それらの差を無照射サンプルのカビ発生率で除し、さらに100を乗じて得た数値を「カビ発生抑制率(%)」とした。
図4において、カビ発生抑制率が10%以上である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、カビ発生抑制率が10%未満である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0083】
なお、
図4は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA、回帰直線LC、X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0084】
図4に示すとおり、温州ミカンの鮮度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、鮮度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、全て上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間で温州ミカンに対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0085】
したがって、温州ミカンについても、上記試験1のリーフレタスと同様に、
図4に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
すなわち、温州ミカン果実も上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0086】
[試験3:イチゴ果実への近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]
収穫後のイチゴの果実に近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節が蒸散抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0087】
収穫後のイチゴ(品種:さちのか)の果実に対して、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光を放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図5に示すように10通りに変化させて照射して、10種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を作成した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、イチゴ果実の果皮の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9721)により行った。
上記の照射サンプル10種類と無照射サンプルとの合計11種類のサンプルは、いずれもプラスチック製の容器に入れて密封し、温度10℃の冷蔵庫内で10日間保管した。
【0088】
上記の11種類の各サンプルについて、上記の近赤外光照射の直前の質量と、上記の10℃で10日間保管後の質量との差を各サンプルの蒸散量として、無照射サンプルの蒸散量と、10種類の各照射サンプルの蒸散量との差を求め、それらの差を無照射サンプルの蒸散量で除し、さらに100を乗じて得た数値を「蒸散抑制率(%)」とした。
図5において、蒸散抑制率が5%以上である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、蒸散抑制率が5%未満である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0089】
なお、
図5は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0090】
図5に示すとおり、イチゴ果実の鮮度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、鮮度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、全て上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間でイチゴ果実に対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0091】
したがって、イチゴ果実についても、上記試験1のリーフレタスや上記試験2の温州ミカン果実と同様に、
図5に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
すなわち、イチゴ果実も上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0092】
[試験4:マーガレットへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]
収穫後の開花しているマーガレットに近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節が蒸散抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0093】
開花しているマーガレットを茎の根本から切断して収穫した直後に、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光を放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図6に示すように3通りに変化させて照射して3種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を作成した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、マーガレットの花、葉または茎の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9721)により行った。
上記の照射サンプル3種類と無照射サンプルとの合計4種類のサンプルは、いずれも温度21℃、湿度85%の保管庫内で3日間保管した。
【0094】
上記の4種類の各サンプルについて、上記の近赤外光照射の直前の質量と、上記の21℃で3日間保管後の質量との差を各サンプルの蒸散量として、無照射サンプルの蒸散量と、3種類の各照射サンプルの蒸散量との差を求め、それらの差を無照射サンプルの蒸散量で除し、さらに100を乗じて得た数値を「蒸散抑制率(%)」とした。
図6において、蒸散抑制率が5%以上である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、蒸散抑制率が5%未満である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0095】
なお、
図6は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0096】
図6に示すとおり、マーガレットの鮮度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、鮮度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間でマーガレットに対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0097】
したがって、マーガレットについても、上記の各試験におけるリーフレタス、温州ミカン果実およびイチゴ果実と同様に、
図6に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
すなわち、マーガレットも上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0098】
[試験5:コマツナへの近赤外光の照射量の調節による蒸散抑制率の変化]
収穫後のコマツナに近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節が蒸散抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0099】
収穫後のコマツナの葉茎部に対し、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長940nmの近赤外光を、放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図7に示すように9通りに変化させて照射して、9種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を作成した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、コマツナの葉茎部の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9721)により行った。
上記の照射サンプル9種類と無照射サンプルとの合計10種類のサンプルは、いずれも温度25℃、湿度35〜55%の室内で1日間保管した。
【0100】
上記の10種類の各サンプルについて、上記の近赤外光照射の直前の質量と、上記の21℃で3日間保管後の質量との差を各サンプルの蒸散量として、無照射サンプルの蒸散量と、9種類の各照射サンプルの蒸散量との差を求め、それらの差を無照射サンプルの蒸散量で除し、さらに100を乗じて得た数値を「蒸散抑制率(%)」とした。
図7において、蒸散抑制率が5%以上である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、蒸散抑制率が5%未満である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0101】
なお、
図7は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0102】
図7に示すとおり、コマツナの鮮度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、鮮度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、全て上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間でコマツナに対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0103】
したがって、コマツナについても、上記の各試験におけるリーフレタス、温州ミカン果実、イチゴ果実およびマーガレットと同様に、
図7に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が得られるといえる。
すなわち、コマツナも上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0104】
[試験6:温州ミカン果実への近赤外光の照射量の調節による糖度と酸度の変化]
収穫後の温州ミカン(早生種)の果実に近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節が糖度と酸度の変化に及ぼす影響を調べた。
【0105】
収穫後の温州ミカンの果実に対して、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光を、放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図8に示すように10通りに変化させて照射して、8種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を各20個ずつ調製した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を20個用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、温州ミカン果実の果皮の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9271)により行った。
【0106】
上記の照射サンプル10種類と無照射サンプルとの合計11種類のサンプルを、それぞれ別々の紙箱に収納し、温度20℃、湿度30〜50%の室内で14日間保管した。
上記保管後の11種類の各サンプルから、無作為に各10個ずつ選んで果汁を搾り、その糖度と酸度を測定した。糖度の測定はデジタル糖度計(アタゴ社製,PR−101α)により行いBRIX値として求め、酸度の測定は中和滴定法により行いクエン酸換算値として算出した。
【0107】
糖度について、10種類の各照射サンプルの糖度と無照射サンプルの糖度との差を求め、それらの差を無照射サンプルの糖度で除し、さらに100を乗じて得た数値を「糖度保持率(%)」とした。また、酸度も同様とし、10種類の各照射サンプルの酸度と無照射サンプルの酸度との差を求め、それらの差を無照射サンプルの酸度で除し、さらに100を乗じて得た数値を「酸度保持率(%)」とした。
【0108】
図8において、糖度保持率が5%以上である照射サンプルを、糖度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、糖度保持率が5%未満である照射サンプルを、糖度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0109】
なお、
図8は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA、回帰直線LC、X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0110】
図9において、酸度保持率が5%以上である照射サンプルを、酸度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、酸度保持率が5%未満である照射サンプルを、酸度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0111】
なお、
図9は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA、回帰直線LC、X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0112】
温州ミカンは、収穫後に時間の経過とともに、鮮度が低下して糖度と酸度が減少し美味しさが損なわれる。
図8および
図9に示すとおり、温州ミカンの糖度保持効果または酸度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、糖度保持効果と酸度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、全て上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間で温州ミカンに対して近赤外光を照射すれば、糖度や酸度を指標とした鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0113】
したがって、温州ミカンについても、上記の各試験におけるリーフレタス等と同様に、
図8および
図9に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、糖度や酸度を指標とした鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
すなわち、温州ミカン果実も上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、糖度や酸度を指標とした鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0114】
[試験7:ミニトマト果実への近赤外光の照射量の調節によるカビ発生抑制率の変化]
収穫後のミニトマトの果実に近赤外光を照射する場合において、放射照度および照射時間の調節がカビ発生抑制率に及ぼす影響を調べた。
【0115】
収穫後のミニトマトの果実に対して、温度18〜23℃、湿度30〜50%の室内において、光源(LED)から発せられる中心波長850nmの近赤外光を、放射照度(x:W/m
2)と照射時間(y:秒)とを、
図10に示すように10通りに変化させて照射して、10種類のサンプル(以下、「照射サンプル」と称する。)を各20個ずつ調製した。また、近赤外光を照射しない1種類のサンプル(以下、「無照射サンプル」と称する。)を20個用意した。
なお、照射サンプルに対する近赤外光の放射照度は、ミニトマト果実の果皮の少なくとも一部分の表面位置において設定値となるように調節し、放射照度の測定は、放射照度計(デルタオーム社製,DO9271)により行った。
【0116】
上記の照射サンプル10種類と無照射サンプルとの合計11種類のサンプルは、内容積1.25リットルのタッパーウェアに別々に収納し、温度25℃の保管庫内で7日間保管した。
上記の11種類の各サンプルについて、上記保管中に果実のへた部分にカビが発生した個体の数量割合をカビ発生率とし、無照射サンプルのカビ発生率と、10種類の各照射サンプルのカビ発生率との差を求め、それらの差を無照射サンプルのカビ発生率で除し、さらに100を乗じて得た数値を「カビ発生抑制率(%)」とした。
【0117】
図10において、カビ発生抑制率が10%以上である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められるものとして「●」で表して配置し、カビ発生抑制率が10%未満である照射サンプルを、鮮度保持効果が認められないものとして「○」で表して配置した。
【0118】
なお、
図10は、
図1と同じく横軸(X軸)を放射照度(W/m
2)、縦軸(Y軸)を照射時間(秒)とする両対数グラフであり、その略中央部に表された「台形の範囲」は、
図1と同様に、回帰直線LA、回帰直線LC、X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲であり、式で表すと、下記の式1,式2および式3の全てを満たす範囲である。
式1:413019X
−1.872≧Y≧5966X
−1.866
式2:X≧1
式3:Y≧0.01
【0119】
図10に示すとおり、ミニトマトの鮮度保持効果が認められたサンプルである「●」は、全て上記「台形の範囲」の内側に配置されており、他方、鮮度保持効果が認められなかったサンプルである「○」は、全て上記「台形の範囲」の外側に配置されている。つまり、上記「台形の範囲」の内側に座標が存在するような放射照度および照射時間でミニトマトに対して近赤外光を照射すれば、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
【0120】
したがって、ミニトマトについても、上記の各試験のリーフレタス等と同様に、
図10に示す回帰直線LA,回帰直線LC,X=1およびY=0.01の4本の直線に囲まれた範囲内に座標が存在するような放射照度および照射時間で近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。
すなわち、ミニトマト果実も上記の式1,式2および式3の全てを満たすように近赤外光を照射することによって、鮮度保持効果が確実に得られるといえる。