【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の高級脂肪酸と、特定の有機アミンとを含有した水硬性組成物用添加剤、または、上記構成に更に脂肪族アルコールリン酸エステルを含む水硬性組成物用添加剤が特に好適であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の化1で示される不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸を含むことを特徴とする高級脂肪酸を含む第一成分と、下記の化2で示される有機アミンを含む第二成分とで構成され
、第一成分における不飽和脂肪酸が50〜99質量%、第一成分における飽和脂肪酸が1〜50質量%である水硬性組成物用添加剤に関するものである。
【0009】
【化1】
【0010】
但し、上記化1において、R
1COOは、炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基を示し、M
1は水素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を示している。
【0011】
化1において、R
1COOは炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基であり、M
1は、水素、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属を示す。かかるR
1COOとしては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸等の炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基が挙げられる。
【0012】
化1において、R
1COOは炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基であるが、好ましくは炭素数12〜20の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基である。
【0013】
更に、第一成分中の不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸の割合
はさらに好ましくは不飽和脂肪酸を70〜99質量%、飽和脂肪酸を1〜30質量%の範囲である。
【0014】
【化2】
【0015】
但し、上記化2において、
R
2は、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基を示し、AO,BOは、それぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、a,bは、0以上の整数であって、かつ、a+b≦100の条件を満たすものである。
【0016】
化2において、R
2は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基である。かかるR
2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基等が挙げられる。R
2は、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等のアミンから、アミノ基を除いた基であってもよい。
【0017】
R
2は直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。R
2の炭素数は1〜30であるが、最も好ましくは6〜22である。R
2の炭素数が30超であると、そのような有機アミンは疎水性が増大する。
【0018】
化2において、AO、BOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であるが、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基であり、より好ましくはオキシエチレンである。a、bは、オキシアルキレン基の付加モル数を示す。
【0019】
化2において、a、bは0以上の整数であって、かつa+b≦100を満足する整数である。好ましくは1≦a+b≦50を満足する整数であり、より好ましくは2≦a+b≦50を満足する整数であり、特に好ましくは2≦a+b≦35を満足する整数であり、最も好ましくは3≦a+b≦35を満足する整数である。
【0020】
更に、本発明は 下記の化3、化4、及び化5でそれぞれ示される脂肪族アルコールリン酸エステルを少なくとも一種以上含む第三成分を更に含有するものであっても構わない。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
但し、上記化3〜化5において、R
3〜R
7は、炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、または炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基を示し、nは2または3の整数を示し、M
2〜M
5は、水素、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属を示し、かつ、M
2〜M
5の少なくとも一つはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むものを示している。
【0025】
かかるR
3としては、例えば、1)ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、2)ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもR
3としては、オクチルアルコール、2−エチルーヘキシルアルコール、ノニルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等の炭素数8〜22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基が好ましい。
【0026】
化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、モノヘキシルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノ2−エチル−ヘキシルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノ2−ブチル−オクチルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノミリスチルホスフェート、モノセチルホスフェート、モノステアリルホスフェート、モノイソステアリルホスフェート、モノオレイルホスフェート、モノエイコシルホスフェート、モノドコシルホスフェート、モノテトラコシルホスフェート等が挙げられる。
【0027】
化4において、R
4、R
5は化3中のR
3について記述したものと同一である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0028】
化4で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、例えば、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジ2−エチル−ヘキシルホスフェート、ジノニルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジドデシルホスフェート、ジ2−ブチル−オクチルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジイソステアリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジデシルオレイルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジドコシルホスフェート、ジテトラコシルホスフェート等が挙げられる。
【0029】
化5において、R
6、R
7は化3のR
3について記述したものと同一である。そのため、詳細な説明は省略する。また、nは2または3の整数である。
【0030】
化5で示される脂肪族アルコールリン酸エステルとしては、モノヘキシルピロホスフェート、ジへキシルピロホスフェート、モノオクチルピロホスフェート、ジオクチルピロホスフェート、モノ2−エチル−ヘキシルピロホスフェート、ジ2−エチル−ヘキシルピロホスフェート、モノノニルピロホスフェート、ジノニルピロホスフェート、モノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等が挙げられる。
【0031】
更に、第一成分の高級脂肪酸は、上記化1におけるR
1COOが炭素数12〜20の脂肪酸からカルボキシ基中の水素を除いた残基であっても構わない。
【0032】
加えて、第二成分の有機アミンは、上記化2におけるR
2が炭素数6〜22のアルキル基またはアルケニル基であっても構わない。
【0033】
また、第一成分の高級脂肪酸、及び第三成分の脂肪族アルコールリン酸エステルの合計酸価は特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜500mg/gの範囲とすることができる。好ましくは10〜400mg/g、より好ましくは50〜250mg/g、最も好ましくは100〜250mg/gの範囲である。
【0034】
ここで、酸価は、例えば、イソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合液、もしくは水等の溶剤に溶解した試料と0.1N水酸化カリウムのエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合溶液とで電位差自動滴定装置を用いて電位差滴定し、終点の滴定量(ml)を測定して、試料1g中に含まれる高級脂肪酸、及びリン酸エステルの酸性基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を下記の数1で算出した値である。
【0035】
【数1】
【0036】
上記数1において、
A1:滴定量 (ml)
f1:0.1N水酸化カリウム溶液の力価
W1:試料の量(g)
をそれぞれ示す。
【0037】
また、第二成分の有機アミンのアミン価は特に限定されるものではないが、例えば、20〜200mg/gの範囲とすることができる。好ましくは30〜150mg/g、最も好ましくは30〜100mg/gの範囲とすることができる。
【0038】
アミン価は、例えばイソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)の混合液、もしくは水等の溶剤に溶解した試料と0.1N塩酸エチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)混合溶液で電位差自動滴定装置を用いて電位差滴定をし、終点の滴定量(ml)を測定して、試料1g中に含まれる有機アミンのアミノ基を中和するのに要する塩酸と等量の水酸化カリウムのmg数を下記の数2で算出した値である。
【0039】
【数2】
【0040】
上記数2において、
A2:滴定量(ml)
f2:0.1N塩酸溶液の力価
W2:試料の量(g)
をそれぞれ示す。
【0041】
更に、下記の式から求められる数値X(%)を10〜300の範囲とすることができる。
[(第二成分のアミン価×第二成分の質量)/{(第一成分の酸価及び第三成分の酸価の和である合計酸価)×(第一成分の質量及び第三成分の質量の和である合計質量)}]×100
ここで、上記数値X(%)は、好ましくは、30〜250、より好ましくは40〜200、最も好ましくは50〜150の範囲とすることができる。
【0042】
本発明に係る水硬性組成物用添加剤を構成する脂肪族アルコールリン酸エステルの有機アミン塩は、炭素数6〜24の脂肪族アルコール、または炭素数6〜24の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを合計1〜10モルの割合で付加したものに、例えば五酸化二リンを反応させて脂肪族アルコールリン酸エステルを得た後、かかる脂肪族アルコールリン酸エステルを水酸化カリウムなどのアルカリ成分及び化2で示される有機アミンで中和することにより得られる。前記の脂肪族アルコールリン酸エステルは通常、化3で示される脂肪族アルコールリン酸エステルと化4で示される脂肪族アルコールリン酸エステルの混合物となるが、場合によっては更に化5で示される脂肪族アルコールリン酸エステルをも含む混合物となる。
【0043】
本発明に係る水硬性組成物用添加剤は、土木、建築、二次製品等の水硬性結合材を含有する水硬性組成物に使用されるものである。かかる水硬性組成物としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート等が挙げられる。
【0044】
本発明に係る水硬性組成物用添加剤は既存の水硬性組成物用添加剤と併用することができる。かかる水硬性組成物用添加剤としては、AE減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、消泡剤、収縮低減剤、増粘剤、硬化促進剤等が挙げられる。
【0045】
本発明に係る水硬性組成物用添加剤の使用対象となる水硬性組成物の調製に用いる水硬性結合材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱セメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。また、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどの各種混和材を、先に示した各種セメントと併用してもよい。
【0046】
また水硬性組成物の調製に骨材を用いる場合の骨材としては細骨材と粗骨材が挙げられ、細骨材としては川砂、山砂、海砂、砕砂、スラグ細骨材等が挙げられ、粗骨材としては川砂利、砕石、軽量骨材等が挙げられる。
【0047】
更に水硬性組成物の水結合材比は通常70%以下とするが、20〜60%とするのが好ましく、30〜55%とするのがより好ましく、35〜55%とするのが特に好ましい。一般的に水結合材比が大きくなると、水硬性組成物の凍結融解抵抗性が低下し、70%を超えると所望の凍結融解抵抗性が得られなくなる場合が多い。