特許第6683361号(P6683361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683361
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】自己閉鎖型コンタクトスリーブ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20200413BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H01R24/40
   H01R13/11 301A
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-540044(P2018-540044)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公表番号】特表2019-506713(P2019-506713A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2016054123
(87)【国際公開番号】WO2017144121
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】502095340
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゼブハウザー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ペムウィーザー、マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】アンファン、クリスチャン
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−296908(JP,A)
【文献】 米国特許第05564942(US,A)
【文献】 米国特許第04932897(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0264115(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0309226(US,A1)
【文献】 特開平05−258792(JP,A)
【文献】 特開2002−134221(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1335541(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38−24/56
H01R 13/04−13/08
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスロットを備える前側領域
を有する高周波プラグ接続(HFプラグ接続)の第1のコネクタの外部導体のためのコンタクトスリーブであって、
前記コンタクトスリーブが第2のコネクタに接続されたときに、前記スロットは、前記前側領域がそれ自身を閉じるような寸法を有し、前記前側領域は、環状設計を有し、前記スロットは、前記コンタクトスリーブの縦方向軸線に対して角度を形成して、前記縦方向軸線と前記スロットとは、15°から60°の間の角度を有する、コンタクトスリーブ。
【請求項2】
前記スロットは、前記第1のコネクタが前記HFプラグ接続の第2のコネクタに接続されたときに差し込み力が低減され、かつ、公差補償が提供されるように設計される、請求項1に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項3】
前記コンタクトスリーブは、弾性領域の変形性を提供し、差し込み力を更に低減するように構成される少なくとも1つの凹部を備える弾性領域を有する、請求項1または2に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項4】
前記縦方向軸線と前記スロットは、30°から50°の間の角度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項5】
前記縦方向軸線と前記スロットは、45°の角度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項6】
前記コンタクトスリーブは、前記第2のコネクタとの電気的接触を提供するように構成される突起部を有する、請求項3に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項7】
前記突起部は、前記弾性領域に配置され、前記凹部に方向に隣接する、請求項に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項8】
前記コンタクトスリーブは、少なくとも2つの凹部を有する、請求項3に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項9】
前記コンタクトスリーブは、少なくとも4つの凹部を有する、請求項3に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項10】
前記コンタクトスリーブは、少なくとも6つの凹部を有する、請求項3に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項11】
前記スロットは、前記凹部と接続される、請求項3、及び8から10のいずれか一項に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項12】
前記コンタクトスリーブの前記前側領域は、前側に向って徐々に細くなる、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンタクトスリーブ。
【請求項13】
第1のコネクタ及び第2のコネクタを有する高周波プラグ接続(HFプラグ接続)であって、
前記第1のコネクタは、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトスリーブを有し、前記コンタクトスリーブは、外部導体として設計される、HFプラグ接続。
【請求項14】
前記第1のコネクタは、プラグとして設計され、前記第2のコネクタは、ソケットとして設計される、請求項13に記載のHFプラグ接続。
【請求項15】
前記第2のコネクタは、突起部にラッチするのに適しているラッチ手段を有する、請求項13または14に記載のHFプラグ接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸プラグ接続の外部導体のためのコンタクトスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許EP1641086B1は、低減された差し込み力によって操作可能なプラグコネクタを開示する。これに関して、半径方向に開口したリングを有するプラグコネクタが説明され、プラグコネクタを差し込むとき、当該リングが半径方向に拡大される。
【0003】
DE19913898C1は、HFプラグ接続(50)の第1のコネクタの外部導体のためのコンタクトスリーブ(10、100)を開示し、コンタクトスリーブ(10、100)は、少なくとも1つのスロット14を備える前側領域(12)を有し、当該コンタクトスリーブが第2のコネクタ40に接続されたとき、スロットは、前側領域がそれ自身を閉じるような寸法を有し、また前側領域は、環状設計を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景の下で、本発明の目的は、改善された電気的特性を有するプラグ接続を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、当該目的は、請求項1の特徴を有する高周波プラグ接続の外部導体のためのコンタクトスリーブにより実現され、および/または請求項10の特徴を有するHFプラグ接続により実現される。
【0006】
これに対応して、本発明は、以下の内容を提供する。
【0007】
HFプラグ接続の第1のコネクタの外部導体のための、少なくとも1つのスロットを備える前側領域を有するコンタクトスリーブであって、当該スロットは、コンタクトスリーブが第2のコネクタに接続されたとき、前記前側領域がそれ自身を閉じるような寸法を有し、また前側領域は、環状設計を有し、スロットは、コンタクトスリーブの縦方向軸線(42)に対して角度を形成して、当該縦方向軸線とスロットとは、15°から60°の間の角度を含む。
【0008】
本発明の考えは、差し込んだときにコンタクトスリーブの前側領域ができるだけ円周である、即ち、実質的に切断点がないように設計されるように、第1のコネクタの外部導体のためのコンタクトスリーブを設計することにある。
【0009】
本発明によれば、前側領域のスロットは、第2のコネクタに接続されたときに、それ自身を閉じるように設計される。
【0010】
従って、本発明に係るコンタクトスリーブは、コンタクトスリーブが共に差し込まれた状態であるときに、実質的に円周である前側領域を介してインピーダンスのより均一な分布を保証する。
【0011】
コンタクトスリーブの縦方向軸線に対するスロットの角度は、公差補償に関して独特な機械的利点をもたらす。
【0012】
「円周の前側領域」の記載は、コンタクトスリーブの共に差し込まれた状態を指すことが理解されるべきである。
【0013】
さらなる従属請求項から、及び、図面に関する記載から、有利な実施例及び進歩性は、自明である。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、コンタクトスリーブのスロットは、第1のコネクタがHFプラグ接続の第2のコネクタに接続されたときに差し込み力を低減させ、また公差補償が提供されるように設計される。
【0015】
スロットのない前側領域を有するコンタクトスリーブに比べて、スロットを介して、コンタクトスリーブが第2のコネクタに接続されるのに必要な差し込み力を低減させることができる。
【0016】
なお、本発明に係るコンタクトスリーブは、前側領域の大きすぎるかまたは小さすぎる寸法が、共に差し込まれた状態で、互いに対して変位するスロットの対向する側によって、および、スロットの対向する側の残りの隙間によって補償されるという程度に、公差補償を提供する。
【0017】
当業者らが「自己閉鎖型」という用語を、コンタクトスリーブが第2のコネクタに接続されたときに、スロットの対向する側がお互いに向って移動し、望ましくお互いに接触することを意味していると理解するだろう。しかし、当業者であれば、可能性のある製造公差のために、スロットの対向する側の間の残りの小さな隙間が完全に閉じられない可能性があることを認識するであろう。
【0018】
さらなる好ましい実施例によれば、コンタクトスリーブは、弾性領域の変形性を提供し、かつ、差し込み力をさらに低減するように構成される少なくとも1つの凹部を有する弾性領域を備える。
【0019】
本発明に係る弾性領域によって、弾性領域の凹部を介して、コンタクトスリーブの適合性と変形可能性がさらに高められ、それによって前側領域が弾性領域に対して変位することが保証される。これは、特に、小さい差し込み力を用いた小さなプラグ接続の場合には、特に有利である。
【0020】
さらなる好ましい実施例によれば、縦方向軸線とスロットとが、30°から50°の間の角度を形成し、特に、大体45°の角度を形成する。これに対応して、スロットが、縦方向軸線に対して45°の角度を形成したときに、スロットの対向する側の傾きのリスクの低減及びスロットの対向する側の、特に容易に互いに関連して変位する能力によって、直径の最大公差補償を保証できる。
【0021】
さらなる好ましい実施例によれば、弾性領域は、第2のコネクタとの電気的接触を提供するように構成される突起部を有し、特に、突起部は、凹部に方向に隣接して設置される。従って、第1のコネクタ及び第2のコネクタの二つの接続しようとする外部導体は、特に簡単な方法で接触することができる。なお、このタイプの接触は、振動または衝撃が発生しても特にフェールセーフであることが証明される。
【0022】
さらなる好ましい実施例によれば、コンタクトスリーブは、少なくとも2つの凹部を有し、特に、少なくとも4つの凹部を有し、より特別に、少なくとも6つの凹部を有する。当業者であれば、凹部の数もそれらの幾何学的寸法も、コンタクトスリーブの寸法に応じて規定されることを理解する。
【0023】
さらなる好ましい実施例によれば、コンタクトスリーブの前側領域は、前側に向って徐々に細くなる。これにより、コンタクトスリーブを第2のコネクタに接続させるのに必要な差し込み力がさらに低減される。
【0024】
第1のコネクタ及び第2のコネクタを有するHFプラグ接続は、特に有利であり、第1のコネクタは、本発明に係るコンタクトスリーブを有し、またコンタクトスリーブは、外部導体として設計される。
【0025】
本発明に係るHFプラグ接続の好ましい実施例によれば、第1のコネクタは、プラグとして設計され、第2のコネクタは、ソケットとして設計される。しかしながら、当業者は、非雄(non-male)/雌コネクタも本特許出願の保護の範囲内に含まれることを理解するであろう。なお、当業者は、本発明に係るコンタクトスリーブが、ソケットの一部を形成してもいいことを理解するであろう。
【0026】
本発明に係るHFプラグ接続の好ましい実施例によれば、第2のコネクタは、突起部にラッチするのに適しているラッチ手段を有する。例えば、ラッチ手段は、突起部に対応する凹部として設計することができる。従って、コンタクトの信頼性をさらに向上させることができる。
【0027】
適切な場合には、上述した実施例及び改善は、任意の形態で互いに組み合わせることができる。本発明の更なる可能な実施例、改善及び実施形態は、明示的に言及していない本発明の特徴の組み合わせも含み、例示的な実施例に対して、これらの組み合わせは上述したかまたは後述する。特に、当業者は、本発明のそれぞれの基本的形態に改良または補足として個々の態様を加えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下は、模式図に提供された例示的な実施例によって、本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1】本発明に係るコンタクトスリーブを示す斜視図である。
【0030】
図2】本発明に係るコンタクトスリーブを示す斜視図である。
【0031】
図3】本発明に係るコンタクトスリーブを示す斜視図である。
【0032】
図4】本発明に係る高周波プラグ接続を示す断面図である。
【0033】
図4a図4の一部を示す図である。
【0034】
図5】本発明に係る高周波プラグ接続を示す断面図である。
【0035】
図5a図5の一部を示す図である。
【0036】
添付の図面は、本発明の実施例のさらなる理解を可能とすることが意図されている。図面は、実施例を解釈し、説明と共に本発明の原理と概念を解釈するためのものである。他の実施例および多くの言及した利点は、図面から明らかになる。図中の要素は必ずしも縮尺通りに示されていない。
【0037】
それぞれの場合において、同一の機能的に類似の要素、特徴および構成要素、および同じ効果を有する構成要素は、図面において同じ参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を、好適な例示的な実施例により上記に完璧に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0039】
図1は、本発明に係るコンタクトスリーブ10を示す斜視図である。コンタクトスリーブ10は、スロット14を備える前側領域12を有する。スロット14は、対向する側14a及び14bによって境界が定められる。スロット14の幾何学的寸法は、前側領域12が共に押圧されると、スロット14の対向する側14a及び14bが互いに向かって移動するような寸法になる。
【0040】
図1において、コンタクトスリーブの前側領域12は、筒状領域16に取り付けられる。この目的のために、コンタクトスリーブ10の筒状領域16は、周方向溝(図示せず)を有し、前側領域は、当該周方向溝中に案内される。前側領域12と筒状領域16との間の解放可能な接続によって、前側領域12の筒状領域16に対する変形と移動の能力が十分に確保される。
【0041】
図2及び図3が概略的に以下に説明される。図2及び図3は、それぞれ本発明に係るコンタクトスリーブ100を示す斜視図である。
【0042】
図1において既に説明したように、コンタクトスリーブ100は、さらに、対向する側14a及び14bによって境界が定められたスロット14を有する。スロット14は、コンタクトスリーブ100の前側領域12に配置される。コンタクトスリーブ100の前側領域12は、コンタクトスリーブ100の筒状領域16と共に単一部品として設計される。
【0043】
筒状領域16は、凹部22a-22f及び突起部24a-24fを備える弾性領域20を有する。凹部22a-22fは、コンタクトスリーブ100の十分な変形可能性を保証する。
【0044】
コンタクトスリーブ100の変形可能性をさらに改善するために、スロット14は、弾性領域20の凹部22bに接続される。
【0045】
コンタクトスリーブ100は、各凹部22a-22fとの間に突起部24a-24fを有する。共に差し込まれた状態で、突起部24a-24fは、第2のコネクタ40の外部導体との電気的接触を確実にする。当業者であれば、突起部24a-24fの配置は、凹部22a-22fの間の配置に決して限定されないことを理解する。特に、突起部は、前側領域12に設けられてもよく、または前側領域12と弾性領域20との間に設けられてもよい。
【0046】
図3は、またコンタクトスリーブ100に隣接する内部導体30及び絶縁部32を示す。絶縁部32は、プラスチックリングとして設計される。
【0047】
以下は、図4、4a及び5が概略的に以下に説明される。図4及び図5は、それぞれコンタクトスリーブ100及び第2のコネクタ40を示す断面図である。
【0048】
図4は、引き抜かれた状態のコンタクトスリーブ100及び第2のコネクタ40を示す。図4a中の部分領域40は、コンタクトスリーブ100の前側領域12がスロット14を有することを示す。
【0049】
図5及び5aは、共に差し込まれた状態のコンタクトスリーブ100及び第2のコネクタ40を示し、図4及び図4a中のスロット14が、図5及び図5aにおいては閉じている状態であることがはっきり見分けられる。
【符号の説明】
【0050】
10 コンタクトスリーブ
100 コンタクトスリーブ
12 前側領域
14 スロット
14a スロット側
14b スロット側
16 筒状領域
20 弾性領域
22a-22f 凹部
24a-24f 突起部
30 内部導体
32 絶縁部
40 第2のコネクタ
40a 領域
42 縦方向軸線
50 高周波プラグ接続
50a 領域
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図5a