(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683390
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】マルチ状態スイッチモード電力増幅器システムおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20200413BHJP
H03F 3/217 20060101ALI20200413BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/217 180
H03F3/68 220
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-217007(P2014-217007)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-109640(P2015-109640A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】13306658.9
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クリストフ ナナン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ジャック ブニー
(72)【発明者】
【氏名】セドリック カッサン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ シュタウディンガー
(72)【発明者】
【氏名】ユーグ ボラトン
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/094265(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/129727(WO,A1)
【文献】
特開2011−77741(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0167434(US,A1)
【文献】
米国特許第4748421(US,A)
【文献】
特表2002−510927(JP,A)
【文献】
特開2011−91801(JP,A)
【文献】
特開2013−110487(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0021095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/02
H03F3/217
H03F3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器であって、
N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチを備え、Nは1よりも大きく、各SMPAブランチは、
2つの駆動信号入力部であって、それによって、前記増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、
1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含み、
前記2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、
前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、
前記増幅器は、1つの無線周波数(RF)信号入力部および2×N個の駆動信号出力部を有するモジュールをさらに備え、各駆動信号出力部は前記2×N個の駆動信号入力部のうちの異なる駆動信号入力部に結合されており、前記モジュールは、前記RF信号入力部においてRF入力信号を受信し、前記RF入力信号をサンプリングして、結果として一連のサンプルを得て、前記2×N個の駆動信号出力部において、前記N個のSMPAブランチの各々に前記駆動信号を提供するように構成されており、前記駆動信号の状態は、前記一連のサンプルにおけるサンプルの大きさに基づく、増幅器。
【請求項2】
N個の合成器入力部および1つの合成器出力部を有する合成器であって、前記合成器入力部の各々は、前記N個のSMPAブランチ出力部のうちの異なるSMPAブランチ出力部に結合されており、前記合成器は、前記N個のSMPAブランチのすべてからの前記SMPAブランチ出力信号を合成して、前記合成器出力部において、合成出力信号を生成するように構成されている、合成器をさらに備える、請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記合成器は、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を表す信号として、前記合成出力信号を生成するように構成されている、請求項2に記載の増幅器。
【請求項4】
N=2であり、前記合成器は、5つの量子化状態のうちの1つの状態を表す信号として、前記合成出力信号を生成するように構成されている、請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
N=3であり、前記合成器は、7つの量子化状態のうちの1つの状態を表す信号として、前記合成出力信号を生成するように構成されている、請求項3に記載の増幅器。
【請求項6】
N=4であり、前記合成器は、9つの量子化状態のうちの1つの状態を表す信号として、前記合成出力信号を生成するように構成されている、請求項3に記載の増幅器。
【請求項7】
Nは2以上10以下の整数である、請求項3に記載の増幅器。
【請求項8】
前記合成器出力部に結合されている再構成フィルタであって、前記再構成フィルタは、前記合成出力信号に対してバンドパスフィルタリングを行うように構成されている、再構成フィルタをさらに備える、請求項2に記載の増幅器。
【請求項9】
前記モジュールは、前記一連のサンプルの各サンプルを量子化して一連の量子化デジタル値を生成し、各量子化デジタル値を符号化して一連の符号化値を生成し、前記2×N個の駆動信号出力部において、前記N個のSMPAブランチの各々に前記駆動信号を提供するようにさらに構成されており、前記駆動信号の状態は、前記モジュールによって処理されている符号化値に基づく、請求項1に記載の増幅器。
【請求項10】
各符号化値は少なくとも2×Nビットを含み、各ビットは異なる前記駆動信号に対応し、各ビットの値により、前記ビットが対応する駆動信号が、第1の状態SOFFであって、前記駆動信号の供給先であるSMPAブランチのトランジスタが、非導通になるようにする駆動信号に対応する、第1の状態SOFFを有すること、および、第2の状態SONであって、前記トランジスタに、飽和領域において動作させる駆動信号に対応する、第2の状態SONを有することのいずれか一方に決まる、請求項9に記載の増幅器。
【請求項11】
前記モジュールは、前記サンプルの大きさに基づいて、前記SMPAブランチの各々について、前記SMPAブランチに、前記第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、前記第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、および、ゼロ電圧の第3の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せのうちのいずれか1つを決定するように構成されている、請求項9に記載の増幅器。
【請求項12】
前記合成器は、前記SMPAブランチ出力信号に対して前記N個のSMPAブランチのうちの少なくとも1つからの位相遅延を付加し、
前記モジュールは、前記合成器によって付加される前記位相遅延を補償する位相オフセットとともに、前記SMPAブランチに前記駆動信号を提供するように構成される、請求項2に記載の増幅器。
【請求項13】
増幅器であって、
1つの無線周波数(RF)信号入力部および2×N個の駆動信号出力部を有するモジュールであって、Nは1よりも大きく、前記モジュールは、前記RF信号入力部においてRF入力信号を受信し、前記RF入力信号をサンプリングして、結果として一連のサンプルを得て、前記2×N個の駆動信号出力部において、N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチの各々に駆動信号を提供するように構成されており、前記駆動信号の状態は、前記一連のサンプルのうちの1つのサンプルの大きさに基づく、モジュールと、
前記N個のSMPAブランチであって、各SMPAブランチは、
2つの駆動信号入力部であって、各駆動信号入力部は前記2×N個の駆動信号出力部のうちの異なる駆動信号出力部に結合されている、2つの駆動信号入力部と、
1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含み、
前記2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、
前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている、前記N個のSMPAブランチと、
N個の合成器入力部および1つの合成器出力部を有する合成器であって、前記合成器入力部の各々は、前記N個のSMPAブランチ出力部の異なるSMPAブランチ出力部に結合されており、前記合成器は、前記N個のSMPAブランチのすべてからの前記SMPAブランチ出力信号を合成して、前記合成器出力部において、合成出力信号を生成するように構成されており、前記合成出力信号は、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を有する、合成器とを備える、増幅器。
【請求項14】
前記モジュールは、前記サンプルの大きさに基づいて、各サンプルについて符号化値を決定するようにさらに構成されており、
各符号化値は少なくとも2×Nビットを含み、各ビットは異なる前記駆動信号に対応し、各ビットの値により、前記ビットが対応する駆動信号が、第1の状態SOFFであって、前記駆動信号の供給先であるSMPAブランチのトランジスタが、非導通になるようにする駆動信号に対応する、第1の状態SOFFを有すること、および、第2の状態SONであって、前記トランジスタに、飽和領域において動作させる駆動信号に対応する、第2の状態SONを有することのいずれか一方に決まり、
各符号化値は、前記SMPAブランチの各々について、前記SMPAブランチに、前記第1の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、前記第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、および、ゼロ電圧の第3の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せのうちのいずれかに1つに対応する、請求項13に記載の増幅器。
【請求項15】
増幅器であって、
1つの無線周波数(RF)信号入力部および2×N個の駆動信号出力部を有するモジュールであって、Nは1よりも大きく、前記モジュールは、前記RF信号入力部においてRF入力信号を受信し、前記RF入力信号をサンプリングして、結果として一連のサンプルを得て、前記2×N個の駆動信号出力部において、N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチの各々に駆動信号を提供するように構成されており、前記駆動信号の状態は、前記一連のサンプルのうちの1つのサンプルの大きさに基づく、モジュールと、
前記N個のSMPAブランチであって、各SMPAブランチは、
2つの駆動信号入力部であって、各駆動信号入力部は前記2×N個の駆動信号出力部のうちの異なる駆動信号出力部に結合されている、2つの駆動信号入力部と、
1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部と、
2つのSMPAとセンタータップ付き変圧器とを含むD級プッシュプル増幅器を備え、
前記SMPAの各々の入力部は、前記2つの駆動信号入力部の異なる駆動信号入力部に結合されており、前記SMPAの各々の出力部は、前記センタータップ付き変圧器の第1のコイルの異なる端部に結合されており、前記センタータップ付き変圧器の第2のコイルは前記SMPAブランチ出力部に結合されており、
前記2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、
前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている、前記N個のSMPAブランチと、
N個の合成器入力部および1つの合成器出力部を有する合成器であって、前記合成器入力部の各々は、前記N個のSMPAブランチ出力部の異なるSMPAブランチ出力部に結合されており、前記合成器は、前記N個のSMPAブランチのすべてからの前記SMPAブランチ出力信号を合成して、前記合成器出力部において、合成出力信号を生成するように構成されており、前記合成出力信号は、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を有する、合成器とを備える、増幅器。
【請求項16】
増幅器によって実行される、経時変化する信号を増幅するための方法であって、前記方法は、
RF入力信号を受信するステップと、
前記RF入力信号をサンプリングするステップであって、結果として一連のサンプルがもたらされる、サンプリングするステップと、
前記増幅器のN個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチの各々に駆動信号の組合せを提供するステップであって、Nは1よりも大きく、各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、それによって、前記増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含み、前記駆動信号の状態は、前記一連のサンプルにおけるサンプルの大きさに基づく、受信するステップと、
前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の第1の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチによって、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するステップと、
前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチによって、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成するステップとを備える、方法。
【請求項17】
前記一連のサンプルの各サンプルを量子化して一連の量子化デジタル値を生成するステップと、
各量子化デジタル値を符号化して一連の符号化値を生成するステップとをさらに備え、前記駆動信号の状態は、前記一連の符号化値の処理されている符号化値に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各符号化値は少なくとも2×Nビットを含み、各ビットは異なる前記駆動信号に対応し、各ビットの値により、前記ビットが対応する駆動信号が、第1の状態SOFFであって、前記駆動信号の供給先であるSMPAブランチのトランジスタが、非導通になるようにする駆動信号に対応する、第1の状態SOFFを有すること、および、第2の状態SONであって、前記トランジスタに、飽和領域において動作させる駆動信号に対応する、第2の状態SONを有することのいずれか一方に決まり、
各符号化値は、前記SMPAブランチの各々について、前記SMPAブランチに、前記第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、前記第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せ、および、ゼロ電圧の第3の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成させることになる駆動信号の組合せのうちのいずれか1つに対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
合成出力信号を生成するために前記N個のSMPAブランチのすべてからの前記SMPAブランチ出力信号をともに合成するステップであって、前記合成出力信号は、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を有する、合成するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概してスイッチモード電力増幅器およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)による無線通信は、基本的に、デジタルベースバンド情報を、空気を媒体として送信および受信するのに適した高電力変調RF信号に変換することを伴う。任意のRF通信システムにおいて、システムの電力増幅器は、通信されることになる信号を、信号が送信のためにアンテナに提供される前に増幅するにあたって重要な役割を担う。様々な一般的なタイプの電力増幅器がRF通信に使用されており、最も一般的なタイプは、アナログ設計(たとえば、A級、B級、AB級、およびC級)またはスイッチング設計(たとえば、D級およびE級)を有するものとして分類されている。
【0003】
なお、並列に結合された電界効果トランジスタからの出力信号を組合せるための装置およびその方法について、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,994,760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力増幅器は、送信システムによって消費される総電力の相当部分を消費する傾向にある。それゆえ、電力増幅器の効率(すなわち、増幅器出力信号の電力を、増幅器によって消費される総電力で除算した値)は、設計者が一貫して増大させようと努めている増幅器品質である。しかしながら、増幅器性能を考慮することも重要であり、理論効率が高い多くの増幅器設計は、特徴として性能が低くなっている場合がある。たとえば、理論効率が相対的に高いいくつかの級の増幅器は、線形性、歪み、帯域幅などに関して相対的に性能が劣る場合がある。RF電力増幅器の効率および性能の両方を最適化することが強く所望されているため、RF電力増幅器の設計者は、より効率的でより性能の高い増幅器設計を開発するよう努力し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、増幅器であって、N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチを備え、Nは1よりも大きく、各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、それによって、前記増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含み、前記2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている、増幅器を備えることを要旨とする。
【0007】
請求項14に記載の発明は、増幅器であって、1つの無線周波数(RF)信号入力部および2×N個の駆動信号出力部を有するモジュールであって、Nは1よりも大きく、前記モジュールは、前記RF信号入力部においてRF入力信号を受信し、前記RF入力信号をサンプリングして、結果として一連のサンプルを得て、前記2×N個の駆動信号出力部において、N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチの各々に駆動信号を提供するように構成されており、任意の所与の時点における前記駆動信号の状態は、前記一連のサンプルのうちの1つのサンプルの大きさに基づく、モジュールと、前記N個のSMPAブランチであって、各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、各駆動信号入力は前記2×N個の駆動信号出力部のうちの異なる駆動信号出力部に結合されている、2つの駆動信号入力と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含み、前記2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されており、前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチは、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている、前記N個のSMPAブランチと、N個の合成器入力部および1つの合成器出力部を有する合成器であって、前記合成器入力部の各々は、前記N個のSMPAブランチ出力部の異なるSMPAブランチ出力部に結合されており、前記合成器は、前記N個のSMPAブランチのすべてからの前記SMPAブランチ出力信号を合成して、前記合成器出力部において、合成出力信号を生成するように構成されており、前記合成出力信号は、任意の所与の時点において、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を有する、合成器とを備える、増幅器を備えることを要旨とする。
【0008】
請求項18に記載の発明は、増幅器によって実行される、経時変化する信号を増幅するための方法であって、前記方法は、前記増幅器のN個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチによって駆動信号の組合せを受信するステップであって、Nは1よりも大きく、各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、それによって、前記増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、前記増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部と含む、受信するステップと、前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の第1の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチによって、前記SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するステップと、前記2つの駆動信号入力部において駆動信号の前記第1の組合せと異なる第2の組合せを受信することに応答して、各SMPAブランチによって、前記SMPAブランチ出力部において、前記第1の電圧レベルと異なる第2の電圧レベルの前記SMPAブランチ出力信号を生成するステップとを備える、方法を備えることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な一実施形態に応じた、マルチ状態スイッチモード電力増幅器(SMPA)システムの概略図。
【
図2】3つのブランチ(枝部)のSMPAシステムの一実施形態に提供されると、SMPAシステムに、その出力信号を7つの出力電圧レベルのうちの1つに振幅変調させる第1の例の増幅器制御ビットコードを示すテーブル。
【
図3】例示的な一実施形態に応じた、3つのブランチのSMPAシステムの7つの例示的な出力電圧レベルを示すグラフ。
【
図4】4つのブランチのSMPAシステムの一実施形態に提供されると、SMPAシステムに、その出力信号を9つの出力電圧レベルのうちの1つに振幅変調させる一例の増幅器制御ビットコードを示すテーブル。
【
図5】例示的な一実施形態に応じた、4つのブランチのSMPAシステムの9つの例示的な出力電圧レベルを示すグラフ。
【
図6】例示的な一実施形態に応じた、マルチ状態SMPAシステムを動作させるための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載する実施形態は、スイッチモード電力増幅器(SMPA)システムおよびその動作方法を含み、これらは、無線周波数(RF)信号などの経時変化する信号を増幅するように構成されている。本質的に、本明細書に記載するSMPAシステム実施形態は、RFデジタル−アナログコンバータ(DAC)機能を実装する。より具体的には、本明細書に記載するSMPAシステム実施形態は、複数の並列なSMPAブランチ(枝部)を駆動するために、RF信号が符号化される前にオーバーサンプリングおよび量子化される通信システム内で使用するのに特に適し得る。各SMPAブランチは、SMPAブランチのSMPA(たとえば、トランジスタ)に提供される駆動信号に基づいて直流(DC)入力電圧を増幅出力信号に変換するように構成されている。SMPAシステムはさらに、複数の電圧レベルまたは状態間で変調され得る電圧レベルを有するRF出力信号を生成するために、複数のSMPAブランチからの出力信号を組合せる。結果生じるRF出力信号は、再構成フィルタを用いて再構成され得る。
【0011】
下記により詳細に説明するように、SMPAシステム内で利用されるSMPA「ブランチ」の数Nにより、量子化出力信号の状態の数Mが決まる。より具体的には、量子化出力信号の状態の数Mは、一実施形態において、少なくとも2×N+1に等しい。様々な実施形態に応じて、Nは1よりも大きい任意の整数であり得るが、Nはまた、(あまり有用でない可能性はあるものの)1ほどに小さくてもよい。たとえば、N=2である場合、SMPAシステムの一実施形態は、少なくとも5つの別個の量子化状態を有する出力信号を生成することが可能である。同様に、N=3である場合、SMPAシステムの一実施形態は、少なくとも7つの別個の量子化状態を有する出力信号を生成することが可能であり、N=4である場合、SMPAシステムの一実施形態は、少なくとも9つの別個の量子化状態を有する出力信号を生成することが可能であり、以下同様である。SMPAブランチの数は、任意であると考えられてもよい。より多数のブランチが、より高いコード化効率をもたらすことができるため、有利であり得る。しかしながら、より多数のブランチを有するシステムは、その性質によって、より少数のブランチを有するシステムよりも大型であり、より複雑になる。いずれの場合も、本発明の主題は、任意の数のSMPAブランチを有するシステムの実施形態を含むように意図されている。
【0012】
図1は、例示的な一実施形態に応じた、マルチ状態SMPAシステム100の概略図である。SMPAシステム100は、量子化器/符号化器(QE)モジュール110と、N個のSMPAブランチ120、121、122と、出力合成器160と、再構成フィルタ192とを含む。下記により詳細に説明するように、各SMPAブランチ120〜122は、一実施形態において、D級プッシュプル増幅器の形態で実装されてもよい。より具体的には、
図1に示すSMPAブランチ120〜122の実施形態の回路トポロジは、一般的な電圧モードD級増幅器のものと一致する。しかしながら、下記により詳細に説明するように、入力信号駆動は、D級増幅器の従来の入力信号駆動とは異なる。
図1は、SMPAシステム100を、3つのSMPAブランチ120〜122を含む(N=3)ものとして示しているが、SMPAシステムの他の実施形態は、3つよりも多いまたは少ないSMPAブランチを含んでもよいことを理解されたい。SMPAシステムの一実施形態の明快な例を説明するために、
図1〜
図3は、3つのブランチのSMPAシステム(たとえば、
図1のSMPAシステム100)に関連して説明される。しかしながら、本明細書における記載に基づいて、Nは任意の実効的な整数であってもよい(たとえば、2以上10以下の整数であるが、Nはまた、10より大きくてもよい)ことを、当業者であれば理解されるであろう。
【0013】
QEモジュール110は、入力ノード102においてRF入力信号を受信し、一連のサンプルを生成するために信号をサンプリングするように構成されている。たとえば、QEモジュール110は、RF入力信号の電圧の大きさを周期的にサンプリングし、測定されたRF信号の大きさを示すサンプル(あるサンプリングレートにおける)を生成するように構成されてもよい。代替的に、QEモジュール110は、RF入力信号の電圧をサンプリングするように構成されてもよい。いずれの手法においても、QEモジュール110は本質的に、そのサンプリングレートにおいてRF入力信号をサンプリングするように構成されている。一実施形態に応じて、サンプリングレートは、RF信号の基本周波数よりも高い。より具体的には、サンプリングレートは、少なくともナイキストサンプリング定理を満たす程度に十分高くなるように選択される。特定の一実施形態に応じて、サンプリングレートは、RF信号の基本周波数の約4倍である。代替の実施形態において、サンプリングレートはより高くてもよく、またはより低くてもよい(たとえば、基本周波数の約2倍程度の低さであってもよい)。QEモジュール110は、たとえば、シグマデルタADCなどのアナログ−デジタルコンバータ(ADC)を使用してサンプリングを実行してもよいが、他のタイプのADCが使用されてもよい。
【0014】
一実施形態に応じて、QEモジュール110は、一連の量子化デジタル値を生成するために、一連のサンプル内のサンプルを量子化するようにさらに構成されており、量子化デジタル値の量子化状態の数は、出力信号量子化状態の数(たとえば、一実施形態において、少なくとも2×N+1)に対応する。QEモジュール110は、各ビットがシステムの別個の電力増幅器(PA)123〜128に対する駆動信号に対応するマルチビット符号化値を生成するために、各量子化デジタル値を符号化するようにさらに構成されている。従って、3つのSMPAブランチ120〜122および6つの対応するPA123〜128を含むシステム100において、各符号化値は少なくとも6ビットを含んでもよい。各符号化値に対応する駆動信号は、SMPAブランチ120〜122の駆動信号入力141〜146に実質的に並列に提供される。一実施形態に応じて、また後により詳細に説明するように、駆動信号は、後に位相変換器165、166によって適用される位相シフト、および、出力合成器160内で生じる位相シフトを補償するために、駆動信号入力141〜146に提供されるときに位相オフセットを有してもよく、「実質的に並列に」という用語は、駆動信号の提供が位相オフセットされている場合があることを反映するように意図されている。
【0015】
各SMPAブランチ120〜122は、相補的なPAの対(すなわち、対123、124、対125、126、および対127、128)を含む。PA123〜128の各々は、たとえば、1つ以上の電界効果トランジスタ(FET)(たとえば、金属酸化膜半導体FET(MOSFET))またはバイポーラトランジスタを含んでもよい。本明細書において、各対の中のPA123〜128は、記号表示「A」および「B」を使用して互いから区別される。さらに、異なるSMPAブランチ120〜122の中のPA123〜128は本明細書において、記号表示「−1」、「−2」、および「−N」を使用して互いから区別される。従って、たとえば、第1のPAブランチ120の2つのPA123、124は「PA A−1」123および「PA B−1」124と指定され、第2のPAブランチ121の2つのPA125、126は「PA A−2」125および「PA B−2」126と指定され、第NのPAブランチ120の2つのPA127、128は「PA A−N」127および「PA B−N」128と指定される。さらに、各PA123〜128は単一の増幅器段を含むものとして示されているが、各PA123〜128は、様々な実施形態において、所望の出力電力レベルに達するための複数の直列接続増幅器段(たとえば、前置増幅器および終段増幅器を含む)を有して実装されてもよい。
【0016】
各PA123〜128は、SMPAブランチ120〜122に関連付けられている2つの駆動信号入力141〜146のうちの1つと、2つのPA出力ノード(ラベリングなし)のうちの1つとの間に結合されている。より具体的には、
図1に示すように、第1のSMPAブランチ120は、駆動信号入力141と第1のPA出力ノードとの間に結合されているPA A−1 123と、駆動信号入力142と第2のPA出力ノードとの間に結合されているPA B−1 124とを含む。同様に、第2のSMPAブランチ121は、駆動信号入力143と第3のPA出力ノードとの間に結合されているPA A−2 125と、駆動信号入力144と第4のPA出力ノードとの間に結合されているPA B−2 126とを含む。最後に、第Nの(たとえば、第3の)SMPAブランチ122は、駆動信号入力145と第5のPA出力ノードとの間に結合されているPA A−N 127と、駆動信号入力146と第6のPA出力ノードとの間に結合されているPA B−N 128とを含む。加えて、各SMPAブランチ120〜122は、DC電圧入力130、131、132を通じてDC電圧V
DDを受け取る。
【0017】
一実施形態に応じて、SMPAブランチ120内のPA123と、PA124とは寸法(Size)が等しく、SMPAブランチ121内のPA125と、PA126とは寸法が等しく、SMPAブランチ122内のPA127と、PA128とは寸法が等しい。しかしながら、一実施形態に応じて、異なるSMPAブランチ120〜122内のPA123〜128は互いに寸法が異なる。たとえば、PA123〜128の相対寸法比は、a)Size
PA A−1 123=Size
PA B−1 124=1、b)Size
PA A−2 125=Size
PA B−2 126=2、およびc)Size
PA A−N 127=Size
PA B−N 128=3/2であってもよい。言い換えれば、SMPAブランチ121内のPA125、126の寸法はSMPAブランチ120内のPA123、124の寸法の2倍であり、SMPAブランチ122内のPA127、128の寸法はSMPAブランチ120内のPA123、124の寸法の1.5倍である。代替の実施形態において、PA123〜128の寸法比は、上記に与えられた例とは異なってもよく、または、異なるSMPAブランチ120〜122内のPA123〜128の寸法が等しくてもよい。
【0018】
一実施形態に応じて、各SMPAブランチ120〜122は、
図1に示すように、D級増幅器構造を有する。より具体的には、各SMPAブランチ120〜122はタップ付き変圧器162、163、164(たとえば、センタータップ付き変圧器またはバラン)とともに、上述のように、一対のPA123〜128を含む。一実施形態に応じて、各変圧器162〜164は、第1のコイルであって、その第1の端子が各SMPAブランチ120〜122のPA123、125、127の第1の増幅器の出力に結合されており、第2の端子が各SMPAブランチ120〜122のPA124、126、128の第2の増幅器の出力に結合されている、センタータップ付きの第1のコイルを含む。加えて、各変圧器162〜164は、第1のコイルと誘導結合されている第2のコイルであって、各SMPAブランチ120〜122のSMPAブランチ出力151、152、153に結合されている第1の端子と、電圧基準(たとえば、グランド)に結合されている第2の端子とを含む第2のコイルを含む。各変圧器162〜164の巻数比は、SMPAブランチ出力151〜153において所望の出力電圧を生成するように選択される。たとえば、巻数比は2:1または任意の他の比であってもよい。加えて、電圧入力130〜132を通じてSMPAブランチ120〜122に供給される各入力DC電圧は、一実施形態に応じて、変圧器162〜164の第1のコイルのセンタータップにおいて提供される。
【0019】
一実施形態に応じて、各PA123〜128のトランジスタは、線形領域においては動作されるのではなく、飽和領域(すなわち、完全に「オン」にスイッチされる)または非アクティブ(すなわち、完全に「オフ」にスイッチされる)のいずれかにおいて、駆動信号入力141〜146に供給される駆動信号を介して動作される。さらに、各SMPAブランチ120〜122のPA123〜128はプッシュプルの対として動作され、SMPAブランチ出力151〜153において生成される出力信号の電圧は、PA123〜128に対する駆動信号(すなわち、駆動信号入力141〜146において提供される駆動信号)の状態、および、電圧入力130〜132を通じて供給される入力DC電圧の大きさに応じて決まる。より具体的には、一実施形態において、SMPAブランチ120〜122内の両方のPAが実質的にオフであり、従って、SMPAブランチ出力151〜153において実質的にゼロ電圧が生成されるように、または、SMPAブランチ120〜122内の他方のPAが飽和領域において動作している(すなわち、完全に「オン」である)間に、SMPAブランチ120〜122内のPAのうちの一方が実質的にオフであり、従って、SMPAブランチ出力151〜153において(いずれのPAが駆動されているかに応じて)正電圧信号もしくは負電圧信号のいずれかが生成されるように、PA123〜128は駆動される。たとえば、「A」のPAのうちの1つ(たとえば、PA123、125、127のうちの1つ)が駆動され飽和した(一方でその対の「B」のPA124、126、128は駆動されない)とき、SMPAブランチ120〜122は正の正規化電圧を有する出力信号を生成することになる。逆に、「B」のPAのうちの1つ(たとえば、PA124、126、128のうちの1つ)が駆動され飽和した(一方でその対の「A」のPA123、125、126は駆動されない)とき、SMPAブランチ120〜122は負の正規化電圧を有する出力信号を生成することになる。最後に、「A」、「B」のPA121〜128のいずれも駆動されないとき、SMPAブランチ120〜122は実質的にゼロ電圧を有する出力信号を生成することになる。
【0020】
説明を容易にするために、各駆動信号(たとえば、駆動信号入力141〜146の1つにおいて提供される信号)は、任意の所与の時点において2つの電圧レベルまたは状態、すなわち、1)信号の供給先であるPAのトランジスタが、実質的に非導通、すなわち完全に「オフ」となるようにする駆動信号に対応する第1の状態S
OFF、および2)信号の供給先であるPAのトランジスタが、飽和領域において動作する、または実質的に導通、すなわち完全に「オン」となるようにする駆動信号に対応する第2の状態S
ONのうちの一方を有するものとして本明細書において説明されている。加えて、各出力信号の電圧(たとえば、SMPAブランチ出力151〜153における各信号の電圧)は、正規化値を有して示されてもよく、これは、電圧が1)実質的にゼロ(「0」)、2)正電圧レベル(「1」)、または3)負電圧レベル(「−1」)のいずれかであることを示す。下記テーブル1は、一実施形態に応じた、単一のSMPAブランチ(たとえば、SMPAブランチ120)の2つの駆動信号入力(たとえば、駆動信号入力141および142)に供給される駆動信号値の組合せと、そのSMPAブランチ出力(たとえば、SMPAブランチ出力151)においてSMPAブランチによって生成されることになる、対応する正規化出力電圧の値とを示す真理値表である。
【0022】
前述のように、QEモジュール110は、RF入力信号をオーバーサンプリングして一連のサンプルを生成し、各サンプルを量子化して一連の量子化デジタル値を生成し、各量子化デジタル値を符号化して、各ビットがシステムのPA123〜128の別個のものに対する駆動信号に対応するマルチビット符号化値を生成する。たとえば、6ビット符号化値について、第1のビット(たとえば、最上位ビット(MSB))は駆動信号入力141(従って「A」のPA123)に対する駆動信号に対応してもよく、第2のビット(たとえば、隣接するより下位のビット)は駆動信号入力142(従って「B」のPA124)に対する駆動信号に対応してもよく、第3のビット(たとえば、次に隣接するより下位のビット)は駆動信号入力143(従って「A」のPA125)に対する駆動信号に対応してもよく、第4のビット(たとえば、次に隣接するより下位のビット)は駆動信号入力144(従って「B」のPA126)に対する駆動信号に対応してもよく、第5のビット(たとえば、次に隣接するより下位のビット)は駆動信号入力145(従って「A」のPA127)に対する駆動信号に対応してもよく、第6のビット(たとえば、最下位ビット(LSB))は駆動信号入力146(従って「B」のPA128)に対する駆動信号に対応してもよい。符号化値ビット対駆動信号についての他のマッピングが使用されてもよいが、本明細書においては例示を目的として上記のマッピングを使用する。
【0023】
システム100の動作中、QEモジュール110によって駆動信号入力141〜146に並列に提供される駆動信号の組合せは、システム100によって次の処理されるべき符号化値によって決まる。より具体的には、たとえば、QEモジュール110が、サンプルを生成し、サンプルを量子化して量子化デジタル値を生成し、量子化デジタル値を、量子化デジタル値の大きさに対応する特定の符号化値(たとえば、6ビット値)に変換してもよい。QEモジュール110は、その後、符号化値に従って駆動信号を生成してもよい。たとえば、QEモジュール110が「101010」の符号化値に基づいて駆動信号を生成しているとき、これらのビットは駆動信号入力141〜146に提供される駆動信号のうちの1つに対応するが、駆動信号は、以下の状態、すなわち、S
ON(駆動信号入力141に対する駆動信号)、S
OFF(駆動信号入力142に対する駆動信号)、S
ON(駆動信号入力143に対する駆動信号)、S
OFF(駆動信号入力144に対する駆動信号)、S
ON(駆動信号入力145に対する駆動信号)、およびS
OFF(駆動信号入力146に対する駆動信号)を有してもよい。駆動信号のそのような組合せを提供することによって、「A」のPA123、125、127は、相対的に高い電圧出力信号を生成することになり、「B」のPA124、126、128は結果として、実質的にゼロ電圧出力信号を生成することになる。
【0024】
図1は
図1に示すSMPAシステム100とともに使用されてもよい特定のD級増幅器トポロジを示しているが、当業者であれば、本明細書における記載に基づいて、他のD級増幅器トポロジが代替的に使用されてもよいことを理解されるであろう。加えて、SMPAシステム100は代替的に、E級増幅器トポロジまたは他のタイプのスイッチング増幅器を利用してもよい。
【0025】
前述のように、SMPAシステム100は、出力合成器160も含む。出力合成器160は、各々がSMPAブランチ120〜122のSMPAブランチ出力151〜153のうちの1つに結合されている、複数の入力171、172、173を含む。出力合成器160は、出力180において合成出力信号を生成するために、SMPAブランチ120〜122からSMPAブランチ出力151〜153および合成器入力171〜173を介して受信される信号を結合するように構成されている。合成出力信号は、一実施形態において、(たとえば、帯域外スペクトル成分を濾波することによってより平滑なアナログRF出力信号を生成するために)合成出力信号を帯域制限するように構成されているバンドパスフィルタを含む再構成フィルタ192に提供される。
図1に示すように、再構成フィルタ192が負荷190に結合されているとき、再構成フィルタ192によって生成される再構成出力信号は負荷190に提供される。
【0026】
一実施形態に応じて、出力合成器160は、いくつかの加算ノード168、169と、いくつかの位相変換器165、166とを含み、これらは
図1に示すように合成器入力171〜173に結合されてもよい。たとえば、加算ノード168、169の数はN−1に等しくてもよく、位相変換器165、166の数はN−1に等しくてもよいが、他の実施形態において、加算ノード168、169および/または位相変換器165、166の数は異なってもよい。示されている実施形態において、第1のSMPAブランチ120は(出力151および入力171を介して)第1の位相変換器165の第1の端子に結合されており、第2のSMPAブランチ121は(出力152および入力172を介して)加算ノード168、第1の位相変換器165の第2の端子、および第2の位相変換器166の第1の端子に結合されており、第Nの(たとえば、第3の)SMPAブランチ122は(出力153および入力173を介して)加算ノード169および第2の位相変換器166の第2の端子に結合されている。さらに、加算ノード169は出力180に結合されている。
【0027】
位相変換器165、166は、たとえば、4分の1波長(ラムダ/4)位相変換器であってもよい。従って、各位相変換器165、166は、その第1の端子において受信される信号に対して90度の位相遅延を導入してもよい。他の実施形態において、位相変換器165、166は、より大きいまたはより小さい位相遅延を導入するように構成されてもよい。位相シフトを生成するのに加えて、位相変換器165、166は、それぞれ、入力171と加算ノード168との間、および、加算ノード168と169との間でインピーダンス変換を引き起こすように構成されてもよい。いずれの場合も、駆動信号入力141〜146においてSMPAブランチ120〜122に提供される駆動信号の位相は、異なるSMPAブランチ120〜122から加算ノード168、169において受信される信号がともに同相で加算されるように制御される。たとえば、位相変換器165、166が4分の1波長変換器である実施形態において、QEモジュール110は、特定の符号化値(または特定のサンプルもしくは量子化デジタル値)に対応する駆動信号をSMPAブランチ120に、SMPAブランチ121に提供される駆動信号よりも90度進むように、かつ、SMPAブランチ122に提供される駆動信号よりも180度進むように提供する。従って、SMPAブランチ120からの出力信号は、位相変換器165によって90度だけ遅延されることになり、従って、出力信号が、SMPAブランチ121からの出力信号と同相で加算ノード168に到達することが可能になる。加算ノード168における合成信号は再び、位相変換器166によって別に90度だけ遅延され、従って、加算ノード168からの合成信号が、SMPAブランチ122からの出力信号と同相で加算ノード169に到達することが可能になる。このように、すべてのSMPAブランチ120〜122からの出力信号が最終的に互いに同相で合成される。
【0028】
これより詳細に説明するように、上述のSMPAシステム100などのSMPAシステムの実施形態は、SMPAシステムが、複数の電圧レベルまたは状態の間で変調することができる電圧レベルを有する出力信号(たとえば、出力180における)を生成することが可能であるように動作されてもよい。たとえば、N個のSMPAブランチを有するSMPAシステムでは、量子化出力信号の状態の数Mは、一実施形態において、少なくとも2×N+1に等しい。量子化出力信号の各状態は、異なる駆動信号セット、従って、異なる符号化値セットに対応する。言い換えれば、一実施形態に応じて、QEモジュール(たとえば、QEモジュール110)は、各サンプルを量子化し、その後、各量子化デジタル値をM個の符号化値のうちの1つに符号化するように構成されており、M個の符号化値の各々は、駆動信号に変換されると、M個の量子化出力信号の状態のうちの1つを有する出力信号(たとえば、出力180における)の生成に対応する。
【0029】
たとえば、
図2および
図3は、7つの量子化信号出力状態のうちのいずれか1つを有する出力信号を生成するように構成されている3つのSMPAブランチ(すなわちN=3)を有するシステムに対応する(すなわち、M=2×3+1=7)。より具体的に、
図2は、6つのPAを有する3つのブランチのSMPAシステムの一実施形態において実装されると、SMPAシステムに、その出力信号を7つの出力電圧レベルまたは状態のうちの1つに振幅変調させる第1の例の増幅器制御ビットコードを示すテーブル200である。
【0030】
テーブル200は、7つの行201、202、203、204、205、206、207を含み、各行は、7つの量子化状態(たとえば、−3から+3の値の範囲において、刻み幅が1である量子化状態)のうちの1つに対応する。加えて、テーブル200は、6つの列211、212、213、214、215、216を含み、各列は6ビット符号化値のうちの1ビットに対応し、各ビットの値が、システムの6つのPAのうちの1つに提供されることになる駆動信号の状態を決定する。言い換えると、符号化値の各ビット位置が、6つのPAのうちの異なるものに対応し、そのビット位置にあるビットの値により、QEモジュールが対応するPAに提供することになる駆動信号が決まる。例として、列211はPA123に対応してもよく、列212はPA124に対応してもよく、列213はPA125に対応してもよく、列214はPA126に対応してもよく、列215はPA127に対応してもよく、列216はPA128に対応してもよい。
【0031】
本明細書に提供する例示的な実施形態において、各符号化値の最下位ビット(すなわち、テーブル200内の制御ビット1および2)は、出力ノード(たとえば、出力180)から電気的に最も遠いPAに対応し、各符号化値の最上位ビット(すなわち、テーブル200内の制御ビット5および6)は、出力ノードに電気的に最も近いPAに対応する。さらに、本明細書に提供する例示的な実施形態において、奇数番号の制御ビットは「A」のPA(たとえば、PA123、125、127)に対応し、偶数番号の制御ビットは「B」のPA(たとえば、PA124、126、128)に対応する。本明細書における記載に基づいて、符号化値内のビットの、システムのPAに対するマッピングが、本明細書において提供されている例示的なマッピングとは異なってもよく、そのような代替的なマッピングが、本発明の主題の範囲内に含まれることが意図されていることを当業者であれば理解されるであろう。
【0032】
いずれの場合も、
図2によれば、各行201〜207は7つの一意の符号化値のうちの1つを含み、符号化値の各々は、QEモジュールによって選択されて、PAに対する駆動信号を生成するのに使用されるとき、システムに、7つの異なる正規化電圧レベルまたは状態のうちの1つを有する出力信号(たとえば、出力180における)を生成させることになる。たとえば、テーブル200において、行201内の符号化値「101010」は、最高の量子化状態(たとえば、+3の正電圧レベル)に対応してもよく、行202内の符号化値「101000」は、次に高い量子化状態(たとえば、+2の正電圧レベル)に対応してもよく、行203内の符号化値「100000」は、次に高い量子化状態(たとえば、+1の正電圧レベル)に対応してもよく、行204内の符号化値「000000」は、中立またはゼロの量子化状態に対応してもよく、行205内の符号化値「010000」は、次に低い量子化状態(たとえば、−1の負電圧レベル)に対応してもよく、行206内の符号化値「010100」は、次に低い量子化状態(たとえば、−2の負電圧レベル)に対応してもよく、行207内の符号化値「010101」は、最低の量子化状態(たとえば、−3の負電圧レベル)に対応してもよい。
【0033】
前述のように、QEモジュールは、RF入力信号(たとえば、入力102において受信される信号)を周期的にサンプリングして、サンプリング時刻の各々におけるRF信号の電圧を示す一連のサンプルを生成する。QEモジュールはさらに、各サンプルを量子化して対応する量子化デジタル値を生成し、各量子化デジタル値に対応する符号化値(たとえば、テーブル200内の符号化値のうちの1つ)を選択する。たとえば、行201内の符号化値が、1つ以上の第1の量子化デジタル値(たとえば、第1の最高の範囲の大きさに入るサンプルに対応する)に対して選択されてもよく、行202内の符号化値が、1つ以上の第2の量子化デジタル値(たとえば、隣接するより低い範囲の大きさに入るサンプルに対応する)に対して選択されてもよい、などである。
【0034】
符号化値が選択された後、これは、システムのPAを駆動するための駆動信号に変換されてもよい。たとえば、符号化値内の各「0」はS
OFFの大きさを有する駆動信号に対応してもよく、符号化値内の各「1」はS
ONの大きさを有する駆動信号に対応してもよい。QEモジュールはその後、対応するPAに駆動信号を(たとえば、前述のように段階的に)提供してもよい。たとえば、行201内の符号化値が選択されるとき、QEモジュールは、「101010」の符号化値を、S
ON(PA123を駆動する)、S
OFF(PA124を駆動する)、S
ON(PA125を駆動する)、S
OFF(PA126を駆動する)、S
ON(PA127を駆動する)、およびS
OFF(PA128を駆動する)の大きさを有する駆動信号に変換してもよい。
【0035】
一実施形態に応じて、「A」のPA(たとえば、PA123、125、127)のいずれか1つにS
ONの状態を有する駆動信号が提供されると(一方、対応する「B」のPAにはS
OFFの状態を有する駆動信号が提供される)、「A」のPAは、+1の大きさの正規化電圧を有するそのSMPAブランチからの出力信号を結果としてもたらす信号を生成することになる。逆に、「B」のPA(たとえば、PA124、126、128)のいずれか1つにS
ONの状態を有する駆動信号が提供されると(一方、対応する「A」のPAにはS
OFFの状態を有する駆動信号が提供される)、「B」のPAは、−1の大きさの正規化電圧を有するそのSMPAブランチからの出力信号を結果としてもたらす信号を生成することになる。従って、PAが、上記に列挙されているような、行201内の符号化値に対応する駆動信号を用いて駆動されると、「A」のPA(たとえば、PA123、125、127)の各々が、+1の大きさの正規化電圧を有するそのSMPAブランチからの出力信号を結果としてもたらす信号を生成することになり、合成器ネットワーク(たとえば、出力合成器160)は、出力信号を同相で加算して、+3の大きさの正規化電圧を有するシステム出力信号(たとえば、出力180における)を生成したことになる。逆に、PAが、行207内の符号化値に対応する駆動信号(すなわち、駆動信号S
OFF(PA123を駆動する)、S
ON(PA124を駆動する)、S
OFF(PA125を駆動する)、S
ON(PA126を駆動する)、S
OFF(PA127を駆動する)、およびS
ON(PA128を駆動する))を用いて駆動される場合、「B」のPA(たとえば、PA124、126、128)の各々は、−1の大きさの正規化電圧を有するそのSMPAブランチからの出力信号を結果としてもたらす信号を生成することになり、合成器ネットワークは、出力信号を加算して、−3の大きさの正規化電圧を有するシステム出力信号(たとえば、出力180における)を生成したことになる。
【0036】
図3は、例示的な一実施形態に応じた、3つのブランチのSMPAシステムの7つの例示的な出力電圧レベルを示すグラフ300である。グラフ300において、垂直軸は電圧レベル(正規化)を表し、水平軸は時刻を表す。前述の例に沿って、グラフ300は、特定の一連の符号化値(たとえば、
図2の符号化値の一連の値)がQEモジュールによって選択されるときの出力信号(たとえば、出力180における)の様々な大きさを示す。
図2および
図3の両方を参照して、グラフ300のトレース302は、QEモジュール(たとえば、QEモジュール110)が以下のテーブル内の一連の符号化値を、SMPAブランチ(たとえば、SMPAブランチ120〜122)に提供される駆動信号に変換し、各SMPAブランチが対応する出力信号を生成し、合成器(たとえば、合成器160)が出力信号を合成してシステム出力信号(たとえば、出力180における)を生成するときの出力信号(たとえば、出力180における)の大きさを示す。
【0038】
テーブル200内の符号化値は例としてのみ提供されている。本明細書における記載に基づいて、3つよりも多いまたは少ないSMPAブランチを有するSMPAシステム(たとえば、7つよりも多いまたは少ない状態を有する出力信号を生成することができるSMPAシステム)とともに使用されてもよい符号化値セットを生成する方法について、当業者であれば理解されるであろう。たとえば、4つのSMPAブランチを有する(すなわちN=4)SMPAシステムの一実施形態は、少なくとも9つの量子化状態(すなわち、M=2×4+1=9)を有する出力電圧を生成することが可能であってもよい。そのような実施形態において、符号化値セットは、9つの異なる量子化状態を実装するために、9つの異なる8ビット値を含んでもよい。
【0039】
図4は、8つのPAを有する4つのブランチのSMPAシステムの一実施形態に提供されると、SMPAシステムに、その出力信号を9つの出力電圧レベルのうちの1つに振幅変調させる一例の増幅器制御ビットコードを示すテーブル400である。テーブル400は、9つの行401、402、403、404、405、406、407、408、409を含み、各行は、9つの量子化状態(たとえば、−4から+4の値の範囲において、刻み幅が1である量子化状態)のうちの1つに対応する。加えて、テーブル400は、8つの列411、412、413、414、415、416、417、418を含み、各列が8ビット符号化値のうちの1ビットに対応し、各ビットの値が、システムの8つのPAのうちの1つに提供されることになる駆動信号の状態を決定する。各行401〜409は9つの一意の符号化値のうちの1つを含み、符号化値の各々は、QEモジュール(たとえば、QEモジュール110)によって選択されると、システムに、9つの異なる正規化電圧レベルまたは状態のうちの1つを有する出力信号を生成させることになる。たとえば、テーブル400において、行401内の符号化値「10101010」は、最高の量子化状態(たとえば、+4の正電圧レベル)に対応してもよく、行402内の符号化値「10101000」は、次に高い量子化状態(たとえば、+3の正電圧レベル)に対応してもよい、などである。
【0040】
図5は、例示的な一実施形態に応じた、4つのブランチのSMPAシステムの9つの例示的な出力電圧レベルを示すグラフ500である。グラフ500において、垂直軸は電圧レベル(正規化)を表し、水平軸は時刻を表す。グラフ300と同様に、グラフ500は、特定の一連の符号化値(たとえば、
図4の符号化値の一連の値)がQEモジュールによって選択されるときの出力信号(たとえば、出力180における)の様々な大きさを示す。
図4も参照して、グラフ500のトレース502は、QEモジュール(たとえば、QEモジュール110)が以下のテーブル内の一連の符号化値を、SMPAブランチ(たとえば、N=4であるときのSMPAブランチ120〜122)に提供される駆動信号に変換し、各SMPAブランチが対応する出力信号を生成し、合成器(たとえば、合成器160)が出力信号を合成してシステム出力信号(たとえば、出力180における)を生成するときの出力信号(たとえば、出力180における)の大きさを示す。
【0042】
図6は、例示的な一実施形態に応じた、マルチ状態SMPAシステム(たとえば、
図1のSMPAシステム100)を動作させるための方法のフローチャートである。方法は、ブロック602において、SMPAシステムがRF信号を受信すると、開始し得る。たとえば、
図1も参照すると、QEモジュール(たとえば、QEモジュール110)は、入力ノード(たとえば、入力ノード102)において提供されるRF信号を受信してもよい。SMPAシステム(またはより詳細には、QEモジュール)は、その後、RF入力信号をサンプリングし、そのサンプルを量子化し、量子化デジタル値を符号化してもよい。たとえば、前述のように、SMPAシステムは、入力信号の大きさを周期的に測定し、測定された大きさを示すサンプルを(あるサンプリングレートで)生成してもよい。SMPAシステムは、その後、量子化デジタル値を生成するために各サンプルを量子化し、各ビットがシステムの別個のPA(たとえば、PA123〜128)に対する駆動信号に対応するマルチビット符号化値を生成するために、各量子化デジタル値を符号化してもよい。
【0043】
ブロック604において、SMPAシステム(たとえば、QEモジュール)は、その後、各符号化値に基づいて増幅器駆動信号を生成してもよく、システムのSMPAブランチのPA(たとえば、SMPAブランチ120〜122のPA123〜128)に駆動信号を提供してもよい。前述のように、任意の所与の時点における各増幅器駆動信号の状態は、各増幅器に対応する符号化値ビットの状態に応じて決まる(たとえば、駆動信号の状態は、ビットが「0」であるかまたは「1」であるかに応じてS
OFFまたはS
ONのいずれかである)。同じく前述のように、増幅器駆動信号は、最終的に、増幅されたRF信号が同相で合成される(たとえば、出力合成器160によって)ことを確実にする位相オフセットで増幅器に提供されてもよい。
【0044】
ブロック606において、システムのSMPAブランチのPA(たとえば、SMPAブランチ120〜122のPA123〜128に対する)が駆動信号を受信し、各SMPAブランチが、駆動信号に対応する電圧レベルを有する出力信号を生成する。ブロック608において、SMPAブランチによって生成される出力信号は、合成出力信号(たとえば、出力180における)を生成するために、(たとえば、出力合成器160によって)同相で合成される。合成出力信号は、その後、ブロック608において、合成出力信号を帯域制限するために(たとえば、再構成フィルタ192によって)濾波されてもよい。最後に、再構成された出力信号が負荷(たとえば、負荷190)に提供されてもよい。方法は、SMPAシステムが動作し続ける限り連続して実行されてもよい。
【0045】
増幅器の一実施形態は、N個のスイッチモード電力増幅器(SMPA)ブランチを備え、Nは1よりも大きい。各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、それによって、増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含む。2つの駆動信号入力において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、SMPAブランチ出力において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている。さらに、2つの駆動信号入力において受信される駆動信号が第1の組合せと異なる第2の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、SMPAブランチ出力部において、異なる第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている。
【0046】
増幅器の別の実施形態は、1つの無線周波数(RF)信号入力部および2×N個の駆動信号出力部を有するモジュールであって、Nは1よりも大きく、モジュールと、N個のSMPAブランチと、合成器とを含む。モジュールは、RF信号入力部においてRF入力信号を受信し、RF入力信号をサンプリングして、結果として一連のサンプルを得て、2×N個の駆動信号出力部において、N個のSMPAブランチの各々に駆動信号を提供するように構成されている。任意の所与の時点における駆動信号の状態は、一連のサンプルのうちの1つのサンプルの大きさに応じて決まる。各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、各駆動信号入力部は2×N個の駆動信号出力部のうちの異なる駆動信号出力部に結合されている、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含む。2つの駆動信号入力部において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている。2つの駆動信号入力において受信される駆動信号が第1の組合せと異なる第2の組合せであることに応答して、各SMPAブランチは、SMPAブランチ出力部において、異なる第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するように構成されている。合成器はN個の合成器入力と、1つの合成器出力とを含む。各合成器入力部は、N個のSMPAブランチ出力部のうちの異なるSMPAブランチ出力部に結合されており、合成器は、N個のSMPAブランチのすべてからのSMPAブランチ出力信号を結合して、合成器出力部において、合成出力信号を生成するように構成されている。合成出力信号は、任意の所与の時点において、2×N+1個の量子化状態のうちの1つの状態を有してもよい。
【0047】
増幅器によって実行される、経時変化する信号を増幅するための方法の一実施形態は、増幅器のN個のSMPAブランチによって駆動信号の組合せを受信するステップを含み、Nは1よりも大きく、各SMPAブランチは、2つの駆動信号入力部であって、それによって、増幅器が合計2×N個の駆動信号入力部を有する、2つの駆動信号入力部と、1つのSMPAブランチ出力部であって、それによって、増幅器が合計N個のSMPAブランチ出力部を有する、1つのSMPAブランチ出力部とを含む。方法は、2つの駆動信号入力において受信される駆動信号が第1の組合せであることに応答して、各SMPAブランチによって、SMPAブランチ出力部において、第1の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するステップをさらに含む。方法は、2つの駆動信号入力において受信される駆動信号が第1の組合せと異なる第2の組合せであることに応答して、各SMPAブランチによって、SMPAブランチ出力部において、異なる第2の電圧レベルのSMPAブランチ出力信号を生成するステップをさらに含む。
【0048】
本記載および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、要素間で区別するために使用され、必ずしも特定の構造的な、連続する、または経時的な順序を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。さらに、「備える(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」といった用語およびそれらの任意の変化形は非排他的な包含とするように意図され、それによって、要素のリストを含む回路、プロセス、方法、製品、または装置が必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的に列挙されていない、またはこのような回路、プロセス、方法、製品、または装置に内在する他の要素を含むことができる。本明細書において使用される場合、「結合される(coupled)」という用語は、電気的または非電気的な様式で直接的または間接的に接続されるものとして定義される。
【0049】
本発明の主題の原理が特定のシステム、装置、および方法に関連して上記で説明されてきたが、この説明は例示のみを目的として為されており、本発明の主題に対する限定としてではないことは明瞭に理解されたい。本明細書において述べられ図面内に示されたさまざまな機能または処理ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの任意の組合せにおいて実装されることができる。さらに、本明細書において採用されている表現または専門用語は説明を目的としており、限定ではない。
【0050】
特定の実施形態の上記の記載は、他者が、現在の知識を適用することによって、一般的な概念から逸脱することなく様々な用途のためにそれを容易に改変および/または適合することができるだけ十分に本発明の主題の一般的な性質を公開している。従って、このような適合および改変は開示されている実施形態の均等物の意図および範囲内にある。本発明の主題は、すべてのこのような代替形態、改変形態、均等物、および変形形態を、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内に入るものとして包含する。