(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683391
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】エンジン房冷却構造
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20200413BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
B60K11/06
B62D25/20 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-134466(P2015-134466)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13710(P2017-13710A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 巧
(72)【発明者】
【氏名】畑中 弦太朗
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−262368(JP,A)
【文献】
特開平11−107769(JP,A)
【文献】
特開2008−303720(JP,A)
【文献】
特開2002−362429(JP,A)
【文献】
実開平03−011924(JP,U)
【文献】
実開昭62−016025(JP,U)
【文献】
特開2012−183945(JP,A)
【文献】
特開2013−014165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00 − 11/08
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車において下側が床部材で覆われると共に内部にエンジンを含む駆動部が配置されたエンジン房を空気流により冷却するエンジン房冷却構造であって、
前記床部材の下方に突出する床下突出部と、
前記床下突出部の前部近傍において前記床部材から下方に開いた導入口を有すると共に前記駆動部の後部側において前記エンジン房内に開いた放出口を有し、前記床部材の下側を流通する空気流を前記導入口から前記放出口まで誘導するように前記導入口から前記放出口に向かって前記エンジン房内に誘導壁が設けられた空気流誘導部とを備え、
前記誘導壁は、フロントタイヤのタイヤハウスの下縁部に取り付けられたマッドガードに一体に設けられるエンジン房冷却構造。
【請求項2】
前記誘導壁は、前記導入口から前記放出口まで延びる管形状を有する請求項1に記載のエンジン房冷却構造。
【請求項3】
前記放出口は、前記駆動部において前記エンジンの下側に配置されたオイルパンより後
側に配置される請求項1または2のいずれか一項に記載のエンジン房冷却構造。
【請求項4】
前記床下突出部は、前記エンジン房の両側部に隣接して配置された一対のフロントタイ
ヤである請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジン房冷却構造。
【請求項5】
前記床下突出部は、前記エンジン房の両側部に隣接して配置された一対のフロントタイ
ヤの前側に取り付けられたタイヤ用フラップである請求項1〜3のいずれか一項に記載の
エンジン房冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン房冷却構造に係り、特に、床部材で下側が覆われたエンジン房を空気流により冷却するエンジン房冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の床下を流れる空気流の抵抗を抑制するために、自動車の下部を覆うようにアンダーカバーなどの床部材が配置されている。この床部材により空気抵抗が低下する一方で、エンジンなどの駆動部を配置したエンジン房が下側から覆われるため、エンジン房内の空気が流通し難く、高温となる駆動部などを冷却することが困難であった。そこで、床部材の下側を流れる空気流の抵抗を抑制しつつ床部材の下側からエンジン房内に空気流をスムーズに誘導することが求められている。
【0003】
床部材の下側から上側に空気流をスムーズに誘導する技術として、例えば、特許文献1には、アンダーカバーの走行輪よりも前方の平坦な部分において、走行輪とサスペンションアームの車体側取付点との間の前方延長領域で、かつ、車両前方からの空気の床下流れが再付着する部位に空気導入部を設けた自動車のアンダーフロア構造が提案されている。この自動車のアンダーフロア構造は、車両の前端部に当たって剥離した空気をアンダーカバーの再付着部分において空気導入部が捕捉するため、アンダーカバーの下側を流れる空気流をスムーズにアンダーカバーの上側に誘導することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2803473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のアンダーフロア構造を適用してアンダーカバーの下側を流れる空気流をエンジン房内に誘導しても、その空気流はエンジン房内に配置された駆動部の前側に導入される。このように、駆動部の前側に空気流を導入すると、空気流がエンジン房を後方へ移動する間に駆動部により温められるため、駆動部の後側に配置された電装品および樹脂部品などの後部部品を冷却することが困難であった。さらに、特許文献1のアンダーフロア構造において空気導入部が形成される空気の再付着部分は、空気の流通性が低いエンジン房内に空気流を導入するだけの高い圧力を有しないため、アンダーフロアの下側からエンジン房内に空気導入部を介して空気流をスムーズに導入することは困難である。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、床部材の下側からエンジン房内に空気流をスムーズに導入して駆動部の後側に配置された後部部品を確実に冷却するエンジン房冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエンジン房冷却構造は、自動車において下側が床部材で覆われると共に内部にエンジンを含む駆動部が配置されたエンジン房を空気流により冷却するエンジン房冷却構造であって、床部材の下方に突出する床下突出部と、床下突出部の前部近傍において床部材から下方に開いた導入口を有すると共に駆動部の後部側においてエンジン房内に開いた放出口を有し、床部材の下側を流通する空気流を導入口から放出口まで誘導するように導入口から放出口に向かってエンジン房内に誘導壁が設けられた空気流誘導部とを備え
、誘導壁は、フロントタイヤのタイヤハウスの下縁部に取り付けられたマッドガードに一体に設けられるものである。
【0009】
また、放出口は、駆動部においてエンジンの下側に配置されたオイルパンより後側に配置することが好ましい。
【0010】
また、床下突出部は、エンジン房の両側部に隣接して配置された一対のフロントタイヤとすることができる。
また、床下突出部は、エンジン房の両側部に隣接して配置された一対のフロントタイヤの前側に取り付けられたタイヤ用フラップとすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、床下突出部の前部近傍において床部材から下方に開いた導入口を有すると共に駆動部の後部側においてエンジン房内に開いた放出口を有し、床部材の下側を流通する空気流を導入口から放出口まで誘導するように導入口から放出口に向かって誘導壁が設けられた空気流誘導部を備えるので、床部材の下側からエンジン房内に空気流をスムーズに導入して駆動部の後側に配置された後部部品を確実に冷却するエンジン房冷却構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す図である。
【
図2】床部材の下側から空気流誘導部に空気流が導入される様子を示す底面図である。
【
図3】この発明の実施の形態2に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態3に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す図である。
【
図5】この発明の実施の形態4に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す図である。
【
図6】この発明の実施の形態5に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るエンジン房冷却構造を備えた自動車の構成を示す。この自動車は、フロントガラス1と、フロントガラス1の前方に張り出すように配置されたフロントフード2と、フロントフード2の下側に離間して対向配置された床部材3と、フロントフード2および床部材3の両側部に沿って前後方向に延びる一対のフェンダー4と、フロントフード2、床部材3およびフェンダー4の前部を覆うように配置された前壁部5と、フロントフード2、床部材3およびフェンダー4の後部を覆うように配置されたトーボード6とを有する。フェンダー4の中間部には車幅方向内側に窪むようにタイヤハウス7が形成されており、このタイヤハウス7の内側にフロントタイヤ8が配置されている。
【0014】
フロントフード2、床部材3、フェンダー4、前壁部5およびトーボード6は、内部を囲むように配置され、その内部にはほぼ閉じられたエンジン房Rが形成されている。このエンジン房Rには、一対のフロントタイヤ8の間にエンジンなどの駆動部9が配置されると共にタイヤハウス7の近傍を前後方向に延びるように空気流誘導部11が設けられている。また、トーボード6およびフロントガラス1の後側には車室Cが形成されている。
【0015】
一対のフロントタイヤ8は、エンジン房Rの両側部に隣接してタイヤハウス7内に配置されており、その下半部が床部材3の下方に突出している。
床部材3は、エンジン房Rの下部を全て覆うような板状のアンダーカバーから構成されている。
空気流誘導部11は、フロントタイヤ8の前部E近傍において床部材3から下方に開いた導入口12を有すると共に駆動部9の後部側にエンジン房R内に開いた放出口13を有し、床部材3の下側を流通する空気流Fを導入口12から放出口13まで誘導するように導入口12から放出口13に向かって誘導壁14が設けられている。この誘導壁14は、導入口12から放出口13まで延びる管形状を有し、その内部に空気流Fを誘導するための誘導路Pが形成されている。また、誘導壁14は、床部材3に沿って駆動部9の下側を通るように配置されている。誘導壁14は、駆動部9より熱伝導率が低い材料から構成されることが好ましく、例えば樹脂材料などから構成することができる。
【0016】
駆動部9は、自動車を駆動させるためのもので、エンジン房R内を車幅方向にわたるように配置されている。駆動部9は、燃料の燃焼などに起因して高温となるものから構成されている。駆動部9としては、例えば、エンジン、エンジンの下側に配置されて排出されたオイルを収容するオイルパン、およびエンジンで生じた排気ガスを外部に導出するための排気部などが挙げられる。
なお、本発明におけるエンジン房冷却構造は、フロントタイヤ8および空気流誘導部11から構成されている。
【0017】
次に、この実施の形態1の動作について説明する。
まず、
図1に示すように、自動車を前方に走行させると、その走行速度に応じた空気流Fが自動車に対して相対的に前方から後方へ向かうように生じる。ここで、自動車の床部材3は、ほぼ平坦な形状、すなわち急激な凹凸(例えば約50mm以上の凹凸)を抑制して緩やかに湾曲するように形成されている。このため、空気流Fは床部材3の下側をスムーズに流れることができ、床部材3の下側を流れる空気流Fの抵抗を抑制することができる。
【0018】
このように、床部材3において凹凸が抑制される一方で、自動車の両側部にはフロントタイヤ8が設けられており、このフロントタイヤ8の下半部が床部材3の下方に急激に突出するように配置されている。このため、床部材3の下側において側部近傍を流れる空気流Fは、フロントタイヤ8の前部Eにより後方への流れが妨げられており、これによりフロントタイヤ8の前部E近傍における空気流Fの圧力が上昇される。
【0019】
このため、
図2に示すように、フロントタイヤ8の前部E近傍における空気流Fの高い圧力を利用して導入口12から空気流誘導部11の誘導路P内に空気流Fをスムーズに導入することができる。
この時、導入口12から誘導路P内に導入される空気流Fは、床部材3の下側において圧力の上昇を招く過剰な空気流Fであり、この空気流Fが導入口12から導入されても床部材3の下側を流通する空気流Fの流れが大きく乱れることはない。このため、床部材3の下側からエンジン房R内への空気流Fの導入に伴って床部材3の下側で空気抵抗が上昇するのを防ぐことができる。さらに、フロントタイヤ8の前部E近傍において局所的に高められた圧力を、導入口12から誘導路P内に空気流Fを導入することにより低下させることができる。一般的に、フロントタイヤ8の前部E近傍における圧力の上昇は、床部材3の下側を流れる空気流Fの流れを乱す要因となっていた。そこで、導入口12を介してフロントタイヤ8の前部E近傍を流れる空気流Fを導入することにより、高められた空気流Fの圧力を低下させることができる。これにより、床部材3の下側における空気流Fの圧力が均一化されるため、空気流Fが床部材3の下側をよりスムーズに流れることができる。
【0020】
導入口12から誘導路P内に導入された空気流Fは、そのまま誘導路P内を後方へ進行して、駆動部9の後方に配置された放出口13まで誘導される。この時、空気流Fは、高温な駆動部9に接触することなく誘導路P内を誘導されるため、放出口13に到達する間に温度が上昇するのを抑制することができる。また、誘導壁14は、誘導路Pと駆動部9との間を完全に隔てるように設けられているため、誘導路P内を誘導される空気流Fの温度が上昇することを確実に抑制することができる。
【0021】
このようにして、温度上昇が抑制された空気流Fを放出口13から駆動部9の後方に放出することにより、駆動部9の後側に配置された後部部品を確実に冷却することができる。駆動部9の後側には、例えば、電装品および樹脂部品などの耐熱性が比較的低い後部部品が配置されており、後部部品の故障および劣化を防ぐことができる。
【0022】
本実施の形態によれば、フロントタイヤ8の前部近傍において床部材3の下方に開いた導入口12を有すると共に駆動部9の後部側においてエンジン房R内に開いた放出口13を有し、床部材3の下側を流通する空気流Fを導入口12から放出口13まで誘導するように導入口12から放出口13に向かって誘導壁14が設けられているので、床部材3の下側からエンジン房R内に空気流Fをスムーズに導入して駆動部9の後側に配置された後部部品を確実に冷却することができる。
【0023】
なお、放出口13は、駆動部9の後部側、すなわち放出口13から放出される空気流Fが駆動部9に直接的に接触しないように駆動部9の大部分を抜けた箇所に配置されていればよく、具体的には放出口13の直後に駆動部9が対向配置されていないことが好ましい。例えば、駆動部9の排気部は自動車の後方へ延びるように設けられているが、放出口13の直後に排気部が対向配置されていなければ、排気部の側方に放出口13を配置してもよい。
【0024】
実施の形態2
実施の形態1において、空気流誘導部11の誘導壁14は、エンジン房Rの側部に沿って延びるように形成することが好ましい。
例えば、
図3に示すように、実施の形態1において、マッドガード21を新たに配置すると共に空気流誘導部11に換えて空気流誘導部22を配置することができる。
【0025】
マッドガード21は、床部材3から下方に突出するようにタイヤハウス7の下縁部に沿って取り付けられる。この時、マッドガード21は、上縁部がエンジン房R内に露出するように取り付けられている。
空気流誘導部22は、マッドガード21の前部において下方に開くように形成された導入口23を有すると共にマッドガード21の後部近傍においてエンジン房R内に開くように形成された放出口24を有し、導入口23から放出口24まで延びる管形状の誘導壁25が設けられている。この誘導壁25は、マッドガード21の上縁部に一体に設けられており、これにより空気流誘導部22の構成および取り付けを簡単化することができる。また、誘導壁25をエンジン房Rの最も側部側に配置することができ、誘導路Pを誘導される空気流Fの温度上昇をより確実に抑制することができる。
【0026】
実施の形態3
実施の形態1および2において、空気流誘導部の誘導壁は管状に形成されていたが、導入口から放出口まで空気流を誘導するように導入口から放出口に向かって誘導壁が設けられていればよく、管形状に限定されるものではない。
例えば、
図4に示すように、実施の形態1の誘導壁14に換えて誘導壁31を設けることができる。この誘導壁31は、導入口12との接続部分以外は上部とタイヤハウス7に対向する外側部とを開放するように形成したものである。すなわち、誘導壁31は、床部材3から上方に立設して導入口12から放出口13まで延びるように設けられており、誘導壁31を隔てて駆動部9の反対側に空気流Fを誘導する誘導路Pが形成されている。
このように、誘導壁31を床部材3から上方に立設する形状とすることにより、誘導壁31を容易に形成することができる。
【0027】
実施の形態4
実施の形態1〜3では、フロントタイヤ8が床部材3の下側において空気流Fの流れを妨げる本発明の床下突出部を構成していたが、床下突出部は床部材3の下方に突出して空気流Fの流れを妨げるものであればよく、フロントタイヤ8に限られるものではない。
【0028】
例えば、
図5に示すように、実施の形態1において、フロントタイヤ8の前側に新たにタイヤ用フラップ41を取り付けると共に導入口12に換えて導入口42を配置し、タイヤ用フラップ41を本発明における床下突出部とすることもできる。
タイヤ用フラップ41は、タイヤハウス7内への空気流Fの流入を抑制して空気抵抗の上昇を防ぐためのもので、タイヤハウス7の前縁部に沿って床部材3から下方に突出するように設けられている。
導入口42は、タイヤ用フラップ41の前部E近傍において床部材3の下方に開くように形成されており、床部材3の下側において後方へ流通する空気流Fを誘導路Pへと導入する。
【0029】
実施の形態1と同様に、床部材3の下側を後方へ流れる空気流Fが、タイヤ用フラップ41により進行を妨げられて、タイヤ用フラップ41の前部E近傍における空気流Fの圧力が上昇する。これにより、床部材3の下側を流れる空気流Fを導入口42から誘導路P内にスムーズに導入することができる。
誘導路Pに導入された空気流Fは、誘導路Pに沿って駆動部9の後側まで誘導され、放出口13を介してエンジン房Rに放出される。
【0030】
本実施の形態によれば、タイヤ用フラップ41の前部E近傍において床部材3の下方に開いた導入口42を有すると共に駆動部9の後部側においてエンジン房内に開いた放出口13を有し、床部材3の下側を流通する空気流Fを導入口42から放出口13まで誘導するように導入口42から放出口13に向かって誘導壁14が設けられているので、床部材3の下側からエンジン房R内に空気流Fをスムーズに導入して駆動部9の後側に配置された後部部品を確実に冷却することができる。
なお、本発明の床下突出部としては、例えば、床部材3から下方に約50mm以上急激に突出するものを用いることができる。
【0031】
実施の形態5
実施の形態1〜4において、空気流誘導部の放出口は、エンジン房Rにおいてエンジンの下側に配置されたオイルパンより後側に配置されることが好ましい。
例えば、
図6に示すように、実施の形態1の放出口13に換えて、オイルパン51より後側において最も駆動部9に近い位置に放出口52を配置することができる。ここで、オイルパン51は、エンジン房Rの車幅方向中央部近傍においてエンジンの下側、すなわち駆動部9の下部に配置されている。このため、駆動部9の下側を延びるように誘導壁14を設けた場合に、オイルパン51は誘導壁14に最も近い位置に配置されるおそれがあり、このオイルパン51より後側に放出口52を配置することにより、放出口52からエンジン房R内に放出される空気流Fが駆動部9に接触することを確実に抑制することができる。さらに、空気流Fが駆動部9に接触しない範囲で放出口52をより前方に配置することで、駆動部9の後側に配置された後部部品を広い範囲で冷却することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 フロントガラス、2 フロントフード、3 床部材、4 フェンダー、5 前壁部、6 トーボード、7 タイヤハウス、8 フロントタイヤ、9 駆動部、11,22 空気流誘導部、12,23,42 導入口、13,24,52 放出口、14,25,31 誘導壁、21 マッドガード、41 タイヤ用フラップ、51 オイルパン、R エンジン房、C 車室、E 床下突出部の前部、F 空気流、P 誘導路。