(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記把持部は、前記外装体を挟んで前記支持部材と反対側に設けられ、前記支持面に支持された前記外装体の前記縁部側に押付けられることによって、前記支持面との間に前記外装体の前記縁部側を把持する請求項1に記載の二次電池の製造装置。
前記しごき部および前記把持部は、前記外装体の前記縁部から前記発電要素に向かう方向と交差する方向から前記外装体に押付けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本実施形態に係る二次電池の製造装置および製造方法を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1(A)は、実施形態に係る二次電池10を示す概略図、
図1(B)は、
図1(A)の1B−1B線に沿う断面図である。
【0014】
本実施形態に係る二次電池10は、長方形状の扁平な形状を有し、電気自動車などの動力部に使用される積層型のリチウムイオン二次電池である。
【0015】
二次電池10は、
図1(A)を参照して概説すると、袋状の外装体20に発電要素30および電解液Eを封入して形成される。外装体20の異なる辺からは、電力を取り出すための正極タブ60および負極タブ61が引き出されている。なお、正極タブ60および負極タブ61が引き出される辺は同じ辺であってもよい。以下、二次電池10の各部の構成について詳述する。
【0016】
外装体20は、2枚の外装フィルム21を重ね合わせて形成される。
図1(A)に示すように、外装体20は、重ね合わせた2枚の外装フィルム21の周縁をUの字状に融着した第1融着部22と、Uの字の開口部を融着した第2融着部23とを有する。なお、重ね合わせた2枚の外装フィルム21の間には、正極タブ60および負極タブ61が挟まれている。第1融着部22において正極タブ60および負極タブ61が挟まれている部分では、各外装フィルム21はそれぞれ正極タブ60および負極タブ61に接着している。
【0017】
各外装フィルム21は、可撓性を備え、薄く軽量であって、熱溶着や超音波溶着などによって容易に融着できるとともに、気密性、水分非透過性に優れた材料からなることが好ましい。外装フィルム21は、例えば、2つの高分子樹脂層の間に金属層を配置した三層構造を有するラミネートフィルムであってもよい。金属層は、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属箔から構成されてもよい。高分子樹脂層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、アイオノマー、エチレンビニルアセテートなどの熱溶着性樹脂フィルムから構成されてもよい。
【0018】
図1(B)に示すように、発電要素30は、正極40aおよび負極40bを、セパレータ50を介して重畳したものであり、外装体20内に封入される。
【0019】
各正極40aは、正極集電体41aと、正極集電体41aの負極40bと向かい合う面に正極活物質を塗布することによって形成される正極活物質層42aとを有する。正極集電体41aとしては、例えばアルミニウム箔を用いることができる。正極活物質としては、例えばLiMn
2O
4などのリチウム−遷移金属複合酸化物などを用いることができる。正極活物質には、導電助剤、バインダなどが含まれていてもよい。
【0020】
各負極40bは、負極集電体41bと、負極集電体41bの正極40aと向かい合う面に負極活物質を塗布することによって形成される負極活物質層42bとを有する。負極集電体41bとしては、例えば銅箔を用いることができる。負極活物質としては、例えばハードカーボン、黒鉛系炭素材料、リチウム−遷移金属複合化合物を用いることができる。
【0021】
複数の正極集電体41aおよび負極集電体41bは、それぞれ同極同士が接続され、正極タブ60、負極タブ61に接続されている。
【0022】
セパレータ50は、正極活物質層42aおよび負極活物質層42bを物理的に隔離しつつ、セパレータ50の面方向中央部に電解質として電解液Eが保持されてなる構成を有する。セパレータ50は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミドなどの材料からなる薄膜である。
【0023】
電解液Eは、有機溶媒、支持塩を含んでいる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネーと(EC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、テトラヒドロなどのエーテル類を用いることができる。支持塩としては、例えば、リチウム塩(LiPF
6)などの無機酸陰イオン、LiCF
3SO
3などの有機酸イオンを用いることができる。
【0024】
正極タブ60および負極タブ61は、外装体20の第1融着部22を介して外装体20の外方に引出されている。
【0025】
図2は、サブアセンブリ70を示す概略図である。発電要素30を外装体20内に封入して、初期充電を行なうと化学反応によって発電要素30からガスが発生する。外装体20内に発生したガスを外装体20の外部に排出するために、外装体20の一部を切断してガス抜き孔72を形成する。なお、本明細書では、発電要素30および電解液Eを外装体20内に封入して、ガス抜き孔72を形成する前の組立体を「サブアセンブリ70」と称する。以下、サブアセンブリ70の構成について詳述する。
【0026】
図2に示すように、サブアセンブリ70の外装体20は、正極タブ60および負極タブ61を挟んで重ね合わせた2枚の外装フィルム21の周縁をUの字状に融着した第1融着部22と、Uの字の開口部を外装体20の周縁側において融着した補助融着部71とを有する。
【0027】
図1(A)および(B)に示す二次電池10は、サブアセンブリ70の補助融着部71と発電要素30との間にガス抜き孔72を形成し、ガスを排出した後、第2融着部23を形成し、
図2に示す裁断線73に沿って裁断することによって形成される。なお、第2融着部23は、ガス抜き孔72と、発電要素30との間に形成される。裁断線73は、第2融着部23と、ガス抜き孔72との間に位置する。
【0028】
本実施形態では、ガス抜き孔72を形成する対象は、サブアセンブリ70であるので、外装体20において外装フィルム21が重なる縁部としては、補助融着部71が相当する。また、ガス抜き孔72を形成する部分を含む外装体20の縁部(補助融着部71)と発電要素30との間の中間部分を「ガス抜き部74」と称する。ガス抜き部74は、初期充電において発電要素30から生じたガスによって、膨らんだ形状を有する。
【0029】
図3は、実施形態に係る二次電池10の製造装置100を示す上面図である。
図4は、
図3の4−4線に沿う断面図であって、しごき部140によって外装体20内の電解液Eを発電要素30側へ寄せている様子を示す図である。
図5は、
図3の4−4線に沿う断面図であって、ガス抜き孔72を形成している様子を示す図である。
【0030】
なお、図中、支持部材120およびしごき部140がサブアセンブリ70に対して離反および接近する方向を矢印Xで示し、矢印Xと直交する装置の
図4における奥行方向を矢印Yで示し、矢印Xおよび矢印Yと直交する方向を矢印Zで示す。また、
図4および
図5では、発電要素30の詳細を省略した状態で図示している。また、
図4では、理解を容易にするため、電解液Eを粒状に大きく模式的に示している。
【0031】
本実施形態に係る二次電池10の製造装置100は、サブアセンブリ70のガス抜き部74に溜まっている電解液Eを発電要素30側に寄せた上で、ガス抜き部74にガス抜き孔72を形成し、初期充電によって生じるガスを排出する装置である。
【0032】
本実施形態に係る二次電池10の製造装置100は、
図5を参照して概説すると、保持部110と、支持部材120と、移動部130と、しごき部140と、把持部150と、駆動部160(第1駆動部および第2駆動部に相当)と、カッター170と、を有する。保持部110は、サブアセンブリ70を保持する。支持部材120は、ガス抜き部74の一方面を支持する支持面121を備える。移動部130は、支持部材120をガス抜き部74に対して離反および接近可能に構成している。しごき部140は、ガス抜き部74の他方面に押圧され、補助融着部71側の第1位置Z1から発電要素30側の第2位置Z2に向かって移動自在なしごきローラ141(押圧部材に相当)を備える。把持部150は、第2位置Z2に位置するしごきローラ141よりも補助融着部71側を把持自在である。駆動部160は、しごき部140および把持部150を駆動可能である。カッター170は、ガス抜き部74において第2位置Z2に位置するしごきローラ141と把持部150との間の部分を裁断してガス抜き孔72を形成可能である。
【0033】
駆動部160は、しごきローラ141を第1位置Z1から第2位置Z2に移動させ、ガス抜き部74の補助融着部71側の電解液Eを発電要素30側に寄せる。また駆動部160は、第2位置Z2に移動したしごきローラ141よりも補助融着部71側を把持部150によって把持させる。カッター170は、外装体20において支持部材120および第2位置Z2に移動したしごきローラ141の間に挟み込まれている部分と、把持部150によって把持されている部分との間を裁断して、ガス抜き孔72を形成する。以下、製造装置100の各部の構成について詳述する。
【0034】
図4に示すように、保持部110は、支持部材120としごき部140との間にサブアセンブリ70を保持する。本実施形態では、保持部110は、支持部材120、しごき部140、把持部150、およびカッター170の動作を妨げないように、サブアセンブリ70の下方において外装体20の発電要素30が配置されている部分を両面から挟み込むようにして保持する。保持部110のサブアセンブリ70に面する側には、例えば、クッション性を備えるパッド111を設けてもよい。
【0035】
支持部材120は、ガス抜き部74の一方側の面を支持する平坦な支持面121と、カッター170が挿通可能な挿通孔122と、を有する。
【0036】
支持面121は、外装体20において後述するしごきローラ141が移動する範囲を支持可能に設けられる。
【0037】
挿通孔122は、ガス抜き部74の所定の位置にガス抜き孔72を形成できるように、支持部材120の適切な位置に設けられる。本実施形態では、
図3に示すように、挿通孔122は、支持部材120の略中央部分において矢印Y方向に沿って延在している。このように設けた挿通孔122にカッター170を挿通させると、
図2に示すように、ガス抜き部74の略中央部分にガス抜き孔72を形成することができる。
【0038】
また、
図5に示すように、挿通孔122は、矢印Z方向において、発電要素30側の第2位置Z2に移動したしごきローラ141と、補助融着部71側においてガス抜き部74に押付けられる把持部150の押さえ部材151との間に設けられている。
【0039】
移動部130は、支持部材120がサブアセンブリ70から離れた待機位置(図示せず)と、支持面121をガス抜き部74の一方面に接触させ、後述するしごきローラ141との間でガス抜き部74を挟み込む作動位置(
図4参照)との間で移動可能に構成している。移動部130としては、例えば、伸縮自在なシャフトなどの公知の直動機構を用いることができる。
【0040】
図3に示すように、しごき部140は、ガス抜き部74を押圧するしごきローラ141と、しごきローラ141が先端側に取り付けられた一対のアーム142と、一対のアーム142の基端側が回動自在に接続されたアーム支持部143と、を有する。しごき部140は、さらに、各アーム142とアーム支持部143との間に設けられるばね144と、各アーム142の位置を規制する一対のストッパー145と、を有する。
【0041】
図3および
図4に示すように、しごきローラ141は、矢印Y方向に沿って伸びており、しごきローラ141の円弧状の周面が、ガス抜き部74と接触する。すなわち、しごきローラ141の外装体20と接触する部分は、丸まっている。このため、外装フィルム21を破いたり、傷つけたりすることなく、しごきローラ141を、ガス抜き部74に押圧させながら、補助融着部71側から発電要素30側に移動させることができる。一方で、矩形状の先端部を備える押圧部材をガス抜き部74に押圧させながら移動させる場合と比較すると、ガス抜き部74が円弧状の部分に馴染んでよりカール癖が着きやすい。
【0042】
また、
図3に示すように、本実施形態では、しごきローラ141の軸方向の長さ(しごきローラ141の幅と称する)は、補助融着部71が延在する方向に沿うガス抜き部74の長さ(ガス抜き部74の幅と称する)よりも長い。このため、しごきローラ141の幅がガス抜き部74の幅よりも短い場合と比較して、より多くの電解液Eを発電要素30側に寄せることができる。一方で、しごきローラ141の幅がガス抜き部74の幅よりも短い場合と比較して、しごきローラ141は、ガス抜き部74のより広い範囲を押圧することになるため、ガス抜き部74にはカール癖が着きやすい。
【0043】
各アーム142は、しごきローラ141の両端に設けられる。各アーム142の先端側は、しごきローラ141の軸に接続され、しごきローラ141を回動自在に保持する。
【0044】
図4に示すように、アーム支持部143は、矢印Z方向に沿って延在する形状を備える。アーム支持部143の上端部分には、回転軸143aが設けられている。
図3に示すように、回転軸143aの両端には、アーム142の基端側が接続される。これによって、アーム支持部143は、回転軸143aを中心として、アーム142を回動自在に保持する。
【0045】
また、アーム支持部143は、後述する駆動部160に接続され、駆動部160によってガス抜き部74に接近および離反可能に構成している。
【0046】
アーム支持部143をガス抜き部74に接近させると、アーム142の先端に取り付けられたしごきローラ141は、補助融着部71から発電要素30に向かう方向と交差する方向から、ガス抜き部74に押付けられる。このため、ガス抜き部74が、支持面121に対して倒れていても、しごきローラ141をサブアセンブリ70の上方に配置し、補助融着部71側から発電要素30側に向かって降ろす場合と比較して、確実にガス抜き部74を支持部材120との間に挟み込むことができる。
【0047】
各ばね144の弾発力によって、各アーム142は、回転軸143aを中心として時計回り方向に向かうように付勢される。
【0048】
各ストッパー145は、アーム支持部143の上端部分において、各アーム142側に突出するように設けられる。各ストッパー145の突出部分が各アーム142に接触することによって、各アーム142の位置を規制する。
【0049】
具体的には、各ストッパー145は、ガス抜き部74から離反している状態のしごきローラ141をガス抜き部74に接近させたときに、しごきローラ141が補助融着部71側の第1位置Z1においてガス抜き部74と接触するように、各アーム142のアーム支持部143に対する角度を規制する。
【0050】
また、各ストッパー145は、しごきローラ141がガス抜き部74から離反している状態においては、各アーム142が回転軸143aを中心として矢印X方向に対して反時計回り方向に傾くように、各アーム142の位置を規制する。このため、しごきローラ141が第1位置Z1にある状態からさらにアーム支持部143をガス抜き部74に接近させると、ガス抜き部74からの反力によって、アーム142は、ばね144の弾発力に抗して、回転軸143aを中心として反時計回りに回転する。これによって、しごきローラ141は、補助融着部71側の第1位置Z1から発電要素30側の第2位置Z2に移動(転動)する(
図5参照)。
【0051】
図3に示すように、把持部150は、外装体20を挟んで支持部材120と反対側に設けられる。把持部150は、支持部材120に支持された外装体20の補助融着部71側に押付けられる一対の押さえ部材151と、各押さえ部材151をしごき部140の各アーム142に接続する接続部152と、を有する。
【0052】
本実施形態では、一対の押さえ部材151はローラである。各押さえ部材151は、支持部材120の支持面121に沿って伸びるように設けられ、押さえ部材151の円弧状の周面が、ガス抜き部74と接触する。このように、把持部150の外装体20と接触する部分は丸められているため、押さえ部材151は、外装フィルム21を破いたり、傷つけたりすることなく、外装体20を支持部材120に押付ける。
【0053】
接続部152は、一対のアーム142の間に配置され、各アーム142に接続されている。
図3および
図4に示すように、接続部152において支持部材120の挿通孔122と対向する領域の両端には、支持部材120に向かってLの字状に突出した突出部153が設けられている。各突出部153の先端には、押さえ部材151が回転自在に取り付けられている。
【0054】
前述したように、アーム支持部143をガス抜き部74に接近させると、各アーム142は、回転軸143aを中心として反時計回りに回転する。これに伴い、第1位置Z1に位置するしごきローラ141は、第2位置Z2に移動する。各押さえ部材151は、しごき部140と連動して、しごきローラ141の第2位置Z2への移動に伴い、第2位置Z2に位置するしごきローラ141よりも外装体20の補助融着部71側を把持する。
【0055】
このように、把持部150をしごき部140に接続することによって、しごき部140の駆動部160を把持部150の駆動部としても機能させることができる。
【0056】
また、このとき、各押さえ部材151は、外装体20の補助融着部71から発電要素30に向かう方向と交差する方向から、外装体20の補助融着部71側に押付けられ、支持部材120との間にガス抜き部74を把持する。外装体20のカール癖の曲率にばらつきがあっても、押さえ部材151をサブアセンブリ70の上方に配置して補助融着部71側から発電要素30側に向かって降ろす場合と比較して、より確実にガス抜き部74を支持部材120との間に挟み込むことができる。
【0057】
駆動部160は、アーム支持部143を、サブアセンブリ70から離れた待機位置(図示せず)と、ガス抜き部74の補助融着部71側の第1位置Z1にしごきローラ141を接触させたしごき開始位置(
図4のX1の地点)との間で移動可能に構成している。さらに駆動部160は、アーム支持部143を、しごき開始位置X1と、しごき開始位置X1よりもガス抜き部74側に接近し、しごきローラ141を発電要素30側の第2位置Z2にまで移動させたしごき完了位置(
図5のX2の地点)との間で移動可能に構成している。駆動部160としては、例えば、伸縮自在なシャフトなどの公知の直動機構を用いることができる。
【0058】
このように、駆動部160が、アーム支持部143をしごき開始位置X1からしごき完了位置X2に移動させることによって、しごきローラ141が第1位置Z1から第2位置Z2に移動する。これによって、ガス抜き部74の補助融着部71側に溜まっている電解液Eが、発電要素30側に寄せられる。また、押さえ部材151は、しごきローラ141の第1位置Z1から第2位置Z2への移動するに伴って、ガス抜き部74に押付けられる。
【0059】
カッター170は、支持部材120を基準として支持面121の反対側(支持部材120の後方)に配置される。
【0060】
カッター170は、支持部材120の後方における待機位置(
図4参照)と、支持部材120に設けた挿通孔122を挿通して、支持部材120の前方に突出する作動位置(
図5参照)とに移動可能に構成している。また、カッター170は、作動位置では、挿通孔122に沿って矢印Y方向に沿って走行可能に構成している(
図3参照)。
【0061】
このように、カッター170は、外装体20の内方側において外装体20の補助融着部71から発電要素30側に向かう方向と交差する方向に走行する。また、前述したように、押さえ部材151は、支持部材120の挿通孔122と対向する領域の両端に設けられており、カッター170の走行方向に沿ってカッター170の走行範囲よりも外装体20の外方側を把持する(
図3参照)。このように配置することによって、ガス抜き孔72から電解液Eが飛び散った際に、電解液Eが押さえ部材151に付着しにくくすることができる。
【0062】
図6は、実施形態に係る二次電池10の製造工程を示すフローチャートである。
【0063】
二次電池10の製造方法は、
図6を参照して概説すると、サブアセンブリ70の形成工程(S10〜S12)と、初期充電工程(S20)と、ガス抜き工程(S30〜S32)と、ガス抜き孔72の封止工程(S40)と、トリム工程(S50)とを有する。以下、各工程について詳述する。
【0064】
サブアセンブリ70の形成工程では、第1融着部22を形成する工程(S10)と、電解液Eを注入する工程(S11)と、補助融着部71を形成する工程(S12)とを実施する。
【0065】
第1融着部22を形成する工程(S10)では、まず、2枚の外装フィルム21の間に発電要素30、正極タブ60および負極タブ61を挟み込ませる。そして、開口部を有するように、2枚の外装フィルム21が重なる外装体20の周縁の一辺を残して、外装体20の周縁をUの字状に融着する。これによって、第1融着部22が形成される。
【0066】
電解液Eを注入する工程(S11)では、ステップS10において形成された開口部から外装体20内に電解液Eを注入する。電解液Eの注入方法は特に限定されず、例えば、チューブやノズルを開口部に差し込み、直接注入することによって行ってもよい。
【0067】
補助融着部71を形成する工程(S12)では、まず、ステップS10において形成された開口部を融着して、補助融着部71を形成する。これによって、発電要素30および電解液Eが外装体20内に封入された状態となる。これにより、
図2に示すサブアセンブリ70が形成される。
【0068】
初期充電工程(S20)では、発電要素30の有する電池容量の所定の割合にまで充電した場合に得られる電圧を発電要素30が発生させるまで、充電が行われる。初期充電によって、発電要素30からガスが発生する。また、初期充電工程(S20)では、電池特性を安定化させるために、発電要素30が充電された状態において一定時間保持してもよい。一定時間保持した場合にも、発電要素30からさらにガスが発生する。
【0069】
ガス抜き工程では、製造装置100にサブアセンブリ70を搬入する工程(S30)と、ガス抜き部74をしごく工程(S31)と、ガス抜き孔72を形成する工程(S32)とを実施する。
【0070】
サブアセンブリ70を搬入する工程(S30)では、初期充電工程(S20)を実施する他の製造装置から、ガス抜き工程用の製造装置100へ初期充電の完了したサブアセンブリを搬入する。そして、搬入されたサブアセンブリ70は、製造装置100の保持部110に保持される。サブアセンブリ70の搬入方法は特に限定されないが、例えば、ロボットアームなどによって、保持部110の上方からサブアセンブリ70を搬入してもよい。
【0071】
ガス抜き部74をしごく工程(S31)では、移動部130は、待機位置にある支持部材120を作動位置に移動させ、ガス抜き部74の一方面を支持部材120の支持面121によって支持させる。また、同様に、駆動部160は、待機位置にあるしごき部140のアーム支持部143をしごき開始位置X1に移動させ、ガス抜き部74の他方面における補助融着部71側の第1位置Z1にしごきローラ141を接触させる。これによって、支持部材120の支持面121としごきローラ141との間にガス抜き部74が挟み込まれる。
【0072】
次に、駆動部160によってアーム支持部143をしごき開始位置X1からしごき完了位置X2に移動させることによって、しごきローラ141を第1位置Z1から発電要素30側の第2位置Z2に向かって移動させる。これによって、ガス抜き部74の補助融着部71側に溜まっている電解液Eを発電要素30側に寄せる。
【0073】
しごきローラ141が第2位置Z2に移動するに伴い、しごき部140に接続部152を介して接続された押さえ部材151は、第2位置Z2に位置するしごきローラ141よりも外装体20の補助融着部71側に押付けられる。これによって、把持部150は、押さえ部材151と支持部材120との間に外装体20の補助融着部71側を把持する。
【0074】
ガス抜き孔72を形成する工程(S32)では、カッター170を待機位置から作動位置に前進させ、作動位置において挿通孔122に沿ってカッターを走行させる。カッター170は、外装体20の支持部材120と押さえ部材151との間に挟み込まれた部分と、支持部材120およびしごきローラ141によって挟み込まれた部分の間を裁断し、ガス抜き孔72を形成する。
【0075】
なお、ガス抜き孔72の形成後、ガス抜き部74においてしごきローラ141が押圧されて外装フィルム21が重なっている部分を、吸着パッドによって引き離してもよい。これによって、ガスが抜けやすくなる。
【0076】
ガス抜き孔72の封止工程(S40)では、ガス抜き孔72と、発電要素30との間の外装体20を融着して、第2融着部23を形成する。
【0077】
トリム工程(S50)では、
図2に示す裁断線73に沿って、第2融着部23よりも外装体20の補助融着部71側を切り落とす。これによって、
図1(A)に示す二次電池10を得る。
【0078】
上記実施形態に係る二次電池10の製造装置100および製造方法によれば、外装体20において外装フィルム21が重なる補助融着部71と発電要素30との間のガス抜き部74の一方面を支持部材120の支持面121によって支持する。ガス抜き部74の他方面に押圧させたしごきローラ141を、補助融着部71側の第1位置Z1から発電要素30側の第2位置Z2に向かって移動させ、ガス抜き部74の補助融着部71側に溜まっている電解液Eを発電要素30側に寄せる。第2位置Z2に移動したしごきローラ141よりも外装体20の補助融着部71側を把持部150によって把持する。外装体20において支持部材120および第2位置Z2に移動したしごきローラ141の間に挟み込まれている部分と、把持部150によって把持されている部分との間をカッター170によって裁断して、ガス抜き孔72を形成する。
【0079】
しごきローラ141の移動に伴い外装体20の補助融着部71側にカール癖が着いたとしても、補助融着部71側は把持部150によって把持されているため、カール癖によって倒れず、確実にガス抜き孔72を形成することができる。このため、カッター170の交換頻度を増加させる必要がないため、製造効率を悪化させずに、裁断の不具合なくガス抜き孔72を形成することができる。
【0080】
また、把持部150は、外装体20を挟んで支持部材120と反対側に設けられ、支持面121に支持された外装体20の補助融着部71側に押付けられることによって、支持面121との間に外装体20の補助融着部71側を把持する。把持部150は、外装体の片側にのみ設ければ十分であるため、装置のレイアウトを単純化できる。また、支持面にガス抜き部74を沿わせた状態において、ガス抜き孔72を形成するため、より位置精度よくガス抜き孔72を形成することができる。
【0081】
また、把持部150をしごき部140に接続することによって、しごき部140の駆動部160を把持部の駆動部としても機能させる。このため、把持部150を設けたことに伴い、新たに駆動部を追加する必要がない。
【0082】
また、カッター170は、外装体20の内方側において外装体20の補助融着部71側から発電要素30側に向かう方向と交差する方向に走行自在に構成される。把持部150は、カッター170の走行方向に沿ってカッター170の走行範囲よりも外装体20の外方側を把持する。このように配置することによって、ガス抜き孔72から電解液Eが飛び散った際に、電解液Eが把持部150に付着しにくくしている。その結果、把持部150を洗浄する頻度を抑制することができる。
【0083】
また、しごき部140および把持部150は、外装体20の補助融着部71から発電要素30に向かう方向と交差する方向から外装体20に押付けられる。このため、しごき部140は、外装体20が支持面121に対して倒れていても、より確実に支持部材120との間に外装体20を挟み込むことができる。また、把持部150は、外装体20のカール癖の曲率にばらつきがあったとしても、より確実に外装体20を把持することができる。
【0084】
また、しごき部140および把持部150において外装体20と接触する部分は丸められている。このため、しごき部140は、外装フィルム21を破いたり、傷つけたりすることなく、外装体20に押圧して、補助融着部71側から発電要素側に移動できる。また、把持部150は、外装フィルム21を破いたり、傷つけたりすることなく、外装体20を把持することができる。
【0085】
以上、実施形態を通じて本発明に係る二次電池の製造装置および製造方法を説明したが、本発明は説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0086】
前述した実施形態では、二次電池10がリチウムイオン二次電池である場合を説明したが、リチウムイオン二次電池に限定されず、初期充電においてガスを発生する二次電池であればよい。
【0087】
また、前述した実施形態では、支持部材120の支持面121が平坦である場合を説明したが、支持面は例えば曲率を有していてもよい。さらに、支持部材120をしごき部140と同様の構成とし、ガス抜き部74の両面からしごきローラ131を押し当てることによって、ガス抜き部74の電解液Eを発電要素30側に寄せてもよい。この場合も、支持部材120としごき部140の移動タイミングのずれによって、ガス抜き部74にカール癖が着く場合がある。
【0088】
また、前述した実施形態では、ガス抜き部74を押圧する押圧部材がしごきローラ141である場合を説明したが、押圧部材の構成はこれに限定されない。例えば、押圧部材は板状の部材であってもよい。押圧部材の先端が丸みを帯びていなくても、押圧部材を外装体20に押圧させて、縁部側から発電要素側に移動させれば、押圧部材に外装フィルム21が引っ張られ、カール癖は発生し得る。
【0089】
また、前述した実施形態では、押さえ部材がローラである場合を説明したが、これに限定されない。例えば、押さえ部材は、平板であってもよい。このような場合は、外装フィルムが破れたり、傷ついたりしないように、平板の角部を丸めてもよいし、外装体20との接触面側に弾性材料を備えてもよい。
【0090】
また、前述した実施形態では、外装体20の補助融着部71側は支持部材120と把持部150の押さえ部材151との間に挟み込まれる場合を説明したが、この場合に限定されない。ガス抜き部74の両面側に押さえ部材151を設け、対をなす押さえ部材151によって外装体の補助融着部71を挟み込む構成としてもよい。
【0091】
また、前述した実施形態では、しごきローラ141および押さえ部材151は、外装体20の縁部から発電要素30に向かう方向と交差する方向から外装体に押付けられる場合を説明したが、この場合に限定されない。例えば、しごきローラ141および押さえ部材151を外装体の上方に設け、補助融着部71側から発電要素30側に向かって移動するように構成してもよい。
【0092】
また、前述した実施形態では、しごきローラ141が第2位置Z2に移動したタイミングで、把持部150が外装体20を把持する場合を説明したが、この場合に限定されない。把持部150が、しごきローラ141が第2位置Z2に移動する前に外装体20を把持するように構成してもよいし、しごきローラ141が第2位置Z2に移動した後に外装体20を把持するように構成してもよい。