(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記のクランプロッドにクランプ対象物の孔を外嵌めするときに、クランプロッドとクランプ対象物の孔との間に心ずれが生じている場合がある。その場合に、その心ずれを吸収するようにクランプロッドが水平方向へ移動可能となっている。このため、ハウジングに対してクランプ対象物を位置決めできない。
本発明の目的は、ハウジングに対してクランプ対象物を位置決めすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図3B,
図4Aと
図4B,
図5Aと
図5B,又は
図6に示すように、クランプ装置を次のように構成した。
ハウジング1の基端側に駆動手段5が配置される。クランプ対象物26の孔26aに支持筒30の第1筒部分31が挿入される。前記ハウジング1の収容孔19に支持筒30の第2筒部分32が軸心方向へ移動可能に挿入される。前記支持筒30に挿入されるクランプロッド20が、前記駆動手段5に連結される。前記第1筒部分31の筒壁に係合部材27が半径方向へ移動可能に支持される。前記クランプロッド20の先端側に設けた楔部25が係合部材27に先端側から係合する。前記支持筒30を付勢手段38が先端側へ所定の力で付勢する。前記孔26aの内周面に嵌合可能な第1位置決め部分45が、前記第1筒部分31の外周に設けられる。前記収容孔19の内周面に嵌合可能な第2位置決め部分50,80,90が、前記第2筒部分32の外周に設けられる。
【0006】
本発明は次の作用効果を奏する。
上記の第2位置決め部分がハウジングの収容孔に対して支持筒の第2筒部分を半径方向(軸心方向に直交する方向)へ位置決めすると共に、第1位置決め部分が支持筒の第1支持部分に対して前記クランプ対象物を半径方向へ位置決めする。これにより、本発明のクランプ装置は、ハウジングに対してクランプ対象物を半径方向に位置決めできる。
【0007】
本発明は、下記(1)から(5)の構成を加えることが好ましい。
(1) 前記第1位置決め部分45は、前記第1筒部分31に周方向に連続して形成される。
この場合、第1位置決め部分がクランプ対象物の孔に嵌合されることにより、第1筒部分に対してクランプ対象物を半径方向に位置決めできる。
【0008】
(2) 前記第1位置決め部分45は、前記第1筒部分31の軸心を挟んで対向するように形成された一対の第1突起部46,46
を備え、これら第1突起部46,46の間に
第1逃し部48,48が形成され
ている。
この場合、前記一対の第1突起部が対向する方向へクランプ対象物を位置決めできる。
また、前記一対の第1逃がし部が対向する方向に収容孔とクランプ対象物の孔との心ずれが生じたときに、その心ずれが第1逃し部によって吸収される。
【0009】
(3) 前記第2位置決め部分50は、前記第2筒部分32に周方向に連続して形成される。
この場合、第2位置決め部分が収容孔の内周面に嵌合されることにより、前記ハウジングの収容孔に対して前記第2筒部分を半径方向へ位置決めする。
【0010】
(4) 前記第2位置決め部分50は、前記第2筒部分32の軸心を挟んで対向するように形成された一対の第2突起部51,51
を備え、これら第2突起部51,51の間に
第2逃し部53,53が形成され
ている。
この場合、第2筒部分に対してクランプ対象物を、前記一対の第2突起部が対向する方向へ位置決めできる。また、前記一対の第2逃がし部が対向する方向に収容孔とクランプ対象物の孔との心ずれが生じたときに、その心ずれが第2逃し部によって吸収される。
【0011】
(5) 前記第2位置決め部分80,90は、中間部材82,92を介して前記収容孔19の内周面に嵌合可能となっている。
この場合、支持筒の第2筒部分が中間部材を介して収容孔の内周面に嵌合されることにより、収容孔に対して前記支持筒の第2筒部分を半径方向へ位置決めする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から
図3Bは、本発明の第1実施形態を示している。まず、アンクランプ状態を示す
図1に基づいて上記クランプ装置の構造を説明する。
固定台としてのテーブルTにハウジング1が固定され、そのハウジング1は、下側から順に形成された下ハウジング2と上ハウジング3とを有する。下ハウジング2と上ハウジング3とは、複数のボルト(図示せず)によって固定される。
【0014】
上記の下ハウジング2内に、油圧シリンダ(駆動手段)5が配置される。その油圧シリンダ5は、下ハウジング2の下面から上向きに貫通されたシリンダ孔6と、そのシリンダ孔6に挿入されたピストン10とを備える。上記ピストン10は、下方から順に形成されたピストン本体11とピストンロッド12とを有する。そのピストン本体11がシリンダ孔6の大径孔6aに上下方向(軸心方向)へ移動可能で保密状に挿入され、ピストンロッド12がシリンダ孔6の小径孔6bに保密状に挿入される。
【0015】
上記ピストン本体11の下側に油圧シリンダ5のアンクランプ室13が形成され、ピストン本体11の上側に油圧シリンダ5のクランプ室14が形成される。また、テーブルTに形成されたアンクランプ用の圧油給排路15が、アンクランプ室13に連通される。下ハウジング2に形成されたクランプ用の圧油給排路16がクランプ室14に連通される。
【0016】
図2に示すように、上記の上ハウジング3から上方へ突出された支持筒30の第1筒部分31が、ワーク(クランプ対象物)26の孔26aに係合可能に挿入される。その第1筒部分31は頂壁と周壁を有している。また、シリンダ孔6に連通するように上ハウジング3に形成された収容孔19に、支持筒30の第2筒部分32が上下方向に移動可能に挿入される。その第1筒部分31の内周孔と第2筒部分32の内周孔とによって支持筒30の筒孔34が構成される。
【0017】
上記の筒孔34にクランプロッド20が挿入される。そのクランプロッド20の軸心は、上記ピストン10の軸心に対して左方へ所定の間隔を空けて平行に配置されている。そのクランプロッド20は、下側から順に設けられた連結部材21とクランプロッド本体22とを有する。その連結部材21の右下部に凹部21aが形成され、ピストンロッド12の上端部から左方に突設された凸部12aに対面している。連結部材21の凹部21aにピストンロッド12の凸部12aが右方から挿入されることにより、ピストン10のピストンロッド12とクランプロッド20の連結部材21とが連結される。また、連結部材21の上部に形成されたT溝21bには、クランプロッド本体22の下端部に形成されたT脚22aが装着される。クランプロッド本体22の上部の外周に3つ楔面(楔部)25が周方向へ所定の間隔をあけて形成され、その楔面25が上方へ向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成される。
【0018】
図3B(及び
図1)に示すように、上記第1筒部分31の周壁に開口部33が周方向へ所定の間隔をあけて半径方向に形成される。その開口部33に係合部材27が半径方向へ移動可能に下方から支持される。その係合部材27は、ワーク26の孔26aに係合可能に挿入される。また、
図1に示すように、各係合部材27の内周壁に傾斜面28が上方へ向かうにつれてクランプロッド20の軸心から遠ざかるように形成されている。その傾斜面28にクランプロッド本体22の楔面25が上側から楔係合される。その係合部材27が、クランプロッド20の先端側に設けた楔部25に先端側から係合される。各係合部材27の外周部に鋸刃状の突起29が上下方向に複数形成される。
【0019】
上記の支持筒30の下側に配置されたバネ室35に、圧縮コイルバネからなる進出バネ36が装着される。その進出バネ36がバネ受け37と支持筒30とを介して係合部材27を上方へ所定の力で付勢している。即ち、この実施形態では、上記進出バネ36とバネ受け37とが、支持筒30を所定の力で押し上げる付勢手段38を構成している。
【0020】
上記の係合部材27の外周部に溝27aが周方向に形成されると共に、その溝27aに対応する高さ位置で支持筒30の外周部に溝30aが周方向に形成される。係合部材27の溝27aと支持筒30の溝30aとに、ゴムや板バネ等の弾性体からなる薄肉のリング40が装着される。そのリング40が係合部材27を半径方向の内方へ付勢している。これにより、リング40によって係合部材27が支持筒30の外周面よりも半径方向の内方へ収容される。その結果、ワーク26の孔26aを支持筒30に外嵌めするときに、ワーク26が係合部材27に衝突するのを防止できる。
また、上記の収容孔19と支持筒30の外周壁との間にダストシール41が配置されている。
【0021】
図3Bに示すように、支持筒30の第1筒部分31の外周部に第1位置決め部分45が周方向に連続して形成される。その第1位置決め部分45が第1嵌合隙間47をあけてワーク26の孔26aに嵌合される。その第1嵌合隙間47の寸法は、0.005mmから0.030mmの範囲内に設定するのが好ましく、より好ましくは、0.005mmから0.010mmの範囲内である。
【0022】
上記の第2筒部分32に第2位置決め部分50が周方向に連続して形成される。その第2位置決め部分50が第2嵌合隙間52をあけて収容孔19の内周面に嵌合される。その第2嵌合隙間52の寸法は、0.005mmから0.030mmの範囲内に設定するのが好ましく、より好ましくは、0.005mmから0.010mmの範囲内である。
【0023】
上記構成のクランプ装置に動作異常(クランプ不良)の検出機構55が設けられる。その検出機構55は、
図1に示すように、次のように構成される。
上ハウジング3の上面3aに着座検出孔57が開口される。その着座検出孔57がエア供給路58に連通されている。上記のエア供給路58がクランプ不良の検出機構55の弁室60に連通され、その弁室60に弁座62が形成される。その弁室60が、上ハウジング3に形成されたエア排出路61に連通される。また、ピストンロッド12の上部に装着孔63が形成され、その装着孔63に弁部材64の下部が上下移動可能に挿入されると共に、弁部材64の上部が弁室60に上下方向へ移動可能で保密状に挿入される。その弁部材64の上部に弁面65が形成され、その弁部材64の下側に装着された進出バネ66が弁部材64を弁座62に向けて付勢する。また、上記の装着孔63の内周壁から水平方向に突設されたピン67が、弁部材64の高さ方向の途中部に形成された長孔68に挿入される。
【0024】
上記構成のクランプ装置は、
図1および
図2に示すように、以下のように動作する。
図1のアンクランプ状態では、前記クランプ室14の圧油が排出される共に、アンクランプ室13に圧油が供給される。これにより、ピストン10とクランプロッド20とが上昇位置に移動され、前記の支持筒30が進出バネ36によって上昇位置に保持されている。このとき、上記係合部材27がリング40の弾性力によって縮径状態に切り換えられている。
また、検出機構55の弁部材64が進出バネ66によって上昇され、弁面65が弁座62に当接されている。これにより、クランプ不良の検出機構55は、閉弁されている。
【0025】
上記アンクランプ状態で、ワーク26を、何らかの昇降手段または自重によって下降させ、そのワーク26の孔26aが支持筒30の第1筒部分31に外嵌められていく。すると、ワーク26の孔26aの内周壁が第1位置決め部分45に嵌合する。次いで、上記ワーク26の下面26bが、上ハウジング3の上面3aに受け止められると共に着座検出孔57を閉じる。引き続いて、この状態で着座検出孔57に加圧エアを供給すると、検出圧力が上昇する。その結果、ワーク26の着座状態が検知される。
【0026】
クランプ装置を上記
図1のアンクランプ状態から
図2のクランプ状態へ切り換えるときには、アンクランプ室13の圧油を排出するとともに、クランプ室14に圧油を供給する。すると、まず、進出バネ36の付勢力(所定の力)によって上昇位置に保持された支持筒30に対して、ピストン10とクランプロッド20とが下降されていく。次いで、クランプロッド20の楔面25によって係合部材27が縮径状態から拡径され(半径方向の外方へ移動され)、当該係合部材27がワーク26の孔26aの内周面に係合する。引き続いて、孔26aの内周面に食い込んだ状態の係合部材27が、上記の孔26aを介してワーク26を下向きに引っ張る。これと同時に、係合部材27が支持筒30を進出バネ36の付勢力(所定の力)に抗して下方へ押圧する。これにより、ワーク26が上ハウジング3の上面3aに強力に押圧される。その結果、クランプ装置は、
図2のクランプ状態に切り換えられる。
【0027】
このクランプ状態では、ピストン10が下降位置に移動されたことにより、検出機構55のピン67も下降位置に移動されるが、ピン67と長孔68の下端壁との間に当接隙間が残されている。このため、検出機構55は、閉弁状態が維持されている。従って、上記クランプ状態では、クランプ不良検出用の加圧エアがエア供給路58に供給されると、そのエア供給路58の圧力が上昇する。その上昇圧力を検出することにより、ピストン10が所定のクランプストローク領域に移動された(クランプ不良状態ではない)ことが検知される。
【0028】
クランプ装置を
図2のクランプ状態から
図1のアンクランプ状態へ切り換えるときには、クランプ室14の圧油を排出すると共にアンクランプ室13へ圧油を供給する。これにより、クランプ装置は、上述したクランプ動作とはほぼ逆の手順でアンクランプ状態へ切り換えられる。
【0029】
ところで、ワーク26の孔26aの直径が許容範囲よりも大きい等の原因により、上記のクランプ駆動時に、孔26aの内周面と拡径された係合部材27との間に滑りが生じることがある。この場合には、上記ピストン10とクランプロッド20とが所定のクランプストローク領域よりも過度に下降する(クランプ不良状態になる)。このとき、ピストン10がピン67と弁部材64の長孔68の下端壁とを介して弁部材64を下降させ、その弁部材64の弁面65が弁座62から離れて検出機構55が開弁される。このため、エア供給路58に供給された加圧エアが、開弁隙間と弁室60とエア排出路61とを通って外部へ排出され、エア供給路58の検出圧力が下降する。これにより、クランプ装置がクランプ不良状態であることが検知される。
【0030】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
前記の第2位置決め部分50が第2嵌合隙間52をあけて上ハウジング3の収容孔19に嵌合されることにより、上ハウジング3に対して支持筒30を半径方向に位置決めする。また、第1位置決め部分45が第1嵌合隙間47をあけてワーク26の孔26aに嵌合されることにより、支持筒30に対してワーク26を半径方向に位置決めする。その結果、上記のクランプ装置は、ハウジング1に対してワーク26を半径方向に位置決めできる。
また、係合部材27がワーク26の孔26aの上部に係合されると共に、第1位置決め部分45が孔26aの下部に嵌合される。孔26aの上部の直径と孔26bの下部の直径とは同じ寸法に設定されているので、孔26aの加工が容易である。
【0031】
図4Aおよび
図4Bと
図5Aおよび
図5Bと
図6は、本発明の第1実施形態の第1変形例と第1実施形態の第2変形例と第2実施形態とを示している。この第1実施形態の第1変形例と第1実施形態の第2変形例と第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0032】
図4Aおよび
図4Bに示す第1実施形態の第1変形例では、第1位置決め部分45が、第1筒部分31の軸心を挟んで対向するように形成された一対の第1突起部46,46
を備え、これら第1突起部46,46の間に
第1逃し部48,48が形成され
ている。これにより、第1筒部分31に対してワーク26を、一対の第1突起部46,46が対向する方向へ位置決めできる。また、支持筒30に対してワーク26が上記第1逃し部48,48の対向方向へ心ずれしているときに、その心ずれが第1逃し部48,48によって吸収される。
【0033】
図5Aおよび
図5Bに示す第1実施形態の第2変形例では、第2位置決め部分50が、第2筒部分32の軸心を挟んで対向するように第2筒部分32の外周に形成された一対の第2突起部51,51
を備え、これら第2突起部51,51の間に
第2逃し部53,53が形成され
ている。これにより、上ハウジング3の収容孔19に対して支持筒30を、一対の第2突起部51,51が対向する方向へ位置決めできる。また、支持筒30に対して
ワーク26が、一対の第2逃し部53,53が対向する方向へ心ずれしているときに、その心ずれが第2逃し部53によって吸収される。
【0034】
図6に示す第2実施形態では、下ハウジング2のシリンダ孔6にピストン10のピストン本体11が上下方向に移動可能で保密状に挿入される。そのピストン10のピストン本体11からピストン10のピストンロッド12が上方に突設される。シリンダ孔6に連通する収容孔19が下ハウジング2に形成される。その収容孔19に支持筒30が上下方向に移動可能に挿入される。支持筒30の筒孔34にクランプロッド20が挿入される。上記のピストンロッド12の上部に形成されたT溝76に、クランプロッド20の下端部に形成されたT脚77が装着される。クランプロッド20の軸心とピストン10の軸心とがほぼ一致するように配置されている。
【0035】
前記の第2筒部分32の外周に設けられる第2位置決め部分80,90が、中間部材としての楔部材82,92を介して前記収容孔19の内周面に嵌合可能となっている。より詳しくいえば、下ハウジング2の収容孔19と支持筒30の第2筒部分32の外周部との間に下側の楔空間81と上側の楔空間91とが形成される。その下側の楔空間81が上方へ向かうにつれて狭まるように形成されている。その下側の楔空間81に向けて環状の楔部材82が進出バネ36によって上方に付勢される。楔部材82の周壁にスリット82aが形成される。その楔部材82の内周壁に押面84が上方に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成される。その押面84が、支持筒30の第2筒部分32の外周部に形成された上記の第2位置決め部分80に係合される。また、楔部材82の外周壁に形成された嵌合面86が、収容孔19に嵌合可能に対面されている。
また、上記の上側の楔空間91は、下方へ向かうにつれて狭まるように形成されている。その上側の楔空間91に向けて中間部材としての楔部材92が進出バネ93によって下方に付勢される。楔部材92の周壁にスリット92aが形成される。その楔部材92の内周壁に押面94が下方に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成される。その押面94が、支持筒30の第2筒部分32の外周部に形成された第2位置決め部分90に係合される。また、楔部材92の外周壁に形成された嵌合面96が、下ハウジング2の収容孔19に嵌合可能に対面されている。
なお、下側の進出バネ36のバネ定数は、上側の進出バネ93のバネ定数よりも大きく設定されている。
【0036】
上記構成のクランプ装置は、以下のように動作する。
図6のアンクランプ状態では、前記クランプ室14の圧油が排出される共に、アンクランプ室13に圧油が供給される。これにより、ピストン10とクランプロッド20とが上昇位置に移動され、進出バネ36が楔部材82を介して支持筒30を上昇位置に保持している。このとき、上記係合部材27がリング40の弾性力によって拡径状態から縮径状態に切り換えられている。
【0037】
上記アンクランプ状態で、まず、ワーク26を、何らかの昇降手段または自重によって下降させ、支持筒30にワーク26の孔26aを外嵌めさせていくと、ワーク26の孔26aの内周壁が第1位置決め部分45の第1突起部46に嵌合する。次いで、上記ワーク26の下面26bが、上ハウジング3の着座面3aに受け止められると共に着座検出孔57を閉じる。引き続いて、この状態で着座検出孔57に加圧エアを供給すると、検出圧力が上昇する。その結果、ワーク26の着座状態が検知される。
【0038】
クランプ装置を上記
図6のアンクランプ状態からクランプ状態へ切り換えるときには、アンクランプ室13の圧油を排出するとともに、クランプ室14に圧油を供給する。すると、まず、進出バネ30によって上昇位置に保持された支持筒30に対して、ピストン10とクランプロッド20とが下降していく。次いで、クランプロッド20の楔面25によって係合部材27が縮径状態から拡径され、当該係合部材27がワーク26の孔26aの内周面に係合する。これにより、クランプ装置は、クランプ状態に切り換えられる。
このとき、進出バネ36が下側の楔部材82を上方へ押圧すると、その下側の楔部材82が縮径状態から半径方向の外方へ拡径される。これにより、下側の楔部材82の押面84が第2筒部分32の受け面85に下方から楔係合されると共に、下側の楔部材82の嵌合面86が収容孔19の内周壁に嵌合される。さらに、進出バネ93が上側の楔部材92を下方へ押圧し、その上側の楔部材92が縮径状態から半径方向の外方へ拡径される。これにより、上側の楔部材92の押面94が第2筒部分32の受け面95に上方から楔係合されると共に、上側の楔部材92の嵌合面96が収容孔19の内周壁に嵌合される。その結果、支持筒30は、楔部材(中間部材)82を介して収容孔19の下部に半径方向に位置決めされると共に、楔部材(中間部材)92を介して収容孔19の上部に半径方向に位置決めされる。
【0039】
クランプ装置を上記クランプ状態から
図6のアンクランプ状態へ切り換えるときには、クランプ室14の圧油を排出すると共にアンクランプ室13へ圧油を供給すればよい。これにより、クランプ装置は、上述したクランプ動作とはほぼ逆の手順でアンクランプ状態へ切り換えられる。
【0040】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
上記の第2筒部分32の第2位置決め部分80,90が楔部材82,92を介して下ハウジング2の収容孔19に嵌合されることにより、下ハウジング2に対して支持筒30を半径方向に位置決めする。また、支持筒30の位置決め部分45が第1嵌合隙間47をあけてワーク26の孔26aに嵌合されることにより、支持筒30に対してワーク26を半径方向に位置決めする。これにより、上記のクランプ装置は、ハウジング1に対してワーク26を半径方向に位置決めできる。
【0041】
上記の実施形態は、次のように変更可能である。
クランプ装置の配置姿勢は、図示の姿勢に代えて、上下逆にしたり、横向きにしたり、斜め向きにしてもよい。
上記の駆動手段5は、複動式のシリンダに代えて単動式のシリンダであってもよい。
さらには、駆動手段は、例示の油圧シリンダ5に代えて、空圧シリンダや電動アクチュエータであってもよい。
上記のピストン10とクランプロッド20とを別体に構成するのに代えて、ピストンとクランプロッドとを一体形成またはネジ等で一体的に固定するように構成してもよい。
本発明が適用されるクランプ対象物は、例示したワーク26に代えてワークパレットや金型などであってもよい。
上記の楔面25及び係合部材27は、周方向へ所定の間隔を空けて3つ配置する例を示したが、1つまたは2つまたは4つ以上配置してもよい。
上記の支持筒30の頂壁を省略してもよい。
上記の付勢手段38は、例示した進出バネ36とバネ受け37とから構成されるのに代えて、油圧シリンダ等の流体圧シリンダによって構成してもよい。
上記の突起部46,51は、支持筒30に一体的に形成した構成に代えて、支持筒と別体に形成した構成であってもよい。また、その突起部の材質は、鉄や非鉄金属や特殊合金などの金属に限られず、合成樹脂やゴムなどであってもよい。
上記の中間部材は、例示したように、上側の楔部材82と下側の楔部材92とを備えるのに代えて、上側の楔部材82および下側の楔部材92のうちのいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
前記の下側の楔空間81は、上方へ向かうにつれて狭まるように形成される構成に代えて、下方へ向かうにつれて狭まるように形成される構成であってもよい。また、上側の楔空間91は、下方へ向かうにつれて狭まるように形成される構成に代えて、上方へ向かうにつれて狭まるように形成される構成であってもよい。
上記の検出機構55に供給される圧力流体は、例示した加圧エアに代えて、他の気体や圧油などの他の液体であってもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。