特許第6683510号(P6683510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683510半導体装置、メンテナンス装置、及びメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683510
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】半導体装置、メンテナンス装置、及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/00 20060101AFI20200413BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20200413BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20200413BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H03K17/00 B
   H03K17/08 C
   H01L27/04 T
   H01L27/04 V
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-54529(P2016-54529)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-169145(P2017-169145A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】500323188
【氏名又は名称】東京エレクトロンデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】分部 明久
(72)【発明者】
【氏名】仲野 逸人
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 真史
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−134089(JP,A)
【文献】 特開2008−072429(JP,A)
【文献】 特開2011−066380(JP,A)
【文献】 特開2015−080088(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/069213(WO,A1)
【文献】 特開2016−005289(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/038919(WO,A1)
【文献】 特開2014−241671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00
H01L 21/822
H01L 27/04
H03K 17/08
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリタイプ結晶構造を有する基板に形成される半導体素子と、
前記半導体素子のゲート電圧のオーバーシュート時間を含むパラメータを測定する測定部と、
前記パラメータとしての前記オーバーシュート時間を用いて前記半導体素子の寿命を予測する予測部と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記基板は、SiC基板またはGaN基板である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記測定部は、測定対象期間内における前記半導体素子のスイッチングに応じた累計のオーバーシュート時間を測定する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記パラメータの少なくとも一つとして、前記半導体素子の閾値電圧の変動を測定する請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記パラメータの少なくとも一つとして、前記半導体素子のオン電圧およびオン抵抗の少なくとも一方を測定する請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記測定部は、当該半導体装置のテスト期間において、前記パラメータを測定する請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記予測部は、前記パラメータが許容範囲外となるまでの期間を予測する請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記予測部により予測された寿命が目標寿命よりも短い場合に、前記半導体素子のゲート電圧の変化速度を調整する調整部を更に備える請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記調整部は、外部からスイッチング信号を入力するスイッチング端子と前記半導体素子のゲートの間に接続するゲート抵抗の抵抗値、又は可変パルス電流源によるゲート電流値を変更する請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記予測部は、前記パラメータがアラートレベルに達したことに応じてアラート信号を出力する請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置とネットワークを介して接続されるモニタリング装置と、
を備えるメンテナンス装置。
【請求項12】
半導体素子を備える半導体装置をメンテナンスするためのメンテナンス装置であって、
前記半導体素子の特性変動の指標となる、前記半導体素子のゲート電圧のオーバーシュート時間を含むパラメータを測定する測定部と、
測定された前記パラメータとしての前記オーバーシュート時間を用いて前記半導体素子の寿命を予測する予測部と
を備えるメンテナンス装置。
【請求項13】
前記予測部により予測された寿命が目標寿命よりも短い場合に、前記半導体装置における、前記半導体素子のゲート電圧の変化速度の設定値を変更する設定部を更に備える請求項12に記載のメンテナンス装置。
【請求項14】
前記設定部は、前記半導体装置が外部からスイッチング信号を入力するスイッチング端子と前記半導体素子のゲートとの間に接続するゲート抵抗の抵抗値、又は可変パルス電流源によるゲート電流値を定める前記設定値を変更する請求項13に記載のメンテナンス装置。
【請求項15】
前記メンテナンス装置は、ネットワークを介して前記半導体装置に接続される請求項12から14のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項16】
半導体素子を備える半導体装置のメンテナンス方法であって、
前記半導体素子の特性変動の指標となる、前記半導体素子のゲート電圧のオーバーシュート時間を含むパラメータを測定する測定段階と、
測定された前記パラメータとしての前記オーバーシュート時間を用いて前記半導体素子の寿命を予測する予測段階と
を備えるメンテナンス方法。
【請求項17】
前記予測段階において予測された寿命が目標寿命よりも短い場合に、前記半導体装置における、前記半導体素子のゲート電圧の変化速度の設定値を変更する設定段階を更に備える請求項16に記載のメンテナンス方法。
【請求項18】
前記設定段階は、前記半導体装置が外部からスイッチング信号を入力するスイッチング端子と前記半導体素子のゲートの間に接続するゲート抵抗の抵抗値、又は可変パルス電流源によるゲート電流値を定める前記設定値を変更する請求項17に記載のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、メンテナンス装置、及びメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンカーバイド化合物半導体(SiC)素子、窒化ガリウム化合物半導体(GaN)素子等の次世代半導体素子を搭載したパワー半導体モジュールの開発が進められている。SiC素子及びGaN素子は、従来のシリコン半導体(Si)素子に対して絶縁破壊電界強度が高いことから高耐圧であり、また不純物濃度をより高く、活性層をより薄くすることができることから高効率且つ高速動作が可能な小型のパワー半導体モジュール(半導体装置とも呼ぶ)を実現することができる。
【0003】
変流器(CT)、ホール素子、シャント抵抗、磁気抵抗素子、DESATダイオード、サーミスタ等の半導体素子の動作状態をセンシングするセンサを設ける或いは半導体素子内に組み込んで保護機能を搭載することで、パワー半導体モジュールをインテリジェント化することができる。例えば、特許文献1には、保護機能を搭載してインテリジェント化されたインバータ回路であり、保護機能により過電流を検出すると半導体素子をオフするとともに駆動回路と回路のGNDとを短絡することで、回転中のモータからこれを構成するコイルに蓄積されたエネルギーにより生じる回生電流が流れ込んで、オフした半導体素子が誤動作しないよう保護するインバータ回路が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の開閉素子、多チャンネルAD変換器、及び直並列変換器を含んでインテリジェント化された電子制御装置であり、マイクロプロセッサにより、複数の開閉素子の動作状態の異常判定信号等に応動してそれらを開閉制御し、多チャンネルAD変換器及び直並列変換器を介して通電電流を読み出し、複数の開閉素子を駆動する制御信号の種別に依らず閉駆動時に読み出すよう読出タイミングが調整される電子制御装置が開示されている。直並列変換器により電子制御装置とマイクロプロセッサ間の配線数を削減することを可能としている。
特許文献1 特開2010−239760号公報
特許文献2 特開2011−239550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者により、SiC、GaN等のポリタイプ結晶構造を有する基板に形成されるSiC素子、GaN素子等は繰り返し使用することで電気的特性が変動する可能性があることが見出された。このような特性変動は、例えば数100時間、或いは数1000時間といった長時間の駆動により緩やかに発現するものであり、また必ずしも半導体素子の誤動作をもたらすものではないため、上記のような保護機能により変動を抑制して半導体素子を保護することはできない。また、このような特性変動を有する半導体素子を、初期不良としてスクリーニングすることも難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、ポリタイプ結晶構造を有する基板に形成される半導体素子と、前記半導体素子のゲート電圧のオーバーシュート時間を含むパラメータを測定する測定部と、を備える半導体装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様においては、半導体素子を備える半導体装置をメンテナンスするためのメンテナンス装置であって、半導体素子の特性変動の指標となるパラメータを測定する測定部と、測定されたパラメータを用いて半導体素子の寿命を予測する予測部とを備えるメンテナンス装置が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様においては、半導体素子を備える半導体装置のメンテナンス方法であって、半導体素子の特性変動の指標となるパラメータを測定する測定段階と、測定されたパラメータを用いて半導体素子の寿命を予測する予測段階とを備えるメンテナンス方法が提供される。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る半導体装置の構成を示す。
図2】半導体素子に入力されるゲート電圧の過渡特性の一例を示す。
図3】測定部の構成の一例を示す。
図4】半導体装置の稼働時間に対する半導体素子の閾値電圧の変動の一例を示す。
図5】閾値電圧の変動による半導体素子の寿命予測と寿命調整の一例を示す。
図6】半導体装置の稼働時間に対する半導体素子のオン電圧の変動の一例を示す。
図7】半導体装置を遠隔監視するメンテナンス装置の構成を示す。
図8】変形例1に係る半導体装置及びメンテナンス装置の構成を示す。
図9】変形例1に係るメンテナンス装置を用いた半導体装置のメンテナンス方法の手順を示す。
図10】変形例2に係る半導体装置の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の構成を示す。半導体装置100は、半導体素子の特性変動の指標となるパラメータを測定し、その結果に基づいて半導体素子の寿命を予測し、特性変動を制御することで半導体素子を保護する又は目標寿命を尽くすよう調整することを目的とする。半導体装置100は、半導体素子10、調整部12、測定部20、及び予測部30を備える。
【0013】
なお、半導体素子10、その他の構成各部は、外部からスイッチング信号を入力するためのスイッチング端子19G、電流を通電するためのドレイン端子19D及びソース端子19S、並びに外部に信号を出力するための出力端子19Oの間に接続されている。
【0014】
半導体素子10は、本実施形態の半導体装置100に組み込まれるスイッチング素子であり、一例として、SiC基板、GaN基板等のポリタイプ結晶構造を有する基板に形成された金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を採用する。なお、半導体素子10として、MOSFETに限らず、化合物半導体から構成され得る素子、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を採用してもよい。半導体素子10は、ゲート電極(単にゲートとも呼ぶ)G、ドレイン電極(単にドレインとも呼ぶ)D、及びソース電極(単にソースとも呼ぶ)Sを有し、それぞれ後述する調整部12、ドレイン端子19D、及びソース端子19Sに接続されている。
【0015】
調整部12は、半導体素子10のゲートGに抵抗値の異なる抵抗素子を切り換え接続するユニットであり、複数の抵抗素子12R及び複数のスイッチ12Sを有する。
【0016】
複数の抵抗素子12Rは、例えば0.01〜10Ωの範囲内で互いに異なる抵抗値を有する素子であり、それぞれの一端が半導体素子10のゲートGに接続される。
【0017】
複数のスイッチ12Sは、後述する予測部30から入力される予測結果により制御されて開閉する素子であり、それぞれの一端が複数の抵抗素子12Rにそれぞれ接続され、それぞれの他端がスイッチング端子19Gに接続される。
【0018】
それにより、複数の抵抗素子12Rがスイッチング端子19GとゲートGとの間に並列される。調整部12は、複数のスイッチ12Sによりいずれかの抵抗値を有する抵抗素子12Rをスイッチング端子19GとゲートGとの間にゲート抵抗Rgとして接続することで、ゲート抵抗の抵抗値を変更可能とする。または、1つの抵抗素子12Rと可変パルス電流源とを組み合わせてゲートGへ流れるゲート電流を変化させることで、等価的にゲート抵抗の抵抗値を変更可能となるようにしてもよい。ここでゲート電流とは、半導体素子10をスイッチングさせるためにスイッチング端子19Gに入力するスイッチング信号である。なお、ゲート抵抗の抵抗値と半導体素子10の性能との関係及び調性部12が果たす機能については後述する。
【0019】
測定部20は、半導体素子10の特性変動の指標となるパラメータを測定するユニットであり、第1測定部21及び第2測定部22を有する。なお、パラメータとして、ゲート電圧のオーバーシュート時間及びその累計、閾値電圧及びその変動、オン電圧及びオン抵抗等を選択することができる。
【0020】
第1測定部21は、半導体素子10のゲート電圧のオーバーシュート時間を測定し、その結果を後述する予測部30に送信する。第1測定部21は、半導体素子10のゲートGに接続し、ゲート電圧を検出してその過渡特性を分析することでオーバーシュート時間を算出する。さらに、第1測定部21は、測定対象期間内においてオーバーシュート時間を積算することで、半導体素子10のスイッチングに応じた累計のオーバーシュート時間を測定する。ここで、測定対象期間は、例えば、半導体装置100を外部システムに組み込んで実稼働を開始した後の期間としてよい。
【0021】
なお、第1測定部21は、さらに半導体装置100の稼働時間を測定し、その結果を予測部30に出力してもよい。
【0022】
第2測定部22は、半導体素子10の閾値電圧及びオン電圧を測定し、それらの結果を後述する予測部30に送信する。なお、第2測定部22の構成及び半導体素子10の閾値電圧及びオン電圧を測定方法については後述する。
【0023】
予測部30は、測定部20に接続して、これから入力される半導体素子10に係る各種パラメータを用いて半導体素子10の寿命を予測するユニットである。本実施形態では、半導体素子10に係るパラメータとして、ゲート電圧のオーバーシュート時間(及びその累計)、閾値電圧Vth及びオン電圧VONを利用する。なお、半導体素子10の寿命を予測する方法については後述する。
【0024】
図2に、半導体素子10のゲートGに入力されるゲート電圧の過渡特性の一例を示す。ゲート電圧は、半導体素子10のドレイン−ソース間の接続を開閉制御するためのスイッチング信号であり、半導体装置100を組み込んだ外部システムからスイッチング端子19G及び調整部12を介して半導体素子10のゲートGに入力される。ゲート電圧は、半導体装置100内のインピーダンスだけでなく外部システム内のインピーダンスも受けて、過渡的に時間変化する。ゲート電圧は、一例として半導体素子10のドレイン−ソース間の接続を開くターンオフ信号であり、ターンオン電圧から急激に立下り、閾電圧を越え、アンダーシュートを伴ってターンオン電圧より低いターンオフ電圧に飽和する。
【0025】
ゲート電圧の過渡特性において、ゲートGに接続するゲート抵抗Rgの抵抗値に対して、特にゲート電圧の立ち上がり又は立下りの傾き、ゲート電圧のオーバーシュート又はアンダーシュート(特に断らない限り、基準電圧を一時的に越える変化を伴うという意図で、オーバーシュートと称する)の程度が変動する。ゲート電圧が基準電圧を上回る又は下回る時間をオーバーシュート時間と呼ぶ。基準電圧は、半導体素子10の定格電圧より一意に定められる電圧であり、例えば−10Vである。
【0026】
ゲート電圧は、ゲート抵抗の大きな抵抗値Rg1(例えば6.8Ω)に対して、緩やかな立下り及び短いオーバーシュート時間(例えばdT1=50〜100ナノ秒)を呈する。緩やかな立下りは半導体素子10の遅いスイッチング速度をもたらし、短いオーバーシュート時間は後述するように半導体素子10の長い耐用時間をもたらす。ただし、大きな抵抗値のゲート抵抗は、半導体素子10の性能低下(すなわち、低効率)をもたらす。一方、ゲート電圧は、ゲート抵抗の小さな抵抗値Rg2(例えば4.7Ω)に対して、急な立下り及び長いオーバーシュート時間(例えばdT2=150〜500ナノ秒)を呈する。急な立下りは半導体素子10の速いスイッチング速度をもたらし、長いオーバーシュート時間は後述するように半導体素子10の短い耐用時間をもたらす。ただし、小さい抵抗値のゲート抵抗により、半導体素子10の性能改善(すなわち、高効率)が図られる。
【0027】
なお、ゲート電圧として、アンダーシュートを伴うオフ信号について説明したが、半導体素子10のドレイン−ソース間の接続を閉じるオン信号であり、オフ電圧から急激に立ち上がり、閾電圧を越え、オーバーシュートを伴ってオフ電圧より高いオン電圧に飽和するゲート電圧においても、ゲート抵抗の抵抗値に対して同様の振る舞いを呈するとともに、半導体素子10の性能変化をもたらす。
【0028】
従って、調整部12によりゲート抵抗Rgの抵抗値を変更する、例えば、より小さな抵抗値に変更することにより半導体素子10の効率を改善するとともにスイッチング速度を上げることができ、より大きな抵抗値に変更することにより半導体素子10の耐用時間を延ばす、すなわち延命することができる。
【0029】
図3に、第2測定部22の構成を示す。第2測定部22は、DESATダイオード22a、電流源22b、及び比較器22cを有する。
【0030】
DESATダイオード(単にダイオードとも呼ぶ)22aは、例えば複数のダイオードを直列して構成され、カソード及びアノードをそれぞれ半導体素子10のドレインD及び比較器22cに接続する。DESATダイオード22aは、直列された複数のダイオードのそれぞれの降下電圧の和に等しい降下電圧Vfを有する。
【0031】
電流源22bは、ダイオード22aのアノードに接続され、定電流Idesatを、ダイオード22aを介して半導体素子10のドレインDに流し入れる。
【0032】
比較器22cは、ダイオード22aのアノード電位(DESAT電位とも呼ぶ)VdesatをリファレンスVrefと比較し、その結果OUTを出力する。DESAT電位Vdesatは、半導体素子10のドレイン電圧V(ドレイン−ソース間電圧VDSに相当する)とダイオード22aの降下電圧Vfの和に等しい。
【0033】
従って、第2測定部22は、例えばリファレンスVrefを変化させつつ比較器22cの出力OUTを監視することで、出力OUTが変化したときのリファレンスVrefよりドレイン電圧V=Vref−Vfを得ることができる。
【0034】
なお、DESAT電位Vdesatを更に別の比較器で増幅し、リファレンスVrefと比較器22cで比較し、その出力OUTが変化したときのリファレンスVrefよりドレイン電圧Vを得る構成としてもよい。
【0035】
第2測定部22は、次のように半導体素子10の閾値電圧Vthを測定する。第2測定部22は、半導体素子10のドレインD及びソースSの間に例えば20Vの電圧(すなわち、ドレイン−ソース間電圧VDS)を印加し、電流源22bからダイオード22aを介して例えば18mAの電流(すなわち、ドレイン電流I)を半導体素子10のドレインDに流し込む。この状態において、第2測定部22は、半導体素子10のゲートGに徐々に増大する電圧(すなわち、ゲート電圧)を印加しつつドレイン電圧Vを測定する。なお、ゲート電圧は、第1測定部21により検出される。このとき、閾値電圧Vthに等しいゲート電圧にて、ドレイン電圧Vが降下する。第2測定部22は、ドレイン電圧Vの降下を検知しながらゲート電圧を検出することで、半導体素子10の閾値電圧Vthを得る。
【0036】
なお、第2測定部22は、閾値電圧Vthに代えて又はこれとともに、例えば、半導体装置100を外部システムに組み込んだ初期の閾値電圧Vthからの変動を算出し、出力してもよい。
【0037】
第2測定部22は、次のように半導体素子10のオン電圧VONを測定する。第2測定部22は、半導体素子10のゲートGに例えば20Vの電圧(すなわち、ゲート電圧)を印加し、電流源22bからダイオード22aを介して例えば18Aの電流(すなわち、ドレイン電流I)を半導体素子10のドレインDに流し込む。第2測定部22は、この状態において、ドレイン電圧Vを検出することで半導体素子10のオン電圧VONを得る。なお、半導体素子10のオン抵抗は、得られたオン電圧VONをドレイン電流Iにより除算することにより得られる。
【0038】
なお、半導体素子10の閾値電圧Vth及びオン電圧VONを測定する際のゲート電圧V、ドレイン電流I、及びドレイン−ソース間電圧VDSに対する条件は、半導体装置100の実稼働時におけるそれらと異なる。そのため、半導体装置100が組み込まれた外部システムの停止時、メンテナンス時等の非稼働時にテスト期間を設け、その期間内に閾値電圧Vth、オン電圧VON等の半導体素子10の各種パラメータを測定することとする。
【0039】
図4は、半導体装置100の稼働時間に対する半導体素子10の閾値電圧Vthの変動の一例を示す。ここで、閾値電圧Vthは、小さい(例えば4.7Ω)及び大きい(例えば6.8Ω)ゲート抵抗Rgのそれぞれに対して測定されている。閾値電圧Vthは稼働時間に対して増大し、その増大の程度は小さいゲート抵抗に対して急であり、大きなゲート抵抗に対して緩やかであることがわかる。
【0040】
SiC、GaN等のポリタイプ結晶構造を有する基板に形成されるSiC素子、GaN素子等は、繰り返し使用されることで、特にオーバーシュートにより基準電圧を超えるゲート電圧Vが素子にストレスを与え、これが蓄積されることで、閾値電圧Vthが変動する。閾値電圧Vthの増大は例えば半導体素子10のONタイミングの遅延をもたらし、半導体装置100の定格性能を損なう原因となる。
【0041】
先述の通り、小さいゲート抵抗は長いオーバーシュート時間をもたらし、大きいゲート抵抗は短いオーバーシュート時間をもたらす。従って、閾値電圧Vthの変動をゲート電圧Vのオーバーシュート時間によりスケールすることができると期待される。そこで、閾値電圧Vthについて、その増大の許容範囲を定め、閾値電圧Vthが許容範囲外となるまでの増大により半導体素子10の耐用を定め、その耐用時間(すなわち、寿命)を予測部30によりゲート電圧Vのオーバーシュート時間の測定結果より予測する。
【0042】
図5は、予測部30による閾値電圧Vthの変動による半導体素子10の寿命予測と寿命調整の一例を示す。ここでは、一例として、半導体素子10の耐用限界を閾値電圧Vthの5%増大と定め、閾値電圧Vthの増大がこの限界に達すると予測される設計時間Tを半導体素子10の目標寿命と定める。図中、原点と、設計時間Tにて閾値電圧Vthの5%増大を示す点と、を結ぶ一点鎖線を目標寿命曲線L0と呼ぶ。なお、設計時間Tは、例えば、図4に示した閾値電圧Vthの変動の一例より40000時間又は10000時間のオーダーである。
【0043】
予測部30は、まず、測定部20から、ゲート電圧Vのオーバーシュート時間の測定結果及び半導体装置100の稼働時間の測定結果を受信する。なお、予測部30は、これらの測定結果を、半導体装置100の稼働時に定期的に受信してもよいし、メンテナンス時等の非稼働時に適宜受信してもよい。次に、予測部30は、受信した累計のオーバーシュート時間の測定結果から閾値電圧Vthの変動を、それらの相間関係を利用して予測する。累計のオーバーシュート時間tと閾値電圧Vthの変動との相間関係は、予め、例えば試験用の半導体装置100を用いて試験することで得ることができ、例えば一次関数を用いてΔVth=a+btと与えることができる。次に、予測部30は、予測した閾値電圧Vthの変動を目標寿命曲線L0と比較する。
【0044】
例えば、図5に点P1〜P3を用いて示すように、予測された閾値電圧Vthの変動が目標寿命曲線L0上またはこの近傍に位置する場合、予測部30は、半導体素子10の寿命τを目標寿命Tに等しい又はほぼ等しいと予測し、この予測結果を調整部12に送信する。最後に、調整部12は、受信した寿命の予測結果から、半導体装置100は定格に従って使用されていると判断して、現行のゲート抵抗Rgの抵抗値を維持する。
【0045】
また、例えば図5に点P4を用いて示すように、予測された閾値電圧Vthの変動が目標寿命曲線L0より高い位置にある場合、予測部30は、半導体素子10の寿命τを目標寿命Tより短いと評価し、目標寿命曲線L0からの予測された変動のずれより寿命τを具体的に予測し、この予測結果を調整部12に送信する。最後に、調整部12は、受信した寿命の予測結果から、半導体装置100は定格より厳しい条件で使用されていると判断して、ゲート抵抗Rgの抵抗値を大きな値に変更する。それにより、ゲート電圧Vの変化速度を調整する、すなわちオーバーシュート時間を短くして、閾値電圧の変動を抑制することで半導体素子10を延命することができる。なお、残りの寿命が目標寿命Tと現在の稼働時間Tとの差にほぼ等しくなるように、調整部12により、適当な抵抗値にゲート抵抗を変更してもよい。
【0046】
なお、予測部30は、予測した半導体素子10の寿命が目標寿命にほぼ等しい又は超えている場合、或いは測定部20から受信した累計のオーバーシュート時間の測定結果が目標寿命に相当するオーバーシュート時間にほぼ等しい又は超えている場合、半導体素子10に係るパラメータがアラートレベルに達したとして、アラート信号を出力端子19Oから外部システム等に出力してもよい。このとき、外部からの設定等により、調整部12は、予測部30による寿命予測に従ってゲート抵抗の抵抗値を変更しないで、高速スイッチング、高効率を優先して半導体装置100を稼働しつづけてもよい。
【0047】
また、例えば図5に点P5を用いて示すように、予測された閾値電圧Vthの変動が目標寿命曲線L0より低い位置にある場合、予測部30は、半導体素子10の寿命τを目標寿命Tより長いと評価し、目標寿命曲線L0からの予測された変動のずれより寿命τを具体的に予測し、この予測結果を調整部12に送信する。最後に、調整部12は、受信した寿命の予測結果から、半導体装置100は定格より緩い条件で使用されていると判断して、ゲート抵抗Rgの抵抗値を小さい値に変更する。それにより、ゲート電圧Vの立下り時間を短くして、スイッチング速度を上げるとともに効率を改善することができる。なお、許容される範囲で閾値電圧の変動を助長し、半導体素子10を寿命を短くする、例えば、残りの寿命が目標寿命Tと現在の稼働時間Tとの差にほぼ等しくなるように、調整部12により、適当な抵抗値にゲート抵抗を変更してもよい。
【0048】
このように、半導体素子10のスイッチング速度、効率等、定格性能を可能な限り引き出しつつ半導体素子10の劣化を抑えて延命することができる。
【0049】
なお、予測部30は、半導体装置100の非稼働時に測定部20により半導体素子10の閾値電圧Vthを測定し、その結果を用いて半導体素子10の寿命を直接的に予測し、その結果に基づいて寿命を調整してもよい。寿命予測及び寿命調整の詳細は、先述の通りである。
【0050】
また、予測部30は、半導体装置100の非稼働時に測定部20により半導体素子10のオン電圧VONを測定し、その結果が許容範囲を超えた場合、半導体素子10に係るパラメータがアラートレベルに達したとして、アラート信号を出力端子19Oから外部システム等出力してもよい。
【0051】
図6は、半導体装置100の稼働時間に対する半導体素子10のオン電圧VONの変動の一例を示す。オン電圧VONは、半導体素子10のボディダイオード通電により生じる光によりその内部に欠陥が生じることで増大することが経験的に知られている。これは、ボディダオードとは、半導体素子の構造上内部に寄生して形成されるダイオードのことである。このボディダイオードに電流が流れ続けると、SiCウェハ、あるいはSiCエピタキシャル層、又はその両方に基底面転位を起点として積層欠陥が成長するためである。オン電圧VONは、稼働時間に対して不連続に増大する。詳細には、半導体装置100の実稼働開始後、稼働時間1(任意単位)程度で約1%増大し、稼働時間5から10の間にさらに約5%増大し、稼働時間10から35の間、ほぼ一定し、稼働時間35から40の間にさらに約10%増大する。オン抵抗VONの増大は、損失の増大をもたらす。そこで、オン電圧VONについて許容範囲を定め、測定結果がこれを超えた場合に予測部30によりアラート信号を出力することとする。
【0052】
半導体装置100は、ネットワーク220を介してモニタリング装置に接続し、そのモニタリング装置により半導体素子10の特性変動を監視してもよい。
【0053】
図7に、複数の半導体装置100を遠隔監視するメンテナンス装置200の構成を示す。メンテナンス装置200は、本実施形態に係る複数の半導体装置100及びモニタリング装置210を備える。複数の半導体装置100及びモニタリング装置210は、相互に通信可能にネットワーク220に接続されている。
【0054】
複数の半導体装置100は、複数の外部システム(不図示)にそれぞれ組み込まれている。複数の半導体装置100は、出力端子19Oを介してネットワーク220に接続し、予測部30による寿命予測の結果、測定部20による特性変動の指標となるパラメータの測定結果等をモニタリング装置210に送信する。
【0055】
モニタリング装置210は、コンピュータ、マイクロコントローラ等を含む情報処理装置であり、例えば監視用プログラムを実行することによりモニタリング機能を発現する。モニタリング装置210は、複数の半導体装置100から半導体素子10の寿命予測の結果、特性変動の指標となるパラメータの測定結果等を受信し、モニタに一括表示する。
【0056】
なお、モニタリング装置210は、複数の半導体装置100から受信した半導体素子10の寿命予測の結果、特性変動の指標となるパラメータの測定結果等に基づいて、寿命調整するためのゲート抵抗Rgの抵抗値の設定信号を生成し、複数の半導体装置100に送信してもよい。複数の半導体装置100は、モニタリング装置210から受信する設定信号に従って、調整部12によりゲート抵抗の抵抗値を変更する。
【0057】
なお、先述の半導体素子10の特性変動の指標となるパラメータを測定する測定部20及び測定部20による各種パラメータの測定結果を用いて半導体素子10の寿命を予測する予測部30を組み込んだ、半導体装置100と独立に構成されるメンテナンス装置を用いて、半導体装置100が備える半導体素子10のパラメータを測定し、その結果に基づいて半導体素子の寿命を予測し、特性変動を制御してもよい。
【0058】
図8は、変形例1に係る半導体装置110及びメンテナンス装置120の構成を示す。ここで、先述の半導体装置100における構成各部と同一又は対応する構成については同一の符号を付し、その詳細説明を省略することとする。
【0059】
半導体装置110は、半導体素子10及び調整部12を備える。半導体素子10及び調整部12は、外部からスイッチング信号を入力するためのスイッチング端子19G、電流を通電するためのドレイン端子19D及びソース端子19S、半導体素子10のゲートGからゲート電圧を外部に出力するための出力端子19O、並びに外部から設定信号を調整部12に入力するための入力端子19Iの間に接続されている。
【0060】
メンテナンス装置120は、半導体素子10を備える半導体装置110に着脱可能に接続して、これをメンテナンスするための装置であり、測定部20、予測部30、及び設定部40を備える。
【0061】
測定部20は、先述の半導体装置100が備えるそれと同様に構成されている。ただし、第1測定部21は、半導体装置110の出力端子19Oに接続され、これを介して半導体素子10のゲート電圧が入力される。また、第2測定部22は、半導体装置110のドレイン端子19Dに接続され、これを介して半導体素子10のドレイン電圧が入力される。
【0062】
予測部30は、先述の半導体装置100が備えるそれと同様に構成されている。ただし、半導体素子10の寿命の予測結果を設定部40に出力する。
【0063】
設定部40は、予測部30により予測された寿命が目標寿命よりも短い場合に、半導体素子10のゲート電圧の変化速度の設定値を変更する。ここで、設定値として、例えばゲート抵抗Rgの抵抗値を用いることができる。設定部40は、変更した設定値を入力端子19Iを介して半導体装置110の調整部12に送信する。それにより、調整部12は、ゲート抵抗Rgの抵抗値を設定値に変更する。ここで、調整部12が1つの抵抗素子と可変パルス電流源で構成されている場合は、設定値であるゲート抵抗Rgの値となるように、可変パルス電流源の電流値を変更し、ゲート電流を変更することで等価的にゲート抵抗Rgの抵抗値を設定値に変更する。
【0064】
なお、メンテナンス装置120は、ネットワークを介して半導体装置110に接続されることとしてもよい。
【0065】
図9に、変形例1に係るメンテナンス装置120を用いた半導体装置110のメンテナンス方法の手順を示す。
【0066】
ステップS1では、測定部20により、半導体素子10の特性変動の指標となるパラメータを測定する。パラメータとして、ゲート電圧のオーバーシュート時間及びその累計、閾値電圧及びその変動、オン電圧及びオン抵抗等を選択することができる。
【0067】
ステップS2では、予測部30により、測定部20により測定されたパラメータを用いて半導体素子10の寿命を予測する。例えば、予測部30は、ゲート電圧のオーバーシュート時間の累計より、半導体素子10の寿命を予測する。寿命予測の詳細は、先述の通りである。
【0068】
ステップS3では、設定部40により、半導体素子10のゲート電圧の変化速度の設定値を変更する。設定部40は、予測部30により予測された半導体素子10の寿命が予め設定された目標寿命より短い場合、設定値として、ゲート抵抗Rgの抵抗値を大きな値に変更する。それにより、調整部12によりゲート抵抗Rgが大きな設定値に変更され、オーバーシュート時間が短くなり、閾値電圧の変動が抑制されることで半導体素子10が延命される。
【0069】
なお、設定部40は、半導体素子10の寿命がおよそ目標寿命で尽きるように、設定値としてのゲート抵抗Rgの抵抗値を変更してもよい。また、予測部30により予測された半導体素子10の寿命が予め設定された目標寿命より長い場合、設定値としてのゲート抵抗Rgの抵抗値を小さい値に変更してもよい。それにより、調整部12によりゲート抵抗Rgが小さい設定値に変更され、ゲート電圧Vの立下り時間が短くなり、スイッチング速度が上げるとともに効率が改善される。または、可変パルス電流源の電流値を小さい値に変更し、ゲート電流を少なくすることで等価的にゲート抵抗Rgの抵抗値を小さい設定値に変更してもよい。
【0070】
なお、本実施形態の半導体装置100は、例えば、パワーコンディショナ(PCS)、インバータ、スマートグリッド等の電力装置である外部システムに組み込むことができる。
【0071】
図10は、変形例2に係る半導体装置111の回路構成を示す。半導体装置111は、半導体装置100と同様に、半導体素子10、調整部12、測定部20、及び予測部30を備える。半導体装置111の基本的な構成は先述の半導体装置100と同様であるため、半導体装置100と同様又は対応する構成については詳細説明を省略する。
【0072】
調整部12は、半導体素子10のゲートGに接続される抵抗素子の抵抗値を、これに流れるゲート電流を調整することで等価的に変更するユニットであり、1つの抵抗素子12R並びに2つの可変パルス電流源12T及び12Uを有する。
【0073】
抵抗素子12Rは、例えば0.01〜10Ωの範囲内で抵抗値を有する素子であり、一端が半導体素子10のゲートGに接続される。
【0074】
可変パルス電流源12T及び12Uは、予測部30から入力される予測結果により制御されて所定のゲート電流を通電させるユニットである。可変パルス電流源12Tの一端は高電位側VHに接続され、他端がスイッチング端子19Gに接続される。また、可変パルス電流源12Uの一端はスイッチング端子19Gに接続され、他端がソース端子19Sに接続される。それにより、可変パルス電流源12T及び12Uは、スイッチング端子19Gを間に挟み、高電位側VHとソース端子19S(すなわち低電位側VL)の間に並列される。
【0075】
調整部12は、可変パルス電流源12T又は12Uにより、所定のゲート電流を抵抗素子12Rに通電又は逆方向に通電させることで、等価的にゲート抵抗の抵抗値を変更可能とする。なお、ゲート抵抗の抵抗値と半導体素子10の性能との関係及び調性部12が果たす機能については前述したものと同様である。
【0076】
スイッチング素子をターンオンする際、ゲート電圧はターンオフ電圧からターンオン電圧となる。このとき可変パルス電流源12Uにパルス電流を通電させると、ゲートGに流れ込む電流が可変パルス電流源12Uの通電期間のみ小さくなるため、等価的にゲート抵抗が大きくなる。また、スイッチング素子をターンオフする際は、可変パルス電流源12Tにパルス電流を通電させることで、ゲートGから引き出される電流が通電期間のみ小さくなるため、等価的にゲート抵抗が大きくなる。ここでは、等価的にゲート抵抗を大きくするための動作を説明したが、ゲート抵抗を等価的に小さくする動作に関しては、動作させる可変パルス電流源を上記と逆にすることで実現可能である。
【0077】
なお、抵抗素子12Rを省略し、可変パルス電流源12T及び12Uのみで調整部12を構成してもよい。
【0078】
従って、変形例2においても、調整部12によりゲート抵抗の抵抗値を等価的に変更する。例えば、ゲート抵抗に通電するゲート電流を大きくし、より小さな抵抗値に等価的に変更することにより半導体素子10の効率を改善し、スイッチング速度を上げることができる。また、より小さな電流値に変更し、より大きな抵抗値に変更することにより半導体素子10の耐用時間を延ばす、すなわち延命することができる。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0081】
10…半導体素子、12…調整部、12R…抵抗素子、12S…スイッチ、12T,12U…可変パルス電流源、19D…ドレイン端子、19G…スイッチング端子、19I…入力端子、19O…出力端子、19S…ソース端子、20…測定部、21…第1測定部、22…第2測定部、22a…DESATダイオード(ダイオード)、22b…電流源、22c…比較器、30…予測部、40…設定部、100,110,111…半導体装置、120…メンテナンス装置、200…メンテナンス装置、210…モニタリング装置、220…ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10