(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流補償回路は、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとの排他的論理和の否定を求めることで前記電流制御信号を生成する、請求項4に記載の信号生成装置。
所定の外部装置に対し、論理遷移を伴う所定のパターンに基づく信号を出力ドライバから出力する信号生成装置において、前記出力ドライバに電源供給するレギュレータの出力電圧の変動抑制方法であって、
前記論理遷移の頻度の異なる少なくとも2つのテストパターンに基づく各信号を、前記出力ドライバから前記所定の外部装置に対しそれぞれ出力し、前記テストパターンごとに、前記レギュレータの出力電圧を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにて測定した出力電圧間の差分値が判定基準値以下となるように、電流補償回路にて生成する補償電流の値を調整する調整ステップと、
を含む変動抑制方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した信号生成装置においては、送信機等へ出力する信号の論理遷移の頻度に応じて、使用するレギュレータの負荷が時間と共に変化し、該レギュレータの出力電圧の変動が生じる。すなわち、かかる信号生成装置では、レギュレータの出力電圧の変動量が、時間と共に変化する。
【0008】
一方、特許文献1及び2に開示される構成は、上述のような時間と共に変動量が変化する電圧を補償していない。したがって、特許文献1及び2に開示される構成は、信号生成装置で使用されるレギュレータの出力電圧の変動を抑制できない。
【0009】
そこで、本発明は、使用するレギュレータの出力電圧の変動を抑制できる信号生成装置及びレギュレータの出力電圧の変動抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0011】
すなわち、ある観点に従う発明は、所定の外部装置に対し、論理遷移を伴う所定のパターンに基づく信号を出力する信号生成装置である。かかる信号生成装置は、前記論理遷移の頻度の異なる少なくとも2つのテストパターンに基づく各信号を、前記所定の外部装置に対してそれぞれ出力する出力ドライバと、前記出力ドライバに電源供給するレギュレータと、補償電流を生成する電流補償回路と、備え、前記テストパターンごとに、前記レギュレータの出力電圧を測定し、該測定した出力電圧間の差分値が判定基準値以下となるように、前記補償電流の値を調整する。
【0012】
ここで、前記差分値に基づいて電流コードの値を決定する制御回路をさらに備え、前記電流補償回路は、前記テストパターンごとに電流制御信号を生成し、該電流制御信号を前記電流コードの値に応じて変更することで前記補償電流の値を調整し得る。
【0013】
また、前記出力ドライバが、前記テストパターン毎に、それに基づく信号を出力している期間にわたる前記レギュレータの出力電圧の平均値を求めるローパスフィルタと、2つの前記平均値の差分を求めることで前記差分値を算出し、該差分値と前記判定基準値とを比較する比較回路と、をさらに備え、前記制御回路は、前記比較回路にて、前記差分値が前記判定基準値を上回る場合に、前記電流コードの値を変更し得る。
【0014】
また、前記テストパターンを所定クロック分遅延させて遅延テストパターンを生成する遅延回路をさらに備え、前記電流補償回路は、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとに基づき前記電流制御信号を生成し、前記出力ドライバは、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとに基づき前記所定の外部装置に対して出力する信号を生成し得る。
【0015】
また、前記電流補償回路は、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとの排他的論理和の否定を求めることで前記電流制御信号を生成し得る。
【0016】
また、前記テストパターンを所定クロック分遅延させて遅延テストパターンを生成する遅延回路をさらに備え、前記遅延回路は、遅延クロック数が異なる複数の前記遅延テストパターンを生成し、前記電流補償回路は、前記テストパターンと複数の前記遅延テストパターンとに基づき前記電流制御信号を生成し、前記出力ドライバは、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとに基づき前記所定の外部装置に対し出力する信号を生成し得る。
【0017】
また、前記テストパターンを所定クロック分遅延させて遅延テストパターンを生成する遅延回路をさらに備え、前記電流補償回路は、前記テストパターン、前記遅延テストパターン、及び任意に論理遷移が行われる任意パターンに基づき前記電流制御信号を生成し、前記出力ドライバは、前記テストパターンと前記遅延テストパターンとに基づき前記所定の外部装置に対し出力する信号を生成し得る。
【0018】
また、前記出力ドライバ及び前記電流補償回路がそれぞれ受け取る前記テストパターン及び前記遅延テストパターンの遅延量を調整する遅延調整回路、をさらに備え、前記遅延調整回路は、前記出力ドライバ及び前記電流補償回路の内部処理速度の違いを補正するように、前記テストパターン及び前記遅延テストパターンの遅延量を調整し得る。
【0019】
また、ある観点に従う発明は、所定の外部装置に対し、論理遷移を伴う所定のパターンに基づく信号を出力する信号生成装置である。かかる信号生成装置は、テストパターンに基づく信号を、前記所定の外部装置に対して出力する出力ドライバと、前記出力ドライバに電源供給するレギュレータと、補償電流を生成する電流補償回路と、を備え、前記レギュレータの出力電圧を測定し、該測定した出力電圧の値と所定の参照電圧の値との差分値が判定基準以下となるように、前記補償電流の値を調整する。
【0020】
また、ある観点に従う発明は、所定の外部装置に対し、論理遷移を伴う所定のパターンに基づく信号を出力ドライバから出力する信号生成装置において、前記出力ドライバに電源供給するレギュレータの出力電圧の変動抑制方法である。かかる変動抑制方法は、前記論理遷移の頻度の異なる少なくとも2つのテストパターンに基づく各信号を、前記出力ドライバから前記所定の外部装置に対しそれぞれ出力し、前記テストパターンごとに、前記レギュレータの出力電圧を測定する測定ステップと、前記測定ステップにて測定した出力電圧間の差分値が判定基準値以下となるように、電流補償回路にて生成する補償電流の値を調整する調整ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、信号生成装置、及びレギュレータの出力電圧の変動抑制方法は、レギュレータの出力電圧の変動を抑制できる。
【0022】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0025】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように、信号生成装置1は、例えば、制御回路10と、パターン保持回路11と、セレクタ12と、遅延回路13と、レギュレータ14と、出力ドライバ15と、電流補償回路16と、ローパスフィルタ17と、比較回路18とを含み構成される。信号生成装置1は、複数の内部回路100[1],・・・,100[n]を接続し、これらに対して電流を供給し得る。
【0026】
制御回路10は、例えば、図示しないマイクロプロセッサ、メモリ等を含み構成され、信号生成装置1全体の制御を行う。具体的には、制御回路10は、第1制御信号CS1及び第2制御信号CS2を出力すると共に、第3制御信号CS3、第4制御信号CS4、及び第5制御信号CS5を受け取る。また、電流コードCCを生成して、これを電流補償回路16に出力する。
【0027】
第1制御信号CS1は、信号生成装置1が通常動作モード又はキャリブレーションモードのいずれかのモードで動作するように制御するための信号であり、制御回路10からセレクタ12及び比較回路18に出力される。第2制御信号CS2は、所定のテストパターンTPを選択するための信号であり、制御回路10からパターン保持回路11に出力される。第3制御信号CS3、第4制御信号CS4及び第5制御信号CS5は、比較回路18から制御回路10に所定の通知を行うための信号である。なお、電流コードCCの詳細は後述する。
【0028】
パターン保持回路11は、複数の異なるテストパターンTPを保持しており、制御回路10からの第2制御信号CS2に基づき、一のテストパターンTPをセレクタ12に出力する。本例では、パターン保持回路11は、テストパターンTP(a)及びTP(b)を保持している。パターン保持回路11は、任意のテストパターンTPを保持できるように構成されており、例えば、クロックパターン、固定論理パターン、及び擬似ランダムパターン等をテストパターンTPとして保持できる。
【0029】
セレクタ12は、制御回路10からの第1制御信号CS1に基づいて、パターン保持回路11から受け取る所定のテストパターンTP及び外部から受け取るランダムパターンRPのいずれか一方を選択し、遅延回路13に出力する。
【0030】
遅延回路13は、セレクタ12から受け取った所定のテストパターンTP又はランダムパターンRPを、N(Nは、任意の整数)クロック分遅延させたデータを生成し、出力する。具体的には、遅延回路13は、セレクタ12から受け取った所定のテストパターンTP又はランダムパターンRPを、パラレルデータからシリアルデータSDに変換した後、該シリアルデータSDを、N(Nは、任意の整数)クロック分遅延させた遅延シリアルデータSD(N)を生成する。遅延回路13は、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)を、出力ドライバ15及び電流補償回路16に出力する。なお、遅延回路13は、遅延クロック数の異なる複数の遅延シリアルデータSD(N)を生成し、出力するように構成し得る。
【0031】
レギュレータ14は、受け取った参照電圧Vrefに基づく電圧を生成し、該生成した電圧を出力ドライバ15、内部回路100及び電流補償回路16に供給する。また、レギュレータ14はローパスフィルタ17に対して、生成した電圧を出力する。
【0032】
出力ドライバ15は、レギュレータ14から供給される電圧に基づいて駆動し、遅延回路13から受け取ったシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に基づき、エンファシス処理されたシリアルデータを生成し、図示しない外部装置に出力する。出力ドライバ15は、遅延回路13から受け取ったシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に応じて、レギュレータ14から引き込むドライバ電流Idが変化する電圧モードのドライバであり得る。
【0033】
電流補償回路16は、レギュレータ14からの電源供給により駆動し、遅延回路13から受け取ったシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)と制御回路10から受け取った電流コードCCとに基づき、補償電流Icを生成する。なお、電流補償回路16の詳細は後述する。
【0034】
ローパスフィルタ17は、例えば、図示しないコンデンサを含み構成されて、レギュレータ14の出力電圧を積分して、平均化した値を比較回路18に出力する。
【0035】
比較回路18は、ローパスフィルタ17から、第1の期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値と第2の期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値とを受け取り、比較する。例えば、第1の期間は、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(a)に基づく処理を行うための期間であり、第2の期間は、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(b)に基づく処理を行うための期間である。
【0036】
具体的には、まず、比較回路18は、キャリブレーションモードを選択する第1制御信号CS1を受け取った後、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(a)に基づく処理を行っている期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値を、ローパスフィルタ17から受け取り、デジタル化して第1電圧コードとして、保存部18aに保存する。比較回路18は、第1電圧コードの保存完了後、第3制御信号CS3を生成して制御回路10に出力する。これにより、制御回路10は、テストパターンTP(b)を選択する第2制御信号CS2を生成し、パターン保持回路11に出力する。
【0037】
次に、比較回路18は、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(b)に基づく処理を行っている期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値を、ローパスフィルタ17から受け取り、デジタル化して第2電圧コードとする。そして、比較回路18は、第1電圧コードと第2電圧コードの差分値αを求め、該差分値αを判定基準値eと比較する。比較回路18は、差分値αが判定基準値e以上である場合、第4制御信号CS4を生成して制御回路10に出力する。判定基準値eは、通常動作モードにおいて、レギュレータ14の出力電圧の変動を抑制できる差分値αの上限値である。これにより、制御回路10は、電流コードCCを変更し、電流補償回路16に出力する。一方、比較回路18は、差分値αが判定基準値e未満である場合、第5制御信号CS5を生成し制御回路10に出力する。これにより、制御回路10は、通常動作モードを選択する第1制御信号CS1を生成し、セレクタ12及び比較回路18に出力する。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置の電流補償回路を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように、電流補償回路16は、例えば、電流制御信号生成回路161と、複数のトランジスタ162と、複数のスイッチ163とを含み構成される。
【0039】
電流制御信号生成回路161は、遅延回路13からのシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に基づき、電流制御信号CCSを生成する。なお、電流制御信号生成回路161の詳細は後述する。
【0040】
複数のトランジスタ162は、例えばNMOSFETであり、電流制御信号生成回路161との間で多段式の負荷電流調整のための並列可変抵抗を構成する。すなわち、複数のトランジスタ162は、動作する個数に応じて、電流制御信号生成回路161で生成した電流制御信号CCSに従い、レギュレータ14からトランジスタ162に引き込むように流れる補償電流Icを生成する。
【0041】
各スイッチ163は、電流制御信号生成回路161と、各トランジスタ162のゲート端子との間に配置され、制御回路10からの電流コードCCによりオン/オフ制御される。
【0042】
電流コードCCは、その値に応じて、上述のように各スイッチ163を個別にオン/オフ制御する。すなわち、電流コードCCは、その値に応じて、動作するトランジスタ162の個数を定めるコードである。
【0043】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る信号生成装置の電流制御信号生成回路を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように、電流制御信号生成回路161は、例えば、論理回路161aを含み構成される。また、遅延シリアルデータSD(N)は、N=1とし、1クロック分遅延したデータとする。
【0044】
論理回路161aは、例えば、シリアルデータSDと遅延シリアルデータSD(1)とを受け取り、それらの排他的論理和の否定を演算し、その演算結果を電流制御信号CCSとして出力する。例えば、
図3Bに示すように、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(1)の論理遷移が行われる場合、論理回路161aは、同図に示すような電流制御信号CCSを出力する。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置のテストパターンと電流制御信号の関係について説明するタイミングチャートである。同図においては、テストパターンTP(a)及び(b)のそれぞれについて、遅延回路13で生成されるシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(1)、並びに電流制御信号生成回路161で生成される電流制御信号CCSを示している。
【0046】
同図に示すように、テストパターンTP(a)に基づく、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(1)は、1クロック毎に論理遷移が行われる。そして、電流制御信号CCSは、常に“L”を示す信号となる。
【0047】
一方、テストパターンTP(b)に基づく、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(1)は、4クロック毎に論理遷移が行われる。そして、電流制御信号CCSは、4クロック毎に“L”を示し、それ以外は“H”を示す信号となる。
【0048】
なお、テストパターンTP(a)は論理遷移が多い場合のレギュレータ14の出力電圧変動をテストするためのパターンであり、テストパターンTP(b)は論理遷移が少ない場合のレギュレータ14の出力電圧変動をテストするパターンである。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態に係るレギュレータの出力電圧の変動抑制方法を説明するフローチャートである。かかるレギュレータの出力電圧の変動抑制方法は、信号生成装置1のキャリブレーションにおいて実行される。
【0050】
同図に示すように、制御回路10は、信号生成装置1の起動後、キャリブレーションモードを選択する第1制御信号CS1をセレクタ12及び比較回路18に出力すると共に、初期値に設定した電流コードCCを電流補償回路16に出力する(S501)。これにより、セレクタ12は、パターン保持回路11から出力されるテストパターンTP(a)又はTP(b)を選択して、遅延回路13に出力することが可能となる。比較回路18は、レギュレータ14の平均化された出力電圧の値を、ローパスフィルタ17から受け取ることが可能となる。電流補償回路16は、初期値である電流コードCCに対応して、動作するトランジスタ162の個数を設定される。
【0051】
続いて、制御回路10は、テストパターンTP(a)を選択する第2制御信号CS2を生成し、パターン保持回路11に出力する(S502)。これにより、パターン保持回路11はテストパターンTP(a)を出力する。遅延回路13は、セレクタ12を介して受け取ったテストパターンTP(a)をパラレルデータからシリアルデータに変換することで生成したシリアルデータSDと、該シリアルデータSDをNクロック分遅延させることで生成した遅延シリアルデータSD(N)とを、出力ドライバ15及び電流補償回路16に出力する。出力ドライバ15は、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に基づき信号を生成して図示しない外部装置に出力する。一方、電流補償回路16は、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に基づき電流制御信号CCSを生成し、該電流制御信号CCSに従い、電流コードCCに従って接続しているトランジスタ162の個数に応じて、補償電流Icを生成する。なお、テストパターンTP(a)に基づく電流制御信号CCSは、
図4を用いて説明したように、常に“L”となり得る。この場合、電流制御信号CCSの値が0となるので、補償電流Icの値は0となり得る。
【0052】
続いて、比較回路18は、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(a)に基づく処理を行っている期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値を、ローパスフィルタ17から受け取り、デジタル化して第1電圧コードとして、保存部18aに保存する(S503)。比較回路18は、第1電圧コードの保存完了後、第3制御信号CS3を生成して制御回路10に出力する(S504)。
【0053】
制御回路10は、第3制御信号CS3を受け取ることで、テストパターンTP(b)を選択する第2制御信号CS2を生成し、パターン保持回路11に出力する(S505)。これにより、パターン保持回路11はテストパターンTP(b)を出力するので、遅延回路13、出力ドライバ15、及び電流補償回路16は、上述と同様の処理をテストパターンTP(b)に基づき行う。
【0054】
続いて、比較回路18は、出力ドライバ15及び電流補償回路16がテストパターンTP(b)に基づく処理を行っている期間にわたるレギュレータ14の出力電圧の平均値を、ローパスフィルタ17から受け取り、デジタル化して第2電圧コードとする(S506)。そして、比較回路18は、第1電圧コードと第2電圧コードとの差分値αを求める(S507)。
【0055】
続いて、比較回路18は、差分値αが、判定基準値eより小さいか否かを判断する(S508)。差分値αが判定基準値e以上である場合(S508でNo)、比較回路18は、第4制御信号CS4を生成して制御回路10に出力する(S509)。制御回路10は、第4制御信号CS4を受け取ることで、制御回路10は電流コードCCの値を変更する(S510)。これにより、動作するトランジスタ162の個数が変更されるので、テストパターンTP(b)に基づき電流補償回路16が生成する補償電流Icの値は変更される。
【0056】
一方、S507で求めた差分値αが、判定基準値e未満である場合(S508でYes)、比較回路18は、第5制御信号CS5を生成して制御回路10に出力する(S511)。制御回路10は、第5制御信号CS5を受け取ることで、現時点の電流コードCCの値を保存する(S512)。以上で、信号生成装置1のキャリブレーションが終了する。その後、制御回路10は、通常動作モードを選択する第1制御信号CS1をセレクタ12及び比較回路18に出力すると共に、S512で保存した値の電流コードCCを電流補償回路16に出力する。これにより、信号生成装置1は、レギュレータ14で生じる出力電圧の変動を抑制された状態で、通常動作モードで動作する。
【0057】
図6は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置におけるキャリブレーションの効果を確認するため行ったシミュレーションの結果を示す図である。具体的には、信号生成装置1を通常動作モードにて動作させた際のレギュレータ14の出力電力の変動を評価するものである。同図において、実線61は、事前に信号生成装置1のキャリブレーションを実行した場合のシミュレーション結果を示し、実線62は、事前に信号生成装置1のキャリブレーションを実行しなかった場合のシミュレーション結果を示す。
【0058】
同図から明らかであるように、レギュレータ14の出力電圧の変動は、事前に信号生成装置1のキャリブレーションを実行することにより大幅に抑制される。
【0059】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように、信号生成装置2は、上述した信号生成装置1と異なり、比較回路18が、テストパターンTP(a)に基づくレギュレータ14の出力電圧の平均値を受け取ることに換えて、参照電圧Vrefを受け取る。比較回路18は、該参照電圧Vrefの値をデジタル化して第1電圧コードとし、第2電圧コードとの比較を行う。
【0060】
信号生成装置2は、保存部18aが不要となると共に、テストパターンTP(a)を使用する必要がなくなるので、キャリブレーションに係る構成及びその動作を簡素化できるメリットがある。
【0061】
なお、信号生成装置2は、比較回路18が、参照電圧Vrefに換えて、所定の値を有する電圧を受け取るように構成し得る。
【0062】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の一実施形態に係る信号生成装置を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように、信号生成装置3は、上述した信号生成装置1に対し、遅延調整回路31a、及び遅延調整回路31bが追加される。
【0063】
遅延調整回路31aは、遅延回路13からシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)を受け取り、それらを所定クロック分遅らせ、出力ドライバ15に出力する。遅延調整回路31bは、遅延回路13からシリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)を受け取り、それらを所定クロック分遅らせ、電流補償回路16に出力する。
【0064】
信号生成装置3では、遅延調整回路31a及び31bを用いることで、出力ドライバ15と電流補償回路16との間での内部処理速度の違いを補正する。具体的には、信号生成装置3では、出力ドライバ15と電流補償回路16との間での内部処理速度の違いに応じて、遅延調整回路31a及び31bが、シリアルデータSD及び遅延シリアルデータSD(N)に付加する遅延量を調整する。これにより、信号生成装置3は、補償電流Icをより適切なタイミングで生成できるので、レギュレータ14の出力電圧の変動をより確実に抑制できる。
【0065】
[第4の実施形態]
図9Aは、本発明の一実施形態に係る信号生成装置の電流制御信号生成回路を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように電流制御信号生成回路961は、例えば、論理回路961a,961b,961c,及び961dにより構成され、
図2に示す電流制御信号生成回路161に換わり使用される。
【0066】
論理回路961a,961b,及び961cは、受け取った2つのデータの排他的論理和の否定を演算し、論理回路961dへ出力する。具体的な例として、各々、1、2,3クロック遅延したデータで説明する。論理回路961aは、シリアルデータSDと遅延シリアルデータSD(1)とを受け取り、論理回路961bは、遅延シリアルデータSD(1)と遅延シリアルデータSD(2)とを受け取り、論理回路961cは、遅延シリアルデータSD(2)と遅延シリアルデータSD(3)とを受け取る。
【0067】
論理回路961dは、論理回路961a,961b,及び961cから受け取ったデータの論理積を演算する。論理回路961dは、該演算の結果を電流制御信号CCSとして出力する。
【0068】
例えば、
図9Bに示すようなシリアルデータSD、遅延シリアルデータSD(1),SD(2),及びSD(3)の論理遷移が行われる場合、論理回路961a,961b,961c、及び961dの出力は、同図に示すようになる。
【0069】
電流制御信号生成回路961は、上述の構成を有することで、通常動作モードで動作する信号生成装置1において、論理遷移がない状態が続くランダムパターンRPに基づき図示しない外部装置に信号を出力する際、補償電流Icの生成タイミングや平均電流をより適正化できる。したがって、電流制御信号生成回路961を使用する信号生成装置1は、レギュレータ14の出力の変動をより高精度に抑制できる。
【0070】
なお、電流制御信号生成回路961は、受け取った2つのデータの排他的論理和の否定を演算する論理回路をより多数備え、それらから出力されるデータの論理積を論理回路961dにて演算するように構成し得る。例えば、電流制御信号生成回路961が、受け取った2つのデータの排他的論理和の否定を演算する論理回路をn個備える場合において、1個目の論理回路はシリアルデータSDと遅延シリアルデータSD(1)とを受け取り、2個目の論理回路は遅延シリアルデータSD(1)と遅延シリアルデータSD(2)とを受け取るように構成される。以降も同様であり、n個目の論理回路は、遅延シリアルデータSD(n−1)と遅延シリアルデータSD(n)とを受け取るように構成される。
【0071】
[第5の実施形態]
図10Aは、本発明の一実施形態に係る信号生成装置の電流制御信号生成回路を説明するためのブロックダイアグラムである。同図に示すように電流制御信号生成回路1061は、例えば、論理回路1061aと、セレクタ1061bとにより構成され、
図2に示す電流制御信号生成回路161に換わり使用される。
【0072】
論理回路1061aは、シリアルデータSDと、遅延シリアルデータSD(1)とを受け取り、それらの排他的論理和の否定を演算し、セレクタ1061bに出力する。
【0073】
セレクタ1061bは、一方の入力端子から任意パターンPを受け取り、他方の入力端子を接地される。セレクタ1061bは、論理回路1061aからの出力に基づき、それらのいずれかを選択して、電流制御信号CCSとして出力する。
【0074】
例えば、
図10Bに示すようなシリアルデータSD、遅延シリアルデータSD(1)の論理遷移が行われており、かつ、セレクタ1061bの一方の入力端子に同図に示すような1クロック毎に論理が遷移する任意パターンPが入力されている場合、論理回路1061a及びセレクタ1061bの出力は、同図に示すようになる。
【0075】
電流制御信号生成回路1061は、上述の構成を有することで、任意パターンPに応じて、電流制御信号CCSを変化させる。このため、電流制御信号生成回路1061は、通常動作モードの信号生成装置1におけるランダムパターンRPに対応した任意パターンPを設定することで、補償電流Icの精度を向上できる。したがって、電流制御信号生成回路1061を使用する信号生成装置1では、レギュレータ14の出力の変動をより高精度に抑制できる。
【0076】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0077】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0078】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。