【文献】
三木 裕子,月経と糖尿病管理,COMPLICATION-糖尿病と血管,日本,メディカルレビュー社,2002年 5月,Vol.7 No.1,P.54-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算部は、前記高温相期間の血糖値の平均値を算出すると共に、前記低温相期間の血糖値の平均値を算出し、前記高温相期間の血糖値の平均値と前記低温相期間の血糖値の平均値に基づいて前記表示部に前記高温相プロファイルに設定するか否かの判断を促す情報を表示させる
請求項2に記載の薬液投与装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の薬液投与装置及び画像表示プログラムの実施の形態例について、
図1〜
図16を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
1.薬液投与システムの構成例
まず、
図1を参照して、薬液投与装置を有する薬液投与システムの実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成例について説明する。
図1は、薬液投与システムを示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、薬液投与システム1は、薬液投与装置を示すインスリンポンプ10と、使用者の血糖値を測定する血糖計100と、使用者の基礎体温を測定する基礎体温計200とを有している。また、血糖計100及び基礎体温計200とインスリンポンプ10は、例えば無線又は有線のネットワーク3(LAN(Local Area Network)、インターネット、専用線等)を介して接続される。
【0014】
インスリンポンプ10は、パッチ式や、チューブ式のインスリンポンプ、さらにその他の携帯型の薬液投与装置のように、患者の体内に持続的に薬液投与を行うための携帯型のインスリンポンプに広く適用されるものである。インスリンポンプ10は、電源部11と、駆動部12と、操作部13と、表示部14と、出力部15と、通信部16と、演算部17と、記憶部18と、日時管理部19とを有している。
【0015】
電源部11は、インスリンポンプ10を構成する各構成要素に電力を供給するためのものである。電源部11としては、例えば電池及びこれを収納する電池ボックス、さらには電池からの電力の供給をオン/オフするスイッチ等で構成されている。
【0016】
駆動部12は、投与する薬液(インスリン)を収容するシリンジと、シリンジ内において摺動される押し子と、押し子を移動させるためのモータ及び駆動機構等で構成されている。駆動部12の駆動は、演算部17により制御される。
【0017】
情報取得部の一例を示す操作部13は、電源部11のオン/オフ操作、駆動部12の動作設定や、表示部14に表示される表示内容の選択等を行う。また、使用者が操作部13を操作することにより、血糖計100及び基礎体温計200が測定した情報を記憶部18や、演算部17等に入力することをもできる
【0018】
表示部14は、操作部13によって設定された薬液を投与するための投与パターンの設定や、血糖計100及び基礎体温計200が測定した情報、操作部13によって入力された入力内容等が表示される。表示部14に表示される表示例については、後述する。そして、表示部14としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0019】
出力部15は、インスリンポンプ10に誤作動が生じた場合に演算部17からの指示により駆動し、警報Wを出力する。この出力部15が出力する警報Wとしては、例えば振動や音などを単独で発してもよく、または振動や音などを併用して発するようにしてもよい。また、出力部15が警報Wを出力する際に、表示部14に警報Wの内容を表示させるようにしてもよい。
【0020】
情報取得部の一例を示す通信部16は、ネットワーク3を介して血糖計100及び基礎体温計200で測定した情報を受信する。通信部16が受信する情報としては、血糖計100によって測定した血糖値データ及び基礎体温計200によって測定した基礎体温データである。そして、通信部16が受信した情報は、演算部17に出力されると共に、記憶部18に格納される。
【0021】
演算部17は、駆動部12、操作部13、表示部14、出力部15、通信部16、記憶部18や日時管理部19等の各種装置を制御するプログラムが実装されている。そして、演算部17は、そのプログラムに基づいてインスリンポンプ10の各種動作を制御する。また、演算部17には、通信部16が受信した情報や、操作部13によって入力された情報が、通信部16または操作部13から送信される。そして、演算部17は、通信部16または操作部13から送信された情報を記憶部18に格納する。また、演算部17は、記憶部18に格納した情報に基づいて、表示部14に所定の情報を表示させる。
【0022】
さらに、演算部17は、記憶部18に記憶されたインスリンの投与パターンを示す投与プロファイルに基づいて、駆動部12を駆動させる。これにより、使用者には、所定の投与プロファイルに基づいた量のインスリンが投与される。演算部17は、例えばここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えたものである。ROM(Read Only Memory)は、後述する記憶部18であってもよい。
【0023】
記憶部18は、各種のデータを記憶する部分である。記憶部18には、通常時の投与に用いられる投与パターンである通常プロファイル、基礎体温が高温相時に設定される投与パターンである高温相プロファイルや発熱時に設定される投与パターンである発熱プロファイルが記憶されている。通常プロファイル、高温相プロファイル及び発熱プロファイルの詳細な説明については後述する。
【0024】
また、記憶部18には、通信部16が受信した情報や、操作部13によって入力された情報が格納される。通信部16が受信した情報や、操作部13によって入力された情報としては、血糖計100によって測定した血糖値データ及び基礎体温計200によって測定した基礎体温データである。また、記憶部18は、血糖値データ及び基礎体温データを、後述する日時管理部19から出力された日時情報と対応させて格納する。
【0025】
さらに、記憶部18には、少なくとも低温相が開始してから高温相が終了するまでの一つの生理周期分(例えば、30日分)の基礎体温データが格納可能に構成されている。低温相は、生理開始から次の排卵日までのエストロゲン量が増加し、基礎体温が基準体温よりも低い期間である。そして、高温相は、排卵日から次の生理までの、排卵して黄体ホルモンが増加し、基礎体温が基準体温よりも高い期間である。そして、生理の一周期は、低温相と高温相の二つの相に分かれている。
【0026】
記憶部18において、血糖値データ及び基礎体温データと、取得した日時情報を対応させて格納されることで、演算部17は、表示部14に血糖値データ及び基礎体温データと、データを取得した日時情報を表示させることができる。
【0027】
図2は、表示部14に表示される表示例を示すものである。
図2に示す表示例では、血糖値データと、基礎体温データと、これらの取得日を表示したものである。この表示例は、インスリンポンプ10の表示部14に表示されるものに限定されず、外部の携帯情報処理端末や、PC(パーソナルコンピュータ)の表示部に表示してもよい。
【0028】
図2に示すように、生理の一周期分の血糖値データと基礎体温データを取得日と共に一緒に表示させることで、インスリンと女性ホルモンとの感受性を判定することができる。また、演算部17は、高温相時の血糖値の平均値と低温相時の血糖値の平均値を算出し、算出した平均値を表示させてもよい。
【0029】
日時管理部19は、日時管理を行うためのプログラム部分であり、一般的なマイコンに搭載されているものであって良く、演算部17からの指令に基づいて日時情報を出力する。この日時管理部19は、電源がオフの状態であっても電力が供給されることにより、正確な日時情報を出力する。
【0030】
ここで、上述した構成を有するインスリンポンプ10によって、使用者にインスリンを投与するパターンを示す投与プロファイルについて
図3〜
図7を参照して説明する。
図3は、通常時のベーサル投与のパターンを示す通常プロファイルであり、
図4は、高温相時のベーサル投与のパターンを示す高温相プロファイルの一例を示すものである。また、
図5は、高温相プロファイルの他の例を示すものである。
【0031】
図3〜
図5に示す投与パターンは、縦軸にインスリンの投与量を表す単位を示し、横軸に時間を示している。
【0032】
図3に示す通常プロファイルの投与パターンS1は、一日(24時間)かけて使用者に投与するベーサル投与のパターンを示している。そして、通常時では、演算部17は、
図3に示す通常プロファイルに基づいて薬液を投与する。
【0033】
また、基礎体温が基準体温よりも高い高温相時は、インスリンの効きが通常時よりも悪くなる場合がある。そのため、高温相時のインスリンの効きが通常時よりも悪い場合は、ベーサル量を増やすことが好ましい。
【0034】
そのため、
図4に示す高温相プロファイルの投与パターンS2は、通常プロファイルの投与パターンS1に対してインスリンの投与量を全体的に所定の%増加したものである。また、
図5に示す高温相プロファイルの投与パターンS3は、通常プロファイルの投与パターンS1に対して特定の時間の投与量を増加させたものである。
【0035】
図6及び
図7は、平熱時と発熱時におけるインスリンの投与量の例を示したものである。
図6は、平熱時の投与パターンを示すものであり、
図7は、発熱時の投与パターンを示す発熱プロファイルである。
図6及び
図7に示す投与パターンは、
図3〜
図5と同様に、縦軸にインスリンの投与量を表す単位を示し、横軸に時間を示している。
【0036】
図6に示すように、平熱時の投与パターンでは、通常プロファイルの投与パターンS1(ベーサル量)に、3食分のボーラス投与U1、すなわち3回のボーラス投与U1が使用者の指示により追加されている。また、発熱時には、食事量が減るため、ボーラス投与U1の量が減るおそれがある。しかしながら、一日の投与量が過度に減少すると、使用者の体調に悪影響を与えるおそれがある。
【0037】
図7の発熱プロファイルでは、発熱プロファイルに設定される前に、朝と昼の食事を取らなかったため、ボーラス投与U1が2回なかった場合を示している。発熱プロファイルが設定された場合、設定された現在の時間からベーサル投与である投与パターンS4を通常の投与パターン1よりも増加させている。これにより、ボーラス投与U1の量が減ることで、一日の投与量が過度に減少することを防ぐことができる。
【0038】
次に、
図1に戻り血糖計100について説明する。
血糖計100は、測定部101と、操作部102と、表示部103と、データ通信部104と、記憶部105等を有している。測定部101は、使用者の血糖値を測定する部分である。測定部101は、例えば血液中のグルコースによって変色する試験紙の光学反射率の変化を検出する。そして、測定部101は、検出した情報に基づいて血糖値を測定する。測定部101によって測定した血糖値データは、表示部103、データ通信部104や記憶部105に出力される。なお、血糖値データには、その血糖値を測定した日時情報が含まれる。
【0039】
操作部102は、電源のオンオフ操作、測定部101の測定操作、表示部103に表示された表示内容の選択操作等を行う部分である。
【0040】
表示部103は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成されている。表示部103には、測定部101が測定した血糖値データや、操作部102を介して入力された使用者の年齢や性別等の各種個人データ等が表示される。
【0041】
データ通信部104には、測定部101が測定した血糖値データが送信される。データ通信部104は、ネットワーク3を介してインスリンポンプ10の通信部16に血糖値データを送信する。
【0042】
記憶部105は、各種のデータを記憶する部分である。記憶部105には、測定部101が測定した血糖値データや、操作部102を介して入力された各種データが送信される。そして、記憶部105は、受信した血糖値データや各種データを記憶する。また、記憶部105は、血糖値データを測定した日時と対応させて記憶する。
【0043】
次に、基礎体温計200について説明する。
基礎体温計200は、例えば使用者が起床時における安静な状態にあるときの体温を計測するものであり、例えば生理や排卵周期などの女性ホルモンの影響を確認するために用いられる。基礎体温計200は、測定部201と、操作部202と、表示部203と、データ通信部204と、記憶部205等を有している。
【0044】
測定部201は、使用者の舌下に挿入され、使用者の基礎体温を測定するための部分である。測定部201によって測定した基礎体温データは、表示部203、データ通信部204や記憶部205に出力される。なお、基礎体温データには、その基礎体温を測定した日時情報が含まれる。
【0045】
操作部202は、電源のオンオフ操作、測定部201の測定操作、表示部203に表示された表示内容の選択操作等を行う部分である。
【0046】
表示部203は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成されている。表示部203には、測定部201が測定した基礎体温データや、操作部202を介して入力された使用者の年齢等の各種個人データ等が表示される。
【0047】
データ通信部204には、測定部201が測定した基礎体温データが送信される。データ通信部204は、ネットワーク3を介してインスリンポンプ10の通信部16に基礎体温データを送信する。
【0048】
記憶部205は、各種のデータを記憶する部分である。記憶部205には、測定部201が測定した基礎体温データや、操作部202を介して入力された各種データが送信される。そして、記憶部205は、受信した基礎体温データや各種データを記憶する。また、記憶部205は、基礎体温データを測定した日時と対応させて記憶する。
【0049】
なお、本例では、血糖計100及び基礎体温計200が測定した情報を、ネットワーク3を介して送信する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、血糖計100及び基礎体温計200で測定した情報を使用者が、インスリンポンプ10の操作部13を介してインスリンポンプ10に入力してもよい。この場合、インスリンポンプ10、血糖計100及び基礎体温計200に通信部16やデータ通信部104,204を設けなくてもよい。
【0050】
あるいは、インスリンポンプ10に赤外線受信部を設け、血糖計100及び基礎体温計200に赤外線送信部を設けてもよい。そして、赤外線通信によって、血糖計100及び基礎体温計200で測定した情報をインスリンポンプ10に送信してもよい。さらに、RFID(Radio frequency Identification)によって血糖計100及び基礎体温計200で測定した情報をインスリンポンプ10に送信してもよい。
【0051】
また、インスリンポンプ10としては、使用者の皮膚に装着される本体部と、本体部とは別体に設けられて使用者が携帯するコントローラから構成してもよい。この場合、本体部には、駆動部12と、駆動部12を制御する本体部側演算部及び本体部側通信部が設けられる。また、コントローラには、操作部13、表示部14、記憶部18、日時管理部19と、これらを制御するコントローラ側演算部及びコントローラ側通信部が設けられる。そして、本体部及びコントローラのそれぞれに設けられた通信部により情報が相互に通信される。
【0052】
2.インスリンポンプの動作例
2−1.第1の動作例
次に、上述した構成を有するインスリンポンプ10の第1の動作例について
図8〜
図14を参照して説明する。
図8は、インスリンポンプ10の動作例を示すフローチャートである。なお、
図8に示す処理フローは、インスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローである。また、本例のフローを開始する日は、低温相の初日から行われるものである。
【0053】
図8に示すように、まずインスリンポンプ10は、通信部16がネットワーク3を介して受信した基礎体温データと血糖値データを取得する(ステップS11)。血糖値データは、血糖計100が測定したデータであり、基礎体温データは、基礎体温計200が測定したデータである。なお、基礎体温データは、使用者が起床時における安静な状態で測定した体温が用いられる。また、血糖値データは、日常活動や食事の影響が同じ状況で測定することが望ましい。例えば、使用者が食事前に測定した血糖値や、1日の内で複数回測定した平均の血糖値が用いられる。
【0054】
また、ステップS11において、演算部17は、日時管理部19から出力された日時情報に基づいて、取得した血糖値データと基礎体温データの日時を設定する。そして、演算部17は、血糖値データ、基礎体温データ及びこれらのデータを取得した日時情報を記憶部18に格納する。
【0055】
次に、演算部17は、基礎体温データが所定の体温、本例では37.5℃を越えているか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12の処理において、演算部17は、基礎体温データが37.5℃を越えていると判断した場合(ステップS12のYES判定)、演算部17は、表示部14に発熱時設定画面を表示させる(ステップS13)。
【0056】
図9は、ステップS13の処理で表示部14に表示させる発熱時設定画面の表示例を示す。
図9に示すように、表示部14には、使用者に発熱している旨を報知する情報が表示されると共に、使用者にインスリンの投与パターンを
図6に示す通常プロファイルから
図7に示す発熱プロファイルに設定するか否かを判断させる情報が表示される。
【0057】
使用者または医師は、表示部14に表示された情報に基づいて、発熱プロファイルを設定するか否かを判断する。使用者または医師は、判断した結果を、操作部13を介してインスリンポンプ10に入力する。これにより、インスリンポンプ10による本日のインスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローが終了し、次の日には、ステップS11の処理に戻り、その日の基礎体温データと血糖値データを取得する。
【0058】
また、ステップS12の処理において、演算部17は、基礎体温データが37.5℃を越えていないと判断した場合(ステップS12のNO判定)、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続したか否かを判断する(ステップS14)。具体的には、演算部17は、記憶部18に格納されている前日までの基礎体温データを記憶部18から呼び出し、前日までの基礎体温データと、現在の基礎体温データに基づいて判断する。このように、ステップS11の処理において、基礎体温データを取得した日時情報と共に記憶部18に記憶させることで、前日までの基礎体温データと本日の基礎体温データとを比較することができる。
【0059】
ステップS14の処理において、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続したと判断した場合(ステップS14のYES判定)、演算部17は、本日の使用者の基礎体温は、高温相であると判断する(ステップS15)。また、演算部17は、本日の使用者の基礎体温だけでなく、前日の基礎体温も高温相であると判断してもよい。これにより、低温相から高温相に変化した日をより正確に推測することができる。
【0060】
次に、演算部17は、取得した基礎体温データと、記憶部18に格納されている前日までの基礎体温データに基づいて高温相が30日以上続いているか否かを判断する(ステップS16)。ステップS16の処理において、演算部17は高温相が30日以上続いていると判断した場合(ステップS16のYES判定)、演算部17は、表示部14に妊娠時設定画面を表示させる(ステップS17)。
【0061】
図10は、ステップS17の処理で表示部14に表示させる妊娠時設定画面の表示例を示す。
図10に示すように、高温相の期間が30日以上続いた場合、表示部14には、使用者に妊娠している可能性がある旨を報知する情報が表示される。また、表示部14には、使用者に婦人科の受診を勧める旨を表示する。そして、婦人科の受診により妊娠したと判断された場合、使用者は、操作部13を操作し、インスリンポンプ10に妊娠時の投与パターンである妊娠プロファイルを選択するか否か判断する。これにより、インスリンポンプ10による本日のインスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローが終了し、次の日には、ステップS11の処理に戻り、その日の基礎体温データと血糖値データを取得する。
【0062】
ここで、妊娠時は、通常時よりもインスリンの効きが良くなるため、妊娠プロファイルは、通常時のプロファイル(
図3参照)よりもベーサル量が少なく設定されている。
【0063】
また、ステップS16の処理において、演算部17は高温相が30日以上続いていないと判断した場合(ステップS16のNO判定)、演算部17は、本日の血糖値を高温相の血糖値に追加する(ステップS18)。すなわち、演算部17は、ステップS11で取得した血糖値データを高温相期間の血糖値として記憶部18に記憶させる。また、演算部17は、血糖値データを記憶部18に記憶させると共に、高温相期間の血糖値の平均値を算出する。そして、演算部17は、算出した平均値を記憶部18に格納する。
【0064】
ステップS18の処理が終了すると、インスリンポンプ10による本日のインスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローが終了する。また、次の日の測定へ移行(ステップS19)し、ステップS11の処理に戻る。
【0065】
なお、本例のインスリンポンプ10では、基礎体温が基準体温より高い日が3日以上連続した際に、その日が高温相であると判断したが、判断に用いる日数は、4日以上であってもよい。さらに、ステップS16において、高温相が30日以上続いた際に、妊娠の可能性があると判断したが、判断に用いる日数は、29日以上でもよく、31日以上でもよい。
【0066】
また、ステップS14の処理において、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続していないと判断した場合(ステップS14のNO判定)、演算部17は、本日の使用者の基礎体温は、低温相であると判断する(ステップS21)。
【0067】
次に、演算部17は、生理の一周期が終わったか否かを判断するために、記憶部18に格納された前日までの基礎体温データに基づいて、昨日まで高温相だったか否かを判断する(ステップS22)。ステップS22の処理において、演算部17は昨日まで使用者の基礎体温が高温相であったと判断した場合(ステップS22のYES判定)、演算部17は、低温相の血糖値の平均が高温相の血糖値の平均よりも低いか否かを判断する(ステップS23)。
【0068】
ステップS22の処理は、生理の一周期における低温相の初日であるかどうかを判断する処理である。そして、昨日まで使用者の基礎体温が高温相であり、かつ本日の基礎体温が低温相であった場合、本日が生理の一周期における低温相の初日であると判断することができる。さらに、記憶部18に、既に一周期分の基礎体温データと血糖値データが格納されている場合、生理の一周期が終了し、生理の周期が次の周期に移動したと判断できる。
【0069】
なお、本例では、ステップS14とステップS22の処理に基づいて低温相の初日を判断する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、演算部17は、使用者に生理日の初日であるか否かを入力させるように促し、使用者が生理日の初日であると入力した際に、演算部17は本日が低温相の初日であると判断してもよい。
【0070】
また、ステップS22の処理において、演算部17は昨日まで使用者の基礎体温が高温相ではないと判断した場合(ステップS22のNO判定)、演算部17は、本日の血糖値を低温相の血糖値に追加する(ステップS24)。すなわち、本日は、まだ生理の一周期が終了しておらず、生理の一周期の期間中であると判断できる。そして、演算部17は、ステップS11で取得した血糖値データを低温相期間の血糖値として記憶部18に記憶させる。なお、演算部17は、ステップS24の処理において本日の血糖値を記憶部18に記憶させると共に、低温相期間の血糖値の平均値を算出する。そして、演算部17は、算出した平均値を記憶部18に格納する。
【0071】
ステップS24の処理が終了すると、上述したステップS19の処理に移行し、ステップS11の処理に戻る。
【0072】
ステップS23の処理において、
図2に示すデータのように演算部17は低温相の血糖値の平均が高温相の血糖値の平均よりも低いと判断した場合(ステップS23のYES判定)、すなわち高温相でのインスリンの効きが悪い、すなわちインスリンに対して女性ホルモンの影響が強いと判断することができる。そのため、演算部17は、次の生理の一周期における高温相において高温相時設定画面を表示部14に表示させる(ステップS25)。
【0073】
図11は、ステップS23の処理で表示部14に表示させる表示例を示す。
図11に示すように、高温相の平均血糖値と低温相の平均血糖値を表示部14に表示させることで、使用者に高温相でのインスリンの効きの具合を認知させることができる。
【0074】
また、
図12は、表示部14に表示させる高温相時設定画面の表示例を示す。
図12に示すように、演算部17が高温相でのインスリンの効きが悪いと判断した場合、表示部14には、使用者に本日が高温相である旨の情報を表示させると共に、使用者にインスリンの投与パターンを、
図3に示す通常プロファイルから
図4または
図5に示す高温相プロファイルに設定するか否かを判断させる情報が表示される。
【0075】
使用者または医師は、表示部14に表示された情報に基づいて、高温相プロファイルを設定するか否かを判断する。そして、使用者または医師は、判断した結果を、操作部13を介してインスリンポンプ10に入力する。これにより、インスリンポンプ10による本日のインスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローが終了し、次の日には、ステップS11の処理に戻り、その日の基礎体温データと血糖値データを取得する。
【0076】
なお、生理の一周期分の基礎体温データと血糖値データを取得し、ステップS23の処理において高温相での血糖値の平均が低温相での血糖値の平均よりも高いと判断した場合、演算部17は、次の周期においてステップS16のNO判定時に
図12に示す表示例を表示部14に表示する。
【0077】
また、ステップS23の処理において、演算部17は低温相の血糖値の平均が高温相の血糖値の平均よりも低くないと判断した場合(ステップS23のNO判定)、すなわち高温相でのインスリンの効きが悪くない、インスリンに対して女性ホルモンの影響が弱いと判断できる。そのため、演算部17は、ステップS24の処理を行う。上述した処理を繰り返すことで、インスリンと女性ホルモンとの感受性の判定処理が行われる。
【0078】
演算部17は、ステップS23の処理で用いる低温相の血糖値の平均値と、高温相の血糖値の平均値を算出する際に、各相の最大血糖値と最小血糖値を削除してから、平均値を算出してもよい。これにより、血糖値の突発的な変動を除外することで、より正確なインスリンと女性ホルモンとの感受性の判定を行うことができる。
【0079】
上述したように、本例のインスリンポンプ10によれば、基礎体温データと血糖値データを取得し、これらのデータを取得した日時に基づいて、インスリンと女性ホルモンとの感受性の判定を行うことができる。さらに、基礎体温データを取得することで、本日が発熱しているか否かを判断することもできる。これにより、使用者に投与するインスリンの適正な量を設定することができる。
【0080】
また、
図8に示すフローのように演算部17によって高温相プロファイルの設定を促す高温相時設定画面を表示させるだけでなく、
図2に示す生理の一周期分の基礎体温データ及び血糖値データを表示部14や、PCや携帯情報端末の表示部に表示させてもよい。この表示画面を、使用者や医師に見せることで、使用者や医師が、インスリンと女性ホルモンとの感受性の判断を行うことができる。
【0081】
また、本例のインスリンポンプ10は、生理の一周期分の基礎体温データを取得することで、次の高温相の日を予測することができる。これにより、本例のインスリンポンプ10によれば、表示部14に
図13及び
図14に示すような表示例を表示させることもできる。
【0082】
図13に示す表示例では、基礎体温データを取得する前、または基礎体温データを取得した際に、本日が高温相である旨の情報を表示したものである。これにより、高温相時にインスリンの効きが悪い使用者等に対して、本日が高温相であることを報知することができる。
【0083】
また、
図14に示す表示例では、本日の日付T2だけでなく、基礎体温計200から受信した基礎体温データと、日時管理部19からの日時情報に基づいて、カレンダー画面に高温相期間T1に関する情報を表示したものである。また、演算部17は、生理の一周期分の基礎体温データに基づいて、次回生理日や次回排卵日を推測し、推測した情報をカレンダー画面に表示させてもよい。
【0084】
2−2.第2の動作例
次に、インスリンポンプ10の第2の動作例について
図15及び
図16を参照して説明する。
図15A及び
図15Bは、基礎体温Dtと血糖値Dmを示すグラフである。縦軸は、基礎体温と血糖値、横軸は測定日を示し、基礎体温Dtは、途中で低温相から高温相に変化しているところを模式的に表したものである。また、
図16は、インスリンポンプ10の動作例を示すフローチャートである。
【0085】
図15Aに示すように、血糖値Dmの値が基礎体温Dtの低温相時及び高温相時において、突発的に高い値が生じない場合、
図8に示すフローのように、インスリンの効きやすさを血糖値の平均値で判断することができる。しかしながら、
図15Bに示すように、血糖値Dmに突発的に高い値Dm1が発生すると、
図8に示すステップS23の処理で誤判定を行う可能性がある。
【0086】
図16に示す処理フローは、インスリンと女性ホルモンとの感受性を判定するフローである。この
図16に示す処理フローは、
図15Bに示すように、血糖値Dmに突発的に高い値Dm1が発生しても、インスリンと女性ホルモンとの感受性を判定に誤判定が生じることを防ぐものである。
【0087】
なお、
図16に示すフローチャートにおいて
図8に示すフローチャートと同一の処理については、その説明は省略する。
【0088】
図16に示すように、まず、インスリンポンプ10は、基礎体温データと血糖値データを取得する(ステップS41)。そして、演算部17は、日時管理部19から出力された日時情報に基づいて、取得した血糖値データと基礎体温データの日時を設定し、血糖値データ、基礎体温データ及びこれらのデータを取得した日時情報を記憶部18に格納する。
【0089】
次に、演算部17は、基礎体温データが所定の体温、本例では37.5℃を越えているか否かを判断する(ステップS42)。ステップS42の処理において、演算部17は、基礎体温データが37.5℃を越えていると判断した場合(ステップS42のYES判定)、演算部17は、表示部14に発熱時設定画面を表示させる(ステップS43)。
【0090】
また、ステップS42の処理において、演算部17は、基礎体温データが37.5℃を越えていないと判断した場合(ステップS42のNO判定)、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続したか否かを判断する(ステップS44)。ステップS44の処理において、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続したと判断した場合(ステップS44のYES判定)、演算部17は、本日の使用者の基礎体温は、高温相であると判断する(ステップS45)。次に、演算部17は、取得した基礎体温データと、記憶部18に格納されている前日までの基礎体温データに基づいて高温相が30日以上続いているか否かを判断する(ステップS46)。
【0091】
ステップS46の処理において、演算部17は高温相が30日以上続いていると判断した場合(ステップS46のYES判定)、演算部17は、表示部14に妊娠時設定画面を表示させる(ステップS47)。また、ステップS46の処理において、演算部17は高温相が30日以上続いていないと判断した場合(ステップS46のNO判定)、演算部17は、本日の血糖値が記憶部18に格納された血糖値データの平均値である平均血糖値よりも高いか否かを判断する(ステップS48)。
【0092】
ステップS48の処理において、演算部17は本日の血糖値が平均血糖値よりも高いと判断した場合(ステップS48のYES判定)、演算部17は、本日はインスリンに与える女性ホルモンの影響が強い日であると判断する(ステップS49)。そして、演算部17は、記憶部18に本日の日時情報、血糖値データ、基礎体温データと共に女性ホルモンの影響が強い日である旨を記憶させる。
【0093】
また、ステップS48の処理において、演算部17は本日の血糖値が平均血糖値よりも高くないと判断した場合(ステップS48のNO判定)、演算部17は、本日はインスリンに与える女性ホルモンの影響が低い日であると判断する(ステップS50)。演算部17は、記憶部18に本日の日時情報、血糖値データ、基礎体温データと共に女性ホルモンの影響が低い日である旨を記憶させる。
【0094】
そして、ステップS49の処理、またはステップS50の処理が、終了すると次の日の測定へ移行(ステップS51)し、ステップS11の処理に戻る。
【0095】
また、ステップS44の処理において、演算部17は、基礎体温が基準体温よりも高い日が3日以上連続していないと判断した場合(ステップS44のNO判定)、演算部17は、本日の使用者の基礎体温は、低温相であると判断する(ステップS52)。
【0096】
次に、演算部17は、生理の一周期が終わったか否かを判断するために、記憶部18に格納された前日までの基礎体温データに基づいて、昨日まで高温相だったか否かを判断する(ステップS53)。ステップS53の処理において、演算部17は昨日まで使用者が高温相であったと判断した場合(ステップS53のYES判定)、すなわち本日が生理の一周期における低温相の初日であると判断した場合、演算部17は、高温相時における女性ホルモンの影響が強い日が7日以上あったか否かを判断する(ステップS54)。
【0097】
また、ステップS53の処理において、演算部17は昨日まで使用者の基礎体温は高温相ではないと判断した場合(ステップS53のNO判定)、演算部17は、ステップS51の処理を行う。
【0098】
ステップS54の処理において、演算部17は、高温相時における女性ホルモンの影響が強い日が7日以上あったと判断した場合(ステップS54のYES判定)、すなわち、高温相時のインスリンの効きが悪いと判断できる。そのため、演算部17は、次の生理の一周期における高温相において高温相時設定画面を表示部14に表示させる(ステップS55)。
【0099】
また、ステップS54の処理において、演算部17は高温相時における女性ホルモンの影響が強い日が7日以上なかったと判断した場合(ステップS54のNO判定)、すなわち高温相でのインスリンの効きが悪くないと判断できる。そのため、演算部17は、ステップS51の処理を行う。上述した処理を繰り返すことで、インスリンと女性ホルモンとの感受性の判定処理が行われる。
【0100】
図16に示す処理フローによれば、ステップS54において血糖値データが平均値を超えた日数で、インスリンの効きやすさを判断している。これにより、突発的な高い血糖値が発生しても、正確にインスリンと女性ホルモンとの感受性の判定を行うことができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬液投与装置及び画像表示プログラムは、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。