特許第6683556号(P6683556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683556
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20200413BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H05K7/20 U
   G06F1/20 B
   G06F1/20 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-127461(P2016-127461)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-6399(P2018-6399A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】中井 祐輔
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−133345(JP,A)
【文献】 特開2007−059639(JP,A)
【文献】 実開平02−026288(JP,U)
【文献】 特開平11−040969(JP,A)
【文献】 実開平06−031195(JP,U)
【文献】 特開2009−225526(JP,A)
【文献】 特開2006−324464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0018094(US,A1)
【文献】 米国特許第8755192(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/18
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1及び第2の壁の周縁を周壁が連続的に繋いで部屋を形成し、前記部屋には、正面側と背面側の前記周壁の一部を外部と連通させた空気口と、前記空気口内に設けられ、前記空気口内の空気を移動させるファンとを備える空気流路が設けられ、前記第1の壁に前記空気流路を流れる空気の一部を流出させる空気流出口が設けられた筐体と、
前記筐体の4隅に位置する4つの支柱を有し、それら支柱間が開放され、前記各支柱に取り付けられ、隣接する前記筺体を、一方の前記第1の壁と他方の前記第2の壁との間を所定の間隙をあけて前記各筐体をそれぞれ支持する複数の支持体を、備えるラックとを、
備え、前記各支持体は、前記一方の筐体の空気流出口から流出した空気を、前記他方の筐体側に導入する空気導入手段を有するとともに、前記空気導入手段から流出して前記他方の筐体側に導入された空気に対する整風壁が設けられている
電気機器。
【請求項2】
請求項1記載の電気機器において、前記各整風壁の前記背面側の端間を連結壁が繋ぎ、この連結壁は前記整風壁よりも長さ寸法が短い電気機器。
【請求項3】
請求項1または2記載の電気機器において、前記整風壁は、前記支持体に対してほぼ直角をなす電気機器。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の電気機器において、前記空気導入手段は、開口であり、この開口は、前記支持体の正面側及び背面側に対称に設けられている電気機器。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の電気機器において、前記各筐体の正面側の周壁は、前記支持体下部まで伸びている電気機器。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか記載の電気機器において、前記各筺体は上下に隣接して前記支持体上に支持され、一方の前記筐体の正面側の周壁は、支持体下部まで伸びて他方の前記筺体の前記第2の壁に達する長さを有している電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、特に、内部に配置した部品の空冷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器の内部の部品を空冷する構成としては、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の技術では、複数の同一構造の電気機器の直方体状の筐体が、その内部を仕切り壁によって上室と下室とに仕切られている。各筐体は、その底壁に、下側に隣接する筐体の上壁が所定の間隔を隔てて位置するようにラック内に上下方向に配置されている。各筐体は、各筐体の4隅に位置するラックの4つの支柱のうち、筐体の両方の側面側にそれぞれ位置する2本の支柱間に正面側から背面側に配置された桟によって支持されている。各筐体の下室側には、その正面側から背面側に空気が流通して、下室内の部品を冷却する。また各筐体の底壁には、空気流出口が形成されており、下室内を流通する空気の一部が空気流出口から、上述した筐体間の所定の間隔を正面側から背面側に流通し、下側にある筐体の上室内の部品を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−133345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、筐体の上室側にある部品も冷却することができる。しかし、これら電気機器の筐体が配置されるラックが、側壁を有していないオープン型のものである場合、空気流出口から流出した空気が筐体の両側にある支柱間からラックの外部に流出し、下側にある筐体の正面側と背面側との間に流れず、下側にある筐体を良好に冷却することができなかった。これは、例えば上述したラックを横倒させた形状とし、これに収容される筐体を、上述した上室と下室とが左右の部屋となる配置した場合、上述した側壁に相当する上壁と下壁とが開放されたラックに筐体を縦置きする場合にも同様な課題が発生する。
【0005】
本発明は、筐体が配置されるラックが開放面を有するものであっても、筐体内の部品を、隣接する筐体からの空気によって良好に冷却することができる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電気機器は、筐体を有している。筐体は、対向する第1及び第2の壁の周縁を周壁が連続的に繋いで内部に部屋を形成してある。前記部屋には、空気流路が設けられている。空気流路は、筐体の正面側と背面側の前記周壁の一部を外部と連通させた空気口を有し、この空気口内に設けられたファンが、前記空気口内の空気を移動させる。第1の壁に前記空気流路を流れる空気の一部を流出させる空気流出口が設けられている。前記筐体の4隅に位置する4つの支柱をラックが有している。それら支柱間が開放されている。前記各支柱に取り付けられた複数の支持体が、隣接する前記筺体を、一方の前記第1の壁と他方の前記第2の壁との間を所定の間隙をあけて前記各筐体をそれぞれ支持している。前記各支持体は、前記一方の筐体の空気流出口から流出した空気を、前記他方の筐体側に導入する空気導入手段を有するとともに、前記空気導入手段から流出して前記他方の筐体側に導入された空気に対する整風壁が設けられている。整風壁は、正面側と背面側とにある支柱間に設けることが望ましい。
【0007】
このように構成した電気機器では、ファンを駆動することによって筐体内の空気流路を流れる空気は、筐体内の部品を冷却する。一方、空気流路を流れる空気の一部は、空気流出口から支持体側に流れ、更に支持体の空気導入手段を介して他方の筐体側に流れる。ここで、空気は、他方の筐体側に形成した整風壁によって整風されて、ラックの支柱間が開放されていても、空気が他方の筐体の第2の壁の正面側と背面側との間を流れ、他方の筐体内の部品も冷却する。
【0008】
上記の態様において、各整風壁の前記背面側の端間を連結壁が繋ぐことができる。この場合、この連結壁は前記整風壁よりも長さ寸法を短くする。このように構成すると、背面側に流れた空気が良好に背面側から流出し、他方の筐体の第2の壁上の空気が円滑に流れる。
【0009】
上記2つの態様のいずれかにおいて、前記整風壁は、前記支持体に対してほぼ直角をなすように構成することもできる。このように構成すると、整風板に当たった空気は、整風板に入射した角度とほぼ同じ角度で反射するので、整風板の外部に漏れることがない。
【0010】
上記3つの態様のいずれかにおいて、前記空気導入手段は、開口とすることができる。この場合、開口は、前記支持体の正面側及び背面側に対称に設けられている。このように構成すると、支持体をラックに取り付ける際に、支持体のいずれを正面側にするか背面側にするかを考慮する必要がなく、取り付けが容易になる。
【0011】
上記の各態様のいずれかにおいて、各筐体の正面側の周壁を、前記支持体下部まで伸ばすことができる。このように構成すると、空気導入手段から導入された空気が正面側の周壁から外部に流出することを防止することができ、効率的に他方の筐体内の部品を冷却することができる。
【0012】
上記の各態様のいずれかにおいて、前記各筺体は上下に隣接して前記支持体上に支持され、一方の前記筐体の正面側の周壁は、支持体下部まで伸びて他方の前記筺体の前記第2の壁に達する長さを有しているものとすることができる。このように構成すると、各筐体において、正面側の周壁が密閉され、空気導入手段から導入された空気が正面側の周壁から外部に流出することを防止することができ、効率的に各筐体内の部品を冷却することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、複数の筐体が配置されるラックの側面が開放されていても、各筐体の部品を隣接している筐体からの空気によっても良好に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態の電気機器の部分破断省略側面図である。
図2図1の電気機器で使用する筐体の斜視図及び底面図である。
図3図1の電気機器の斜視図である。
図4図1の電気機器のラックの一部にトレイを取り付けた状態の斜視図である。
図5図1の電気機器のラックの一部のトレイに筐体を配置した状態の斜視図である。
図6図1の電気機器のラックで使用するトレイの斜視図である。
図7図1の電気機器における空気の流れを示す図である。
図8図1の電気機器のラックの支柱の部分省略斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態の電気機器のラックで使用するトレイの底面図である。
図10】本発明の第3の実施形態の電気機器のラックで使用するトレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態の電気機器は、本例では、図3に示すように複数の筐体2と、単一の筐体3と、ラック4とを、有している。筐体2は、いずれも例えば整流器や電源用のもので、筐体3は、筐体2の機器を制御するコントローラ用のものである。筐体2は、横置きされた状態で、ラック4に上側から3台が下側に向かって隣接して配置され、その下側に筐体3が横置きされた状態で配置され、その筐体3の下側に3台の筐体2が下側に向かって隣接して配置されている。なお、本例では異なる筺体2、3を用いているが、ラック4に収納される筺体としては、複数の同じ機器を備えた筺体でもよく、発熱を伴う機器を備えた筺体に特に適している。
【0016】
筐体2は、図2(a)に示すように概略直方体状に形成され、第1の壁、例えば上壁8と、上壁8に間隔をおいて対向する第2の壁、例えば下壁10を同図(b)に示すように有している。これら上壁8と下壁10との間の空間を包囲するように、周壁、例えば側壁12、12と正面壁14と背面壁16とを有している。
【0017】
筐体2の内部には、例えば半導体素子や変圧器のような発熱部品が収容されており、冷却する必要がある。そのため、例えば正面壁14には、空気口18が形成され、この空気口18に、ファン20が取り付けられている。このファン20に対向するように、図示していないが、背面壁16には複数の排気口が形成され、これらによって筐体2内に正面壁14から背面壁16に向かう空気流通路が形成されている。従って、ファン20を駆動することによって、図1に破線で示すように、空気が筐体2内に導入され、筐体2内を正面壁14側から背面壁16側に通過して、背面壁16の排気口から筐体2の外部に流出する。この空気の流れによって筐体2内の発熱部品が冷却される。
【0018】
この筐体2は、上述したようにラック4内に配置されている。ラック4は、図3に示すように、各筐体2と筐体3を上下方向に配置した状態で、各筐体の4隅に位置する支柱22a、22b、22c、22dを有している。これら支柱22a、22b、22c、22dは、概略角柱状に形成されている。これら支柱22a、22b、22c、22dの上端間に平板状の蓋板23が取り付けられ、支柱22a、22cの下端間及び支柱22b、22dの下端間に、それぞれ脚部26、26が取り付けられている。支柱22a、22c間、支柱22b、22dの間には、壁は設けられていない。これら支柱22a、22b、22c、22d間に、図4に示すように複数の支持体、例えば平板状のトレイ24がそれぞれ配置されている。これらトレイ24は、その上に筐体2、3が横置き状態で載置されている。これらトレイ24は、その上に載せられた筐体2または3が、その下方に隣接する筐体2または3との間に、所定の間隔、例えば空気が流通するのに必要な間隔をおいて位置するように配置されている。
【0019】
ところで、筐体2の部品によっては、筐体の上壁8に近い位置に配置されていて、ファン20から筐体2の内部に導入された空気だけでは良好に冷却されない可能性がある。そこで、上下に筐体2が配置されていることを利用して、上側に存在する筐体2からの空気を下側に隣接する筐体2の上壁8上を通過させて、下側の筐体2の上壁8近辺に位置する部品を冷却する。そのため、図1に示すように、各筐体2では、例えばファン20の近傍に位置する下壁10に、空気流出口26が形成されている。また、この空気流出口26から空気が良好に外部に導出できるように、空気流出口26には、整風板28が正面壁14側に斜め上方を向いて傾斜している。この空気流出口26から下壁10の下方に流出した空気を、下方に隣接する筐体2の上壁8上に導くために、図1図4図5及び図6に示すようにトレイ24には、空気導入手段、例えば上下方向に貫通した開口30が、空気流出口26に対応するトレイ24上の位置に形成されている。
【0020】
これによって、図1に破線で示すように、開口30から下方に隣接する筐体2の上壁8上に空気が導入され、その空気が背面壁16側に流れることによって下方の筐体2内の上側にある部品も冷却される。しかし、開口30から下側の筐体2の上壁8側に導入された空気は、直線状に背面壁16側に流れるだけでなく、筐体2の側壁12、12側にも流れる。特に、下方の筐体2の上壁8の両側壁10、10側にも流れるように図2(b)に示すように空気流出口26の両側にそれぞれ傾斜縁を設けた場合、この両側壁10、10側への流れは、顕著になる。
【0021】
そして、ラック4は、支柱2a、2c間、2b、2d間に壁を有していないものであるので、側壁12、12側に向かった空気は、背面壁16側に向かう途中で、支柱2a、2c間、2b、2d間からラック4の側方に流出し、背面壁16側にまで流れず、筐体2内の上壁8の近傍にある部品のうち、特に背面壁16側に近い位置にある部品を良好に冷却することができない。
【0022】
そこで、図5及び図6に示すように、筐体2の両側壁12、12に対応するトレイ24の両側に整風板32、32が形成されている。整風板32、32は、トレイ24に対してほぼ直角をなして、下方にある筐体2の上壁8の近傍にまで伸び、正面壁側14側から背面壁16側まで形成されている。このように構成しているので、開口30から下側の筐体2の上壁8側に導入されて、筐体2の側壁10、10側に向かった空気は、図7に破線で示すように、トレイ24の両側に設けられた整風板32、32に衝突して、下側の筐体2の背面壁16側に向かう。その結果、下側の筐体2内の背面壁16側の上部にある部品も良好に冷却される。しかも、図3から明らかなように、整風板32の下端は、下方の筐体2の上壁8付近までに伸びているので、整風板32の下端と下方の筐体2の上壁8との隙間から空気が側方に流出することも殆どなく、支柱22a、22c間、支柱22b、22d間に側壁が無くとも、ラック4の側方への空気の流出はほとんどない。さらに、整風板32、32はトレイ24に対してほぼ直角に位置しているので、整風板32に衝突した空気は、反射されて良好に背面壁16側に流れる。もし、トレイ24に対して鈍角をなすように整風板32が配置されていると、下方の筐体2と整風板32の下端との間に隙間が形成され、空気がラック4の側方に流出する。また、トレイ24に対して鋭角をなすように整風板32が配置されていると、筐体2の側壁12側の部分に開口30からの空気が到達せず、筐体2内に冷却されない部分が発生する。整風板32をトレイ24に対してほぼ直角に配置すると、このような問題は生じない。
【0023】
開口30からの空気が、正面壁14側に流出することを防止するために、連結壁34が、整風板32、32の正面壁14側の端部間を繋ぐように形成されている。この連結壁34は、その下端が下方に隣接する筐体2の上壁8に接するように形成されている。同様に、整風板32、32の背面壁16側の端部間を繋ぐように連結壁36が形成されている。この連結壁36の下端は、隣接する筐体2の上壁8に到達しないように、連結壁34よりも短い長さとされている。これは、正面壁12側から流れてきた空気を、背面壁16側から良好に外部に導出するためである。本例では、トレイ24の強度を増すために背面壁16側に連結壁36を形成しているが、連結壁36を設けなくてもよい。
【0024】
開口30からの空気が、正面壁14側に流出することを防止するために、図1に示すように、連結壁34を設けた上に、各筐体2の正面壁14は、下方に隣接する筐体2の正面壁14の上端に接触している。即ち、各正面壁14は、各筐体2の底壁10を超えてさらに下側まで伸ばされている。しかも、正面壁14は、下方に隣接する筐体2の正面壁14の上端に接触しているので、各筐体2の正面側の隙間が小さく、筐体2の正面側からの空気の流出を防止できる。
【0025】
また、トレイ24の両側にある整風板32を利用して、各トレイ24は、ラック4に取り付けられている。例えば図8に示すように、支柱22dの正面壁14側の面22d1の内側の縁22d2には、その上端から下端まで、支柱22b側に向かって筐体2の側壁12に沿って張り出した板状の張り出し部38が形成されている。この張り出し部38における各トレイ24の整風板32の下端に対応する位置から整風板32の厚さに相当する分だけ内側に位置する位置から上方に向かい整風板32の上端に到達する位置まである突起40が、張り出し部38を切り起こすことによって形成されている。他の支柱22a、22b、22cにも図示していないが、同様に張り出し部が形成され、突起40が形成されている。図1に示すように、これらの突起40が各トレイ24の整風板32の内側に位置するようにトレイ24を配置して、トレイ24をラック24に支持している。
【0026】
なお、各筐体2、6のラック4の取り付けは、図3及び図5に示すように、正面壁14の両側にそれぞれ取り付けたL型アングル42を支柱22a、22bにそれぞれ取り付けることによって、行われている。
【0027】
この電気機器では、図4に示すようにラック4を組み立てた後、トレイ24を支柱22a、22c間、22b、22d間に取り付け、図5に示すように各トレイ24上に筐体2、3をそれぞれ配置していき、図3に示すようにすべてのトレイ24上に筐体2、3を配置して、L型アングル42によって各筐体2、3を支柱22a、22bに取り付ける。なお、本例ではL型アンクル42を用いて各筺体2、3を支柱22a、22bに固定しているが、L型アングル42以外の手段で筺体2、3を背面側で固定してもよく、必ずしも筺体2、3を固定しなくてもよい。
【0028】
図9に第2の実施形態の電気機器のトレイ24を示す。このトレイ24は、トレイ24の下側の筐体2側の面に、開口30から連結壁36側に向かう新たな整風板44,46を設けたものである。このように整風板44、46を追加することによって、確実に背面壁16側に空気を送ることができる。
【0029】
図10に第3の実施形態の電気機器のトレイ24aを示す。このトレイ24aは、2つの開口30aと開口30bとを連結壁34と36との両方に設けたもので、これら開口30a、20bは、整風板32、32の中心間を繋ぐ直線を対称軸として線対称の位置に形成されており、トレイ24aの連結壁34が支柱22a、22b間に位置するように、或いは連結壁36が支柱22a、22b間に位置するようにトレイ24aを配置しても、開口30aまたは30bが、空気流出口26と対向する位置に位置する。但し、連結壁34と36とは、第1の実施形態の連結壁34と同じように短い長さとされている。第1の実施形態の電気機器では、開口30が筐体の空気流出口26に重なるように、連結壁34が支柱22a、22b間に位置するように、即ちトレイ24の方向性を考慮して配置する必要がある。しかし、このトレイ24aでは、方向性を考慮して取り付ける必要がないので、その取り付け作業が容易になる。また、連結壁34と36とは、短い長さとされているので、どちらの連結壁が支柱22c、22d間に位置しても、空気は良好に筐体2の背面壁16側からラック4の外部に流出する。その場合、支柱22a、22b間にある連結壁の長さが短く、筐体2の正面壁14側に空気が流れる可能性があるが、第1の実施形態で示したように各筐体2の正面壁14の下端は、下方に隣接する筐体2の正面壁14の上端に接触して、ほとんど隙間が無いので、正面壁14間から空気が外部に流出することはほとんどない。
【0030】
上記の実施形態では、筐体2は、その内部に整流器または電源が構成されるものとしたが、これに限ったものではなく、内部に発熱部品が収容される電気機器であれば、他の電気機器にも、本発明を実施することができる。また、上記の実施形態では、筐体2は、内部が1つの空間とされたものを使用したが、特開2015−133345号公報に示されているように、内部が上下方向に仕切られているものを使用することもできる。上記の実施形態では、ラック4は、横置きされた筐体2、3を上下方向に配置するものを示したが、縦置きされた筐体2、3を左右方向に配置するように構成したラックを使用することもできる。上記の実施形態では、筐体2、3は、直方体状のものを示したが、これに限ったものではなく、例えば短円柱状のものや短楕円柱状のものを使用することもできる。上記の実施形態では、ファン20を正面壁14側に設け、排気口を背面壁16側に設けたが、逆にファン20を背面壁16側に設け、排気口を正面壁14側に設けることもできる。上記の実施形態では、空気導入手段として開口30をトレイ24に形成したが、これに限ったものではなく、例えば筐体2の空気流出口26に対向する位置で、空気流出口26の幅寸法に対応した間隔をおいて配置可能なようにトレイ24を2分割して構成することもできる。但し、この場合、2分割されたトレイ24の各部材は、突起40以外の適当な手段によってラック4に支持される必要がある。また、トレイ24全体を網目状に形成して、空気流出口26からの空気がトレイ24の各編目から下方に流れるように構成することもできる。第3の実施形態では、開口30a、30bを線対称に配置したが、トレイ24aの中心を中心として開口30a、30bを点対称に配置することもできる。
【符号の説明】
【0031】
2 筐体
4 ラック
20 ファン
24 トレイ(支持体)
26 空気流出口
30 開口(空気導入手段)
32 整風板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10