(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の折り曲げ部に対応する前記密封袋部の部位及び前記第1の折り曲げ部と対向する前記2つの重合部分のそれぞれの前記密封袋部の部位には、その前記フィルムシート同士を部分的に熱溶着する折り曲げ用の部分溶着部が形成されており、前記密封袋部内への空気充填状態で前記底部は前記胴部に対して外側に折り曲がっていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝包装材アセンブリ。
前記密封袋部は、その前記フィルムシート同士を前記基体の長手方向にわたって熱溶着する区画溶着部によって複数の区画密封袋部に区画され、前記各区画密封袋部は、その内側への空気の流入のみを許容する逆止弁によってそれぞれ独立にその密封状態を保持し、前記各区画密封袋部に前記折り曲げ用部分溶着部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝包装材アセンブリ。
前記第2及び第3の折り曲げ部に対応する前記密封袋部の部位には、その前記フィルムシート同士を部分的に熱溶着して成る部分溶着部が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝包装材アセンブリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のエアー緩衝包装材は、被包装物を包装して衝撃から保護した状態で例えば梱包箱などに収納された際に、緩衝包装材の内側に収容される被包装物と梱包箱との間に介在する密封袋部の緩衝空間(エアー空間)が必ずしも十分であるとは言えない場合がある。そのため、梱包箱を落下させるなどして梱包箱に大きな衝撃が加わった場合には、その衝撃が緩衝包装材の内側に収容される被包装物に伝わる場合もあり、それにより、被包装物が破損する虞がある。
【0005】
そのような場合には、所望の緩衝作用を得るべく複数の緩衝材を利用することも考えられるが、それにより、梱包体積が増大して、梱包作業が煩雑になるとともに、梱包に要するコストも増大するという問題が生じる。
【0006】
とりわけ、衝撃に敏感な電子部品等の精密機器を梱包する際には、衝撃の伝達を十分に抑制することが求められるが、そのような高い緩衝性能を従来のエアー緩衝包装材によりそれ単体で得ることは難しい。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、梱包体積及び梱包コストを大きく増大させることなく、効率的且つ効果的に緩衝性能を高めることができる緩衝包装材
アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、
第1の緩衝包装材と第2の緩衝包装材とを組み合わせて成る緩衝包装材アセンブリであって、前記第1の緩衝包装材及び前記第2の緩衝包装材は、周囲が熱溶着された2枚のフィルムシートによって袋状に形成される基体から構成され、前記基体が折り畳まれて重ね合った2つの重合部分が所定の外周部位で熱溶着されて形成された被包装物を収容可能な収容部と、空気供給口と、空気供給口を通じて空気が充填される緩衝用の密封袋部と、を有
し、前記基体は、第1の折り曲げ部を前記2つの重合部分同士の間に挟み込むように前記重合部分が第2及び第3の折り曲げ部で内側に折り曲げられて形成される内側折り返し部と、前記第1の折り曲げ部と前記第2及び第3の折り曲げ部との間の基体部位を除く前記2つの重合部分同士が側縁部で更に熱溶着されることにより形成され、前記密封袋部内への空気充填後に前記収容部で被包装物を取り囲むことができる収容空間を形成する本体緩衝部を構成するための胴部と、前記第1の折り曲げ部と前記第2及び第3の折り曲げ部との間で前記内側折り返し部が前記2つの重合部分のそれぞれと側縁部で更に熱溶着されることにより形成され、前記密封袋部内への空気充填後に前記本体緩衝部を底上げする底上げ緩衝部を構成するための底部と、を有
し、前記第2の緩衝包装材は、前記第1の緩衝包装材の本体緩衝部の外側に嵌合できる本体緩衝部を構成する前記胴部を有し、前記第1及び第2の緩衝包装材の密封袋部内への空気充填後に、前記第1の緩衝包装材の前記収容空間内に被包装物を収容して、前記第1の緩衝包装材の本体緩衝部の外側に前記第2の緩衝包装材の本体緩衝部が嵌合されたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、空気供給口から空気が注入されると、その空気は、緩衝用の密封袋部に流入し、基体の一方の重合部分から第2の折り曲げ部、第1の折り曲げ部、及び、第3の折り曲げ部を順次に介して他方の重合部分へと流れて、密封袋部を次第に膨らませていく。
【0010】
具体的には、基体の一方の重合部分に流入した空気は、底部へと流れ、この底部で内側折り返し部を通じて第2の重合部分へと流れた後、再び基体の胴部へと至り、密封袋部を次第に膨らませていく。
【0011】
この場合、フィルムシートの周囲を熱溶着して袋状に形成される基体の密封袋部には、その両側縁に沿って熱溶着部が設けられていることから、底部は、密封袋部内への空気の充填に伴い、これらの折り曲げ用部分溶着部に作用してその連通部を通過する空気圧により自然に胴部に対して外側に略Y字状に折れ曲がって広がるようになる。このように、密封袋部が直線状を成す胴部と、基体の重合部分を2つに分岐させるように密封袋部が略W字状に延びる底部との境界で、第1の重合部分、及び、第2の重合部分を設ければ、底部が胴部に対して容易に且つ効果的に外側に折れ曲がって広がるようになる。
【0012】
そして、空気が密封袋部内に所定の膨満状態まで充填されると、基体を折り畳んで重合部分を熱溶着することにより形成される前記収容部で被包装物を取り囲む(収容する)ことができる収容空間を形作る本体緩衝部が形成されるとともに、この本体緩衝部を底上げするように本体緩衝部から外側に略Y字状に折れ曲がって広がる底上げ緩衝部が形成される。
【0013】
このように、上記構成の緩衝包装材によれば、空気を密封袋部内に所定の膨満状態まで充填することにより、被包装物を包装して緩衝保護する本体緩衝部を底上げするように底上げ緩衝部が形成される。そのため、例えば被包装物と共に緩衝包装材が梱包箱に収納される場合には、底上げ緩衝部によって、該底上げ緩衝部が接触されるべき梱包箱の下面(又は上面)と本体緩衝部(被包装物)との間に、密封袋部の数及び寸法に応じた所望の大きさの空間を確保できるとともに、底上げ緩衝部が本体緩衝部から外側に略Y字状に折れ曲がって広がることにより、梱包箱の例えば側面と本体緩衝部(被包装物)との間にも、密封袋部の数及び寸法に応じた所望の大きさの空間を確保することができる。したがって、例えば梱包箱を落下させるなどして梱包箱に大きな衝撃が加わった場合でも、その衝撃が緩衝包装材の本体緩衝部の内側に収容される被包装物に伝わり難いか、伝わらない高い緩衝性能をそれ単体で実現することができ、それにより、被包装物の破損を防止できる。
【0014】
なお、上記した構成では、前記第1の折り曲げ部に対応する前記密封袋部の部位及び前記第1の折り曲げ部と対向する前記2つの重合部分のそれぞれの前記密封袋部の部位に、その前記フィルムシート同士を部分的に熱溶着する折り曲げ用の部分溶着部を形成しておくことが好ましい。
このような位置に部分溶着部を形成することで、密封袋部が直線状を成す胴部と、基体の重合部分を2つに分岐させるように密封袋部が略W字状に延びる底部との境界で、底部が胴部に対して容易かつ効果的に外側に折れ曲がって拡がるようになる。
【0015】
また、上記構成において、密封袋部は、そのフィルムシート同士を基体の長手方向にわたって熱溶着する区画溶着部によって複数の区画密封袋部に区画され、各区画密封袋部は、その内側への空気の流入のみを許容する逆止弁によってそれぞれ独立にその密封状態を保持し、各区画密封袋部に折り曲げ用部分溶着部が設けられることが好ましい。
このように独立にその密封状態を保持できる複数の区画密封袋部を有していれば、空気充填後に何れかの区画密封袋部が破損しても、空気の流出はその破損した区画密封袋部からだけとなり、全体としての緩衝効果には殆んど悪影響を及ぼさないで済む。
【0016】
また、上記構成において、各区画密封袋部は、空気供給口につながる共通の空気供給路に逆止弁を介して連通することが好ましい。
このような構成によれば、1つの空気供給路により複数の区画密封袋部に同時に空気を注入することができ、密封袋部の膨張効率を高めることができるとともに、緩衝包装材をコンパクトに構成できる。
【0017】
また、上記構成において、第2及び第3の折り曲げ部に対応する密封袋部の部位には、そのフィルムシート同士を部分的に熱溶着して成る部分溶着部が設けられることが好ましい。
このような構成によれば、第2及び第3の折り曲げ部で密封袋部の滑らかな屈曲を実現できる。
【0018】
また、以上のような構成を成す緩衝包装材は、大きさが異なる同一形態のもの同士を組み合わせることにより、その緩衝性能が飛躍的に高まる。このような緩衝包装材を組み合わせて構成される緩衝包装材アセンブリは、上記構成を備える第1の緩衝包装材と、上記構成を備える緩衝包装材であって、第1の緩衝包装材の本体緩衝部の外側に嵌合できる本体緩衝部を構成する胴部を有する第2の緩衝包装材とを有し、第1及び第2の緩衝包装材の密封袋部内への空気充填後に、第1の緩衝包装材の収容空間内に被包装物を収容して、第1の緩衝包装材の本体緩衝部の外側に第2の緩衝包装材の本体緩衝部が嵌合されることで、被包装物を第1及び第2の緩衝包装材のそれぞれの本体緩衝部により二重に包装して衝撃から保護される。
【0019】
このような緩衝包装材アセンブリによれば、互いに嵌合し合う二重の本体緩衝部を挟んで両側に位置される第1及び第2の緩衝包装材のそれぞれの底上げ緩衝部により、本体緩衝部(被包装物)を例えば平行六面体の梱包箱内で宙に浮かせるように梱包箱の全ての面から離間させることができるため、梱包箱がいずれの角度から落下してもその衝撃が本体緩衝部の内側に収容される被包装物に伝わり難い及び/又は伝わらない高い緩衝性能を実現することができ、被包装物の破損を防止できる。
【0020】
また、上記したような緩衝包装材は、梱包箱に被包装物を収納する収納方法において、1つ、或いは複数個用いて、被包装物のサイドパッドとすることも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、梱包体積及び梱包コストを大きく増大させることなく、効率的且つ効果的に緩衝性能を高めることができる緩衝包装材
アセンブリが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図9を参照しながら本発明に係る緩衝包装材及び緩衝包装材アセンブリの一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る2つの緩衝包装材10A,10Bを組み合わせて成る緩衝包装材アセンブリAsにより被包装物80を包装して緩衝保護した状態で、緩衝包装材アセンブリAsを仮想的に示される梱包箱100内に収納した一形態例を示している。本実施形態の緩衝包装材は、このように互いに組み合わせて使用することで後述するようにその緩衝性能を飛躍的に高めることができるが、それ単体で使用することも可能である。
【0024】
図1に示される緩衝包装材アセンブリAsは、第1の緩衝包装材10Aと、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの外側に嵌合できる本体緩衝部10BAを有する第2の緩衝包装材10Bとから構成されている(
図1では、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAが第2の緩衝包装材10Bの本体緩衝部10BAの内側に位置されているため見えない)。
この緩衝包装材アセンブリAsは、第1及び第2の緩衝包装材10A,10Bの区画密封袋部20内に空気を充填した後に、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの収容空間S(
図7及び
図8参照)内に被包装物80を収容して、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの外側に第2の緩衝包装材10Bの本体緩衝部10BAを嵌合させることにより構成されている。
【0025】
このような緩衝包装材アセンブリAsによれば、被包装物80を、第1及び第2の緩衝包装材10A,10Bのそれぞれの本体緩衝部10AA,10BAによって二重に包装して衝撃から保護するとともに、互いに嵌合し合うこれらの二重の本体緩衝部10AA,10BAを挟んで、両側に位置される第1及び第2の緩衝包装材10A,10Bのそれぞれの底上げ緩衝部10AB,10BB(梱包箱100の上下面100a,100bにそれぞれ当て付く)によって、本体緩衝部10AA,10BA(被包装物80)を梱包箱100内で宙に浮かせるように梱包箱100の全ての面(上下面100a,100b及び側面100c,100d,100e,100f)から離間させて緩衝性能を更に高めることができるようになっている。
【0026】
図1に示される緩衝包装材アセンブリAsを構成する第1の緩衝包装材10Aと第2の緩衝包装材10Bは、略同一の形態となっている。具体的に各緩衝包装材は、被包装物80を全周に亘って取り囲み、周方向に沿って連続的に形成される複数個の区画密封袋部を備えており、前記区画密閉袋部は、被包装物80を全周に亘って取り囲む本体緩衝部と、一端側において、本体緩衝部を構成する各区画密閉袋部から外側に略Y字状に折れ曲がるように広がって、本体緩衝部を底上げする底上げ緩衝部とを形成する。
【0027】
以下、
図2〜
図7を参照して、これらの緩衝包装材10A,10Bについて詳しく説明する。
図2は、本実施形態に係る緩衝包装材を形成する基体の展開状態の平面図であり、
図2(a)は、第1の緩衝包装材10Aの基体1Aの展開状態の平面図、
図2(b)は、第2の緩衝包装材10Bの基体1Bの展開状態の平面図である。
【0028】
ここで、
図2(a)に示される第1の緩衝包装材10Aの基体1Aは、
図3に示されるように、2枚の合成樹脂製のフィルムシート40,42を重ね合わせてこれらのフィルムシート40,42の周囲を溶着することで形成される。具体的には、フィルムシート40,42の両方の側縁部a,b同士、及び、両方の端縁部c,d同士を熱溶着することにより袋状に形成され、それにより、
図2(a)に示されるように基体1Aの側縁溶着部1a,1b、及び、端縁溶着部1c,1dが形成される。しかしながら、第1の緩衝包装材10Aの基体1Aは、1枚のフィルムシートを折り畳んで重ね合わせ、重なり合うシート部分の周縁同士を熱溶着することにより袋状に形成されてもよい。その場合、端縁部cは、フィルムシートの単なる折り返し部となるため、熱溶着される必要がない。
【0029】
前記基体1Aは、その一方の端縁溶着部1dに近接して一方側の側縁溶着部1b側に、フィルムシート40,42同士が溶着されない未溶着部としての空気供給口12を有する。また、基体1Aは、この空気供給口12から他方側の側縁溶着部1aに至るまで延びる扁平な空気供給路19を有し、この空気供給路19は、端縁溶着部1dとこの端縁溶着部1dに対して平行に延びる部分溶着部1e(フィルムシート40,42同士がその部分溶着ラインe(
図3参照)に沿って溶着されて成る)とによって画定され、その終端1fも熱溶着によって閉じられている。したがって、基体1Aには、後述する逆止弁15による一方向の空気の流入のみを許容して外部から密封される緩衝用の密封袋部20Aが前記溶着部1a,1b,1c,1eによって画定される。
【0030】
本実施形態において、密封袋部20Aは、その全長にわたって(側縁溶着部1a,1bに沿って)フィルムシート40,42同士を熱溶着して成る互いに平行な複数(本実施形態では5つ)の区画溶着部7によって、長尺状の同じ大きさの複数(本実施形態では6つ)の区画密封袋部20に区画されている。これらの各区画密封袋部20は、空気供給路19に沿って等間隔に設けられており、それぞれ、その内側への空気の流入のみを許容する逆止弁15が配設されている。各区画密封袋部20は、空気供給口12につながる共通の前記空気供給路19にそれぞれ対応して配設された逆止弁15を介して連通しており、それぞれ独立にその密封状態を保持できるようになっている。なお、本実施形態では、各区画密封袋部20にそれぞれ2つの逆止弁15が対応して設けられるが、各区画密封袋部20に1つの逆止弁15のみを設けてもよい。
【0031】
本実施形態において、区画密封袋部20に設けられる全ての逆止弁15は、共通の逆止弁シート30上に一括して設けられている。この逆止弁シート30は、
図3に示されるように、その一端縁部30aを各フィルムシート40,42の部分溶着ラインeに重ね合わせた状態でフィルムシート40,42間に挟み込まれて部分溶着部1eで部分的に溶着される。
【0032】
具体的に、逆止弁シート30は、ポリエチレンフィルム等の柔軟で肉薄の2枚の長方形状の加熱接着性プラスチックフィルムを重ね合わせて、その両側縁部を熱溶着することにより形成される。より具体的には、逆止弁シート30は、各逆止弁15の流入口に対応する位置で、一端縁部30aに面する側に開口部を有するとともにその反対側の他端縁に面する側にも開口部を有する空気流路を形成するように、一端縁部30aが部分溶着部1eによってフィルムシート40,42と共に部分的に熱溶着される(前記開口部を除く部位が熱溶着される)。この際、フィルムシート40,42と共に熱溶着される逆止弁シート30は、逆止弁15を2つ置きに挟むようにして、前記各区画溶着部7により区分けされている。
【0033】
また、逆止弁シート30の前記空気流路の下流側(各逆止弁の下流側)には、斜め両外側に向う空気の第1の分岐流路を形成するべく角形の頂部を一端縁部30aに向けた状態でプラスチックフィルム同士を熱溶着して成る山形状の熱溶着部16と、空気の第2の分岐流路を形成するべく熱溶着部16の下流側に位置されて長手方向に延びる直線状の熱溶着部17(プラスチックフィルム同士を熱溶着して成る)とが設けられる。
【0034】
なお、本実施形態では、基体1Aを構成するフィルムシート40,42及び逆止弁シート30を形成するプラスチックフィルムが透明又は半透明であってもよい。そのようにすると、各区画密封袋部20を膨満させた後でも、全体として透明な緩衝包装材として構成され、内部に収納された被包装物80を外部から透視できるという利点がある。
【0035】
各区画密封袋部20には、その長手方向(側縁溶着部1a,1bに沿う方向)の適所に、そのフィルムシート40,42同士を部分的に熱溶着することにより形成される折り曲げ用の部分溶着部6A,6B,6C,6D,6Eが、長手方向に所定の間隔を隔てて複数(本実施形態では5つ)設けられる。この場合、それぞれの区画密封袋部20同士の部分溶着部6A,6B,6C,6D,6Eは、端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃うように設けられる。すなわち、逆止弁15に最も近い各区画密封袋部20の第1の部分溶着部6Aが端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃えられ、後述する第2の折り曲げ部L2(
図5参照)に位置する各区画密封袋部20の第2の部分溶着部6Bが端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃えられ、後述する第1の折り曲げ部L1(
図5参照)に位置する各区画密封袋部20の第3の部分溶着部6Cが端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃えられ、後述する第3の折り曲げ部L3(
図5参照)に位置する各区画密封袋部20の第4の部分溶着部6Dが端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃えられ、逆止弁15から最も遠い各区画密封袋部20の第5の部分溶着部6Eが端縁溶着部1c,1dに沿って一列に揃えられる。なお、それぞれの部分溶着部6A,6B,6C,6D,6Eでは、その両側の連通部(非溶着部)6a,6bによって空気の流通が確保されるようになっている。
【0036】
また、
図2(b)には、第2の緩衝包装材10Bの基体1Bが示されるが、この基体1Bは、図示のように、区画密封袋部20の数及び長さ(それに伴って部分溶着部6A,6B,6C,6D,6Eの形成位置)が増大された(区画密封袋部20が8個であり、したがって、その本体緩衝部10BAの内外径が第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの内外径よりも大きい)点を除き、第1の緩衝包装材10Aの基体1Aと同様に形成されている。
【0037】
以上のようにして構成される基体1Aは、
図4に示される展開状態から、
図5に示されるように、3つの折り曲げ部L1,L2,L3を境にしてW字状に内側に折り畳まれることにより2つの重合部分X,Yが形成され、更に、その間に内側折り返し部Zが形成される。そして、所定の外周部位を熱溶着することによって、被包装物80が収容可能な所要の深さ(高さ)の収容部75が形成される。
【0038】
具体的には、
図5に示されるように、基体1Aは、第3の部分溶着部6Cが位置される部位である第1の折り曲げ部L1が、2つの重合部分X,Y同士の間に挟み込まれるように折り曲げられる。すなわち、基体1Aは、第1の折り曲げ部L1で折り曲げられた状態で、更に第2及び第4の部分溶着部6B,6Dが位置される部位である第2及び第3の折り曲げ部L2,L3を内側に折り曲げることにより、2つの重合部分X,Yの間に内側折り返し部Zが形成される。このとき、端縁溶着部1cが部分溶着部1eにほぼ重なるように、また、第1、第3、及び、第5の部分溶着部6A,6C,6E同士が重なり合うように折り畳まれる。
【0039】
そして、このようにして折り畳まれた基体1Aは、
図5及び
図6に示されるように、第1の折り曲げ部L1と第2及び第3の折り曲げ部L2,L3との間で内側折り返し部Zが2つの重合部分X,Yのそれぞれと側縁部で更に熱溶着される(一方の側縁部の熱溶着部50XZ,50YZ及び他方の側縁部の熱溶着部52XZ,52YZ)とともに、2つの重合部分X,Y同士が側縁部で更に熱溶着される(一方の側縁部の熱溶着部50XY及び他方の側縁部の熱溶着部52XY)。
【0040】
これにより、各区画密封袋部20(密封袋部20A)内への空気充填後に収容部75で被包装物80を取り囲むことができる所要の深さ(高さ)の断面が略円形の収容空間S(
図7参照)を形成する前述した本体緩衝部10AAを構成するための胴部70と、各区画密封袋部20(密封袋部20A)内への空気充填後に本体緩衝部10AAを底上げする前述した底上げ緩衝部10ABを構成するための底部72とが形成される。
【0041】
このようにして折り畳まれて所要箇所が熱溶着された基体1Aは、以下のように空気が充填されることにより、前述したような空気膨満状態の本体緩衝部10AAと底上げ緩衝部10ABとを形成する。すなわち、最初に、空気供給路19の空気供給口12に例えば短い空気の注入管を挿入して、当該注入管から空気を流入させると、空気供給路19内に流入した空気は、各逆止弁15を経て各区画密封袋部20内へ流れ込み、基体1Aの一方の重合部分Yから第2の折り曲げ部L2、第1の折り曲げ部L1、及び、第3の折り曲げ部L3を順次に経由して他方の重合部分Xへと流れて、各区画密封袋部20を次第に膨らませていく。
【0042】
具体的には、基体1Aの一方の重合部分Yに流入した空気は、基体1Aの胴部70から第1の重合部分Yの折り曲げ用の第1の部分溶着部6Aの連通部6a,6bを通じて底部72へと流れ、この底部72で内側折り返し部Zを通じて(内側折り返し部Zの折り曲げ用の第2乃至第4の部分溶着部6B,6C,6Dの連通部6a,6bを通じて)第2の重合部分Xへと流れる。そして、更に第2の重合部分Xの折り曲げ用の第5の部分溶着部6Eの連通部6a,6bを通じて再び基体1Aの胴部70へと至り、各区画密封袋部20を次第に膨らませていく。
【0043】
この場合、フィルムシート40,42の周囲を熱溶着して袋状に形成される基体1Aの各区画密封袋部20には、その両側縁に沿って区画溶着部7が設けられるとともに、胴部70と底部72との間には、第1の折り曲げ部L1に対応する各区画密封袋部20の部位及び第1の折り曲げ部L1と対向する2つの重合部分X,Yのそれぞれの各区画密封袋部20の部位に、折り曲げ用の部分溶着部6A,6C,6Eが設けられているため、底部72は、各区画密封袋部20内への空気の充填に伴い、これらの折り曲げ用の部分溶着部6A,6C,6Eに作用してその連通部6a,6bを通過する空気圧により自然に胴部70に対して外側に略Y字状に折れ曲がって広がるようになる。このように、各区画密封袋部20が直線状を成す胴部70と、基体1Aの重合部分X,Yを2つに分岐させるように各区画密封袋部20が略W字状に延びる底部72との境界で、第1の重合部分Y、第2の重合部分X、及び、第1及び第2の重合部分Y,Xにより形成される内側折り返し部Zのそれぞれに折り曲げ用の部分溶着部6A,6C,6Eを設ければ、底部72が胴部70に対して容易に且つ効果的に外側に折れ曲がって広がるようになる。
【0044】
そして、空気が各区画密封袋部20内に所定の膨満状態まで充填されると、
図7に示されるように、前述した収容部75で被包装物80を取り囲む(収容する)ことができる収容空間Sを形作る本体緩衝部10AAが形成されるとともに、この本体緩衝部10AAを底上げするように本体緩衝部10AAから外側に略Y字状に折れ曲がって広がる底上げ緩衝部10ABが形成される。
【0045】
このように、上記構成の緩衝包装材10A(10B)によれば、空気を各区画密封袋部20内に所定の膨満状態まで充填することにより、被包装物80を包装して緩衝保護する本体緩衝部10AA(10BA)を底上げするように底上げ緩衝部10AB(10BB)が形成される。そのため、
図1に示されるように、被包装物80と共に緩衝包装材10A(10B)が梱包箱100に収納される場合には、底上げ緩衝部10AB(10BB)によって、底上げ緩衝部10AB(10BB)が接触されるべき梱包箱100の下面100b(又は上面100a)と本体緩衝部10AA(10BA)(被包装物80)との間に、区画密封袋部20の数及び寸法に応じた所望の大きさの空間を確保できる。また、底上げ緩衝部10AB(10BB)が本体緩衝部10AA(10BA)から外側に略Y字状に折れ曲がって広がることにより、梱包箱100の側面100c,100d,100e,100fと本体緩衝部10AA(10BA)(被包装物80)との間にも、区画密封袋部20の数及び寸法に応じた所望の大きさの空間を確保することができる。したがって、例えば梱包箱100を落下させるなどして梱包箱100に大きな衝撃が加わった場合でも、その衝撃が緩衝包装材10A(10B)の本体緩衝部10AA(10BA)の内側に収容される被包装物80に伝わり難い及び/又は伝わらない高い緩衝性能をそれ単体であっても実現することができ、それにより、被包装物80の破損を防止できる。
【0046】
特に、以上のような構成を成す緩衝包装材は、
図8に示されるように、大きさが異なる同一形態のもの(緩衝包装材10A,10B)同士を組み合わせることにより、その緩衝性能が飛躍的に高まる。すなわち、このような緩衝包装材10A,10Bを組み合わせて構成される緩衝包装材アセンブリAs(
図1及び
図8参照)は、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの収容空間S内に被包装物80を収容して、第1の緩衝包装材10Aの本体緩衝部10AAの外側に、同様な構成を有する第2の緩衝包装材10Bの本体緩衝部10BAを嵌合させることにより、
図9に示すように、被包装物80を第1及び第2の緩衝包装材10A,10Bのそれぞれの本体緩衝部10AA,10BAにより二重に包装して衝撃から保護することができる。
【0047】
このような緩衝包装材アセンブリAsによれば、互いに嵌合し合う二重の本体緩衝部10AA,10BAを挟んで両側に位置される第1及び第2の緩衝包装材10A,10Bのそれぞれの底上げ緩衝部10AB,10BBにより、本体緩衝部10AA,10BA(被包装物80)を、例えば直方体形状の梱包箱100内で宙に浮かせるように梱包箱100の全ての面100a,100b,100c,100d,100e,100fから離間させることができる(
図1参照)。したがって、梱包箱100がいずれの角度から落下しても、その衝撃が本体緩衝部10AA,10BAの内側に収容される被包装物80に伝わり難いか伝わらない高い緩衝性能を実現することができ、被包装物80の破損を防止できる。
【0048】
そして、以上のように構成された緩衝包装材アセンブリAsに被包装物80を梱包した梱包箱(165mm×165mm×390mm)を、JIS Z 0202に規定される落下試験方法に基づいて、例えば、80cmの高さから落下させたところ、被包装物に対する衝撃加速度を30G未満に抑えることができた。したがって、本実施形態に係る緩衝包装材アセンブリAsは、衝撃に敏感な電子部品等の精密機器を梱包する際に有益である。
【0049】
また、本実施形態の緩衝包装材10A(10B)によれば、前述した特有の緩衝作用(空間確保作用)は、底上げ緩衝部10AB,10BB及びその折れ曲がり作用のみにより、また、1枚のシート状の基体1A(1B)を使用するだけで実現可能なため、梱包体積、梱包コスト、及び、梱包作業を大きく増大させることなく、効率的且つ効果的に緩衝性能を高めることができる
【0050】
また、上記した密封袋部20Aは、そのフィルムシート40,42同士を基体1A(1B)の全長にわたって熱溶着する区画溶着部7によって複数の区画密封袋部20に区画され、各区画密封袋部20は、その内側への空気の流入のみを許容する逆止弁15によってそれぞれ独立にその密封状態を保持するため、空気充填後に何れかの区画密封袋部20が破損しても、空気の流出はその破損した区画密封袋部20からだけとなり、全体としての緩衝効果には殆んど悪影響を及ぼさないで済む。
【0051】
また、本実施形態において、各区画密封袋部20は、空気供給口12につながる共通の空気供給路19に逆止弁15を介して連通しているため、1つの空気供給路9により複数の区画密封袋部20に同時に空気を注入することができ、密封袋部20A(区画密封袋部20)の膨張効率を高めることができるとともに、緩衝包装材10A,10Bをコンパクトに構成できる。
【0052】
さらに、本実施形態において、第2及び第3の折り曲げ部L2,L3に対応する各区画密封袋部20の部位には、そのフィルムシート40,42同士を部分的に熱溶着して成る部分溶着部6B,6Dが設けられているため、第2及び第3の折り曲げ部L2,L3で各区画密封袋部20の滑らかな屈曲を実現できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、区画密封袋部20が6個又は8個設けられていたが、区画密封袋部20の数は任意(1つであっても構わない)である。また、区画密封袋部20の長さも用途に応じて任意に設定できる。
【0054】
さらに、前述した実施形態では、折り曲げ用の部分溶着部6A,6B,6C,6D,6Eによってフィルムシート40,42同士を部分的に溶着したが、このような部分溶着部を形成することなく、
図6で示すような形態でフィルムシート40,42を折り曲げて側縁部を溶着しても良い。前述した実施形態では、部分溶着部6A〜6Eを形成したことで、
図7に示すように、本体緩衝部10AAは、ストレート状に延び、かつ、その下端で底上げ緩衝部10ABがY字状に拡がるようになるが、部分溶着部6A〜6Eを形成しなくても、同様な構成の緩衝包装材が得られる。この場合、本体緩衝部は下方に移行するにしたがって次第に拡がる形状となり、そのまま底上げ緩衝部が形成されるようになり、
図8で示すアセンブリにする際には、多少、組み込み性に劣るが、十分な緩衝効果を発揮することが可能である。また、折り曲げ用の部分溶着部6A,6C,6Eを形成し、折り曲げ用の部分溶着部6B,6Dについては形成しない構成であっても良い。
【0055】
そして、上述したような緩衝包装材は、
図7に示す収容空間Sに被包装物を収納した状態で、単体として梱包箱に収納する包装方法、
図1で示すように、2つの緩衝包装材を組み合わせてアセンブリとし、これを梱包箱に収納する包装方法、更には、梱包箱に被包装物を収納するに際して、上述したような緩衝包装材を、1つ、或いは複数個、梱包箱の内部空間に配設することで被包装物のサイドパッドとして用いることが可能である。