特許第6683572号(P6683572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683572
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   A62C 2/00 20060101AFI20200413BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A62C2/00 X
   E06B5/16
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-160389(P2016-160389)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-27203(P2018-27203A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 匠
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0007373(US,A1)
【文献】 特開2014−025310(JP,A)
【文献】 特開2015−034404(JP,A)
【文献】 特開2012−136928(JP,A)
【文献】 特開平11−140755(JP,A)
【文献】 特表2006−524736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張性耐火材が枠に貼り付けられた建具であって、
前記熱膨張性耐火材は、加熱により膨張する不燃性または難燃性の部材を有する基層と、前記基層の一方の表面に設けられた粘着剤層とを備え、前記基層が、少なくとも表層部分が複数の領域に分断され、前記粘着剤層を介して前記枠の平面に貼り付けられていることを特徴とする建具
【請求項2】
前記基層は、一定の幅を有した帯状を成し、切り込み線によって複数の領域に分断されたものであり、
前記切り込み線は、前記基層の長手に交差する方向に沿って複数本設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具
【請求項3】
前記切り込み線は、前記基層の長手に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の建具
【請求項4】
前記切り込み線は、傾斜方向が交互に逆向きとなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の建具
【請求項5】
前記切り込み線は、前記基層の板厚に相当する深さに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の建具
【請求項6】
前記切り込み線は、隣接する領域の間に隙間を確保する開口幅を有していることを特徴とする請求項2に記載の建具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の建具には、防火性能を考慮して枠や框に熱膨張性耐火材を配設するようにしたものが提供されている。熱膨張性耐火材は、膨張黒鉛等のように、加熱により膨張する不燃性または難燃性の部材を有する基層を備えて構成されたものである。この種の建具によれば、火災発生時等のように火熱が加えられて高温状態となった場合、枠や框に配設した熱膨張性耐火材が膨張し、枠や框の隙間が塞がれることになる。従って、火炎の貫通口が生じる事態を防止することができる等、防火性能を向上させることができるようになる。熱膨張性耐火材は、基層の一方の表面に粘着剤層を備えており、粘着剤層を介して枠や框の表面に貼り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−140755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、室外の温度変化や湿度の影響を受け易い環境に設置される建具においては、枠や框に貼り付けられた熱膨張性耐火材にも温度や湿度に応じて膨張、収縮が繰り返し生じることになる。上述のように、基層の表面に粘着剤層を備えた熱膨張性耐火材にあっては、粘着剤層の熱膨張率よりも基層の熱膨張率が大きい傾向にあるため、層間の接着性が弱い部分に応力が集中して剥離が生じるおそれがある。特に、建具では、枠や框の長手方向に沿って連続するように熱膨張性耐火材を貼り付ける必要がある。このため、建具に適用する熱膨張性耐火材では、幅に対して長手寸法が十分に大きなものとなり、長手方向に沿った基層の膨張量と粘着剤層の膨張量との差も大きくなって上述の問題が顕著となるおそれがある。さらに、基層と粘着剤層との間にごく僅かでも剥離が生じた場合には、その後に生じる膨張、収縮の影響やゴミ等の異物の付着によって層間全体の剥離に繋がり、枠や框から基層が脱落する事態が発生し得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、熱膨張性耐火材が脱落する事態を防止することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、熱膨張性耐火材が枠に貼り付けられた建具であって、前記熱膨張性耐火材は、加熱により膨張する不燃性または難燃性の部材を有する基層と、前記基層の一方の表面に設けられた粘着剤層とを備え、前記基層が、少なくとも表層部分が複数の領域に分断され、前記粘着剤層を介して前記枠の平面に貼り付けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、基層が複数の領域に分断されているため、基層の膨張量と粘着剤層の膨張量との差を小さく抑えることが可能となり、層間に剥離が生じる事態を防止することができる。
【0008】
また本発明は、上述した建具において、前記基層は、一定の幅を有した帯状を成し、切り込み線によって複数の領域に分断されたものであり、前記切り込み線は、前記基層の長手に交差する方向に沿って複数本設けられていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、熱膨張性耐火材の長手寸法が実質的に短くなるため、基層の膨張量と粘着剤層の膨張量との差をより小さく抑えることが可能となる。
【0010】
また本発明は、上述した建具において、前記切り込み線は、前記基層前記切り込み線は、前記基層の長手に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、分断した領域が傾斜面を介して隣接することになるため、基層が膨張した場合に生じる応力を短手方向に逃がすことができ、層間に剥離が生じる事態をより確実に防止することができる。
【0012】
また本発明は、上述した建具において、前記切り込み線は、傾斜方向が交互に逆向きとなるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、傾斜方向が交互に逆向きとなる傾斜面を介して領域が隣接することになるため、基層が膨張した場合に生じる応力を短手方向の両側に均等に逃がすことができ、層間に剥離が生じる事態をより確実に防止することができる。
【0014】
また本発明は、上述した建具において、前記切り込み線は、前記基層の板厚に相当する深さに形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、基層全体が複数の分断された構成となるため、層間に剥離が生じる事態をより確実に防止することができる。
【0016】
また本発明は、上述した建具において、前記切り込み線は、隣接する領域の間に隙間を確保する開口幅を有していることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、基層が膨張した場合にも分断された領域が相互に接触しないため、発生する応力自体を低減することができ、層間に剥離が生じる事態を防止することが可能となる。
【0018】
また本発明に係る建具は、上述した熱膨張性耐火材が前記粘着剤層を介して枠の表面に貼り付けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、枠の表面からの熱膨張性耐火材の脱落を防止することができる。
【0020】
また本発明に係る建具は、上述した熱膨張性耐火材が前記粘着剤層を介して框の表面に貼り付けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、框の表面からの熱膨張性耐火材の脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基層が複数の領域に分断されているため、基層の膨張量と粘着剤層の膨張量との差を小さく抑えることが可能となり、層間に剥離が生じて被貼付部材から基層が脱落する事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態である熱膨張性耐火材を適用した建具を室内側から見た図である。
図2図2は、図1に示した建具の縦断面図である。
図3図3は、図1に示した建具の横断面図である。
図4図4は、図1に示した建具に適用する熱膨張性耐火材の斜視図である。
図5図5は、図4に示した熱膨張性耐火材を基層表面を示す平面図である。
図6図6は、図4に示した熱膨張性耐火材の変形例1〜変形例5を示す平面図である。
図7図7は、図4に示した熱膨張性耐火材の変形例6及び変形例7を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る熱膨張性耐火材及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1図3は、本発明の実施の形態である熱膨張性耐火材を適用した建具を示したものである。ここで例示する建具は、外倒し窓と称されるもので、障子10及び枠体20を備えている。
【0025】
障子10は、矩形状を成す複層ガラス等の面材11の四周に上框12、下框13及び左右の縦框14を装着することによって構成したものである。障子10を構成するそれぞれの框12,13,14は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手の全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では、框基部12a,13a,14a、框カバー板部12b,13b,14b、框支持板部12c,13c,14c、押縁係合部12d,13d,14d及び押縁係止突起12e,13e,14eを有し、かつ互いに見込み方向に沿った寸法がほぼ同一となる框12,13,14を適用している。
【0026】
ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向のことである。見込み方向に沿った平面については見込み面と称し、見込み方向に沿った寸法については見込み寸法と称する場合がある。また、見付け方向とは、上框12及び下框13等のように水平に沿った部材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦框14等のように上下に沿った部材の場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。見付け方向に沿った平面については、見付け面と称する場合がある。長手とは、それぞれの框を押し出し成形する場合の押し出し方向に一致する。
【0027】
框基部12a,13a,14aは、ほぼ矩形の筒状を成す部分であり、面材11よりも大きな見込み寸法を有するように構成してある。框カバー板部12b,13b,14bは、框基部12a,13a,14aの室外側に位置する縁部から外周側に向けてほぼ直角に延在した板状部分である。框支持板部12c,13c,14cは、框基部12a,13a,14aの室外側に位置する縁部から内周側に向けてほぼ直角に延在した部分である。押縁係合部12d,13d,14dは、框基部12a,13a,14aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて突出した後、室外側に向けて屈曲した部分である。押縁係止突起12e,13e,14eは、框基部12a,13a,14aの内周側となる見込み面において框支持板部12c,13c,14cと押縁係合部12d,13d,14dとの間のほぼ中間となる位置に設けた突出部である。この押縁係止突起12e,13e,14eの突出端部は、室内側に向けてほぼ直角に屈曲している。
【0028】
上記の構成を有する框12,13,14は、それぞれの框支持板部12c,13c,14cに面材11の一方の表面を当接させた状態で、押縁係止突起12e,13e,14e及び押縁係合部12d,13d,14dを介して押縁15を装着し、框支持板部12c,13c,14cと押縁15との間に面材11を挟持することによって障子10を構成している。
【0029】
枠体20は、障子10を開閉可能に支持するもので、上枠21、下枠22、左右の縦枠23を四周枠組みすることによって構成してある。枠体20を構成するそれぞれの枠21,22,23は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手の全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では、見付け寸法が框12,13,14よりも大きく、かつ互いにほぼ同一となる枠21,22,23を適用している。
【0030】
上枠21は、板状を成す上基板部21aの上面両側にそれぞれ上見付け板部21bを有するとともに、上基板部21aの下面に上方当接板部21cを有している。上基板部21aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。上見付け板部21bは、上基板部21aの両側縁部からほぼ直角に屈曲して上方に延在した板状部分である。上見付け板部21bの延在端部は、互いに対向する方向に向けてほぼ直角に屈曲している。上方当接板部21cは、上基板部21aの室内側に位置する内周面からほぼ鉛直下方に向けて延在した部分である。上方当接板部21cの延在端部には、室外に臨む部位にタイト材装着溝21dが設けてある。
【0031】
下枠22は、板状を成す下基板部22aの室内側に位置する縁部に当接部22bを有し、かつ下基板部22aの下面に下見付け板部22cを有している。当接部22bは、下基板部22aからほぼ鉛直上方に向けて突出した角筒状部であり、室外に臨む見付け面が上枠21に設けた上方当接板部21cの室外に臨む見付け面とほぼ同じ位置に構成してある。当接部22bの延在端部には、室外に臨む部位にタイト材装着溝22dが設けてある。下見付け板部22cは、下基板部22aの下面から下方に向けてほぼ鉛直に延在した後、室外側に向けて延在した部分である。下見付け板部22cの延在端部は、下方に向けてクランク状に屈曲している。
【0032】
縦枠23は、板状を成す側基板部23aの外周面両側にそれぞれ側見付け板部23bを有するとともに、側基板部23aの内周面に側方当接板部23cを有している。側基板部23aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。側見付け板部23bは、側基板部23aの両側縁部からほぼ直角に屈曲して外周側に延在した板状部分である。側見付け板部23bの延在端部は、互いに対向する方向に向けてほぼ直角に屈曲している。側方当接板部23cは、側基板部23aの内周面から内周側に向けてほぼ直角に延在した部分である。この側方当接板部23cは、上枠21の上方当接板部21cに対応する部位に設けてある。側方当接板部23cの延在端部には、室外に臨む部位にタイト材装着溝23dが設けてある。タイト材装着溝23dは、上枠21のタイト材装着溝21dと同一形状ものである。
【0033】
上述の枠体20に対しては、障子10の下框13と下枠22の下基板部22aとの間をヒンジ30によって連結することにより、枠体20に対して障子10が開閉可能に支持される。上枠21と上框12との間には、障子10を閉じた状態に維持するラッチ31が設けてある。ラッチ31による係合状態を解除すれば、ヒンジ30の軸芯を中心として上框12が室外側に突出するように障子10を開放することが可能である。
【0034】
図2及び図3に示すように、この建具には、上枠21の上方当接板部21c、下枠22の当接部22b及び縦枠23の側方当接板部23cにおいて、それぞれの室外に臨む見付け面に熱膨張性耐火材40が貼り付けてある。図には明示していないが、それぞれの熱膨張性耐火材40は、枠21,22,23の長手に沿ってそのほぼ全長にわたる部位に配設してある。また、上枠21においては、上基板部21aの室外側に位置する下面にも熱膨張性耐火材40が貼り付けてある。
【0035】
この建具に適用する熱膨張性耐火材40は、図4に示すように、一定の幅を有した薄板の帯状に成形した基層41と、基層41の一方の表面に設けられた粘着剤層42とを備えたもので、粘着剤層42を介してそれぞれの枠21,22,23に保持させてある。基層41は、膨張黒鉛等、加熱により膨張する不燃性または難燃性の部材と不燃性または難燃性の繊維から成る織布もしくは不織布とによって構成したものである。
【0036】
図からも明らかなように、熱膨張性耐火材40には、基層41の表面に複数の切り込み線43が設けてある。切り込み線43は、基層41を成形した後に、その表面から板厚のほぼ半分となる位置まで刃物により切断し、さらに切り込み線43に沿って基層41を折り曲げることにより、基層41の板厚tに相当する深さとなるように構成してある。すなわち、基層41は、粘着剤層42によって一定の幅を有した帯状の形態を維持しているものの、切り込み線43によって複数の三角形領域41aに分断された状態にある。基層41の切り込み線43としては、図4に示すように、基層41の長手(矢印B方向)に対して傾斜し、かつ傾斜方向が交互に逆向きとなるように設けることが好ましい。
【0037】
この建具によれば、火災発生時等、火熱が加えられた場合、熱膨張性耐火材40の基層41が膨張し、枠体20と障子10との隙間が塞がれることになる。従って、枠体20と障子10との隙間が火炎の貫通口となるおそれはなく、防火性能を向上させることが可能となる。
【0038】
しかも、枠21,22,23に貼り付けた熱膨張性耐火材40は、上述したように、切り込み線43によって基層41が複数の三角形領域41aに分断された状態にある。従って、室外の温度変化や湿度の影響によって熱膨張性耐火材40が膨張したとしても、基層41の膨張量と粘着剤層42の膨張量との差を小さく抑えることが可能となり、層間に剥離が生じる事態を防止することができる。特に、実施の形態のごとく、基層41の長手方向Bを複数に分断するように切り込み線43を設けた場合には、実質的に基層41の長手寸法が短くなるため、基層41の膨張量と粘着剤層42の膨張量との差をより小さく抑えることが可能となる。さらに、基層41の長手方向Bに対して傾斜するように切り込み線43を設けているため、図5に示すように、基層41が膨張した場合に生じる応力を短手方向Cの両側に均等に逃がすことができ、層間に剥離が生じる事態をより一層確実に防止することができる。加えて、単位長さ当たりの基層41の貼付量については、板厚tに変化がないため切り込み線43を設ける前後で大きな変化はない。これらの結果、経年によっても基層41が枠21,22,23から脱落するおそれはなく、火熱が加えられた場合に確実に枠体20と障子10との隙間を塞ぐことができるようになる。
【0039】
なお、基層41に施す切り込み線43としては、必ずしも上述した実施の形態のものに限らず、基層41を複数の領域に分断するものであれば、如何なる形態であっても構わない。例えば、図6の(a)の変形例1に示すように、長手方向Bに対して傾斜する切り込み線43を傾斜角度が交互に逆向きとなるように施すことによって基層41を複数の台形領域41bに分断するようにしても良いし、図6の(b)の変形例2に示すように、複数の傾斜する切り込み線43を互いに交差させて矩形領域41cと三角形領域41dとに分断するようにしても構わない。
【0040】
基層41に施す切り込み線43は、必ずしも長手方向Bに対して傾斜させる必要はなく、図6の(c)の変形例3に示すように、長手方向Bに直交するように切り込み線43を設けることによって基層41を複数の矩形領域41eに分断しても良いし、図6の(b)の変形例2に示した切り込み線43と、図6の(c)の変形例3に示した切り込み線43とを組み合わせることにより、図6の(d)の変形例4に示すように、基層41を極小の三角形領域41fに分断することも可能である。
【0041】
さらに、切り込み線43は、基層41の長手方向Bに対して交差する方向に施す必要はなく、図6の(e)の変形例5に示すように、基層41の長手方向Bに沿って切り込み線43を設けても良い。
【0042】
なお、上述した実施の形態及び変形例では、切り込み線43を設けることによって基層41を複数の領域に分断するようにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、例えば、予め成形した複数の小片を粘着剤層に貼り付けることによって基層を構成することも可能である。
また、切り込み線43を設ける場合に上述した実施の形態及び変形例では、基層41の板厚tに相当する深さに形成しているが、少なくとも基層41の一方の表層にのみ切り込み線43を設ければ十分である。この場合、外部に露出した基層41の表層のみならず、粘着剤層42を設けた表面側の表層部分にのみ切り込み線43を設けても良い。
【0043】
さらに、切り込み線43としては、線状のものに限らず、図7の(a)の変形例6及び図7の(b)の変形例7に示すように、開口幅aを有した切り込み線43′を設け、隣接領域41g,41hの間に隙間を確保するようしても良い。図7に記載した例のように、開口幅をa有した切り込み線43′を設けた熱膨張性耐火材40においては、火熱が加えられた場合にも、隣接する領域41g,41hが相互に接触することがない。従って、熱膨張性耐火材40が膨張した際に発生する応力自体を低減することができ、層間に剥離が生じる事態を確実に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
10 障子、12,13,14 框、21,22,23 枠、40 熱膨張性耐火材、41 基層、41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41h 領域、42 粘着剤層、43,43′ 切り込み線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7