(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体(B)もしくは該車体(B)に開閉可能に取付けられるリッド(15)に固定されるケース(22)と、該ケース(22)と協働して収容室(45,46)を形成するとともに押圧操作を可能として前記ケース(22)に支持される押しボタン(25,26)と、該押しボタン(25,26)の押圧操作に応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記収容室(45,46)に収容、固定されるスイッチ(23,24)とを備える車両用押しボタンスイッチ装置において、
前記ケース(22)に取り付けられる弾性部材(65)に、前記スイッチ(23,24)に接続されるコード(66,67,68)が密接状態で貫通、保持されるとともに、前記車体(B)の内部もしくは前記リッド(15)のアウターパネル(19)の内部に通じる空気抜き孔(83)と、前記収容室(45,46)および前記空気抜き孔(83)間を結ぶ連通路(84)とが形成されることを特徴とする車両用押しボタンスイッチ装置。
前記ケース(22)が、前記車体(B)もしくは前記アウターパネル(19)に取付けられる第1ケース部材(27)と、車幅方向に並ぶ一対の前記スイッチ(23,24)が取付けられるとともに前記第1ケース部材(27)との間に弾性シール部材(41)を介在させた樹脂製の第2ケース部材(28)とが、一対の前記スイッチ(23,24)間に配置される第1の締結部材(50A)ならびに一対の前記スイッチ(23,24)の一方(24)を第1の締結部材(50A)との間に挟む位置に配置される第2の締結部材(50B)で締結されて成り、他方の前記スイッチ(23)を前記第1の締結部材(50A)との間に挟む位置で前記第1ケース部材(27)および前記第2ケース部材(28)間には、前記第1の締結部材(50A)よりも前記他方のスイッチ(23)側で第2ケース部材(28)が第1ケース部材(27)から離反する側に変形するのを防止する変形防止手段(54)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
前記変形防止手段(54)は、嵌合孔(57)が設けられる端壁(55a)を先端に有するとともに前記嵌合孔(57)よりも大径の挿入孔(58)を形成して有底円筒状に形成されつつ第2ケース部材(28)に突設される規制筒部(55)と、前記挿入孔(58)に緩く挿入される挿入部(56a)ならびに前記嵌合孔(57)に嵌合されるようにして前記挿入部(56a)の先端に突設される嵌合軸部(56b)を有して前記第1ケース部材(27)に突設される規制突起(56)とから成ることを特徴とする請求項2に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、収容室に通じる連通路と、その連通路を外部に開口さ
せる空気抜き孔とがケースに設けられている。ところがケースの小型化を図った場合や、車体もしくはリッドのアウターパネルへの固定位置によっては、連通路および空気抜き孔をケースに設けることが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ケースの大きさや固定位置にかかわらず、収容室内を外部に通じさせるようにして押しボタンの操作感が異ならないようにした車両用押しボタンスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体もしくは該車体に開閉可能に取付けられるリッドに固定されるケースと、該ケースと協働して収容室を形成するとともに押圧操作を可能として前記ケースに支持される押しボタンと、該押しボタンの押圧操作に応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記収容室に収容、固定されるスイッチとを備える車両用押しボタンスイッチ装置において、前記ケースに取り付けられる弾性部材に、前記スイッチに接続されるコードが
密接状態で貫通、保持されるとともに、前記車体の内部もしくは前記
リッドのアウターパネルの内部に通じる空気抜き孔と、前記収容室および前記空気抜き孔間を結ぶ連通路とが形成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ケースが、前記車体もしくは前記アウターパネルに取付けられる第1ケース部材と、車幅方向に並ぶ一対の前記スイッチが取付けられるとともに前記第1ケース部材との間に弾性シール部材を介在させた樹脂製の第2ケース部材とが、一対の前記スイッチ間に配置される第1の締結部材ならびに一対の前記スイッチの一方を第1の締結部材との間に挟む位置に配置される第2の締結部材で締結されて成り、他方の前記スイッチを前記第1の締結部材との間に挟む位置で前記第1ケース部材および前記第2ケース部材間には、前記第1の締結部材よりも前記他方のスイッチ側で第2ケース部材が第1ケース部材から離反する側に変形するのを防止する変形防止手段が設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記変形防止手段は、嵌合孔が設けられる端壁を先端に有するとともに前記嵌合孔よりも大径の挿入孔を形成して有底円筒状に形成されつつ第2ケース部材に突設される規制筒部と、前記挿入孔に緩く挿入される挿入部ならびに前記嵌合孔に嵌合されるようにして前記挿入部の先端に突設される嵌合軸部を有して前記第1ケース部材に突設される規制突起とから成ることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、スイッチに接続されるコードが
密接状態で貫通、保持されるようにしてケースに取付けられる弾性部材に、空気抜き孔および連通路が形成されるので、ケースの大きさや固定位置にかかわらず、収容室内を外部に通じさせるようにして押しボタンの操作感が異ならないようにすることができる。しかもコードが
密接状態で貫通、保持される弾性部材は、従来から設けられてきた既存部品であるので、部品点数の増加を抑えることができ、組立工数およびコストの低減を図ることができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば、車幅方向に並ぶ一対のスイッチ間に配置される第1の締結部材と、一対のスイッチの一方を第1の締結部材との間に挟む位置に配置される第2の締結部材とで第1および第2ケース部材が締結されるので、第1および第2ケース部材の締結箇所を減らすことができ、部品点数の増加を抑えてコスト低減を図ることができる。しかも他方のスイッチを第1の締結部材との間に挟む位置には締結部材が配設されないので弾性シール部材の弾発反力によって第1の締結部材よりも他方のスイッチ側で第2ケース部材が第1ケース部材から離反する側に変形する可能性があるが、変形防止手段によって第2ケース部材の変形が防止される。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば、変形防止手段が、第2ケース部材に設けられる規制筒部と、第1ケース部材に設けられる規制突起とから成り、規制筒部の嵌合孔に規制突起の嵌合軸部を嵌合することで第2ケース部材の変形を防止するようにしているので、変形防止手段を構成するための専用の部材が不要であって部品点数の増加を抑えることができ、しかも第1ケース部材への第2ケース部材への取付け時に規制突起および規制筒部が位置決め機能も果たすことになる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について添付の
図1〜
図12を参照しながら説明すると、先ず
図1において、乗用車両の車体Bの後部には、リッドであるテールゲート15が、上方に開放することを可能として開閉可能に取付けられており、このテールゲート15の上部にリヤガラス16が設けられる。前記リヤガラス16の下方で前記テールゲート15の車幅方向中央部には、ライセンスプレート17が取付けられる。
【0014】
図2を併せて参照して、前記テールゲート15には、前記ライセンスプレート17を上方から覆うようにして車両の後方に膨出する装飾カバー18が設けられており、本発明に従う押しボタンスイッチ装置20が、前記装飾カバー18の下方で前記テールゲート15に取付けられる。この押しボタンスイッチ装置20は、この実施の形態にあっては、前記テールゲート15以外の全ドアのロック状態およびアンロック状態を切換え可能とするとともに、前記テールゲート15をラッチ状態からアンラッチ状態へと切換えることができるものである。
【0015】
図3〜
図7を併せて参照して、前記押しボタンスイッチ装置20は、前記テールゲート15のアウターパネル19に固定されるケース22と、該ケース22に固定される第1および第2のスイッチ23,24と、押圧操作によって第1および第2のスイッチ23,24のスイッチング態様を変化させるようにして前記ケース22に支持される第1および第2の押しボタン25,26とを備えており、第1および第2のスイッチ23,24はタクトスイッチである。
【0016】
第1のスイッチ23は、前記テールゲート15以外の全ドアをロック状態とするためのものであり、第1の押しボタン25を押圧操作して第1のスイッチ23のスイッチング態様が変化した状態で車両ユーザーが携帯した携帯器および車両間での双方向通信によって正規のユーザーであることが確認されると、前記テールゲート15以外の全ドアがロック状態となる。このようにテールゲート15に設けられる押しボタンスイッチ装置20が、前記テールゲート15以外の全ドアをロック状態とするための第1の押しボタン25および第1のスイッチ23を備えるのは、前記テールゲート15を閉じた後に他のドアをロックするために、運転席側のドアに設けられているロックスイッチをわざわざ押しに行くという面倒さをなくすためである。
【0017】
また第2のスイッチ24は、前記テールゲート15以外の全ドアをアンロック状態とするとともに前記テールゲート15をアンラッチ状態とするためのものであり、第2の押しボタン26を押圧操作して第2のスイッチ24のスイッチング態様が変化した状態で車両ユーザーが携帯した携帯器および車両間での双方向通信によって正規のユーザーであることが確認されると、前記テールゲート15以外の全ドアがアンロック状態となると同時に、前記テールゲート15が電動駆動によって自動的にアンラッチ状態となり、前記テールゲート15が開放状態となる。
【0018】
前記ケース22は、前記アウターパネル19に固定される合成樹脂製の第1ケース部材27と、第1ケース部材27に取付けられる合成樹脂製の第2ケース部材28とから成る。第1ケース部材27は、前記アウターパネル19に取付けられる取付け部27aと、該取付け部27aから離反するにつれて上方位置となるように傾斜して前記取付け部27aから延出される延出部27bとを一体に備え、第2ケース部材28は、前記延出部27bを上方から覆うようにして該延出部27bに取付けられる。
【0019】
前記第1ケース部材27における前記取付け部27aの外周部と、前記アウターパネル19との間には、たとえばスポンジから成る無端状の防水シール30が介装される。しかも前記防水シール30で囲まれる部分で前記取付け部27aには、車幅方向に間隔をあけて配置される一対のボルト31がモールド結合されており、前記アウターパネル19を貫通した前記ボルト31に、前記アウターパネル19の内方からナット(図示せず)を螺合して締め付けることにより、第1ケース部材27の前記取付け部27aが前記アウターパネル19に固定される。
【0020】
図5に注目して、第1ケース部材27の前記延出部27bに対向する側で第2ケース部材28には、第1の凹部33と、第1の凹部33よりも車幅方向に長い第2の凹部34とが、車幅方向で第1の凹部33の左側に第2の凹部34が配置されるようにして形成されており、前記第1のスイッチ23が第1の凹部33に収容される。
【0021】
また前記第2の凹部34の中央部に配置される突部36が、第1ケース部材27の前記延出部27b側に突出するようにして第2ケース部材28に一体に設けられており、この突部36の中央部に第3の凹部35が形成され、この第3の凹部35には、前記第2のスイッチ24が収容される。
【0022】
前記第1の凹部33内に収容された状態で前記第2ケース部材28に固定される前記第1のスイッチ23の周囲を埋めるように前記第1の凹部33にはポッティング樹脂37が充填され、前記第3の凹部35内に収容された状態で前記第2ケース部材28に固定される前記第2のスイッチ24の周囲を埋めるように前記第3の凹部35にはポッティング樹脂38が充填される。
【0023】
前記第2ケース部材28には、第1〜第3の凹部33〜36を囲むようにして無端状に連なる溝39が形成される。前記第1ケース部材27の前記延出部27bと、前記第2ケース部材28との間には前記溝39で囲まれるようにしてゴム等の弾性材料から成る弾性シール部材41が挟持されるものであり、前記延出部27bには、前記弾性シール部材41の外方で前記延出部27bおよび前記第2ケース部材28間に生じる空隙がラビリンス状となるようにするための無端状に連なる突部40が前記溝39に挿入されるようにして一体に突設される。また前記第2ケース部材28には、前記弾性シール部材41の外周部に食い込むようにして無端状に連なるシールリブ42が一体に突設される。
【0024】
前記第1ケース部材27の前記延出部27bには、前記第2ケース部材28の前記第1の凹部33に対応する位置に配置される円形の第1の窓43と、前記第2ケース部材28の前記第2の凹部34に対応する位置で車幅方向に延びる長孔状の第2の窓44とが設けられる。
【0025】
前記弾性シール部材41には、前記第1の窓43に配置されるようにして前記第2ケース部材28とは反対側に膨出する第1の押しボタン25が押圧操作を可能として一体に形成される。また前記第2ケース部材28の前記第1の凹部33と、前記第1の押しボタン25とで第1の収容室45が形成され、前記第1の押しボタン25の押圧操作によってスイッチング態様を変化させる前記第1のスイッチ23が前記第1の収容室45に収容、固定されることになる。
【0026】
また前記弾性シール部材41には、前記第2の窓44に配置されるようにして第2ケース部材28とは反対側に膨出した膨出部41aが一体に形成され、この膨出部41aと、該膨出部41aの内面側に取付けられる合成樹脂製のガイドプレート47とで、押圧操作を可能とした前記第2の押しボタン26が構成され、前記第2ケース部材28の前記第2の凹部34と、前記第2の押しボタン26とで前記第2の収容室46が形成され、前記第2の押しボタン26の押圧操作によってスイッチング態様を変化させる前記第2のスイッチ24が、前記第2の収容室46に収容、固定されることになる。しかも第1および第2の収容室45,46間は、第1および第2の凹部33,34間で第2ケース部材28に設けられる連通溝(図示せず)を介して相互に連通される。
【0027】
ところで前記第1ケース部材27の前記延出部27bと、該延出部27bとの間に弾性シール部材41を介在させた前記第2ケース部材28とは、第1および第2のスイッチ23,24間に配置される第1の締結部材である第1のねじ部材50Aと、第1および第2のスイッチ23,24の一方である第2のスイッチ24を第1のねじ部材50Aとの間に挟む第2の締結部材である第2のねじ部材50Bとで締結され、第1および第2のねじ部材50A,50Bは、前記弾性シール部材41の外側方に配置される。
【0028】
図8を併せて参照して、前記第1ケース部材27の前記延出部27bには、第1および第2のねじ部材50A,50Bを締結するために、2本の取付ボス51が前記第2ケース部材28側に向けて突出するようにして一体に突設されており、それらの取付けボス51には、前記第2ケース部材28側に向かうにつれて小径となるテーパ状に形成されて軸方向中間に配置される段部51aと、その段部51aの小径端に同軸に連なる小径軸部51bとが設けられる。しかも各取付ボス51には、前記小径軸部51bの先端に一端を開口する有底の締結孔52が同軸にそれぞれ設けられる。
【0029】
前記第2ケース部材28には、前記取付ボス51に個別に対応した挿入孔53が設けられており、それらの挿入孔53は、前記取付ボス51の前記段部51aを受ける段差状の受け部53aを中間部に有しつつ、前記取付けボス51を挿入可能に形成される。そして前記受け部53aで前記段部51aを受けるようにして各挿入孔53に前記取付けボス51が挿入された状態で、前記第1ケース部材27の前記延出部27bと反対側から前記挿入孔53に挿入される第1および第2のねじ部材50A,50Bを各取付ボス51の前記締結孔52にねじ込むことによって、第1ケース部材27の延出部27bに弾性シール部材41を介して第2ケース部材28が取付けられ、それによって前記ケース22が構成されることになる。
【0030】
ところで前記第1および第2のねじ部材50A,50Bによる前記第1および第2ケース部材27,28の締結箇所は、車幅方向で第2のスイッチ24を相互間に挟む2箇所に設定されており、第1および第2のねじ部材50A,50Bによる締結だけでは、車幅方向で第1のねじ部材50Aよりも右側で第2ケース部材28は、いわば片持ち状態となる。このため第1のねじ部材50Aよりも右側では、第2ケース部材28が弾性シール部材41の弾発反力の作用によって第1ケース部材27の前記延出部27bから離反する側に変形する可能性がある。そこで第1のスイッチ23を前記第1のねじ部材50Aとの間に挟む位置で前記第1ケース部材27の前記延出部27bおよび前記第2ケース部材28間には、前記第2ケース部材28の前記変形を防止する変形防止手段54が設けられる。
【0031】
前記変形防止手段54は、前記第1ケース部材27の前記延出部27bから離反する方向に突出するようにして前記第2ケース部材28に一体に突設される規制筒部55と、その規制筒部55に対応する位置で前記延出部27bに一体に突設される規制突起56とで構成される。
【0032】
前記規制筒部55は、小径の嵌合孔57を先端の端壁55aに有するとともに前記嵌合孔57よりも大径の挿入孔58を形成するようにした有底円筒状の形状を有する。一方、前記規制突起56は、前記挿入孔58に緩く挿入される挿入部56aならびに前記嵌合孔57に嵌合されるようにして前記挿入部56aの先端に突設される嵌合軸部56bを有するものであり、前記挿入部56aは、前記嵌合軸部56bに同径かつ同軸に連なる軸部分56aaと、その軸部分56aaの周方向に等間隔をあけた4箇所に連設されて半径方向外方に張り出す4つの張り出し部分56abとを一体に有するように形成される。
【0033】
図6および
図7に注目して、前記第1ケース部材27の前記延出部27bとは反対に臨む側で第2ケース部材28には、前記第1の凹部33に対応した第1の接続用凹部59と、前記第3の凹部35に対応した第2の接続用凹部60とが形成される
前記第2ケース部材28には、第1、第2および第3バスバー61,62,63がモールド結合される。第1バスバー61は、第1の接続用凹部59内に配置される第1分岐部61aならびに第2の接続用凹部60内に配置される第2分岐部61bを有するように形成され、第2バスバー62は、第2の接続用凹部60内に配置されるように形成され、第3バスバー63は、第1の接続用凹部59内に配置される第1分岐部63aならびに第2の接続用凹部60内に配置される第2分岐部63bを有するように形成される。
【0034】
前記第1の接続用凹部59内には、前記第1バスバー61の前記第1分岐部61aと、前記第3バスバー63の前記第1分岐部63aとが並列して配置され、前記第1のスイッチ23のプラス側端子が前記第1バスバー61の前記第1分岐部61aに電気的に接続され、前記第1のスイッチ23のマイナス側端子が前記第3バスバー63の前記第1分岐部63aに電気的に接続され、それによって前記第1のスイッチ23が前記第1の凹部33内に収容された状態で前記第2ケース部材28に固定される。また前記第2の接続用凹部60内には、前記第2バスバー62と、前記第3バスバー63の前記第2分岐部63bとが並列して配置されるとともに、前記第2バスバー62を前記第3バスバー63の前記第2分岐部63bとの間に挟むようにして前記第1バスバー61の前記第2分岐部61bが配置される。前記第2のスイッチ24のプラス側端子は前記第2バスバー62に電気的に接続され、前記第2のスイッチ24のマイナス側端子は前記第3バスバー63の前記第2分岐部63bに電気的に接続され、これにより前記第2のスイッチ24が前記第3の凹部35内に収容された状態で前記第2ケース部材28に固定される。
【0035】
前記ケース22の前記アウターパネル19の内部に臨む部分には弾性部材であるグロメット65が取付けられ、当該グロメット65に第1、第2および第3のコード66,67,68が
密接状態で貫通、保持され、前記第2の接続凹部60内で、前記第1のコード66が前記第1バスバー61の前記第2分岐部61bにハンダ付けで電気的に接続され、前記第2のコード67が前記第2バスバー62にハンダ付けで電気的に接続され、さらに前記第3のコード68が前記第3バスバー63の前記第2分岐部63bにハンダ付けで電気的に接続される。すなわち前記第1および第2のスイッチ23,24に連なる前記第1〜第3バスバー61〜63に、前記第1〜第3のコード66〜68が前記第2のスイッチ24に対応する部分に集中して電気的に接続されることになる。
【0036】
前記第1の接続用凹部59内で前記第1バスバー61の前記第1分岐部61aならびに前記第3バスバー63の前記第1分岐部63aに前記第1のスイッチ23が電気的に接続された状態で前記第1の接続用凹部59内には、
図5の鎖線で示すようにポッティング樹脂69が充填される。また前記第2の接続用凹部48内で、前記第2バスバー62および前記第3バスバー63の前記第2分岐部63bに前記第2のスイッチ24が電気的に接続されるとともに前記第1〜第3バスバー61〜63に前記第1〜第3のコード66〜68が電気的に接続された状態で前記第2の接続用凹部60内には、
図2および
図5の鎖線で示すようにポッティング樹脂70が充填される。
【0037】
前記第3の凹部35および前記第2の接続用凹部60に対応する部分で前記第1ケース部材27の前記取付け部27aには、車幅方向に長く延びる長孔状の第1取付け孔71が設けられるとともに、その第1取付け孔71に車幅方向左側で隣接する円形の第2取付け孔72が設けられ、前記グロメット65は、第1および第2取付け孔71,72に車両前後方向後方から液密にかつ弾発的に嵌合されることで、第1ケース部材27の前記取付け部27aに取付けられる。
【0038】
図9〜
図12を併せて参照して、前記グロメット65は、第1ケース部材27の前記取付け部27aに車両前後方向後方から当接される平板状の当接板部65aと、前記第1取付け孔71に対応した楕円形の横断面形状を有しつつ前記当接板部65aから車両前後方向前方に突出して前記第1取付け孔71に液密にかつ弾発的に嵌合される第1嵌合部65bと、前記第2取付け孔72に対応した円形の横断面形状を有しつつ前記当接板部65aから車両前後方向前方に突出して前記第2取付け孔72に液密にかつ弾発的に嵌合される第2嵌合部65cと、その第2嵌合部65cに対応する部分で前記当接板部65aから車両前後方向前方に突出してブロック状に形成される突部65dとを一体に有するように形成される。
【0039】
前記第1嵌合部65bに対応する部分で前記グロメット65には、前記第1〜第3のコード66〜68を個別に
密接状態で貫通、保持するための保持孔73,74,75が車幅方向に並んで設けられる。
【0040】
また前記突部65dは、前記第2ケース部材28の前記第2の凹部34と、前記第2の押しボタン26とで形成されるとともに前記第1の収容室45にも通じている前記第2の収容室46に対応する部分で前記第2ケース部材28の一部を上方から覆うように配置されており、
図4に明示するように、前記第2の収容室46に通じて前記第2ケース部材28から上方に突出するようにして前記第2ケース部材28に一体に突設される接続筒部77を気密に嵌合させる接続嵌合孔76が、前記グロメット65における前記突部65dの下面に形成される。
【0041】
ところで前記第1ケース部材27の前記第1取付け孔71に対応する部分には、前記取付け部27aから車両前後方向前方に延びるコネクタ支持部27cの前端が一体に連設されており、前記テールゲート15の前記アウターパネル19には、前記コネクタ支持部27cを貫通させる貫通孔78(
図2参照)が設けられる。前記コネクタ支持部27cにはコネクタ82が着脱可能に取付けられるものであり、このコネクタ82には、前記グロメット65を
密接状態で貫通する第1〜第3のコード66〜68の他端部に設けられる端子79,80,81が配設される。
【0042】
図4に注目して、前記グロメット65における前記第2嵌合部65cの車両前後方向に沿う前端は、前記貫通孔78を経て前記アウターパネル19の内部に通じるようにして第1ケース部材27の前記取付け部27aおよび前記アウターパネル19間に生じる空間85に臨んで配置されており、この第2嵌合部65cの車両前後方向に沿う前端部には、前記空間85および前記貫通孔78を介して前記アウターパネル19の内部に通じる空気抜き孔83が形成され、前記グロメット65における前記突部65d、前記当接板部65aおよび第2嵌合部65cには、前記第2の収容室46に通じて前記第2ケース部材28に一体に突設される前記接続筒部77および前記空気抜き孔83間を結ぶようにして略L字状の連通路84が形成される。すなわち前記グロメット65には、前記アウターパネル19の内部に通じる空気抜き孔83と、第1の収容室45に通じた第2の収容室46および前記空気抜き孔83間を結ぶ前記連通路84とが形成されることになる。
【0043】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、テールゲート15に固定されるケース22と、該ケース22と協働して第1および第2の収容室45,46を形成するとともに押圧操作を可能としてケース22に支持される第1および第2の押しボタン25,26と、それらの押しボタン25,26の押圧操作に応じてスイッチング態様を変化させるようにして第1および第2の収容室45,46に収容、固定される第1および第2のスイッチ23,24とを備える押しボタンスイッチ装置20において、前記テールゲート15のアウターパネル19に固定される前記ケース22にグロメット65が取付けられ、このグロメット65に、第1および第2のスイッチ23,24に接続され第1〜第3のコード66,67,68が
密接状態で貫通、保持されるとともに、前記アウターパネル19の内部に通じる空気抜き孔83と、第1および第2の収容室45,46および前記空気抜き孔83間を結ぶ連通路84とが形成されるので、前記ケース22の大きさや固定位置にかかわらず、前記第1および第2の収容室45,46内を外部に通じさせるようにして前記第1および第2の押しボタン25,26の操作感が異ならないようにすることができる。しかも前記第1〜第3のコード66〜68が
密接状態で貫通、保持される前記グロメット65は、従来から設けられてきた既存部品であるので、部品点数の増加を抑えることができ、組立工数およびコストの低減を図ることができる。
【0044】
また前記ケース22が、前記アウターパネル19に取付けられる第1ケース部材27の延出部27bと、車幅方向に並ぶ第1および第2のスイッチ23,24が取付けられるとともに前記延出部27bとの間に弾性シール部材41を介在させた樹脂製の第2ケース部材28とが、前記第1および第2のスイッチ23,24間に配置される第1のねじ部材50Aならびに第2のスイッチ24を第1のねじ部材50Aとの間に挟む位置に配置される第2のねじ部材50Bで締結されて成るので、前記第1および第2ケース部材27,28の締結箇所を減らすことができ、部品点数の増加を抑えてコスト低減を図ることができる。
【0045】
また第1のスイッチ23を前記第1のねじ部材50Aとの間に挟む位置にはねじ部材等の締結部材が配設されないので、弾性シール部材41の弾発反力によって前記第1のねじ部材50Aよりも前記第1のスイッチ23側で前記第2ケース部材28が前記第1ケース部材27の前記延出部27bから離反する側に変形する可能性があるが、前記第1のスイッチ23を前記第1のねじ部材50Aとの間に挟む位置で前記第1ケース部材27の前記延出部27bおよび前記第2ケース部材28間には、前記第1のねじ部材50Aよりも前記第1のスイッチ23側で前記第2ケース部材28が第1ケース部材27の前記延出部27bから離反する側に変形するのを防止する変形防止手段54が設けられるので、その変形防止手段54によって前記第2ケース部材28の変形が防止される。
【0046】
また前記変形防止手段54は、嵌合孔57が設けられる端壁55aを先端に有するとともに前記嵌合孔57よりも大径の挿入孔58を形成して有底円筒状に形成されつつ前記第2ケース部材28に突設される規制筒部55と、前記挿入孔58に緩く挿入される挿入部56aならびに前記嵌合孔57に嵌合されるようにして前記挿入部56aの先端に突設される嵌合軸部56bを有して前記第1ケース部材27の前記延出部27bに突設される規制突起56とから成るので、変形防止手段54を構成するための専用の部材が不要であって部品点数の増加を抑えることができる。しかも前記第1ケース部材27への前記第2ケース部材28への取付け時に前記規制突起56および前記規制筒部55が位置決め機能も果たすことになる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
たとえば上述の実施の形態ではテールゲート15に取付けられる押しボタンスイッチ装置について説明したが、テールゲート15以外のリッドや、車体Bに取付けられる押しボタンスイッチ装置にも本発明を適用可能である。