(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部の縁部に沿って延在する中空部と前記中空部における外周側の見込み面から外周側に向けて延在するヒレ部とを有する合成樹脂製の枠体を備えた建具であって、
前記中空部の内部に設けられ、前記中空部の長手方向に沿って延在し、前記枠体を補強する不燃性または難燃性の枠体補強材と、
前記中空部の外周側に設けられ、前記枠体を支持する不燃性または難燃性のブラケットとを備え、
前記枠体補強材は、
前記中空部における内周側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する対向部と、
前記対向部から外周側に延在した延在部とを備え、
前記ブラケットは、
見込み方向に沿って延在し、前記中空部における外周側の見込み面と前記枠体に対して外周側に並設される外壁材との間に位置付けられる第1支持片と、
前記第1支持片における室内側の端部から外周側に屈曲して延在し、前記ヒレ部を挟み込んで前記建物の躯体に締結部材により締結される第2支持片とを備え、
前記第1支持片における室外側の端部は、
前記外壁材における室外側の外表面よりも室内側に位置付けられ、
前記延在部の少なくとも一部は、
前記外壁材及び前記第1支持片の双方に対して内周側から重なる位置に位置付けられる
ことを特徴とする建具。
【背景技術】
【0002】
従来、引違い窓等の建具において、建物の開口部の縁部に取り付けられる枠体を樹脂材料で構成した建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図4は、従来の建具9の要部拡大縦断面図である。
図5は、従来の建具9の要部拡大横断面図である。
特許文献1に記載の建具9において、枠体10を構成する下枠11は、中空部111及びヒレ部112を備え、樹脂材料で構成されている。この中空部111は、建物の開口部Opの縁部に沿って延在し、見込み方向に沿って並ぶ第1〜第3中空部113〜115を有する。また、ヒレ部112は、中空部111における外周側(下方側)の見込み面から外周側に向けて延在し、ネジSc7により建物の躯体Bに固定される部分である。
また、第2中空部114の内部には、中空部111の長手方向に沿って延在し、下枠11を補強する不燃性または難燃性の下補強材12が設けられている。この下補強材12は、第2中空部114における内周側(上方側)の見込み面を構成する見込み壁部に対向する対向部121と、対向部121から外周側に延在した延出部122とを備える。
ここで、延出部122は、枠体10に対して外周側に並設される外壁材13における室外側の外表面よりも室外側に位置付けられる。
【0003】
さらに、中空部111の外周側には、下枠11を支持する下ブラケット14が設けられている。この下ブラケット14は、見込み方向に沿って延在する第1支持片141と、第1支持片141における室内側の端部から外周側に屈曲して延在する第2支持片142とを備え、断面視L字形状を有する。
ここで、第2支持片142は、建物の躯体Bとの間にヒレ部112を挟み込んだ状態で、ネジSc7により当該躯体Bに固定される。この状態では、第1支持片141は、第2中空部114における外周側の見込み面と、外壁材13との間に位置付けられる。また、第1支持片141における室外側の端部は、外壁材13における室外側の外表面よりも室外側に位置付けられる。さらに、延出部122は、第1支持片141に対して内周側から重なる位置に位置付けられる。
すなわち、上述した構成により、建具9の下端部側には、外壁材13における室外側の外表面、第1支持片141、延出部122、及び対向部121により、遮炎ラインL3が形成される。この遮炎ラインL3により、室外からの火炎により下枠11における室外側が溶融した場合であっても、室外から第2中空部114の内部への火炎の侵入を防ぐことができる。また、室外からの火炎により下枠11における室外側が溶融した場合であっても、下補強材12及び下ブラケット14により、外障子15及び内障子16の荷重を支持し、外障子15が外周側に移動(脱落)してしまうことを回避することができる。
【0004】
一方、枠体10を構成する室内側から見て左側の左縦枠17は、下枠11における中空部111(第1〜第3中空部113〜115を含む)及びヒレ部112とそれぞれ同様の中空部171(第1〜第3中空部173〜175を含む)及びヒレ部172を備え、樹脂材料で構成されている。
また、第2中空部174の内部には、中空部171の長手方向に沿って延在し、左縦枠17を補強する不燃性または難燃性の左補強材18が設けられている。この左補強材18は、下補強材12における対向部121及び延出部122とそれぞれ同様の対向部181及び延出部182を備える。
さらに、第2中空部174の内部には、加熱されることにより発泡する加熱発泡材19が設けられている。
すなわち、上述した構成により、室外からの火炎により左縦枠17における室外側が溶融した場合であっても、加熱発泡材19の発泡により、室外から第2中空部174の内部への火炎の侵入を防ぐことができる。また、室外からの火炎により左縦枠17における室外側が溶融した場合であっても、外障子15における戸先側の端部に係合する不燃性または難燃性の係合部材20を左補強材18にて支持し、外障子15が室外側に移動(脱落)してしまうことを回避することができる。
なお、建具9における室内側から見て右側の防火構造も上述した室内側から見て左側の防火構造と同一である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0015】
〔建具の概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態に係る建具1を室内側から見た図である。
図2は、建具1の要部拡大縦断面図である。
図3は、建具1の要部拡大横断面図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、
図2の矢印Arで示すように、建具1の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する場合がある。
建具1は、引違い窓で構成され、枠体2と、外障子3と、内障子4とを備える。
枠体2は、上枠21、下枠22、
図1中、左側に位置する左縦枠23、及び
図1中、右側に位置する右縦枠24を四周枠組みすることによって構成され、建物の開口部Opの縁部に沿うように取り付けられる。
本実施の形態では、これら各枠部材21〜24は、合成樹脂製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
なお、これら各枠部材21〜24の詳細な構成については後述する。
【0016】
外障子3は、本発明に係る障子に相当し、内障子4に対して室外側に位置し、枠体2に対して
図1中、左右方向に開閉移動可能に取り付けられている。この外障子3は、面材31と、框体32とを備える。
面材31は、スペーサ311を介して一対のガラス板312,313を互いに間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスで構成されている。
框体32は、上框321、下框322、戸先框323、及び召合せ框(図示略)を框組みすることにより構成され、内部で面材31を保持する。
これら上框321、下框322、戸先框323、及び召合せ框(図示略)は、合成樹脂製またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
また、下框322の下端部には、断面略U字形状を有し、後述する外レール部材25の一部が挿通される溝部33が形成されている(
図2参照)。そして、溝部33内において、戸先側及び召合せ側の両側には、外レール部材25上を転動して外障子3を開閉移動可能に支持する戸車34がそれぞれ設けられている(
図2参照)。また、溝33内において、各戸車34に近接した位置には、アルミニウム等の金属材料で構成された下がり防止部材35がそれぞれ設けられている(
図2参照)。
【0017】
内障子4は、本発明に係る障子に相当し、枠体2に対して
図1中、左右方向に開閉移動可能に取り付けられている。この内障子4は、外障子3における面材31(スペーサ311及び一対のガラス板312,313を含む)及び框体32(上框321、下框322(溝部33、戸車34、及び下がり防止部材35を含む)、戸先框323、及び召合せ框(図示略)を含む)とそれぞれ同様の面材41(スペーサ411及び一対のガラス板412,413を含む)及び框体42(上框421、下框422(溝部43、戸車44、及び下がり防止部材45を含む)、戸先框423、及び召合せ框424を含む)を備える。
【0018】
上述した外障子3及び内障子4において、戸先框323が左縦枠23に当接するとともに、戸先框423が右縦枠24に当接した場合には、外障子3の召合せ框(図示略)と内障子4の召合せ框424とが互いに係合する。そして、開口部Opは、外障子3及び内障子4にて閉塞される。この状態では、外障子3の召合せ框(図示略)と内障子4の召合せ框424との間は、クレセントCR(
図1)によってロック可能である。当該クレセントCRによりロックすることにより、外障子3及び内障子4は、開口部Opを閉塞した状態に保持される。
【0019】
本実施の形態では、枠体2の内部には、当該枠体2を補強する枠体補強材5(
図2,
図3)が設けられている。この枠体補強材5は、上枠21の内部に設けられる上補強材(図示略)と、下枠22の内部に設けられる下補強材52と、左縦枠23の内部に設けられる左補強材53と、右縦枠24の内部に設けられる右補強材(図示略)とを備える。
これら上補強材(図示略)、下補強材52、左補強材53、及び右補強材(図示略)は、各枠部材21〜24の全長と略同一の全長を有するアルミニウム等の金属の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0020】
また、枠体2の外周側には、当該枠体2を支持するブラケット6(
図2,
図3)が設けられている。このブラケット6は、上枠21の外周側(上方側)に設けられる上ブラケット(図示略)と、下枠22の外周側(下方側)に設けられる下ブラケット62と、左縦枠23の外周側(
図1中、左側)に設けられる左ブラケット63と、右縦枠24の外周側(
図1中、右側)に設けられる右ブラケット(図示略)とを備える。
これら上ブラケット(図示略)、下ブラケット62、左ブラケット63、及び右ブラケット(図示略)は、アルミニウム等の金属の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。なお、上ブラケット(図示略)、下ブラケット62、左ブラケット63、及び右ブラケット(図示略)の全長は、各枠部材21〜24の全長とそれぞれ略同一に設定してもよく、あるいは、各枠部材21〜24の全長よりもそれぞれ短く設定(ピース状で構成)しても構わない。
【0021】
ここで、上枠21及び下枠22は、略上下対称となる形状を有する。また、左縦枠23及び右縦枠24は、略左右対称となる形状を有する。上補強材(図示略)及び下補強材52は、略上下対称となる形状を有する。また、左補強材53及び右補強材(図示略)は、略左右対称となる形状を有する。上ブラケット(図示略)及び下ブラケット62は、略上下対称となる形状を有する。また、左ブラケット63及び右ブラケット(図示略)は、略左右対称となる形状を有する。
このため、以下、下枠22、下補強材52、及び下ブラケット62の構成、左縦枠23、左補強材53、及び左ブラケット63の構成について、順に説明する。
【0022】
〔下枠、下補強材、及び下ブラケットの構成〕
先ず、下枠22、下補強材52、及び下ブラケット62の構成について、
図2を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する「内周側」は、枠体2の内周側であって、下枠22、下補強材52、及び下ブラケット62では、「上方側」を意味する。また、以下に記載する「外周側」は、枠体2の外周側であって、下枠22、下補強材52、及び下ブラケット62では、「下方側」を意味する。
下枠22は、中空部221と、外壁部222と、内壁部223と、中央壁部224と、第1,第2ヒレ部225,226とを備える。
【0023】
中空部221は、開口部Opの縁部に沿って延在した角筒形状を有し、見込み方向に沿って並ぶ第1〜第3中空部227〜229を備える。そして、中空部221の一部は、枠体2に対して外周側に並設された外壁材7における室外側の外表面よりも室外側に突出する。
より具体的に、第1〜第3中空部227〜229のうち、見込み方向の中央に位置する第2中空部228は、室外側及び室内側にそれぞれ位置する第1,第3中空部227,229よりも見込み方向の長さ寸法が大きく形成されている。そして、第2中空部228は、室内側の一部及び見込み方向の中央部分が建物の躯体B及び外壁材7に対してそれぞれ内周側から重なる位置に位置付けられているとともに、室外側の一部が外壁材7における室外側の外表面よりも室外側に突出する。
以上説明した第2中空部228の内部に、下補強材52が設けられている。
【0024】
外壁部222及び内壁部223は、中空部221における室外側の端部及び室内側の端部からそれぞれ内周側に延在した部分である。
中央壁部224は、中空部221(第2中空部228)における内周側の見込み面から内周側に延在した部分であり、外壁部222と内壁部223との間を見込み方向において2つの領域に仕切る。
ここで、外壁部222と、中央壁部224と、中空部221における内周側の見込み面とで構成されるU字状の溝部分には、外障子3の下端部が収容される。また、当該溝部分には、外障子3に設けられた戸車34が載置され、当該外障子3の開閉移動を案内する外レール部材25が設けられている。また、内壁部223と、中央壁部224と、中空部221における内周側の見込み面とで構成されるU字状の溝部分には、内障子4の下端部が収容される。また、当該溝部分には、内障子4に設けられた戸車44が載置され、当該内障子4の開閉移動を案内する内レール部材26が設けられている。
これら外レール部材25及び内レール部材26は、下枠22の全長と略同一の全長を有するアルミニウム等の金属の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0025】
また、中央壁部224において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞したときに、外障子3の召合せ框(図示略)と内障子4の召合せ框424とにそれぞれ対向する部位は、切除されている。すなわち、中央壁部224は、当該部位を挟んで
図1中、左右の両側にそれぞれ設けられている。そして、当該部位には、分断された2つの中央壁部224を繋げるように、不燃性である中継部材27が取り付けられている。
この中継部材27は、本体部271と、一対の枠固定部272,273とを備える。
本体部271は、直方体形状を有し、分断された2つの中央壁部224の間に位置付けられる部分である。
一対の枠固定部272,273は、本体部271における外周側の端部から室外側及び室内側にそれぞれ張り出した部分である。そして、一対の枠固定部272,273は、中空部221(第2中空部228)における内周側の見込み面を構成する見込み壁部を介して、下補強材52にそれぞれネジSc1,Sc2にて固定される。
【0026】
第1ヒレ部225は、中空部221(第2中空部228)における外周側の見込み面から外周側に延在し、締結部材としてのネジSc3により建物の躯体Bに固定される部分である。すなわち、第1ヒレ部225は、本発明に係るヒレ部に相当する。
第2ヒレ部226は、内壁部223における室内側の見付け面から室内側に延在し、枠体2に対して室内側に並設される内装材(額縁)8に対してネジSc4により固定される部分である。
【0027】
下補強材52は、第2中空部228の内部、すなわち、下枠22に対して外障子3及び内障子4の荷重が最も加わる部分に設けられている。この下補強材52は、第1〜第3対向部521〜523と、第1,第2延出部524,525とを備える。
第1対向部521は、見込み方向に沿って延在し、第2中空部228における内周側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する部分である。すなわち、第1対向部521は、本発明に係る対向部に相当する。
この第1対向部521には、見込み方向に間隔を空けて、ネジSc1,Sc2がそれぞれ螺合される第1,第2溝部526,527がそれぞれ形成されている。
第1延出部524は、第1,第2溝部526,527のうち、室外側に位置する第1溝部526において、室内側の側壁を外周側に延長した部分である。そして、第1延出部524は、外壁材7における室外側の外表面よりも室内側に位置付けられる。
第2対向部522は、第1延出部524における外周側の端部から室内側及び室外側にそれぞれ屈曲して延在し、第2中空部228における外周側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する部分である。
そして、第1延出部524及び第2対向部522は、本発明に係る延在部に相当する。
第2延出部525は、第2溝部527における室内側の側壁を外周側に延長した部分である。
第3対向部523は、第2延出部525における室内側の見付け面から室内側に延在し、第2中空部228における外周側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する部分である。
【0028】
本実施の形態では、下ブラケット62は、下枠22の全長よりも短いピース状で複数、設けられており、下枠22の長手方向に沿って並設されている。より具体的に、複数の下ブラケット62は、外障子3及び内障子4が開口部Opを閉塞した閉位置に位置付けられた状態で、複数の下がり防止部材35,45の下方側にそれぞれ位置付けられる。
なお、複数の下ブラケット62は、同一の形状を有している。このため、以下では、1つの下ブラケット62の形状のみを説明する。
下ブラケット62は、見込み方向に沿って延在する第1支持片621と、第1支持片621における室内側の端部から外周側に屈曲して延在する第2支持片622とを備え、断面視L字形状を有する。
ここで、第2支持片622は、建物の躯体Bとの間に第1ヒレ部225を挟み込んだ状態で、ネジSc3により当該躯体Bに固定される。この状態では、第1支持片621は、第2中空部228における外周側の見込み面と、外壁材7における内周側の端部との間に位置付けられる。また、第1支持片621における室外側の端部は、外壁材7における室外側の外表面よりも室内側に位置付けられる。さらに、第2対向部522は、略全体が外壁材7に対して内周側から重なる位置に位置付けられるとともに、室内側の一部が第1支持片621に対して内周側から重なる位置に位置付けられる。
すなわち、下ブラケット62は、下枠22における見込み方向の略中央部分であって、当該下枠22に対して外障子3及び内障子4の荷重が最も加わる位置に設けられ、下補強材52とともに下枠22を補強するとともに、当該下枠22を支持する。
そして、上述した構成により、建具1の下端部側には、外壁材7における室外側の外表面、第1支持片621、第2対向部522、第1延出部524、及び第1対向部521により、遮炎ラインL1が形成される。この遮炎ラインL1により、室外からの火炎により下枠22における室外側が溶融した場合であっても、室外から第2中空部228の内部への火炎の侵入を防ぐことができる。また、室外からの火炎により下枠22における室外側が溶融した場合であっても、下補強材52及び下ブラケット62により、外障子3及び内障子4の荷重を支持し、外障子3が外周側に移動(脱落)してしまうことを回避することができる。
【0029】
〔左縦枠、左補強材、及び左ブラケットの構成〕
次に、左縦枠23、左補強材53、及び左ブラケット63の構成について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する「内周側」は、枠体2の内周側であって、左縦枠23、左補強材53、及び左ブラケット63では、「室内側から見て右側」を意味する。また、以下に記載する「外周側」は、枠体2の外周側であって、左縦枠23、左補強材53、及び左ブラケット63では、「室内側から見て左側」を意味する。
左縦枠23は、下枠22における中空部221(第1〜第3中空部227〜229を含む)、外壁部222、内壁部223、中央壁部224、及び第1,第2ヒレ部225,226とそれぞれ同様の中空部231(第1〜第3中空部237〜239を含む)、外壁部232、内壁部233、中央壁部234、及び第1,第2ヒレ部235,236を備える。
なお、左縦枠23の中央壁部234は、下枠22の中央壁部224とは異なり、2つに分断された構造ではない。また、第1ヒレ部235は、本発明に係るヒレ部に相当する。さらに、左縦枠23、建物の躯体B、外壁材7、及び内装材8の位置関係は、下枠22、建物の躯体B、外壁材7、及び内装材8の位置関係と略同一である。
【0030】
ここで、外壁部232と、中央壁部234と、中空部231における内周側の見込み面とで構成されるU字状の溝部分には、外障子3を閉じた状態とした際に、当該外障子3の室内側から見て左端部が収容される。また、当該溝部分には、外障子3を閉じた状態とした際に、当該外障子3の室内側から見て左端部と係合する不燃性である金属製の係合部材28が設けられている。
【0031】
左補強材53は、第2中空部238の内部に設けられている。この左補強材53は、下補強材52における第1対向部521(第1,第2溝部526,527を含む)、第2,第3対向部522,523、及び第1,第2延出部524,525とそれぞれ同様の第1対向部531(第1,第2溝部536,537を含む)、第2,第3対向部532,533、及び第1,第2延出部534,535を備える。
なお、第1対向部531は、本発明に係る対向部に相当する。また、第1延出部534及び第2対向部532は、本発明に係る延在部に相当する。
【0032】
ここで、第1溝部536には、中空部231(第2中空部238)における内周側の見込み面を構成する見込み壁部を介して、ネジSc5が螺合される。そして、このネジSc5により、係合部材28は、左補強材53に固定される。また、第3対向部533には、中空部231(第2中空部238)における外周側の見込み面を構成する見込み壁部を介して、ネジSc6が螺合される。そして、このネジSc6により、左補強材53は、左縦枠23に対して外周側に設けられた連結金具29に固定される。
連結金具29は、見込み方向に沿って延在し、ネジSc6にて左補強材53に固定される第1固定片291と、第1固定片291における室外側の端部から外周側に屈曲して延在する第2固定片292とを備え、断面視L字形状を有する。そして、第2固定片292は、第1ヒレ部235と建物の躯体Bとの間に挟み込まれた状態で、第1ヒレ部235とともにネジSc3にて当該躯体Bに固定される。すなわち、左補強材53は、連結金具29を介して、建物の躯体Bに固定されている。
【0033】
左ブラケット63は、下ブラケット62における第1,第2支持片621,622と同様の第1,第2支持片631,632を備える。
ここで、第2支持片632は、建物の躯体Bとの間に第1ヒレ部235及び第2固定片292を挟み込んだ状態で、ネジSc3により当該躯体Bに固定される。この状態では、第1支持片631は、第2中空部238における外周側の見込み面と、外壁材7における内周側の端部との間に位置付けられる。また、第1支持片631における室外側の端部は、外壁材7における室外側の外表面よりも室内側に位置付けられる。さらに、第2対向部532は、室内側の一部が外壁材7及び第1支持片621に対して内周側から重なる位置に位置付けられる。
そして、上述した構成により、建具1の室内側から見て左端部側には、外壁材7における室外側の外表面、第1支持片631、第2対向部532、第1延出部534、及び第1対向部531により、遮炎ラインL2が形成される。この遮炎ラインL2により、室外からの火炎により左縦枠23における室外側が溶融した場合であっても、室外から第2中空部238の内部への火炎の侵入を防ぐことができる。また、室外からの火炎により左縦枠23における室外側が溶融した場合であっても、左補強材53にて係合部材28を支持し、外障子3が室外側に移動(脱落)してしまうことを回避することができる。
なお、建具1における室内側から見て右側の防火構造も上述した室内側から見て左側の防火構造と同一である。
【0034】
以上説明した本実施の形態に係る建具1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る建具1では、第1支持片621,631における室外側の端部は、外壁材7における室外側の外表面よりも室内側に位置付けられる。すなわち、本実施の形態に係る建具1では、特許文献1に記載の下ブラケット14に対して、第1支持片621,631を短く形成した小型のブラケット6を採用している。このため、ブラケット6の材料費を考慮すると、コストダウンを図ることができる。また、小型のブラケット6を採用しているため、建具1の組立作業性を向上させることができる。
また、第2対向部522,532の少なくとも一部は、外壁材7及び第1支持片621,631の双方に対して内周側から重なる位置に位置付けられる。すなわち、外壁材7における室外側の外表面、第1支持片621,631、第2対向部522,532、第1延出部524,534、及び第1対向部521,531により、遮炎ラインL1,L2を形成することができる。この遮炎ラインL1,L2により、室外からの火炎により枠体2における室外側が溶融した場合であっても、室外から第2中空部228,238の内部への火炎の侵入を防ぐことができる。そして、枠体補強材5及びブラケット6により、外障子3及び内障子4を強固に保持し、外障子3及び内障子4の脱落を回避することができる。また、本実施の形態に係る建具1の防火構造では、第2中空部228,238の内部に加熱発泡材を設けていないため、当該加熱発泡材の貼り付け作業を考慮すると、建具1の組立作業性を向上させることができる。
以上のことから、本実施の形態に係る建具1によれば、防火構造を安価に構成するとともに、組立作業性を向上させることができる、という効果を奏する。
【0035】
また、本実施の形態に係る建具1では、下ブラケット62は、下枠22の全長に亘って延在した構成ではなく、ピース状で構成されている。このため、下ブラケット62を下枠22の全長に亘って延在させた構成と比較して、下ブラケット62をピース状で複数、設けることにより当該下ブラケット62の取り回しを容易とする。
【0036】
また、本実施の形態に係る建具1では、外障子3及び内障子4が開口部Opを閉塞した閉位置に位置付けられた状態で、複数の下ブラケット62は、外障子3及び内障子4の下框322,422に設けられた複数の下がり防止部材35,45の下方側にそれぞれ位置付けられる。このため、火炎により戸車34,44が溶融した場合であっても、複数の下がり防止部材35,45を介して外障子3及び内障子4の荷重を複数の下ブラケット62にて効率的に支えることができ、外障子3及び内障子4の脱落を回避することができる。
【0037】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、本発明に係る建具を引違い窓に採用していたが、これに限らない。合成樹脂製の枠体を備えた建具であれば、例えば、2枚の障子のうち一方の障子のみがスライドする片引き窓や1枚の障子をはめ殺したはめ殺し窓、さらには障子を上下方向にスライドさせる上げ下げ窓や障子を見込み方向に開閉するすべり出し窓等、各種の建具に本発明を採用しても構わない。
上述した実施の形態において、枠体補強材5、ブラケット6、及び下がり防止部材35,45の材料は、不燃性または難燃性の材料であれば、いずれの材料を採用しても構わない。