(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行体と、前記走行体に旋回自在に搭載される旋回体と、前記旋回体に装着される作業装置とを備え、前記走行体は、前記旋回体を支持するカーボディと、前記カーボディの前後両端の左右位置にそれぞれ設けられ、前記カーボディから左右方向へ張り出すように延びる複数のアクスルと、これらのアクスルの先端側に配置され、サイドフレーム及びクローラベルトを含む一対の走行装置と、前記カーボディの前方及び後方にそれぞれ配置され、前記走行体を昇降させる複数のジャッキアップ装置とを有するクローラ式作業車両であって、
前記複数のジャッキアップ装置はそれぞれ、
前記カーボディの前端または後端に取り付けられたジャッキフレームと、
前記ジャッキフレームに基端部が取り付けられ、当該ジャッキフレームから水平方向へ延びるジャッキビームと、
前記ジャッキビームの先端部に取り付けられ、鉛直方向へ伸縮するジャッキシリンダと、
前記ジャッキフレームに対して前記ジャッキビームを水平面内で回動可能に軸支する支軸と、
前記ジャッキビームの上面のうち前記支軸から離間した位置に固定されたジャッキビーム側固定ピンと、
前記ジャッキフレームの上面に固定されたジャッキフレーム側固定ピンと、
前記ジャッキビーム側固定ピンと前記ジャッキフレーム側固定ピンとの上方から抜き差し可能であり、前記ジャッキビーム側固定ピンと前記ジャッキフレーム側固定ピンとを連結するプレート状のリンク部材とを備えたことを特徴とするクローラ式作業車両。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るクローラ式作業車両の一実施形態として挙げたクローラクレーンの構成を示す全体図である。
【
図2】
図1に示す走行体の構成を示す斜視図である。
【
図3A】本実施形態に係るジャッキアップ装置の基本構成を説明する図であり、同図は走行体の平面図である。
【
図3B】本実施形態に係るジャッキアップ装置の基本構成を説明する図であり、同図は走行体の側面図である。
【
図3C】本実施形態に係るジャッキアップ装置の基本構成を説明する図であり、同図は走行体の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るジャッキアップ装置の構成部品を分解して示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るジャッキアップ装置が使用時の姿勢をとった状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るジャッキアップ装置が使用時の姿勢をとった状態を示す平面図である。
【
図7】本実施形態に係るジャッキアップ装置がブームによる作業又は車両の走行時の姿勢をとった状態を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態に係るジャッキアップ装置がブームによる作業又は車両の走行時の姿勢をとった状態を示す平面図である。
【
図9】本実施形態に係るジャッキアップ装置が車両の移送時の姿勢をとった状態を示す斜視図である。
【
図10】本実施形態に係るジャッキアップ装置が車両の移送時の姿勢をとった状態を示す平面図である。
【
図11】本実施形態に係るジャッキアップ装置のジャッキビームの高さ、及び当該ジャッキビームと旋回体との間隔を示す図である。
【
図12A】本実施形態に係るジャッキアップ装置の比較例として挙げた従来技術のジャッキアップ装置の構成を説明する図であり、同図は走行体の平面図である。
【
図12B】本実施形態に係るジャッキアップ装置の比較例として挙げた従来技術のジャッキアップ装置の構成を説明する図であり、同図は走行体の側面図である。
【
図12C】本実施形態に係るジャッキアップ装置の比較例として挙げた従来技術のジャッキアップ装置の構成を説明する図であり、同図は走行体の斜視図である。
【
図13】従来技術のジャッキアップ装置のジャッキビームの高さ、及び当該ジャッキビームと旋回体との間隔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るクローラ式作業車両を実施するための形態を図に基づいて説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、前後、左右、及び上下の各方向は、
図1に示す車両の前後、左右、及び上下の方向と一致するものとする。
【0013】
図1は本発明に係るクローラ式作業車両の一実施形態として挙げたクローラクレーン101の外観を示す側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るクローラ式作業車両を構成するクローラクレーン101は、地面を走行する走行体11と、この走行体11の上方に配置され、旋回輪12を介して走行体11に旋回自在に搭載された旋回体13と、この旋回体13から前方へ向かって配置され、基端部が旋回体13に回動可能に軸支された作業装置としてのブーム14とを備えている。
【0015】
旋回体13は、車両の前部に位置し、作業者が搭乗する運転室15と、車両の後部に位置し、車両の重量のバランスを保つカウンタウエイト16とを有している。また、旋回体13には、巻き上げ用のウインチドラムである巻上ドラム17と、起伏用のシリンダ18とが搭載されている。巻上ドラム17には、巻上ロープ17Aが巻回され、巻上ドラム17の駆動によって巻上ロープ17Aが巻き取り又は繰り出されることにより、ブーム14の先端側に設けられたフック19が上下方向へ昇降する。
【0016】
起伏用のシリンダ18を伸縮させることにより、ブーム14が上下方向へ起伏する。巻上ドラム17は、旋回体13内に搭載された巻上用油圧モータ(図示せず)によって駆動され、起伏用のシリンダ18は旋回体13内に搭載された油圧バルブ(図示せず)によって駆動される。巻上用油圧モータの回転は図示しないブレーキ装置によって制動可能である。
【0017】
図2は走行体11の構成を示す斜視図である。
【0018】
図2に示すように、走行体11には、旋回ベアリング21Aを介して旋回体13を支持するカーボディ21と、カーボディ21の前後両端の左右位置にそれぞれ設けられ、カーボディ21から左右方向へ張り出すように延在する複数のアクスル(本実施例では、合計4本のアクスル)22とが設けられている。そして、カーボディ21の前部及び後部には、走行体11を昇降させる複数のジャッキアップ装置(本実施例では、4台のジャッキアップ装置)23が設けられている。
【0019】
カーボディ21の側面には、後述する一対の走行装置24の間隔を拡張又は縮小させるためのクローラ伸縮装置25が設けられている。右側前部及び右側後部のアクスル22と、左側前部及び左側後部のアクスル22とには、前述した履帯式の走行装置(クローラ)24が取り付けられている。
【0020】
各走行装置24は、アクスル22に対して垂直に配置された長尺のサイドフレーム26と、サイドフレーム26の後部に位置し、後述の駆動輪(スプロケット)の駆動源を構成する走行用駆動装置27と、サイドフレーム26の前部に位置し、駆動輪に追従して回転する従動輪28とを有している。サイドフレーム26には、アクスル22を嵌挿させる嵌め込み部26Aが前後に1箇所ずつ、合計2箇所設けられている。
【0021】
また、各走行装置24は、サイドフレーム26の上部の前後方向にそれぞれ配置され、後述のクローラベルト31を下側から支持しながら転動する複数の上部ローラ29(
図1参照)と、サイドフレーム26の下部の前後方向にそれぞれ配置され、後述のクローラベルト31を上側から支持しながら転動する下部ローラ30と、走行用駆動装置27の駆動輪と従動輪28を包含するようにサイドフレーム26の外周に無端状に掛け回されたクローラベルト31とを有している。
【0022】
次に、ジャッキアップ装置23の基本構成について、
図3及び
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図3A〜C、
図4に示すように、複数のジャッキアップ装置23はそれぞれ、カーボディ21の前端及び後端の中央部に取り付けられたジャッキフレーム41と、ジャッキフレーム41に基端部が取り付けられ、当該ジャッキフレーム41から水平方向へ延びるジャッキビーム42と、ジャッキビーム42の先端部に垂直に取り付けられ、ジャッキフレーム41から離接して鉛直方向へ伸縮するジャッキシリンダ43と、ジャッキフレーム41に対してジャッキビーム42を水平面内で回動可能に軸支する円柱状の支軸44とを備えている。
【0024】
ジャッキフレーム41の左右両端には、支軸44の外径よりも大きい直径を有する支軸挿通孔411が穿設されている。ジャッキビーム42は、ジャッキフレーム41側からジャッキシリンダ43側へ斜め下方に向かって傾斜させた状態で配置され、ジャッキビーム42の上面部を形成するプレート状の上面板421と、この上面板421に対向するように水平に配置され、ジャッキビーム42の下面部を形成するプレート状の下面板422と、上面板421及び下面板422に対して垂直に起立し、側面部を形成する4枚のプレート状の側面板423とから成るボックス構造を有している。
【0025】
上面板421及び下面板422のジャッキフレーム41側には、支軸44を取り付けるための支軸取付ブラケット424が溶接等により一体に固設されており、支軸取付ブラケット424のジャッキフレーム41側の一端には、支軸44の外径よりも大きい直径を有し、ジャッキフレーム41の支軸挿通孔411と同径に設定された支軸挿通孔424Aが穿設されている。
【0026】
したがって、ジャッキビーム42の一対の支軸取付ブラケット424が、ジャッキフレーム41の支軸挿通孔411の中心線と支軸取付ブラケット424の支軸挿通孔424Aの中心線とが同軸になるようにジャッキフレーム41を上下方向において両側から挟んだ状態で、支軸44がこれらの支軸挿通孔411,424Aに挿通されることにより、ジャッキビーム42がジャッキフレーム41に支軸44を中心として回動可能に支持される。
【0027】
また、左右の側面板423の前部には、当該側面板423の厚さ方向に貫通する一対の貫通孔423Aが上下方向に離隔した位置にそれぞれ穿設されている。ジャッキシリンダ43は、走行体11を昇降させるための油圧シリンダであり、この油圧シリンダは、後述のリブ434を介してジャッキビーム42に保持される円筒状のシリンダチューブ431と、油圧を受けてシリンダチューブ431から下方へ向けて伸長するように、基端部がシリンダチューブ431に挿入されたシリンダロッド432と、シリンダロッド432の先端部である下端に装着され、地面に載置されて走行体11を支持するフロート433とから構成されている。
【0028】
シリンダチューブ431の中央側には、長手方向に延在する前述のリブ434が取り付けられており、当該リブ434には、側面板423の各貫通孔423Aに対応する貫通孔434Aが穿設されている。そして、一対の側面板423が、リブ434の貫通孔434Aの中心線と側面板423の貫通孔423Aの中心線とが同軸になるようにジャッキシリンダ43を左右方向において両側から挟んだ状態で、連結ピン46がこれらの貫通孔423A,434Aに挿通されることにより、ジャッキシリンダ43がジャッキビーム42に連結されて一体に水平方向へ回動する。
【0029】
なお、支軸44及び連結ピン46は、支軸挿通孔411,424A及び貫通孔423A,434Aにそれぞれ挿通されると、
図4に示す止めピン47,48等の締結部材によって抜け止めがなされる。
【0030】
ここで、本実施形態に係るジャッキアップ装置23の特徴を分かり易く説明するために、まず、本実施形態の比較例として挙げた従来技術のジャッキアップ装置23の構成について、
図12、
図13を参照しながら詳細に説明する。なお、従来技術のジャッキアップ装置23の基本構成は、上述した本実施形態に係るジャッキアップ装置23の基本構成と同様であるため、従来技術のジャッキアップ装置23のうち本実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
図12A〜Cに示すように、従来技術のジャッキアップ装置23では、ジャッキビーム42が支軸44の周りに回動し、フロート433が地面に載置された状態で走行体11を昇降させる使用時の姿勢をとる使用位置と、フロート433が地面から離れ、ブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢をとる作業・走行位置との間で移動することが可能である。
【0032】
具体的には、ジャッキフレーム41とジャッキビーム42の支軸取付ブラケット424との間には、ジャッキビーム42を固定するための土台となるプレート状のジャッキビーム支持ブラケット51が介装されており、ジャッキビーム支持ブラケット51は、ジャッキフレーム41の上面に溶接等で固設されている。
【0033】
また、ジャッキビーム支持ブラケット51の周縁部には、厚さ方向に2つのロック用孔511,512が穿設されている。さらに、ジャッキビーム42の支軸取付ブラケット424のうち支軸挿通孔424Aよりも先端側には、ジャッキビーム支持ブラケット51の各ロック用孔511,512に対応する貫通孔424Bが1つ穿設されている。なお、
図12A〜C、
図13では、ジャッキフレーム41の内側のロック用孔512及びジャッキビーム42の支軸取付ブラケット424の貫通孔424Bには後述のロックピン52が挿通されているため、ロック用孔512及び貫通孔424Bは図示されていないが、便宜上、これらの用語に符号を付している。
【0034】
このような構成の従来技術のジャッキアップ装置23においては、ジャッキビーム42を支軸44の周りに回動させながら支軸取付ブラケット424の貫通孔424Bとジャッキビーム支持ブラケット51の内側のロック用孔512とを位置合わせし、前述のロックピン52をこれらの貫通孔424B及びロック用孔512に挿通すると、ジャッキビーム42がジャッキフレーム41から斜め前方の走行装置24側へ張り出した使用位置で固定される。
【0035】
一方、ジャッキビーム42を支軸44の周りに回動させながら支軸取付ブラケット424の貫通孔424Bとジャッキビーム支持ブラケット51の外側のロック用孔511とを位置合わせし、ロックピン52をこれらの貫通孔424B及びロック用孔511に挿通すると、ジャッキビーム42がジャッキフレーム41の前面に対して略垂直に張り出した作業・走行位置で固定される。
【0036】
このように、従来技術のジャッキアップ装置23は、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置をロックピン52によって固定するように構成しているので、
図13に示すように、当該ロックピン52を抜き差しするスペースdを取らなければならず、ジャッキビーム42の高さhを大きく設定することができない。そのため、従来技術のジャッキアップ装置23の強度を確保するためには、ジャッキビーム42の上面板421、下面板422、及び側面板423の板厚を大きく設定する必要があり、ジャッキアップ装置23の重量の増加を招く結果となる。
【0037】
そこで、本実施形態に係るジャッキアップ装置23は、ロックピン52の代わりに、
図3A〜C、
図4に示すプレート状のリンク部材61を用いて、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置を固定するように構成されている。以下、本実施形態の特徴をなすジャッキアップ装置23の具体的な構成について、
図3、
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
本実施形態に係るジャッキアップ装置23は、ジャッキビーム42の上面のうち支軸44から離間した位置、すなわち、支軸取付ブラケット424の他端に固定されたジャッキビーム側固定ピン62と、ジャッキフレーム41の上面に固定されたジャッキフレーム側固定ピン63と、ジャッキビーム側固定ピン62とジャッキフレーム側固定ピン63との上方から抜き差し可能であり、ジャッキビーム側固定ピン62とジャッキフレーム側固定ピン63とを連結し、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置を固定する前述のリンク部材61とを備えている。
【0039】
ジャッキフレーム側固定ピン63は、ジャッキフレーム41の上面のうちジャッキビーム42の基端側に相互に隣接して固定された第1固定ピン631及び第2固定ピン632から成っている。ジャッキビーム側固定ピン62の直径と、第1固定ピン631及び第2固定ピン632のいずれか、例えば、第1固定ピン631の直径とが同じ寸法に設定されている。また、第1固定ピン631の直径と第2固定ピン632の直径とが異なる寸法に設定されている。例えば、第1固定ピン631の直径は第2固定ピン632の直径よりも大きく設定されている。
【0040】
リンク部材61は、例えば、長尺状の基片61Aと、当該基片61Aよりも長さが短く設定され、基片61Aの一端から屈曲した脚片61Bとから成る略L字状に形成されている。これらの基片61A及び脚片61Bの幅は、例えば、ジャッキビーム側固定ピン62、第1固定ピン631、及び第2固定ピン632の直径よりも大きく、かつ、ジャッキビーム42の支軸取付ブラケット424の幅よりも小さく設定されている。
【0041】
さらに、リンク部材61は、脚片61Bと反対側に位置する基片61Aの一端に配置され、ジャッキビーム側固定ピン62が挿通されるジャッキビーム側ピン孔611と、基片61Aの他端に配置され、第1固定ピン631が挿通される第1ピン孔612と、脚片61Bに第1ピン孔612に隣接して配置され、第2固定ピン632が挿通される第2ピン孔613とを有している。
【0042】
これらのジャッキビーム側ピン孔611、第1ピン孔612、及び第2ピン孔613は、それぞれジャッキビーム側固定ピン62、第1固定ピン631、及び第2固定ピン632に対応するように孔径の寸法及び相互の間隔が設定されている。すなわち、ジャッキビーム側ピン孔611の直径と第1ピン孔612の直径とが同じ寸法に設定されており、第1ピン孔612の直径と第2ピン孔613の直径とが異なる寸法に設定されている。
【0043】
ここで、本実施形態に係るジャッキアップ装置23は、フロート433が地面に載置された状態で走行体11を昇降させる使用時の姿勢をとる使用位置、フロート433が地面から離れ、ブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢をとる作業・走行位置の他、一対の走行装置24を各アクスル22から取り外した車両の移送時の姿勢をとる格納位置にも移動することが可能である。
【0044】
そして、ジャッキビーム側固定ピン62、第1固定ピン631、及び第2固定ピン632は、ジャッキビーム42が支軸44の周りに回動して使用位置にあるとき、支軸44とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第1円C1と、第1固定ピン631とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第2円C2との交点にジャッキビーム側固定ピン62が位置するように配置されている(
図6参照)。
【0045】
また、ジャッキビーム側固定ピン62、第1固定ピン631、及び第2固定ピン632は、ジャッキビーム42が支軸44の周りに回動して作業・走行位置にあるとき、支軸44とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第1円C1と、第2固定ピン632とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第3円C3との一方の交点にジャッキビーム側固定ピン62が位置するように配置されている(
図8参照)。
【0046】
さらに、ジャッキビーム側固定ピン62、第1固定ピン631、及び第2固定ピン632は、ジャッキビーム42が支軸44の周りに回動して格納位置にあるとき、支軸44とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第1円C1と、第2固定ピン632とジャッキビーム側固定ピン62を結ぶ線分を半径とする第3円C3との他方の交点にジャッキビーム側固定ピン62が位置するように配置されている(
図10参照)。
【0047】
次に、本実施形態に係るジャッキアップ装置23の使用時の姿勢、ブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢、及び車両の移送時の姿勢におけるリンク部材61の取り付け作業について、
図5〜
図10を参照しながら順に説明する。
【0048】
図5、
図6は本実施形態に係るジャッキアップ装置23が使用時の姿勢をとった状態を示す図であり、
図5はジャッキアップ装置23の斜視図、
図6はジャッキアップ装置23の平面図である。
【0049】
図5、
図6に示すように、ジャッキアップ装置23の使用時の姿勢では、ジャッキビーム42がカーボディ21の前後方向に沿って支軸44を通る中心線Oから走行装置24側へサイドフレーム26と干渉しない所定の範囲内、例えば、60°で回動した位置にある。この状態において、リンク部材61のジャッキビーム側ピン孔611をジャッキビーム側固定ピン62に挿通させると共に、リンク部材61の第1ピン孔612をジャッキフレーム41の第1固定ピン631に挿通させてジャッキビーム側固定ピン62と第1固定ピン631とをリンク部材61で連結することにより、ジャッキフレーム41に対するジャッキビームの位置が固定される。
【0050】
図7、
図8は本実施形態に係るジャッキアップ装置23がブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢をとった状態を示す図であり、
図7はジャッキアップ装置23の斜視図、
図8はジャッキアップ装置23の平面図である。
【0051】
図7、
図8に示すように、ブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢では、ジャッキビーム42がカーボディ21の前後方向に沿う位置、例えば、ジャッキフレーム41の前面に対して略垂直な位置にある。この状態において、リンク部材61のジャッキビーム側ピン孔611をジャッキビーム側固定ピン62に挿通させると共に、リンク部材61の第2ピン孔613をジャッキフレーム41の第2固定ピン632に挿通させてジャッキビーム側固定ピン62と第2固定ピン632とをリンク部材61で連結することにより、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置が固定される。
【0052】
図9、
図10は本実施形態に係るジャッキアップ装置23が車両の移送時の姿勢をとった状態を示す図であり、
図9はジャッキアップ装置23の斜視図、
図10はジャッキアップ装置23の平面図である。
【0053】
図9、
図10に示すように、車両の移送時の姿勢では、ジャッキビーム42がアクスル22に沿う方向、すなわち、ジャッキフレーム41の前面に対して略平行な位置にある。この状態において、リンク部材61のジャッキビーム側ピン孔611をジャッキビーム側固定ピン62に挿通させると共に、リンク部材61の第2ピン孔613をジャッキフレーム41の第2固定ピン632に挿通させてジャッキビーム側固定ピン62と第2固定ピン632とをリンク部材61で連結することにより、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置が固定される。
【0054】
このように構成した本実施形態に係るクローラクレーン101によれば、ジャッキアップ装置23は、ロックピン52の代わりに、ジャッキビーム側固定ピン62とジャッキフレーム側固定ピン63とを連結するプレート状のリンク部材61を用いて、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置を固定するようにしているので、
図13に示すロックピン52を抜き差しするスペースdを取らなくてもよい。
【0055】
そのため、ジャッキアップ装置23は、
図11に示すように、ジャッキビーム42の上面と旋回体13の下面との間隔Dを上記スペースdよりも小さくできるので(D<d)、ジャッキビーム42の高さHを従来技術のジャッキビーム42の高さhよりも大きく設定することができる(H>h)。これにより、ジャッキビーム42の上面板421、下面板422、及び側面板423に板厚が小さい部材を使用できるので、ジャッキアップ装置23の強度を向上させつつ、軽量化を実現することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るクローラクレーン101では、プレート状のリンク部材61にジャッキビーム側ピン孔611、第1ピン孔612、及び第2ピン孔613の3つの固定ピン用挿通孔を穿設するだけで、このリンク部材61を用いてジャッキビーム42を支軸44の周りにおける使用位置、作業・走行位置、及び格納位置にそれぞれ強固に固定することができる。これにより、リンク部材61の省スペース化が可能となり、さらにジャッキアップ装置23の製作費用も削減することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るクローラクレーン101では、ジャッキフレーム41の第1固定ピン631の直径と第2固定ピン632の直径とが異なる寸法に設定されることにより、ブーム14による作業又は車両の走行時の姿勢からジャッキアップ装置23の使用時の姿勢へ変更するときに、作業者がリンク部材61の第2ピン孔613をジャッキフレーム41の第2固定ピン632から取り外して、そのまま第1固定ピン631に誤って挿通させるのを防止し、ジャッキフレーム41に対するジャッキビーム42の位置を迅速かつ確実に固定することができる。これにより、ジャッキアップ装置23の姿勢を効率良く変更できるので、車両の輸送時において各走行装置24の取り付け又は取り外し作業等を行う際の利便性を高めることができる。
【0058】
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0059】
また、本実施形態では、ジャッキビーム側固定ピン62の直径と第1固定ピン631の直径とが同じ寸法に設定された場合について説明したが、本発明はこの場合に限らず、ジャッキビーム側固定ピン62の直径と第1固定ピン631の直径とが異なる寸法に設定されてもよいし、ジャッキビーム側固定ピン62の直径と第2固定ピン632の直径とが同じ寸法に設定されてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態では、第1固定ピン631の直径が第2固定ピン632の直径よりも大きく設定された場合について説明したが、本発明はこの場合に限らず、第1固定ピン631の直径は、第2固定ピン632の直径よりも小さく設定されてもよい。