特許第6683614号(P6683614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターサージカル アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000002
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000003
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000004
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000005
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000006
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000007
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000008
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000009
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000010
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000011
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000012
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000013
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000014
  • 特許6683614-呼吸マスクに関する改良 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683614
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】呼吸マスクに関する改良
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20200413BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A61M16/06 A
   A61M16/00 343
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-542941(P2016-542941)
(86)(22)【出願日】2014年12月23日
(65)【公表番号】特表2017-500158(P2017-500158A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2014079274
(87)【国際公開番号】WO2015097265
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】1323010.7
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507289070
【氏名又は名称】インターサージカル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ボウシャー、 リチャード フランシス
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/186650(WO,A1)
【文献】 米国特許第04907584(US,A)
【文献】 国際公開第2013/108145(WO,A1)
【文献】 特表2008−501374(JP,A)
【文献】 米国特許第04951664(US,A)
【文献】 特表2011−529770(JP,A)
【文献】 特表2012−527908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスクアセンブリ用のシールクッションであって、
患者の顔に係合するための弾性変形可能なメンブレンを有する患者インタフェース部と、
前記シールクッションにおいてマスクシェルと係合して呼吸マスクアセンブリを形成するマスクシェルインタフェース部と、
前記患者インタフェース部と前記マスクシェルインタフェース部との間に位置する側壁部と、
患者の顔の鼻又は口の少なくとも1つの領域を受けるために前記患者インタフェース部に形成された開口と、
を備え、
前記シールクッションは、前記側壁部から前記メンブレンの内面に沿って前記開口に向かって延在する複数の突起を有し、前記突起は、使用時に前記メンブレンが前記患者の顔に係合されている間、前記メンブレンの変形により各突起が隣接する突起と係合可能であり、それによって変形された構成においてはメンブレンの変形抵抗が増大するようになっているとともに、
前記突起は、1または複数の突起群を形成し、前記突起群は前記メンブレンの複数の局部領域に配置されている、シールクッション。
【請求項2】
前記突起の高さは前記メンブレンの厚さの少なくとも2倍である、請求項1に記載のシールクッション。
【請求項3】
前記突起の幅及又は長さの少なくとも1つは前記メンブレンの厚さの少なくとも2倍である、請求項1又は請求項2に記載のシールクッション。
【請求項4】
突起群内の前記突起は規則的に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項5】
2以上の突起群が、少なくとも係合前又は係合後に異なるレベルの弾性又は変形抵抗の少なくとも1つを与えるように適合された、請求項1〜4の何れか1項に記載のシールクッション。
【請求項6】
前記メンブレンは、前記シールクッションが患者の顔に係合したときに患者の鼻梁に隣接する鼻梁領域と、前記シールクッションが患者の顔に係合したときに患者の鼻孔に隣接する鼻孔領域と、を有し、前記鼻梁領域及び前記鼻孔領域には1以上の突起群が位置し、前記鼻梁領域に位置する突起群は、前記鼻孔領域に位置する突起群よりも長い請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項7】
突起群は、鼻梁領域の両側又は、鼻マスクの鼻孔に隣接する前記メンブレンの下隅又はフルフェイス型マスクの前記口に隣接する側の少なくとも1つに位置する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項8】
前記シールクッションの実質的な中央垂直軸を横切って対向する突起群の1以上のペアは、実質的に同一の全体形状を有する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項9】
1以上の前記突起は、開口を画定するメンブレンの内側端部に向かって前記突起の幅又は高さの少なくとも1つが減少するように前記突起の長さ方向に沿ってテーパが付いている、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項10】
前記突起が弾性又は変形抵抗の少なくとも1つの大きい領域と小さい領域との間で段階的に遷移するように、前記突起の1以上には外端に向かって突起の高さまたは幅が縮小するテーパが前記突起の長さ方向に交差する方向に付いている、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項11】
前記突起のそれぞれは、使用時に前記メンブレンが変形した構成において、隣接する突起の対応する当接面に当接させられる当接面を備える、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項12】
1以上の前記当接面は、隣接当接面と係合しているときに横方向移動又は滑りに抵抗するように適合されている、請求項11に記載のシールクッション。
【請求項13】
前記シールクッションの静止構成において、少なくとも1つ又はそれぞれの突起は、隣接突起から少なくとも部分的に離間している、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項14】
少なくとも1つ又はそれぞれの突起は、隣接突起から完全に離間している、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項15】
前記突起の1以上又はそれぞれは、隣接突起から実質的に“V字型”のチャネル又は溝により離間している、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項16】
前記メンブレンは接触面領域において断面が湾曲しており、曲率が患者の顔への係合による変形で増大した所では、前記メンブレンの曲率の増大により隣接突起間の係合が生じる、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項17】
前記メンブレンは下に支持部材又はクッションの少なくとも1つを持たず、前記メンブレンと付属する突起によってのみ変形抵抗が与えられる、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項18】
前記突起は前記メンブレンと一体形成されている、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載のシールクッション。
【請求項19】
請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載のシールクッションと、前記シールクッションにおけるマスクシェルインタフェース部において前記シールクッションと係合するマスクシェルとを備える呼吸マスクアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の呼吸マスクアセンブリを備えた呼吸器システム。
【請求項21】
前記呼吸器システムは、呼吸ガス供給を前記呼吸マスクアセンブリに送達するための換気機を備え、前記換気機は呼吸サイクルの少なくとも一部において患者に正圧の換気を供給するように構成されている、請求項20に記載の呼吸器システム。
【請求項22】
前記換気機は、連続的な正気道圧力を患者に供給するように構成されている、請求項21に記載の呼吸器システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲性換気に使用される呼吸マスクアセンブリなどの呼吸マスク、及びそのためのシールクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲性換気とは、通常呼吸マスクである非侵襲性装置を介して、したがって気管内チューブのような患者の気道へ侵入する侵襲性装置を用いることなしに、患者の気道へ呼吸ガス流を送達するプロセスである。非侵襲性換気は典型的には、慢性及び急性のいずれの呼吸不全にも、また睡眠時無呼吸のような他の医的障害の処置にも使用される。
【0003】
使用時における呼吸マスクからの漏洩は、肺胞換気並びに患者と換気機との間の同調性を減じるために望ましくなく、したがって、非侵襲性換気で使用される呼吸マスクは一般的に患者の顔に対して効果的なシールを施すようになっている。このために、呼吸マスクの患者とのインタフェース部分には典型的には弾性変形可能なシールクッションが備えられている。
【0004】
このようなシールクッションは弾性変形して患者の顔輪郭にほぼ一致することができるが、それでもシールクッションと患者の顔との間に空隙が残って呼吸ガスの漏洩を生じる。そのような漏洩をなくすためには、一般的には弾性のあるバンドやストラップによって更なる力を加え、シールクッションを患者の顔により強く係合させてシール部の空隙をなくすことが必要である。
【0005】
しかしこれによって患者は押しつけによる痛みなどの不快を感じることがある。さらには、シールクッションは過度に変形すると装置材料に望ましくない応力を与える場合がある。これは結果的にクッションの劣化や破損をもたらし、またシールクッションの位置が不適切となって、使用中にシールクッションが所望位置からずれてしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでに、従来技術に関する上記及び/又はその他の欠点を克服するか実質的に軽減する、改良された呼吸マスクアセンブリとそのための改良されたシールクッションとが考案された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、呼吸マスクアセンブリ用のシールクッションであって、患者の顔に係合するための弾性変形可能なメンブレンを有する患者インタフェース部と、患者の顔の鼻及び/又は口の領域を受けるためにそこに形成された開口と、を備えるシールクッションが提供される。ここでメンブレンの内面には複数の突起が含まれ、これらの突起は、使用時にメンブレンが患者の顔に係合されている間、メンブレンの変形により各突起が隣接する突起と係合可能となるように配置されている。その結果、変形された構成において、メンブレンの変形抵抗が増大する。
【0008】
本発明によるシールクッションは次の2段階動作を有する配置が可能であるので、原理的に有利である。すなわち、シールクッションの変形抵抗が小さく、したがって(例えば突起が隣接する突起と係合しない場合には)弾性が小さくて、シールクッションを患者の顔の適切な位置に押し付けることができる第1の段階と、シールクッションの変形抵抗が大きく、したがって(例えば突起が隣接する突起と係合した場合には)弾性が大きくて、過度の変形に抗しつつ、シールクッションを患者の顔に密封的に係合することができる第2の段階とである。本発明によるシールクッションは、患者に被せたときに患者方向への変形には十分高い抵抗を持ちつつ、例えば呼吸マスクに加圧ガスを印加すると、患者の顔から離れる方向への変形に対しては抵抗が小さくなるような配置とすることも可能である。
【0009】
突起はメンブレンの内面から直立していてもよい。突起の高さは、メンブレンの厚さの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍であってよい。突起の高さは、メンブレンの厚さの少なくとも5倍、又は少なくとも10倍であってよい。突起の幅及び/又は長さは、メンブレンの厚さの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍であってよい。突起の幅は、メンブレンの厚さの少なくとも5倍、又は少なくとも10倍であってよい。
【0010】
突起群は、メンブレンの複数の局部領域に配置されていてもよい。突起群はメンブレンの外周区域付近に配置されていてもよい。隣接する突起群同士は実質的に一定の距離だけ離間していてもよい。突起群内の突起どうしは規則的に配列されていてもよいし、あるいは不規則な配置であってもよい。
【0011】
2以上の突起群は、係合前及び/又は係合後に、異なるレベルの弾性及び/又は変形抵抗を与えるように適合されていてもよい。2以上の突起群は異なる数の突起で構成されていてもよい。2以上の突起群及び/又は2以上の個別の突起は、異なるレベルの弾性及び/又は変形抵抗を与えるような形状、寸法、及び/又は構成であってもよい。突起群はメンブレンの局部領域が異なれば、全体寸法が異なっていてもよい。例えば、メンブレンの鼻梁領域にある突起群は、メンブレンの下隅にある突起群より大きくてもよい。突起群内の突起は、実質的にメンブレンを横切って延在していてもよい。例えば、実質的に横軸に沿って整列していてもよい。突起は、実質的にメンブレン全体を横切って延在してもよい。突起は、メンブレンを部分的にのみ横切って延在してもよい。
【0012】
突起群は、鼻梁領域の両側及び/又は鼻マスクの鼻孔に隣接するメンブレンの下隅又はフルフェイス型マスクの口に隣接する両側に位置していてもよい。
【0013】
少なくとも2つの突起群は、実質的に同一の全体形状であってもよい。突起群の1以上のペアは、実質的に同一の全体形状であってもよい。シールクッションの実質的に垂直な中央軸を越えて相対向する、突起群の1以上のペアは、実質的に同一の全体形状であってよい。こうしてシールクッションの両側に同一の力がかかってもよい。
【0014】
1以上の突起群の全体形状にはテーパが付いていてもよい。1以上の突起群及び/又は個別突起はその長さ方向にテーパが付いていてもよい。1以上の突起群及び/又は個別突起は、開口に隣接するメンブレン領域において幅及び/又は高さが小さくなっていてもよい。
【0015】
1以上の突起は横方向にテーパが付いていてもよい。例えば、突起は開口を画定するメンブレンの内端に向かって、幅及び/又は高さが小さくなっていてもよい。こうすることにより、開口に隣接するメンブレン領域において、可撓性のより大きな領域、及び/又は弾性のより小さい領域を提供することが可能である。
【0016】
1以上の突起は周方向にテーパが付いていてもよい。例えば、突起は突起群の外端において高さが小さくなっていてもよい。こうして、弾性及び/又は変形抵抗の大きな領域と小さな領域との間が段階的に遷移していてもよい。
【0017】
複数の突起はメンブレンと一体形成されていてもよい。複数の突起は、メンブレンの成形プロセスの一部として成形されてもよい。複数の突起はメンブレンと同一材料で成形されていてもよい。
【0018】
突起は、メンブレンを実質的に横切って整列していてもよい。突起は、実質的にメンブレン全体に亘り横断的に延在していてもよい。突起は、メンブレンの一部のみを横切って延在していてもよい。
【0019】
1つの突起群には突起が2つだけであってもよい。あるいは、1つの突起群には、例えば実質的に横軸に沿って整列した、一連の3つ以上の突起があって、これらが、隣接する突起に実質的に同時に係合するか、あるいはメンブレンの変形の増大と共に段階的に係合するようになっていてもよい。一例として、メンブレンの第1領域、例えば患者の顔の鼻及び/又は口の領域を受けるための開口に隣接する領域、における少なくとも2つの突起は、使用時に患者の顔にメンブレンを係合する際に、メンブレンの第2領域、例えば第1領域よりも開口からより大きく離間した領域、における少なくとも2つの突起が係合する前に相互に係合するように適合されていてもよい。
【0020】
突起のそれぞれは、使用時にメンブレンが変形した構成において、隣接する対応の当接面に当接する当接面を備えていてもよい。1以上の当接面は、隣接当接面と係合しているときに横方向移動/滑りに抵抗するようになっていてもよい。
【0021】
当接面は、隣接する当接面と係合しているときに横方向移動/滑りに抵抗するような形状となっていてもよい。隣接する当接面は、同一又は対応する形状の面を持っていてもよい。例えば、各当接面は実質的に平坦であるか、あるいは、各当接面は、隣接当接面の対応する形成体に実質的に嵌合するような形成体を持っていてもよい。こうして滑りのリスクが小さくなり、したがって、メンブレン変形に対する抵抗がより予測しやすくなり得る。当接面は粗面であってもよい。それにより当接面は隣接当接面との摩擦接触を増大させてもよい。
【0022】
突起の隣接当接面どうしはチャネル又は溝を画定してもよい。チャネル又は溝は実質的に一定幅であってもよい。こうしてチャネル又は溝は、隣接する突起の異なる部分間が実質的に同時係合することを可能とし、それによってメンブレンが異なる変形抵抗及び/又は弾性へより迅速に遷移することを可能としてもよい。
【0023】
少なくとも1つの突起、又はそれぞれの突起は、シールクッションが静止した構成においては隣接突起から少なくとも部分的に離間していてもよい。少なくとも1つの突起又はそれぞれの突起は、隣接突起から、即ちメンブレンの内表面から完全に離間していてもよい。これにより、隣接突起に係合する前にメンブレンにより大きな可撓性が与えられてもよい。あるいは、1以上の突起又はそれぞれの突起が、隣接突起から実質的に“V字型”のチャネル又は溝によって離間されていてもよい。このようにしてこれらの実施形態では、隣接突起と係合する前に、変形抵抗がより大きいか、及び/又は弾性がより大きいことがあり得る。またこれとは別に、静止構成において例えば低接触圧で当接している突起を利用して、変形に対する異なる抵抗を実現することも可能であり得る。例えば、製造時に1つの突起を切断して2つの当接する突起を形成することで、そのような突起を形成してもよい。
【0024】
メンブレンは患者の顔に接触する外部接触面を備えていてもよい。外部接触面は静止構成においては患者の顔の輪郭に実質的に一致するような形状であってもよい。メンブレンは患者の顔に対して凹型接触面となっていてもよい。メンブレンは接触面領域において湾曲断面となっていてもよい。メンブレンの曲率は、患者の顔に係合することによる変形によって増大してもよい。こうして、メンブレンを十分に変形させることによって突起を隣接突起に係合させることが可能となり得る。メンブレンはマスクシェルの接続部へ隣接する側壁と接触面領域との間において断面が湾曲していてもよい。
【0025】
メンブレンは、マスクアセンブリのシールクッションに使用するのに好適な任意の弾性変形可能材料で形成されていてもよい。メンブレンは、熱可塑性材料(TPE)又はシリコーンのような熱硬化性エラストマ(TSE)で形成されていてもよい。
【0026】
メンブレンは、突起のない領域では実質的に均一な厚さであってもよい。あるいはまた、メンブレンには、メンブレンの他の部分とは厚さの異なる領域があって、それにより可撓性及び/又は弾性の低い及び/又は高い領域を提供してもよい。メンブレンは単一のメンブレンであってもよい。例えば、メンブレンの下には支持部材及び/又はクッションがなく、メンブレンと付属する突起によってのみ、変形抵抗が与えられるようになっていてもよい。
【0027】
接触面領域においてメンブレンの断面が湾曲し、患者の顔への係合による変形で曲率が増大するところでは、メンブレンの曲率の増大によって隣接する突起どうしの間での係合が生じてもよい。
【0028】
マスクを患者に当てたときに各突起が必ずしも隣接突起と係合しなくてもよい。また使用時の患者とマスクの動きに応じて係合する突起が変化してもよい。具体的には、マスクの患者への具体的な装着情況、及び/又は処置のために供給される呼吸ガスの圧力に依存して、突起のすべてが当接しなくてもよい。使用時に例えば呼吸マスクへ加圧ガスを印加することで、突起は係合が外れて、例えば分離してもよい。
【0029】
隣接する突起どうしが係合すると、変形に対するメンブレンの弾性が向上してもよい。一連の3以上の隣接する突起が実質的に同時に係合されてもよいし、メンブレンの変形の進行に応じた段階的な係合であってもよい。メンブレンの第1領域(例えば患者の顔の鼻及び/又は口の領域を受けるための開口に隣接する領域)における少なくとも2つの突起は、使用時に患者の顔にメンブレンを係合する際に、メンブレンの第2領域(例えば第1領域よりも開口からより大きく離間した領域)における少なくとも2つの突起が係合する以前に相互に係合するように適合されていてもよい。
【0030】
開口はメンブレン内の実質的に中央に配置されていてもよい。開口は患者の鼻及び/又は口の領域の形状と実質的に同じであってもよい。開口は実質的に三角形であってもよい。開口は、隣接する鼻の下部に比べて鼻梁領域で幅が狭くなっていてもよい。開口の隅は丸まっているか曲線となっていてもよい。
【0031】
開口領域のメンブレンは患者の快適さを向上させるようになっていてもよい。開口領域のメンブレンは患者の快適さを向上させるような形状になっていてもよい。開口領域のメンブレンはマスククッションの内部空洞方向に少し内側に湾曲していてもよい。
【0032】
シールクッションは、マスク本体への接続のためのマスクインタフェース部を備えていてもよい。マスクインタフェース部は、シールクッションの患者インタフェース部に対向する端部に配置されてもよいし、それが最も好ましい。マスク本体は、典型的には患者の顔の鼻及び/又は口の領域を受ける空洞を画定し、また通常は呼吸ガス用のガス入口/出口を含んでいる。
【0033】
シールクッションは、シールクッションよりも固くかつマスクシェルの形状を有するマスク本体に、周縁領域で結合するようになっていてもよい。具体的にはマスクインタフェース部は、例えば締りばめ及び/又はスナップフィットによって、マスクシェルの対応する突起を受けるためのリセスを備えていてもよい。
【0034】
シールクッションはマスクシェルのファスナ部と係合するようになっていてもよい。例えば、シールクッションは少なくとも1つのクリップ又は類似のものを受けるようになっていてもよい。具体的には、マスクインタフェース部は、マスクシェルの対応する突起の拡大部分を受けるようになったリセスを備えていてもよい。
【0035】
こうして、シールクッションはガス入口/出口を備えたマスクシェルに接続されてもよい。シールクッションは鼻のみを収納する鼻マスクアセンブリの一部を構成してもよい。シールクッションは鼻と口を収納する“フルフェイス”マスクアセンブリの一部を構成してもよい。
【0036】
シールクッションは単一部品であってもよい。シールクッションは、例えば射出成形法又はそれに類似の、単一モールドプロセスによって形成されてもよい。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様によるシールクッションを備えた呼吸マスクアセンブリが提供される。
【0038】
呼吸マスクアセンブリは、シーリングクッションよりも固いマスクシェルを備えてもよい。マスクシェルは内部空洞を画定するようになっていてもよい。マスクシェルは一般的に内部空洞を画定するドーム形であってよい。マスクシェルは実質的に凹型の内部表面を持っていてもよい。マスクシェルは実質的に凸型の外部表面を持っていてもよい。内部空洞は、シールクッションの内部空洞と直接流体連通していてもよいし、それが最も望ましい。
【0039】
マスクシェルはシールクッションに永久的に係合するようになっていてもよい。代わりに、そして最も好ましくは、マスクシェルはシールクッションに取り外し可能に係合するようになっていてもよい。
【0040】
マスクシェルの背面には少なくとも1つの突起があり、これがマスクシェルの周縁領域の周りに延在してもよい。この少なくとも1つの突起は、シールクッションのマスクシェルインタフェース部の対応するリセスによって受け止められるような形状及び/又は寸法となっていてもよい。
【0041】
マスクシェルには少なくとも1つのファスナ部があってもよい。この少なくとも1つのファスナ部は、マスクシェルの背面の1以上の局部領域に配置されていてもよい。ファスナ部はマスクシェルの各端部に沿って配置されていてもよい。ただし、外しやすくするためにマスクシェルの1以上の隅にはなくてもよい。この少なくとも1つのファスナ部はシールクッションのマスクシェルインタフェース部の対応するリセスによって受けられる突起の一部を形成していてもよい。ただしその他の突起よりも大きな寸法であってもよい。
【0042】
少なくとも1つのファスナ部は、マスクインタフェース部の対応するクリップ受部に係合し、最も好ましくは取り外し自在に係合するようになっていてもよい。少なくとも1つのファスナ部は、マスクインタフェース部の対応するクリップ受部に係合するような形状、最も好ましくは取り外し自在に係合するような形状、となっていてもよい。少なくとも1つのファスナ部はクリップ又は類似のものであってよい。
【0043】
マスクシェルは、流体コネクタを係合できるようになった開口を備えていてもよいし、あるいは一体的に形成された流体コネクタを持っていてもよい。流体コネクタはエルボコネクタ(elbow connector)であってもよい。マスクシェルには接続形成体が備えられ、マスクシェルを流体コネクタに接続して流体コネクタが開口と流体連通するようになっていてもよい。
【0044】
接続形成体は流体コネクタをマスクシェルに回転可能に取り付けてもよい。マスクシェルの接続形成体と流体コネクタは、マスクシェルに対する流体コネクタの1以上の所定回転位置において相互に係合する対応構造を備え、ユーザが例えば手動で動かすまでは、流体コネクタは使用時に所定の回転位置に保持されるようになっていてもよい。流体コネクタの1以上の所定回転位置には、流体コネクタの遠位端が患者の顔の長手軸方向、例えば患者の顔に関して上方向、に向く位置が含まれ、患者にとってそれが寝るのにより快適な位置である場合には、接続された呼吸チューブが患者の頭越しに保持されるようになっていてもよい。
【0045】
接続形成体はマスクシェルの外部表面上に配置されていてもよい。接続形成体はマスクシェルの外部表面から立ち上がっていてもよい。接続形成体はマスクシェルと一体的に形成されていてもよい。接続形成体は隆起、又は突起、又はそれに類似の形態であってよい。接続形成体は開口に隣接する領域にあってもよい。接続形成体は実質的に開口の全体を囲んでいてもよい。接続形成体は実質的に一定の断面を有していてもよい。
【0046】
接続形成体はさらに少なくとも1つの固定突起を備えていてもよい。この少なくとも1つの固定突起は流体コネクタの対応する受部を永久的に係合するようになっていてもよい。この少なくとも1つの固定突起は流体コネクタの対応する受部の中に配置できるようになっていてもよい。
【0047】
呼吸マスクアセンブリはマスクアセンブリを呼吸回路の残りの部分に接続するための流体コネクタを備えていてもよい。コネクタには流体連通する第1と第2の突出部があってもよい。第1と第2の突出部は互いに実質的に垂直配置されて、コネクタが“L字型”となるようになっていてもよい。コネクタはいわゆるエルボコネクタであってよい。
【0048】
第1と第2の突出部の間のインタフェースにはテーパが付いていて、それによって、マスクシェルからのコネクタの突出を小さくしていてもよい。具体的には、第1の遠位突出部により画定される導管は、例えば患者の顔に垂直な軸に沿って次第に寸法が減少していて、実質的に一定断面寸法を有する通常のエルボ導管に比較すると第1の突出部が患者の顔方向に押しつぶされたようになっていてもよい。
【0049】
コネクタはマスクシェルを近位端において固定的に係合するようになっていてもよい。コネクタは近位端に周縁リムがあって、対応するマスクシェルの締結及び/又は固定形成体を取り外し自在に受け止めるようになっていてもよい。
【0050】
呼吸マスクアセンブリは少なくとも1つ、そして最も好ましくは複数の、ベント形成体を備えていてもよい。この少なくとも1つのベント形成体は、コネクタ内、例えばコネクタの壁に形成されていてもよい。この少なくとも1つのベント形成体は、呼気ガスを呼吸マスクアセンブリの外、例えば患者の顔から実質的に離れる方向へ向かわせるようになっていてもよい。
【0051】
少なくとも1つのベント形成体には開口があってもよい。そしてガスをマスク内部から開口に向かわせて通過させるための溝又はチャネルがあってもよい。開口は、例えばコネクタの第1と第2の突出部の間の界面において、コネクタの外部表面に開いていてもよい。溝又はチャネルは、例えばコネクタの第1と第2の突出部の間の界面において、コネクタの内部表面に配置されていてもよい。溝又はチャネルは、その長さ方向にテーパが付いていてもよい。各開口は対応する溝又はチャネルと流体連通していてもよい。こうして、各溝又はチャネルは、開口を介してコネクタ構造の外部へ空気を向かわせ得る。
【0052】
コネクタにはその遠位端に、呼吸回路の別の部品の流体コネクタへ取り外し自在に接続するための少なくとも1つの形成体があってもよい。コネクタは第1と第2の構成の間を作動可能であってよい。第1の構成は、呼吸チューブ又は他の任意の適当な呼吸回路部品の流体コネクタを保持してもよい。第2の構成は、呼吸チューブ又は他の任意の適当な呼吸回路部品の流体コネクタを解放してもよい。少なくとも1つの接続形成体には複数のスロットが含まれてもよい。複数のスロットのそれぞれは、呼吸チューブ又は他の任意の適当な呼吸回路部品の対応部分を受けられる形状及び/又は寸法となっていてもよい。
【0053】
この少なくとも1つの接続形成体は、圧力印加によって第1の構成から第2の構成へ作動させられてもよい。そのような構成とすることで、少なくとも1つの接続形成体を押しつぶすことによって、呼吸チューブの迅速かつ容易なマスクアセンブリへの脱着が可能となる。したがって、従来技術で知られている構成に比べてこの構成はより単純であり、所要時間も短い。
【0054】
マスクシェルには、呼吸マスクアセンブリをヘッドギアに接続するための少なくとも1つのファスナがあってもよい。この少なくとも1つのファスナは、ヘッドギアのストラップ等を永久的に保持するようになっていてもよい。この少なくとも1つのファスナは、最も好ましくはヘッドストラップ等を取り外し自在に保持するようになっていてもよい。この少なくとも1つのファスナは、ヘッドギアのストラップ等を取り外し自在に保持すできる形状となっていてもよい。マスクシェルは最も好ましくは、複数のファスナ、例えばマスクシェルの各側に1つのファスナを備えている。
【0055】
ファスナはマスクシェルから横の外方向に向かって延在していてもよい。ファスナはマスクシェルの下隅から横方向外側に向かって延在していてもよい。最も好ましくは、ファスナがマスクシェルの各下隅から横方向外側に延在している。ファスナはマスクシェルと一体的に形成されていてもよい。ファスナはヘッドギアストラップ等の対応部分を受けるようになっていてもよい。ファスナはヘッドギアストラップ等の対応部分を受けるような形状となっていてもよい。ファスナは1以上の開口を画定し、したがってバックルの形状であるか、又は鉤(hook)の形状であってもよい。ファスナが鉤である場合、ファスナは実質的に“C字型”の形状であってよい。
【0056】
マスクには第1と第2のファスナがあって、それぞれがヘッドギアストラップ等を取り外し自在に保持するようになっていてもよい。代替の実施形態において、第1ファスナはヘッドギアストラップ等を永久的に保持するようになっていて、第2ファスナがヘッドギアストラップ等を取り外し自在に保持するようになっていてもよい。
【0057】
呼吸マスクアセンブリは、呼吸マスクと、使用時に呼吸マスクを患者の顔に保持するためのヘッドギアとを含んでいてもよい。ここでヘッドギアには、1以上の可撓性ストラップと、呼吸マスクの対応するファスナに着脱自在に取り付けられるようになった少なくとも1つのファスナと、が含まれている。この好適な実施形態においては対応するファスナは、首部分と拡大ヘッド部分とを有する第1ファスナと、第1ファスナの首部分を収納するための開口を画定する1以上の支持部材を有する第2ファスナとを備え、第1ファスナの拡大ヘッド部分が第2ファスナの1以上の支持部材に支持されるようになっている。この配置によって、確実でありながら容易に解放可能な取付け部が提供される。
【0058】
呼吸マスクアセンブリは患者の鼻のみを覆い、いわゆる鼻マスクアセンブリであってもよい。呼吸マスクアセンブリは患者の鼻と口の両方を覆い、いわゆるフルフェイス型マスクアセンブリであってもよい。
【0059】
呼吸マスクアセンブリは、患者の顔を実効的にシールしたままで、ガス供給源からの正圧を受けるようになっていてもよい。具体的には、シールクッションが患者の顔のシールを実効的に維持するように変形しながら、マスクシェルが患者の顔に対して相対的に、例えば患者の顔に近づく方向または離れる方向などに、移動可能であってよい。この動きは、少なくとも3mm、又は少なくとも6mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mmの範囲であってよい。したがってメンブレンは少なくとも3mm、又は少なくとも6mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mmだけマスクシェルから突出し得る。
【0060】
本発明の第3の態様によれば、呼吸マスクと、使用時に患者の顔に呼吸マスクを保持するためのヘッドギアとを備える、呼吸マスクアセンブリが提供される。ヘッドギアは1以上の可撓性ストラップと、呼吸マスクの対応するファスナに着脱自在に取り付けられるようになった少なくとも1つのファスナとを含み、対応するファスナは、首部分と拡大ヘッド部分とを有する第1ファスナと、第1ファスナの首部分を収納するための開口を画定する1以上の支持部材を有する第2ファスナとを備え、第1ファスナの拡大ヘッド部分は第2ファスナの1以上の支持部材に支持されるようになっている。
【0061】
第1ファスナは、第2ファスナの1以上の支持部材に当接するように適合された、拡大されたヘッドの当接面を含む。当接面は、第2ファスナの1以上の支持部材の当接面の形状に実質的に対応する形状、例えば実質的な嵌合形状、を有する。第1と第2ファスナの当接面は、例えば湾曲していてもよい。第1ファスナは一般的にT字型であってもよい。第1ファスナはヘッドギアの一部であり、ヘッドギアの可撓性ストラップに取り付けられていてもよい。
【0062】
第2ファスナは鉤形状を有し、これは第1ファスナを支える支持部材を形成する第1突出部と、第1ファスナの横移動を制限又は防止する第2及び第3突出部との少なくとも3つの突出部を有していてもよい。第2突出部又は第3突出部は、呼吸マスク又はヘッドギアへの取付け部を形成してもよい。第2ファスナは一般的にC字型であってもよい。第2ファスナは、例えばマスクシェルから延在する、呼吸マスクの一部であり、また、マスクシェルと一体的に形成されていてもよい。
【0063】
第1と第2ファスナは、ファスナを外すためにはこれらのファスナの相対回転移動を必要とするようになっていてもよい。これは、係合構成において第1ファスナの拡大ヘッド部分の横幅よりも小さい距離だけ離間した横支持部材を有する第2ファスナによって達成されてもよい。これによって、ファスナが偶然外れてしまうリスクが軽減される。
【0064】
第1と第2ファスナは、これらのファスナの相対回転移動だけでファスナが外れるようになっていて、使用時にファスナを迅速に取り外せるようになっていてもよい。これは、第1ファスナの前記拡大ヘッド部分を支える第2ファスナの1以上の支持部材の少なくとも1つの表面が、取り外し方向に対して斜めの角度となっており、ファスナを相対回転移動させると取り外し方向にファスナが分離することで達成されてもよい。例えば、ファスナが係合するときに第1ファスナの拡大ヘッド部分を支える第2ファスナの1以上の支持部材が、概ねV字型又は凹型の表面をなしてもよい。
【0065】
1以上の第1及び/又は第2ファスナはファスナ間の係合を改良するために、例えば熱弾性エラストマ(TPE)のような摩擦係数の大きい、別の材料で被覆されていてもよい。
【0066】
マスクシェルは額支持形成体を備えていてもよい。額支持形成体はマスクシェルと一体的に形成されていてもよい。額支持形成体はマスクシェルから外向きに延在していてもよい。額支持形成体はマスクシェルから実質的に長手方向外向きに延在していてもよい。額支持形成体は、使用時に鼻梁の位置となるようになったマスクシェルの隅から延在してもよいし、それが最も好ましい。
【0067】
額支持形成体は、患者の額領域に実質的に形状が一致するようになっていてもよい。額支持形成体は、マスクシェルの長手軸に対して斜めの角度となっていてもよい。額支持形成体は、実質的に細長い形状であって、例えば実質的に楕円形であってもよい。
【0068】
額支持形成体には額当てがあってもよい。額当ては、使用時に患者の額に載るようになっていてもよいし、及び/又はそのような形状となっていてもよい。これは直接載ってもよいし、額支持形成体に取り付けられたヘッドギアストラップ等の介在部品を介してでもよい。額当ては患者インタフェース部を含んでもよい。患者インタフェース部は弾性及び/又は可撓性の形成体を含んでいてもよい。弾性及び/又は可撓性の形成体は、患者の快適さを向上させ得る。
【0069】
額支持形成体は少なくとも1つの開口又は鉤を含んでもよい。この少なくとも1つ開口又は鉤はヘッドギアストラップ等を取り外し自在に受けるようになっていてもよい。
【0070】
額当ては額支持形成体に取り外し自在に取り付けられてもよい。こうして、額当ては、例えば異なるサイズの額当てと交換可能であって、頭の大きさ及び/又は形の違う患者に呼吸マスクアセンブリを適応できるようになっていてもよい。
【0071】
これとは別の実施形態において、額当ては額支持形成体に回転可能に取り付けられる。例えば額支持形成体は、額当ての接続形成体を回転可能に受けるための回転形成体を含んでもよい。額当ては長手軸又は横軸を中心に回転可能であってもよい。
【0072】
額当ては額支持形成体に対して第1と第2の構成の間を移動可能であってもよい。第1と第2の構成は、患者の額に当てられる額当ての厚さが違っていてもよい。こうして、額当ては様々な頭の大きさの患者に適応され得る。
【0073】
本発明の第4の態様によれば、マスクシェルとシールクッションを備え、マスクシェルの外面には眼鏡を支持できるようになった保持形成体を有する呼吸マスクアセンブリが提供される。
【0074】
マスクシェルの外面は、マスクシェルの凸面であってよい。眼鏡保持形成体はマスクシェルの外部表面から立ち上がっていてもよい。眼鏡保持形成体はマスクシェルの鼻梁領域に配置されていてもよい。眼鏡保持形成体は眼鏡を着脱自在に保持するためのリセスを備えていてもよい。眼鏡保持形成体はファスナを含み、これが眼鏡の少なくとも一部の周りに延在して、重力作用に抗して眼鏡を保持するようになっていてもよい。
【0075】
本発明の第5の態様によれば、上記の呼吸マスクアセンブリを備える呼吸システムが提供される。
【0076】
この呼吸器システムは、呼吸マスクアセンブリにガスを供給するためのガス供給源を備えていてもよい。ガス供給源は酸素及び/又は他の呼吸ガスを供給し得る。ガス供給源は、麻酔ガスのような麻酔薬を供給し得る。
【0077】
呼吸器システムは、呼吸ガスを呼吸マスクアセンブリに供給するための換気機を備えて、呼吸ガスが患者によって吸気されるようになっていてもよい。換気機は機械的換気機であってもよい。換気機は、呼吸サイクルの少なくとも一部において患者に正圧の換気を供給するように構成されていてもよい。換気機は、CPAPとしても知られている、連続的な正気道圧力を患者に供給するようになっていてもよい。このように、この呼吸器システムは、睡眠時無呼吸等を患っている患者を処置するように構成されていてもよい。
【0078】
本発明の実際的な実施形態を、添付図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の第1の態様による、シールクッションの一実施形態の斜視図である。
図2図1のシールクッションの背面図である。
図3図1のシールクッションの左側面図である。
図4図3の線A−Aに沿う断面図である。
図5】本発明の第2の態様によるマスクアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図6図5のマスクアセンブリの分解斜視図である。
図7図5のマスクアセンブリの正面図である。
図8図7の線B−Bに沿う断面図である。
図9図5のマスクアセンブリの一部を構成する額当ての拡大斜視図である。
図10図5のマスクアセンブリの一部を構成するエルボコネクタの斜視図である。
図11】左上から反時計方向に、図5のマスクアセンブリの一部を構成するエルボコネクタの左側面図、線C−Cに沿う断面図、図5のマスクアセンブリの一部を構成するエルボコネクタの正面図、及び線D−Dに沿う断面図である。
図12図5のマスクアセンブリ用の代替額当ての第1の構成における分解斜視図である。
図13図5のマスクアセンブリ用の代替額当ての第2の構成における斜視図である。
図14】額当てを組み立てたときの、図12に示す線E−Eを通る断面である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明によるマスクアセンブリを図5及び図6に示す。これを一般に符号10で表す。マスクアセンブリ10は、マスクシェル12、エルボコネクタ14、及びシールクッション16を含む。
【0081】
本発明によるシールクッションを図1図3に示す。これはシリコーンの射出成形で成形される。
【0082】
シールクッション16は基本的にはほぼ三角形であり、患者の鼻の領域を実質的に囲むような形となっている。したがってシールクッション16には開口26があり、これは患者の鼻領域と同じような形状をしている。
【0083】
シールクッション16には、患者インタフェース部18と側壁部20とマスクシェルインタフェース部22とが含まれる。側壁部20は患者インタフェース部18とマスクシェルインタフェース部22との間にあってこれらを接続し、シールクッション16内に内部空洞を形成するようになっている。患者インタフェース部18には変形可能なメンブレン24がある。変形可能なメンブレン24には開口26がある。
【0084】
メンブレン24は均一な厚さであり、これは側壁部20の厚さよりも薄い。側壁部20はしたがってメンブレン24よりも剛性が高く、メンブレン24が使用中にマスクシェルインタフェース部22に接触することを防止するように作用する。メンブレン24には鼻梁領域28と鼻孔領域30がある。
【0085】
シールクッション16には複数の支持形成体32、34、36、38、40がある。複数の支持形成体32、34、36、38、40のそれぞれは、メンブレン24の内面を横断する方向に延在する。複数の支持形成体32、34、36、38、40のそれぞれはさらに、側壁部20の内面を横断する方向に延在する。
【0086】
第1の支持形成体32と第2の支持形成体34は鼻梁領域28の両側に配置されている。第1の支持形成体32と第2の支持形成体34は、開口26に向かってメンブレン24を実質的に横断する方向に延在している。第1の支持形成体32は、メンブレン24と側壁20の内部表面から立ち上がっていて、実質的に台形プリズムの形をしている。第1の支持形成体32には、複数の実質的に矩形の溝が形成されている。こうして第1の支持形成体32は、実効的に複数の立ち上がった突起45を備えている。立ち上がった突起45のそれぞれは実質的に台形断面となっている。
【0087】
第2の支持形成体34は、第1の支持形成体32と実効的に同一形状をしている。
【0088】
同じようにして、第3の支持形成体36と第4の支持形成体38が鼻孔領域30の両側に配置されて、メンブレン24の下側の左と下側の右の隅にある。そして第5の支持形成体40が第3の支持形成体36と第4の支持形成体38の間の中央に配置されて、メンブレン24の下部中央に位置している。第3、第4、第5の支持形成体36、38、40のそれぞれは、第1と第2の支持形成体32、34と同じ概略形状をしている。ただし、第3、第4、第5の支持形成体36、38、40は、側壁20からメンブレン24を横切る距離が短い。
【0089】
マスクシェルインタフェース部22には、実質的にシールクッション16の全体を囲むリム44がある。リム44には溝46があり、これがマスクシェルインタフェース部22の実質的に全周囲を囲んでいる。溝46はマスクシェル12上に形成された対応する突起を受けるような寸法となっている。溝には、マスクシェルインタフェース部22の隅を除いて、マスクシェルインタフェース部22の各主軸に沿った深さの深い部分がある。これはマスクシェル12上に形成された対応する突起をスナップフィットで受け止められるようにしている。
【0090】
本発明によるマスクシェル12を、図6図7及び図8でより明らかに示す。
【0091】
マスクシェル12は基本的にほぼ三角形であり、シールクッション16のマスクシェルインタフェース部22に対応するような形状となっている。マスクシェル12は一般的にドーム形状であり、マスクシェル12が内部空洞を有するようになっている。
【0092】
マスクシェル開口56がドーム型をしたマスクシェル12の頂点にあり、これは基本的にほぼ円形となっている。前方の隆起52はマスクシェル12の外部表面から直立しており、マスクシェル開口56の全周を取り巻いている。前方の隆起52は実質的に矩形断面をしている。
【0093】
後方の隆起54はマスクシェル12の周縁から後方向に延在している。後方の隆起54は、組み立てたときにシールクッション16のマスクシェルインタフェース部22の中に入り込む。後方の隆起54は実質的に矩形の断面を有し、その幅は、シールクッション16のマスクシェルインタフェース部22にある溝46の幅と実質的に同じである。
【0094】
複数のクリップ突起60が、後方の隆起54と一体的に形成され、マスクシェル12の各端部に沿って位置している。ただし隅にはない。複数のクリップ突起60は実質的に矩形断面をしており、複数のクリップ突起60のそれぞれは後方の隆起54の幅よりも大きい幅を有している。複数のクリップ突起60のそれぞれは、シールクッション16のマスクシェルインタフェース部22に配置された、対応する深さの深い溝部分の中に受け止められるような寸法となっている。
【0095】
保持形成体58には直立した突起があり、第1の前方の隆起52の上部周囲の中央に配置されている。この保持形成体58は、エルボコネクタ14の遠位端を患者の頭の上方向に向けたときに、エルボコネクタ14の対応するリセスに係合するようになっている。これが寝るのに快適な位置であれば、これによって患者は呼吸チューブを頭の上に接続されたままにすることができる。
【0096】
マスクシェル12の下側の左右の隅に一対のストラップ保持形成体62がある。一対のストラップ保持形成体62はそれぞれマスクシェル12本体から横方向外側に延在している。複数のストラップ保持形成体62はマスクシェル12と一体化されていて、マスクシェル12を成形する射出成形の同一プロセスの一部として成形される。
【0097】
各ストラップ保持形成体62は第1と第2のアーム形部68、70を含んでいる。第1のアーム形部68はマスクシェル12から横方向外側に延在し、第2のアーム形部70は同一の垂直面内で第1のアーム形部68から実質的に直交して延在する。第2のアーム形部70は基本的に湾曲しており、第2のアーム形部70の遠位端が実質的にマスクシェル12に向かうように延在している。こうして各ストラップ保持形成体62は鉤のような形状となっている。
【0098】
額支持形成体64は三角形をしたマスクシェル12の最上部の隅にある。額支持形成体64は細長で、マスクシェル12から垂直方向外向きに延在している。額支持形成体64はマスクシェル12と一体となっており、マスクシェル12を形成する射出成形の同一プロセスの一部として形成される。
【0099】
額支持形成体64はマスクシェル12に対して斜めの角度となっており、患者の額の面に一致するようになっている。額支持形成体64は実質的に矩形断面をしている。額支持形成体64の断面は長さ方向に一定ではなく、額支持形成体64は遠位端に向かってテーパが付いている。
【0100】
額支持形成体64の遠位端の拡大図を図9に示す。額支持形成体64の遠位端は額当て74を備えている。額当て74は額支持形成体64と一体となっており、同一射出成形プロセスの一部として成形される。額当て74は実質的に楕円形であり、その半長軸が実質的に垂直方向となるように配置されている。
【0101】
額当て74は、中央スロット76と複数の開口78を備えている。中央スロット76は実質的に矩形形状であり、額当て74の半長軸のほぼ全体に亘って延在している。このように、額当て74は中央スロット76の形をした中空の中央部とリム80とを持っている。
【0102】
複数の開口78はリム80上にあり、実質的に矩形となっている。中央スロット76の幅は、複数の開口78の各幅の2倍より大きい。複数の開口78のそれぞれはリム80付近の中央に配置されている。
【0103】
取り外し可能な額スペーサ106は実質的に楕円形であり、その半長軸が実質的に垂直方向となるように配置されている。
【0104】
額スペーサ106は、中央スロット118と複数の差し込み120を備えている。中央スロット118は実質的に矩形形状であり、額スペーサ106の半長軸のほぼ全体に亘って延在している。このように、額スペーサ106は中央スロット118の形をした中空の中央部とリム122とを持っている。
【0105】
複数の差し込み120はリム122上にあり、実質的に矩形となっている。中央スロット118の幅は、複数の差し込み120の各幅の2倍より大きい。複数の差し込み120のそれぞれはリム122付近の中央に配置されている。複数の差し込み120は、額当て74上の複数の開口78の中にスナップフィットで挿入できるような形状となっている。
【0106】
額スペーサ106と額当て74との係合は取り外し自在であって、額の大きさの異なる多様な患者へ適応する方法が提供される。具体的には、患者の好みに応じて額スペーサ106の有り又はなしでマスクを使用してもよい。額スペーサ106は正しい方向でしか組立てられないように楔が付いている。
【0107】
図12図13及び図14に、代替の額支持形成体126と額当て132を示す。
【0108】
額支持形成体126の遠位端には、バー130と額当て132が含まれている。バー130は実質的に円筒形状であり、額支持形成体126に対して直交している。バー130は額支持形成体126の遠位端よりも幅が広く、バー130の端部が額支持形成体126の遠位端から直角に外方向に飛び出している。
【0109】
額当て132は実質的に立方体の形状である。額当て132は、額当て132の対向する側に、第1と第2のチャネル134、136を備えている。第1のチャネル134と第2のチャネル136の両方が、額当てのほぼ全長を横断して延在している。第1のチャネル134と第2のチャネル136の両方が額当て132の幅の約1/3の幅を有する。第1のチャネル134と第2のチャネル136の両方が額当て132の中央に位置している。第1のチャネル134と第2のチャネル136は深さが異なっており、第1のチャネル134が第2のチャネル136よりも深い。
【0110】
第1のチャネル134には複数の側壁138がある。各側壁138にはリセス140がある。リセス140は実質的に円筒形である。リセス140は第1のチャネル134の長さ方向の中央に位置している。各リセス140の直径は、バー130の直径と実質的に同じである。こうしてバー130は、額当て132を固定するために、複数のリセス140内に配置されてもよい。額当て132はしたがってバー130を中心にして回転可能である。
【0111】
第1のチャネル134はさらに底壁を含んでいる。底壁には第1の部分144と第2の部分146がある。第1の部分144は第1のチャネル134の長さの半分よりわずかに小さい部分に亘って延在している。第2の部分146は第1のチャネル134の残りの長さ部分に亘って延在している。
【0112】
第1の部分144にはテーパが付いており、第1のチャネル134の深さが、第1のチャネル134の中央部よりも額当て132の第1の周縁においてより大きくなるようになっている。第2の部分にはテーパが付いており、第1のチャネル134の深さが、第1のチャネル134の中央部よりも額当て132の反対側の周縁においてより大きくなるようになっている。第1の部分144のテーパ角が第2の部分146のテーパ角よりも大きい。このようにして底壁は不等辺三角形を成している。
【0113】
第2のチャネル136には複数の側壁がある。各側壁144にはリセス147がある。リセス147は実質的に矩形形状であり、第2のチャネル136の深さ全体にわたって延在している。
【0114】
額当て132が最初にバー130上にある場合、底壁の第1の部分144は、額支持形成体126の背面148と係合するような位置にある。これが第1の構成である。額当て130はバー130を中心に回転して、底壁の第2の部分146が額支持形成体の正面150に係合するようになってもよい。これが第2の構成である。
【0115】
底壁の第1の部分144と第2の部分146のテーパは、額当て132が第2の構成にあるときに比べて、第1の構成にあるときに額当て132がより大きく後方へ延在するようになっている。こうして額当ては、額の大きさが多様に異なる患者に適応するように調節可能となっている。
【0116】
本発明によるエルボコネクタ14を図10図11に示す。
【0117】
エルボコネクタ14には下部82と上部84がある。下部82は実質的に円筒形状である。下部82と上部84はいずれも中空である。上部84には第1と第2の垂直突出部86、88が含まれる。第2突出部88は第1突出部86よりも長さが著しく短く、エルボコネクタ14の上部84が大きく切り取られた“L字型”又はエルボのようになっている。
【0118】
第1突出部86は、第1突出部86の実質的な中央軸に沿う領域で第2突出部88と接する。こうして、概略的には第1突出部86の半径が第2突出部88の下で背面方向に延在する。したがってエルボコネクタ14は、従来技術で知られているエルボコネクタよりもマスクシェル12から外方向に突き出ている距離がはるかに小さい。第1突出部86の前面90にはテーパが付いていて、前面90がインタフェース領域に向かって湾曲するようになっている。第1突出部86にテーパが付いているために、第1突出部86と第2突出部88との界面の外観が実質的に円形となっている。
【0119】
第1突出部86は複数の開口92を含んでいる。開口92は前面90上にあり、実質的に矩形となっている。開口92は、第1突出部86と第2突出部88の間の界面の周りに半円形状に連なって配置されている。したがって開口92は第1突出部86と第2突出部88の両方に流体連通し、エルボコネクタ14の呼気ベントとして作用する。
【0120】
第1突出部86は弾性的に変形可能なリム87を備え、これがマスクシェル12の対応する前方の隆起52に係合する。
【0121】
第2突出部88は実質的に円筒形状である。第2突出部88は周縁直立リム94を備えている。周縁直立リム94は実質的に第2突出部88の外周全体にわたって延在する。第2突出部88の直径は、マスクシェル12の開口56の直径と実質的に同じである。
【0122】
エルボコネクタ14にはさらに複数のクイックリリース・クリップ96が含まれている。クイックリリース・クリップ96は細長の形状で、エルボコネクタ14の対向する両側に配置されている。クリップ96はエルボコネクタ14の下部82と、エルボコネクタの上部84の第1突出部86との間にある。クイックリリース・クリップ96の対向する両端がエルボコネクタ14に取り付けられ、クイックリリース・クリップ96本体の実質的にすべてがエルボコネクタ14から直立するようになっている。
【0123】
複数のクイックリリース・クリップ96のそれぞれが、接続形成体103を備えている。接続形成体103は、クイックリリース・クリップ96の下部に配置された、外周上に延在する突起の形となっている。接続形成体103は、呼吸チューブコネクタ及び/又はその他の任意のそのような呼吸回路部品を取り外し自在に保持する形状となっている。呼吸チューブの端部を複数のクイックリリース・クリップ96の上に差し込んで、端部の対応するリセスを接続形成体103に係合させることができる。
【0124】
クイックリリース・クリップ96は、一連の溝100と隆起102を含み、クイックリリース・クリップが把持形成体を備えるようになっている。各把持形成体は弾性変形可能な材料でできている。こうして各把持形成体は、ユーザが圧力をかけるとへこむようになっていてもよい。
【0125】
呼吸チューブを外すためには、把持形成体をへこませ、同時に弾性変形可能な接続形成体103をへこませて、呼吸チューブを単純に引き抜けばよい。
【0126】
マスクアセンブリ10には、マスクアセンブリ10を患者の頭に固定するための、図示されていないヘッドギアがさらに含まれる。ヘッドギアには複数のストラップが含まれ、これが額当て74とマスクシェルのストラップ保持形成体62に係合可能である。
【0127】
ヘッドギアには、マスクシェル12の対応するストラップ保持形成体62に係合するための、複数の保持形成体100が備えられている。
【0128】
保持形成体110には実質的に矩形の本体112と端部トグル114とが含まれている。図には端部トグル114を1つだけ示している。トグル114の幅は本体112の幅よりも大きく、保持形成体110の形状が弓に似たものとなっている。端部トグル114には開口があり、ここにヘッドギアストラップの輪を受ける。端部トグル114は、マスクシェル12の複数のストラップ保持形成体62に対応し、かつそこに保持されるような形状となっている。
【0129】
そのトグルのような構成により、迅速かつ簡単な取り外しを可能としつつ、ヘッドギアストラップの確実な保持が可能となっている。
【0130】
同様に、ヘッドギアの1本又は2本のストラップの輪を、額当て74の中央スロット76内に受けて、マスクアセンブリを患者の顔に固定することができる。
【0131】
マスクアセンブリ10の部品を組み立てるために、シールクッション16の溝46及びクリップ受け形成体48が、マスクシェル12の隆起54及びクリップ突起60に整列させられる。隆起54及びクリップ突起60は、それぞれ溝46及びクリップ受け形成体48にスナップフィットで受けられる。
【0132】
エルボコネクタ14の第2突出部88は、マスクシェル12の開口56内にスナップフィットで受けられる。エルボコネクタ14は、マスクシェルの開口56の面に直交する軸を中心に回転可能である。
【0133】
使用時にシールクッション16は患者の鼻領域を覆っている。トグル114がストラップ受け形成体62の中に受けられ、ヘッドギアアセンブリが患者の頭の後ろに配置されて、ストラップがマスクアセンブリ10を所望位置に保持するように作用する。こうしてマスクアセンブリ10がシールクッション16を患者の顔に押し付けて、気密シールが確実に形成されるようにする。
【0134】
額スペーサ106が、任意選択により額当て74に接続されてもよい。呼吸チューブ124がエルボコネクタ14に接続されて、呼吸チューブ124のリップ126がクイックリリース・クリップ96の接続形成体のチャネル100によって保持される。
【0135】
呼吸チューブ124が酸素又は加圧ガスを流れさせてマスクアセンブリ10へ提供し、次いで患者がそれを吸入する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14