(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本技術を適用した積層型デバイスの第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【0016】
図1には、積層型デバイス11を斜め方向から見た構造が模式的に示されており、積層型デバイス11は、上側基板12および下側基板13が積層されて構成される。積層型デバイス11により、例えば、CMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を構成することができる。この構成では、例えば、上側基板12は、画素を構成するフォトダイオードや複数のトランジスタなどが形成されるセンサ基板とされ、下側基板13は、画素を駆動する駆動回路や制御回路などが形成される周辺回路基板とされる。
【0017】
図1の上側に示すように、上側基板12および下側基板13は、それぞれ個別に形成される。そして、上側基板12の接合面14(
図1で下側を向く面)と、下側基板13の接合面15(
図1で上側を向く面)とを貼り合わせて接合することにより、
図1の下側に示すように一体となった積層型デバイス11が形成される。
【0018】
また、上側基板12の接合面14に露出するように複数の接合パッド16が形成される金属層が設けられるとともに、下側基板13の接合面15に露出するように複数の接合パッド17が形成される金属層が設けられる。接合パッド16および接合パッド17は、例えば、導電性を備えた金属により形成されており、上側基板12および下側基板13それぞれに設けられる素子(図示せず)に接続されている。
【0019】
そして、上側基板12の複数の接合パッド16と、下側基板13の複数の接合パッド17とは、上側基板12および下側基板13を接合する際に、互いに対応する位置にそれぞれ形成されている。従って、積層型デバイス11では、接合パッド16と接合パッド17とを全面に亘って互いにメタル接合することによって、上側基板12および下側基板13が接合される。
【0020】
また、上側基板12の複数の接合パッド16は、互いに所定の間隔で独立して配置され、下側基板13の複数の接合パッド17は、互いに所定の間隔で独立して配置される。例えば、接合パッド16および接合パッド17は、一辺の長さが0.1〜100μmの矩形形状に形成され、間隔が0.005μm〜1000μmとなるようなパターンでそれぞれ配置される。なお、接合パッド16および接合パッド17は矩形形状ではなく丸型形状としてもよい。
【0021】
また、上側基板12において、隣接する接合パッド16どうしは、接合パッド16と同一層に形成される連結配線18により連結され、下側基板13において、隣接する接合パッド17どうしは、接合パッド17と同一層に形成される連結配線19により連結される。さらに、複数の接合パッド16および接合パッド17のうち、少なくとも一つが電気的に固定される回路に接続されている。例えば、
図1の構成例では、下側基板13の接合パッド17の一つが電位固定されている。
【0022】
このように構成される積層型デバイス11は、接合パッド16および接合パッド17を接合して電位固定することによって構成される電磁波シールド構成により、上側基板12と下側基板13との間で電磁波を遮断することができる。従って、例えば、上側基板12の動作時に発生する電磁波によるノイズが、下側基板13に対して誤動作などの悪影響を与えることを抑制することができる。また、同様に、下側基板13の動作時に発生する電磁波によるノイズが、上側基板12に対して誤動作などの悪影響を与えることを抑制することができる。
【0023】
また、このような電磁波シールド構成を上側基板12および下側基板13の接合面に設けることによって、上側基板12および下側基板13の電気的な接続と、電磁波の遮断とを同一の層で行うような構成とすることができる。これにより、電気的な接続を行う機能と、電磁波の遮断を行う機能とを、それぞれ異なる層に形成する構成と比較して、製造コストを削減することができる。
【0024】
なお、積層型デバイス11において、接合パッド16および接合パッド17よって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11の全面に設けることができる。その他、例えば、上側基板12から下側基板13の動作に悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、下側基板13において発生する電磁波により上側基板12において悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16および接合パッド17よって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0025】
次に、
図2乃至
図4を参照して、積層型デバイス11の製造方法について説明する。上述したように、上側基板12および下側基板13が個別に形成された後に、上側基板12および下側基板13を積層することで積層型デバイス11が製造される。
【0026】
まず、
図2の上段に示すように、第1の工程において、上側基板12では、シリコン基板21に積層するように配線層22が形成され、下側基板13では、シリコン基板41に積層するように配線層42が形成される。
【0027】
上側基板12の配線層22は、層間絶縁膜中に複数層の配線が形成される多層配線構造により構成され、
図2乃至
図4で説明する構成例では、下層側の配線23−1と上層側の配線23−2とが積層される2層配線構造により構成される。また、上側基板12の配線層22では、接続電極24により配線23−1がシリコン基板21に接続されている。同様に、下側基板13の配線層42は、下層側の配線43−1と上層側の配線43−2とによる2層配線構造により構成され、接続電極44により配線43−1がシリコン基板41に接続されている。
【0028】
ここで、例えば、配線層22および配線層42を構成する層間絶縁膜には、SiO2(二酸化ケイ素)やSiN(窒化ケイ素)、SiOCH(炭素含有シリコン酸化物)、SiCN(炭素含有シリコン窒化物)などの組成が採用される。また、配線層22の配線23−1および23−2、並びに、配線層42の配線43−1には、Cu(銅)配線が採用され、配線層42の配線43−2にはAl(アルミニウム)配線が採用される。このような配線の形成方法については、例えば、“Full Copper Wiring in a Sub-0.25um CMOS ULSI Technology”, Proc. Of 1997 International Electron Device Meeting, pp.773-776 (1997).等により既に公知とされている技術を用いることができる。なお、例えば、上側基板12および下側基板13に採用されるCu配線とAl配線との組み合わせを逆にする構成としたり、上側基板12および下側基板13の両方ともCu配線またはAl配線のいずれか一方を採用する構成としてもよい。
【0029】
次に、第2の工程において、
図2の中段に示すように、上側基板12では、配線層22にレジスト25が塗布された後、一般的なリソグラフィ技術によってレジスト25に開口部26が開口される。同様に、下側基板13では、配線層42にレジスト45が塗布された後、レジスト45に開口部46が開口される。レジスト25およびレジスト45は、例えば、膜厚が0.05〜5μmの範囲で形成され、露光光源としては、ArF(フッ化 アルゴン)エキシマレーザや、KrF(二フッ化クリプトン)エキシマレーザ、i線(水銀のスペクトル線)などを用いることができる。
【0030】
続いて、第3の工程において、一般的なドライエッチング技術によりエッチングが行われた後、洗浄処理が行われる。これにより、
図2の下段に示すように、上側基板12では、接合パッド16を形成するためのトレンチ27が形成され、下側基板13では、接合パッド17を形成するためのトレンチ47が形成される。
【0031】
次に、第4の工程において、
図3の上段に示すように、上側基板12では、配線層22にレジスト28が塗布された後、一般的なリソグラフィ技術によって、トレンチ27よりも小さく形成されるようにレジスト28に開口部29が開口される。同様に、下側基板13では、配線層42にレジスト48が塗布された後、トレンチ47よりも小さく形成されるようにレジスト48に開口部49が開口される。
【0032】
続いて、第5の工程において、一般的なドライエッチング技術によりエッチングが行われた後、洗浄処理が行われる。これにより、
図3の中段に示すように、上側基板12では、接合パッド16を配線23−2に接続するためのビアを形成するためのトレンチ30が形成される。同様に、下側基板13では、接合パッド17を配線43−2に接続するためのビアを形成するためのトレンチ50が形成される。
【0033】
その後、第6の工程において、高周波スパッタリング処理により、CuバリアとしてAr/N2雰囲気下において、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Ru(ルテニウム)もしくはそれらの窒化物を、5nm〜50nmの厚みで成膜した後、Cu膜を電解めっき法あるいはスパッタリング法により堆積する。これにより、
図3の下段に示すように、上側基板12では、トレンチ30を埋めるようにCu膜31が形成され、下側基板13では、トレンチ50を埋めるようにCu膜51が形成される。
【0034】
次に、第7の工程において、ホットプレートやシンターアニール装置を用いて、100℃〜400℃の温度で1分〜60分程度の熱処理を行う。その後、堆積したCuバリア、Cu膜31およびCu膜51のうち接合パッド16および接合パッド17として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去する。これにより、トレンチ30およびトレンチ50に埋め込まれた部分だけが残り、
図4の上段に示すように、接合パッド16および接合パッド17が形成される。
【0035】
また、第8の工程において、
図4の中段に示すように、接合パッド16および接合パッド17どうしをメタル接合することにより、上側基板12および下側基板13を接合する処理を行う。
【0036】
そして、第9の工程において、
図4の下段に示すように、
図4の上側から上側基板12のシリコン基板21が研削および研磨され、例えば、上側基板12の厚さが5〜10μm程度となるように、薄肉化する処理を行う。その後の工程については、積層型デバイス11の用途によって異なり、例えば、積層型の固体撮像素子の場合、上述の特許文献3に開示されている製法を用いて積層型デバイス11を作成する。また、その後の工程において、
図1に示したように、接合パッド17を電気的に固定する回路に接続する処理が行われる。
【0037】
以上のような各工程を含む製造方法により、上側基板12と下側基板13との間で電磁波を遮断する電磁波シールド構造を備えた積層型デバイス11を製造することができる。また、積層型デバイス11では、接合パッド16と接合パッド17とのメタル接合によって上側基板12および下側基板13が接合されるので、例えば、金属と絶縁膜とを接合するような構成と比較して、接合力が強くなり、例えば、生産時にウェハ割れなどが発生することを回避することができる。
【0038】
次に、
図5は、積層型デバイス11の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【0039】
図5には、積層型デバイス11Aの接合面に形成される接合パッド16Aおよび接合パッド17Aが図示されており、他の構成の図示は積層型デバイス11と同様であるため省略されている。また、積層型デバイス11Aの製造方法は、
図2乃至
図4を参照して説明した積層型デバイス11と同様である。
【0040】
図5に示すように、積層型デバイス11Aでは、接合パッド16Aおよび接合パッド17Aは、それぞれ独立して直線状に形成され、接合パッド16Aと接合パッド17Aとが全面に亘って互いにメタル接合される。例えば、接合パッド16Aおよび接合パッド17Aは、長辺の長さが100μmに形成され、間隔が0.005μm〜1000μmとなるようなパターンで配置される。
【0041】
また、
図5では、複数形成される接合パッド16Aおよび接合パッド17Aのうちの、4本の接合パッド16A−1乃至16A−4および4本の接合パッド17A−1乃至17A−4が示されている。そして、接合パッド16A−1乃至16A−4のうちの隣接するものどうしが、同一層に形成される連結配線18Aにより連結され、接合パッド17A−1乃至17A−4のうちの隣接するものどうしが、同一層に形成される連結配線19Aにより連結される。さらに、接合パッド16A−1乃至16A−4、並びに、接合パッド17A−1乃至17A−4のうち、少なくとも一つが電気的に固定される回路に接続されている。例えば、
図5の構成例では、接合パッド17A−4が電位固定されている。
【0042】
このように、積層型デバイス11Aでは、直線状に形成される接合パッド16Aおよび接合パッド17Aをメタル接合して電位固定することによって電磁波シールド構成を構成することができる。これにより、積層型デバイス11Aでは、動作時に発生する電磁波によるノイズが悪影響を与えることを抑制することができる。
【0043】
なお、積層型デバイス11Aにおいて、接合パッド16Aおよび接合パッド17Aよって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Aの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16Aおよび接合パッド17Aよって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0044】
図6は、積層型デバイス11の第3の実施の形態の構成例を示す図である。
【0045】
図6には、積層型デバイス11Bの接合面に形成される接合パッド16Bおよび接合パッド17Bが図示されており、他の構成の図示は積層型デバイス11と同様であるため省略されている。また、積層型デバイス11Bの製造方法は、
図2乃至
図4を参照して説明した積層型デバイス11と同様である。
【0046】
図6に示すように、積層型デバイス11Bにおいて、接合パッド16Bおよび接合パッド17Bは、
図5の積層型デバイス11Aと同様に、それぞれ独立して直線状に形成されている。
【0047】
そして、積層型デバイス11Bでは、接合パッド16Bと接合パッド17Bとが、互いにずれた位置に配置され、それぞれ一部分どうしをメタル接合して電位固定することによって電磁波シールド構成が構成される。例えば、接合パッド16B−1は、接合パッド17B−1および接合パッド17B−2の間に配置され、接合パッド17B−1および接合パッド17B−2と重なる部分で一部だけメタル接合される。同様に、接合パッド17B−2は、接合パッド16B−2および接合パッド16B−3の間に配置され、接合パッド16B−2および接合パッド16B−3と重なる部分で一部だけメタル接合される。
【0048】
このように、積層型デバイス11Bは、接合パッド16Bと接合パッド17Bとが互いにずれた位置に配置され、つまり、複数の接合パッド16Bどうしの間隔を塞ぐ位置に複数の接合パッド17Bが配置され、互いに重なる一部が部分的にメタル接合される。これにより、積層型デバイス11Bでは、接合パッド16Bと接合パッド17Bにより接合面が全面的に覆われ、上方もしくは下方から見ると、あたかも、接合面の全面にメタルが配置されているかのように見えるように構成される。
【0049】
従って、このように構成される積層型デバイス11Bでは、接合面の全面にメタルが配置されているかのように見えるように構成される電磁波シールド構成によって、動作時に発生する電磁波によるノイズが悪影響を与えることを、より確実に抑制することができる。
【0050】
なお、積層型デバイス11Bにおいて、接合パッド16Bおよび接合パッド17Bよって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Bの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16Bおよび接合パッド17Bよって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0051】
図7は、積層型デバイス11の第4の実施の形態の構成例を示す図である。
【0052】
図7には、積層型デバイス11Cの接合面に形成される接合パッド16Cおよび接合パッド17Cが図示されており、他の構成の図示は積層型デバイス11と同様であるため省略されている。また、積層型デバイス11Cの製造方法は、
図2乃至
図4を参照して説明した積層型デバイス11と同様である。
【0053】
図7に示すように、積層型デバイス11Cにおいて、接合パッド16Cは、
図5の接合パッド16Aと同様に直線状に形成され、接合パッド17Cは、
図1の接合パッド17と同様に矩形形状に形成される。このように、積層型デバイス11Cでは、直線状に形成された接合パッド16Cと、矩形形状に形成された接合パッド17Cとをメタル接合して電位固定することによって電磁波シールド構成を構成することができる。これにより、積層型デバイス11Cでは、動作時に発生する電磁波によるノイズが悪影響を与えることを、より確実に抑制することができる。
【0054】
なお、積層型デバイス11Cにおいて、接合パッド16Cおよび接合パッド17Cよって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Cの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16Cおよび接合パッド17Cよって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0055】
また、積層型デバイス11Cの変形例として、接合パッド16Cが、
図1の接合パッド17と同様に矩形形状に形成され、接合パッド17Cが、
図5の接合パッド16Aと同様に直線状に形成される構成としてもよい。
【0056】
図8は、積層型デバイス11の第5の実施の形態の構成例を示す図である。
【0057】
図8には、積層型デバイス11Dの接合面に形成される接合パッド16Dおよび接合パッド17Dが図示されており、他の構成の図示は積層型デバイス11と同様であるため省略されている。また、積層型デバイス11Dの製造方法は、
図2乃至
図4を参照して説明した積層型デバイス11と同様である。
【0058】
図8に示すように、積層型デバイス11Dにおいて、接合パッド16Dは、
図5の接合パッド16Aと同様に直線状に形成され、接合パッド17Dは、
図1の接合パッド17と同様に矩形形状に形成される。また、積層型デバイス11Dでは、
図6の積層型デバイス11Bのように、接合パッド16Dと接合パッド17Dとが、互いにずれた位置に配置され、それぞれ一部分どうしをメタル接合して電位固定することによって電磁波シールド構成が構成される。
【0059】
このように、積層型デバイス11Dでは、接合パッド16Dと接合パッド17Dとが互いにずれた位置に配置されているので、例えば、
図1の構成と比較して、接合面のより広い面積にメタルを配置することができる。従って、このように構成される積層型デバイス11Dでは、動作時に発生する電磁波によるノイズが悪影響を与えることを、より確実に抑制することができる。
【0060】
なお、積層型デバイス11Dにおいて、接合パッド16Dおよび接合パッド17Dよって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Dの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16Dおよび接合パッド17Dよって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0061】
また、積層型デバイス11Dの変形例として、接合パッド16Dが、
図1の接合パッド17と同様に矩形形状に形成され、接合パッド17Dが、
図5の接合パッド16Aと同様に直線状に形成される構成としてもよい。
【0062】
図9は、積層型デバイス11の第6の実施の形態の構成例を示す図である。
【0063】
図9には、積層型デバイス11Eの接合面に形成される接合パッド16Eおよび接合パッド17Eが図示されており、他の構成の図示は積層型デバイス11と同様であるため省略されている。また、積層型デバイス11Eの製造方法は、
図2乃至
図4を参照して説明した積層型デバイス11と同様である。
【0064】
上述した各実施の形態では、接合パッド16および接合パッド17は、それぞれ同一層に形成される連結配線18および連結配線19により接続される構成となっていた。これに対し、積層型デバイス11Eでは、接合パッド16Eおよび接合パッド17Eとは異なる層に連結配線19Eを形成し、その連結配線19Eにより接合パッド16Eおよび接合パッド17Eが電気的に接続される構成となっている。
【0065】
例えば、
図9に示すように、接合パッド16E−1および接合パッド17E−1が配置される一列は、連結配線19E−1により接続されて電位固定される。また、接合パッド16E−2および接合パッド17E−2が配置される一列は、連結配線19E−2により接続されて電位固定され、接合パッド16E−3および接合パッド17E−3が配置される一列は、連結配線19E−3により接続されて電位固定される。
【0066】
このように、接合パッド16Eおよび接合パッド17Eとは異なる層に、接合パッド16Eおよび接合パッド17Eを接続する連結配線19Eを設け、電磁波シールド構成を構成することができる。
【0067】
なお、積層型デバイス11Eにおいて、接合パッド16Eおよび接合パッド17Eよって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Eの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、接合パッド16Eおよび接合パッド17Eよって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0068】
図10は、積層型デバイス11の第7の実施の形態の構成例を示す図である。
【0069】
図10に示すように、積層型デバイス11Fは、上側基板12Fの接合面14(
図1参照)の全面にメタル層61が形成されるとともに、下側基板13Fの接合面15(
図1参照)の全面にメタル層62が形成されている。また、積層型デバイス11Fでは、上側基板12Fおよび下側基板13Fの電気的な接続を行う接続部は、例えば、0.01〜100μnの幅で形成されたスリットによって、メタル層61から電気的に独立されている。例えば、
図10に示す構成例では、接続部である接合パッド16F−1を囲うようにスリット63−1が形成され、接続部である接合パッド16F−2を囲うようにスリット63−2が形成される。そして、積層型デバイス11Fでは、メタル層61およびメタル層62の一部が、
図10の構成例では、メタル層61が電気的に固定される回路に接続されている。
【0070】
このように構成される積層型デバイス11Fは、メタル層61およびメタル層62を接合して電位固定することによって構成される電磁波シールド構成により、上側基板12Fと下側基板13Fとの間で電磁波を、より確実に遮断することができる。従って、積層型デバイス11Fでは、動作時に発生する電磁波によるノイズが悪影響を与えることを、より確実に抑制することができる。
【0071】
なお、積層型デバイス11Fにおいて、メタル層61およびメタル層62よって構成される電磁波シールド構成は、例えば、積層型デバイス11Fの全面に設けることができる。その他、例えば、悪影響を与える電磁波を発生する特定回路の近傍の領域や、悪影響を受けやすい特定回路の近傍の領域などに、メタル層61およびメタル層62よって構成される電磁波シールド構成を配置してもよい。
【0072】
次に、
図11および
図12を参照して、積層型デバイス11Fの製造方法について説明する。なお、
図1の積層型デバイス11の製造方法について説明した第1の工程から第7の工程まで(
図2乃至
図4参照)については、同一の工程が行われるため説明は省略し、第7の工程の次に行われる第21の工程から説明を行う。
【0073】
図11の上段に示すように、第21の工程において、上側基板12Fでは、
図4に示した第7の工程で接合パッド16Fが形成された配線層22に対して、RFスパッタリング処理や蒸着処理を用いてメタル層61を成膜する。同様に、下側基板13Fでは、接合パッド17Fが形成された配線層42に対して、メタル層62を成膜する。メタル層61およびメタル層62は、例えば、Cu,CuO,Ta,TaN,Ti,TiN,W,WN,Ru,RuN,Coなどの導電性メタル材料を用いて、0.1〜1000nmの厚みとなるように成膜される。
【0074】
次に、第22の工程において、
図11の中段に示すように、上側基板12Fでは、メタル層61にレジスト71が塗布された後、一般的なリソグラフィ技術によって、接合パッド16Fを囲うようにレジスト71に開口部72が開口される。同様に、下側基板13Fでは、メタル層62にレジスト81が塗布された後、接合パッド17Fを囲うようにレジスト81に開口部82が開口される。
【0075】
次に、第23の工程において、一般的なドライエッチング技術によりエッチングが行われた後、洗浄処理が行われる。これにより、
図11の下段に示すように、上側基板12Fでは、メタル層61にスリット63が形成されるとともに、下側基板13Fでは、メタル層62にスリット64が形成される。
【0076】
次に、第24の工程において、
図12の上段に示すように、メタル層61およびメタル層62どうしをメタル接合することにより、上側基板12Fおよび下側基板13Fを接合する処理を行う。このとき、スリット63およびスリット64により、メタル層61およびメタル層62とは電気的に独立して、接合パッド16Fおよび接合パッド17Fが接合される。
【0077】
次に、第25の工程において、
図12の下段に示すように、
図12の上側から上側基板12Fのシリコン基板21が研削および研磨され、例えば、上側基板12Fの厚さが5〜10μm程度となるように、薄肉化する処理を行う。その後の工程については、積層型デバイス11Fの用途によって異なり、例えば、積層型の固体撮像素子の場合、上述の特許文献3に開示されている製法を用いて積層型デバイス11Fを作成する。
【0078】
以上のような各工程を含む製造方法により、上側基板12Fと下側基板13Fとの間で電磁波を遮断する電磁波シールド構造を備えた積層型デバイス11Fを製造することができる。また、積層型デバイス11Fでは、メタル層61およびメタル層62とのメタル接合によって上側基板12Fおよび下側基板13Fが接合されるので、例えば、金属と絶縁膜とを接合するような構成と比較して、接合力が強くなり、例えば、生産時にウェハ割れなどが発生することを回避することができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、2層構造の積層型デバイス11について説明したが、本技術は、3層以上の基板が積層された積層型デバイス11に適用することができる。
【0080】
また、本実施の形態における電磁波シールド構造については、接合面に形成される金属層(接合パッド16および17、メタル層61およびメタル層62)の形状や、金属層どうしを接合(全面または部分)する方法、電磁波シールド構造の配置位置などについて、上述した各構成例のものを適宜選択して、組み合わせた形態とすることができる。
【0081】
なお、上述したような各実施の形態の積層型デバイス11は、例えば、画像を撮像する固体撮像素子に適用することができる。そして、積層型デバイス11として構成された固体撮像素子は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0082】
図13は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0083】
図13に示すように、撮像装置101は、光学系102、撮像素子103、信号処理回路104、モニタ105、およびメモリ106を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0084】
光学系102は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を撮像素子103に導き、撮像素子103の受光面(センサ部)に結像させる。
【0085】
撮像素子103は、上述した各実施の形態の積層型デバイス11として構成される。撮像素子103には、光学系102を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、撮像素子103に蓄積された電子に応じた信号が信号処理回路104に供給される。
【0086】
信号処理回路104は、撮像素子103から出力された画素信号に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路104が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ105に供給されて表示されたり、メモリ106に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0087】
このように構成されている撮像装置101では、上述した各実施の形態の積層型デバイス11を適用することによって、例えば、よりノイズの少ない高画質な画像を撮像することができる。
【0088】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
少なくとも2層以上で積層される複数の基板のうちの一方の基板に形成される第1の金属層と、
前記一方の基板に対して積層される他方の基板に形成される第2の金属層と
を備え、
前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合して電位固定することによって、前記一方の基板と前記他方の基板との間で電磁波を遮断する電磁波シールド構造を構成する
積層型デバイス。
(2)
前記第1の金属層は、前記一方の基板を前記他方の基板に接合する接合面に露出するように形成され、
前記第2の金属層は、前記他方の基板を前記一方の基板に接合する接合面に露出するように形成される
上記(1)に記載の積層型デバイス。
(3)
前記第1の金属層および前記第2の金属層は、所定間隔で独立して配置された複数のパッドにより、それぞれ構成される
上記(1)または(2)に記載の積層型デバイス。
(4)
前記第1の金属層および前記第2の金属層それぞれを構成する複数の前記パッドの少なくとも一部は、前記第1の金属層および前記第2の金属層それぞれと同一層に形成される連結配線によって電気的に接続される
上記(3)に記載の積層型デバイス。
(5)
前記第1の金属層を構成する複数の前記パッドと、前記第2の金属層を構成する複数の前記パッドとは、互いに全面または一部で接合される
上記(3)または(4)のいずれかに記載の積層型デバイス。
(6)
前記第1の金属層および前記第2の金属層それぞれを構成する複数の前記パッドの少なくとも一部は、前記第1の金属層および前記第2の金属層とは異なる別層の配線を介して電気的に接続される
上記(3)に記載の積層型デバイス。
(7)
前記第1の金属層および前記第2の金属層は、前記一方の基板と前記他方の基板との間で電気的な接続を行う接合部以外の全面に形成され、
前記第1の金属層と前記接合部との間、および、前記第2の金属層と前記接合部との間にスリットが形成される
上記(1)または(2)に記載の積層型デバイス。
(8)
前記電磁波シールド構造は、前記一方の基板および前記他方の基板の接合面の全面に配置される
上記(1)から(7)までのいずれかに記載の積層型デバイス。
(9)
前記電磁波シールド構造は、前記一方の基板および前記他方の基板の接合面における、前記一方の基板から前記他方の基板の動作に悪影響を与える電磁波を発生する領域、または、前記他方の基板において発生する電磁波により前記一方の基板において悪影響を受ける領域のうち、少なくともいずれか一方の領域に配置される
上記(1)から(7)までのいずれかに記載の積層型デバイス。
(10)
少なくとも2層以上で積層される複数の基板のうちの一方の基板に第1の金属層を形成し、
前記一方の基板に対して積層される他方の基板に第2の金属層を形成し、
前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合して電位固定することによって、前記一方の基板と前記他方の基板との間で電磁波を遮断する電磁波シールド構造を構成する
ステップを含む積層型デバイスの製造方法。
(11)
少なくとも2層以上で積層される複数の基板のうちの一方の基板に形成される第1の金属層と、
前記一方の基板に対して積層される他方の基板に形成される第2の金属層と
を有し、
前記第1の金属層と前記第2の金属層とを接合して電位固定することによって、前記一方の基板と前記他方の基板との間で電磁波を遮断する電磁波シールド構造を構成する
積層型デバイスを備える電子機器。
【0089】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。