(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
石炭床を水平熱回収コークス炉の炉室に装填する工程であって、前記炉室が、炉床と、対向する炉扉と、前記対向する炉扉の間で前記炉床から上方に延びる対向する側壁と、前記炉床の上方に配置された炉頭頂部と、により少なくとも部分的に画定されている工程と;
少なくとも1つの空気入口を通して、前記炉室に空気が引き込まれるように、前記炉室上で負圧通気を生じさせる工程であって、前記少なくとも1つの空気入口が、前記炉室を前記水平熱回収コークス炉の外側環境との流体連通状態に置くように配置されている工程と;
前記石炭床の炭化サイクルを開始して、揮発性物質を前記石炭床から放出させ、前記空気と混合し、前記炉室内で少なくとも部分的に燃焼させ、前記炉室内で熱を発生させる工程と;
前記負圧通気により、揮発性物質を前記炉床の下の少なくとも1つの炉底送気管に引き込み、前記揮発性物質の少なくとも一部を前記炉底送気管内で燃焼させて、前記炉底送気管内で熱を発生させ、前記炉床を通して該熱を少なくとも部分的に前記石炭床に伝達させる工程と;
前記負圧通気により、前記少なくとも1つの炉底送気管から排ガスを引き出す工程と; 前記炭化サイクルに亘って、前記炉室内の複数の位置における温度変化を検出する工程と;
前記炉室内の前記複数の位置における温度変化に基づいて、前記負圧通気の流れを段階的に制限しながら、前記負圧通気を低減する工程と、を含む、
水平熱回収コークス炉の燃焼プロファイルを制御する方法。
前記負圧通気が、取込調整弁を有する少なくとも1つの取込通路を介して、前記少なくとも1つの炉底送気管から排ガスを引き出し;前記取込調整弁が、開位置と閉位置との間において選択的に移動可能である、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つの頭頂部空気入口が、前記少なくとも1つの頭頂部空気入口を通して流体流れの制限レベルを変更するために、開位置と閉位置との間で選択的に移動可能な空気調整弁を備える、請求項11に記載の方法。
前記石炭床が、前記水平熱回収コークス炉用の設計された床装填重量を超える重量を有し;前記炉室が達する最大頭頂部温度が、前記水平熱回収コークス炉用に設計された、超えてはならない最大頭頂部温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
前記水平熱回収コークス炉の前記負圧通気が、前記炉室を前記水平熱回収コークス炉の外部環境との流体連通状態に置くように配置された少なくとも1つの空気入口を通して、前記炉室内に空気を引き込む、請求項21に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
コークスは、鉄鋼の生産において鉄鉱石を溶融及び還元するのに使用される固体の炭素燃料及び炭素源である。「トンプソンコークス化プロセス(Thompson Coking Process)」として知られている1つのプロセスでは、密閉されかつ緊密に制御された大気条件下で24時間から48時間、非常に高温に加熱される炉に微粉炭を一括して供給することによりコークスが製造される。コークス炉は、石炭を冶金コークスに変換するために長年使用されてきた。コークス化プロセスの間、細かく粉砕された石炭を制御された温度条件下で加熱してその石炭を脱揮発分処理し、所定の多孔度及び強度を有するコークスの溶融塊を形成する。コークスの製造はバッチプロセスであるので、複数のコークス炉が同時に運転される。
【0004】
石炭粒子または石炭粒子の混合物を熱い炉に入れ、得られるコークスから揮発性物質(VM)を除去するためにその石炭を炉中で加熱する。水平熱回収(HHR)炉は、負圧下で作動し、典型的には耐火レンガ及び他の材料から構成され、実質的に気密な環境を作り出す。負圧炉は炉の外側から空気を吸い込んで、石炭のVMを酸化し、炉内の燃焼熱を放出する。
【0005】
いくつかの構成では、空気は、炉側壁または炉扉(oven sidewall or door)において調整弁孔(damper port)または開口部を介して炉に導入される。石炭床の上方の頭頂部領域において、空気は、石炭の熱分解から放出されるVMガスを燃焼させる。しかしながら、
図1〜
図3を参照すると、炉室に入る冷空気に作用する浮力効果は、石炭の焼損(burnout)と生産性の低下を引き起こす可能性がある。具体的には、
図1に示すように、炉に入る冷たい高密度の空気は、高温の石炭表面に向かって下降する。空気が暖かくなり、上昇し、揮発性物質を燃焼させ、そして/または炉内で分散して混合する前に、該空気は石炭床の表面と接触して燃焼を生じさせ、
図2に示すように「ホットスポット」を作り出す。
図3を参照すると、これらのホットスポットは、石炭床表面に形成された窪みによって示されるように、石炭表面に燃焼損失を生じさせる。したがって、コークス炉における燃焼効率を改善する必要がある。
【0006】
多くのコークス化運転では、炉の通気(draft)は、取込調整弁の開閉を介して少なくとも部分的に制御される。しかしながら、従来のコークス化運転は、予定通りの取込調整弁の設定変更に基づいている。例えば、48時間サイクルでは、取込調整弁は、典型的には、コークス化サイクルのおよそ最初の24時間の間、完全に開かれるように設定される。次いで、調整弁は、コークス化サイクルが始まって32時間より前に第1の部分的に制限された位置に移動される。コークス化サイクルが始まって40時間より前には、調整弁を第2の更に制限された位置に移動させる。48時間のコークス化サイクルの終わりに、取込調整弁は実質的に閉じられる。取込調整弁を管理するこの方法は柔軟性がないことが判明し得る。例えば、47トンを超えるより大きい装填は、広く開いた取込調整弁設定を介して炉に入る空気量としては、あまりにも多くのVMを炉内に放出する可能性がある。長時間に亘るこのVM−空気混合物の燃焼は、温度をNTE温度を超えて上昇させる可能性があり、これにより炉を損傷させる可能性がある。したがって、超えてはいけない(NTE)温度を超えないでコークス炉の装填重量を増加させる必要がある。
【0007】
コークス化プロセスによって生成された熱は、通常、コークスプラントに関連する熱回収蒸気発生機(HRSG)により電力に変換される。非効率的な燃焼プロファイル管理により、VMガスが炉で燃焼されずに共通煙道(common tunnel)に送られる結果となる場合がある。これにより、コークス化プロセス用のコークス炉により使用され得る熱が浪費される。燃焼プロファイルの不適切な管理は、コークス生産率も、コークスプラントにより生産されるコークスの質も、更に低下させる可能性がある。例えば、コークス炉における取込みを管理する現在の多くの方法は、コークス化サイクルに亘って維持され得る炉底送気管(sole flue)の温度範囲を制限し、生産率及びコークスの質に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、コークスプラントの運転及び出力を最適化するために、コークス炉の燃焼プロファイルを管理する方法を改善する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術は、一般に、水平熱回収(HHR)炉のようなコークス炉用の燃焼プロファイルを最適化するためのシステム及び方法に関する。様々な実施形態では、燃焼プロファイルは、コークス炉内の空気分布を制御することにより少なくとも部分的に最適化される。いくつかの実施形態では、空気分布は、コークス炉内の温度の測定値に従って制御される。特定の実施形態では、システムは、コークス炉の頭頂部温度を監視する。炉頭頂部と炉底送気管との間のガスの移動は、コークス化サイクルを通して炉底送気管温度を上昇させるように最適化される。いくつかの実施形態では、本技術により、炉底送気管内のVMガスのより多くを移送及び燃焼することにより、超えてはいけない(NTE)温度を超えないで、コークス炉の装填重量を増加させることができる。本技術の実施形態は、炉床の上に配置された複数の頭頂部空気入口を有する空気分配システムを含む。頭頂部空気入口は、床焼損を低減するように、炉室に空気を導入するように構成される。
【0011】
本技術のいくつかの実施形態の特定の詳細を、
図4〜
図15を参照して以下に説明する。コークス化設備、特に空気分配システム、自動制御システム、及びコークス炉に関連することの多い周知の構造及びシステムを説明する、その他の詳細は、本技術の様々な実施形態の記述を不必要に分かりにくくすることを避けるために、以下の開示において説明されていない。図面に示される詳細、寸法、角度、及びその他の特徴の多くは、本技術の特定の実施形態の例示にすぎない。したがって、他の実施形態は、本技術の意図または範囲から逸脱することなく、他の詳細、寸法、角度及び特徴を有し得る。したがって、当業者は、本技術が追加的要素を有する他の実施形態を有し得ること、または本技術が
図4〜
図15を参照して以下に示され、説明される特徴のうちいくつかを有しない他の実施形態を有し得ることを理解するであろう。
【0012】
以下で更に詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、個々のコークス炉100は、負圧炉室に入る外気を石炭のVMと燃焼させることができるように構成された1つ以上の空気入口を含むことができる。空気入口は、炉室内で空気を方向付け、循環させ、及び/または分配するための1つ以上の空気分配器の有無にかかわらず使用することができる。本明細書で使用される用語「空気」は、周囲空気、酸素、酸化剤、窒素、亜酸化窒素、希釈剤、燃焼ガス、空気混合物、酸化剤混合物、送気管ガス、再循環された排ガス(vent gas)、蒸気、添加剤を有するガス、不活性ガス、吸熱剤、水滴等の液相物質、ガス状キャリアにより霧化された液滴等の多相物質、吸引された液体燃料、気体キャリア流中の霧化液体ヘプタン、天然ガスまたは水素などの燃料、冷却されたガス、その他のガス、液体若しくは固体、またはこれらの物質の組み合わせを含み得る。様々な実施形態では、手動制御または自動高度制御システムに応答して、空気入口及び/または分配器が機能する(すなわち、開く、閉じる、空気分配パターンを変更するなど)ことができる。空気入口及び/または空気分配器は、専用の高度な制御システム上で作動させることができ、あるいは空気入口及び/または分配器ならびに取込調整弁、炉底送気管調整弁及び/または他の空気分配路をコークス炉システム内において調整するより広い通気制御システムにより制御することができる。
【0013】
図4は、本技術の実施形態に従って構成されたHHRコークスプラントの一部の部分切取図を描写している。
図5は、本技術の実施形態に従って構成されたHHRコークス炉100の断面図を示している。各炉100は、炉床102と、押出機側炉扉(pusher side oven door)104と、押出機側炉扉104に対向するコークス側炉扉106と、床102から上方に延在し押出機側炉扉104とコークス側炉扉106との間にある対向する側壁108と、炉室112の開放空洞の最上面を形成する頭頂部110と、により画定された開放空洞を含む。炉室112内の空気流及び圧力を制御することは、コークス化サイクルの効率的な運転において重要な役割を果たす。したがって、
図6及び
図7を参照すると、本技術の実施形態は、一次燃焼空気を炉室112に入れる1つ以上の頭頂部空気入口114を含む。いくつかの実施形態では、炉室112を炉100の外側の周囲環境との開放的な流体連通状態に選択的に置くように、複数の頭頂部空気入口114が頭頂部110を突き抜けている。
図8を参照すると、取込肘形接ぎ手空気入口(uptake elbow air inlet)115は、空気調整弁116を有するものとして例示されており、空気調整弁116は、空気入口を通じて空気流量を変化させるために、全開と全閉との間の多数の位置のいずれかで配置することができる。扉空気入口及び頭頂部空気入口114を含む他の炉空気入口は、同様の方法で動作する空気調整弁116を含む。取込肘形接ぎ手空気入口115は、共通煙道128に空気が入るように配置され、一方、扉空気入口及び頭頂部空気入口114は、炉室112への空気流量を変化させる。本技術の実施形態は、炉室112内に一次燃焼空気を供給するために排他的に頭頂部空気入口114を使用してもよいが、本技術の態様から逸脱することなく、扉空気入口などの他の種類の空気入口を特定の実施形態で使用してもよい。
【0014】
運転中、炉室112内に配置された石炭から放出された揮発性ガスは、頭頂部内において集まり、一方または両方の側壁108に形成された下降通路(downcomer channels)118中に下流方向に引き込まれる。下降通路118は、炉室112を、炉床102の下に配置された炉底送気管120と流体連通させる。炉底送気管120は炉床102の下に迂回路を形成する。石炭から放出された揮発性ガスを、炉底送気管120内で燃焼させることができ、これにより石炭のコークスへの還元を持続させるための熱が生成する。下降通路118は、一方または両方の側壁108に形成された取込通路(uptak channels)122と流体連通されている。炉底送気管120と大気との間に二次空気入口124を設けることができ、二次空気入口124は、全開と全閉との間の多数の位置のいずれかにおいて配置することができる二次空気調整弁126を備えることが得き、もって炉底送気管120への二次空気流の量を変化させることができる。取込通路122は、1つ以上の取込導管(uptake duct)130により共通煙道128と流体連通されている。取込導管130と大気との間に三次空気入口132を設けることができる。三次空気入口132は三次空気調整弁134を備えることができ、三次空気調整弁134は、取込導管130内への三次空気流の量を変化させるために、全開と全閉との間の多数の位置のうちいずれかにおいて配置することができる。
【0015】
各取込導管130は、取込導管130を通過するガス流及び炉100内におけるガス流を制御するために使用され得る取込調整弁(uptake damper)136を備える。取込調整弁136は、炉100内において炉通気量を変化させるために、全開と全閉の間の任意の値の位置に配置させることができる。取込調整弁136は、あらゆる自動的または手動的に制御された流れ制御装置または開口部(orifice)遮断装置(例えば、あらゆるプレート、シール、ブロックなど)を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、取込調整弁136は、「閉じた」を表す値0及び値2との間の流れ位置に設定される。ここで、値14が「完全に開いている」を表す。「閉じた」位置であっても、取込調整弁136は、少量の空気が取込導管130を通過することを依然として許容できることが予定されている。同様に、取込調整弁136が「完全に開いた」位置にあるとき、取込調整弁136のごく一部が、取込導管130を通過する空気流内に少なくとも部分的に配置されていてもよいことが予定されている。取込調整弁は、値0と値14との間のほぼ無限の位置を取ることができることが理解されよう。
図9及び
図10を参照すると、流れ制限の量が増加する取込調整弁136のいくつかの例示的な設定として、値12、値10、値8及び値6が挙げられる。いくつかの実施形態では、流れ位置値は単に14インチ(35.56cm)の取込導管の使用を反映しており、各値は、開いている取込導管130の量をインチ単位(2.54cm単位)で表したものである。そうでなければ、値0〜値14の流れ位置値尺度は、単純に開と閉との間の増分設定として解釈できることが理解されるであろう。
【0016】
本明細書で用いられているように、「通気(draft)」は大気に対する負圧を示している。例えば、0.1水柱インチの吸気は、大気圧よりも0.1水柱インチ(2.54水柱mm)低い圧力を示す。水柱インチは圧力のための非SI単位であり、コークスプラント内の様々な場所の通気を記述するために従来から使用されている。いくつかの実施形態では、通気は、約0.12〜約0.16水柱インチ(約3.05〜約4.06水柱mm)の範囲である。通気を増やすか、あるいは大きくすると、圧力は大気圧よりも更に下に変化する。通気が減少するか、落ち込むか、あるいは小さくなるか若しくは低下すると、圧力は大気圧方向に変化する。取込調整弁136で炉通気を制御することにより、炉100内への空気漏入だけでなく、頭頂部空気入口114からの炉100内への空気流を制御することができる。典型的には、
図5に示すように、個々の炉100は2つの取込導管130と2つの取込調整弁136を備えるが、2つの取込導管と2つの取込調整弁の使用は必須ではなく、たった1つまたは2つを超える取込導管と、たった1つまたは2つを超える取込調整弁とを使用するようにシステムを設計することができる。
【0017】
運転中、まず石炭を炉室112に装填し、石炭を酸素枯渇環境で加熱し、石炭の揮発性成分を追い出し、次いで炉100内のVMを酸化して、放出された熱を捕捉して使用することにより、炉100内でコークスが製造される。石炭の揮発性成分は、長時間に亘るコークス化サイクルを通して炉100内で酸化され、熱を放出して石炭のコークスへの炭化を再生的に推進する。押出機側炉扉104が開かれ、石炭床を画定するように石炭を炉床102に装填して、コークス化サイクルが始まる。炉からの熱(先のコークス化サイクルに起因する)により炭化サイクルが開始する。多くの実施形態では、コークス化プロセスによって生成されるもの以外の追加燃料は使用されない。石炭床への総熱伝達のおよそ半分は、石炭床及び放射炉頭頂部110の輝炎から、石炭床の上面に放射される。残りの半分の熱は、炉底送気管120内での揮発ガスから対流的に加熱される炉床102からの伝導により石炭床に移動する。このようにして、石炭粒子の塑性流動と高強度凝集コークスの形成という炭化プロセスの「連鎖的波及(wave)」が、石炭床の上部と下部の両方の境界から進行する。
【0018】
典型的には、各炉100は負圧で操作されるので、炉100と大気との間の圧力差に起因して、還元プロセス中に空気が炉に引き込まれる。燃焼のための一次空気が炉室112に加えられて石炭の揮発成分を部分的に酸化するが、この一次空気の量は、石炭から放出された揮発性物質の一部のみが炉室112内で燃焼されるように制御され、これにより、炉室112内のその燃焼エンタルピーの一部分のみを放出する。様々な実施形態では、一次空気は、頭頂部空気入口114を介して石炭床上の炉室112内に導入され、一次空気の量は空気調整弁116により制御される。他の実施形態では、本技術の態様から逸脱することなく、異なるタイプの空気入口を使用することができる。例えば、一次空気は、炉側壁または炉扉における空気入口、調整弁孔、及び/または開口部を介して炉に導入されてもよい。使用される空気入口のタイプにかかわらず、空気入口は、炉室112内の所望の運転温度を維持するために使用することができる。空気入口調整弁の使用を介して、炉室112内への一次空気流を増加または減少させると、炉室112内でのVM燃焼を、したがって温度を上昇または減少させるであろう。
【0019】
図6及び
図7を参照すると、コークス炉100は、頭頂部空気入口114を備えていてもよく、本技術の実施形態に従って、頭頂部110を通して炉室112に燃焼用空気を導入するように構成される。3つの頭頂部空気入口114が、炉の長さに沿って、押出機側炉扉104と炉100の中間点との間に配置されている。同様に、3つの頭頂部空気入口114が、コークス側炉扉106と炉100の中間点との間に配置されている。しかしながら、1つ以上の頭頂部空気入口114が、炉頭頂部110を通して、炉の長さに沿って様々な位置に配設されていてもよいことが企図されている。頭頂部空気入口の選択される数及び配置は、少なくとも部分的に、炉100の構成及び使用に依存する。各頭頂部空気入口114は、空気調整弁116を備えることができ、該空気調整弁116は、炉室112への空気流の量を変えるために、全開と全閉との間の多数の位置のいずれかに配置することができる。いくつかの実施形態では、空気調整弁116は、「全閉の」位置において、依然として少量の周囲空気の通過を可能にして、頭頂部空気入口114を通して周囲空気を炉室へ入れてもよい。したがって、
図8を参照すると、頭頂部空気入口114、取込肘形接ぎ手空気入口115、または扉空気入口という様々な実施形態は、特定の空気入口の開放上端部に取り外し可能に固定され得るキャップ117を備えていてもよい。キャップ117は、悪天候(雨や雪など)、追加の周囲空気、及び他の異物が空気入口を通過することを実質的に防止することができる。コークス炉100は、炉室112に空気流を流通/分配するように構成された1つ以上の分配器を更に備えていてもよいことが企図されている。
【0020】
様々な実施形態において、頭頂部空気入口114は、他の空気入口、例えば炉扉内に典型的に配置されたものと同様、コークス化サイクルの過程において周囲空気を炉室112に導入するように操作される。しかしながら、頭頂部空気入口114の使用により、炉頭頂部を通して空気のより均一な分布が提供され、これにより、より良好な燃焼、炉底送気管120内のより高い温度及びより遅い交差時間(cross over times)を提供することを示した。炉110の頭頂部110内の空気の均一な分布は、空気が石炭床の表面に接触し、
図3に示すような石炭表面上の燃焼損失を生じるホットスポットを作り出す可能性を低減する。むしろ、頭頂部空気入口114は、そのようなホットスポットの発生を実質的に低減し、
図11に示すように、コークス化するにつれて均一な石炭床表面140を作り出す。特定の使用実施形態では、頭頂部空気入口114の各々の空気調整弁116は、互いに対して同様の位置に設置される。したがって、1つの空気調整弁116が全開になっている場合には、空気調整弁116の全てを全開位置にすべきであり、1つの空気調整弁116を半開位置に設定した場合には、空気調整弁116の全てを半開位置に設定すべきである。しかしながら、特定の実施形態では、空気調整弁116を互いに独立して変えることができる。様々な実施形態では、炉100に装填された後、または炉100に装填される直前に、頭頂部空気入口114の空気調整弁116を迅速に開放する。空気調整弁116の3/4開位置への第1の調整は、第1の扉穴燃焼(door hole combustion)が典型的に生じるときに行われる。空気調整弁116の1/2開位置への第2の調整は、第2の扉穴燃焼が生じるときに行われる。追加の調整は、コークス炉100に亘って検出された運転状態に基づいて行われる。
【0021】
部分的に燃焼されたガスは、炉室112から下降通路118を通って炉底送気管120に通され、そこで二次空気が部分的に燃焼されたガスに加えられる。二次空気は二次空気入口124を介して導入される。導入される二次空気の量は、二次空気調整弁126により制御される。二次空気が導入されると、部分的に燃焼したガスは、炉底送気管120内でより十分に燃焼し、これにより、炉床102を介して運ばれた残りの燃焼エンタルピーを抽出して、炉室112に熱を加える。完全にまたはほぼ完全に燃焼した排ガスは、取込通路122を介して炉底送気管120を出て、取込導管130に流れる。三次空気入口132を介して排ガスに三次空気が加えられ、ここで三次空気調整弁134により三次空気の量が制御され、もって排ガス中の未燃焼ガスの残りの部分が三次空気入口132の下流で酸化されるようにする。コークス化サイクルの終了時に、石炭はコークス処理が完了し、炭化してコークスを生成する。コークスは、好ましくは、押出機ラム(pusher ram)のような機械的採収システムを利用してコークス側炉扉106を通して炉100から取り出される。最後に、使用者に送られる前に、コークスを急冷(例えば、湿式または乾式急冷)してサイズ調整する。
【0022】
上述したように、炉100内の通気の制御は、自動化または高度制御システムによって実施することができる。例えば、高度通気制御システムは、全開と全閉の間の多数の位置のうちのいずれか1つに配置することができる取込調整弁136を自動的に制御して、炉100内の炉通気の量を変化させることができる。自動取込調整弁は、少なくとも1つのセンサにより検出された運転条件(例えば、圧力または通気、温度、酸素濃度、ガス流量;下流における炭化水素、水、水素、二酸化炭素、または水/二酸化炭素比のレベルなど)に応答して制御することができる。自動制御システムは、コークスプラントの運転条件に関連する1つ以上のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、炉通気センサまたは炉圧力センサが、炉通気を示す圧力を検出する。
図4及び
図5を併せて参照すると、炉通気センサは、炉頭頂部110内または炉室112内の他の場所に配置することができる。あるいは、炉通気センサは、自動取込調整弁136のいずれか、炉底送気管120、押出機側炉扉104またはコークス側炉扉106のいずれか、またはコークス炉100の近くまたは上の共通煙道128に配置することができる。一実施形態では、炉通気センサは、炉頭頂部110の頂部に配置される。炉通気センサは、炉頭頂部110の耐火レンガライニングと同一平面上に配置することができ、あるいは炉頭頂部110から炉室112に延在させることができる。バイパス排気筒通気センサは、バイパス排気筒138における(例えば、バイパス排気筒138の基部において)通気を示す圧力を検出することができる。いくつかの実施形態では、バイパス排気筒通気センサは、共通煙道128と交差導管の交差部に配置される。追加の通気センサを、コークスプラント100の他の位置に配置することができる。例えば、共通煙道内の通気センサを使用して、通気センサに近接する複数の炉内の炉通気を示す共通煙道通気を検出することができる。交差部通気センサは、共通煙道128と1つ以上の交差導管の交差部のうち1つにおける通気を示す圧力を検出することができる。
【0023】
炉温度センサは、炉温度を検出することができ、炉頭頂部110または炉室112の他の場所に配置することができる。炉底送気管の温度センサは、炉底送気管の温度を検出することができ、炉底送気管120内に位置する。共通煙道温度センサは、共通煙道の温度を検出し、共通煙道128に位置する。追加の温度または圧力センサをコークスプラント100内の他の場所に配置することができる。
【0024】
取込導管130内の排ガスの酸素濃度を検出するために、取込導管酸素センサが配置される。共通煙道128の下流にあるHRSGの入口における排ガスの酸素濃度を検出するために、HRSG入口酸素センサを配置することができる。主筒内の排ガスの酸素濃度を検出するために、主筒酸素センサを配置することができ、コークスプラント100内の他の位置に追加的な酸素センサを配置することができ、もって、システム内での様々な場所における相対的酸素濃度に関する情報を提供する。
【0025】
流量センサは、排ガスのガス流量を検出することができる。流量センサは、システム内の様々な場所でのガス流量に関する情報を提供するために、コークスプラント内の他の位置に配置することができる。また、空気品質制御システム130において、または共通煙道128の下流の他の位置において、1つ以上の通気または圧力センサ、温度センサ、酸素センサ、流量センサ、炭化水素センサ、及び/または他のセンサを使用してもよい。いくつかの実施形態では、いくつかのセンサまたは自動システムをリンクして、コークスの生産と品質の全体を最適化し、収率を最大化する。例えば、いくつかのシステムでは、頭頂部空気入口114、頭頂部入口空気調整弁116、炉底送気管調整弁(二次調整弁126)、及び/または炉取込調整弁136のうちの1つ以上を全てリンクさせる(例えば、共通の制御装置と接続する)ことができ、それらの各位置をひとまとめに設定する。このようにして、頭頂部空気入口114は、炉室112内の空気量を制御するために必要に応じて通気を調整するために使用することができる。更なる実施形態では、他のシステム構成要素を相補的な方法で操作することができ、または構成要素を独立して制御することができる。
【0026】
作動装置は、様々な調整弁(例えば、取込調整弁136または頭頂部空気調整弁116)を開閉するように構成することができる。例えば、作動装置は、線形作動装置または回転作動装置とすることができる。作動装置により、調製弁を全開位置と全閉位置との間の任意の位置に制御することができる。いくつかの実施形態では、異なる調整弁を異なる程度に開閉することができる。作動装置は、自動通気制御システムに含まれる1つのセンサまたは複数のセンサによって検出される1つの動作条件または複数の動作条件に応答して、これらの位置の間で調整弁を動かすことができる。作動装置は、コントローラーから受け取った位置指令に基づいて取込調整弁136を位置決めすることができる。位置指令は、上述のセンサのうち1つ以上によって検出された通気、温度、酸素濃度、下流の炭化水素レベル、またはガス流量;1つ以上のセンサ入力を含む制御アルゴリズム;事前設定されたスケジュール、または他の制御アルゴリズム、に応答して生成され得る。コントローラーは、単一の自動調整弁または複数の自動調整弁、集中コントローラー(例えば、分配制御システムまたはプログラム可能論理制御システム)、またはその2つの組み合わせに関連する個別のコントローラーとすることができる。したがって、個々の頭頂部空気入口114または頭頂部空気調整弁116は、個別にまたは他の入口114または調整弁116と共に動作させることができる。
【0027】
自動通気制御システムは、例えば、炉通気センサによって検出された炉通気に応答して自動取込調整弁136または頭頂部空気入口調整弁116を制御することができる。炉通気センサは、炉通気を検出し、炉通気を示す信号を制御装置に出力することができる。制御装置は、このセンサ入力に応答して位置指令を生成することができ、作動装置は、取込調整弁136または頭頂部空気入口調整弁116を、位置指令によって要求された位置に移動させることができる。このようにして、自動制御システムを使用して、目標とする炉通気を維持することができる。同様に、コークスプラント内の他の場所(例えば、目標とする交差部通気、または、目標とする共通煙道通気)において、目標とする通気を維持するために、自動通気制御システムは、必要に応じて、自動取込調整弁、入口調整弁、HRSG調整弁、及び/または通気扇を制御することができる。必要に応じて、自動通気制御システムを手動モードに設定して、自動取込調整弁、HRSG調整弁、通気扇を手動で調整することができる。更に別の実施形態では、自動作動装置を、流路を完全に開くまたは完全に閉じる手動制御と組み合わせて使用することができる。上述したように、頭頂部空気入口114は、炉100上の様々な位置に配置することができ、同様に、この同じ手法で高度制御システムを利用することができる。
【0028】
図9を参照すると、既知のコークス化手順では、コークス化サイクル全体を通しての所定の時点に基づき、48時間のコークス化サイクルの過程にわたって、取込調整弁136の調整が指示される。この方法論は、本明細書において「旧プロファイル」と称するが、これは特定された例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、旧プロファイルとは単に、予め決められた時点に基づいて、コークス化サイクルの過程にわたり、取込調整弁の調整を実施することをいう。図示されているように、全開位置(位置14)での取込調整弁136を用いてコークス化サイクルを開始することは一般的な方法である。少なくとも最初の12時間から18時間の間、取込調整弁136はこの位置にとどまる。場合によっては、取込調整弁136は、最初の24時間完全に開いたままにされる。取込調整弁136は、典型的には、コークス化サイクルが始まって18時間から25時間で第1の部分的に制限された位置(位置12)に調整される。次に、取込調整弁136は、コークス化サイクルが始まって25時間から30時間で第2の部分的に制限された位置(位置10)に調整される。30時間から35時間は、取込調整弁は第3の部分的に制限された位置(位置8)に調整される。次に、取込調整弁は、コークス化サイクルが始まって35時間から40時間で第4の制限された位置(位置6)に調整される。最後に、取込調整弁は、コークス化サイクルが始まって40時間から、コークス化プロセスが完了するまで、完全に閉じた位置に動かされる。
【0029】
本技術の様々な実施形態では、コークス炉100の頭頂部温度に従って取込調整弁の位置を調整することにより、コークス炉100の燃焼プロファイルを最適化する。この方法論を本明細書では「新プロファイル」と称するが、これは特定された例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、新プロファイルとは単に、予め決められた炉頭頂部温度に基づいて、コークス化サイクルの過程にわたって、取込調整弁の調整を実施することをいう。
図10を参照すると、全開位置(位置14)の取込調整弁136を用い、およそ1204℃(2200°F)の炉頭頂部温度で48時間のコークス化サイクルが開始される。いくつかの実施形態では、取込調整弁136は、炉頭頂部が1204℃(2200°F)〜1260℃(2300°F)の温度に達するまで、この位置にとどまる。この温度において、取込調整弁136は第1の部分的に制限された位置(位置12)に調整される。特定の実施形態では、取込調整弁136は、次いで1316℃(2400°F)〜1343℃(2450°F)の間の炉頭頂部温度で第2の部分的に制限された位置(位置10)に調整される。いくつかの実施形態では、炉頭頂部温度が1371℃(2500°F)に達したときに、取込調整弁136が第3の部分的に制限された位置(位置8)に調整される。次いで取込調整弁136は1399℃(2550°F)〜1441℃(2625°F)の炉頭頂部温度で第4の制限された位置(位置6)に調整される。特定の実施形態では、1454℃(2650°F)の炉頭頂部温度において、取込調整弁136は、第4の部分的に制限された位置(位置4)に調整される。最後に、取込調整弁136は、およそ1482℃(2700°F)の炉頭頂部温度で、完全に閉じた位置に動かされ、コークス化プロセスが完了するまで、その位置に置かれる。
【0030】
予め決められた時間に基づく調整よりもむしろ、取込調整弁136の位置を炉頭頂部温度と関連づけることにより、コークス化サイクルにおいてより早く取込調整弁136を閉じることができる。これによりVMの放出速度が低下し、酸素取込量が減少することにより、最大炉頭頂部温度が低下する。
図12を参照すると、旧プロファイルは一般に、1460℃(2660°F)と1490℃(2714°F)の間の比較的高い炉頭頂部最大温度により特徴付けられる。新プロファイルは、1420℃(2588°F)と1465℃(2669°F)の間の炉頭頂部最大温度を示した。この炉頭頂部の最大温度の低下は、炉を損傷させる可能性のあるNTEレベルに達するか、または超える炉の可能性を低下させる。炉頭頂部温度に対するこの向上した制御により、炉内においてより多い石炭装填が可能となり、コークス炉用の設計された石炭処理速度よりも高い石炭処理速度が提供される。炉頭頂部の最大温度の低下は更に、コークス化サイクルを通して炉底送気管温度の上昇を可能にし、これによりコークスの質、及び標準コークス化サイクルに亘ってより多く装填された石炭をコークス化する能力が改善される。
図13を参照すると、試験では、旧プロファイルが41.3時間で45.51トンの装填石炭をコークス化し、およそ1467℃(2672°F)の炉頭頂部最大温度を生じさせることが実証されている。対照的に、新プロファイルは41.53時間で47.85トンの装填石炭をコークス化し、およそ1450℃(2642°F)の炉頭頂部最大温度を生じさせた。したがって、新プロファイルは、低下した炉頭頂部最大温度でより多くの装填石炭をコークス化する能力を実証している。
【0031】
図14は、旧プロファイル及び新プロファイルのコークス化サイクルを通して、コークス炉の頭頂部温度を比較する試験データを示している。特に、新プロファイルでは、炉頭頂部温度がより低く、ピーク温度がより低いことが実証されている。
図15は、新プロファイルがコークス化サイクル全体に亘ってより長い時間より高い炉底送気管温度を示すことを実証する追加の試験データを示している。新プロファイルはより低い炉頭頂部温度及びより高い炉底送気管温度を達成するが、その理由は部分的には、より多くのVMが炉底送気管に引き込まれて燃焼することで、コークス化サイクルを通して炉底送気管温度を上昇させるからである。新プロファイルにより作られた上昇した炉底送気管温度は、コークス生産率及びコークスの質に更に利益をもたらす。
【0032】
炉底送気管温度を上昇させる本技術の実施形態は、コークス炉100に関連する構造における、より高い熱エネルギー貯蔵により特徴付けられる。熱エネルギー貯蔵の増加は、効果的なコークス化時間を短縮することにより、その後のコークス化サイクルに利益をもたらす。特定の実施形態では、炉床102によるより高いレベルの初期熱吸収のために、コークス化時間が短縮される。コークス化時間の継続は、石炭床の最低温度がおよそ1016℃(1860°F)に達するのに要する時間量であると考えられる。頭頂部及び炉底送気管の温度プロファイルは、取込調整弁136の(例えば、異なるレベルの通気及び空気を可能とするために)調整及び炉室112内の空気流量の調整により、様々な実施形態において制御されている。コークス化サイクルの終了時における炉底送気管120内のより高い熱は、炉床102などのコークス炉構造において、より多くのエネルギーを吸収する結果となり、次のコークス化サイクルのコークス化プロセスを加速する重要な要因となり得る。これは、コークス化時間を減少させるだけでなく、追加の予熱が潜在的に、次のコークス化サイクルにおける焼塊の蓄積を回避するのに役立ち得る。
【0033】
本技術の様々な燃焼プロファイル最適化の実施形態では、コークス炉100におけるコークス化サイクルは、コークス炉用の平均設計炉底送気管温度よりも高い平均炉底送気管温度から開始する。いくつかの実施形態では、これは、コークス化サイクルにおいてより早く取込調整弁を閉じることにより達成される。これにより、次のコークス化サイクルのための、より高い初期温度がもたらされ、追加のVMの放出が可能となる。典型的なコークス化運転では、追加のVMは、コークス炉100の頭頂部におけるNTE温度を引き起こすであろう。しかしながら、本技術の実施形態では、ガス共有を介して余分なVMを次の炉内に、または炉底送気管120内に移す工程が提供され、炉底送気管温度をより高くすることが可能となる。そのような実施形態は、任意の瞬間に生じるNTE温度より低く保ちながら、炉底送気管及び炉頭頂部平均コークス化サイクル温度を徐々に上げることを特徴とする。これは、炉の比較的冷たい部分で余分なVMを移して使用することにより少なくとも部分的に行われる。例えば、コークス化サイクルの開始時に過剰のVMを炉底送気管120に移して、それをより熱くしてもよい。炉底送気管温度がNTEに近づくと、システムは、VMをガス共有により次の炉に、または共通煙道128に移すことができる。他の実施形態では、VMの容量が切れると(通常、サイクルの中間付近で)、コークス炉100を冷却し得る空気漏入を最小限にするために取り込みを終えてもよい。これにより、コークス化サイクルの終わりに温度がより高くなり、次のサイクルの平均温度がより高くなる。これにより、より高い速度でシステムをコークス化させることができ、より高い石炭装填を用いることが可能となる。
【実施例】
【0034】
以下の実施例は本技術のいくつかの実施形態の実例である。
1.
石炭床を水平熱回収コークス炉の炉室に装填する工程であって、前記炉室が、炉床と、対向する炉扉と、前記対向する炉扉の間で前記炉床から上方に延びる対向する側壁と、前記炉床の上方に配置された炉頭頂部と、により少なくとも部分的に画定されている工程と;
少なくとも1つの空気入口を通して、前記炉室に空気が引き込まれるように、前記炉室上で負圧通気を生じさせる工程であって、前記少なくとも1つの空気入口が、前記炉室を前記水平熱回収コークス炉の外側環境との流体連通状態に置くように配置されている工程と;
記石炭床の炭化サイクルを開始して、揮発性物質を前記石炭床から放出させ、前記空気と混合し、前記炉室内で少なくとも部分的に燃焼させ、前記炉室内で熱を発生させる工程と;
前記負圧通気により、揮発性物質を前記炉床の下の少なくとも1つの炉底送気管に引き込み、前記揮発性物質の少なくとも一部を前記炉底送気管内で燃焼させて、前記炉底送気管内で熱を発生させ、前記炉床を通して該熱を少なくとも部分的に前記石炭床に伝達させる工程と;
前記負圧通気により、前記少なくとも1つの炉底送気管から排ガスを引き出す工程と;
前記炭化サイクルに亘って、前記炉室内の複数の温度変化を検出する工程と;
前記炉室内の前記複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って前記負圧通気を低減する工程と、を含む、
水平熱回収コークス炉の燃焼プロファイルを制御する方法。
2.
前記負圧通気が、取込調整弁を有する少なくとも1つの取込通路を介して、前記少なくとも1つの炉底送気管から排ガスを引き出し;前記取込調整弁が、開位置と閉位置との間において選択的に移動可能である、請求項1に記載の方法。
3.
前記炉室内の複数の異なる温度に基づいて、前記炭化サイクルに亘って複数の増大する流れ制限位置の中に、前記取込調整弁を移動させることにより、前記負圧通気が複数の流れ低減ステップに亘って低減される、請求項2に記載の方法。
4.
およそ1204℃(2200°F)〜1260℃(2300°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
5.
およそ1316℃(2400°F)〜1343℃(2450°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
6.
およそ1371℃(2500°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
7.
およそ1399℃(2550°F)〜1441℃(2625°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
8.
およそ1454℃(2650°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
9.
およそ1482℃(2700°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
10.
およそ1204℃(2200°F)〜1260℃(2300°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせ、
およそ1316℃(2400°F)〜1343℃(2450°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1371℃(2500°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1399℃(2550°F)〜1441℃(2625°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1454℃(2650°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、及び
およそ1482℃(2700°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせる、請求項1に記載の方法。
11.
前記少なくとも1つの空気入口が、前記炉床上の前記炉頭頂部に配置された少なくとも1つの頭頂部空気入口を含む、請求項1に記載の方法。
12.
前記少なくとも1つの頭頂部空気入口が、前記少なくとも1つの頭頂部空気入口を通して流体流れの制限レベルを変更するために、開位置と閉位置との間で選択的に移動可能な空気調整弁を備える、請求項11に記載の方法。
13.
前記石炭床が、前記水平熱回収コークス炉用の設計された床装填重量を超える重量を有し;前記炉室が達する最大頭頂部温度が、前記水平熱回収コークス炉用に設計された、超えてはならない最大頭頂部温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
14.
前記石炭床は、前記コークス炉用の設計された石炭装填重量よりも大きい重量を有する、請求項13に記載の方法。
15.
前記炉室内の前記複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って負圧通気を低減することにより、前記少なくとも1つの炉底送気管温度を上昇させ、前記水平熱回収コークス炉用に設計された炉底送気管運転温度よりも高くする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
16.
水平熱回収コークス炉の燃焼プロファイルを制御するシステムであって、
前記方法が、
炉床、対向する炉扉、前記対向する炉扉の間で前記炉床から上方に延びる対向する側壁、前記炉床の上方に配置された炉頭頂部によって少なくとも部分的に画定されている炉室と、前記炉床の下の前記炉室と流体連通状態にある少なくとも1つの炉底送気管と、を備える水平熱回収コークス炉と;
前記炉室内に配設された温度センサと;
前記炉室を前記水平熱回収コークス炉の外部環境との流体連通状態に置くように配置された少なくとも1つの空気入口と;
前記少なくとも1つの炉底送気管と流体連通状態にあり、開位置と閉位置との間で選択的に移動可能な取込調整弁を備える、少なくとも1つの取込通路と;
前記取込調整弁と動作的に連結した制御装置と;
を備え、
前記負圧通気が、複数の流れ低減ステップに亘って低減し、
前記制御装置が、前記炉室内の前記温度センサにより検出された複数の異なる温度に基づいて、炭化サイクルに亘って複数の増加する流れ制限位置の中に、前記取込調整弁を移動させるのに適合している、システム。
17.
前記少なくとも1つの空気入口が、前記炉床の上方の炉頭頂部に配置された少なくとも1つの頭頂部空気入口を含む、請求項16に記載のシステム。
18.
前記少なくとも1つの頭頂部空気入口が、前記少なくとも1つの頭頂部空気入口を通して流体流の制限レベルを変更するように、開位置と閉位置との間で選択的に移動可能な空気調整弁を備える、請求項16に記載のシステム。
19.
前記制御装置が更に、前記炉室内の前記複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って前記負圧通気を低減するよう、前記取込調整弁を移動させることにより、前記少なくとも1つの炉底送気管の温度を上昇させるように作動して、前記水平熱回収コークス炉用の設計された炉底送気管運転温度より高くする、請求項16に記載のシステム。
20.
およそ1204℃(2200°F)〜1260℃(2300°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの1つを生じさせ、
およそ1316℃(2400°F)〜1343℃(2450°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1371℃(2500°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1399℃(2550°F)〜1441℃(2625°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、
およそ1454℃(2650°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせ、及び
およそ1482℃(2700°F)の温度が検出されたときに、前記複数の流れ制限位置のうちの別の1つを生じさせる、請求項16に記載のシステム。
21.
水平熱回収コークス炉の炉室内で石炭床の炭化サイクルを開始する工程と、
前記炭化サイクルに亘って前記炉室内の複数の温度変化を検出する工程と、
前記炉室内の複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って前記水平熱回収コークス炉上の負圧通気を低減する工程と、を含む、
水平熱回収コークス炉の燃焼プロファイルを制御する方法。
22.
前記水平熱回収コークス炉の前記負圧通気が、前記炉室を前記水平熱回収コークス炉の外部環境との流体連通状態に置くように配置された少なくとも1つの空気入口を通して、前記炉室内に空気を引き込む、請求項21に記載の方法。
23.
前記負圧通気が、前記炉室と流体連通状態にある少なくとも1つの取込通路と連結する取込調整弁の作動により低減される、請求項21に記載の方法。
24.
前記負圧通気が、前記炉室における前記複数の異なる温度に基づいて、前記炭化サイクルに亘っての複数の増大する流れ制限位置によって、前記取込調整弁を動かすことにより複数の流れ低減ステップに亘って低減される、請求項23に記載の方法。
25.
前記炉室内の前記複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って前記負圧通気を低減することにより、前記炉室と開放的な流体連通状態にある少なくとも1つの炉底送気管の温度を上昇させ、前記水平熱回収コークス炉用の設計された炉底送気管運転温度よりも高くする工程を更に含む、請求項21に記載の方法。
26.
前記石炭床が、前記水平熱回収コークス炉用の設計された床装填重量を超える重量を有し、
前記炉室が前記炭化サイクル中に達する最大頭頂部温度が、前記水平熱回収コークス炉用の設計上、超えてはならない最大炉頭頂部温度よりも低い、請求項21に記載の方法。
27.
前記炉室内の前記複数の温度変化に基づいて、複数の別々の流れ低減ステップに亘って前記負圧通気を低減することにより、前記炉室と開放的な流体連通状態にある少なくとも1つの炉底送気管の温度を上昇させ、前記水平熱回収コークス炉用の設計された炉底送気管運転温度よりも高くする工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
28.
前記石炭床が、前記水平熱回収コークス炉用の設計された石炭装填重量よりも大きい重量を有し、前記水平熱回収コークス炉用の設計された石炭処理率よりも大きい石炭処理率を定める、請求項27に記載の方法。
【0035】
本技術は、特定の構造、材料、及び方法論的ステップに特有の用語で説明されているが、添付の特許請求の範囲に定義された発明は、記載された特定の構造、材料及び/またはステップに必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の態様及びステップは、特許請求された発明を実施する形態として記載されている。更に、特定の実施形態の文脈で記載された新技術の特定の態様を、他の実施形態において、組み合わせてもよいし、排除してもよい。更に、本技術の特定の実施形態に関連する利点は、それらの実施形態の文脈において記載されているが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るそのような利点を必ずしも示す必要はない。したがって、本開示及び関連技術は、本明細書において明示的に図示または説明されていない他の実施形態を包含することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。別段の特定がない限り、明細書(特許請求の範囲以外)で使用される寸法、物理的特性等を表すような全ての数または表現は、全ての場合において用語「およそ」によって修飾されていると理解される。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論を制限しようとするものではなく、明細書または特許請求の範囲に記載された、「約」という用語によって修正された各数値パラメータは少なくとも、記載された有効桁の数字の観点から、及び通常の四捨五入手法を適用することにより、解釈されるべきである。更に、本明細書に開示された全ての範囲は、本明細書に包含される任意かつ全ての部分範囲または任意かつ全ての個々の値を記載する請求項に対するサポートを包含しかつ提供するものと理解されるべきである。例えば、1〜10の記載された範囲は、最小値1と最大値10との間及び/またはそれらを含む任意かつ全ての部分範囲または個々の値、即ち、最小値が1以上から始まり最大値が10以下で終わる(例えば、5.5〜10、2.34〜3.56など)全ての部分範囲または1〜10の任意の値(3、5.8、9.9994など)を記載する請求項のためのサポートを含みかつ提供するものと考えられるべきである。