【実施例】
【0188】
実施例1:CD34+ヒト造血幹細胞株またはK562細胞株におけるAAV Clade Fベクターバリアント媒介ゲノム編集
外因性ヌクレアーゼを使用せずにAAVF(AAVHSC)ベクターを用いた特定のDNA配列の部位特異的挿入または標的化された組み込みによるゲノム編集を、健康なドナーからのヒトCD34+造血細胞株またはCD34+赤白血病細胞であるK562細胞株で行った。1組のドナー組換えAAVベクター、ITR−AAVS1−FPベクターを構築し、これを用いて天然の野生型AAV組み込み部位である染色体19のAAVS1座に導入遺伝子を組み込んだ(Kotin、1992;Giraud、1994)。第19染色体qter13.3−13.4上のAAVS1遺伝子座は、ここに挿入された遺伝子が病原性のない状態で発現され、これを組み込む野生型AAVに類似しているので、導入遺伝子の挿入のための「セーフハーバー」部位であることが以前に示された(Giraud、1994;Linden、1996A;Linden 1996B)。統合される導入遺伝子は、ヒト染色体19上のAAVS1遺伝子座と相同性を有する約800ヌクレオチドの両側に隣接するVenus黄色蛍光タンパク質(「YFP」または「FP」)遺伝子であった(
図3の模式図参照)。ドナーAAVベクターは、導入遺伝子がプロモーターを持たず、染色体上コードされた調節配列の下流にある正しい遺伝子座に組み込まれている場合にのみ発現されるように設計された(
図4参照)。したがって、発生したVenusYFP導入遺伝子の発現は、AAVS1またはその近くに位置する染色体プロモーターの制御下にあった。
【0189】
ドナーベクター、ITR−AAVS1−FPは、Chatterjeeら、1992に記載されている標準的なAAVパッケージング法に従ってAAVHSCキャプシドにパッケージングした。具体的には、ITR−AAVS1−FPを、偽型AAVHSC−AAVS1−FPベクターを形成するAAVHSC7、AAVHSC15またはAAVHSC17キャプシド(すなわち、AAVベクターバリアント)にパッケージングした。ヒトCD34+造血幹細胞株またはK562細胞を、異なる感染多重度(MOI)(すなわち、50,000MOI;100,000MOI;200,000MOI;300,000MOI、及び400,000MOI)で、偽型AAVHSC−AAVS1−FPで形質導入した。
【0190】
相同組換えによるAAVS1遺伝子座へのYFP導入遺伝子の組み込みを、形質導入されたK562細胞におけるYFP発現の細胞蛍光分析によって最初にアッセイした。AAVHSC7 FPベクターを用いた標的化された組み込みは、形質導入後24時間(
図5、及び7A)、及び形質導入後72時間(
図6、及び7B)のYFP導入遺伝子の発現をもたらした。さらに、AAVHSC7 FPベクターのMOIが増加するにつれて、YFP発現の平均パーセンテージもまた増加した(
図7A、及びB)。
【0191】
相同領域の外側に位置するプライマーを用いて編集されたゲノムのPCR増幅によって、YFP導入遺伝子の標的化された組み込みがさらに確認された。簡潔には、AAVHSC7 FPベクターを用いて100,000個のベクターゲノム/細胞のMOIで形質導入したK562細胞からDNAを抽出した。PCR増幅は、「OUTフォワードプライマーRegion」、及び「OUT リバースプライマー Region」プライマーを用いて行った(
図4参照)。YFP導入遺伝子の組み込みは、約1.9kbの野生型サイズから〜3.1kb断片を含むYFP導入遺伝子までのAAVS1遺伝子座のサイズの増加をもたらした(
図4参照、「断片1」で表示されたラインと「断片2」で表示されたラインとを比較)。染色体19 AAVS1遺伝子座内のYFP導入遺伝子を含む約3.1kb断片の増幅は、YFP導入遺伝子がAAVHSC7 FPベクターで形質導入された細胞においてAAVS1座に効果的に組み込まれていることを示した(
図8A、及び8B、レーン4参照)。
【0192】
実施例2:初代ヒトCD34+末梢血幹細胞におけるAAVベクターバリアント媒介ゲノム編集。
ヒトCD34+初代末梢血由来ヒト造血幹細胞(PBSC)においても、外因性ヌクレアーゼを使用せずにAAVHSCベクターを用いた特異的DNA配列の部位特異的挿入または標的化組み込みによるゲノム編集を行った。簡単に述べると、ITR−AAVS1−FPベクターは、AAVHSC7、AAVHSC12、AAVHSC15、及びAAVHSC17を含むAAVHSCキャプシドにパッケージングされた(標準的なAAVパッケージング方法については、Chatterjee、1992参照)。初代CD34+細胞を、偽型AAVHSC−AAVS1−FPベクター(すなわち、AAVベクターバリアント)で、100,000、及び150,000のMOIで形質導入した。
【0193】
相同組換えによるYFP導入遺伝子のAAVS1遺伝子座への組み込みを、YFP発現の細胞蛍光分析によりアッセイした。初代CD34+細胞におけるAAVHSC7 FP、及びAAVHSC17FPベクターを用いた標的化された組み込みでは、150,000のMOIで形質導入後1日(
図9)、100,000のMOIで形質導入後4日(
図10)、100,000のMOIで形質導入後18日(
図11)にYFP導入遺伝子の発現をもたらした。MOI100,000(39日)で、形質導入後5.5週でYFPを発現する陽性細胞のパーセンテージは低下しなかった(
図12A及びB、20日の結果と39日の結果とを比較)。分裂細胞集団におけるプロモーターのないYFP導入遺伝子のこの長期発現は、導入遺伝子の正確な組み込みを示す。
【0194】
YFP導入遺伝子の標的化された組み込みは、PCR分析によってさらに確認された。編集されたゲノムは、挿入された導入遺伝子配列と天然の染色体5’相同性アーム配列との間の5’接合領域を増幅するプライマーを用いて増幅された(
図4参照、「断片3」と表示されたライン参照)。簡潔には、AAVHSC7 FPベクターを用いて150,000個のベクターゲノム/細胞のMOIで形質導入した初代CD34+細胞からDNAを抽出した。PCR増幅は、「OUTフォワードプライマーRegion」、及び「Inリバースプライマー」プライマーを用いて行った(
図4参照)。形質導入された初代CD34+細胞の5’接合領域の約1.7kb断片の増幅は、YFP導入遺伝子がAAVS1座にうまく組み込まれたことを示した(
図13、レーン5参照)。一方、AAVHSC7 FPベクターで形質導入されなかった細胞については増幅産物は存在しなかった(
図13、レーン3参照)。
【0195】
YFP導入遺伝子の標的化された組み込みは、編集されたAAVS1遺伝子座の異なる部分の配列分析によってさらに確認された。調節エレメント(
図16参照)の5’領域付近、3’領域の近く、5’相同性アーム(
図15参照)の近くの「OUTフォワードプライマーRegion」(
図14参照)(
図17参照)、導入遺伝子の5’領域付近(
図18参照)、及び「INリバースプライマー」領域(
図19参照)の近くに存在する。配列決定の結果は、YFP遺伝子が存在し、AAVS1座に首尾よく組み込まれていることを示した。
【0196】
実施例1及び2に示されるように、AAVHSCベクターは、外因性エンドヌクレアーゼの添加を必要とせずに、ヒトCD34+造血細胞株、及びCD34+PBSCにおける効率的な標的ゲノム編集を首尾よく媒介した。AAVHSCベクターは、AAVS1遺伝子座に対応する隣接相同性アームに基づいて、YFP導入遺伝子の第19染色体上のAAVS1座への組み込みを指向することができた。AAV媒介性トランスジェネシスは以前に報告されている。しかし報告された頻度は低く、通常、1e6細胞の1対1e4細胞の1のオーダである。本明細書に示すように、AAVHSCベクターを用いた標的ゲノム編集は、以前に報告されたものよりも1,000〜100,000倍効率が高い、初代細胞の長期間の約10%の頻度で生じた(例えば、Khan、2011参照)。ヒトCD34+造血細胞株におけるYFP導入遺伝子の発現は、形質導入後1日目に早く観察され、3日目に確認された。PBSC中のYFP導入遺伝子の発現は、1日目から開始し、分析された最新の時点である長期間(約6週間まで)観察された。AAVHSCベクター形質導入の結果として明白な毒性は観察されなかった。高頻度の挿入、使用の容易さ、及び毒性の欠如が観察されることに基づいて、AAVHSCベクターを用いた標的ゲノム編集に基づく治療は実用的かつ実現可能である。
【0197】
実施例3:AAVベクターバリアントを用いたインビボゲノム工学。
Venusをコードするルシフェラーゼ、及びAAVHSCベクターをコードするAAVHSCベクターを、以前にヒト臍帯血CD34+HSCで異種移植した成体免疫不全マウスに注射した。以下に示すように、AAVHSCベクターの静脈内注射は、ヒトCD34+造血幹細胞、及び前駆細胞のインビボでの形質導入をもたらし、静脈内注射AAVHSCベクターは、ヒト造血部位に輸送され、ヒト細胞に形質導入した。
【0198】
方法。簡単に説明すると、免疫不全のNOD/SCID成体マウスに、最初に
137Cs供給源から350cGyの亜致死量を照射した。第二に、百万人のヒト臍帯血CD34+細胞を、亜致死的に照射された免疫不全NOD/SCIDマウスに注射した。次に、CD34+HSC移植の2時間後、マウスに約1E11−5e11粒子のAAVHSC−ルシフェラーゼベクター(AAVHSC7−ルシフェラーゼベクターまたはAAVHSC17−ルシフェラーゼベクターのいずれか)を静脈注射した。これらのベクターは、外因性ヌクレアーゼの非存在下で使用した。AAVHSC−ルシフェラーゼベクターは、ユビキタスCBAプロモーターの制御下で一本鎖ホタルルシフェラーゼ遺伝子(ssLuc)をコードして、導入遺伝子発現のインビボ生物発光モノリスを連続的に可能にする。これらのベクターは、米国特許出願第13/668,120号(米国特許公開第20130096182A1号として公開)、及びSmithら(本明細書中に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている(Smith、2014)。AAVHSC−ルシフェラーゼベクターは、HSC7キャプシドバリアント(HSC7キャプシドのポリヌクレオチド配列は配列番号27として提供され、HSC7キャプシドのポリペプチド配列は配列番号8(
図1参照)として提供される)、またはシュードタイピングされたHSC17キャプシドバリアント(HSC17キャプシドのポリヌクレオチド配列は配列番号35として提供され、HSC17キャプシドのポリペプチド配列は配列番号13(
図1参照)として提供される)、AAVHSC7−ルシフェラーゼベクター、及びAAVHSC17−ルシフェラーゼベクター(Smith、2014参照)を形成する(標準的なAAVパッケージング方法については、Chatterjee、1992を参照)。AAVHSC−ルシフェラーゼベクターは、マウス、及びヒト細胞の両方に形質導入することができることに留意されたい。しかしながら、下記のAAVHSC−VenusベクターにコードされているVenusとは対照的に、ルシフェラーゼはAAVS1に組み込まれないであろう。代わりに、ルシフェラーゼは無作為に組み込むことができ、またはエピソームにとどまることができる。
【0199】
AAVHSC−ルシフェラーゼベクターを注射して2〜7日後、マウスに約1E11〜5e11粒子のAAVHSC−Venusベクターを注射した。具体的には、最初にAAVHSC7−ルシフェラーゼベクターを注射したマウスにAAVHSC7−Venusベクターを注射し、AAVHSC17−ルシフェラーゼベクターを最初に注射したマウスにAAVHSC17−Venusベクターを注射した。Venusドナーベクターは、上記の実施例1、及び2に具体的に記載されている。ドナーAAVベクターは、Venus導入遺伝子がプロモーターを持たず、染色体コードされた調節配列の下流にある正しいAAVS1遺伝子座に組み込まれている場合にのみ発現されるように設計した(
図3、及び4参照)。したがって、発生したVenus導入遺伝子の発現は、AAVS1またはその近くに位置する染色体プロモーターの制御下にあった。重要なことに、Venus遺伝子を含むベクターは、発現を駆動するプロモーターを含まない。Venus遺伝子は、内因性染色体プロモーターの下流のヒト細胞においてAAVS1に正しく組み込まれる場合にのみ発現される。ドナーベクター、ITR−AAVS1−Venus(
図3参照)を、Chatterjeeら、1992に記載されている標準的なAAVパッケージング法に従ってAAVHSCキャプシドにパッケージングした。このベクターは、HSC7キャプシドバリアント(HSC7キャプシドのポリヌクレオチド配列は配列番号27として提供され、HSC7キャプシドのポリペプチド配列は配列番号8(
図1参照)として提供される)またはHSC17キャプシドバリアント(HSC17キャプシドのポリヌクレオチド配列は配列番号35として提供され、HSC17キャプシドのポリペプチド配列は配列番号13(
図1参照)として提供される)を用いてAAVHSC7−Venusベクター、及びAAVHSC17−Venusベクターを形成する。
【0200】
最後に、インビボでのルシフェラーゼ発現を注射の4週間後に測定した。注入6週間後、ヒトCD34+、及びCD45+細胞の生着を測定し、Venus発現を定量した。この実施例で実施された実験の全体概略図については、
図20を参照。
【0201】
結果。注入後4週間、AAVHSC−ルシフェラーゼベクターの静脈内注射を受けた異種移植、及び非異種移植マウスで、インビボイメージングを行った。結果は、移植後の造血部位である脊椎、脾臓、臀部、及び長骨において特異的なルシフェラーゼ発現を示した(
図21A参照)。しかしながら、以前にヒト臍帯血CD34+HSCで異種移植されていないマウスでは、造血器官における特異的なルシフェラーゼ発現は観察されなかった(
図21B参照)。これらの結果は、静脈内注射されたAAVHSCベクターが、ヒト造血のインビボ部位へのトラフィックを伝達し、幹細胞、及び前駆細胞を優先的に形質導入することを示す。
【0202】
AVHSC−Venusベクターを注射して6週間後、ヒトCD34+、及びCD45+細胞を、フローサイトメトリーを用いて分析した。結果は、注入されたヒト臍帯血CD34+細胞がマウスに移植され、より成熟した血液細胞を生じることを示した。具体的には、原始ヒト血液前駆細胞(すなわち、CD34+細胞)が骨髄で観察された(表1、CD34+細胞、及び大腿骨髄を参照)。さらに、表1に示すように、大腿骨髄、脊髄骨髄、及び脾臓において、ヒト単核球細胞(すなわち、CD45+細胞)が明らかであった。
【0203】
【表2】
【0204】
注射から6週間後、フローサイトメトリーを用いて、AAVHSC7−VenusまたはAAVHSC17−Venusベクターのいずれかの静脈内注射を受けた異種移植マウスのヒトHSCからのVenus発現を分析した。結果は、AAVHSC形質導入が大腿骨、及び脊髄骨髄由来のCD45+ヒトHSC、及びCD34+ヒトHSCにおいて容易に観察されたことを明らかにした(表2、及び
図22A〜F参照)。
【0205】
【表3】
【0206】
さらに、脾臓のヒトCD45+細胞は、Venusがこれらの細胞で発現されると容易に形質導入の証拠を示した(表2、ならびに
図22G及びH参照)。これは、移植されたヒト臍帯血CD34+細胞から生じるCD45+細胞がVenusを発現することを実証する。これらの結果は、インビボでのAAVHSCベクターの静脈内注射が、ヒト造血細胞の形質導入をもたらすことを示す。
【0207】
実施例4:AAV Clade Fベクターを用いた大小の編集エレメントのゲノムへの挿入
方法。rAAVの生産、精製、滴定。NEBuilder v.1.6.2(Ipswich、MA)を用いて設計したプライマーを用いて、New England Biolabs Gibson Assembly Cloning Kitを使用して、すべての標的化ゲノムをAAV2骨格にクローニングした。全ての標的ゲノムを配列決定し、AAV2 ITRの完全性を制限ダイジェスト、及び配列決定を用いて確認した。一本鎖標的ゲノムを、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染293細胞のAAVFキャプシドにパッケージングした。得られた組換えAAVベクターを2ラウンドのCsCl2密度遠心分離勾配で精製し、導入遺伝子特異的プライマー、及びプローブを用いてqPCRを用いて力価を測定した。
【0208】
K562、HepG2、及びPBSC形質導入が含まれる。慢性骨髄性白血病(CML)細胞株、K562、及び肝細胞癌細胞株HepG2は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas、VA)から入手し、ATCCガイドラインに従って培養した。末梢血幹細胞(PBSC)を、CD34+間接分離キット(Miltenyi Biotech)を用いて健康なドナーのサイトカイン下塗したPBから単核細胞から精製し、単離直後に形質導入を行った。PBSCを、20%FCS、100μg/mLストレプトマイシン、100U/mLペニシリン、2mmol/L L−グルタミン、IL−3(10ng/mL;R&D Systems)、IL−6(10ng/mL;R&D Systems)、及び幹細胞因子(1ng/mL;R&D Systems)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(Irvine Scientific)で培養した。HepG2細胞を分割し、形質導入の約24時間前にプレーティングした。形質導入の直前にK562細胞をプレーティングした。K562s、HepG2sまたはPBSCを、5E4〜4E5のMOIで、AAVF標的ベクターで形質導入した。細胞に形質導入し、外因性ヌクレアーゼの非存在下で相同組換えを達成した。形質導入の1〜39日後の時点で細胞をフロー、及び分子分析のために採取した。インビトロでの形質導入のBrdU標識は、APC BrdUフローキット(BD Biosciences)を指示通りに用いて採取する前に行った。
【0209】
TI PCR、及びシークエンシング。高分子量DNAを、AAVF標的ベクターで形質導入したK562、HepG2またはPBSCから単離した。TI特異的PCRは、相同性アームの外側の染色体領域であるSigma AAVS1フォワードプライマー(5’ − GGC CCT GGC CAT TGT CAC TT − 3’)と挿入されたカセットにアニールするプライマーVenus リバースプライマー(5’−AAC GAG AAG CGC GAT CAC A−3’)またはRFLP HindIIIリバースプライマー(5’−CCAATCCTGTCCCTAGTAAAGCTT−3’)。Roche Expand Hifidelity PCRシステム(インディアナポリス、インディアナ州)を使用し、以下のサイクル条件を用いた:1サイクル、5分間〜95℃;15サイクル、30秒〜95℃、30秒〜62℃で開始し、0.5℃/サイクル、2分〜68℃;20サイクル、30秒〜95℃、30秒〜53℃、2分〜68℃;1サイクル、5分〜68℃。PCR産物を、Qiaquick PCR精製キット(Qiagen)を用いる直接配列決定のためにPCR精製し、または配列決定のためのTOPO TAクローニングキット、及びSanger Sequencing(Life Technologies)によって配列決定したクローンを用いてクローニングした。
【0210】
CD34+細胞の移植。すべての動物のケア、及び実験は、施設の動物用ケア、及び使用委員会によって承認されたプロトコルの下で行われた。6−8週齢の雄のNOD.CB17−Prkdcscid/NCrCrl(NOD/SCID)マウスを特定の病原体のない施設で維持した。マウスを、移植前少なくとも48時間、スルファメトキサゾール、及びトリメトプリム経口小児抗生物質(Hi−Tech Pharmacal(Amityville、NY)、10ml/500ml H2O)上に置いた。マウスに、137Cs源から350cGyの亜致死量の放射線を照射し、移植の前に最低4時間回復させた。CD34+間接分離キット(Miltenyi Biotech)を用いて臍帯血(CB)CD34+細胞を単離した。1 X 10
6CCBCD34+細胞を約200μlに再懸濁し、尾静脈注射により移植した。AAVF標的ベクターの2.4E11〜6.0E11粒子を、CB CD34+移植の1週間または7週間後に尾静脈に静脈内注射した。大腿骨髄(BM)、椎骨BM、及び脾臓を、移植後6,7または19週に採取した。
【0211】
フローサイトメトリー分析。インビトロ形質導入は、AAVフローサイトメーター(Dako)を用いて、AAVF標的ベクター媒介組み込み、及びBrdU、及び7−AADについて分析した。特異的蛍光を、自己蛍光の減算に続いて定量した。ヒト特異的抗体、APC結合抗CD34、及びPE結合抗Glycophorin A、及びPEで染色することにより、採取した脊椎BM、大腿骨BM、及び異種移植マウスの脾臓において、CD34+、及び赤血球細胞における統合された蛍光カセットのインビボ発現を分析した、及びFACS Aria SORP(BD Biosciences)上のAPC結合IgG対照(BD Biosciences)を用いて行った。FlowJoソフトウェア(Treestar)を用いてフローサイトメトリーデータを分析した。
【0212】
結果。幹細胞由来AAVは、キャプシド遺伝子のヌクレオチド配列相同性に基づいてAAV Clade Fにマッピングされることが示された(
図23、Smithら、Mol Ther.2014 Sep;22(9):1625−34)。これらの幹細胞由来のAAVをAAVHSC1〜17と命名した。これらのAAVは、本明細書ではそれぞれAAVF1〜17とも呼ばれる。
【0213】
一本鎖AAVベクターゲノムを用いて、相同性アーム、及び大きなインサートを含む補正ゲノムを設計した(
図24)。インサートは、スプライスアクセプター(SA)、及び2A配列(2A)の下流にプロモーターのないVenusオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、独立したタンパク質発現を可能にした。Venusは、黄色蛍光タンパク質の変異体である(例えば、Nagaiら、Nat Biotechnol、2002,20(1):87−90参照)。左右の相同性アーム(HA)はそれぞれ800bp長であり、染色体19(
図25)のAAVS1遺伝子座に位置するヒトPPP1R12Cのイントロン1の配列に相補的であった。同様の一本鎖AAVベクターゲノムを、2つの相同性アームの間に10bpインサートを用いて設計した(
図35)。AAVS1遺伝子座は、異種導入遺伝子の挿入のためのセーフハーバー部位と考えられている。
【0214】
相同性アーム、オープンリーディングフレーム、及び調節配列をAAV2逆位末端反復(ITR)の間でクローニングした。この補正ゲノムは、AAVHSC、AAV8,9,6、及び2を含む異なるAAVキャプシドにパッケージング(シュードタイピング)された。次に、組換えウイルスを使用して、編集ゲノムを標的細胞の核に送達した。試験した標的細胞には、CD34+赤白血病細胞株、肝細胞株、及び初代ヒトCD34+造血幹/前駆細胞ならびにそれらの造血子孫が含まれた。
【0215】
VenusORFを含み、ヒトPPP1R12C遺伝子のイントロン1に相補的な相同性アームが隣接しているAAVFベクターを使用して、編集ヒトゲノムを初代ヒトCD34+サイトカイン刺激末梢血幹細胞(
図26A)、ヒトK562 CD34+赤白血病細胞株(
図26B)、及びヒト肝細胞株HepG2(
図26C)。主要なCD34+細胞は最高60%の編集レベルを支持した(
図26A〜F)。K562及びHepG2を含む不死化細胞株も、有意なレベルの編集を示した。すべての場合において、達成された編集のレベルは、AAV6、及びAAV8を含む非Clade Fウイルスで達成されたレベルよりも一貫して有意に高かった(
図26A〜F、及び
図36)。
【0216】
別の実験では、AAVF7、AAVF15またはAAVF17ベクターで形質導入されたサイトカインで刺激されたCD34+末梢血幹細胞(PBSC)から抽出されたDNAを、染色体特異的プライマー、及びインサート特異的プライマーで増幅した。ベクターには大きなインサート(Venus)または短いインサート(10bp、RFLP)が含まれていた。ゲルは、正確なサイズのアンプリコンが、編集されたCD34細胞から増幅されたことを示した(
図27、
図35、及び
図36)。1.7kb、及び1kbバンドの存在は、それぞれ大きなインサート、及び小さなインサートの正確に標的化された組み込みを反映した。標的化された組み込みは、AAVFベクターで編集した後の短期、及び長期の両方の時点で示された(
図27)。
【0217】
別の実験では、ヒトPPP1R12C遺伝子のイントロン1に10bpインサートを挿入するために、一本鎖AAVベクターゲノムを設計した(
図28A)。これらのベクターは、Nhe1制限酵素認識部位(GCTAGC)を含む野生型左相同性アーム(HA−L)を含んでいた。NS mutベクターは、第19染色体上の左相同性アームのTA配列をATに変更するように設計された。この変化は、Nhe1部位のSph1部位への変換をもたらし、配列をGCTAGCからGCATGCに変更する。
図28Bは、K562細胞由来のゲノムDNAを野生型またはNS Mut AAVFベクターのいずれかを用いて編集した場合に、Nhe1またはSph1で切断することによって作製された予想断片の相対的サイズを示す。野生型AAVFベクターで編集したK562細胞のゲノムDNA由来の実際のアンプリコンをNhe1で消化したが、Sph1で消化しなかった(
図28C)。野生型またはNS MutゲノムのいずれかをコードするAAVF7またはAAVF17ベクターで編集した後に増幅したK562 DNAを用いた結果は、Nhe1による消化が、未編集細胞からのアンプリコンに匹敵するアンプリコンの切断をもはやもたらさないことを示した。Sph1での消化は切断をもたらし、染色体の左側の相同性アームのNhe1部位がSph1部位によって置換されたことを示した(
図28D)。野生型またはNS MutゲノムのいずれかをコードするAAVF7またはAAVF17ベクターで編集した後の肝細胞癌腫細胞株HepG2からの増幅DNAの電気泳動は、Nhe1による消化が、未編集細胞からのアンプリコンに匹敵するアンプリコンの切断をもはやもたらさないことを示した(
図28E)。Sph1による消化は切断をもたらし、染色体の左側の相同性アームのNhe1部位がSph1部位によって置換されたことを実証した。配列分析により、AAVF7、及びAAVF17野生型またはNS Mutベクターによる編集が確認された(
図29)。これらの結果は、AAVF7、及びAAVF17の両方が、2つの異なる細胞系における染色体配列における2ヌクレオチド置換を首尾よく媒介したことを示している。これらの結果はまた、ヒト細胞のゲノムDNAにおける2塩基対置換を媒介するAAVFベクターの能力を示し、疾患誘発変異の矯正またはゲノムにおける新しい変異の誘導のためのそれらの使用を示唆する。
【0218】
別の実験では、AAVFベクターの編集能力に対する細胞分裂の潜在的な必要性を健康なヒトCD34+ PBSCで試験した。10μMのBrdUで2時間パルスすることにより、形質導入したヒトCD34+PBSCにBrdUを組み込んだ。AAVFで形質導入したCD34+細胞を採取し、透過処理し、DNase処理の前に固定した。DNase処理後、処理した細胞を抗BrdU APC抗体で20分間染色した。インビトロで編集した細胞のBrdU標識を、指示に従ってAPC BrdUフローキット(BD Biosciences)を用いて採取する前に行った。その後、細胞を、Venus発現ならびにBrdU標識のためのフローサイトメトリーによって分析した。結果は、BrdU陽性、及び陰性集団の両方におけるVenus発現の同様の頻度を示し、細胞分裂がAAVF媒介性編集に必要でないことを示唆した(
図30)。
【0219】
別の実験では、インビボでの生着されたヒト造血幹細胞の編集を、ヒト臍帯血CD34+造血幹細胞で移植された全身送達AAVFベクター免疫不全NOD/SCIDマウスによって試験した(
図31A、及びB)。骨髄、及び脾臓の両方において、ヒト細胞の大部分はVenusを発現することが見出されたが、Venus発現はマウス細胞では観察されなかった(
図31C、
図37、及び
図38)。マウスゲノムは、相同性アームに相補的なAAVS1座を含まないので、これらの知見は、遺伝子標的の特異性を実証する。分析されたヒト細胞のうち、Venus発現は、原始CD34+前駆細胞ならびに成熟グリコホリンA+赤血球細胞(骨髄、及び脾臓の両方)において観察された。
【0220】
別の実験では、マウスをヒト臍帯血CD34+細胞で移植し、AAVF−Venusを1または7週間後に静脈内経路で注射した。Venusの静脈注射の5,6または13週間後に、脊椎または大腿骨髄または脾臓を採取した。これらは移植後6、7または20週間の累積時間を表している。結果は、AAVF−Venusの静脈注射は、より成熟した、分化した(CD45+)インビボで生着されたヒト造血細胞と同様に、原始(CD34+)ウェルとしての編集をもたらすことを明らかにする。ヒト赤血球系統の細胞は、移植、及び注射後に長期間にわたり非常に効率的な編集を示した(
図32)。AAVF媒介性編集は長期間安定であることが判明し、インビボで移植されたヒトCD34+細胞の分化した子孫によって安定して遺伝した(
図32)。編集されたCD34+細胞の分化した子孫は、Venus長期間を示した(
図32)。
【0221】
別の実験では、K562赤白血病細胞株、初代ヒトサイトカインで刺激された末梢血CD34+細胞、及びHepG2ヒト肝細胞株(
図33)におけるプロモーターレスSA/2A venus ORFの標的染色体挿入について配列分析を行った。部位特異的に組み込まれた配列は、染色体特異的プライマー、及びインサート特異的プライマーを用いて増幅された。結果は、すべての場合において、左、及び右の相同性アーム間の接合部にSA/2AVenusの正確な挿入を示した(
図33)。
【0222】
別の実験では、初代ヒトサイトカインで刺激された末梢血CD34+細胞、及びHepG2ヒト肝細胞株(
図34)における10bpインサートの標的化染色体挿入のための配列分析を行った。部位特異的に組み込まれた配列は、染色体特異的プライマー、及びインサート特異的プライマーを用いて増幅された。結果は、いずれの場合においても、左、及び右の相同性アーム間の接合部に10bpインサートの正確な挿入を示した(
図34)。
【0223】
これらのデータは、AAV Clade Fベクターを使用して、大きなインサート断片、及び短いインサート断片の両方をゲノムにうまく編集することができ、ゲノムへの組み込みが正確であることを示す。これらのデータはまた、AAV Clade Fベクターが、外因性ヌクレアーゼの非存在下で高効率ゲノム編集に使用され得ることを示す。
【0224】
実施例5:ヒト細胞株におけるPPP1R12c遺伝子座の編集
方法
【0225】
AAVFベクターによるヒト細胞タイプの編集を評価するために、以下のヒト細胞株を使用した:
【0226】
【表4】
【0227】
使用したAAVFベクターはそれぞれ、プロモーターを持たないVenusレポーターをコードする編集エレメントを含むベクターゲノムを含んでいた。プロモーターを持たないVenusは、Venusのスプライスアクセプター(SA)、及び2A配列(2A)の下流のオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、独立したタンパク質発現を可能にした。左右の相同性アーム(HA)はそれぞれ800bp長であり、19番染色体上のAAVS1座に位置するヒトPPP1R12Cのイントロン1の配列に相補的であった。AAVS1遺伝子座は、異種導入遺伝子の挿入のためのセーフハーバー部位と考えられている。相同性アーム、Venus ORF、及び調節配列を含む編集エレメントを、AAV2逆位末端反復(ITR)間にクローン化した。
【0228】
細胞培養。全細胞株を、37℃で5%CO2の加湿雰囲気下で成長させ、以下の条件で培養した。SCID−X1リンパ芽球(Coriell)を、15%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco、カタログ番号26140)を補充したRPMI1640(Gibco、カタログ番号21875)で培養した。K562細胞(ATCC)を10%FBS(Gibco、カタログ番号26140)、及び1%L−グルタミン(Gibco、カタログ番号25030)を補充したDMEM(Corning、カタログ番号15−017−CVR)で培養した。HepG2細胞(ATCC)を、10%FBS(Gibco、カタログ番号26140)を補充したEMEM(ATCC、カタログ番号30−2003)中で培養した。MCF−7細胞(ATCC)を、10%FBS(Gibco、カタログ番号26140)、1%MEM非必須アミノ酸(Gibco、カタログ番号11140)、1%のSodiumピルビン酸(Gibco、カタログ番号11360)、及び10μg/mLヒト組換えインスリン(Gibco、カタログ番号12585−014)を補充したMEM(Gibco、カタログ番号11095)中で培養した。WI−38線維芽細胞(ATCC)、及びHEK293細胞(ATCC)11140)を、10%FBS(Gibco、cat#26140)、1%MEM非必須アミノ酸(Gibco、カタログ番号:11140)、及び1%ピルビン酸ナトリウム(Gibco、カタログ番号11360)を補充したMEM(Gibco、カタログ番号11095)中で培養した。そしてY79細胞(ATCC)を、20%FBS(Gibco、カタログ番号26140)を補充したRPMI1640(Gibco、カタログ番号A10491)で培養した。
【0229】
ヒト細胞株のAAVF媒介性編集。接着細胞を、96ウェルフォーマットについては20,000細胞/0.1mLで、または24ウェルフォーマットについては20000細胞/0.5mLで0日目に播種した。AAVFベクターの添加の24時間後(1日目)の細胞数を測定した。サスペンド細胞を、96ウェルフォーマットで20,000細胞/0.1mLまたは24ウェルプレートフォーマットで20,000細胞/0.5mLで1日目に播種した。1日目に、150,000個のベクターゲノム(VG)/細胞の多重感染(MOI)を用いてAAVFを細胞に添加した。AAVF添加の前に、移送に使用したピペットチップを硫酸プロタミン(10mg/ml)でコーティングした。AAVFを、形質導入の直前に最大速度のボルテックスミキサーで30秒間完全に懸濁させた。細胞に添加されたAAVFの量は、ウェル中の総体積の5%を超えなかった。3日目に、細胞を採取し(接着細胞を穏やかにトリプシン処理して組織培養プレートから除去した)、洗浄し、Hypercytオートサンプラーを備えたIntellicytフローサイトメーターを用いてフローサイトメトリーによりVenus発現を分析した。編集は、非形質導入細胞(典型的には1%未満のVenus陽性細胞)において観察された、Venus陽性であった全細胞集団からバックグラウンド蛍光を差し引いた割合として表された。AAVF編集実験は、外因性ヌクレアーゼを使用せずに行った。
【0230】
結果
【0231】
試験した全てのAAVFについてヒトPPP1R12c遺伝子座の編集が観察され、細胞タイプの選択性が示された(表3)。一般に、AAVF5は、48時間の感染後、全細胞集団の12〜45%から各細胞株において最高レベルの編集を生じた。AAVF9は、Bリンパ芽球細胞株(SCID−X1 LBL、及びK562)においても高レベルの遺伝子編集をもたらした。AAVF17は、これらの条件下で正常ヒト二倍体線維芽細胞(WI−38細胞)において遺伝子編集の最高レベルを生じた。AAVF1、AAVF4、AAVF7ベクターは、形質導入されていない細胞で見られるものより一貫して大きいが、一般にAAVF5、AAVF9、及びAAVF17で観察された最大レベルよりも低いレベルの編集をもたらした。これらのデータは、AAVFがヒト組織に広い指向性を有し、肝臓、CNS(網膜)、組織線維芽細胞、乳房、及びリンパ球における遺伝子編集に有用であり得ることを示す。
【0232】
【表5】
【0233】
実施例6:初代ヒト細胞におけるAAVF編集
AAVFベクターによる初代ヒト細胞の編集を評価するために、ヒト肝細胞、肝類洞内皮細胞、及び骨格筋筋芽細胞の初代培養を使用した。
【0234】
それぞれ使用されたAAVF、及びAAVベクターは、プロモーターを含まないVenusレポーターをコードするベクターゲノムをパッケージした。インサートは、スプライスアクセプター(SA)、及び2A配列(2A)の下流のVenusオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、独立したタンパク質発現を可能にした。左右の相同性アーム(HA)はそれぞれ800bp長であり、19番染色体上のAAVS1座に位置するヒトPPP1R12Cのイントロン1の配列に相補的であった。AAVS1遺伝子座は、異種導入遺伝子の挿入のためのセーフハーバー部位と考えられている。相同性アーム、オープンリーディングフレーム、及び調節配列からなる補正ゲノムをAAV2逆位末端反復(ITR)の間にクローニングした。
【0235】
方法
【0236】
細胞培養。全ての初代ヒト細胞を、組織培養インキュベーター中、37℃、5%加湿CO2下で培養した。すべての材料、及び媒体成分は、別段の指定がない限りLife Technologiesから入手した。
【0237】
ヒト肝細胞の初代培養物をInvitrogenから入手し、I型コラーゲンコートプレート上で製造業者によって示唆されるように培養した。細胞を、解凍/プレート培地[最終体積35.0mLあたり、ウィリアムズE培地(#A12176)32.5mL、ウシ胎仔血清1.6mL、10mMデキサメタゾン3.2uL、及び0.9mLのメッキカクテルA]の、液体窒素での保存から回収した。0.5mLペニシリン(10,000U/mL)/ストレプトマイシン(10,000μg/mL)溶液(Cat#15140)、0.05mLの4.0mgヒト組換えインスリン/mL(カタログ番号12585−014)、0.5mLの最終容量1.8mLあたり200mMのGlutaMAXTM溶液(カタログ番号35050)、及び0.75mLの1.0M Hepes、pH7.4(カタログ番号15630)で溶出した。ヒト肝細胞は、最終体積103.6mLあたり、Williams E培地100mL、デキサメタゾン0.001mL、及びメンテナンスカクテルB(カタログ番号A13448)3.6mLを含むメンテナンス培地で維持した。
【0238】
ヒト骨格筋筋芽細胞の初代培養物をロンザ(Lonza)から入手し、製造者の記載に従ってSkGM(商標)培地で培養した。
【0239】
SkgM (商標) −2 Bullit (商標)キット(Lonza、カタログ番号CC−3245)は、500mLのSkGM−2培地(#0000482653)中、0.5mLのヒト上皮成長因子[hEGF](#0000482653)、0.5mLのデキサメタゾン(#0000474738)、10mLのL−グルタミン(#0000474740)、50mLのウシ胎児血清(#0000474741)、0.5mLのゲンタマイシン/アンホテリシン−B[GA](#0000474736)を含む。
【0240】
ヒト肝臓洞様内皮細胞の初代培養物をCreative Bioarrayから購入し、SuperCult(登録商標)内皮細胞培地で培養し、製造者の記載に従ってゼラチンベースのコーティング上で増殖させた。SuperCult(登録商標)Endothelial Cell Medium Supplement Kit(カタログ#ECM−500 Kit)は、0.5mLのVEGF(#15206)、0.5mLのヘパリン(#15250)、0.5mLのEGF、0.5mLのHydrocortisone(#15318)、5.0mLのAntibiotic−Antimycotic Solution(#15179)、5.0mLのL−glutamine(#15409)、10.0mLのEndothelial Cell Supplement(#15604)、50.0mLのFBS(#15310)、及び500.0mLのSuperCult(登録商標)Endothelial Cell Supplement(#15517)を含む
【0241】
初代ヒト細胞のAAVF媒介性編集。ヒト初代肝細胞を、96ウェルフォーマットについては2×10
4細胞/0.1mL、または24ウェルフォーマットについては2×10
4細胞/0.5mLで、0日目に播種した。ウィルスベクターは、後述のように、2日目の48時間後に添加した。ヒト骨格筋筋芽細胞、及びヒト肝臓洞様内皮細胞を、1日目に96ウェルフォーマットで2×10
4細胞/0.1mLまたは24ウェルフォーマットで2×10
4細胞/0.5mLで播種した。2日目に、ウイルスベクターを150,000VG(ベクターゲノム)/細胞の感染多重度(MOI)/細胞(AAVF5についてMOI5×10
4VG/細胞AAVF17については、2.5×10
4VG/細胞のMOIを使用した)。ベクターを細胞に添加する前に、ベクター送達に使用した全てのピペットチップを硫酸プロタミン(10mg/mL)でコーティングし、ベクターを形質導入の直前に30秒間ボルテックスして完全に混合した。細胞に添加されたベクターの体積は、ウェル中の総体積の5%を超えなかった。
【0242】
ヒト初代肝細胞の培養培地を3日目にリフレッシュした。4日目に、細胞を採取し(接着細胞をトリプシン処理した)、Hypercyt Autosamplerを備えたIntellicytフローサイトメーターを用いてフローサイトメトリーによりVenus発現を分析した。編集は、非形質導入細胞(典型的には1%未満のVenus陽性細胞)において観察された、Venus陽性であった全細胞集団からバックグラウンド蛍光を差し引いた全細胞集団のパーセントとして表した。
【0243】
結果
【0244】
試験した全てのAAVFについてヒトPPP1R12c遺伝子座の編集が観察され、細胞タイプの選択性が示された(表4)。一般に、AAVF5は、初代細胞集団のそれぞれにおいて、ヒト肝細胞の2%の低さから、初代骨格筋芽細胞、及び肝臓の類洞状内皮細胞における24%〜35%まで、48時間の感染後、最高レベルの編集を与えた。AAVF7、及びAAVF17はまた、初代肝類洞内皮細胞、及び骨格筋芽細胞において高レベルの遺伝子編集をもたらした。これらの細胞におけるAAVFベクターによる編集のレベルは、AAV2またはAAV6で観察されたレベルより10〜50倍高かった。AAVFベクターは、プロモーターを持たないVenusベクターゲノムをパッケージングしたAAV2またはAAV6で形質導入された形質導入されていない細胞または細胞で見られたものより一貫して高いレベルの編集をもたらした。これらの細胞におけるAAV2またはAAV6のいずれかについては、編集がほとんどまたは全く観察されなかった。初代ヒト細胞におけるこれらのデータは、AAVF5、AAVF7、及びAAVF17がヒト組織に広い指向性を有し、肝臓、骨格筋、及び内皮細胞集団に向けられた遺伝子治療用途に有用であり得ることを示している。
【0245】
比較のために、初代ヒト細胞集団のそれぞれに、チキンベータアクチン(CBA)プロモーターの制御下でmCherryをパッケージングするAAVF遺伝子導入ベクターを形質導入した。Venus/mCherryのタンパク質発現比は、実験(Venus)の遺伝子編集ベクターを用いて多様な細胞タイプにおいて検出可能なタンパク質発現を有する細胞の数と、AAV6、AAVF5、及びAAVF7に対して上記の遺伝子導入ベクター(mCherry)を用いて検出可能なタンパク質発現を有する細胞の数とを反映した、編集比を推定するために用いられた。表5に示すように、AAV6媒介遺伝子編集は、一般に、研究された初代ヒト細胞における対応するAAVF媒介遺伝子導入アプローチよりもタンパク質発現に対してより有効であるが、AAV6媒介遺伝子編集は、実質的に同じか、そのような細胞におけるAAV6媒介遺伝子導入よりあまり有効ではない。注目すべきことに、表5に示すように、AAVF媒介遺伝子編集は、研究した初代ヒト細胞のAAV6媒介遺伝子編集で観察されたものよりも高かった。これらのデータは、AAVF媒介遺伝子編集が様々な初代ヒト細胞においてAAV6よりも効率的であり、AAVF媒介遺伝子編集が、そのような細胞における対応する遺伝子伝達アプローチよりも好ましいことを示す。
【0246】
mCherryレポーターをパッケージングするAAVFベクターも、初代ヒト細胞に効果的に形質導入し、細胞タイプ特異性を示した(表6)。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、及び肝類洞内皮細胞(HSEC)では、AAVF9による形質導入は48時間の感染後に38〜50%mCherry陽性細胞を産生した。AAVF9はまた、ヒト骨格筋筋芽細胞を効率的に形質導入し、より少ない程度で、試験したAAVFの全てが、これらの条件下でHSECに効果的に形質導入した(表6)。理論に拘束されるものではないが、これらの研究におけるmCherry発現の大部分は、相同性アームがmCherryベクターゲノムに存在しないため、発現がCBAプロモーターによって駆動されるため、レポーターのエピソーム発現を表す可能性が高い。
【0247】
【表6】
【0248】
実施例7:AAVF相対遺伝子編集(HDR)対、遺伝子導入(形質導入)効率の研究
相対的遺伝子編集効率対、AAVFベクターの遺伝子導入形質導入効率を評価するために、2種類のAAVベースのベクター(CBA−mCherry遺伝子伝達ベクター、及びAAVS1−Venus遺伝子編集ベクター、
図39)を使用した。AAV2、及びAAV6の相対的な発現を示す。遺伝子導入ベクターについては、CBA−mCherry構築物はニワトリβアクチン(CBA)プロモーターの制御下にmCherry遺伝子を含み、ポリアデニル化シグナルを利用したが、相同性アームを含まなかった。遺伝子編集ベクターのために、AAVS1−Venus構築物は、Venus ORFを、染色体19のAAVS1領域内のPPP1R12C遺伝子のイントロン1に標的化する(HA−L)及び(HA−R)相同性アームを有するプロモーターのないVenusオープンリーディングフレーム(ORF)を含ませた。Venus ORFの上流にスプライスアクセプター(splice acceptor)(SA)、及び2A配列があり、Venus転写産物をスプライシングしてPPP1R12C遺伝子とは独立して発現させた。
【0249】
初代ヒト臍帯血CD34+造血幹/前駆細胞において、AAVF、AAV2、及びAAV6ベクターが遺伝子編集対遺伝子伝達を仲介する能力を比較した。使用した細胞を複数のドナーからプールした。精製されたCD34+細胞を、1細胞当たり150,000個のベクターゲノム(VG)の多重度で遺伝子導入ベクター(AAV*−CBA−mCherry)または遺伝子編集ベクター(AAV*−Venus)のいずれかで形質導入した。48時間後、細胞を採取し、フローサイトメトリーによって分析した(
図40A、及び40B)。示されるデータは、バックグラウンド非形質導入細胞の減算を含む。
【0250】
Venusの発現は遺伝子編集の効率を表すのに対して、mCherry発現は形質導入効率を表すと仮定された。理論に拘束されるものではないが、以下はAAV形質導入と編集の潜在的メカニズムの要約である。感染すると、AAVは細胞表面受容体に結合し、核移行、及び進入の前に内在化される。核では、AAVはコーティングされず、ベクターゲノムが放出される。これらのプロセスは、ベクターゲノムにかかわらず、同じ細胞集団中の各所定のキャプシドについて同じ速度で起こる可能性が高い。コーティングしないと、一本鎖CBA−mCherryゲノムはmCherry発現の前に第二鎖合成を受ける。他方、プロモーターを持たないVenus編集ベクターは、染色体19上の相補性のゲノム領域に向けられている。次いで、相同性アームによって境界を定められたSA/2A−Venusカセットは、相同性依存修復(HDR)機構を介して相同性アームの内部接合部で染色体に組換えられ得る。この再結合事象に続いて、Venusは正常に編集された細胞内で発現される。
【0251】
Venusは、AAVF9を除く全てのベクターについて、mCherryよりもはるかに高い割合の細胞で発現された(
図40A、及び40C)。Venus発現は、AAVF1、AAVF5、AAVF7、AAVF16、及びAAVF17による形質導入後に特に高かった。同じキャプシドが、mCherry発現のレベルをはるかに低くした(
図40A、及び40C)。AAV2、及びAAV6による形質導入後に、mCherry、及びVenus発現の両方の発現量が最小限であることが観察された。VenusとmCherryの相対的発現の比較も行った。具体的には、上述の遺伝子導入ベクター(mCherry)を用いて検出可能なタンパク質発現を有する細胞の数に対する、実験(Venus)の遺伝子編集ベクターを用いた様々な細胞タイプにおける検出可能なタンパク質発現を有する細胞数の比を反映する編集比が決定された。編集比は、核内でのコーティングを通じたウイルス侵入のプロセスのための正規化後の各AAVキャプシドによって媒介される編集の相対効率の推定値を提供する。試験したすべてのAAVベクターは、AAVF9を除いて、遺伝子導入/導入遺伝子発現(mCherry)と比較して、より効率的な遺伝子編集(Venus)を示した(
図40D、及び表7)。AAVF5、及びAAVF7が最も高い編集比を示した(
図40D、及び表7)。AAV2、及びAAV6媒介遺伝子編集(Venus)と比較して、AAVF媒介遺伝子編集(Venus)もまた比較した(AAV2またはAAV6のいずれかに対して同じ比で割ったAAVFのVenus:mCherry比を示す表7)。AAVF遺伝子編集構築物の遺伝子編集効果は、AAV2、及びAAV6遺伝子編集構築物と比較して有利に比較された。AAVF5、及びAAVF7の編集比は、比較したベクターの中で最高であり、これらのベクターが特に効率的な編集を媒介することを示している。
【0252】
【表7】
【0253】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例示として意図される実施例に開示される特定の実施形態によって範囲が限定されず、機能的に同等の任意の実施形態は本発明の範囲内である。実際、本明細書に示され説明されたものに加えて、本発明の様々な改変は、当業者には明らかとなり、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
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