特許第6683698号(P6683698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683698捲縮したウェブを製造するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683698
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】捲縮したウェブを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/02 20060101AFI20200413BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20200413BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A24D3/02
   A24B3/14
   A24B13/00
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-523416(P2017-523416)
(86)(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公表番号】特表2018-500007(P2018-500007A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】EP2015075418
(87)【国際公開番号】WO2016071267
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】14191555.3
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ザッポリ ステファノ
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭35−002052(JP,B1)
【文献】 米国特許第02164702(US,A)
【文献】 特公昭34−005206(JP,B1)
【文献】 特開2000−157246(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/125049(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/042866(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/098353(WO,A1)
【文献】 米国特許第03224453(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00− 3/18
A24B 1/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用の捲縮したウェブを製造する方法であって、前記方法が、
実質的に連続的なウェブを一組の捲縮ローラーに供給する工程であって、前記一組のローラーが第一のローラーおよび第二のローラーを備え、そのそれぞれがその幅の少なくとも一部分にわたり波型であり、前記第一のローラーの前記波型形状が前記第二のローラーの前記波型形状と実質的に交互に配置されるように、前記第一および前記第二のローラーが配置されている工程と、
前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状が、複数の長軸方向に延びかつ実質的に平行な捲縮した波型形状を前記実質的に連続的なウェブに適用するように、前記実質的に連続的なウェブを前記第一および前記第二のローラー間に前記ウェブの長軸方向に供給することにより、前記実質的に連続的なウェブを捲縮して前記捲縮したウェブを形成する工程とを含み、
前記捲縮した波型形状のピッチ値が前記捲縮したウェブの前記幅全体にわたり変動するように、前記第一および前記第二のローラーの一方または両方の前記波型形状の前記ピッチ値が前記ローラーの前記幅全体にわたり変動する、方法。
【請求項2】
エアロゾル発生物品構成要素を製造する方法であって、前記方法が、
請求項1に記載の捲縮したウェブを製造する工程と、
前記捲縮したウェブを集めて連続的なロッドを形成する工程と、
前記連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断する工程であって、それぞれのロッド状の構成要素が前記捲縮したウェブの切断された部分から形成される捲縮したシートの集合体を持ち、前記捲縮したシートの前記捲縮した波型形状が、前記ロッド状の構成要素内の複数の軸方向経路を画定する工程を含む、方法。
【請求項3】
エアロゾル発生物品用の捲縮したウェブを製造するための装置であって、前記装置が、 第一のローラーおよび第二のローラーを備えた一組の捲縮ローラーを備え、そのそれぞれがその幅の少なくとも一部分にわたり波型であり、
前記第一および前記第二のローラーが、前記第一のローラーの前記波型形状が前記第二のローラーの前記波型形状と実質的に交互に配置されるように配置され、
前記第一および前記第二のローラーの一方または両方の前記波型形状のピッチ値が前記ローラーの前記幅全体にわたり変動する、装置。
【請求項4】
前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状の少なくとも10パーセントが少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、好ましくは、前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状の少なくとも40パーセントが少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、より好ましくは、前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状の少なくとも70パーセントが少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、また最も好ましくは、実質的にすべての前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状が少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法または装置。
【請求項5】
前記第一および前記第二のローラーの前記実質的にすべての波型形状の前記ピッチ値が、約0.5mm〜約1.7mm、好ましくは約0.7mm〜約1.5mm、また最も好ましくは約0.9mm〜約1.3mm変動する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法または装置。
【請求項6】
前記第一および前記第二のローラーの少なくとも一部の前記波型形状のそれぞれが、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の振幅値とは異なる振幅値を持つ、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法または装置。
【請求項7】
前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状の前記振幅値が、約0.1mm〜約1.5mm、好ましくは約0.2mm〜約1mm、最も好ましくは約0.35mm〜約0.75mm変動する、請求項6に記載の方法または装置。
【請求項8】
前記第一および前記第二のローラーの少なくとも一部の前記波型形状のそれぞれが、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の波型角度とは異なる波型角度を持つ、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法または装置。
【請求項9】
前記第一および前記第二のローラーの前記波型形状の前記波型角度が、約30度〜約90度、好ましくは約40度〜約80度、より好ましくは約55度〜約75度変動する、請求項8に記載の方法または装置。
【請求項10】
エアロゾル発生物品用のエアロゾル冷却要素で、またはエアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体で使用するための捲縮したシートであって、前記捲縮したシートが、長軸方向に延びる複数の実質的に平行な捲縮した波型形状を含み、前記捲縮した波型形状のピッチ値が前記シートの幅全体にわたり変動する、捲縮したシート。
【請求項11】
少なくとも一部の前記捲縮した波型形状のそれぞれが、少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状の振幅値とは異なる振幅値を持つ、請求項10に記載の捲縮したシート。
【請求項12】
少なくとも一部の前記捲縮した波型形状のそれぞれが、少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状の波型角度とは異なる波型角度を持つ、請求項10または請求項11に記載の捲縮したシート。
【請求項13】
金属箔、高分子シート、紙、均質化したたばこ材料、またはその組み合わせを含む群から選択されるシート材料を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の捲縮したシート。
【請求項14】
エアロゾル発生物品用のエアロゾル冷却要素であって、前記エアロゾル冷却要素が、請求項10〜13のいずれか1項に記載された捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを含み、前記捲縮したシートの前記捲縮した波型形状が前記ロッド内で複数の軸方向経路を画定する、エアロゾル冷却要素。
【請求項15】
エアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体であって、前記エアロゾル形成基体が、請求項10〜13のいずれか1項に記載の捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを含み、前記捲縮した波型形状が前記ロッド内で複数の軸方向経路を画定する、エアロゾル形成基体。
【請求項16】
請求項14に記載のエアロゾル冷却要素と請求項15に記載のエアロゾル形成基体の一方または両方を含む、エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、捲縮したウェブを製造するための方法および装置に関連する。特に、本発明は、エアロゾル発生物品について捲縮したウェブを製造するための方法および装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来的な紙巻たばこは、たばこを燃焼させ、揮発性化合物を放出する温度を発生させる。燃焼中のたばこ内で達する温度は800℃を超えることがあり、こうした高温はたばこを起源とする煙内に含まれる水分の大半を追い出す。たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるその他のエアロゾル発生物品も、当業界で周知である。エアロゾル発生物品を使用するシステムの例には、たばこを含む基体を摂氏200〜400度の間の温度に加熱してエアロゾルを生成させるシステムが含まれる。エアロゾル形成の温度が低めであるにも関わらず、こうしたシステムにより発生するエアロゾル流は、可燃式の喫煙物品と比較して含水量が高いことから、考えられる温度は従来的な紙巻たばこの煙よりも高いことがある。
【0003】
通常、エアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられる複数の要素を備えうる。複数の要素は一般的に、エアロゾル形成基体と、ロッド内のエアロゾル形成基体から下流に位置するエアロゾル冷却要素とを備える。エアロゾル冷却要素は、その機能性から熱交換器と言われることもある。エアロゾル冷却要素とエアロゾル形成基体の一方または両方は、軸方向の空気流を供給する複数の軸方向経路を備えうる。複数の軸方向経路は、ロッド内で捲縮されて集められ経路を形成するシートにより画定されうる。こうした例において、捲縮したシートは、一般的に実質的に連続的なウェブを捲縮し、捲縮して集めたウェブから複数の捲縮したシートに切断することにより形成される。
【0004】
エアロゾル発生物品内で使用するための捲縮したウェブを製造するための方法および装置が当技術で周知である。捲縮したウェブを製造する周知の方法には一般的に、一対の交互に配置されたローラー間に実質的に連続的なウェブを供給して複数の平行な等距離の長軸方向に延びる捲縮した波型形状を連続ウェブに適用する工程が関与する。捲縮したウェブはその後、集められて複数の軸方向経路を持つ連続的なロッドを形成する。ロッドは次に包まれより小さなセグメントに切断されて、エアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体またはエアロゾル冷却要素を形成する。
【0005】
ところが、こうした周知の方法は、ロッド内での捲縮した材料の不均一な分布につながりうる。これは、異なるエアロゾル発生物品間での引き出し抵抗の変動につながりうる。
【0006】
捲縮したウェブが使用されるエアロゾル発生物品内での捲縮した材料のより均一な分布が許容される、エアロゾル発生物品用の捲縮したウェブを製造するための方法および装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、エアロゾル発生物品用の捲縮したウェブを製造する方法が提供されており、方法は、実質的に連続的なウェブを一組の捲縮ローラーに供給する工程であって、一組のローラーが第一のローラーおよび第二のローラーを備え、そのそれぞれがその幅の少なくとも一部分にわたり波型であり、第一のローラーの波型形状が第二のローラーの波型形状と実質的に交互に配置されるように第一および第二のローラーが配列されている工程と、第一および第二のローラーの波型形状が、複数の長軸方向に延びかつ実質的に平行な捲縮した波型形状を実質的に連続的なウェブに適用するように、実質的に連続的なウェブを第一および第二のローラー間にウェブの長軸方向に供給することにより、実質的に連続的なウェブを捲縮して捲縮したウェブを形成する工程とを含み、ここで、捲縮した波型形状のピッチ値が捲縮したウェブの幅全体にわたり変動するように、第一および第二のローラーの一方または両方の波型形状のピッチ値がローラーの幅全体にわたり変動する。
【0008】
捲縮した波型形状が捲縮したウェブの幅にわたり実質的に同一のピッチ値を持つ、従来的な方法を用いて製造された捲縮したシートの集合体からエアロゾル発生物品用のロッドを形成する時、上にある捲縮したシートの部分の捲縮した波型形状が整列し束になって重なり合い、大きな軸方向経路をロッドのその他の部分内に残す傾向がありうることが判明している。ロッドを通して引き出される空気は軸方向経路に沿って比較的容易に通過できるため、これは、エアロゾル発生物品の全体的な引き出し抵抗を下げる。さらに、冷却によりエアロゾル小滴が形成される。小滴のサイズは、エアロゾルを形成する分子のタイプ、温度の降下、経路内でのエアロゾルの速度および経路のサイズに依存する。ところが、捲縮したシートの不均一な分布は、実質的に物品ごとに変動することがあり、引き出し抵抗およびエアロゾル小滴のサイズの実質的な変動につながる。有利なことに、捲縮した波型形状のピッチ値が捲縮したウェブの幅全体にわたり変動するように連続ウェブを捲縮することにより、捲縮したウェブから形成された捲縮したシートの捲縮した波型形状は、捲縮したシートが集められ、エアロゾル発生物品で使用するためのロッドを形成する時に相互に重なり合う可能性が低い。結果的に、および有利なことに、捲縮したシートの分布および軸方向経路のサイズはより均一になる。さらに、有利なことに、引き出し抵抗値およびエアロゾル小滴のサイズの変動が低減されうる。
【0009】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書で使用される時、例えば加熱、燃焼または化学反応により、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。
【0010】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる基体を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0011】
本明細書に使用される「エアロゾル冷却要素」という用語は、大きな表面領域および所定の引き出し抵抗を有する要素を記述するために使用される。使用において、エアロゾル形成基体から放出される揮発性化合物によって形成されるエアロゾルは通過して過ぎ、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素によって冷却される。高引き出し抵抗フィルターおよびその他のマウスピースとは対照的に、エアロゾル冷却要素は、低引き出し抵抗を有する。また、エアロゾル発生物品内のチャンバーおよび空洞は、エアロゾル冷却要素であるとは見なされない。
【0012】
本明細書に使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。
【0013】
本明細書に使用される「捲縮した」という用語は、複数の波型形状を有するシートまたはウェブを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「波型形状」という用語は、波型形状フランクによって結合された交互の山および谷から形成された複数の実質的に平行な陵を意味する。これには、方形波プロフィール、正弦波プロフィール、三角波プロフィール、鋸波プロフィール、またはその任意の組み合わせを持つ波型形状を含むが、これに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される場合、「捲縮した波型形状」という用語は、捲縮したシートまたはウェブ上の波型形状を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「実質的に交互に配置」という用語は、少なくとも部分的にメッシュになった第一および第二のローラーの波型形状を意味する。これには、ローラーの一方または両方の波型形状が対称的または非対称的な配列が含まれる。ローラーの波型形状は、実質的に整列させてもよく、または少なくとも部分的にオフセットさせてもよい。第一または第二のローラーの1つ以上の波型形状の山は、第一および第二のローラーのうち他方の単一の波型形状の谷と交互に配置されうる。第一および第二のローラーのうち一方の実質的にすべての波型形状の谷がそれぞれ第一および第二のローラーのうち他方の単一の波型形状の山を受けるように、第一および第二のローラーの波型形状は交互に配置されることが好ましい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」という用語は、ウェブまたはシートの長さに沿って、またはそれと平行に延びる方向を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「幅」という用語は、ウェブまたはシートの長さと直角をなす方向、またはローラーの場合にはローラーの軸と平行な方向を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ピッチ値」という用語は、特定の波型形状の山の一方の側にある谷の間の横方向距離を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「変動する」および「異なる」という用語は、標準的な製造公差を超える偏差、特に相互に少なくとも5パーセント偏向する値を意味する。
【0021】
本発明の第二の態様によれば、エアロゾル発生物品の構成要素を製造する方法が提供されており、方法は、上述の方法に従い捲縮したウェブを製造する工程と、捲縮したウェブを集めて連続的なロッドを形成する工程と、連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素に切断する工程とを含み、それぞれのロッド状の構成要素が捲縮したウェブの切断部分から形成される捲縮したシートの集合体を持ち、捲縮したシートの捲縮した波型形状がロッド状の構成要素内の複数の軸方向経路を画定する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の一般的に円筒形の要素を示すために使用される。
【0023】
本明細書で使用される「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、ロッドの円筒形の軸に沿って、またはそれに平行して延びる方向を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「集合した」または「集合する」という用語は、たばこ材料シートが、巻き込まれるか、または他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮または収縮されていることを示す。
【0025】
本発明の第三の態様によれば、エアロゾル発生物品用の捲縮したウェブを製造するための装置が提供されており、装置は、第一のローラーおよび第二のローラーを備えた一組の捲縮ローラーを備え、そのそれぞれがその幅の少なくとも一部分にわたり波型であり、ここで、第一および第二のローラーは、第一のローラーの波型形状が第二のローラーの波型形状と実質的に交互に配置されるように配置されており、またここで、第一および第二のローラーの一方または両方の波型形状のピッチ値がローラーの幅全体にわたり変動する。
【0026】
上記の任意の実施形態において、大半の波型形状のピッチ値は、ローラーの幅にわたり実質的に同一であり、少数の波型形状(例えば1つまたは2つ)が波型形状のピッチ値がローラーの幅にわたり異なるように、実質的に異なるピッチ値を持つ場合がある。第一および第二のローラーの一方または両方の場合に、上記が当てはまる場合がある。
【0027】
好ましい実施形態で、第一および第二のローラーの波型形状の少なくとも10パーセントは、少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ。さらに好ましい実施形態で、第一および第二のローラーの波型形状の少なくとも40パーセントは、少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ。より好ましくは、第一および第二のローラーの波型形状の少なくとも70パーセントは、少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ。最も好ましくは、第一および第二のローラーの波型形状のすべてまたは実質的にすべてが、少なくとも一つの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ。これにより、捲縮したシートの集合体上の捲縮した波型形状が、相互にマッチして重なり合うというリスクがさらに低減される。
【0028】
上記の任意の実施形態において、第一および第二のローラーの波型形状のピッチ値は適切な任意の量としうる。実質的にすべての第一および第二のローラーの波型形状のピッチ値は、約0.5ミリメートル(mm)〜約1.7ミリメートル(mm)、好ましくは約0.7mm〜約1.5mm、および最も好ましくは約0.9mm〜約1.3mm変動する。こうすることが、ローラーがエアロゾル発生物品内に捲縮したシートを形成するために使用される時に特に満足できる引き出し抵抗値および均一性を提供することが分かっている。
【0029】
上記の任意の実施形態において、ローラーの幅全体にわたり変動するピッチ値を提供するために、少なくとも一部の第一および第二のローラーの波型形状がそれぞれ、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の振幅値とは異なる振幅値を持ちうる。こうした実施形態では、振幅値は適切な任意の量としうる。例えば、第一および第二のローラーの波型形状の振幅値は、約0.1mm〜約1.5mm、好ましくは約0.2mm〜約1mm、最も好ましくは約0.35mm〜約0.75mm変動する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「振幅値」という用語は、その山から最も深い直接隣接した谷の最も深い地点までの波型形状の高さを意味する。
【0031】
ローラーの幅にわたり異なるピッチ値を提供するために、別の方法として、またはそれに加えて、第一および第二のローラーの少なくとも一部の波型形状は、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の波型角度とは異なる波型角度を持ちうる。こうした実施形態では、波型角度は適切な任意の値としうる。例えば、第一および第二のローラーの波型形状の波型角度は、約30度〜約90度、好ましくは約40度〜約80度、より好ましくは約55度〜約75度変動しうる。
【0032】
本明細書で使用される「波型角度」という用語は、特定の波型形状の波型形状フランク間の角度を意味する。
【0033】
1つ以上の波型形状は、半径方向に対称的としうる。すなわち、波型形状の各フランクと半径方向との間の角度、すなわち「フランク角度」は同一であり、かつ波型角度の半分に等しくてもよい。別の方法として、1つ以上の波型形状は半径方向に非対称的である。すなわち、波型形状の両方のフランクのフランク角度は異なりうる。
【0034】
直接隣接した波型形状間の1つ以上の谷は、半径方向に対称的としうる。すなわち、直接隣接した波型形状の直接隣接したフランクと半径方向との間の角度は同一であり、かつ谷の角度の半分と等しくてもよい。別の方法として、1つ以上の直接隣接した波型形状間の谷は、半径方向に非対称的としうる。すなわち、谷を形成する直接隣接したフランクのフランク角度は異なりうる。
【0035】
波型角度が第一および第二のローラーの幅にわたり変動する場合、第一および第二のローラーの波型形状の振幅値は実質的に同一でもよく、または同様にローラーの幅全体にわたり変動してもよい。振幅値が第一および第二のローラーの幅にわたり変動する場合、第一および第二のローラーの波型形状の波型角度は実質的に同一でもよく、または同様にローラーの幅全体にわたり変動してもよい。
【0036】
いったん捲縮されると、ウェブは個別の捲縮したシートに切断されうる。切断の前に、捲縮したシートは集合され連続的なロッド形状に包まれてから、捲縮して集合したシートを含む個別のプラグに切断されることが好ましい。
【0037】
本発明の第四の態様によれば、エアロゾル発生物品用のエアロゾル冷却要素で、またはエアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体で使用するための捲縮したシートが提供されており、捲縮したシートは、長軸方向に延びる複数の実質的に平行な捲縮した波型形状を含み、ここで、捲縮した波型形状のピッチ値はシートの幅全体にわたり変動する。
【0038】
大半の捲縮した波型形状のピッチ値はシートの幅にわたり実質的に同一であり、少数の捲縮した波型形状(例えば1つまたは2つ)が捲縮した波型形状のピッチ値がシートの幅にわたり異なるように、実質的に異なるピッチ値を持つ場合がある。
【0039】
好ましい実施形態で、少なくとも10パーセントの捲縮した波型形状は少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、好ましくは、少なくとも50パーセントの捲縮した波型形状が少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、より好ましくは、少なくとも70パーセントの捲縮した波型形状が少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持ち、最も好ましくは、実質的にすべての捲縮した波型形状が少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状のピッチ値とは異なるピッチ値を持つ。
【0040】
上記の任意の実施形態において、捲縮した波型形状のピッチ値は適切な任意の量としうる。捲縮した波型形状のピッチ値は、約0.5mm〜約1.7mm、好ましくは約0.7mm〜約1.5mm、最も好ましくは約0.9mm〜約1.3mm変動することが好ましい。こうすることが、捲縮したシートがエアロゾル発生物品内で使用される時、特に満足できる引き出し抵抗値および均一性を提供することが分かっている。
【0041】
上記の任意の実施形態において、シートの幅全体にわたり変動するピッチ値を提供するために、少なくとも一部の捲縮した波型形状のそれぞれは、少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状の振幅値とは異なる振幅値を持ちうる。こうした実施形態では、振幅値は適切な任意の量としうる。例えば、捲縮した波型形状の振幅値は、約0.1mm〜約1.5mm、好ましくは約0.2mm〜約1mm、最も好ましくは約0.35mm〜約0.75mm変動する。
【0042】
シートの幅にわたり異なるピッチ値を提供することとは別の方法として、またはそれに加えて、 少なくとも一部の捲縮した波型形状のそれぞれは、少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状の波型角度とは異なる波型角度を持ちうる。こうした実施形態では、波型角度は適切な任意の値としうる。例えば、捲縮した波型形状の波型角度は、約30度〜約90度、好ましくは約40度〜約80度、より好ましくは約55度〜約75度変動しうる。
【0043】
波型角度がシートの幅全体にわたり変動する場合、捲縮した波型形状の振幅値は実質的に同一でもよく、または同様にシートの幅全体にわたり変動してもよい。振幅値がシートの幅全体にわたり変動する場合、捲縮した波型形状の波型角度は実質的に同一でもよく、または同様にシートの幅全体にわたり変動してもよい。
【0044】
上記の任意の実施形態において、捲縮したシートは適切な任意の材料を含みうる。例えば、捲縮したシートは、金属箔、高分子シート、紙、均質化したたばこ材料、またはその組み合わせを含む群から選択されるシート材料を含みうる。好ましい実施形態で、捲縮したシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸、酢酸セルロース、およびアルミ箔を含む群から選択されるシート材料を含む。捲縮したシートは、単一層の材料から、または複数の層から形成されうる。捲縮したシートは積層されうる。
【0045】
本発明の第五の態様によれば、エアロゾル発生物品用のエアロゾル冷却要素が提供されており、 エアロゾル冷却要素は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを備え、ここで、捲縮したシートの捲縮した波型形状は、ロッド内の複数の軸方向経路を画定する。
【0046】
本発明の第五の態様によれば、エアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体が提供されており、エアロゾル形成基体は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを備え、ここで、捲縮した波型形状はロッド内の複数の軸方向経路を画定する。
【0047】
本発明の第七の態様によれば、上述の任意の実施形態によるエアロゾル冷却要素、および上述の任意の実施形態によるエアロゾル形成基体の一方または両方を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。
【0048】
エアロゾル冷却要素は、ロッドを通した空気の通過に対して低引き出し抵抗を提供することが好ましい。エアロゾル冷却要素はエアロゾル発生物品の引き出し抵抗に実質的に影響を及ぼさないことが好ましい。従って、エアロゾル冷却要素の上流端からエアロゾル冷却要素の下流端へは低い圧力降下があることが好ましい。これを達成するには、軸方向の空隙率は50パーセントを超えること、およびエアロゾル冷却要素を貫く気流経路は比較的制約されていないことが好ましい。エアロゾル冷却要素の軸方向の空隙率は、エアロゾル冷却要素を含む部分の位置での、エアロゾル冷却要素を形成する材料の断面積とエアロゾル発生物品の内部断面積の比によって定義されうる。
【0049】
「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品の要素または構成要素の相対的位置を描写するために使用されうる。簡単にするために、本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エアロゾルがロッドを通して引き出される方向に関連して、エアロゾル発生物品のロッドに沿った相対位置を意味する。
【0050】
エアロゾル冷却要素が広い総表面積を持つことが望ましい。従って、好ましい実施形態で、エアロゾル冷却要素は、捲縮した後でひだ付け、集合、または折り畳みをして経路が形成された薄い材料のシートによって形成される。所定量の要素内での折り畳み、捲縮、またはひだ付けが多いほど、エアロゾル冷却要素の総表面積は広くなる。好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体から形成される。一部の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約250マイクロメートルの厚さを持つシートから形成されうる。一部の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、長さ1ミリメートル当たり約300平方ミリメートル〜長さ1ミリメートル当たり約1000平方ミリメートルの総表面積を持つ。言い換えれば、軸方向の長さ1ミリメートルについて、エアロゾル冷却要素は約300平方ミリメートル〜約1000平方ミリメートルの表面積を持つ。総表面積は、長さ1ミリメートル当たり約500平方ミリメートルであることが好ましい。
【0051】
エアロゾル冷却要素は、1ミリグラム当たり約10平方ミリメートル〜1ミリグラム当たり約100平方ミリメートルの比表面積を持つ材料から形成されうる。一部の実施形態では、比表面積は1ミリグラム当たり約35平方ミリメートルとしうる。
【0052】
比表面積は、周知の幅および厚さを持つ材料を用いることにより決定されうる。例えば、材料は、平均厚さ50マイクロメートルを持ち、ばらつきが±2マイクロメートルであるPLA材料としうる。材料の幅も周知の場合(例えば、約200mm〜約250mm)、比表面積および密度が計算されうる。
【0053】
一定の割合の水蒸気を含むエアロゾルがエアロゾル冷却要素を介して引き出される時、いくらかの水蒸気はエアロゾル冷却要素により画定される軸方向経路の表面上で凝縮してもよい。このような場合において、凝縮された水の小滴がエアロゾル冷却要素を形成する材料の中に吸収されるのではなく、エアロゾル冷却要素の表面上で小滴の形態で維持されることが好ましい。従って、エアロゾル冷却要素を形成する材料が、実質的に非空隙性である、または実質的に水に対して非吸収性である材料であることが好ましい。
【0054】
エアロゾル冷却要素は、熱伝達によって要素を介して引き出されるエアロゾルの流れの温度を冷却するように働いてもよい。エアロゾルの成分は、エアロゾル冷却要素および緩い熱エネルギーと相互作用するだろう。
【0055】
エアロゾル冷却要素は、エアロゾルの流れからの熱エネルギーを消費する相転移を受けることによって要素を介して引き出されるエアロゾルの流れの温度を冷却するように働いてもよい。例えば、エアロゾル冷却要素を形成する材料は、熱エネルギーの吸収を必要とする融解またはガラス転移などの相転移を起こしうる。エアロゾルがエアロゾル冷却要素に入る温度でこうした吸熱反応を起こすように要素が選択される場合には、反応はエアロゾル流からの熱エネルギーを消費することになる。
【0056】
エアロゾル冷却要素は、エアロゾルの流れからの水蒸気などの成分の凝縮を生じさせることによって要素を介して引き出されるエアロゾルの流れの認識温度を低下させるように働いてもよい。凝縮のため、エアロゾルの流れは、エアロゾル冷却要素を介して通過した後により乾燥していてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル冷却要素を介して引き出されるエアロゾルの流れの水蒸気含有量は、約20%〜約90%の間に低下されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、エアロゾルの流れの温度は、それがエアロゾル冷却要素を介して引き出されるにつれ、摂氏10度を超える温度まで低下されてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾルの流れの温度は、それがエアロゾル冷却要素を介して引き出されるにつれ、摂氏15度を超える、または摂氏20度を超える温度まで低下されてもよい。
【0058】
上記のように、エアロゾル冷却要素は、捲縮され、ひだをつけられ、集められまたは折り畳まれた適切な材料のシートから、複数の軸方向に延びる経路を定義する要素に形成されてもよい。このようなエアロゾル冷却要素の断面特性は、ランダムに方向付けられている経路を示してもよい。エアロゾル冷却要素は、その他の手段によって形成されてもよい。例えば、エアロゾル冷却要素は、軸方向に延びる管の束から形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、適切な材料の押出、成形、ラミネーション、注射または寸断によって形成されてもよい。
【0059】
エアロゾル冷却要素は、軸方向に延びる経路を含む、または位置付ける外側管またはラッパーを含んでもよい。例えば、ひだをつけられ、集められまたは折り畳まれた平坦なウェブ材料は、ラッパー材料、例えばプラグラッパーで包まれエアロゾル冷却要素を形成してもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ロッド形状の中に集められ、およびラッパー、例えば濾紙のラッパーによって綴じられた捲縮された材料のシートを含む。
【0060】
一部の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、約7mm〜約28mmの長さを持つロッドの形態で形成される。例えば、エアロゾル冷却要素は約18mmの長さを持ちうる。一部の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、実質的に円形断面および約5mm〜約10mmの直径を持ちうる。例えば、エアロゾル冷却要素は約7mmの直径を持ちうる。
【0061】
一部の実施形態では、エアロゾル含水量は、エアロゾル冷却要素を通して引き出されるにつれて減少する。
【0062】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品としうる。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の部品を形成する搭載型の加熱手段を備えてもよく、または別個のエアロゾル発生装置の部品を形成する外部ヒーターとの相互作用をするように構成されてもよい。
【0063】
エアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの加熱式喫煙物品と似たものとしうる。エアロゾル発生物品は、たばこを含みうる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとしうる。エアロゾル発生物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であり、補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えるものとしうる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。
【0065】
均質化したたばこ材料は、シートの形態としうる。均質化したたばこ材料は、乾燥質量で5%より多いエアロゾル形成体含有量を持ちうる。別の方法では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5〜約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎の一方または両方を粉砕またはその他の方法で細かく砕くことにより得られる粒子状のたばこを凝集させることによって形成されうるか、あるいは、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取扱いおよび輸送中に形成されるたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物の1つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含みうる。
【0066】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体でもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0067】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち1つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にすることも、または適切な容器またはカートリッジを提供することもできる。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を持ちうる。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0068】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶ける。
【0069】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。固体のエアロゾル形成基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の少なくとも部品は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体から形成される。こうした実施形態では、捲縮したシートの集合体は、均質化したたばこ材料のシートを備えうる。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の少なくとも一部は、上述の任意の実施形態による捲縮したシートの集合体の形態で担体の表面上に沈着される。
【0070】
エアロゾル発生物品の要素は、適切なラッパー、例えば紙巻たばこ用紙といった手段によって組み立てられることが好ましい。紙巻たばこ用紙は、エアロゾル発生物品の構成要素をロッドの形態に包装するための適切な任意の材料としうる。物品が組み立てられてそれらをロッド内の位置に保持する時、紙巻たばこ用紙は、エアロゾル発生物品の構成要素を保持し、それを整列させることが好ましい。適切な材料は、当業界で周知である。
【0071】
エアロゾル冷却要素が、乾燥質量で5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量と水を有する均質化したたばこ材料から形成されるかまたはそれを含むエアロゾル形成基体を備える、加熱式エアロゾル発生物品の構成部分であることが特に有利な場合がある。例えば、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5〜約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。こうしたエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、ユーザーによって、特に高い温度を持つものと考えられる場合があり、また広い表面積、低い引き出し抵抗のエアロゾル冷却要素を使用することで、エアロゾルの認識温度をユーザーにとって容認可能なレベルに減少させうる。
【0072】
エアロゾル発生物品は、形状において実質的に円筒状でもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生装置内の気流方向に実質的に平行となるように、エアロゾル発生装置に受けられうる。エアロゾル冷却要素は、実質的に細長くてもよい。
【0073】
エアロゾル発生物品の全長は、およそ30mm〜およそ100mmとしうる。エアロゾル発生物品の外径は、およそ5mm〜およそ12mmとしうる。
【0074】
エアロゾル発生物品は、フィルターまたはマウスピースを備えうる。フィルターは、エアロゾル発生物品の下流端に位置しうる。フィルターは、酢酸セルロースフィルタープラグとしうる。フィルターは、一つの実施形態で長さおよそ7mmとしうるが、およそ5mm〜およそ10mmの長さを持ちうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に位置するスペーサー要素を備えうる。
【0075】
一つの実施形態で、エアロゾル発生物品の全長はおよそ45mmである。エアロゾル発生物品の外径は、およそ7.2mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の長さは、およそ10mmとしうる。別の方法として、エアロゾル形成基体の長さは、およそ12mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm〜およそ12mmとしうる。
【0076】
本発明の一つの実施形態に関連して説明した特徴は、本発明のその他の実施形態にも適用されうる。
【0077】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、本発明による捲縮したウェブを製造するための装置の概略側面図である。
図2図2は、図1の装置の第一および第二のローラーの断面図である。
図3図3は、第一のローラーの第一の実施形態について図2の詳細Aの拡大図である。
図4図4は、第二のローラーの第一の実施形態について図2の詳細Bの拡大図である。
図5図5は、図3および4のローラーを使用して形成された捲縮したシートの第一の実施形態の一部分の断面図である。
図6図6は、第一のローラーの第二の実施形態について図2の詳細Aの拡大図である。
図7図7は、第二のローラーの第二の実施形態について図2の詳細Bの拡大図である。
図8図8は、図6および7のローラーを使用して形成された捲縮したシートの第二の実施形態の一部分の断面図である。
図9A図9Aは、本発明によるエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
図9B図9Bは、図9Aの線9B−9Bで切り取った図9Aのエアロゾル発生物品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は捲縮したウェブを製造するための装置100を示す。装置100は、他にも構成要素はあるが、第一のローラーおよび第二のローラーを含む一組の捲縮ローラー102を備え、それぞれがその幅にわたり波型である。一組の捲縮ローラー102は、第一のローラーの波型形状が第二のローラーの波型形状と実質的に交互に配置されるように配置される。装置100はまた、横方向シート切断機構104と、ポリ乳酸、紙、または均質化したたばこ材料のウェブなどのシートウェブ材料108のボビン106と、駆動および制動機構110と、引張機構112を備える。制御電子回路114は動作時に装置100を制御するために提供されている。
【0080】
使用時、駆動および制動機構110は、ウェブ108を長軸方向に、ボビン106から一組の捲縮ローラー102に、ウェブを要求される幅に切断する横方向ウェブ切断機構104を経由して供給する。引張機構112によって、ウェブ108が一組の捲縮ローラー102に望ましい張力で供給されるように確保される。捲縮ローラー102は、ウェブ108を第一および第二のローラーの交互に配置された波型形状間に強制し、複数の長軸方向に延びる捲縮した波型形状をウェブ108に適用する。このように、ウェブ108は捲縮ローラー102によって変形され、捲縮したウェブ116を形成する。次に、捲縮したウェブ116は、下記に考察する通り、一つに集められ、エアロゾル冷却要素またはエアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体を形成するために使用されうる。例えば、捲縮したウェブ116は、一つに集められて連続的なロッドを形成することができ、その後、捲縮したウェブの切断部分から形成された捲縮したシートの集合体をそれぞれ持つ、複数のロッド状の構成要素に切断される。
【0081】
図2は、一組の捲縮ローラー102の断面図を示す。一組の捲縮ローラー102は、第一のローラー120および第二のローラー122を備え、そのそれぞれが波型形状ゾーン124内のその幅1201にわたり波型である。この例で、波型形状ゾーン124は、各ローラーの周囲全体の周りに延び、また実質的に各ローラーの幅1201全体に沿って延びる。別の方法として、ローラーの一方または両方は、その円周の一部分のみの周りに、またはその長さの一部分のみに沿って、またはその円周の一部分のみの周りにかつその長さの一部分のみに沿って、その幅にわたり波型とすることもできる。第一および第二のローラー120、122は、その軸が実質的に平行であるように、かつその波型形状が実質的に交互に配置されるように、配置される。第一および第二のローラー120、124の軸間の距離1202は、第一および第二のローラーの波型形状120、122間の隙間を、従って一組のローラー102間を通過するウェブに適用される捲縮した波型形状の振幅を制御するように制御されうる。
【0082】
図3は、第一のローラー300の第一の実施形態の波型部分の拡大図を示す。図示した通り、第一のローラー300の表面上には、波型形状フランク316によって結合されている交互に配置された山312と谷314から形成された複数の波型形状310がある。波型形状310のピッチ値は、第一のローラー300の幅全体にわたり変動する。この例で、第一のローラー300の波型形状ゾーンは、異なる波型形状の反復パターンから形成される。反復パターンは、波型形状3個分の幅であり、ピッチ値3106を持つ第一の波型形状3101と、それに続くピッチ値3107を持つ第二の波型形状3102と、それに続くピッチ値3108を持つ第三の波型形状3103から成る。従って、反復パターンは、第一のピッチ値3106、第二のピッチ値3107および第三のピッチ値3108の和に等しい幅3105を持つ。ピッチ値3106、3107および3108は異なる。従って、反復パターン内のそれぞれの波型形状のピッチ値は、それぞれの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なり、かつ波型形状のピッチ値は第一のローラー300の幅全体にわたり変動する。代替的な例では、波型形状ゾーンは、第一の波型形状が第一、第二、第一、第三のパターンで第二および第三の波型形状と交互になるように、異なる波型形状の交互パターンから形成されうる。
【0083】
この例で、3つの異なる波型形状3101〜3103は、実質的に同一の振幅値3110を持つ。ピッチ値を変動させるために、波型形状3101〜3103の波型角度は異なる。特に、第一の波型形状3101の波型角度3121は、第二の波型形状3102の波型角度3122よりも大きく、さらにこれは第三の波型形状3103の波型角度3123よりも大きい。従って、それぞれの波型形状の波型角度は、それぞれの直接隣接した波型形状の波型角度とは異なる。
【0084】
所定の波型形状の波型角度は、その波型形状フランク間の角度によって画定される。波型形状フランクは、ローラーの半径方向から同じ角度で、または異なる角度で配置されうる。第一のローラーのこの例では、それぞれの波型形状が半径方向のその山について対称的であるように、それぞれの波型形状の波型形状フランクと半径方向によって形成される角度、すなわち「フランク角度」は実質的に同一である。従って、それぞれの波型形状について、両方のフランク角度は、波型角度のおよそ半分に等しい。波型角度3121、3122および3123が異なるため、波型形状3101、3102および3103の3つのフランク角度3131、3133および3135も異なる。その結果、直接隣接した波型形状間の谷は半径方向について非対称的である。
【0085】
図4は、第二のローラー400の第一の実施形態の波型部分の拡大図を示す。第一のローラー300と同様、第二のローラー400の表面上には、波型形状フランク416によって結合されている交互に配置された山412と谷414から形成された複数の波型形状410がある。波型形状410のピッチ値は、第二のローラー400の幅全体にわたり変動する。第一のローラー300と同様、第二のローラー400の波型形状ゾーンは、ピッチ値4106を持つ第一の波型形状4101と、それに続くピッチ値4107を持つ第二の波型形状4102と、それに続くピッチ値4108を持つ第三の波型形状4103とから成る反復パターンから形成されている。従って、反復パターンは、第一のピッチ値4106、第二のピッチ値4107、および第三のピッチ値4108の和に等しい幅4105を持つ。ピッチ値4106、4107および4108は異なる。従って、反復パターン内のそれぞれの波型形状のピッチ値は、それぞれの直接隣接した波型形状のピッチ値とは異なり、かつ波型形状のピッチ値は第二のローラー400の幅全体にわたり変動する。代替的な例では、波型形状ゾーンは、第一の波型形状が第一、第二、第一、第三のパターンで第二および第三の波型形状と交互になるように、異なる波型形状の交互パターンから形成されうる。
【0086】
第一および第二のローラー300、400の両方の反復パターンの幅3105、4105は実質的に同一である。これにより、第一および第二のローラー300、400の波型形状が整列されるようになる。
【0087】
第一のローラー300と同様に、第二のローラー400の異なる3つの波型形状4101〜4103は、実質的に同一の振幅値4110を持つ。この例で、振幅値4110は、第一のローラー300の波型形状の振幅値3110と実質的に等しいが、これは必要不可欠ではない。ピッチ値を変動させるために、波型形状4101〜4103の波型角度は異なる。特に、第一の波型形状4101の波型角度4121は、第二の波型形状4102の波型角度4122よりも大きく、さらにこれは第三の波型形状4103の波型角度4123よりも大きい。従って、それぞれの波型形状の波型角度は、それぞれの直接隣接した波型形状の波型角度とは異なる。
【0088】
所定の波型形状の波型角度は、その波型形状フランク間の角度によって画定される。波型形状フランクは、ローラーの半径方向から同じ角度で、または異なる角度で配置されうる。第二のローラーのこの例では、それぞれの波型形状が半径方向にその山について非対称的であるように、それぞれの波型形状の2つのフランク角度は異なる。図4に示す通り、第一の波型形状4101の波型角度4121は、異なるフランク角度4131と4132から形成され、第二の波型形状4102の波型角度4122は異なるフランク角度4133と4134から形成され、第三の波型形状4103の波型角度4123は異なるフランク角度4135と4136から形成される。この例で、所定の波型形状のフランク角度は異なるものの、直接隣接した波型形状の直接隣接したフランクのフランク角度は同一である。その結果、直接隣接した波型形状間の谷は半径方向について対称的である。これにより、第二のローラー400上の波型形状の谷が、半径方向について対称的な第一のローラー300上にある波型形状の山と交互に配置されるようになる。さらに、第一および第二のローラー上にある向かい合った波型形状フランクのフランク角度は、第一および第二のローラー300、400の向かい合った波型形状フランク間の隙間が実質的に一定となるように実質的に同一であることが好ましい。これにより、十分に画定された捲縮した波型形状および実質的に一定の公称厚さを持つ、捲縮したウェブの形成が許容される。
【0089】
一つの特定の実施形態では、各パラメータは次の値を持つ。
【表1】
【表2】
【0090】
図5は、図3および4の第一および第二のローラー300、400を使用して形成された捲縮したシート500の第一の実施形態の一部分の断面図である。捲縮したシート500は、公称厚さ5001と、シート500の長さに沿って(図5の平面と直角をなす方向に)延びる複数の実質的に平行な捲縮した波型形状510とを持つ。捲縮した波型形状510は、波型形状フランク516によって結合された交互の山512と谷514から形成される。捲縮した波型形状510の形状および寸法は、第一および第二のローラー300、400の形状および寸法に対応する。特に、山512の形状は、第二のローラー400の波型形状の山の形状に対応し、また谷514の形状は、第一のローラー300の波型形状の山の形状に対応する。
【0091】
従って、第一および第二のローラーの波型形状と同様、捲縮したシート500の捲縮した波型形状510は、ピッチ値5106を持つ第一の捲縮した波型形状5101と、それに続くピッチ値5107を持つ第二の捲縮した波型形状5102と、それに続くピッチ値5108を持つ第三の捲縮した波型形状5103から成る反復パターンで配置される。従って、反復パターンは、第一のピッチ値5106、第二のピッチ値5107および第三のピッチ値5108の和に等しい幅5105を持ち、また第一および第二のローラー300、400の波型形状のパターン幅と等しい。ピッチ値5106、5107および5108は互いに異なる。従って、それぞれの捲縮した波型形状のピッチ値は、それぞれの直接隣接した捲縮した波型形状のピッチ値とは異なり、かつ捲縮した波型形状のピッチ値はシート500の幅全体にわたり変動する。
【0092】
第一および第二のローラー300、400の波型形状と同様に、シート500の異なる3つの波型形状5101〜5103は、実質的に同一の振幅値5110を持つ。ところが、異なる3つの捲縮した波型形状510の波型角度5121〜5123は異なる。山512および谷514の形状は、それぞれ第二および第一のローラー300、400の山の形状に対応するため、それぞれの捲縮した波型形状510はその山について非対称的であり、また直接隣接した捲縮した波型形状間の谷はそれぞれ対称的である。この例では、捲縮した波型形状5101〜5103の波型角度5121〜5123およびフランク角度5131、5132、5133、5134、5135および5136は、第二のローラー400の波型形状のものと同一である。
【0093】
捲縮した波型形状のピッチ値はシート500の幅全体にわたり変動するため、捲縮したシートの捲縮した波型形状は、捲縮したシート500が集められてエアロゾル発生物品で使用するためのロッドを形成する時に相互に重なり合う可能性が低い。その結果、ロッド内に集められた時に捲縮した波型形状により形成される軸方向経路は、ロッドの領域全体でサイズおよび分布がより均一である。
【0094】
一つの特定の実施形態では、各パラメータは次の値を持つ。
【表3】
【0095】
図6は、第一のローラー600の第二の実施形態の波型部分の拡大図を示す。図示した通り、第一のローラー600の表面上には、波型形状フランク616によって結合されている交互に配置された山612と谷614から形成された複数の波型形状610がある。波型形状610のピッチ値は、第一のローラー600の幅全体にわたり変動する。この例で、第一のローラー600の波型形状ゾーンは、異なる波型形状の反復パターンから形成される。反復パターンは、波型形状4個分の幅であり、ピッチ値6106を持つ第一の波型形状6101と、それに続くピッチ値6107を持つ第二の波型形状6102と、それに続くピッチ値6108を持つ第三の波型形状6103と、それに続くピッチ値6109を持つ第四の波型形状6104とから成る。従って、パターンは、第一のピッチ値6106、第二のピッチ値6107、第三のピッチ値6108および第四のピッチ値6109の和に等しい幅6105を持つ。代替的な例では、波型形状ゾーンは、第一の波型形状が第一、第二、第一、第三、第一、第四のパターンで第二、第三および第四の波型形状と交互になるように、異なる波型形状の交互パターンから形成されうる。
【0096】
この例で、異なる4つの波型形状6101〜6104の波型角度6121〜6124は実質的に同一である。それぞれの波型形状の山の両側のフランク角度6131も実質的に同一であり、波型角度のおよそ半分に等しい。
【0097】
異なる4つの波型形状6101〜6104の波型角度は実質的に同一であるが、振幅値は違う。第一、第二、第三、および第四の波型形状6101〜6104は、それぞれ振幅値6111〜6114を持つ。前述の通り、振幅値という用語は、その山から最も深い直接隣接した谷の最も深い地点までの波型形状の高さを意味する。第一のローラー600については、ローラー600の中心から波型形状610の山612までの半径方向距離は、ローラーの幅にわたり実質的に同一である。ところが、ローラーの中心から波型形状610の谷614までの半径方向距離、すなわち谷614の「深さ」はローラーの幅600全体にわたり変動する。特に、第二および第三の波型形状6102および6103の振幅値6112、6113およびピッチ値6107、6108が実質的に同一であるのと同様に、第一および第四の波型形状6101および6104の振幅値6111、6114およびピッチ値6106、6109が実質的に同一であるように谷614の深さは変動する。第一および第四の振幅値6111、6114およびピッチ値6106、6109は、第二および第三の振幅値6112、6113およびピッチ値6107、6108よりも大きい。従って、それぞれの波型形状の振幅値は、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の振幅値とは異なる。このように、振幅値、従って波型形状のピッチ値は、第一のローラー600の幅全体にわたり変動する。
【0098】
図7は、第二のローラー700の第二の実施形態の波型部分の拡大図を示す。第一のローラー600と同様、第二のローラー700の表面上には、波型形状フランク716によって結合されている交互に配置された山712と谷714から形成された複数の波型形状710がある。波型形状710のピッチ値は、第二のローラー700の幅全体にわたり変動する。この例で、第二のローラー700の波型形状ゾーンは、異なる波型形状の反復パターンから形成される。反復パターンは、波型形状4個分の幅であり、第一のピッチ値7106を持つ第一の波型形状7101と、それに続くピッチ値7107を持つ第二の波型形状7102と、それに続くピッチ値7108を持つ第三の波型形状7103と、それに続くピッチ値7109を持つ第四の波型形状7104から成る。従って、パターンは、第一のピッチ値7106、第二のピッチ値7107、第三のピッチ値7108および第四のピッチ値7109の和に等しい幅Pを持つ。代替的な例では、波型形状ゾーンは、第一の波型形状が第一、第二、第一、第三、第一、第四のパターンで第二、第三および第四の波型形状と交互になるように、異なる波型形状の交互パターンから形成されうる。
【0099】
この例で、異なる4つの波型形状7101〜7104の波型角度7121〜7124は実質的に同一である。それぞれの波型形状の山の両側のフランク角度7131も実質的に同一であり、波型角度のおよそ半分に等しい。
【0100】
異なる4つの波型形状7101〜7104の波型角度は実質的に同一であるが、振幅値は違う。第一、第二、第三、および第四の波型形状7101〜7104は、それぞれ振幅値7111〜7114を持つ。前述の通り、振幅値という用語は、その山から最も深い直接隣接した谷の最も深い地点までの波型形状の高さを意味する。第一のローラー600とは異なり、第二のローラー700の中心から波型形状710の谷714までの半径方向距離、すなわち谷714の「深さ」は、ローラーの幅にわたり実質的に同一であるが、ローラーの中心から波型形状710の山712までの半径方向距離は、ローラーの幅全体にわたり変動する。
【0101】
特に、ローラーの中心から波型形状710の山712までの半径方向距離は、第一の波型形状7101の振幅値7111が、第二の波型形状7102の振幅値7112よりも大きく、またそれが第三の波型形状7103の振幅値7113よりも大きくなるような距離である。第四の波型形状7104の振幅値7114は、第二の波型形状7102の振幅値7112と実質的に同一である。その結果、第一の波型形状7101のピッチ値7106は第二の波型形状7102のピッチ値7107よりも大きく、これは第四の波型形状7104のピッチ値7109と同一であり、その両方は第三の波型形状7103のピッチ値7108よりも大きい。従って、それぞれの波型形状の振幅値は、少なくとも一つの直接隣接した波型形状の振幅値とは異なる。このように、振幅値は、従って波型形状のピッチ値は、第二のローラー700の幅全体にわたり変動する。
【0102】
第一および第二のローラー600、700の両方の反復パターンの幅は実質的に同一であることが好ましい。これにより、第一および第二のローラー600、700の波型形状が整列されるようになる。さらに、波型形状が交互に配置され、かつ第一および第二のローラー600、700の向かい合った波型形状フランク間の隙間が実質的に一定となるように、両方のローラーの波型形状の波型角度およびフランク角度もまた同一であることが好ましい。これにより、十分に画定された捲縮した波型形状および実質的に一定の公称厚さを持つ、捲縮したウェブの形成が許容される。
【0103】
一つの特定の実施形態では、各パラメータは次の値を持つ。
【表4】
【表5】
【0104】
図8は、図6および7の第一および第二のローラー600、700を使用して形成された捲縮したシート800の第二の実施形態の一部分の断面図である。捲縮したシート800は、公称厚さ8001と、シート800の長さに沿って(図8の平面と直角をなす方向に)延びる複数の実質的に平行な捲縮した波型形状810とを持つ。捲縮した波型形状810は、波型形状フランク816によって結合された交互の山812と谷814から形成される。捲縮した波型形状810の形状および寸法は、第一および第二のローラー600、700の形状および寸法に対応する。特に、山812の形状は、第二のローラー700の波型形状の山の形状に対応し、また谷814の形状は、第一のローラー600の波型形状の山の形状に対応する。
【0105】
従って、第一および第二のローラーの波型形状と同様、捲縮したシート800の捲縮した波型形状810は、異なる4つの捲縮した波型形状の反復パターンで配置される。反復パターンは、捲縮した波型形状4個分の幅であり、ピッチ値8106を持つ第一の捲縮した波型形状8101と、それに続くピッチ値8107を持つ第二の捲縮した波型形状8102と、それに続くピッチ値8108を持つ第三の捲縮した波型形状8103と、それに続くピッチ値8109を持つ第四の捲縮した波型形状8104から成る。従って、パターンは、第一のピッチ値8106、第二のピッチ値8107、第三のピッチ値8108および第四のピッチ値8109の和に等しい幅8105を持ち、また第一および第二のローラー600、700の波型形状のパターン幅と等しい。代替的な例では、波型形状ゾーンは、第一の波型形状が第一、第二、第一、第三、第一、第四のパターンで第二、第三および第四の波型形状と交互になるように、異なる波型形状の交互パターンから形成されうる。
【0106】
この例では、異なる4つの捲縮した波型形状8101〜8104は、互いに実質的に同一の波型角度8121およびフランク角度8131を持つ。それぞれの捲縮した波型形状の山の両側のフランク角度8131も実質的に互いに同一であり、波型角度8121のおよそ半分に等しい。
【0107】
異なる4つの捲縮した波型形状8101〜8104の波型角度は実質的に同一であるが、振幅値は違う。第一、第二、第三、および第四の捲縮した波型形状8101〜8104は、それぞれ振幅値8111〜8114を持つ。第一の捲縮した波型形状8101の振幅値8111は、第二の捲縮した波型形状8102の振幅値8112よりも大きく、これは、第三の捲縮した波型形状8103の振幅値8113よりも大きい。第四の捲縮した波型形状8104の振幅値8114は、第二の捲縮した波型形状8102の振幅値8112と実質的に同一である。その結果、第一の捲縮した波型形状8101のピッチ値8106は、第二の捲縮した波型形状8102のピッチ値8107よりも大きく、これは第四の捲縮した波型形状8104のピッチ値8109と同一であり、その両方は第三の捲縮した波型形状8103のピッチ値8108よりも大きい。従って、それぞれの捲縮した波型形状の振幅値は、少なくとも一つの直接隣接した捲縮した波型形状の振幅値とは異なる。このように、振幅値は、従って捲縮した波型形状のピッチ値は、シートの幅全体にわたり変動する。その結果、捲縮したシート800の捲縮した波型形状は、集められてエアロゾル発生物品で使用するためのロッドを形成する時に相互に重なり合う可能性が低い。その結果、ロッド内で捲縮した波型形状により形成される軸方向経路は、ロッドの領域全体にわたりサイズおよび分布がより均一である。
【0108】
一つの特定の実施形態では、各パラメータは次の値を持つ。
【表6】
【0109】
図9Aおよび9Bは、実施形態によるエアロゾル発生物品900を図示したものである。エアロゾル発生物品900は、エアロゾル形成基体920と、中空のセルロースアセテートチューブ930と、エアロゾル冷却要素940と、マウスピースフィルター950という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙960によって組み立てられ、ロッド910を形成する。ロッド910は、口側の端912と、口側の端914に対してロッド910の反対側の端に位置する遠位端914とを持つ。口側の端912と遠位端914との間に位置する要素は、口側の端912の上流に、または代わりに遠位端914の下流にあると記述することができる。
【0110】
組み立てられた時、ロッド910は長さ約45ミリメートルであり、約7ミリメートルの直径を持つ。
【0111】
エアロゾル形成基体920は、中空管930の上流に位置し、ロッド910の遠位端914に延びる。一つの実施形態では、エアロゾル形成基体920は、フィルター紙(図示せず)で包まれてプラグを形成する捲縮したキャストリーフたばこの束を含む。キャストリーフたばこは、エアロゾル形成添加物としてのグリセリンを含む添加物を含む。別の実施形態では、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。
【0112】
中空のアセテートチューブ930は、エアロゾル形成基体920のすぐ下流に位置し、酢酸セルロースから形成される。チューブ930の一つの機能は、エアロゾル形成基体920を発熱体と接触できるようにロッド910の遠位端914に向けて位置付けることである。チューブ930は、発熱体がエアロゾル形成基体920に挿入された時に、エアロゾル形成基体920がロッド910に沿ってエアロゾル冷却要素940方向に強制されないようにする役目を果たす。チューブ930はまた、エアロゾル形成基体920からエアロゾル冷却要素940に間隔を開けるスペーサー要素としても働く。
【0113】
エアロゾル冷却要素940は、約18mmの長さと約7mmの直径を持つ。この例では、エアロゾル冷却要素940は、シートの長軸方向に延びる複数の実質的に平行な捲縮した波型形状を持つ、捲縮したシートの集合体942から形成されるが、ここで、捲縮した波型形状のピッチ値はシートの幅全体にわたり変動し、またここで、捲縮した波型形状は、エアロゾル冷却要素940の長さに沿って延びる複数の軸方向経路944を画定する。一つの実施形態では、エアロゾル冷却要素940は、公称厚さ50マイクロメートルを持つポリ乳酸シートから形成される。
【0114】
空隙率は、本明細書では、本明細書で考察したものと一致するエアロゾル冷却要素を含むロッド内の満たされていないスペースの測定手段として定義される。例えば、ロッド910の直径が要素940によって50パーセント満たされていない場合、空隙率は50パーセントとなる。同様に、内径が完全に満たされていない場合にはロッドは100パーセントの空隙率を持ち、完全に満たされている場合には0パーセントの空隙率を持つことになる。空隙率は、周知の方法を使用して計算されうる。エアロゾル冷却要素940が厚さ(t)および幅(w)を持つ材料シートから形成される時、シートの端により提示される断面積は幅に厚さを掛けたものとなる。50マイクロメートルの厚さおよび230ミリメートルの幅を持つシート材料についての特定の実施形態では、断面積はおよそ1.15×10^−5平方メートルである(これは第一の面積と表示されうる)。材料を最終的に囲むロッドの直径を7mmと想定すると、満たされていないスペースの面積は、およそ3.85×10^−5平方メートルとして計算されうる(これは第二の面積と表示されうる)。
【0115】
次にエアロゾル冷却要素940を含む捲縮したシート942が集められて、ロッドの内径内に閉じ込められる。上記の例では第一および第二の面積の比は、およそ0.30である。この比に100を掛け、商を100パーセントから差し引いて空隙率が求められるが、ここで提示された特定の数値についてはおよそ70パーセントである。明らかに、シート材料の厚さおよび幅は変動しうる。同様に、ロッドの直径も変動しうる。
【0116】
図9Bに示す通り、捲縮して集合したシート942の捲縮した波型形状は、エアロゾル冷却要素940内の複数の軸方向経路944を画定する。シートの集合体の隣接した部分の捲縮した波型形状がまとめて束になる度合いに応じて、軸方向経路944のサイズおよび分布は、エアロゾル冷却要素940の領域全体にわたり変動することがあり、図9Bに示す通り、高い局所的空隙率946の領域と低い局所的空隙率948の領域が生まれる。捲縮したシート942のピッチ値がシートの幅全体にわたり変動するという事実により、シートの隣接した部分の捲縮した波型形状が整列し重なり合う可能性は低く、軸方向経路944の分布はより均一である。
【0117】
こうして、ロッドの内径に加えて材料の厚さおよび幅が分かれば上述の方法で空隙率を計算できることが、当業者には明らかである。したがって、材料シートが周知の厚さおよび長さを持ち、長さに沿って捲縮して集められた場合には、材料によって満たされたスペースが決定されうる。満たされていないスペースは、例えば、ロッドの内径を差し引くことにより計算されうる。空隙率またはロッド内の満たされていないスペースは、それらの計算から、ロッド内のスペースの総面積のパーセント値として計算されうる。
【0118】
捲縮して集合したポリ乳酸シートがフィルター紙941内で包まれ、エアロゾル冷却要素940を形成する。
【0119】
マウスピースフィルター950は、酢酸セルロースから形成され、約4.5ミリメートルの長さを持つ、従来的なマウスピースフィルターである。
【0120】
上記で特定した4つの要素が、紙960内にきつく包まれることにより組み立てられる。この具体的な実施形態での紙960は、標準的な属性を持つ従来的な紙巻たばこ用紙である。紙960とそれぞれの要素との間の干渉が要素を位置付け、かつエアロゾル発生物品900のロッド910を画定する。
【0121】
上記で説明し図9Aおよび9Bに図示した特定の実施形態は、紙巻たばこ用紙内で組み立てられた4つの要素を持つが、エアロゾル発生物品が追加的な要素またはより少数の要素を持ちうることは明らかである。
【0122】
図9Aおよび9Bに図示したエアロゾル発生物品は、消費されるためにエアロゾル発生装置(図示せず)と勘合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体920を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体920に隣接したエアロゾル発生物品を囲む発熱体、またはエアロゾル形成基体920に挿入される発熱体を備えうる。
【0123】
エアロゾル発生装置と勘合されると、エアロゾル形成基体基体920は約375℃の温度に加熱されうる。この温度にて、揮発性化合物がエアロゾル形成基体920から放出される。これらの化合物が凝縮してエアロゾルを形成し、これがロッド910内を通過する。
【0124】
エアロゾルは、エアロゾル冷却要素940を通して引き出される。エアロゾルがエアロゾル冷却要素940を通過するにつれ、エアロゾルの温度は、エアロゾル冷却要素940への熱エネルギーの伝達のために低下する。その上、エアロゾルから水の小滴が凝縮し、エアロゾル冷却要素940を通して画定される軸方向経路の内部表面に吸収される。
【0125】
エアロゾルがエアロゾル冷却要素940に入る時、その温度はおよそ摂氏60度である。エアロゾル冷却要素940中での冷却のため、エアロゾルがエアロゾル冷却要素940を出る時のその温度はおよそ摂氏40度である。その上、エアロゾル含水量が低下する。エアロゾル冷却要素940を形成する材料のタイプに応じて、エアロゾル含水量は0〜90パーセントの間に低下しうる。例えば、要素940がポリ乳酸を含む時には含水量はそれほど低下せず、すなわち低下はおよそ0パーセントとなる。対照的に、要素940を形成するためにデンプン系の材料が使用される時には、低下はおよそ40パーセントとなりうる。こうして、要素940を含む材料の選択を通してエアロゾルの含水量を適合しうることが当業者にとって明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B