特許第6683710号(P6683710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683710高分子量ワックスを含むタイヤサイドウォール
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  • 特許6683710-高分子量ワックスを含むタイヤサイドウォール 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683710
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】高分子量ワックスを含むタイヤサイドウォール
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20200413BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20200413BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   C08L21/00
   B60C1/00 B
   C08L91/06
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-533310(P2017-533310)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-501371(P2018-501371A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】US2015066286
(87)【国際公開番号】WO2016100618
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年6月19日
【審判番号】不服2019-114(P2019-114/J1)
【審判請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】62/093,023
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】バルニス、 クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ、 エミリー
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 井上 猛
【審判官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−53847(JP,A)
【文献】 特開2014−65879(JP,A)
【文献】 特開2009−102633(JP,A)
【文献】 特開平6−329993(JP,A)
【文献】 特開2003−292684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 21/00
B60C 1/00
C08L 91/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤサイドウォールであって、
a.加硫化ゴムと、
b.ピーク分子量が少なくとも900g/molであるワックスと、
を含み、
前記ワックスは、Mettler滴点が少なくとも80℃であることを特徴とする、
タイヤサイドウォール。
【請求項2】
前記ワックスは、凝固点が少なくとも80℃であることを特徴とする、請求項に記載のタイヤサイドウォール。
【請求項3】
タイヤサイドウォールを調製するための方法であって、この方法は、
生タイヤサイドウォールを加硫化することを含み、前記生タイヤサイドウォールは、ゴムと、ゴム100重量部あたり、5〜200重量部の充填剤と、ゴム100重量部あたり、0.0025〜2.0重量部のワックスと、ゴム100重量部あたり、2.0〜10重量部のオゾン劣化防止剤と、硬化剤とを含む塊の加硫性組成物から製造され、
前記ワックスは、ワックス分子の少なくとも90重量%が少なくとも32個の炭素原子を含み、
前記ワックスは、ピーク分子量が少なくとも900g/molであり、
前記ワックスは、Mettler滴点が少なくとも80℃であることを特徴とする、
方法。
【請求項4】
タイヤサイドウォールであって、
a.加硫化ゴムと、
b.ピーク分子量が少なくとも900g/molであるワックスと、
を含み、
前記ワックスは、25℃での貫入が10 1/10mm未満であることを特徴とする、
タイヤサイドウォール。
【請求項5】
前記ワックスは、凝固点が少なくとも80℃であることを特徴とする、請求項4に記載のタイヤサイドウォール。
【請求項6】
タイヤサイドウォールを調製するための方法であって、この方法は、
生タイヤサイドウォールを加硫化することを含み、前記生タイヤサイドウォールは、ゴムと、ゴム100重量部あたり、5〜200重量部の充填剤と、ゴム100重量部あたり、0.0025〜2.0重量部のワックスと、ゴム100重量部あたり、2.0〜10重量部のオゾン劣化防止剤と、硬化剤とを含む塊の加硫性組成物から製造され、
前記ワックスは、ワックス分子の少なくとも90重量%が少なくとも32個の炭素原子を含み、
前記ワックスは、ピーク分子量が少なくとも900g/molであり、
前記ワックスは、25℃での貫入が10 1/10mm未満であることを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年12月17日出願の米国特許仮出願番号第62/093,023号の利益を主張するものであり、同仮出願は、参考として本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の実施形態は、高分子量ワックスを含むタイヤサイドウォールに関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤサイドウォール製造分野には、固有の課題がある。特に、タイヤサイドウォールは、オゾンの攻撃を受けやすく、長時間にわたる静的応力及び動的応力と合わさって、亀裂及び割れ目が生じる。これらの亀裂は、典型的に、応力の方向に実質的に垂直に配向し、永久的な応力存在下での亀裂の進行は審美的に問題となる場合があり、タイヤ自体にも良くない場合さえある。
【0004】
従来の技術は、オゾン劣化を抑制し、それによって、亀裂の生成を遅らせる劣化防止剤の使用を含む。劣化防止剤は、一般的に、動的劣化防止剤又は静的劣化防止剤に分類される。動的劣化防止剤は、一般的に、オゾン劣化防止剤及び酸化防止剤を含む。静的劣化防止剤は、石油由来のパラフィン系ワックス及び微晶性ワックスのようなワックスを含む。しかしながら、劣化防止剤の使用は、タイヤサイドウォールの審美性に悪影響を与えることがわかっている。特に、劣化防止剤は、サイドウォール表面に移動し、魅力を失わせる残渣又はその他の染みをサイドウォールに残す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、オゾン攻撃への耐性を維持しつつ、審美的に望ましくない影響がある劣化防止剤の使用に関連する問題を克服することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態は、加硫化ゴムと高分子量ワックスとを含むタイヤサイドウォールを提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態は、加硫化ゴムと、この加硫性ゴムに分散した強化充填剤、オゾン劣化防止剤及び約2.0〜約10重量部の高分子量ワックスとを含むサイドウォールを含む、タイヤを提供する。
【0008】
本発明のさらに他の実施形態は、タイヤサイドウォールを調製するための方法であって、この方法は、生タイヤサイドウォールを加硫化することを含み、この生タイヤサイドウォールは、ゴムと、ゴム100重量部あたり、約5〜約200重量部の充填剤と、ゴム100重量部あたり、約0.0025〜約2.0重量部の高分子量ワックスと、ゴム100重量部あたり、約2.0〜約10重量部のオゾン劣化防止剤と、硬化剤とを含む塊の加硫性組成物から製造される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つ以上の実施形態にかかるタイヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、少なくとも部分的に、比較的高分子量のワックスを含むタイヤサイドウォールの開発に基づく。従来技術は、比較的低分子量のワックスを使用してきたが、高分子量ワックスの使用によって、予測に反して、サイドウォールの他の特性に悪い影響を有することなく、優れたサイドウォールの審美性が得られた。1つ以上の実施形態において、これらのワックスを用いて調製されたタイヤサイドウォールは、色が有利であることを特徴とする。従って、本発明の実施形態は、タイヤサイドウォールを製造するための加硫性組成物、及び優れた色を有するタイヤサイドウォールに関する。
【0011】
タイヤ構造
本発明のタイヤの一例を図1に示すが、ここで、タイヤ10は、トレッド部分12と、ベルトパッケージ14と、一対のサイドウォール16、16’と、インナーライナー18と、一対の軸方向に空間が空けられた球状部分20、20’とを有する。プライ22は、球状部分20の間を延びている。1つ以上の実施形態において、サイドウォール16、16’は、本発明の態様にかかるサイドウォール組成物から作られる。
【0012】
サイドウォール組成物
上に示したように、本発明のサイドウォールは、塊の加硫性組成物から調製され、これは、タイヤサイドウォール化合物と呼ばれてもよく、高分子量ワックスを含む。1つ以上の実施形態において、サイドウォールを調製するために用いられる加硫性組成物は、その他に従来の成分を含む。例えば、1つ以上の実施形態において、本発明のサイドウォール化合物は、エラストマー、充填剤、硬化剤及び劣化防止剤を含む。他の任意成分は、硬化活性化剤、硬化促進剤、油類、樹脂、可塑剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛及びしゃく解剤を含んでいてもよい。
【0013】
ゴム
1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム又はエラストマーとも称され得るゴムは、ゴム状特性又はエラストマー特性を保有する組成物を形成するために加硫され得るポリマーを含み得る。これらのエラストマーは、天然ゴム及び合成ゴムを含み得る。合成ゴムは、典型的に、共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーと他のモノマー(例えばビニル置換芳香族モノマー)との共重合、又はエチレンと1つ又は2つ以上のα−オレフィン及び任意に1つ又は2つ以上のジエンモノマーとの共重合から得られる。
【0014】
例示的なエラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−コ−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのエラストマーは、無数の巨大分子構造、例えば、直線状、分岐状、及び星形構造を有することができる。これらのエラストマーにはまた、1つ又は2つ以上の官能単位が含まれてよく、これには、典型的にヘテロ原子が含まれる。特定の実施形態において、本発明のサイドウォール化合物は、天然ゴムと合成ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン)のブレンドを含む。他の実施形態において、本発明のサイドウォール化合物は、オレフィン性ゴム、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含む。
【0015】
充填剤
充填剤には、1つ又は2つ以上の従来の補強充填剤又は非補強充填剤が含まれてよい。例えば、有用な充填剤には、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、及び、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩が含まれる。
【0016】
1つ以上の実施形態では、カーボンブラックには、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックが含まれる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネス(SAF)ブラック、中間超摩耗ファーネス(ISAF)ブラック、高磨耗ファーネス(HAF)ブラック、高速押出ファーネス(FEF)ブラック、微細ファーネス(FF)ブラック、半強化ファーネス(SRF)ブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。1つ又は2つ以上の実施形態にて有用な代表的カーボンブラックとしては、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N358、N550、N650、N660、N762、N772及びN774などのASTM D1765によって指定されるものが挙げられ得る。
【0017】
特定の実施形態において、カーボンブラックは、少なくとも20m/g、他の実施形態において、少なくとも35m/g、他の実施形態において、少なくとも50m2/g、他の実施形態において、少なくとも60m/gの表面積(EMSA)を有してよい。表面積値は、ASTM D−1765によって、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)技術を用いて決定することができる。特定の実施形態において、サイドウォールは、約60〜約110m/gの表面積(EMSA)を有するカーボンブラック充填剤を含む。カーボンブラックは、ペレット化された形態又はペレット化されていない綿状形態であり得る。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機器の種類に依存し得る。
【0018】
1つ又は2つ以上の実施形態において、充填剤には、シリカが含まれてよい。シリカを充填剤として使用する場合、シリカは、結合剤との組み合わせで使用されてよい。これら又は他の実施形態において、シリカは、シリカ分散剤との組み合わせで使用されてよい。
【0019】
1つ又は2つ以上の実施形態において、有用なシリカには、沈殿非晶質シリカ、湿性シリカ(水和ケイ酸)、乾燥シリカ(非晶質ケイ酸)、フュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。特定の実施形態において、シリカは、沈殿非晶質湿性処理水和シリカである。1つ又は2つ以上の実施形態において、これらのシリカは、水中での化学反応によって産出され、それにより、超微細球形粒子として沈殿する。これらの一次粒子は、強く会合して集合体になると考えられており、次いで、それより低い強度で結合して凝集体になる。
【0020】
使用され得るいくつかの市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233、及びHi−Sil(商標)190(PPG Industries,Inc.;Pittsburgh,Pa.)が挙げられる。市販のシリカの他の供給業者としては、Grace Davison(Baltimore,Md.)、Degussa Corp.(Parsippany,N.J.)、Rhodia Silica Systems(Cranbury,N.J.)、及びJ.M.Huber Corp.(Edison,N.J.)が挙げられる。
【0021】
1つ以上の実施形態では、シリカは、その表面積によって特徴付けることができ、これにより、その補強特性の尺度が与えられる。ブルナウアー−エメット−テラー(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載されている)は、表面積を決定するための広く認められている方法である。シリカのBET表面積は、一般に450m/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32〜約400m/g、約100〜約250m/g、約150〜約220m/gが挙げられる。
【0022】
1つ又は2つ以上の実施形態において、シリカのpHは、約5〜約7、又はわずかに7を超える、又は他の実施形態においては約5.5〜約6.8であってもよい。
【0023】
1つ又は2つ以上の実施形態において、有用なシリカ結合剤には、硫黄含有シリカ結合剤が含まれる。硫黄含有シリカ結合剤の例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド類又はメルカプト−オルガノアルコキシシラン類が挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド類の種類としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。例示的なシリカ分散補助剤としては、アルキルアルコキシシラン、水素添加又は非水素添加C又はC糖の脂肪酸エステル、水素添加又は非水素添加C又はC糖の脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、及びこれらの混合物、又は鉱物又は非鉱物添加充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
硬化剤
硫黄又は過酸化物系硬化系を含む、多数のゴム硬化剤(加硫剤とも呼ばれる)が用いられてもよい。硬化剤は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.20,pgs.365〜468,(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390〜402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。1つ又は2つ以上の実施形態において、硬化剤は硫黄である。好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubberrmaker)」の可溶性硫黄;二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性加硫剤;及び不溶性ポリマー性硫黄が挙げられる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0025】
1つ又は2つ以上の実施形態において、硬化剤は、硬化促進剤と組み合わせて使用される。1つ又は2つ以上の実施形態において、促進剤を使用して、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫ゴムの特性を改善する。促進剤の例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド(CBS)などのチアゾール加硫促進剤、及びジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン加硫促進剤が挙げられる。
【0026】
動的劣化防止剤
1つ以上の実施形態において、動的劣化防止剤は、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤を含んでいてもよい。特定の実施形態において、本発明のサイドウォール化合物は、酸化防止剤とオゾン劣化防止剤の両方を含む。
【0027】
1つ以上の実施形態において、有用な酸化防止剤としては、置換フェノール、ジフェニルアミン−アセトン反応生成物、2,2,2−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー(TMQ)及びトリ(ノノフェニル)ホスファイトが挙げられる。
【0028】
1つ以上の実施形態において、有用なオゾン劣化防止剤は、N,N−二置換−p−フェニレンジアミンのようなアミンを含む。これらのジアミンは、対称化合物及び非対称化合物の両方を含んでいてもよい。有用な対称ジアミンとしては、N,N−ジアルキル−p−フェニレンジアミンが挙げられる。有用な非対称ジアミンとしては、N−アルキル、N’−アリール−p−フェニレンジアミン、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)及びN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0029】
高分子量ワックス
本発明の実施において使用されるワックスは、高分子量ワックスと称されてもよいが、1つ以上の特徴に基づき、従来技術のサイドウォールに使用されるワックスとは区別されるものとする。
【0030】
1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、分子鎖中の炭素原子の数によって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態において、鎖あたり、高分子量ワックス分子の少なくとも90重量%が、少なくとも32個の炭素原子を含み、他の実施形態において、少なくとも34個の炭素原子を含み、及び他の実施形態において、少なくとも36個の炭素原子を含む。これらの実施形態又は他の実施形態において、鎖あたり、高分子量ワックス分子の少なくとも90重量%が、約32〜約70個、他の実施形態において、約34〜約65個、及び他の実施形態において、約36〜約60個の炭素原子を含む。
【0031】
これらの実施形態又は他の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、ピーク分子量によって特徴付けられてもよい。当業者が理解するように、ピーク分子量とは、最も大きなピークの分子量を指す。1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、ピーク分子量が少なくとも500g/mol、他の実施形態において、少なくとも700g/mol、他の実施形態において、少なくとも900g/mol、他の実施形態において、少なくとも1,000g/mol、及び他の実施形態において、少なくとも1,100g/molであってもよい。これらの実施形態又は他の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、ピーク分子量が約500〜約1,300、他の実施形態において、約520〜約1,200、及び他の実施形態において、約540〜約1,100g/molであってもよい。
【0032】
これらの実施形態又は他の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、直鎖分子の重量%に基づいて特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、分子の少なくとも65重量%、他の実施形態において、少なくとも70重量%、及び他の実施形態において、少なくとも75重量%が直鎖であることを特徴としてもよい。これらの実施形態又は他の実施形態において、高分子量ワックス分子の約65〜約90重量%、他の実施形態において、約70〜約88重量%、及び他の実施形態において、約75〜約85重量%が直鎖である。
【0033】
1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、そのMettler滴点によって特徴付けられてもよく、当業者の理解は、ASTM D3954によって決定することができる。1つ以上の実施形態において、Mettler滴点は、少なくとも80℃、他の実施形態において、少なくとも90℃、他の実施形態において、少なくとも100℃である。これらの実施形態又は他の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、Mettler滴点が約80〜約135、他の実施形態において、約85〜約130、及び他の実施形態において、約90〜約120℃であることを特徴としていてもよい。
【0034】
1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、その凝固点によって特徴付けられてもよく、当業者の理解は、ASTM D938によって決定することができる。1つ以上の実施形態において、凝固点は、少なくとも80℃、他の実施形態において、少なくとも90℃、他の実施形態において、少なくとも100℃である。これらの実施形態又は他の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、凝固点が約80〜約120、他の実施形態において、約90〜約115、及び他の実施形態において、約100〜約110℃であることを特徴としていてもよい。
【0035】
1つ以上の実施形態において、本発明で使用される高分子量ワックスは、25℃での貫入によって特徴付けられてもよく、当業者の理解は、ASTM D1321によって決定することができる。1つ以上の実施形態において、25℃での貫入が、10 1/10mm未満、他の実施形態において、5 1/10mm未満、他の実施形態において、3 1/10mm未満、及び他の実施形態において、1 1/10mm未満である。
【0036】
1つ以上の実施形態において、本発明の実施において使用される高分子量ワックスは、Fischer−Tropschプロセスを用いて天然ガスを重合することによって調製されるワックスを含む。有用なワックスは、市販されている。例えば、有用なワックスは、H1、C105及びC80(Sasol)の商標で得ることができる。他の実施形態において、高分子量ワックスは、石油資源に由来していてもよい。
【0037】
他の成分
ゴム配合において典型的に用いられる他の成分もまた、ゴム組成物に添加されてもよい。これらには、油類、可塑剤、ワックス、スコーチ阻害剤、処理助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化樹脂、ステアリン酸などの脂肪酸、しゃく解剤が挙げられる。特定の実施形態では、用いられる油としては、従来から伸展油として用いられるものが挙げられ、これは前述している。使用してもよい有用なオイル又は伸展剤としては、芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、ヒマシ油以外の植物油、MES、TDAE、及びSRAEなどの低PCA油、並びに重ナフテン系油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
成分量
ゴム
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも20、他の実施形態においては少なくとも30、及び他の実施形態においては少なくとも40重量パーセントのゴム構成成分を含む。これら又は他の実施形態において、加硫性組成物は、組成物の全重量に基づいて、最大で90、他の実施形態においては最大で70、及び他の実施形態においては最大で60重量パーセントのゴム構成成分を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、組成物の全重量に基づいて、約20〜約90、他の実施形態においては約30〜約70、他の実施形態においては約40〜約60重量パーセントのゴム構成成分を含む。
【0039】
上に示唆されるように、本発明の特定の実施形態において、ゴムの構成成分は、天然ゴム及び合成ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン)を含む(特定の実施形態において、これらからなる)。これらの実施形態の1つ以上において、天然ゴムと合成ジエンゴムの重量比は、0.4:1〜1.5:1、他の実施形態において、0.6:1〜1.3:1、他の実施形態において、0.8:1〜1.2:1であってもよい。
【0040】
充填剤
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部あたり(phr)、少なくとも5、他の実施形態において、少なくとも25、及び他の実施形態において、少なくとも40重量部(pbw)の充填剤(例えば、カーボンブラック)を含む。これら又は他の実施形態において、加硫性組成物は、phrで最大で200、他の実施形態において、最大で120、及び他の実施形態において、最大で70pbwの充填剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、phrで約5〜約200、他の実施形態において、約25〜約120、及び他の実施形態において、約40〜約70pbwの充填剤を含む。
【0041】
動的劣化防止剤
1つ以上の実施形態において、本発明の加硫性組成物は、ゴム100重量部あたり(phr)、合計で少なくとも4.0、他の実施形態において、少なくとも4.4、他の実施形態において、少なくとも4.8重量部(pbw)の動的劣化防止剤(例えば、酸化防止剤及び/又はオゾン劣化防止剤)を含む。これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、phrで、合計で最大で20、他の実施形態において、最大で16、及び他の実施形態において、最大で12pbwの動的劣化防止剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、phrで、合計で約4.0〜約20、他の実施形態において、約4.4〜約16、及び他の実施形態において、約4.8〜約12pbwの動的劣化防止剤を含む。
【0042】
これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部あたり(phr)、少なくとも2.0、他の実施形態において、少なくとも2.2、他の実施形態において、少なくとも2.4、他の実施形態において、少なくとも2.6、他の実施形態において、少なくとも2.8、他の実施形態において、及び少なくとも3.0重量部(pbw)の酸化防止剤(例えば、TMQ)を含む。これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、phrで、最大で10、他の実施形態において、最大で8、及び他の実施形態において、最大で6pbwの酸化防止剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、phrで、約2.0〜約10、他の実施形態において、約2.2〜約8、及び他の実施形態において、約2.4〜約6pbwの酸化防止剤を含む。
【0043】
これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部あたり(phr)、少なくとも2.0、他の実施形態において、少なくとも2.2、他の実施形態において、少なくとも2.4、他の実施形態において、少なくとも2.6、他の実施形態において、少なくとも2.8、及び他の実施形態において、少なくとも3.0重量部(pbw)のオゾン劣化防止剤(例えば、6PPD)を含む。これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、phrで最大で10、他の実施形態において、最大で8、及び他の実施形態において、最大で6pbwのオゾン劣化防止剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、phrで約2.0〜約10、他の実施形態において、約2.2〜約8、及び他の実施形態において、約2.4〜約6pbwのオゾン劣化防止剤を含む。
【0044】
高分子量ワックス
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部あたり(phr)、少なくとも2.0、他の実施形態において、少なくとも2.2、他の実施形態において、少なくとも2.4、他の実施形態において、少なくとも2.6、及び他の実施形態において、少なくとも2.8重量部(pbw)の高分子量ワックスを含む。これらの実施形態又は他の実施形態において、加硫性組成物は、phrで最大で10、他の実施形態において、最大で8、他の実施形態において、最大で6、他の実施形態において、最大で5pbwの高分子量ワックスを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、phrで約2.0〜約10、他の実施形態において、約2.2〜約8、他の実施形態において、及び約2.2〜約6pbwの高分子量ワックスを含む。
【0045】
硬化系
当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、加硫剤の量を容易に選択することができるであろう。また、当業者は、望む効果レベルを達成するために、硬化促進剤の量を簡単に選択可能であろう。
【0046】
混合手順
ゴム組成物の全ての成分は、標準的な混合機器、例えばバンバリー又はブラベンダーミキサ、押出機、ニーダー、及び2つの圧延ミルを用いて混合することができる。上に示唆されるように、これらの成分は、2つ又は3つ以上の段階で混合される。第1の段階(すなわち、混合段階)において、典型的にゴム構成成分及び充填剤を含むものが調製される。時期尚早な加硫(スコーチとしても知られる)を防ぐために、加硫剤。いったんマスターバッチが調製されると、加硫剤を、最終混合段階において、マスターバッチ内に導入し、混合してよく、これは典型的には、時期尚早な加硫の機会を減少させるように、比較的低温で実施される。しばしばリミル(remill)と呼ばれる、追加の混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終混合段階の間で使用可能である。
【0047】
タイヤの調製
標準的なゴムの成形、成型、及び硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術に従って、組成物がタイヤ部品に加工され得る。典型的に、加硫は、加硫性組成物を成形型内で加熱することによって達成される。例えば、成形型は、約140℃〜約180℃に加熱されてもよい。硬化又は架橋されたゴム組成物は、加硫ゴム(一般的に熱硬化性の三次元ポリマー網状組織を含有する)と称され得る。高分子量ワックス及び充填剤、加工助剤などの他の成分は、架橋された網状組織全体にわたって一様に分散していてもよい。特定の実施形態において、化合物成分の1つ以上が架橋してもよく、又は架橋したゴム網状組織に他の方法で化学的に結合してもよい。当業者が理解するであろうように、特定の量の種々の成分(とりわけ反応しないもの)が、化合物内に存在したのと同様に、硬化したタイヤ部品内に残ることになる。
【0048】
空気入りタイヤは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記載されるように作製され得る。例えば、種々のタイヤ部品を、生タイヤ部品(すなわち、未硬化タイヤ部品)として調製し、生タイヤに組立可能である。次いで、生タイヤを硬化条件にさらし、加硫処理により種々の生の部品が概ね互いに接着された加硫タイヤを形成し得る。
【0049】
タイヤサイドウォールの特徴
1つ以上の実施形態において、本発明のタイヤサイドウォールは、有利なバランス特性を特徴とする。特定の実施形態において、タイヤサイドウォールは、動的に歪みがある状態でオゾンによって誘発される亀裂の成長に対する耐性と、有利な色との有利なバランスを特徴とする。
【0050】
1つ以上の実施形態において、オゾン耐性は、本明細書の目的のために、歪んだ状態でのオゾンによって誘発される亀裂生成に対する耐性と呼ばれてもよく、ASTM D−1149によって定量的に決定されてもよい。
【0051】
これらと組み合わせて、1つ以上の実施形態において、色は、分光光度計を用いることによって定量されてもよく、分光光度計は、International Commission on Illuminationによって認識されるように、CIE LAB色空間における測定値を報告する。例えば、色及び光沢は、製造業者の標準に従って較正したMinolta CM2600D Spectrophotometerを用いることによって決定されてもよい。静的オゾン試験のために、サンプルは、典型的には、静的に歪ませつつ、温度60℃+1℃で7日間、空気100万部あたりオゾン100部にさらされる。この目的のために、オゾンボックスOREC 0500/DM100型及びオゾンモニタOREC(登録商標)O3DM100型を使用してもよい。L、a及びbの測定は3軸を記述し、固有の色を規定する。2色間のベクトル差dEは、以下のように算出することができる。
dE=V((L1−L2)2+(a1−a2)2+(b b2)2)
【0052】
当業者は、bが黄色の指標であると認識しており、オゾン劣化防止剤(例えば6PPD)に起因すると考えられており、従って、bが低いことが望ましい。1つ以上の実施形態において、本発明のタイヤサイドウォールのbは、10より小さく、他の実施形態において、5より小さく、他の実施形態において、3より小さい。
【0053】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。
図1