特許第6683713号(P6683713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヴァ オートメーション インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6683713-信頼できる通信のための冗長リンク 図000003
  • 特許6683713-信頼できる通信のための冗長リンク 図000004
  • 特許6683713-信頼できる通信のための冗長リンク 図000005
  • 特許6683713-信頼できる通信のための冗長リンク 図000006
  • 特許6683713-信頼できる通信のための冗長リンク 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683713
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】信頼できる通信のための冗長リンク
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20200413BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20200413BHJP
   H04B 1/74 20060101ALI20200413BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20200413BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20200413BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200413BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20200413BHJP
【FI】
   H04W24/04
   H04W16/28 130
   H04B1/74
   H04W84/12
   H04B7/06 860
   H04M1/00 R
   H04W72/04 111
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-534729(P2017-534729)
(86)(22)【出願日】2015年12月23日
(65)【公表番号】特表2018-509790(P2018-509790A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2015000195
(87)【国際公開番号】WO2016105472
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】14/544,343
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517221228
【氏名又は名称】エヴァ オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ユ ゲイロード
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/102889(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0135517(US,A1)
【文献】 特開2006−020274(JP,A)
【文献】 米国特許第07881680(US,B1)
【文献】 特開2013−143624(JP,A)
【文献】 特開昭63−313932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側電子装置であって、
データストリームに関連する情報を受け取るように構成された入力ポートと、
第1のアンテナと、
第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに通信可能に結合されて、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信プロトコルを使用する第1のチャネルを介した前記送信側電子装置から受信側電子装置への前記データストリームに関連する前記情報を含む第1のパケットを前記第1のアンテナに通信するように構成された第1のインターフェイス回路と、
前記第2のアンテナに通信可能に結合されて、前記WLAN通信プロトコルを使用する前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介した前記送信側電子装置から前記受信側電子装置への前記データストリームに関連する前記情報を含む第2のパケットを前記第2のアンテナに通信するように構成された第2のインターフェイス回路と、
を備え、
前記第2のパケットは、前記第1のパケットと同時に通信され、
前記送信側電子装置は、前記受信側電子装置が前記第1のパケットの前記通信中に前記第1のチャネルを使用して、前記第2のパケットの前記通信中に前記第2のチャネルを使用する旨の指示を、少なくとも前記第1のアンテナ又は前記第2のアンテナに与えるように構成され、
前記情報の前記通信中、前記送信側電子装置は、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルのうちの一つである所与のチャネルに関連するチャネル較正であって、受信側電子装置までの推定距離と関連する位相歪みとに基づいて前記所与のチャネルについての送信電力及び位相を決定することを含むチャネル較正を、前記情報の前記通信を妨げることなく決定するように構成される、
ことを特徴とする送信側電子装置。
【請求項2】
前記WLAN通信プロトコルは、IEEE802.11規格との互換性がある、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項3】
前記第1のパケットは、第1のサービスセット識別子を含み、前記第2のパケットは、前記第1のサービスセット識別子とは異なる第2のサービスセット識別子を含む、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項4】
前記第1のインターフェイス回路は、前記第1のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下したとき、及び第3のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、前記第1のチャネルを介した通信に関連する前記性能測定基準を上回ったとき、のうちの1つの場合に、前記第1のパケットの通信を前記第3のチャネルに転送するように構成され、
前記第2のインターフェイス回路は、前記第2のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下したとき、及び第4のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、前記第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回ったとき、のうちの1つの場合に、前記第2のパケットの通信を前記第4のチャネルに転送するように構成され、
前記第1のパケットと前記第2のパケットとの前記同時通信は、前記第3のチャネル及び前記第4のチャネルの一方への前記転送中に、前記情報が前記受信側電子装置に中断なく通信されることを保証し、
前記送信側電子装置は、前記受信側電子装置に、前記第1のパケットの前記通信を前記第1のチャネルから前記第3のチャネルに転送すること、及び前記第2のパケットの前記通信を前記第2のチャネルから前記第4のチャネルに転送すること、の一方を実行するように指示するよう構成される、請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項5】
前記第1のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、及び前記第2のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、のうちの一方の場合、前記第1のパケット及び前記第2のパケットの一方の前記通信は、前記情報が中断及び前記送信側電子装置によるさらなる動作を伴わずに前記受信側電子装置に通信されることを保証する、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項6】
前記送信側電子装置は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第1の閾値未満に低下したとき、及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第2の閾値未満に低下したとき、のうちの一方の場合に、前記第1のパケットに含まれている前記情報及び前記第2のパケットに含まれている前記情報の少なくとも一方を圧縮するように構成され、
前記圧縮は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する前記性能測定基準及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する前記性能測定基準における概ね共通のマージンを維持する、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項7】
前記送信側電子装置は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第1の閾値を下回ったとき、及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第2の閾値を下回ったとき、のうちの少なくとも一方の場合に、通信警告メッセージを表示して、前記第1のパケット及び前記第2のパケットを介した前記情報の前記冗長通信を選択的に中断するように構成される、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項8】
前記送信側電子装置は、前記第1のパケット及び前記第2のパケットを共に符号化して、前記同時通信に基づいて情報ゲイン及び誤り訂正の一方を提供するように構成される、請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項9】
前記送信側電子装置は、前記同時通信に基づいて、前記第1のパケット及び前記第2のパケットの少なくとも一方におけるドロップアウトを検出するように構成される、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項10】
前記チャネル較正は、前記第1のインターフェイス回路及び前記第2のインターフェイス回路の一方を用いた、前記WLAN通信プロトコルに関連するチャネルの、前記情報の前記通信を妨げない動的スペクトル分析に基づいており
前記動的スペクトル分析の決定は、前記通信中に少なくとも所与のチャネルに関連する時間領域信号を取り込むことと、フーリエ変換又は離散フーリエ変換を実行してスペクトル又はパワースペクトル分布を求めることと、を伴う、
請求項1に記載の送信側電子装置。
【請求項11】
受信側電子装置と、
送信側電子装置と、
を有するシステムであって、前記送信側電子装置は、
データストリームに関連する情報を受け取るように構成された入力ポートと、
第1のアンテナと、
第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに通信可能に結合されて、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信プロトコルを使用する第1のチャネルを介した前記送信側電子装置から受信側電子装置への前記データストリームに関連する前記情報を含む第1のパケットを前記第1のアンテナに通信するように構成された第1のインターフェイス回路と、
前記第2のアンテナに通信可能に結合されて、前記WLAN通信プロトコルを使用する前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介した前記送信側電子装置から前記受信側電子装置への前記データストリームに関連する前記情報を含む第2のパケットを前記第2のアンテナに通信するように構成された第2のインターフェイス回路と、
を備え、
前記第2のパケットは、前記第1のパケットと同時に通信され、
前記送信側電子装置は、前記受信側電子装置が前記第1のパケットの前記通信中に前記第1のチャネルを使用して、前記第2のパケットの前記通信中に前記第2のチャネルを使用する旨の指示を、少なくとも前記第1のアンテナ又は前記第2のアンテナに与えるように構成され、
前記情報の前記通信中、前記送信側電子装置は、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルのうちの一つである所与のチャネルに関連するチャネル較正であって、受信側電子装置までの推定距離と関連する位相歪みとに基づいて前記所与のチャネルについての送信電力及び位相を決定することを含むチャネル較正を、前記情報の前記通信を妨げることなく決定するように構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
データストリームに関連する情報を送信側電子装置から受信側電子装置に通信する方法であって、
前記送信側電子装置により、
前記受信側電子装置が第1のパケットの通信中に第1のチャネルを使用して、第2のパケットの通信中に第2のチャネルを使用する旨の指示を、前記送信側電子装置内の少なくとも第1のアンテナ又は第2のアンテナに与えるステップと、
前記データストリームに関連する前記情報を、前記送信側電子装置内の入力ポートを介して受け取るステップと、
前記送信側電子装置内の第1のインターフェイス回路と、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信プロトコルとを使用する、前記第1のチャネルを介した前記送信側電子装置から前記受信側電子装置への、前記データストリームに関連する前記情報を含む前記第1のパケットを前記第1のアンテナに通信するステップと、
前記送信側電子装置内の第2のインターフェイス回路と、前記WLAN通信プロトコルとを使用する、前記第2のチャネルを介した前記送信側電子装置から前記受信側電子装置への、前記データストリームに関連する前記情報を含む前記第2のパケットを前記第1のパケットと同時に前記第2のアンテナに通信するステップと、
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルのうちの一つである所与のチャネルに関連するチャネル較正であって、受信側電子装置までの推定距離と関連する位相歪みとに基づいて前記所与のチャネルについての送信電力及び位相を決定することを含むチャネル較正を、前記情報の前記通信を妨げることなく決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記WLAN通信プロトコルは、IEEE802.11規格との互換性がある、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のパケットは、第1のサービスセット識別子を含み、前記第2のパケットは、前記第1のサービスセット識別子とは異なる第2のサービスセット識別子を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下したとき、及び第3のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、前記第1のチャネルを介した通信に関連する前記性能測定基準を上回ったとき、のうちの1つの場合に、前記第1のパケットの通信を前記第3のチャネルに転送するステップと、
前記第2のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下したとき、及び第4のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、前記第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回ったとき、のうちの1つの場合に、前記第2のパケットの通信を前記第4のチャネルに転送するステップと、
を含み、前記第1のパケットと前記第2のパケットとの前記同時通信は、前記第3のチャネル及び前記第4のチャネルの一方への前記転送中に、前記情報が前記受信側電子装置に中断なく通信されることを保証し、前記方法は、
前記受信側電子装置に、前記第1のパケットの前記通信を前記第1のチャネルから前記第3のチャネルに転送すること、及び前記第2のパケットの前記通信を前記第2のチャネルから前記第4のチャネルに転送すること、の一方を実行するように指示するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、及び前記第2のチャネルに関連する前記受信側電子装置との接続が失われたとき、のうちの一方の場合、前記第1のパケット及び前記第2のパケットの一方の前記通信は、前記情報が中断及び前記送信側電子装置によるさらなる動作を伴わずに前記受信側電子装置に通信されることを保証する、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第1の閾値未満に低下したとき、及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第2の閾値未満に低下したとき、のうちの一方の場合に、前記第1のパケットに含まれる前記情報及び前記第2のパケットに含まれる前記情報の少なくとも一方を圧縮するステップをさらに含み、
前記圧縮は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する前記性能測定基準及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する前記性能測定基準における概ね共通のマージンを維持する、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記第1のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第1の閾値を下回ったとき、及び前記第2のチャネルを介した前記通信に関連する性能測定基準が第2の閾値を下回ったとき、のうちの少なくとも一方の場合に、通信警告メッセージを表示して、前記第1のパケット及び前記第2のパケットを介した前記情報の前記冗長通信を選択的に中断するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のパケット及び前記第2のパケットを共に符号化して、前記同時通信に基づいて情報ゲイン及び誤り訂正の一方を提供するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記チャネル較正は、前記第1のインターフェイス回路及び前記第2のインターフェイス回路の一方を用いた、前記WLAN通信プロトコルに関連するチャネルの、前記情報の前記通信を妨げない動的スペクトル分析に基づいており
前記動的スペクトル分析の決定は、前記通信中に少なくとも所与のチャネルに関連する時間領域信号を取り込むことと、フーリエ変換又は離散フーリエ変換を実行してスペクトル又はパワースペクトル分布を求めることと、を伴う、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明する実施形態は、無線ネットワークにおける情報通信技術に関する。具体的には、説明する実施形態は、無線ネットワーク内の送信側電子装置と受信側電子装置との間で冗長通信を用いて確実に情報を通信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は、電子装置間で情報を通信する人気上昇中の技術である。具体的には、これらの電子装置は、電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格に記載されている無線ネットワーク、(ワシントン州カークランドのBluetooth Special Interest Groupによる)Bluetooth(登録商標)、及び/又は別のタイプの無線ネットワークなどの無線ローカルエリアネットワークのためのネットワークインターフェイスを実装するネットワークサブシステムを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電子装置間の無線通信中における性能は、時間と共に大きく変動し得る。例えば、隣接干渉源が大きく性能を低下させることがある。この性能低下によってパケットがドロップし、又は送信側電子装置と受信側電子装置との間の接続が失われるさえこともある。この結果、性能の変動によってスループットが低下し、送信側電子装置及び/又は受信側電子装置を使用している時のユーザ体験が悪化することがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
説明する実施形態は、送信側電子装置を含む。この送信側電子装置は、データストリームに関連する情報を受け取る入力ポートと、第1のアンテナと、第2のアンテナと、第1のアンテナに結合された第1のインターフェイス回路と、第2のアンテナに結合された第2のインターフェイス回路とを含む。さらに、第1のインターフェイス回路は、データストリームに関連する情報を含む第1のパケットを、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信プロトコルを使用する第1のチャネルを介して送信側電子装置から受信側電子装置に通信することができる。さらに、第2のインターフェイス回路は、データストリームに関連する情報を含む第2のパケットを、WLAN通信プロトコルを使用する第2のチャネルを介して送信側電子装置から受信側電子装置に通信することができ、第2のチャネルは第1のチャネルと異なることができ、第2のパケットは、送信側電子装置から受信側電子装置に第1のパケットと同時に通信される。また、送信側電子装置は、第1のパケットの通信中に第1のチャネルを使用し、第2のパケットの通信中に第2のチャネルを使用するように受信側電子装置に指示することができる。
【0005】
なお、WLAN通信プロトコルは、IEEE802.11規格との互換性を有することができる。さらに、第1のチャネルを介した第1のパケットの通信は、第2のチャネルを介した第2のパケットの通信とは無関係とすることができる。
【0006】
さらに、第1のインターフェイス回路は、第1のチャネルに関連する受信側電子装置との接続が失われた時、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第1の閾値未満に低下した時、及び/又は第3のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回った時に、第1のパケットの通信を第3のチャネルに転送することができる。第2のパケットの同時通信は、転送中に情報が受信側電子装置に中断なく通信されることを保証することができる。これとは別に、又はこれに加えて、第2のインターフェイス回路は、第2のチャネルに関連する受信側電子装置との接続が失われた時、第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第2の閾値未満に低下した時、及び/又は第4のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回った時に、第2のパケットの通信を第4のチャネルに転送することができる。この場合、第1のパケットの同時通信は、転送中に情報が受信側電子装置に中断なく通信されることを保証することができる。いずれの場合にも、送信側電子装置は、受信側電子装置に、第1のパケットの通信中に第3のチャネルを使用するように又は第3のチャネルに切り替えるように指示又は通信することができ、第2のパケットの通信中に第4のチャネルを使用するように又は第4のチャネルに切り替えるように指示又は通信することができる。
【0007】
なお、第1のチャネルに関連する受信側電子装置との接続が失われた時、又は第2のチャネルに関連する受信側電子装置との接続が失われた時には、第2のパケット又は第1のパケットの残りの通信が、中断及び送信側電子装置によるさらなる動作を伴わずに情報が受信側電子装置に通信されることをそれぞれ保証する。
【0008】
いくつかの実施形態では、送信側電子装置が、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第1の閾値未満に低下した時、及び/又は第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第2の閾値未満に低下した時に、第1のパケットに含まれる情報及び第2のパケットに含まれる情報の少なくとも一方を圧縮する。この圧縮は、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準及び第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準における概ね共通のマージンを維持することができる。
【0009】
また、送信側電子装置は、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第1の閾値を下回った時、及び/又は第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第2の閾値を下回った時に、通信警告メッセージを表示して、第1のパケット及び第2のパケットを介した情報の冗長通信を選択的に中断することができる。
【0010】
なお、送信側電子装置は、第1のパケット及び第2のパケットを共に符号化して、同時通信に基づいて情報ゲイン及び/又は誤り訂正を提供することができる。
【0011】
さらに、送信側電子装置は、同時通信に基づいて、第1のパケット及び/又は第2のパケットにおけるドロップアウトを検出することができる。
【0012】
さらに、情報の通信中、送信側電子装置は、情報の通信を妨げることなくチャネル推定を実行し、リンク品質を判定し、及び/又は第1のチャネル及び/又は第2のチャネルに関連するチャネル較正を実行することができる。また、情報の通信中、送信側電子装置は、第1のインターフェイス回路及び/又は第2のインターフェイス回路を使用するWLAN通信プロトコルに関連するチャネルのスペクトル分析を、情報の通信を妨げることなく動的に実行することもできる。
【0013】
送信側電子装置の別の実施形態は、異なるWLAN通信プロトコルを使用して第1のパケット及び第2のパケットを通信する。これらの実施形態では、第1のチャネルが第2のチャネルと異なることも、又は異ならないこともできる。さらに、第2のパケットは、全ての情報を含むことも、又は含まないこともできる(すなわち、100%未満の冗長性を使用することもできる)。
【0014】
送信側電子装置の別の実施形態では、第2のパケットが、全ての情報を含むことも、又は含まないこともできる。これらの実施形態では、第1のチャネルが第2のチャネルと異なることも、又は異ならないこともできる。さらに、第1のインターフェイス回路は、第2のインターフェイス回路と同じWLAN通信プロトコルを使用することも、又は使用しないこともできる。
【0015】
別の実施形態は、送信側電子装置と共に使用するコンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品は、送信側電子装置によって実行される動作の少なくとも一部のための命令を含む。
【0016】
別の実施形態は、データストリームに関連する情報を送信側電子装置から受信側電子装置に通信する方法を提供する。この方法は、送信側電子装置によって実行される動作の少なくとも一部を含む。
【0017】
この概要は、本明細書で説明する主題のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすようにいくつかの例示的な実施形態を例示する目的で示すものにすぎない。従って、上述した特徴は一例にすぎず、決して本明細書で説明する主題の範囲又は趣旨を狭めるものとして解釈すべきではないと理解されるであろう。以下の詳細な説明、図及び特許請求の範囲から、本明細書で説明する主題の他の特徴、態様及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施形態による、無線で通信する電子装置を含むシステムを示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態による、図1の電子装置間でデータストリームに関連する情報を通信する方法を示すフロー図である。
図3】本開示の実施形態による、図1の電子装置間の通信中におけるチャネル推定の実行を示す図である。
図4】本開示の実施形態による、図1の電子装置間の通信を示す図である。
図5】本開示の実施形態による、図1の電子装置のうちの1つを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
表1は、本開示の実施形態による、図1の電子装置間の通信中における無線機の使用事例を示すものである。
【0020】
なお、図面全体を通じて、同じ参照番号は対応する部分を示す。さらに、同じ部分の複数の事例については、共通の接頭辞をダッシュ記号によって事例番号から分離したものによって示す。
【0021】
無線通信中の性能を維持するために、送信側電子装置が、受信側電子装置に同時に独立して冗長情報を通信することができる。具体的には、1又は2以上の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信プロトコルを使用する2つの無線機が、1又は2以上のチャネルを用いてデータストリームに関連する情報を受信側電子装置に通信することができる。この通信は、通信中に使用すべきチャネルに関する送信側電子装置と受信側電子装置との間の調整を伴うとともに、通信中に使用すべき、及び/又は受け取った情報を比較すべきチャネルに関する無線機間の調整を伴うものである。無線機が送信するパケットは、優先的に同じ情報を含むことができる(すなわち、1又は2以上のチャネルを介して伝えられる情報は、完全に冗長とすることができる)。さらに、1又は2以上のチャネルに関連する性能測定基準が低下した場合、送信側電子装置は、冗長通信を維持しようと試みることができる。例えば、スループットが閾値未満に低下した場合、送信側電子装置は、異なるチャネルに通信を転送し、或いは1又は2以上のチャネルにおけるパケット内の情報を圧縮することができる。さらに、同時通信により、送信側電子装置は、情報の通信を妨げることなくチャネル推定を実行し、リンク品質を判定し、及び/又は1又は2以上のチャネルに関連するチャネル較正を実行することができる。
【0022】
送信側電子装置は、冗長情報を通信することにより、たとえ送信側電子装置と受信側電子装置との間の接続が失われた場合でも、パケットドロップの可能性を回避又は低減することができる。この結果、送信側電子装置はスループットを維持することができ、従って送信側電子装置及び/又は受信側電子装置を使用している時のユーザ体験を改善することができる。
【0023】
以下の説明では、送信側及び受信側電子装置が、(テキサス州オースティンのWi−Fi(登録商標)アライアンスによる、Wi−Fi(登録商標)と呼ばれることもある)電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格、(ワシントン州カークランドのBluetooth Special Interest Groupによる)Bluetooth(登録商標)及び/又は別のタイプの無線インターフェイスなどの1又は2以上のWLAN通信プロトコルに従ってパケットを通信する無線機を含む。以下の説明では、説明例としてWi−Fiを使用する。しかしながら、様々な通信プロトコルを使用することができる。
【0024】
いくつかの実施形態に従って無線で通信する、送信側電子装置110、(テレビ、セットトップボックスのような消費者電子装置などの)1又は2以上の受信側電子装置112、及び(インターネットなどの有線ネットワークへの接続をもたらす)アクセスポイント114を含むシステム100を示すブロック図である図1に、電子装置間の通信を示す。具体的に言えば、これらの電子装置は、無線で通信すると同時に、無線チャネル上で広告フレームを送信し、無線チャネルをスキャンすることによって互いを検出し、(例えば、アソシエーション要求を送信することによって)接続を確立し、及び/又は(アソシエーション要求及び/又は追加情報をペイロードとして含むことができる)パケットを送受信することができる。
【0025】
以下で図5を参照しながらさらに説明するように、送信側電子装置110、1又は2以上の受信側電子装置112及びアクセスポイント114は、ネットワークサブシステム、メモリサブシステム及びプロセッササブシステムなどのサブシステムを含むことができる。また、送信側電子装置110、1又は2以上の受信側電子装置112及びアクセスポイント114は、ネットワークサブシステム内に無線機116を含むことができる(なお、無線機116は、同じ無線機の例とすることも、又は互いに異なることもできる)。より一般的に言えば、送信側電子装置110、1又は2以上の受信側電子装置112及びアクセスポイント114は、これらが互いに無線で通信できるようにするネットワークサブシステムを有するあらゆる電子装置を含む(又はこのような電子装置に含める)ことができる。この無線通信は、電子装置による初期接続の実行又は互いの検出を可能にするように無線チャネル上で広告を送信した後に、後続する(アソシエーション要求及び応答などの)データ/管理フレームを交換して接続を確立し、セキュリティオプション(例えば、インターネットプロトコルセキュリティ)を構成し、接続を介してパケット又はフレームを送受信することを含むことができる。
【0026】
図1で分かるように、送信側電子装置110内の無線機116−1から(ギザギザの線で表す)無線信号118が送信される。これらの無線信号118は、1又は2以上の受信側電子装置112のうちの少なくとも1つ及び/又はアクセスポイント114(受信側電子装置112−1など)によって受け取られる。具体的には、送信側電子装置110はパケットを送信することができる。これを受けて、1又は2以上の受信側電子装置112のうちの少なくとも1つ及び/又はアクセスポイント114内の(無線機116−5などの)無線機116がこれらのパケットを受け取ることができる。これにより、送信側電子装置110は、受信側電子装置112及び/又はアクセスポイント114に情報を通信することができる。図1には、送信側電子装置110がパケットを送信するように示しているが、送信側電子装置110が1又は2以上の受信側電子装置112及び/又はアクセスポイント114からパケットを受け取ることもできる。
【0027】
説明する実施形態では、送信側電子装置110、1又は2以上の受信側電子装置112及び/又はアクセスポイント114におけるパケット又はフレームの処理が、パケット又はフレームを含む無線信号118を受け取るステップと、受け取った無線信号118からパケット又はフレームを復号/抽出してパケット又はフレームを取得するステップと、パケット又はフレームを処理して、パケット又はフレームに含まれる情報(データストリームに関連する情報など)を判別するステップとを含む。例えば、この情報は、受信側電子装置112のうちの少なくとも1つ、又は受信側電子装置112のうちの少なくとも1つに結合された(テレビなどの)ディスプレイ上に表示されるオーディオ及びビデオを含むことができる。なお、送信側電子装置110と、受信側電子装置112のうちの所与の1つ及び/又はアクセスポイント114(受信側電子装置112−1など)との間の通信は、データ転送速度、(「スループット」と呼ばれることもある)正常な通信のデータ転送速度、(再試行率又は再送率などの)エラー率、等化目標に対する等化信号の平均二乗誤差、符号間干渉、マルチパス干渉、信号対雑音比、アイパターンの幅、(1〜10sなどの)時間間隔中に通信できる推定最大バイト数に対するこの時間間隔中に正常に通信されたバイト数の比率(前者は、チャネル又はリンクの「容量」と呼ばれることもある)、及び/又は(「利用度」とも呼ばれる)推定データ転送速度に対する実際のデータ転送速度の比率、などの様々な性能測定基準によって特性評価することができる。さらに、異なるチャネルに関連する通信中の性能は、個別にモニタすることも、或いはさらに以下で説明するように(例えば、ドロップしたパケットを識別するために)合同でモニタすることもできる。
【0028】
しかしながら、通信中の性能は変化することがあり、例えば、近くに(電子レンジなどの)一時的干渉源が存在することもあり、送信側電子装置110に関連する受信側電子装置112が多すぎることもあり、送信側電子装置110が1又は2以上の受信側電子装置112に通信する必要がある情報量が容量を上回ることもあり、動きが存在することもあり、及び/又は性能に影響し得る別の要因が存在することもある。これによって性能が低下し(或いは送信側電子装置110と受信側電子装置112との間の接続が失われ)、さらには再送されるパケットの数が増加し、従って通信の待ち時間が増加して、受信側電子装置112の(単複の)ユーザの体験を悪化させることがある。例えば、テレビにストリーミングされるビデオの品質が低下し、或いはビデオが中断されることもある。
【0029】
この問題に対処するために、送信側電子装置110は、送信側電子装置110と受信側電子装置112のうちの所与の1つ(受信側電子装置112−1など)との間で冗長的に情報を通信する(図2図4を参照しながら以下でさらに説明する)通信技術を実装することができる。具体的には、送信側電子装置110内の2つの無線機(無線機116−1及び116−2など)が、受信側電子装置112−1との通信又はリンクを確立することができる。これらの各リンクは、送信側電子装置110及び受信側電子装置112−1に関連する(専用ネットワークとすることができる)無線ネットワーク上に別個の又は異なるサービスセット識別子を有することができる。(このネットワークが専用ネットワークである場合、これらのサービスセット識別子を任意の受信側電子装置又は専用ネットワークの外部の受信側電子装置にブロードキャストすることはできない。)その後、無線機116−1及び116−2は、接続内の1又は2以上のチャネル及び1又は2以上のWi−Fi通信プロトコルを用いて、(オーディオ、ビデオ及びさらに一般的にはデータなどの)データストリームに関連する情報を受信側電子装置112−1に通信することができる。(なお、無線機116−1及び116−2は、送信側電子装置110の電源がオンになった時にチャネル較正を実行して1又は2以上の関連する性能測定基準を判定することによって、これらの1又は2以上のチャネルを識別することができる。送信側電子装置110は、パケットの通信中に使用される予定の1又は2以上のチャネルを指定するチャネル情報を受信側電子装置112−1に提供することができる。従って、送信側電子装置110は、どのチャネルを使用すべきかを受信側電子装置112−1に指示することができる。また、残りのチャネルに関する相対的性能情報を記憶して、後述するようにチャネル遷移を導くために使用することもできる。)無線機116−1及び116−2が1又は2以上のチャネルで送信するパケットは、優先的に同じ情報を含むことができ、すなわち1又は2以上のチャネルを介して伝えられる情報は、無線環境内の条件が許す限り完全に冗長とすることができる。例えば、無線機116−1は、情報を含むパケットを1つのチャネルでWi−Fi通信プロトコル(IEEE802.11b又はIEEE802.11nなど)を用いて受信側電子装置112−1に送信することができ、無線機116−2は、同じ情報を含む追加パケットを別のチャネル(すなわち、異なる搬送波周波数を有する異なるチャネル)でWi−Fi通信プロトコルを用いて受信側電子装置112−1に同時に送信することができる。(しかしながら、さらに以下で説明するように、他の実施形態では、無線機116−2が、例えば少なくとも情報の50%などの、少なくとも情報の大部分などの同じ情報の一部しか含まない追加パケットを送信する。さらに、いくつかの実施形態では、無線機116−2が、無線機116−2と同じチャネルで追加パケットを送信し、及び/又は無線機116−1とは異なるWi−Fi通信プロトコルを使用する。)Wi−Fi通信プロトコルでは、(開示する通信技術のように)送信側電子装置110と受信側電子装置112−1との間の調整を行わない限り、このような特定のチャネル上での同時通信は不可能である。なお、1つのチャネルでの無線機116−1によるパケットの通信は、無線機116−2による他のチャネルでの追加パケットの通信とは無関係とすることができる。
【0030】
さらに、1つのチャネルに関連する受信側電子装置112−1との接続が失われた場合、又は他のチャネルに関連する受信側電子装置112−2との接続が失われた場合には、追加パケット又はパケットの残りの通信が、中断及び送信側電子装置110によるさらなる動作を行わずに受信側電子装置112−1に情報(又は情報の少なくとも大部分)が通信されることをそれぞれ保証する。
【0031】
一方で、1又は2以上のチャネルに関連する1又は2以上の性能測定基準が低下した場合、送信側電子装置110は、情報の冗長通信を維持しようと試みることができる。例えば、無線機116−1は、1つのチャネルに関連する受信側電子装置112−1との接続が失われた時、及び/又はそのチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下した時に、パケットの通信を(無線機116−1が使用するチャネル又は無線機116−2が使用する他のチャネル以外の)第3のチャネルに転送することができる。例えば、性能測定基準はスループットとすることができ、無線機116−1は、受信側電子装置112−1における上質のビデオ再生を保証する(35Mbpsなどの)最小値又は閾値未満にスループットが低下した時に、通信を転送又はハンドオフすることができる。或いは、無線機116−1は、利用可能なチャネルの以前に特性評価された性能測定基準未満にスループットが低下した時に通信を転送することもできる。無線機116−2によるパケットの同時(及び冗長)通信は、無線機116−1による転送中に、受信側電子装置112−1に中断なく情報が通信されることを保証することができる。同様に、無線機116−2は、他のチャネルに関連する受信側電子装置112−1との接続が失われた時、及び/又は他のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が(無線機116−1が使用する接続の性能測定基準に関連する閾値と同じであることも又は異なることもできる)別の閾値未満に低下した時に、(無線機116−2が使用する他のチャネル、又は無線機116−1が使用するチャネル又は第3のチャネル以外の)第4のチャネルにパケットの通信を転送することもできる。この場合も、無線機116−1によるパケットの同時(及び冗長)通信は、無線機116−2による転送中に、受信側電子装置112−1に中断なく情報が通信されることを保証することができる。従って、この同時通信は、無線機116−1及び116−2が1又は2以上のWi−Fi通信プロトコルを使用している間のパケット通信のシームレスな(すなわち、遅延のない)ハンドオフを可能にすることができる。(なお、チャネルのハンドオフは、動的ホスト構成プロトコルの再認証又は使用を不要とすることができる。)さらに、無線機116−1及び116−2によるパケットの通信は互いに無関係であるため、これらの無線機によるハンドオフは、互いに独立して行うことができる。(いくつかの実施形態では、第3のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が、第1のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回った時に、無線機116−1が第3のチャネルに通信を転送する。同様に、無線機116−2は、第4のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が第2のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準を上回った時に第4のチャネルに通信を転送することができる。これらの転送は、チャネルの所定の特性評価、及び/又は以下でさらに説明するように接続の動的品質評価に基づくことができる。)
【0032】
なお、送信側電子装置110は、第1のチャネル又は第2のチャネルからのハンドオフ(或いは転送又は切り替え)前に、受信側電子装置112−1に、第3のチャネル又は第4のチャネルを指定するチャネル情報を指示又は提供することができる。従って、(送信側電子装置110がホップを実行した後に受信側電子装置112−1がスキャンを実行して新たなチャネルを発見して送信側電子装置110との接続を再取得するのとは対照的に)送信側電子装置110と受信側電子装置112−1との間の調整が存在することができる。また、無線機116−1、116−2、116−3及び116−4間にも調整が存在することにより、冗長的に情報を通信する能力を低下させたはずのこれらの無線機による同じチャネルの使用を(可能な場合)回避できるようにもなる。
【0033】
これとは別に、又はこれに加えて(使用できるさらに良好な遷移先のチャネルが存在しない場合などに)、送信側電子装置110は、無線機116−1が送信するパケットに含まれている情報、及び/又は無線機116−2が送信するパケットに含まれている情報を圧縮することができる。従って、送信側電子装置110と受信側電子装置112−1との間の一方又は両方の接続において圧縮を使用することができる。この圧縮は、1つのチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が閾値未満に低下した時、及び/又は他のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が他の閾値未満に低下した時に行うことができる。圧縮は、1つのチャネルを介した通信に関連する性能測定基準及び他のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準における概ね共通のマージンを維持することができる。例えば、共通のマージンは、35Mbpsなどの最低スループットを10〜30%上回ることとすることができる。なお、1つのチャネルのパケット内の情報及び他のチャネルのパケット内の情報には、同じ又は異なる圧縮技術を使用することができる。さらに、この(単複の)圧縮技術は、可逆的又は不可逆的とすることができる。具体的には、当初は圧縮技術を可逆的とし、低下が大きくなりすぎた場合には(パケットを1つおきに送信すること、又はMPEGビデオ内のIフレームのみを送信することなどの)不可逆的圧縮技術を使用することができる。従って、送信側電子装置110は、低下が増すにつれて冗長通信をシームレスかつ正常に妨げようと試みることができる。
【0034】
さらに、送信側電子装置110は、無線機116−1及び116−2が送信するパケット内の情報を符号化することもできる。無線機116−1及び116−2が送信するパケットに使用する符号化は、同じであることも又は異なることもできる。例えば、無線機116−1は、無線環境内の(1つのチャネル及び他のチャネルに関連する性能測定基準などの)条件に応じて、無線機116−2とは異なる変調符号化スキームインデックス値を使用することができる。いくつかの実施形態では、送信側電子装置110が、無線機116−1が通信するパケットと、無線機116−2が通信するパケットとを共に符号化し、無線機116−1及び116−2による同時通信に基づいて(符号化)情報ゲイン及び/又は誤り訂正を提供する。従って、いくつかの実施形態では、無線機116−1及び116−2が通信するパケットを、(たとえ送信側電子装置110と受信側電子装置112−1との間の通信中に複数のチャネルが使用される場合でも)あたかも1つのチャネルで通信されたかのように符号化することができる。
【0035】
送信側電子装置110は、1又は2以上のチャネルに関連する1又は2以上の性能測定基準が低下した時に、情報の冗長通信を維持しようと試みることができるが、(1つのチャネル及び他のチャネルの一方の性能測定基準が閾値を下回った時などのように)この低下が十分に深刻な場合には、もはやこの維持が不可能になる場合もある。この場合、送信側電子装置110は、受信側電子装置112−1のユーザに(性能の低下を説明できる、及び/又は是正措置を提案できる)通信警告メッセージを表示して、無線機116−1がパケットを介して通信する情報、及び無線機116−2がパケットを介して通信する情報の冗長通信を選択的に中断することができる。具体的には、1つのチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が閾値を下回った時、及び/又は他のチャネルを介した通信に関連する性能測定基準が他の閾値を下回った時に、冗長通信を選択的に中断することができる。なお、冗長通信の選択的中断は、無線機116−1又は116−2が送信する全てのパケットに適用することも、或いはパケット毎に動的に適用することもできる。
【0036】
無線機116−1及び116−2による同時通信は、動的無線環境におけるロバストな通信を提供することに加え、さらなるモニタリング及びサービス品質(QoS)の特性評価を容易にすることにより、所与の時点で利用できる最良のチャネルの識別を可能にすることもできる。例えば、送信側電子装置110は、受信側電子装置112−1からの受信パケットに関する(確認応答メッセージなどの)フィードバックを比較することにより、無線機116−1が通信するパケット内及び/又は無線機116−2が通信するパケット内のドロップアウトを検出することができる。(これとは別に、又はこれに加えて、パケット内の受信ペイロードの比較などの、無線機116−1及び116−2間の調整を通じて誤りを検出することもできる。)従って、1つのチャネル及び他のチャネルに現在のところ100%の冗長が存在し、無線機116−1が送信したパケットA、B、C及びDが受け取られ、無線機116−2が送信したパケットB及びDしか受け取られなかった場合、送信側電子装置110は、無線機112−2による通信中にパケットA及びCがドロップしたと結論付けることができる。この能力、及び後述する1又は2以上のQoS特性評価技術は、スループットの継続的なチャネルモニタリングを可能にすることにより、(閾値と、現在の接続に関連するチャネルを介した通信に関連する現在の性能測定基準とを上回る性能測定基準を有するチャネルなどの)性能が改善された異なるチャネルへの遷移を可能にすることができる。
【0037】
さらに、以下で図3を参照しながら説明するように、送信側電子装置110は、この同時通信により、チャネル推定の実行、リンク品質の判定、チャネル較正の実行、及び/又は少なくとも1つのチャネル及び/又は他のチャネルに関連するスペクトル分析の実行などの1又は2以上のQoS特性評価技術のうちの少なくとも1つを、情報の通信を妨げることなく実行することができる。(或いは、送信側電子装置110は、これらのQoS特性評価技術のうちの少なくとも1つを、Wi−Fi通信プロトコルに関連するチャネル上で実行することができる。)例えば、無線機116−1及び116−2の一方(例えばスループットが高く、従ってマージンが高いなどの、性能測定基準値が高い方の無線機など)は、送信側電子装置110と受信側電子装置112−1との間の情報の通信中に、パケットの送信を一時的に中止して、Wi−Fi通信プロトコルに関連するチャネルの(チャネル毎の)フルスキャンを実行することができる。その後、離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)を用いてスペクトル分析を実行し、スペクトル及び/又はパワースペクトル密度を計算することができる。或いは、無線機116−1及び116−2の一方が、パケットの送信間の時間間隔又は時間的空白中にチャネル推定を実行し、リンク品質を判定し、チャネル較正を実行し、及び/又はスペクトル分析を実行することもできる。図1に示す(通信技術を実装する)システム100のプロバイダは、送信側電子装置110及び受信側電子装置112−1を制御することができるので、このチャネルのQoS特性評価は、(たとえこのようなQoS特性評価が既存のIEEE802.11規格に含まれていない場合でも)情報の通信中に、引き続きWi−Fi通信プロトコルと互換性のある形で行うことができる。具体的に言えば、プロバイダは、QoS特性評価の実行時にこれらの電子装置間の通信を調整することができる。(従って、QoS特性評価は、第1のチャネル又は第2のチャネルを介した受信側電子装置112−1との接続を送信側電子装置110がドロップ又は破棄する必要なく行うことができる。)なお、QoS特性評価は、データストリームの送信と共に少なくとも毎秒1回などのリアルタイムで実行することができる。
【0038】
一例として図1に示すネットワーク環境を説明しているが、別の実施形態では、異なる数又はタイプの電子装置が存在することができる。例えば、いくつかの実施形態は、これより多くの又は少ない電子装置を含むことができる。他の例として、別の実施形態では、異なる電子装置がパケット又はフレームの送信及び/又は受信を行う。受信側電子装置112は、単一の無線機116の例を含むように示しているが、他の実施形態では、受信側電子装置112が複数の無線機を含むこともできる。
【0039】
図2は、送信側電子装置110及び受信側電子装置112−1(図1)などの送信側電子装置から受信側電子装置にデータストリームに関連する情報を通信する方法200を示すフロー図の実施形態である。動作中、送信側電子装置は、チャネル特性評価を実行して(動作210)、その後の通信において使用するチャネルを識別する。次に、送信側電子装置は、その後の通信中に使用する予定の選択されたチャネルに関する情報又は指示を受信側電子装置に通信することができる。また、送信側電子装置は、送信側電子装置の入力ポートを介して、データストリームに関連する情報を受け取ることができる。
【0040】
さらに、送信側電子装置は、送信側電子装置の(第1の無線機の)第1のインターフェイス回路と第1のWLAN通信プロトコルとを使用する第1のチャネルを介して、データストリームに関連する情報を含む第1のパケットを受信側電子装置に通信する(動作212)。さらに、送信側電子装置は、送信側電子装置の(第2の無線機の)第2のインターフェイス回路と第2のWLAN通信プロトコルとを使用する第2のチャネルを介して、データストリームに関連する情報の少なくとも一部(情報の少なくとも大部分など)を含む第2のパケットを受信側電子装置に同時に通信する(動作216)。
【0041】
例えば、第1のチャネルは、第2のチャネルと異なることができる。しかしながら、他の実施形態では、第1のチャネルを第2のチャネルと同じにすることもできる。さらに、第1のインターフェイス回路及び第2のインターフェイス回路は、同じWLAN通信プロトコルを使用する(すなわち、第1のWLAN通信プロトコルを第2のWLAN通信プロトコルと同じにする)ことも、或いは異なるWLAN通信プロトコルを使用する(すなわち、第1のWLAN通信プロトコルを第2のWLAN通信プロトコルと異なるようにする)こともできる。さらに、いくつかの実施形態では、第2のパケットが、その情報を含む(すなわち、通信を完全に又は100%冗長にする)ことも、又は情報の一部のみを含む(すなわち、通信を部分的に冗長とする)こともできる。
【0042】
送信側電子装置は、通信(動作212又は動作216)に関連する性能測定基準が低下した(又は、別のチャネルを介した改善された通信が利用可能である)と判断した場合(動作220)、是正措置を実行することができる(動作222)。例えば、送信側電子装置は、以前に判定されたチャネル特性評価(動作210)に基づいて、現在さらに良好な性能を有する異なるチャネルに通信(動作212又は216)を転送することができる。上述したように、送信側電子装置は、受信側電子装置に、異なるチャネルを指定する指示を与え、又は情報を通信することができる。これとは別に、又はこれに加えて、送信側電子装置は、通信される情報(動作212又は216)を圧縮することもできる。
【0043】
さらに、通信(動作212又は216)中、送信側電子装置は、情報の通信を妨げることなく任意にQoS特性評価(動作214及び/又は218)を実行することができる。このQoS特性評価は、チャネル特性評価の更新を可能にすることができる。これとは別に、又はこれに加えて、QoS特性評価は、通信(動作212又は216)の最適化を可能にすることもできる。
【0044】
なお、方法200は、通信すべき追加情報が存在する限り(動作224)続行することができる。
【0045】
このように、送信側電子装置(例えば、インターフェイス回路、ドライバ、及び/又は送信側電子装置の環境内で実行されるソフトウェア)は、1又は2以上の受信側電子装置との通信を容易にすることができる。具体的に言えば、送信側電子装置は、受信側電子装置に個別に、同時に、冗長的に情報を通信して、信頼できる高品質な通信を保証することができる。これにより、(受信側電子装置におけるビデオ表示の際などの)サービスの待ち時間及び/又は中断が減少し、従って送信側電子装置を介して通信する際のユーザ体験を改善することができる。
【0046】
方法200(図2)のいくつかの実施形態では、さらなる又はこれよりも少ない動作が存在することができる。さらに、動作の順序は変更することができ、及び/又は2又は3以上の動作を1つの動作に組み合わせることもできる。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態では、送信側電子装置が、最大4つの無線ストリームをサポートし、1ストリーム当たり少なくとも35Mbps(ただし、この値は例示であり、他の値を使用することもできる)の目標最低スループットを有し、個別の周波数計画を容易にし、干渉の存在下でロバスト性を提供し、及び/又は冗長情報を提供するように設計される。送信側電子装置は、4つの無線機を含むことができる。これらの無線機のうちの3つが、1又は2以上のWi−Fi通信プロトコルをサポートすることができ、及び/又は(3×3構成などの)多入力多出力(MiMo)通信技術を使用することができるので、空間ダイバーシチ及び/又はビームフォーミングを用いて通信性能を改善することができる。残りの無線機は、Bluetoothを使用することができる。
【0048】
表1に、いくつかの実施形態による、図1の電子装置間の通信中における無線機の使用事例を示す。具体的には、3つの無線機が、情報の完全冗長通信をサポートすることができる。例えば、データストリームが1つの場合には、(表1の二次1によって示すように)無線機2が、無線機1と同じ情報を冗長的に通信することができる。対応する利用可能なリンク帯域幅は、1つのデータストリームの場合の450Mbpsから、2つのデータストリームの場合には157Mbpsに低下し、3つのデータストリームの場合には、無線機1及び2で157Mbpsに、無線機3で75Mbpsに低下し、4つのデータストリームの場合には、無線機1及び2で112Mbpsに、無線機3で75Mbpsに低下し得る。なお、冗長情報は、2つよりも多くの無線機を用いて通信することができる。例えば、冗長能力が限られている場合には、3つの無線機を用いて冗長情報を通信することができる。具体的には、第2及び第3の無線機が冗長情報を通信することができる。
表1
【0049】
また、上述したように、冗長通信は、通信において使用するチャネル及び/又はWi−Fi通信プロトコルに関連するチャネルのQoS特性評価を容易にすることができる。具体的には、送信側電子装置と受信側電子装置との間の通信中、QoS特性評価は、(所与のチャネルについて、受信側電子装置までの距離を推定し、関連する位相歪みを求めることなどの)チャネル推定、リンク品質、(受信側電子装置までの推定距離及び関連する位相歪みに基づいて、所与のチャネルの送信電力及び位相を求めることなどの)チャネル較正、及び/又はスペクトル分析を含むことができる。図3にチャネル推定を示す。具体的には、図3に示すように、送信側電子装置110は、受信信号強度インジケータ(RSSI)、より一般的には受信エネルギー又は電力を用いて、受信側電子装置112までの距離を粗く推定することができる。例えば、推定される距離損失に基づいて、関連するRSSIが−50dBmである受信側電子装置112−2の方が、関連するRSSIが−70dBmである受信側電子装置112−1よりも近いと推定することができ、後者は、関連するRSSIが−100dBmである受信側電子装置112−3よりも近いと推定することができる。
【0050】
このチャネル推定を、到来角(AOA)、ラウンドトリップ時間(RTT)及び/又は到着時刻(TOA)に基づくRSSI測距を用いて精細化して、受信側電子装置に対する相対的位置(前/後)及び角度を特定することができる。具体的には、AOAは、受信機回路からの位相情報を用いて、その位相に対する所与のチャネルの影響を推定することができる。さらに、RTTは、送信要求(RTS)メッセージ及び送信可(CTS)メッセージに基づくことができ、送信側電子装置110による、受信側電子装置112のうちの所与の1つまでの距離についての片側計算の実行を可能にすることができる。或いは、TOAは、通信されるパケット内のタイムスタンプに基づくことができ、送信側電子装置110と、受信側電子装置112のうちの所与の1つとによる協調計算を伴うことができる。
【0051】
なお、リンク品質は、伝送制御プロトコル(TCP)/ユーザデータグラムプロトコル(UDP)測距を用いて判定することができる。具体的に言えば、送信側電子装置110は、ネットワークテストツールであるIperfを用いてTCPデータストリーム及びUDPデータストリームを生成した後に、これらのデータストリームを受信側電子装置112のうちの所与の1つに伝えるネットワークのスループットを測定することができる。
【0052】
さらに、送信側電子装置110は、受信側電子装置112のうちの所与の1つとの通信中に1又は2以上のチャネルに関連する時間領域信号を取り込んだ後にDFT又はFFTを実行することによってスペクトル分析を実行することもできる。結果として得られるスペクトル又はパワースペクトル分布を用いて、1又は2以上のチャネルを特性評価し(例えば、隠れノードを識別し)、及び/又は通信を最適化することができる。
【0053】
例示的な実施形態では、無線環境内の条件が許す限り、冗長通信が優先的に使用される。通信技術を実装する送信側電子装置は、性能が低下するにつれて冗長通信を正常に妨げることができる。このように、送信側電子装置は、冗長通信の利点をできる限り長く維持することができる。例えば、送信側電子装置は、リンク上のTCPスループットが少なくとも35Mbps(この値は例示として使用するものであり、すなわち、他の最低スループット値を使用することもできる)である限り、完全な(又は100%の)冗長性を維持することができる。
【0054】
送信側電子装置は、さらに良好なスループットを異なるチャネル上で達成できると判断した場合、完全な冗長性で利用できる最も高いスループットのチャネルを有するために、さらに良好なチャネルにシームレスに移行することができる。しかしながら、送信側電子装置は、最低スループット又は最低帯域幅要件を達成するために利用できるチャネルが他に存在しない実施形態では、異なるシナリオに従って通信を修正することができる。
【0055】
具体的には、1又は2以上の(ビデオストリームなどの)データストリームが必要とする総帯域幅が現在の帯域幅の80%未満である限り、送信側電子装置は完全な冗長性を維持することができる。例えば、リンク帯域幅が(10Mbpsなどの)35Mbps未満に低下したものの、2つのデータストリームが合わせて5Mbpsしか必要としない場合、2つのデータストリームが必要とする総帯域幅は、現在利用可能な総帯域幅の50%しか必要としていないので、送信側電子装置は、何の対策を行わなくてもよい。
【0056】
しかしながら、アクティブなデータストリームが必要とする総帯域幅が現在利用可能な帯域幅の80%を超える場合、送信側電子装置は、各ストリームに少なくとも2Mbpsが確保されるように、データストリームを知的に圧縮しようと試みることができる。例えば、合計で9Mbpsの帯域幅が存在する場合、送信側電子装置は、各データストリームにとって必要な2Mbpsの最低帯域幅を各データストリームができる限り上回るように、データストリームを均等に/知的に圧縮することができる。或いは、3Mbpsを使用する第1のデータストリームと、1.5Mbpsを使用する第2のデータストリームと、7Mbpsを使用する第3のデータストリームとを含む3つのデータストリームが存在すると仮定する。第3のデータストリームは、他のデータストリームに比べて(最低の2Mbpsをはるかに上回る)かなりの量の帯域幅を占めるので、送信側電子装置は、アクティブなデータストリームが必要とする総帯域幅が、現在利用可能な帯域幅の80%未満になるように、第3のデータストリームを2.5Mbpsに圧縮し、第1のデータストリームを2.4Mbpsに圧縮しようと試みる一方で、第2のデータストリームを1.5Mbpsに留めておくことができる。
【0057】
送信側電子装置は、圧縮したにも関わらず、複数のデータストリームを送信できず、2つのスペクトル内のいずれかのチャネル上でスループットの80%を維持できない場合、各データストリームにつき少なくとも2Mbpsの最低値を維持するために、データストリームの冗長性を下げ始めることができる。送信側電子装置は、送信側電子装置又は(テレビなどの)受信側電子装置上に、QoSに対する影響の度合い、無線性能が悪化した旨及び/又は是正措置を示すことができる通信警告メッセージを表示することにより、最終顧客(すなわち、送信側電子装置及び/又は受信側電子装置のユーザ)に警告を行うことができる。
【0058】
この時点で、送信側電子装置は、非冗長的にデータストリームを通信することができる。しかしながら、冗長通信の不在時には、最終顧客が、パケットのドロップ、接続の喪失などを被ることもある。
【0059】
送信側電子装置110と受信側電子装置112−1(図1)との間の通信を示す図面である図4に、通信技術の実施形態をさらに示す。具体的には、送信側電子装置110内のプロセッサ410が、一方又は両方のインターフェイス回路412による受信側電子装置112−1とのパケット414の通信に関連するフィードバック情報416に基づいて、1又は2以上のWLAN通信プロトコルに関連するチャネルの特性評価を行うことができる418。次に、プロセッサ410は、その後の通信で使用する1又は2以上のチャネルを選択することができ420、インターフェイス回路412内のメモリにチャネル情報422を記憶することができる。
【0060】
さらに、インターフェイス回路412−1は、選択された1又は2以上のチャネル内の第1のチャネルと、第1のWLAN通信プロトコルとを介して、データストリームに関連する情報を含むパケット424を受信側電子装置112−1に通信することができる。さらに、インターフェイス回路412−2は、選択された1又は2以上のチャネル内の第2のチャネルと、第2のWLAN通信プロトコルとを介して、データストリームに関連する情報の少なくとも一部を含むパケット426を同時に単独で受信側電子装置112−1に通信することができる。
【0061】
インターフェイス回路412のうちの1つ(インターフェイス回路412−1など)は、通信に関連する性能測定基準が低下した428(或いは、別のチャネルを介した改善された通信が利用可能である)と判断した場合、是正措置430を行うことができる。例えば、インターフェイス回路412−1は、記憶されているチャネル情報にアクセスし、その後の受信側電子装置112−1とのパケット432の通信において使用する異なるチャネルを選択することができる。パケット424及び426の通信は、互いに無関係とすることができるので、インターフェイス回路412は、互いに別個に独立して(パケット432の通信に使用する異なるチャネルなどの)別のチャネルにハンドオーバすることができる。
【0062】
さらに、通信中、インターフェイス回路412の一方又は両方(インターフェイス回路412−2など)は、情報の通信を妨げることなくQoS特性評価を実行することができる。例えば、インターフェイス回路412−2は、インターフェイス回路412−1が情報を含むパケット432を通信している間にQoS特性評価436を実行することができる。このQoS特性評価は、チャネル推定の実行、リンク品質の判定、チャネル較正の実行、及び/又はスペクトル分析の実行を含むことができる。従って、QoS特性評価434は、記憶されているチャネル情報436を更新することができる。
【0063】
次に、電子装置の実施形態について説明する。図5は、図1の送信側電子装置110、又は受信側電子装置112のうちの1つなどの電子装置500を示すブロック図である。この電子装置は、処理サブシステム510、メモリサブシステム512及びネットワークサブシステム514を含む。処理サブシステム510は、計算動作を実行するように構成された1又は2以上の装置を含む。例えば、処理サブシステム510は、1又は2以上のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、プログラマブル論理装置、及び/又は1又は2以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含むことができる。
【0064】
メモリサブシステム512は、処理サブシステム510及びネットワークサブシステム514のためのデータ及び/又は命令を記憶する1又は2以上の装置を含む。例えば、メモリサブシステム512は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、及び/又は他のタイプのメモリを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリサブシステム512内の処理サブシステム510のための命令が、処理サブシステム510が実行できる(プログラムモジュール522又はオペレーティングシステム524などの)1又は2以上のプログラムモジュール又は命令セットを含む。なお、1又は2以上のコンピュータプログラムは、コンピュータ−プログラム機構を構成することができる。さらに、メモリサブシステム512の様々なモジュール内の命令は、高水準手続き型言語、オブジェクト指向型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ言語又は機械語で実装することができる。さらに、プログラミング言語は、コンパイル又は解釈することができ、例えば処理サブシステム510によって実行されるように構成可能であり、又は構成することができる(本説明では、これらを同義的に使用することができる)。
【0065】
また、メモリサブシステム512は、メモリへのアクセスを制御する機構を含むこともできる。いくつかの実施形態では、メモリサブシステム512が、電子装置500のメモリに結合された1又は2以上のキャッシュを含むメモリ階層を含む。これらの実施形態の一部では、これらのキャッシュのうちの1つ又は2つ以上が処理サブシステム510内に配置される。
【0066】
いくつかの実施形態では、メモリサブシステム512が、1又は2以上の高容量の大容量記憶装置(図示せず)に結合される。例えば、メモリサブシステム512は、磁気又は光学ドライブ、半導体ドライブ、又は別のタイプの大容量記憶装置に結合することができる。これらの実施形態では、電子装置500が、使用頻度の高いデータのための高速アクセスストレージとしてメモリサブシステム512を使用できるのに対し、大容量記憶装置は、使用頻度の低いデータの記憶に使用される。
【0067】
ネットワークサブシステム514は、有線及び/又は無線ネットワークに結合してこれらのネットワーク上で通信するように(すなわち、ネットワーク動作を実行するように)構成された、制御ロジック516、インターフェイス回路518及び関連するアンテナ520を含む1又は2以上の装置を含む。(図5には、アンテナ520が含まれているが、いくつかの実施形態では、電子装置500が、例えばアンテナ520に結合できるパッドなどの、ノード508などの1又は2以上のノードを含む。従って、電子装置500は、アンテナ520を含むことも、又は含まないこともできる。)例えば、ネットワークサブシステム514は、Bluetoothネットワーキングシステム、セルラーネットワーキングシステム(例えば、UMTS、LTEなどの3G/4Gネットワーク)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワーキングシステム、IEEE802.11に記載されている規格に基づくネットワーキングシステム(例えば、Wi−Fiネットワーキングシステム)、イーサネットネットワーキングシステム、及び/又は別のネットワーキングシステムを含むことができる。なお、インターフェイス回路518のうちの所与の1つとアンテナ520のうちの少なくとも1つとの組み合わせは無線機を構成する。
【0068】
ネットワークサブシステム514は、各サポートされているネットワーキングシステムに結合し、このようなネットワーキングシステム上で通信し、このようなネットワーキングシステムのためのデータ及びイベントを処理するために使用されるプロセッサ、コントローラ、無線機/アンテナ、ソケット/プラグ、及び/又は他の装置を含む。なお、各ネットワークシステムのネットワークに結合し、このようなネットワーク上で通信し、このようなネットワーク上のデータ及びイベントを処理するために使用される機構は、ネットワークシステムのための「ネットワークインターフェイス」と総称されることもある。さらに、いくつかの実施形態では、電子装置間の「ネットワーク」が存在しないこともある。従って、電子装置500は、ネットワークサブシステム514内の機構を、例えば広告又はビーコンフレームの送信、及び/又は上述したような他の電子装置によって送信された広告フレームのスキャニングなどの、電子装置間の単純な無線通信に使用することができる。
【0069】
電子装置500内では、処理サブシステム510、メモリサブシステム512及びネットワークサブシステム514が、バス528を用いて互いに結合される。バス528は、サブシステムがコマンド及びデータを互いに通信するために使用できる電気的接続、光学的接続及び/又は電気光学的接続を含むことができる。明確化のために1つのバス528しか示していないが、異なる実施形態は、サブシステム間の異なる数又は構成の電気的接続、光学的接続及び/又は電気光学的接続を含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、電子装置500が、ディスプレイ上に(通信警告メッセージなどの)情報を表示するためのディスプレイサブシステム526を含み、ディスプレイサブシステム526は、ディスプレイドライバと、液晶ディスプレイ、マルチタッチ画面などのディスプレイとを含むことができる。
【0071】
電子装置500は、少なくとも1つのネットワークインターフェイスを有するあらゆる電子装置とすることができる(又はこのような電子装置に含めることができる)。例えば、電子装置500は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サブノートブック/ネットブック、サーバ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、(テレビ、セットトップボックス、オーディオ装置、ビデオ装置などの)消費者電子装置、ポータブルコンピュータ装置、アクセスポイント、ルータ、スイッチ、通信設備、試験設備、及び/又は別の電子装置とすることができる(又はこのような電子装置に含めることができる)。
【0072】
特定の構成要素を用いて電子装置500を説明しているが、別の実施形態では、電子装置500内に異なる構成要素及び/又はサブシステムが存在することもできる。例えば、電子装置500は、1又は2以上のさらなる処理サブシステム510、メモリサブシステム512、ネットワークサブシステム514、及び/又はディスプレイサブシステム526を含むことができる。さらに、アンテナ520のうちの1つがインターフェイス回路518のうちの所与の1つに結合されたものを示しているが、インターフェイス回路518のうちの所与の1つに複数のアンテナが結合されることもある。例えば、3×3無線機の例は、3つのアンテナを含むことができる。また、電子装置500内にサブシステムのうちの1つ又は2つ以上が存在しないこともある。さらに、いくつかの実施形態では、電子装置500が、図5に示していない1又は2以上のさらなるサブシステムを含むこともできる。また、図5には別個のサブシステムを示しているが、いくつかの実施形態では、所与のサブシステム又は構成要素のうちの一部又は全部を、電子装置500内の他のサブシステム又は構成要素のうちの1つ又は2つ以上に統合することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、プログラムモジュール522がオペレーティングシステム524に含まれる。
【0073】
さらに、電子装置500内の回路及び構成要素は、バイポーラ、PMOS及び/又はNMOSゲート又はトランジスタを含むアナログ及び/又はデジタル回路のあらゆる組み合わせを用いて実装することができる。さらに、これらの実施形態における信号は、近似的な離散値を有するデジタル信号、及び/又は連続値を有するアナログ信号を含むことができる。また、構成要素及び回路は、シングルエンド型又はディファレンシャル型とすることができ、電源は、ユニポーラ型又はバイポーラ型とすることができる。
【0074】
1又は2以上の無線機などのネットワークサブシステム514の機能の一部又は全部は、集積回路によって実装することができる。さらに、集積回路は、電子装置500からの無線信号の送信、及び電子装置500における他の電子装置からの信号の受信に使用されるハードウェア機構及び/又はソフトウェア機構を含むこともできる。無線機については、本明細書で説明した機構を除いて当業で一般的に知られており、従って詳細に説明しない。一般に、ネットワークサブシステム514及び/又は集積回路は、あらゆる数の無線機を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、ネットワークサブシステム514及び/又は集積回路が、所与のチャネル上(例えば、所与の搬送波周波数)で送信及び/又は受信を行うように無線機を構成する(1又は2以上のハードウェア機構及び/又はソフトウェア機構などの)構成機構を含む。例えば、いくつかの実施形態では、この構成機構を用いて、無線機を所与のチャネル上でのモニタリング及び/又は送信から異なるチャネル上でのモニタリング及び/又は送信に切り替えることができる。(なお、本明細書で使用する「モニタリング」は、他の電子装置からの信号の受信、及び場合によっては受信信号に対する、受信信号が広告フレームを含むかどうかの判定、性能測定基準の計算、スペクトル分析の実行などの1又は2以上の処理動作の実行を含む)。さらに、図5には示していないが、ネットワークサブシステム514は、データストリームの形で情報を受け取る少なくとも1つの入力ポートを含むことができる。
【0076】
Wi−Fiとの互換性がある通信プロトコルを説明例として使用したが、説明した通信技術の実施形態は、様々なネットワークインターフェイスで使用することができる。さらに、上述した実施形態の動作の一部は、ハードウェア又はソフトウェアに実装されたものであるが、一般に上記の実施形態の動作は、様々な構成及びアーキテクチャに実装することができる。従って、上記の実施形態における動作の一部又は全部は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの両方で実行することができる。例えば、通信技術における動作の少なくとも一部は、プログラムモジュール522、(インターフェイス回路518のためのドライバなどの)オペレーティングシステム524を用いて、及び/又はインターフェイス回路518内のファームウェアに実装することができる。これとは別に、又はこれに加えて、通信技術における動作の少なくとも一部は、インターフェイス回路518内のハードウェアなどの物理層に実装することもできる。
【0077】
上記の説明では、「いくつかの実施形態」という言及を行った。「いくつかの実施形態」は、全ての考えられる実施形態の一部を示すものであるが、常に実施形態の同じ一部を指定しているわけではない。
【0078】
上述した説明は、あらゆる当業者による本開示の実施及び使用を可能にすることを意図したものであり、特定の用途及びその要件との関連において行ったものである。さらに、本開示の実施形態についての上述した説明は、例示及び説明のみを目的として示したものである。これらの説明は完全なものではなく、又は開示した形態に本開示を限定するものでもない。従って、当業者には多くの修正及び変形が明らかになり、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で定義した一般的原理を他の実施形態及び用途に適用することもできる。また、上記の実施形態についての説明は、本開示を限定するものではない。従って、本開示は、図示の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示した原理及び特徴に一致する最も広い範囲を認められるべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5