特許第6683714号(P6683714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683714レーダの鉛直方向のミスアライメントの検出のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683714
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】レーダの鉛直方向のミスアライメントの検出のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   G01S7/40 134
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-536277(P2017-536277)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公表番号】特表2018-508756(P2018-508756A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016050417
(87)【国際公開番号】WO2016120051
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年9月5日
(31)【優先権主張番号】14/609,808
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボーティ,バーヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】シュウィンドゥト,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ビュックナー,ケヴィン
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−014593(JP,A)
【文献】 特開2014−153256(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008054579(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102006058303(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0057293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S 13/00−13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたレーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出するためのシステムであって、
コントローラを備え、当該コントローラが、
(a)ターゲットから反射された複数のレーダ信号を、前記車両及び前記ターゲットの一方が移動するときに前記レーダセンサから受信し、
(b)前記複数の反射されたレーダ信号の1つに各々が対応する複数のデータポイントを決定し、
(c)前記複数のデータポイントに基づいて曲線を決定し、
(d)前記曲線を、予め記録された複数の曲線の1つに照合し、そして、前記予め記録された複数の曲線の1つに関連する角度を前記レーダセンサの鉛直方向アライメント角度として決めることにより前記レーダセンサの鉛直方向のアライメント角度を決定し、
(e)前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度を前記レーダセンサの動作範囲と比較し、且つ、
(f)前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度が前記動作範囲外にある場合、前記レーダセンサのミスアライメントに対処するために修正措置を行うように構成されており、前記複数のデータポイントの各々が、前記複数の反射されたレーダ信号の1つに関する電力レベル及び水平角度を含み、
前記コントローラが、さらに、前記レーダセンサの右側に関連する第1の鉛直方向アライメント角度を決定するためにステップ(a)〜(c)を実行し、且つ、前記レーダセンサの左側に関連する第2の鉛直方向アライメント角度を決定するために前記ステップ(a)〜(c)を実行し、且つ、前記レーダセンサの回転ミスアライメントを、前記第1の鉛直方向アライメント角度及び前記第2の鉛直方向アライメント角度に基づいて決定するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記電力レベルが、補償された電力レベルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、さらに、前記複数のデータポイントを正規化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、さらに、前記複数のデータポイントの個数が予め決められた閾値を超えたときに前記曲線を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記複数のデータポイントに基づいて前記曲線を決定するように構成されており、当該決定が、前記複数のデータポイントを、前記複数のデータポイントの各々に関連付けられた水平角度に基づいて分類し、各カテゴリに含まれる前記データポイントを平均化して複数の平均データポイントを作成し、そして、前記複数の平均データポイントに基づいて前記曲線を決定することにより行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記複数のデータポイントを、前記複数のデータポイントの各々に関連付けられた前記水平角度に基づいて分類するように構成されており、当該分類が、前記複数のデータポイントを複数のカテゴリに分類するように行われ、前記複数のカテゴリの各々が、0.5度の増分において水平角度に関連付けられている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記レーダセンサの前記鉛直方向アライメント角度を、予め記録されている複数の曲線の1つに前記曲線を最小二乗マッチングにより照合させることにより決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の予め記録された曲線が実世界の測定値に基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記鉛直方向アライメント角度が、所定の角度及び所定の方向を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、さらに、
予め決められた量のターゲットの各々のために前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すことにより複数の曲線を決定し、且つ、
鉛直方向アライメント角度を、前記複数の曲線の各々に関して決定するように構成されており、当該決定が、前記複数の曲線の各々を、前記複数の予め記録された曲線の1つに照合させること、及び、前記鉛直方向アライメント角度を、予め決められた個数の前記複数の曲線に合致している前記複数の予め記録された曲線の1つに関連する角度であると決めることにより行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記修正措置が、エラー状態を設定する措置、ヒューマンマシン・インタフェースにて警告を発する措置、前記レーダセンサに依存している1以上の車両システムを無効にするコマンドを発行する措置、及び、前記レーダセンサを無効にするコマンドを発行する措置から成る群から選択される少なくとも1つの措置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
車両に搭載されたレーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出する方法であって、
(a)ターゲットから反射された複数のレーダ信号を、前記車両及び前記ターゲットの一方が移動するときに前記レーダセンサから受信するステップと、
(b)前記複数の反射されたレーダ信号の1つに各々が対応する複数のデータポイントを決定するステップと、
(c)前記複数のデータポイントに基づいて曲線を決定するステップと、
(d)前記曲線を、予め記録された複数の曲線の1つに照合し、そして、前記予め記録された複数の曲線の1つに関連する角度を前記レーダセンサの鉛直方向アライメント角度として決めることにより、前記レーダセンサの鉛直方向のアライメント角度を決定するステップと、
(e)前記決定されたレーダセンサの鉛直方向アライメント角度を前記レーダセンサの動作範囲と比較するステップと、
(f)前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度が前記動作範外にある場合、前記レーダセンサのミスアライメントに対処するために修正措置を行うステップと、を含み、
前記複数のデータポイントを決定するステップが、前記複数のデータポイントを、前記複数の反射されたレーダ信号の各々に関する電力レベル及び水平角度に基づいて決定するステップを含み、
さらに、前記レーダセンサの右側に関連する第1の鉛直方向アライメント角度を決定するために前記ステップ(a)〜(c)を実行し、且つ、前記レーダセンサの左側に関連する第2の鉛直方向アライメント角度を決定するために前記ステップ(a)〜(c)を実行し、且つ、前記レーダセンサの回転ミスアライメントを、前記第1の鉛直方向アライメント角度及び前記第2の鉛直方向アライメント角度に基づいて決定するステップを含む、方法。
【請求項13】
前記電力レベルが補償された電力レベルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記複数のデータポイントを正規化するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
予め決められた量のターゲットの各々のために前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すことにより複数の曲線を決定するステップと、
前記複数の曲線の各々に関して鉛直方向アライメント角度を決定するステップであって、当該決定が、前記複数の曲線の各々を、前記複数の予め記録された曲線の1つに照合させること、及び、前記鉛直方向アライメント角度を、予め決められた個数の前記複数の曲線に合致している前記複数の予め記録された曲線の1つに関連する角度であると決めることにより行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記修正措置が、エラー状態を設定する措置、ヒューマンマシン・インタフェースにおいて警告を発する措置、前記レーダセンサに依存している1以上の車両システムを無効にするコマンドを発行する措置、及び、前記レーダセンサを無効にするコマンドを発行する措置から成る群から選択される少なくとも1つの措置を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両に搭載されたレーダセンサの鉛直方向のミスアライメント(位置ずれ)を検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用レーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出することは困難である。これの理由の1つは、1組のレーダセンサのアンテナが水平な角度情報を提供するために1つのライン内にあるということである。このアンテナ構成は、鉛直方向の反射に関する明確な情報を提供しない。追加のアンテナをライン外に、その他のアンテナに対して加えること、又は、機械的に動作する走査センサに傾斜ミラーを設けることは、レーダセンサのコストを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の実施形態は、水平レーダビームのみを用いて、レーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一実施形態において、車両に搭載されたレーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出するためのシステムを提供する。このシステムはコントローラを含む。当該コントローラは、ターゲットから反射された複数のレーダ信号を、前記車両及び前記ターゲットの一方が移動するときに前記レーダセンサから受信し、且つ複数のデータポイントを決定するように構成されている。前記複数のデータポイントの各々が、前記複数の反射されたレーダ信号の1つに対応している。また、前記コントローラは、前記複数のデータポイントに基づいて曲線を決定するように、次いで、前記レーダセンサの前記鉛直方向アライメント角度を決定するように構成されている。この角度決定は、前記曲線を予め記録された複数の曲線の1つに照合(マッチング)すること、そして、前記レーダセンサの前記鉛直方向アライメント角度を、前記複数の予め記録された曲線の1つに関連する角度であると決めることにより行われる。また、前記コントローラは、前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度を前記レーダセンサの動作範囲と比較し、そして、前記角度が前記動作範囲外にある場合には修正措置を行うように構成されている。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、車両に搭載されたレーダセンサの鉛直方向のミスアライメントを検出する方法を提供する。この方法は、ターゲットから反射された複数のレーダ信号を、前記車両及び前記ターゲットの一方が移動するときに前記レーダセンサから受信するステップと、前記複数の反射されたレーダ信号の1つに各々が対応する複数のデータポイントを決定するステップとを含む。また、前記方法は、前記複数のデータポイントに基づいて曲線を決定するステップと、前記レーダセンサの鉛直方向のアライメント角度を決定するステップとを含む。この角度決定は、前記曲線を予め記録された複数の曲線の1つに照合し、そして、前記レーダセンサの前記鉛直方向アライメント角度を、前記予め記録された複数の曲線の1つに関連する角度であると決めることにより行われる。さらに、前記方法は、前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度を前記レーダセンサの動作範囲と比較するステップと、前記レーダセンサの前記決定された鉛直方向アライメント角度が前記動作範外にある場合には前記レーダセンサのミスアライメントに対処するために修正措置を行うステップを含む。
【0006】
本発明のその他の態様は、詳細な説明及び添付図面を考慮することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1a】ターゲットに接近している車両を概略的に示す。
図1b】ターゲットに接近している車両を概略的に示す。
図1c】ターゲットに接近している車両を概略的に示す。
図1d】ターゲットを通過している車両を概略的に示す。
図2図1の車両に含まれるコントローラを概略的に示す。
図3】レーダセンサの鉛直方向アライメントを測定するために図2のコントローラにより実行される方法を示すフローチャートである。
図4】鉛直方向に位置合わせされているセンサに関して反射されたレーダ信号の受信電力を示すチャートである。
図5】鉛直方向にずれているセンサに関して反射されたレーダ信号の受信電力を示すチャートである。
図6】異なるアライメント角度を表す、予め記録された複数の曲線を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用に関して、以下の説明に記載され又は添付図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明を、その他の実施形態で実行することも、また、様々な方法で実施又は実行することも可能である。
【0009】
また、用語「センサ」(“sensor”)は、本明細書で使用される場合、信号を検出する装置を意味するが、「センサ」(“sensor”)という用語が、信号(例えばレーダ信号)の送受信の両方又は検出が可能な装置を含むことを理解されたい。
【0010】
上述のように、本発明の実施形態は、レーダセンサの鉛直方向のアライメントを測定する。以下に、より詳細に説明するように、本発明の実施形態は、レーダセンサの鉛直方向のアライメントを測定するために、ターゲットから反射されたレーダ信号の特性を利用できる。
【0011】
図1a〜図1dは、レーダセンサ12及びコントローラ14を含む車両10を示す。図1a〜図1dに示されているように、車両10が移動すると、車両10はターゲット16に接近する。ターゲット16は、レーダセンサ12により検出され得る任意の対象物の代表である。幾つかの構成において、レーダセンサ12は、車両10の前方部分に取り付けられ、且つ、レーダ信号18を送信するように構成される。送信されたレーダ信号18がターゲット16から反射し、反射レーダ信号20としてレーダセンサ12により受信される。
【0012】
図2に示されているように、コントローラ14は、処理ユニット22(例えば、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路など)、非一時的コンピュータ可読媒体23、及び、入力/出力インタフェース24を含む。コンピュータ可読媒体23は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)及び/又はリードオンリメモリ(「ROM」)を含み得る。入力/出力インタフェース24は、コントローラ14の外部の装置、例えばレーダセンサ12からの情報を送受信する(例えば、1以上の有線及び/又は無線接続を介して)。また、コントローラ14は、入出力インタフェース24を利用して、車両10に含まれるその他のコントローラ(例えば、車両10の運転者に情報を提供するコンソール又はダッシュボードコントローラ)との通信もできる。
【0013】
処理ユニット22は、情報(例えば、媒体23及び/又は入出力インタフェース24からの)を受信し、これらの情報を、1以上の命令又はモジュールの実行により処理する。命令はコンピュータ可読媒体23に記憶される。また、処理ユニット22は、情報(例えば、入出力インタフェース24を介して受信された情報、及び/又は、処理ユニット22により実行される命令又はモジュールにより生成される情報)を媒体23に記憶する。単一の処理ユニット、入出力インタフェース、及びコンピュータ可読媒体モジュールのみが図2に示されているが、コントローラ14が、複数の処理ユニット、メモリモジュール、及び/又は入出力インタフェースを含み得ることが理解されよう。
【0014】
コンピュータ可読媒体23に記憶された命令は、処理ユニット22により実行されるときに、特定の機能を提供する。概して、命令は、ターゲット16から反射されたレーダ信号を利用して、レーダセンサ12の鉛直方向アライメントを測定する。例えば、図3は、レーダセンサ12の鉛直方向アライメントを測定するためにコントローラ14により実行される方法30を示す。
【0015】
図3に示されているように、レーダセンサ12は、ターゲット16から反射されたレーダ信号を受信し、この信号がコントローラ14に提供される(ブロック32)。例えば、図1a〜図1cを再び参照すると、車両10がターゲット16に近づくと、レーダセンサ12がレーダ信号18を放射し、そして、反射されたレーダ信号20を受信する。車両10がターゲット16を通過すると(図1d参照)、レーダセンサ12により放射されたレーダ信号18は、もはやターゲット16に到達せず、従って、レーダセンサ12により受信される、対応する反射信号20は存在しない。幾つかの実施形態において、車両10がターゲット16に接近してターゲット16を通過するとき、ターゲット16に関連して反射された第1のレーダ信号20が、約0度の水平角度を有し(この角度は、曲線状に、すなわち、非静止物体に対して変化し得る)、また、ターゲット16に関連して反射されたレーダ信号20の水平角度は、車両10がターゲット16を通過するときにレーダセンサ12の視野から外れるまで増大する。
【0016】
反射された各レーダ信号20に対し、コントローラ14が、信号20に関するデータを(例えば、コンピュータ可読媒体23に)記憶し(ブロック35)、コントローラ14は、信号20に関する1以上のデータポイントを決定する(ブロック36)。例えば、幾つかの実施形態において、コントローラ14は、反射された各レーダ信号20に関する補償された受信電力レベル及び水平角度を記憶する。補償された受信電力とは、レーダセンサ12に含まれるアンテナが、反射された信号20のために受信する電力であり、距離依存性及びアンテナ利得の影響が除去され、これにより、反射されたレーダ信号20が、ターゲット16が常に車両10のすぐ前に位置するかのように(例えば、0度の水平線に)現れることを可能にする。
【0017】
例えば、補償された受信電力(Pr,comp)をdB単位で測定でき、以下の式を用いて計算できる。
【数1】
式中、Pは、反射されたレーダ信号20の受信電力、Gはアンテナ利得、λは、反射されたレーダ信号20の波長、σは、ターゲット16のレーダ断面積、Rは、レーダセンサ12の範囲である。上記の式に基づいて、補償された受信電力が、ターゲット16のレーダ断面積に比例する。すなわち、Pr,comp∝σである。
【0018】
距離項R及びアンテナ利得Gの影響を補償するために、上記式の両辺の対数を取ることができる。従って、上記式は以下のようになる。
【数2】
式中、Cはターゲット16のための定数である。定数Cは、ターゲット16の特性(例えば、レーダ断面積)、波長、及び、レーダセンサ12からのレーダ信号の送受信に関する内部損失に基づいて決定され得る。以下に説明するように、方法30は、補償された受信電力を実際の値と比較した変化を追跡する。従って、受信電力値の補償値の変化は、Cが定数である限り、Cの値に関係なく同一のままである。
【0019】
上記の方程式は、視野角が変更された場合でも、検出された全てのターゲット16のレーダ断面積(σ)が同一(少なくとも平均して)であることを仮定している。理想的な反射器の場合、通常、ターゲット16に関する同一の補償される受信電力を、ターゲットがどれくらい離れているか、又はどのような角度でターゲットが検出されるかに関係なく提供するであろう。そして、補償される受信電力の大きさは、ターゲット16のレーダ断面積に比例するであろう。幾つかの実施形態において、全てのターゲット16が、鉛直方向において点状であるように近似される。しかし、実世界のターゲット16は鉛直方向に点状でないかも知れない。従って、方法30は、この仮定を、車両10から所定距離を超えて位置するターゲット16への評価を制限することにより補正でき、すなわち、ターゲット16の高さ寸法の広がりが小さい角度範囲になり、従って、点状の仮定を、より有用にする。この制限を課すことにより、方法30を用いて測定される鉛直方向アライメントの分解能度が高められる。
【0020】
上述のように、コントローラ14は、反射されたレーダ信号20に関する記憶されたデータを用いてデータポイントを確立する(ブロック36)。例えば、幾つかの実施形態において、コントローラ14は、ターゲット16から受信した各反射レーダ信号20に関する記憶された受信補償電力及び水平角をデータポイントとして使用する。コントローラ14は、データポイントを水平角度値に従って分類(例えば、ビンに割り当て)する(例えば、0.5度増分をビン又はカテゴリに割り当てる)ように構成され得る。データポイントの分類は任意選択的であり、幾つかの実施形態においては用いられなくてもよいことを理解されたい。また、幾つかの実施形態において、コントローラ14は、度数及び増分とは異なるカテゴリ値を用いる。
【0021】
幾つかの実施形態において、ターゲット16が評価に重要であるとみなすために、最小範囲の角度値をコントローラ14のために収集しなければならない。従って、コントローラは、記憶されたデータポイントにより表される、異なる水平角度の個数をカウントするように構成され得る。また、そのカウントを、データポイントを用いて曲線をプロットする前に、所定の閾値と比較できる。これに関しては、以下に説明する。
【0022】
また、コントローラ14は、様々なターゲットから受信される補償された電力の変化を有意に比較できるように各ターゲット16のデータポイントを正規化するように構成され得る。幾つかの実施形態において、コントローラ14は、各データセットを補間又は外挿することによりデータを正規化して、ゼロの水平角度に関する補償された受信電力値を決定する。そして、コントローラ14は、全てのデータポイントを、この補償された受信電力値により除算して、正規化されたデータセット(すなわち、正規化されたデータポイント)を生成できる。データポイントが正規化されたならば、複数の補償された受信電力値が1つのカテゴリに存在する場合、コントローラ14は、そのカテゴリにおける値を平均化できる。
【0023】
コントローラ14は、データポイントを使用して曲線をプロットする(ブロック38)。例えば、コントローラ14は、図4及び図5に示されているように、データポイント(例えば、正規化されたデータポイント)を使用して、補償された受信電力曲線40をプロットする。図4及び図5に示されている曲線40aは、強い反射特性を有するターゲット16に関する電力曲線を示し、図4及び図5に示されている曲線40bは、弱い反射特性を有するターゲット16に関する電力曲線を示す。次いで、コントローラ14は、補償された受信電力曲線40を評価して、レーダセンサ12のアライメント角度を決定する。詳細には、レーダセンサ12が鉛直方向にアライメントされているならば、一定の補償された受信電力値が全ての角度に対して受信され、曲線40は直線状である(図4参照)。しかし、レーダセンサ12が鉛直方向に位置ずれ(ミスアライメント)しているならば、水平角度が増大するにつれて、補償される受信電力が減少し、曲線40は直線状でない(図5参照)。
【0024】
コントローラ14は、電力曲線40をプロットした後、曲線40を、鉛直方向にずれた角度に関する予め記録された曲線と比較して、電力曲線40に最も適合(ベストフィット)する予め記録された曲線26を特定する(ブロック44)。例えば、様々な鉛直方向アライメント角度に関する補償された受信電力曲線(すなわち、予め記録された曲線46、例えば図6参照)が、レーダセンサ12及び/又はコントローラ14(例えば、コンピュータ可読媒体23)において学習され且つ記憶され得る。幾つかの実施形態において、予め記録された曲線46がマイナス度のアライメント(レーダセンサ12の好ましいアライメントの代表であり、予め記録された真直な曲線46に関連する)から0.5度増分にわたって記憶されている。コントローラ14は、曲線40と予め記録された曲線46との最良の適合を見つけるために最小二乗マッチングを行うように構成されている。従って、曲線40にベストマッチする予め記録された曲線46が、レーダセンサ12のアライメント角度を特定する。幾つかの実施形態において、コントローラ14は、レーダセンサ12のアライメント角度を測定する前に、補償された受信電力曲線40を所定量のターゲット16から収集し、こうして、個々のターゲット16がレーダセンサ12のアライメント測定における重要な役割を果たすことがないようにする。従って、コントローラ14は、各曲線40と予め記録された曲線46との最良適合を判断し、それにより、レーダセンサ12の複数のアライメント角度を特定できる。コントローラ14は、平均化、又は別のタイプの数学的計算を、複数の角度に対して実行でき、これにより、レーダセンサ12の単一のアライメント角度を特定できる。
【0025】
レーダセンサ12のアライメント角度の特定(ブロック44)後、コントローラ14は、アライメント角度を、レーダセンサ12に関連する動作範囲(例えば、レーダセンサ12の正常な若しくは許容可能な動作を依然として提供するアライメント角度範囲、又は、正常な若しくは許容可能な動作を依然として提供するレーダセンサ12の最大ミスアライメントを示す閾値アライメント角度)と比較する(ブロック46)。動作範囲はコンピュータ可読媒体23に記憶され得る。
【0026】
アライメント角度が動作範囲外である場合(ブロック46)コントローラ14は、レーダセンサ12が位置ずれ(ミスアライメント)されていると判断し、修正措置を行う(ブロック48)。修正措置は、エラー状態の設定、ヒューマンマシン・インタフェース(例えば、車内コンソール又はダッシュボード)での警告の発令、レーダセンサ12に依存している1以上の車両システムを無効にするためのコマンドの発行、レーダセンサ12を無効にするためのコマンドの発行、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、コントローラ14が、レーダセンサ12が位置ずれしていると判断した場合、車両のその他の機能(例えば、衝突軽減、アダプティブクルーズコントロール、死角検出、接近車両警告、交差交通アラート、及び自律走行)が、誤動作防止のために無効にされる必要があろう。
【0027】
予め記録された曲線26が、実世界の測定値に基づいて収集され得ることに留意されたい。例えば、地面から反射されたレーダ信号のために、ターゲット16に関する受信電力及び水平角度値が、自由空間における同一ターゲット16のものとは異なることになる。この違いにより、正の(上向き)アライメント角度と負の(下向き)アライメント角度とでは、曲線が異なることになる。予め記録された曲線46を、実世界の測定値を用いて収集した場合、曲線46を用いて、レーダセンサ12の正のアライメントと負のアライメントとを区別できる。従って、レーダセンサ12の測定された鉛直方向アライメント角度は、角度及び方向(例えば上下方向)の両方を含むことができ、これは、いずれのミスアライメントの補正も支援する。
【0028】
コントローラ14は、アライメント角度を確実に測定するために、上記の機能を(例えば、数分間又は数時間わたって)繰り返すように構成され得る。例えば、方法30の各反復は、ターゲット16の反射特性の差、環境条件の差、及び、これらの組み合わせにより、異なる結果を提示し得る。これらの差異は、検出されるターゲット16が様々であることを考慮して、経時的に最小化できる。また、上述のように、コントローラ14は、十分な個数のターゲット16に関する補償された受信電力曲線を収集するために方法30を繰り返すことができ、それにより、1つのターゲット16のみがセンサ12のアライメント角度測定での重要な役割を果たすことがないようにする。例えば、コントローラ14は、所定数の曲線40が予め記録された曲線46と比較されたときに同一の鉛直方向アライメント角度を示す場合、センサ12のアライメント角度を特定するように構成され得る。
【0029】
幾つかの実施形態において、コントローラ14はまた、雨が検出されたとき(例えば、ワイパ若しくはその他の検出器の使用により)、又は、レーダセンサ12が機能しないとき(例えば、雨、雪、又は、センサ12上のその他の水膜によるエラーを防止するために)、鉛直方向アライメント検出を不能にするように構成され得る。
【0030】
上述の機能は、レーダセンサ12の左右の側部を別々に評価することにより、回転ミスアライメント(不整合)を生じているセンサを検出するためにも使用できる。例えば、レーダセンサ12の左側が正のアライメント角度を示し、右側が負の角度を示す場合、コントローラ14は、レーダセンサ12が右方向に回転したと判断して適切な補正措置を行うことができる。
【0031】
また、上記のアラインメント測定機能を用いて、移動しているレーダセンサ12(センサ12がターゲット16を通過する)の鉛直方向アライメント、又は、静止しているレーダセンサ12(ターゲット16がセンサ12を通過する)の鉛直方向アライメントを測定できることが理解されよう。
【0032】
従って、本発明は、特に、レーダセンサにおける鉛直方向アライメントを測定するためのシステム及び方法を提供する。本発明の様々な特徴及び利点を、添付の特許請求の範囲に記載する。
【符号の説明】
【0033】
10 車両
14 コントローラ
18 レーダ信号
20 反射されたレーダ信号
40 補償された受信電力曲線
40a 強い反射特性を有するターゲット16に関する電力曲線
40b 弱い反射特性を有するターゲット16に関する電力曲線
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6