(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683730
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ガイドベーン調節装置及びターボ機械
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20200413BHJP
F04D 29/56 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
F04D29/46 D
F04D29/56 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-553951(P2017-553951)
(86)(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公表番号】特表2018-511735(P2018-511735A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2016058181
(87)【国際公開番号】WO2016166191
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】102015004648.9
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レナルト・レオポルト
【審査官】
田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−291500(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0050220(US,A1)
【文献】
特開2006−090319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
F04D 29/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のロータの径方向に延びる、ガイドベーンリングのガイドベーンのガイドベーン軸線周りで、前記ガイドベーンリングを形成するためにグループ化された複数のガイドベーンを回転させるためのガイドベーン調節装置であって、
駆動モータが連結することができる駆動シャフト(26)であって、前記駆動モータを介して駆動可能である、駆動シャフト(26)と;
前記ガイドベーンリング(20)のガイドベーン(21)を回転させるために、前記駆動シャフト(26)の回転を前記ガイドベーン(21)に伝達する制御リング(27)と;
を有し、
前記駆動シャフト(26)が、前記ガイドベーンリングの前記ガイドベーンのうちの1つが前記制御リング(27)の介在なく前記駆動シャフト(26)から直接的に回転可能となるように、前記ガイドベーンリング(20)の前記ガイドベーン(21)のうちの1つに直接的に連結され;
前記駆動シャフト(26)、又は前記駆動シャフト(26)から直接的に駆動可能な前記ガイドベーン(21)が、関節方式で伝達レバー(28)を介して前記制御リング(27)に連結され;前記伝達レバー(28)が、複数パーツで構成され、且つ第1セグメント(31)及び第2セグメント(32)を備え、前記複数パーツの伝達レバー(28)の前記第1セグメント(31)が、関節方式で前記複数パーツの伝達レバー(28)の前記第2セグメント(32)に連結され;
前記駆動シャフト(26)が、前記ガイドベーンリングの他の前記ガイドベーンが前記制御リング(27)の介在により前記駆動シャフト(26)から間接的に回転可能となるように、前記ガイドベーンリング(20)の他の前記ガイドベーン(21)に間接的に連結され;
前記駆動シャフト(26)から間接的に駆動可能な前記ガイドベーン(21)が、関節方式でさらなる伝達レバー(29)を介して前記制御リング(27)に連結され;
前記制御リング(27)が、周方向及び軸方向において移動可能であり、このため、前記制御リング(27)と、関節方式で前記制御リング(27)に連結された前記伝達レバー(28,29)と、の間の連結ポイントでの力が、前記伝達レバー(28,29)に対して垂直に伝わり、
前記複数パーツの伝達レバー(28)の前記第1セグメント(31)と前記複数パーツの伝達レバー(28)の前記第2セグメント(32)との間には、2つの球面継手支承部(33)が形成され、前記複数パーツの伝達レバー(28)の前記第2セグメント(32)と前記制御リング(27)との間には、1つのみの球面継手支承部(34)が形成され、
前記駆動シャフト(26)から間接的に駆動可能な前記ガイドベーン(21)が、関節方式で一体部品の弾性変形可能な伝達レバー(29)を介して前記制御リング(27)に連結され、
前記一体部品の弾性変形可能な伝達レバー(29)の各々と前記制御リング(27)との間には、継手支承部(42)が形成され、前記一体部品の弾性変形可能な伝達レバー(29)の各々が、それぞれの前記ガイドベーン(21)に剛性連結されていることを特徴とするガイドベーン調節装置。
【請求項2】
運動ブレードを備えるロータと、ガイドベーンを備えるステータと、を有するターボ機械であって、
前記ガイドベーンが、少なくとも1つのガイドベーンリングを形成し、少なくとも1つのガイドベーンリングの少なくとも前記ガイドベーンが、ガイドベーン調節装置により調節可能であり、
前記ガイドベーン調節装置が、請求項1に従って形成されていることを特徴とするターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械のためのガイドベーン調節装置及び当該ガイドベーン調節装置を有するターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
慣例から公知のターボ機械は、ロータ及びステータを備えている。ターボ機械のロータは、シャフトと、シャフトとともに回転する複数の運動ブレードと、を備え、運動ブレードは、少なくとも1つの運動ブレード列を形成する。ターボ機械のステータは、ハウジングと、複数の固定型ガイドベーンと、を備え、ガイドベーンは、少なくとも1つのガイドベーンリングを形成する。
【0003】
慣例から、ガイドベーンがロータの径方向に延びるガイドベーン軸線周りに回転可能となるように、ガイドベーン調節装置を介してターボ機械のガイドベーンリングのガイドベーンを調節することが、すでに公知である。
【0004】
慣例から公知のガイドベーン調節装置は、駆動モータが連結される駆動シャフトを備え、駆動シャフトが駆動モータを介して駆動可能である。慣例から公知のガイドベーン調節装置では、駆動モータを介する駆動シャフトの回転は、制御リングを用いてガイドベーンリングのすべてのガイドベーンに伝達され、このため、結果として、ガイドベーンリングのすべてのガイドベーンが、制御リングの介在により駆動シャフトから間接的に調節又は回転される。ここで、慣例から公知のガイドベーン調節装置の制御リングは、周方向に回転可能であるが、軸方向及び径方向には移動可能ではない。
【0005】
慣例から公知のガイドベーン調節装置は、これら装置にかなりの摩擦が生じるという欠点を有する。さらに、前記ガイドベーン調節装置は、大きいねじり荷重を受ける。この理由のために、慣例から公知のガイドベーン調節装置は、適切に大きい寸法とされなければならない。しかしながら、これは、ターボ機械上で利用可能な設置空間が制限されることを考慮すると、欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここから始まって、本発明は、ターボ機械のための新たなタイプのガイドベーン調節装置と、当該ガイドベーン調節装置を有するターボ機械と、を創出するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載のガイドベーン調節装置を通じて解決される。
【0008】
駆動シャフトが、ガイドベーンリングのガイドベーンのうちの1つが制御リングの介在なく駆動シャフトから直接的に回転可能となるように、ガイドベーンリングのガイドベーンのうちの1つに直接的に連結されている。駆動シャフト、又は駆動シャフトによって直接的に駆動可能なガイドベーンが、関節方式で伝達レバーを介して制御リングに連結されている。駆動シャフトが、ガイドベーンリングの他のガイドベーンが制御リングの介在により駆動シャフトから間接的に回転可能となるように、ガイドベーンリングの他のガイドベーンに間接的に連結されている。間接的に駆動可能なガイドベーンが、関節方式でさらなる伝達レバーを介して制御リングに連結されている。制御リングが、周方向及び軸方向において移動可能であり、このため、制御リングと、関節方式で制御リングに連結された伝達レバーと、の間の連結ポイントでの力が、伝達レバーに対して垂直に伝わる。
【0009】
上記の特徴は、互いに組み合わせて、摩擦及びねじれ荷重の発生を低減することを可能にする。ガイドベーンリングのガイドベーンのうちの1つは、制御リングの介在なく駆動シャフトによって直接的に回転可能である。ガイドベーンリングの他のガイドベーンは、制御リングの介在により駆動シャフトから間接的に回転可能である。直接的に回転可能であるか又は駆動シャフトに直接的に連結されたガイドベーンは、関節方式で伝達レバーを介して制御リングに連結されている。さらに、間接的に回転可能であるか又は駆動シャフトに間接的に連結された、ガイドベーンリングのガイドベーンは、関節方式で伝達レバーを介して制御リングに連結されている。ここで、制御リングは、周方向及び軸方向に移動可能に、且つ径方向にのみ移動可能でなく実現される。これに起因して、制御リングと、関節方式で制御リングに連結された伝達レバーと、の間の連結ポイントでの力が、常に伝達レバーに対して垂直に伝わり、このため、ガイドベーンの支承部が寄生力成分によって荷重をかけられないことが完全に保証される。それにより、完全に、ガイドベーン調節装置は、より小さい設置空間要件を有するように、より小さい寸法とすることができる。
【0010】
本発明の有利なさらなる発展によれば、駆動シャフト、又は駆動シャフトによって直接的に駆動可能なガイドベーンが、関節方式で複数パーツの伝達レバーを介して制御リングに連結され、複数パーツの伝達レバーの第1セグメントが、駆動シャフトに、又は駆動シャフトによって直接的に駆動可能なガイドベーンに剛性連結され、複数パーツの伝達レバーの第2セグメントが、関節方式で制御リングに連結されている。優先的には、複数パーツの伝達レバーの第1セグメントが、2パーツの伝達レバーを形成することを受けて、関節方式で複数パーツの伝達レバーの第2セグメントに連結されている。これは、駆動シャフトを、又は駆動シャフトによって直接的に駆動可能なガイドベーンを制御リングに特に有利に連結することをもたらす。
【0011】
本発明の第1型式によれば、駆動シャフトによって間接的に駆動可能なガイドベーンが、関節方式で一体部品の弾性変形可能な伝達レバーを介して制御リングに連結されている。あるいは、本発明の第2型式によれば、駆動シャフトによって間接的に駆動可能なガイドベーンが、複数パーツの伝達レバーを介して制御リングに間接方式で連結され、これら複数パーツの伝達レバーの各々の第1セグメントが、それぞれのガイドベーンに剛性連結され、これら複数パーツの伝達レバーの各々の第2セグメントが、関節方式で制御リングに連結されている。第2型式では、それぞれの複数パーツの伝達レバーの第1セグメントが、優先的には、2パーツの伝達レバーを形成することを受けて、関節方式でそれぞれの複数パーツの伝達レバーの第2セグメントに連結されている。これら2つの型式は、間接的に回転可能なガイドベーンを制御リングに有利に連結することをもたらす。制御リングと、駆動シャフトによって間接的に駆動可能なガイドベーンと、の間の一体部品の伝達レバーを有する第1型式は、複数パーツの伝達レバーを有する第2型式よりも構成がシンプルである。しかしながら、複数パーツの伝達レバーを有する第2型式は、よりコンパクトな構成である。
【0012】
ターボ機械が、請求項10で規定されている。
【0013】
本発明の好ましいさらなる発展は、従属請求項及び以下の説明で得られる。本発明の例示的な実施形態が、図面に限定されることなく図面を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ガイドベーンリングと、ガイドベーンリングのガイドベーンのためのガイドベーン調節装置と、の領域でのターボ機械の抜粋斜視図である。
【
図2】第1段階にある、
図1の構成の平面図である。
【
図4】第2段階にある、
図1の構成の平面図である。
【
図6】別のガイドベーン調節装置の部分的な断面図である。
【
図7】
図1に対して90°だけオフセットされた、
図6のガイドベーン調節装置の部分的な断面図である。
【
図8】ハウジングのない
図7の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ターボ機械のためのガイドベーン調節装置及び当該ガイドベーン調節装置を少なくとも1つ有するターボ機械に関する。
【0016】
当業者は、本明細書で扱われるターボ機械の基本的な構造を熟知している。完全性のために、本明細書では、ターボ機械が、ロータ側に運動ブレードを有するロータと、ステータ側にガイドベーンを有するステータと、を備えていることが言及される。
【0017】
ロータの運動ブレードは、少なくとも1つの運動ブレード列を形成し、1つ以上のブレード列は、ロータのシャフトとともに回転する。ステータのガイドベーンは、ステータ側でハウジングに結合された少なくとも1つのガイドベーンリングを形成する。
【0018】
図1は、複数のガイドベーン21からなるガイドベーンリング20の領域でのターボ機械の抜粋を示す。ガイドベーン21の各々は、ベーン基部又はベーンピン22及びベーンリーフ23を備え、それぞれのガイドベーン21のベーンピン22は、径方向外側に位置決めされ、且つターボ機械のハウジング構造体24に作用する。
【0019】
ここで、本発明は、上記ガイドベーンリング20のガイドベーン21のためのガイドベーン調節装置に関し、ガイドベーン調節装置により、ガイドベーン21は、図示されないターボ機械のロータの径方向に延びている、ガイドベーン20のガイドベーン軸線25周りに回転することができる。
【0020】
結果として、ガイドベーン21のベーン基部22は、ハウジング構造体24内に回転可能に取り付けられており、すなわち、ガイドベーン21の各々が、径方向に延びるそれぞれのガイドベーン軸線25周りに回転することができるように、ハウジング構造体24内に回転可能に取り付けられている。
【0021】
径方向に延びる、ガイドベーン21のガイドベーン軸線25周りにガイドベーンリング20のガイドベーン21を回転させるためのガイドベーン調節装置は、駆動シャフト26を備え、駆動シャフト26は、図示されない駆動モータに連結され、且つ駆動モータによって駆動することができる。
【0022】
駆動シャフト26は、ガイドベーンリング20のガイドベーン21のうちの1つに直接的に連結され、すなわち、ガイドベーンリング20のこのガイドベーン21が駆動シャフト26から直接的に回転可能であるように、ガイドベーンリング20のガイドベーン21のうちの1つに直接的に連結されている。
【0023】
駆動シャフト26は、優先的には、この直接的に回転可能なガイドベーン21のベーンピン22と同軸上に、又はこの直接的に回転可能なガイドベーン21のベーン軸線25と同軸上に延びている。
【0024】
ガイドベーン調節装置は、制御リング27をさらに備えている。駆動シャフト26、又は駆動シャフト26によって直接的に駆動可能なガイドベーン21は、関節方式で伝達レバー28を介して制御リング27に連結されている。
【0025】
駆動シャフト26は、ガイドベーンリング20の残りのガイドベーン21が駆動シャフト26から間接的に回転可能となるように、すなわち駆動シャフト26の回転をガイドベーンリング20の残りのガイドベーン21に伝達する制御リング27の介在によりガイドベーンリング20の残りのガイドベーン21が駆動シャフト26から間接的に回転可能となるように、制御リング27を介してガイドベーンリング20の他のガイドベーン21と間接的に連結されている。駆動シャフト26から間接的に駆動可能又は回転可能である、ガイドベーンリング20のこれらガイドベーン21は、関節方式でさらなる伝達レバー29を介して制御リング27に連結されている。
【0026】
制御リング27には、一方では、伝達レバー28を介して駆動シャフト26から直接的に調節可能なガイドベーン21が結合され、他方では、駆動シャフト26から間接的に回転可能なガイドベーン21が伝達レバー29を介して結合され、制御リング27は、周方向U及び軸方向Aに移動可能である。制御リング27が周方向U及び軸方向Aでこのように移動可能であることと、伝達レバー28,29を制御リング27に関節結合していることと、を通じて、ガイドベーン21の回転中に制御リング27と、制御リング27に関節方式で連結された伝達レバー28,29と、の間の連結ポイントに作用する力は、伝達レバー27,28に対して常に垂直に伝わる。
【0027】
ガイドベーン調節装置の上記の特徴を通じて、ガイドベーン調節装置上での摩擦は減少され、従来技術によれば伝達レバーに作用する寄生力成分は回避される。これに起因して、ガイドベーンの支承部30はより小さい荷重を受け、ガイドベーンは支承部30を介してハウジング構造体24内に回転可能に取り付けられている。
図6によれば、各ガイドベーンは、2つの支承部30によって2つの場所に径方向及び軸方向で取り付けられている。
【0028】
駆動シャフト26、又はガイドベーン21のベーンピン22によって直接的に駆動可能なガイドベーン21は、関節方式で複数パーツの伝達レバー28を介して制御リング27に連結されている。この複数パーツの伝達レバー28は、少なくとも1つの第1セグメント31と、第2セグメント32と、を備え、第1セグメント31は、駆動シャフト26に、又は駆動シャフト26から直接的に駆動可能なガイドベーン21に剛性連結され、第2セグメント32は、関節方式で制御リング27に連結されている。優先的には、この伝達レバー28は、直接的に回転可能なガイドベーン21又は駆動シャフト26を制御リング27に連結するために働き、2パーツの伝達レバーとして実現され、そして、伝達レバー28の第1セグメント31及び第2セグメント32は、関節方式で連結されている。示される好ましい例示的な実施形態では、2つの球面継手支承部33が、2パーツの伝達レバー28の第1セグメント31と2パーツの伝達レバー28の第2セグメント32との間に形成されている。さらに、さらなる球面継手支承部34が、この伝達レバー28の第2セグメント32と制御リング27との間に形成されている。
【0029】
図1〜
図9に示されるガイドベーン調節装置の例示的な実施形態では、駆動シャフト26から間接的に駆動可能なガイドベーン21は、伝達レバー29を介して制御リング27に連結され、
図1〜
図9の例示的な実施形態の伝達レバー29は、同様に複数パーツの伝達レバー29として実現されている。これら伝達レバー29の各々は、それぞれのガイドベーン21に剛性連結された第1セグメント35と、関節方式で制御リング27に連結された第2セグメント36と、を備え、
図1〜
図9の例示的な実施形態では、これら伝達レバー29は、伝達レバー28と同様に、2パーツの伝達レバー29として構成されている。この場合、それぞれの伝達レバー29の第1セグメント35は、関節方式で伝達レバー29の第2セグメント36に接続され、
図1〜
図9の示される例示的な実施形態によれば、それぞれの伝達レバー29の第1セグメント35と伝達レバー29のそれぞれの第2セグメント36との間には2つの球面継手支承部37が形成され、それぞれの伝達レバー29の第2セグメント36と制御リング27との間には球面継手支承部38が形成されている。
【0030】
すでに上述したように、制御リング27は、ハウジング構造体24に対して周方向及び軸方向に移動可能であり、且つ径方向においてはガイドされるか又は単に固定される。
図10及び
図11は、このような制御リング27を単独の描写で示しており、
図10の制御リング27の内側走行面39は、優先的には、内側走行面39上での摩擦を低減するために、滑りニス又はPTFE素材でコーティングされている。
【0031】
図11は、制御リング27の別の形態を示し、この形態は、
図10と比較すると、単一パーツではなく複数パーツで形成され、且つ複数のいわゆる滑りパッド40を備えており、滑りパッド40は、
図11の制御リング27の基礎本体41に取り外し可能に接続されている。滑りパッド40は、軸方向及び周方向での制御リング27の運動中に制御リング27の傾斜を防止し、且つ制御リング27を遊びなくハウジング構造体24上に組み付けることを可能にする。滑りパッド40は、交換可能に製造され、優先的には良好な滑り特性、結果として低摩擦値を有する材料から製造される。滑りパッド40は、滑りパッドホルダ40aを介して関節方式で基礎本体41に接続され、このため、それら滑りパッド40は、周方向に対して接線方向に且つ制御リング27の回転軸線に対して垂直に位置する軸線周りに各々回転可能に取り付けられる。
【0032】
すでに上述したように、
図1〜
図9に示される例示的な実施形態のすべての伝達レバー28,29は、2つのパーツで各々実現され、伝達レバー28は、駆動シャフト26、又は駆動シャフト26から直接的に駆動されるガイドベーン21を制御リング27に連結し、伝達レバー29は、制御リング27を、伝達シャフト26から間接的に駆動されるガイドベーン21に連結し、伝達レバー28,29の各々の領域では、3つの球面継手支承部が、それぞれ形成され、球面継手支承部により、
図3及び
図5の比較によって特に明らかなように、制御リング27の回転及び軸方向の移動中に変化する、それぞれの伝達レバー28,29と制御リング27との間の高さ方向のオフセット又は径方向のオフセットを補償することが可能になる。
【0033】
図12〜
図14は、本発明の例示的な実施形態を示し、これらの実施形態では、駆動シャフト26から間接的に駆動されるガイドベーン21を制御リング27に連結するために働く伝達レバー29は、一体部品の弾性変形可能な伝達レバー29として形成される。結果として、
図12及び
図13の例示的な実施形態では、一体部品の弾性変形可能な伝達レバー29は、固定された一端でそれぞれのガイドベーン21に連結され、他端で球面継手支承部42を介して制御リング27に連結されている。それぞれの伝達レバー29のこれら2つの端部の間の移行セクション43では、伝達レバー29は、弾性変形可能であり、これにより、制御リング27と、間接的に移動可能なガイドベーン21と、の間の制御リング27の周方向の移動及び軸方向の移動中に変化する、高さ方向のオフセット又は径方向のオフセットを補償する。
【0034】
図14の例示的な実施形態は、伝達レバー28,29の具体的な実施形態により、
図12及び
図13の例示的な実施形態と異なっている。
【0035】
図12及び
図13の例示的な実施形態では、
図1〜
図9の例示的な実施形態と同様に、伝達レバー28のセグメント31,32は、実質的に、軸方向において並んで位置決めされているが、
図14の例示的な実施形態では、伝達レバー27のこれらセグメント31,32は、実質的に、径方向において重なって位置決めされている。
【0036】
図14の例示的な実施形態と
図2及び
図3の例示的な実施形態との間のさらなる差異は、一体部品の伝達レバー29の幾何学的輪郭にあり、一体部品の伝達レバー29は、伝達レバー29の2つの端部の間の移行セクション43において弾性変形可能であり、従って他のセクションと比較するとこの移行セクション43において相対的に薄い壁とされて実現されている。
【0037】
すべての例示的な実施形態は、ガイドベーンリング20のガイドベーン21が駆動シャフト26から直接的に駆動可能であることで共通している。ここで、駆動シャフト26又は直接的に駆動されるガイドベーン21は、制御リング27に連結されている。この連結は、優先的には、優先的に3つの球面継手支承部を有する2パーツの回動レバー28を介して行われる。ガイドベーンリング20のすべての残りのガイドベーン21は、制御リング27を介して駆動シャフト26から間接的に駆動可能であり、これらガイドベーン21は、さらなる伝達レバー29を介して制御リング27に連結されている。制御リング27は、径方向において、図示されないロータの回転軸線と同軸上に取り付けられ、且つ重ね合わせた方式で軸方向の直線運動及び周方向での回転運動を行うことができる。間接的に調節可能なガイドベーンを制御リング27に連結するために働く伝達レバー29は、直接的に調節可能なガイドベーン21を制御リング27に結合するために働く伝達レバー28と同様に、複数パーツで、あるいは一体部品で実現することができる。伝達レバー28,29の領域での球面継手支承部の使用が好ましいが、ヒンジ継手が採用されてもよい。
【0038】
図1〜
図5では、伝達レバー28,29は、ハウジング構造体24の外側でベーン基部の径方向外側端部に作用する。
図6及び
図7では、伝達レバー28,29が伝達レバー28,29の支承部30の間で作用する。
【0039】
本発明によるガイドベーン調節装置により、ガイドベーンリングのガイドベーンを最適に調節すること、すなわち寄生力を回避するとともに全体的な低摩擦及び低ねじれ荷重を保証することを可能にする。ここで、本発明のガイドベーン調節装置は、構成要素の低い荷重でガイドベーンリングのガイドベーンを移動させるための効果的な運動力学を提供し、この結果、ガイドベーン調節装置を利用するターボ機械では、高い吸引圧力を利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
20 ガイドベーンリング、21 ガイドベーン、25 ガイドベーン軸線、26 駆動シャフト、27 制御リング、28 伝達レバー、29 さらなる伝達レバー、31 第1セグメント、32 第2セグメント、33 継手支承部、34 継手支承部、35 第1セグメント、36 第2セグメント、37 継手支承部、38 継手支承部、42 継手支承部