(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
裏地原緞および表地原緞に液状接着剤を同一の印刷パターンで印刷し、前記裏地原緞および表地原緞の印刷パターンが一致するように表地原緞および裏地原緞を合布することを特徴とする、請求項1に記載の無縫製型の織物の結合方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一の目的は、接着剤を用いて裏地と表地とを圧着下で高周波加熱することによってパターン接合線を形成させ、これによって裏地と表地とを結合させる無縫製型の織物の結合方法を提供することであって、前述の接着剤は、裏地の内面、表地の内面、またはこれらの二つともに塗布されるか、任意のメッシュ型補強部材に付着されて、裏地と表地との間に挿入されて用いられ得る。
【0018】
本発明の一つの具現例によると、前述の接着剤は、裏地および表地に直接塗布され得るが、これによって、本発明による無縫製型の織物の結合方法は、下記のステップによって行われ得る:
【0019】
(1)裏地原緞および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0020】
(2)裏地原緞の内面または表地原緞の内面に、好ましくはこれらの内面の二つともに、熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで印刷する印刷ステップ、
【0021】
(3)上記裏地原緞の内面または表地原緞の内面に印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0022】
(4)前述の表地原緞および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0023】
(5)上記合布された表地原緞および裏地原緞を、上記印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱してパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0024】
本発明のさらなる具現例によると、前述の接着剤は、裏地および表地に直接塗布されることなく、他の補強部材に接着剤を塗布および乾燥して製造された接着剤−固着された補強部材の形態で用いられ得るが、これによって、本発明による無縫製型の織物の結合方法は、下記のステップによって行われ得る:
【0025】
(1)裏地原緞および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0026】
(2)メッシュ型補強部材に熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで印刷する印刷ステップ、
【0027】
(3)上記メッシュ型補強部材に印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0028】
(4)前述の表地原緞、メッシュ型補強部材および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0029】
(5)上記合布された表地原緞、メッシュ型補強部材および裏地原緞を、上記印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱してパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0030】
前述の接着剤の印刷は、通常の印刷技法で塗布または印刷することによって行われ得るが、印刷技法の例としては、スタンピング印刷技法、圧延プレス印刷技法、ローラー印刷技法またはスクリーン印刷技法を言及することができる。前述の印刷パターンは、1〜20mm、具体的には2〜15mm、好ましくは3〜10mmの幅を有することができる。
【0031】
熱反応型接着剤としては、熱によって反応して接着性を示すことができる類型の接着剤であれば制限なく用いることができ、非制限的な例として、エポキシ系樹脂を言及することができる。このような接着剤は、硬化剤、希釈剤および遅延剤を5〜15%w/wの量でさらに含むことができる。
【0032】
本発明において、接着剤は、室温で液状であるか、または溶媒などで液状化できる類型のものが良い。液状接着剤または液状化された接着剤の粘度は、印刷の便宜のために、1〜500mPa.s、具体的には5〜300mPa.s、好ましくは10〜200mPa.sから選択され得る。
【0033】
本発明の一つの具現例によると、接着剤の乾燥は、裏地/表地が互いに偏るか、または摩擦される際、接着剤が付かない程度まで行うことが良いが、例えば、50〜100℃の温度でおよび1分〜60分の時間の間、乾燥を行うことによって達成され得る。
【0034】
本発明の一つの具現例によると、表地原緞および裏地原緞を合布する合布ステップ(4)において、印刷パターンを一致させるために原緞の位置を調整する必要がある。このような原緞の位置を調整するステップは、原緞の位置または印刷パターンの位置を測定するステップ、および、原緞の位置または原緞の移送速度を調整するステップを含むこともできる。接着剤が一つの原緞にのみ印刷された場合、接着剤が印刷されていない原緞であるにもかかわらず、所定の接着予定線が存在する可能性があるため、前述の印刷パターンと前述の接着予定線とを一致させようとする際にも、上述の位置調整ステップが必要であり得る。
【0035】
本発明による高周波接合ステップ(5)は、所定の印刷パターンで接着剤が付着または印刷された原緞を、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら同時に高周波を照射して加熱することによって行われ得る。このような圧着および高周波加熱は、例えば、圧着パターンを有する突出部(または、圧着チップ)が形成されている高周波接合ローラーまたはプレスを用いて同時に行われ得る。
【0036】
本発明のさらなる具現例によると、前述の高周波接合は、7kHz〜400kHzの超音波または高周波を用いて、1〜30秒間、誘電加熱または誘導加熱方式で行われ得る。
【0037】
以下において、本発明は、図面を参照にしてさらに詳しく説明する。
【0038】
本発明の明細書において用いる用語は、次のとおりである。
【0039】
用語“縫製線”、“接着線”および“融着線”は、それぞれ縫製(裁縫)、接着剤による接着、および、原緞の表面の融着によって、裏地と表地とを物理的または化学的に結合している線状(線形態)または帯状(帯形態)の部位を意味するが、これらのすべてが“結合線”と通称され得る。これらは、場合によって、縫製結合線、融着結合線、または、接着結合線と指称されることもある。用語“接合線”は、融着または接着などの方式で物理的または化学的に連結されている“結合線”を意味するが、縫製線は除く。
【0040】
用語“結合予定線”は、物理的な結合線ではなく、結合線が位置する仮想の領域または範囲を意味し、場合によっては、インク、染料などで原緞の表面にその位置または領域が表示され得る。用語“縫製予定線”および“接着予定線”も、類似の意味を有する。
【0041】
用語“パターン線”は、原緞の表面に、表面の質感または表面の微細構造の差によって目視で区分されて見える線状または帯状のパターンを意味するが、原緞の加熱圧着の際に圧着部分の原緞の表面に永久的または半永久的に形成され得る。パターン線の例としては、原緞の表面に永久的または半永久的に形成された加熱圧着パターン、原緞の表面に見られる縫製線パターン、原緞の表面に漏れ出た接着剤によって形成されたパターンなどを言及することができる。縫製方式においては、内部の結合線と表面のパターン線とが同一であるのに対し、融着方式においては、原緞内部の結合線(すなわち、融着線)と原緞の表面のパターン線とが同一でないことがある。原緞の表面を加熱圧着する場合には、内部接着線がない状態でも表面パターン線を形成させることもできる。
【0042】
用語“裏地原緞”および“表地原緞”は、“裏地(inner fabric)”と“表地(outer fabric)”と実質的に同一の意味を有するが、裏地原緞は、裁断する前の原緞を、裏地は、裁断した後の原緞とに区分して用いられ得る。
【0043】
以下において、本発明の重要な構成要素および工程ステップについて具体的に説明する。
【0045】
本発明による無縫製結合方法を適用することができる原緞には、特に制限がなく、一般原緞、ダウンプルーフ原緞および機能性原緞のいずれにも適用され得、裏地と表地は同一であるか、または、異なり得る。
【0046】
一般原緞は、天然繊維および/または合成繊維からなる一般的な織物(fabric)を意味し、例えば、綿、繻子(絹)、麻、羊毛、ナイロン、ポリエステル、ポリエステル/羊毛、T/C(テトロン/綿)、オックスフォード、スエード、フェルト紙、ジャガード、捺染、先染などを言及することができる。しかし、このような一般原緞は、ダウン製品用の裏地や表地としては多く用いられない。
【0047】
ダウンプルーフ(Down Proof)原緞は、毛羽、綿毛またはダウンを入れるのに適するように加工するか、または特別に製造された原緞であって、一般には、ダウンが外に漏れるかもしくは抜け出ないように加工処理されるか、またはダウンプルーフ加工された原緞を通称する。
【0048】
例えば、100%綿、T/C(ポリエステル−綿混紡糸)、極細糸繊維、ゴアテックスなどを、フェザーなどが滲出しないように極めて密に織り、また、カレンダーで強い圧力をかけて、ストランドを押さえた状態で加工処理されたものを言及することができる。
【0049】
機能性原緞は、フィルムまたはコーティングなどを通じて、原緞に防水、透湿、通風などの機能を与えた原緞であって、すべての透湿防水性(Breathable)コーティング原緞を含むが、例えば、ゴアファブリック(Gore Fabric)、ハイベントファブリック(Hyvent Fabric)、および、コーロン、シンハンなどで生産するすべての機能性原緞を言及することができる。このような機能性原緞は、それ自体でダウンプルーフ原緞と見なされ得る。
【0050】
市販の透湿防水機能性原緞の非制限的な例として、ゴアテックス(ゴアテックス製品)、プロアクト(暁星T&C製品、ポリウレタン樹脂膜、湿式ラミネーション工法)、ハイポラ(コーロン製品、ポリウレタンコーティング)、ヒルテックス(Hopehill製品、樹脂膜使用)、ハイフレックス(ニューワールド製品;デュポンの防水透湿性ポリエステルエラストマー樹脂ハイトレル使用)、Entrant(日本Toray、ポリウレタン樹脂液を直接織物にコーティング)などを例示することができる。
【0051】
本発明の方法は、特に、針孔の形成が好ましくない原緞(例。機能性原緞、コーティング原緞)、または、縫製法の適用が容易でない原緞(例。特殊原緞、内部補強原緞)の結合に特に有用に適用されることができる。
【0053】
本発明によると、接着剤は、室温または工程温度で液状であり、乾燥によって固相または半固相形態に変化され得る液状接着剤(以後“接着液”とも称する)の形態で用いることができる。液状接着剤(接着液)は、裏地および表地に十分に染み込むことができ、高周波加熱時に原緞に染み込んだ接着液もともに熱硬化され、裏地および表地を堅く接合させることができる。
【0054】
室温または工程温度で固体である接着剤は、溶媒に溶解させた後、接着液または接着剤組成物の形態で用いることができるが、これらは、塗布時には液状で塗布され得、乾燥によって溶媒を除去することによって半固相または固体相で原緞の表面に付着され得る。乾燥された接着剤は、合布過程において原緞同士で偏るか摩擦されても、他の箇所に付くことが防止されるか、または塗布パターンが変化することが防止され得る。
【0055】
室温または工程温度で固体であり、かつ、若干の加熱によっては熱反応しない接着剤を用いることもできる。例えば、高周波加熱反応することなく、溶融性接着剤は、溶媒に溶解させた後、接着液または接着剤組成物の形態で用いることができるが、これらは、塗布時には液状で塗布され得、乾燥によって溶媒を除去することによって半固相または固体相で原緞の表面に付着され得る。乾燥された接着剤は、合布過程において原緞同士で偏るか摩擦されても、他の箇所に付くことが防止されるか、または塗布パターンが変化することが防止され得る。
【0056】
一般に、繊維または織物の接着のための接着剤として、通常、熱溶融型接着剤、溶媒揮散型接着剤または化学反応型接着剤を言及することができる。
【0057】
加熱溶融型接着剤は、室温で固体であるが、加熱時に溶融可能であり、冷却時にさらに固化して接着力を示す類型の接着剤であって、典型的には、ホットメルト型接着剤が言及され得、具体的には、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などが例示され得る。
【0058】
溶媒揮散型接着剤は、一般に、室温で固形の接着剤を溶媒に溶解させ、これを塗布した後、溶媒を蒸発させ、固化した接着剤によって接着力を示す類型であって、例えば、有機溶剤型接着剤(例。クロロプレン、ウレタン樹脂)、水溶剤型接着剤(例。ポリビニルアルコール)および水分散型接着剤(ポリビニルアセテート、ポリアクリル系エマルション)を言及することができる。
【0059】
化学反応型接着剤は、重合、縮合、グラフトなどの化学反応によって接着力を示す類型の接着剤であって、具体的には、化学反応を熱、光などで開始できる1液型接着剤、および、化学反応を構成成分の混合によって開始する2液型接着剤に区分することができる。1液型化学反応型接着剤として、熱硬化型接着剤(例。エポキシ樹脂)、湿気硬化型接着剤(例。シリコーン樹脂)、紫外線硬化型接着剤(アクリルオリゴマー樹脂)を例示することができ、2液型化学反応型接着剤として、縮合反応型接着剤(ウレア系)、付加反応型接着剤(エポキシ樹脂)、ラジカル重合型接着剤(アクリルオリゴマー)を言及することができる。
【0060】
本発明において、接着剤として高周波加熱接合用接着剤を用いることが好ましい。上記“高周波加熱接合用接着剤”は、特に区分されて限定されるか、市販される類型ではなく、熱、高周波などの外部エネルギー源による加熱時に反応を進め、接着力を示す熱反応型接着剤を意味し、具体的には、熱硬化型接着剤、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤を言及することができる。前述の熱反応型接着剤は、場合によっては、原緞および/または原緞にコーティングされた物質とも重合、縮合またはグラフトによる化学結合を形成することができるが、このような場合、接着力がさらに向上し得る。
【0061】
本発明によると、接着剤を高周波加熱などの方式で熱反応または熱硬化させて原緞を結合させるが、このように反応が進められた後でも、原緞の柔軟性(flexibility)を維持することができる結果物を与えることができる接着剤を用いることが好ましい。
【0062】
本発明による接着剤組成物または接着液において用いられ得る溶媒は、必要に応じて容易に揮発または除去することができ、原緞を変形させず、原緞に悪い影響を与えない類型であれば、特に限定されない。用いることができる溶媒の非制限的な例としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、エステル類(メチルアセテート、エチルアセテートなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロエタン)などを例示することができる。一般に市販される接着剤には溶媒または溶剤が含まれ得、このような溶媒または溶剤も、上述の溶媒として見なされ得る。
【0063】
接着液または接着剤組成物における溶媒の使用量または使用比率は、特に限定されず、接着液がローラープリンティングまたはスクリーンプリンティング工程に用いられ得る程度の粘度を有するように、当業者によって工程中に適切に任意選択され得る。前述の接着液の粘度は、特に臨界的ではなく、通常、0.1〜1000mPa.s、具体的に1〜500mPa.s、好ましくは2〜100mPa.s、特に好ましくは3〜50mPa.sから選択され得る。接着液の粘度が高すぎると、原緞に染み込むことができないか、または原緞の表面にまともに付着することができなくなるおそれが高い。
【0064】
本発明の一つの具現例によると、接着剤組成物または接着液は、熱反応性接着剤(熱硬化性接着剤)および溶媒の混合物であって、希釈剤、硬化剤(硬化促進剤)および任意の遅延剤を含むことができる。
【0065】
前述の接着剤組成物において、各成分の含量または比率は、特に限定されず、工程条件によって適切に調節され得る。例えば、接着剤組成物において、接着剤および溶媒は、80〜99%w/w、好ましくは85〜95%w/wの比率で含有され得、溶媒は、接着剤の重量を基準として、50%w/w以下、好ましくは30%w/w以下、さらに好ましくは10%w/w以下から選択され得る。このような場合にも、接着液の粘度を上述の範囲、具体的には1〜500mPa.sとなるようにすることが好ましい。接着剤組成物において、硬化剤、希釈剤および遅延剤は、それぞれ1〜10%w/w、好ましくはそれぞれ2〜7%w/wの量で用いられ得る。必要に応じて、上記溶媒、希釈剤、遅延剤などは含まれないこともあるが、例えば、接着剤組成物をスクリーンプリンティング工程で印刷する場合には、遅延剤を含まないこともある。
【0066】
本発明の一つの好ましい変法によると、前述の接着剤組成物は、顔料または染料を1〜20%w/wの量で含むことができる。用いることができる顔料および染料は、特に限定されないが、高周波加熱時に変色または変形されないか、または意図したとおりに変色または変形され得る種類を用いることが良い。
【0067】
一方、熱反応型接着剤は、反応性モノマー、反応性基を有する重合体、またはこれらの混合物であり得、熱によって硬化を開始または促進するための熱硬化型硬化剤をともに含有する組成物の形態で用いることができる。
【0068】
本発明による接着剤組成物は、熱反応型接着剤の他にも、必要に応じて、他の類型の接着剤、例えば、加熱溶融型接着剤および/または溶媒揮散型接着剤を、例えば50重量%の量まで含有することができる。
【0070】
本発明の一つの好ましい具現例によると、熱反応性接着剤として、エポキシ系接着剤を用いることができる。エポキシ系樹脂の常温硬化は通常10〜40℃、中温硬化は通常60〜100℃、高温硬化は140℃以上の温度を要し、硬化時間は、短くは数時間、長くは24時間またはそれ以上を要するため、必要に応じて硬化促進剤または硬化遅延剤を用いて硬化速度を調節することができる。
【0071】
一般に、硬化促進の効果がある末端基としては、−OH、−COOH、SO
3H、−CONH
2、−CONHR、−SO
3NH
2、SO
3NHRなどを例示することができ;硬化遅延の効果がある末端基としては、−OR、−COOR、−SO
3R、−CONR
2、−CO、−CN、−NO
2(上記式において、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示すが、特に限定されるものではない)などを例示することができる。
【0072】
硬化促進剤(すなわち、硬化剤)としてアミンおよび酸が主として用いられるが、アミン硬化用促進剤の例としては、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ビスフェノール−Aなどのフェノール類と、DMP−30、ポリメルカプタン系列を例示することができ、酸硬化用促進剤の例としては、ベンジルメチルアミン、DMP−30、ピリジン、K−61B、ルイス酸、ルイス塩基系列の物質を例示することができる。
【0073】
一般に、アミン硬化用促進剤としては、−OH基を有する化合物であるフェノールおよびアルキルフェノール、3級アミンなどを好ましく用いることができ、低温および速硬化促進剤としては、−SH基を有するメルカプタン類を好ましく用いることができる。
【0074】
希釈剤は、エポキシ系樹脂や硬化剤に添加して粘度を低下させることが主な目的であり、使用時の流れ性、脱泡性の改善、部品細部への浸透の改善など、または、充填剤を効果的に添加することができるようにする役割をする。希釈剤は、一般に、溶剤とは異なり、揮発せず、樹脂の硬化時に硬化物に残存するものであって、反応性と非反応性の希釈剤に分けられる。ここで、反応性の希釈剤は、エポキシ基を一つまたはそれ以上有しており、反応に参与して硬化物に架橋構造で入り、非反応性希釈剤は、硬化物中に単に物理的に混合および分散のみがされている状態である。
【0075】
反応性希釈剤は、硬化物の機械的、熱的、化学的、電気的特性を低下させるため、粘度低下の目的で用いるときのみ、1官能基を有する希釈剤を用いることが良く、なるべく多官能性希釈剤を用いることが、物性の低下をある程度防ぐことができる。一般に多く用いられる反応性希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル(BGE)、フェニルグリシジルエーテル(PGE)、脂肪族グリシジルエーテル(C
12〜C
14)、変性tert−カルボキシルジグリシジルエステル、その他に様々なものを言及することができる。
【0076】
非反応性希釈剤は、エポキシ樹脂や硬化剤と相溶性が良く、低粘度で不揮発性でなければならず、硬化物中に化学的に結合されたものでないことから、過量に使用するようになると、表面に析出され得るため、使用量の決定は、十分に実験した後に決定しなければならない。一般に用いられる非反応性希釈剤としては、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ノニル−フェノール、ハイソール(Hysol)、その他に様々なものを言及することができる。希釈剤の選択においては、使用目的、樹脂成分の特性を考慮することが必要であり、一般土木関係の用途ではBGEの使用が多く、鋳型、含浸などの電気特性を要求する分野ではBGEよりはPGE、CGE、SOなどが用いられている。
【0077】
希釈剤の選択において、希釈効果の他に、要求される樹脂の硬化特性の変化にも大きな影響を及ぼすため、希釈効果、硬化物の特性に関する影響、安全性、経済性などを考慮する必要がある。非反応性希釈剤または反応性希釈剤を単独で用いる場合は多くなく、非反応性希釈剤および反応性希釈剤の混合使用もほとんどなく、反応性希釈剤の2−3種をともに用いる場合が多い。
【0079】
一方、本発明によると、上述の高周波加熱接合用接着剤として、合成系熱反応型接着剤のみならず、次のような樹脂系熱反応型接着剤を言及することもできる:
【0080】
−熱硬化性:尿素系、メラミン系、フェノール系、不飽和ポリエステル系、エポキシ系、レゾルシノール系;
【0081】
−熱可塑性:酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、塩化ビニル系、ポリビニルアセタール系、アクリル系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエチレン系;
【0082】
−ゴム系−スチレン:ブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系、クロロプレン。
【0083】
高周波加熱接合用接着剤として、次のような混合系接着剤を言及することができる:
【0084】
−混合系−フェノール:ビニル系フェノール−クロロプレンゴム系;
【0085】
−エポキシ:ポリアミド系、ニトリルゴム−エポキシ系。
【0086】
本発明の一つの好ましい具現例によると、接着剤として熱硬化型接着剤を用いることができるが、例えば、ビニルアセテート系、ニトロセルロース、エポキシ系およびフェノール系樹脂からなる接着剤を例示することができ、好ましくは、エポキシ系およびフェノール系樹脂からなる接着剤を言及することができる。
【0087】
本発明のさらなる好ましい具現例によると、接着剤として、反応性アクリル系接着剤を総称するSGA(第2世代接着剤)を用いることができるが、配合組成物中の弾性体とアクリルモノマーが硬化反応中にグラフト重合をし、耐熱性、耐薬品性などに優れた接着を形成することができる。
【0088】
本発明によると、接合力が直ちに発揮される急速反応性接着剤を用いることが好ましいことがある。
【0090】
本発明によると、液状接着剤または接着剤組成物を、通常の印刷技法、例えば、スタンピング印刷技法、圧延プレス印刷技法、ローラー印刷技法またはスクリーン印刷技法で原緞に印刷または塗布することができる。一般に、印刷または染色分野において2〜4種の色相で微細パターンを形成させることができるが、液状接着剤をインクと見なす場合、上記印刷または染色技術を本発明にも無理なく適用することができる。
【0091】
前述のスタンプ、プレス、ローラーおよびスクリーンに刻まれる印刷パターンには、特別な制限がなく、好ましくは直線、曲線、破断線(−−−)、波線(〜)、ジグザグ線が1行以上、具体的には1行または2行刻まれたパターンであり得る。印刷パターンが2行以上で形成された場合には、パターンの全体幅が下記に言及の接着液印刷パターンの最大幅を超えないようにすることが良い。
【0092】
接着液を原緞に適用する場合、接着液は、裏地原緞と表地原緞とが対面して接触する面(以下、“内面”と称する)に塗布または印刷されるが、例えば、裏地原緞の内面、表地原緞の内面、またはこれらの二つともに塗布または印刷される。
【0093】
一般に、機能性原緞を表地として用いる場合には、裏地(あるいは、ダウンバッグ)の内面にのみ接着液を印刷し、表地である機能性原緞の内面には接着液を印刷しないこともある。また、一般のダウンプルーフ原緞を表地と裏地(あるいは、ダウンバッグ)の二つともに用いる場合には、裏地と表地の内面に二つとも接着液を印刷することができる。
【0094】
印刷パターンの幅は、少なくは0.5mmまで可能であるが、接合線の接着強度および工程効率(コスト/性能)の観点から1mm以上、好ましくは2mm以上、特には3mm以上となるようにする。印刷パターンにおいて、パターン幅の範囲の上限線は意味がないが、内部接合線および表面パターン線の組み合わせで無縫製結合線を形成しようとする本発明の目的によると、上限線は、20mm以下、好ましくは10mm以下、特には8mm以下から選択され得る。前述の印刷パターンの幅は、効率の面において3〜8mmから選択され得る。場合によっては、印刷パターンの幅が20mmを超過しても、本発明を適用するのに大きな問題はない。
【0095】
4.補強部材および接着剤−固着された補強部材
【0096】
本発明によると、前述の裏地原緞および表地原緞の間に補強部材をさらに含むことができる。
【0097】
例えば、裏地および表地の間で裏地原緞、補強部材および表地原緞がともに結合されて形成された内部接合線、および、表地の外側表面に形成された表面パターン線から構成された無縫製結合線が製造され得るが、次のことを特徴とする:
【0098】
−前述の内部接合線は、裏地−補強部材−表地がともに結合されて形成されたものであって、裏地または表地の内側表面に、または補強部材に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで固着させ、裏地−補強部材−表地を合布し、上記固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって、裏地−補強部材−表地が接合されている形態で裏地および表地の間の内部に形成され、
【0099】
−前述の表面パターン線は、上記高周波加熱と同時に、裏地−補強部材−表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、圧着されていない部分とは表面の質感が異なる形態で表地の外側表面に形成される。
【0100】
前述の補強部材−含有パターン接合線は、下記のステップを含む方法で形成され得る:
【0101】
(1)裏地原緞、補強部材および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0102】
(2)裏地原緞の内面、補強部材または表地原緞の内面に熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで印刷する印刷ステップ、
【0103】
(3)上記裏地原緞の内面、補強部材または表地原緞の内面に印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0104】
(4)前述の表地原緞、補強部材および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0105】
(5)上記合布された表地原緞−補強部材−裏地原緞を、上記印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱してパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0106】
前述の補強部材は、印刷ステップにおける液状接着剤および/または高周波加熱ステップにおける液状化された接着剤が補強部材を横切って容易に通過できる程度の透液性(溶液透過性)を有することができるが、このような透液性は、補強部材の材質の物性(例。湿潤性)およびストランドとストランドとの間の間隔(例。網目間隔)を適切に選択することによって達成され得る。このような理由により、一般の織造織物または不織布よりも網目間隔の広いメッシュ型補強部材を用いることが好ましいことがある。
【0107】
前述のメッシュ型補強部材は、一般に0.01〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mmの網紗太さ、および、一般に0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1mmの網目サイズを有することができる。補強部材が用いられる接着剤に対する適切な透液性を有している場合、網紗太さおよび網目サイズは、上述の範囲に限定されないこともある。
【0108】
前述の補強部材は、高周波接合ステップにおいて形態の変化が少ないか、または、ないことが好ましいと言えるが、例えば、熱硬化性合成繊維で製造することができる。
【0109】
補強部材を用いる場合、前述の液状接着剤は、裏地原緞および/または表地原緞にのみ印刷するか、補強部材にのみ印刷することができるか、または、原緞および補強部材の二つともに印刷することができる。
【0110】
原緞にのみ接着剤を適用する場合には、液状接着剤を裏地原緞の内面および/または表地原緞の内面に所定の印刷パターンで塗布および乾燥させ、補強部材を裏地原緞および表地原緞の間に単に挿入して合布した後、圧着下で高周波接合させて、補強部材−含有接合パターン線を形成させることができる。
【0111】
補強部材にのみ接着剤を適用する場合には、裏地原緞および表地原緞には接着剤を印刷せず、前述の補強部材の片面または両面に液状接着剤を所定の印刷パターンで塗布および乾燥させ、結果として得られた接着剤−固着されたメッシュ部材を裏地原緞および表地原緞の間に挿入および合布し、高周波接合させ、メッシュ−補強された接合パターン線を形成させることができる。補強部材の透液性に優れている場合には、補強部材の片面にのみ接着剤を塗布することができる。補強部材の透液性が不足している場合には、補強部材の両面に対称するように接着剤を塗布することができる。
【0112】
一般に、メッシュ型補強部材を構成する網紗は、接着剤−固着されたメッシュ型補強部材において固化された接着剤の形態を支え、維持することを手伝う役割をするだけでなく、高周波接合時に液化された接着剤の滲み出しを防止する役割をすることによって、パターン接合線の接合力、耐久性および仕上げ品質をさらに向上させることができるようにする。一方、ホットメルトは、固形接着剤を固化または成形させて製造され、内部に補強部材を含む場合もほとんど提案されていない。したがって、通常用いられるホットメルトは、本発明の接着剤−固着された補強部材とは構成自体が異なっており、補強部材(メッシュ)による有利な作用および効果を示すことができない。
【0113】
前述のメッシュ型補強部材、好ましくはメッシュ部材は、メッシュ原緞をそれ自体で用いて、適切な間隔で接着剤を印刷および乾燥して、接着剤−固着されたメッシュ部材を製造し、これを適切な幅で切断して用いることができる。さらには、前述のメッシュ原緞を適切なサイズ(幅)および形態で先に切断し、ここに接着剤を印刷および乾燥して、接着剤−固着されたメッシュ部材を製造し、これを裏地と表地との間に挿入して用いることができる。
【0114】
補強部材−含有接合パターン線は、原緞の間に補強されたメッシュ部材によって、接着強度と耐久性にさらに優れるだけでなく、表面パターン線の鮮明性および仕上げ品質もほぼ損なわれることなく、むしろ改善され得る。
【0115】
本発明において、補強部材は、透液性および形態変形性が十分であると、メッシュの形態ではなく、一般の織造織物または不織布の形態を採択することもできる。この場合、織造織物または不織布は、ストランド間の空間が比較的に大きいことが好ましいが、例えば0.1〜3mmの気孔サイズ(ストランドとストランドとの間の距離)を有することができる。
【0117】
本発明の方法において、高周波接合によってパターン接合線を形成させるとき、接着液の乾燥工程は重要であり得る。裏地原緞、表地原緞および/または補強部材としてのメッシュ原緞にプリンティングされた接着液の乾燥は、合布工程においてこれらの原緞が重なるとき、または、原緞同士ぶつかり、摩擦されるときに接着液が付かないようにするために必要である。
【0118】
さらに、高周波加熱時に溶融された接着液の流動性が大きすぎると、接着力が不足するか、または、接着線の仕上げが不良となるおそれがあるため、接着液の適切な乾燥は必要である。具体的に、高周波加熱ローラーまたはプレスの圧着時に乾燥された接着液が高温で溶融されながら硬化されるとき、接着液の乾燥度が低ければ、接着液の流動性があまりにも大きく、結果として接着液が横へ過度に広がるか押され得るが、これによって、接合線を形成する接着液が不足となる可能性もある。また、高周波加熱範囲から外れる程度に遠く広がった接着液は、高周波接合時に反応を進めない可能性があり、隔室内においてダウンを固まらせながら、使用の途中に徐々に硬化を進め、ダウンが縺れるようにする可能性がある。
【0119】
本発明によると、原緞に付着された接着液の乾燥程度は、臨界的ではなく、接着液を塗布または印刷した後、原緞の移送時に接着液が流れ落ちることなく、かつ、原緞の合布時に接着液が付かない程度に乾燥するか、または、手で軽く擦ったときに接着液が付かない程度で行う。
【0120】
乾燥温度と乾燥時間は、特に限定されず、接着液における溶媒の種類と濃度によって適切に選択され得るが、例えば、50〜250℃、具体的には70〜200℃、好ましくは100〜150℃の温度、および、1分〜60分、具体的には1分〜40分、好ましくは2〜20分の乾燥時間から選択され得る。好ましくは、上記温度を有する温風または熱風を用いるか、または、テンター機を用いて乾燥が行われ得る。
【0121】
乾燥後に原緞に付着された接着剤の厚さ(原緞に染み込んだ厚さは除く)は、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。接着剤の厚さが厚すぎると、高周波加熱圧着時に余分の接着液がパターン線を超えて流れ、仕上げ品質を低下させるおそれがあるか、または、パターン線の厚さが厚くなり、隔室面とパターン線が層をなすおそれがある。
【0122】
本発明のさらなる好ましい具現例によると、接着液乾燥工程は、接着剤自体の粘度によって差があるが、付着された接着液の粘度が100mPa.s以上、具体的には500mPa.s以上、好ましくは1000mPa.s以上となるまで行うことができる。ただし、付着された接着液における溶媒の除去は表面の方で早い場合が多く、このような場合には、表面における半固相被膜の形成によって、原緞の摩擦時に付かない程度に乾燥されたものと判断され得る。したがって、上記粘度は、付着された接着液の表面粘度を意味することができ、好ましくは付着された接着液の平均粘度を意味することができる。
【0124】
本発明において、原緞の“合布”は、裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞を単に重ねることを意味し、化学的または物理的な結合は排除された状態を意味し、2つ以上の織物をボンディングまたはラミネーティングなどの方法で付着または結合させる一般的な意味とは差がある。また、裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞が接合線で結合されている場合には、用語“二重原緞”と指称し、原緞が互いに結合されることなく、単に重畳されている場合には“合布された原緞”と指称する。
【0125】
よって、原緞の合布は、裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞を重ねて密着させるものの、裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞がまだ物理的または化学的に接合されていない状態を意味するが、一般には、裏地原緞の上に表地原緞を重ねてセッティングする。補強部材を用いる場合には、裏地原緞と表地原緞との間に補強部材を挿入して合布する。
【0126】
本発明によると、原緞の合布ステップは、裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞を密着させるとともに、裏地原緞の内面の接着液の印刷パターンと表地原緞の接着液の印刷パターンとが互いに一致するようにすることが必要である。接着剤−固着された補強部材は、裏地と表地との間に単に挿入することで十分であるが、裏地と表地に接合予定線がある場合には、裏地と表地の接合予定線および補強部材の接着液の印刷パターンが互いに一致するように合布する。
【0127】
合布ステップは、裏地原緞および表地原緞の膨潤度、張力などを考慮して、これらの移動速度またはローラーの回転速度を調節しながら機械的にまたは手で行われ得る。場合によっては、レーザー計測器などを用いて、原緞の移動速度およびパターンの位置などを測定して制御することができる。
【0128】
一方、一般の縫製工程においては、裏地原緞と表地原緞をそれぞれ裁断して裏地および表地を製造し、結果として得られた裏地と表地を合布して接合させるため、合布工程および接合(縫製)工程を機械化することが難しく、いちいち手工で行うことから、大量生産も難しかった。一方、印刷技法で接着液を印刷し、高周波接合法でパターン接合線を形成させる本発明の方法においては、このような接着剤印刷工程、乾燥工程、合布工程および後続の接合工程をすべて機械化することが容易であるため、衣類製品または寝具製品を大量生産することが可能である。
【0129】
本発明によると、印刷工程を応用して接着液を塗布または印刷するが、このような印刷工程は、原緞の合布工程における接着剤のパターンの一致のためにも応用され得る。
【0132】
超音波または高周波加熱は、被加熱材の物理的性質によって大きく誘導加熱と誘電加熱とに分けられ、前者は、導電性金属を加熱するのに用い、後者は、誘電損失のある材料、すなわち、水、紙、プラスチックなどを加熱するのに主として用いる。
【0133】
本発明において、高周波加熱方式は、特に限定されず、3kHz〜800kHz、具体的には7kHz〜400kHzの高周波を用いる誘導加熱、または、2MHz〜100MHz、具体的には5MHz〜50MHzの高周波を用いる誘電加熱の中から選択され得る。高周波加熱時間は、原緞の類型、厚さ、接着剤の類型によって変わり得るが、1〜30秒、具体的には2〜20秒から選択され得、これらに限定されない。
【0134】
例えば、何らのコーティング処理がされていない薄い原緞には、おおよそ15kHzの高周波を4〜5秒間照射するとともに加熱し、コーティング原緞は、30〜40kHzの高周波をおおよそ6〜8秒間照射して加熱し、フィルムまたはラミネーティング処理された厚い原緞は、60〜80kHzの高周波をおおよそ10〜12秒間照射して加熱することができるが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0135】
一般に、高周波加熱の長所は、第一、被加熱体が直接加熱されることによる経済性、第二、局部加熱および選択加熱が可能であることによる高品位の品質確保、第三、秒単位の迅速な処理による大量生産の可能性、第四、非接触加熱による汚染や損傷の防止などが主に言及されるが、それらの他にも、材料の節減、無公害、稼動効率の増加、設置面積の効率性といった利点も言及され得る。
【0137】
本発明によると、合布された裏地原緞、任意の補強部材および表地原緞を高周波加熱して接着剤を硬化させ、同時に圧着して、裏地−接着剤−表地、または、裏地−接着剤−補強部材−接着剤−表地を接合または一体化させることによって接合パターン線を形成させる。前述の裏地原緞および表地原緞は、これらの接合予定線が互いに一致するように、および/または、これらに印刷された接着液パターンが互いに一致するように合布されている。このとき、前述の接着液の印刷パターンと同一のパターンを有する圧着チップを有する高周波加熱ローラーまたはプレスを用いて高周波加熱および圧着することが好ましい。具体的に、原緞用の印刷ローラーまたは補強部材用の印刷ローラーに刻まれた陰刻のパターン(すなわち、印刷パターン)と、高周波加熱ローラーに形成された陽刻のパターン(すなわち、圧着パターン)は、実質的に互いに同一であることが好ましい。ここで、パターンが同一であるということは、パターンの形態のみならず、パターンの幅も含む意味である。
【0138】
本発明のさらなる具現例によると、前述の圧着チップの圧着パターンの幅は、前述の接着予定線または接着剤の印刷パターンの幅とは実質的に同一であるが、例えば、これらの幅の差または形態離隔率が20%以内、具体的には10%以内、好ましくは5%以内、さらに好ましくは1%以内であり、圧着パターンが印刷パターンより小さいものが良いことがある。
【0139】
本発明において、表地である透湿防水性(Breathable)コーティング原緞に接着溶液印刷技法で接着液が付着された裏地(あるいは、ダウンバッグ)を重ねた後、高周波加熱ローラーまたはプレスを用いて、指定された模様のパターンを形成させる。高周波加熱ローラーまたはプレスにおいて突出している圧着チップのパターン、すなわち、圧着パターンは、接着液印刷工程において用いられたメインローラーまたはスクリーンに刻まれた印刷パターンと同一であるか、または類似し得る。透湿防水性コーティング原緞のように、高周波加熱を用いた融合が不可能な原緞もあるが、本発明によって、接着剤を用いて高周波接合させる場合には、これらの原緞にも適用することができるという利点がある。
【0141】
高周波接合ステップ(5)において、高周波接合用ローラーまたはプレスの圧着チップの圧着パターンに沿って圧着および高周波加熱が加えられるため、原緞は、圧着パターンに沿って加熱圧着され、表面の質感に変化が発生し、これによって、パターン線が形成されるのに対し、接着剤は、圧着パターンに沿って投射される高周波照射線または高周波加熱線の影響で加熱され、硬化反応を進め、これによって、接合線を形成する。結果として、圧着パターンに沿って発生した表面の質感の変化によってパターン線が形成され、また、圧着パターンに沿って硬化反応が進められた接着剤によって接着線が形成される。このとき、圧着パターンと印刷パターンとが一致しなければ、すなわち、圧着パターンと印刷パターンとが同一でないか、または、圧着パターンと印刷パターンとが同一であるとしても合布過程において一致しなければ、圧着パターンと異なる位置にある接着剤は硬化反応を進めないこともあり得、したがって、接着線は、印刷パターンに沿って全体的に形成され得ず、圧着パターンと重複または一致する部分にのみ形成されるようになる。
【0142】
本発明によると、印刷パターンと圧着パターンが実質的に同一であり、前述の合布ステップ(4)において上記圧着チップの圧着パターンと接着剤の印刷パターンとが一致して合布されるため、印刷パターンに沿って印刷された接着剤は、実質的にすべてが高周波照射範囲または高周波加熱範囲内に含まれ、したがって、印刷パターンに沿って印刷された接着剤は実質的にすべて高周波加熱され、硬化反応を進める。
【0143】
このように、前述の高周波加熱および圧着によって、熱反応型接着剤は硬化反応を進め、原緞を接合させて接合線を形成させ、原緞の表面は、加熱圧着されて表面の質感の差を発生させ、パターン線を形成させるようになる。このように形成されたパターン線は、鮮明であり、仕上げに優れている。
【0144】
併せて、一般に原緞の厚さが非常に薄いため、原緞の構成および緻密度によって、表地の内面に付着された液状接着剤は加熱圧着時に表地の外面に染み出る可能性があるが、表地の表面または表面の近くにまで染み出た接着剤が硬化反応して形成された部分は、原緞の表面の質感とはさらに異なる表面の質感を示すため、パターン線はさらに鮮明に見えることもある。
【0145】
本発明の特徴のうち一つとして、補強部材を用いると、厚さがさらに薄い原緞の接合時に、原緞の広げ性を向上させ、原緞の表面のしわの形成を防止する効果を与えることができる。
【0146】
本発明の一つの好ましい具現例によると、前述の圧着チップまたは突出部の圧着パターンは、接着剤の印刷パターンと実質的に同一に構成され、接着剤の印刷パターンと圧着チップの圧着パターンとが一致するように位置を調整し、高周波加熱下で圧着する構成を有する条件で高周波接合を行う。印刷パターンと圧着パターンとが一致していない状態で高周波接合が行われると、結果として接合線とパターン線の位置が一致しないようになるが、その結果、内部接合線がまともに形成されず、接着力が低下し、また、内部接合線と表面パターン線とが一致しないことから、これらの一体化の程度が低下し、その結果、内部接着線が表面パターン線の形態および表面の質感を維持する能力も低下し、時間の経過によってパターン線の形態および表面の質感が崩れてパターン線がはっきりしないようになる。
【0147】
内部接合線の幅は、印刷された接着剤の幅および/または量に左右されるのに対し、表面パターン線の幅は、高周波加熱用ローラーまたはプレスの加熱チップに刻まれた圧着パターンの幅に左右される。したがって、印刷パターンと圧着パターンとの同一性および一致性はさらに重要となる。
【0148】
一方、縫製によって原緞を結合させた場合、縫製線は、原緞内部において裏地と表地を実際に結合させているため結合線であり、同時に、原緞の表面(外面)において目視で見られるためパターン線でもある。
【0149】
また、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤を用い、単なる加熱圧着によって原緞を接合させた場合には、原緞の間には接合線が形成されるが、原緞の表面にはパターン線が形成されないか、または、形成されても鮮明でなく、仕上げが不良である。その理由は、第一、一般にホットメルトが溶融され得る比較的低温で接合工程が行われるため、原緞の表面に永久的な表面の質感の差を発生させる可能性が低く、第二、ホットメルトが付着された部位のみを選択的に圧着できる圧着チップのないローラーまたはプレスを用いることが一般的であるため、原緞の表面に表面の質感の差を発生させないためである。それのみならず、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤は、接着耐久性が低いため、形成された接合線の耐久性も低く、これによって、接合線とパターン線が形成されるとしても、これらの耐久性が低く、時間が経過することによってパターン線の鮮明度がさらに不良になるおそれが高い。
【0150】
一方、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤を用いた加熱圧着において、溶融されたホットメルトが原緞内部に染み込み、表地の表面にまたは表面の近くにまで滲出する場合には、原緞の組織の変形および表面の質感の変化が発生し、ホットメルト接合線に沿ってパターン線が形成され得るものの、接合線の接着力および耐久性が低いため、時間の経過によってパターン線がはっきりしなくなるとともに、接合線と分離されるおそれが高い。
【0151】
もし、ホットメルト接着剤の代わりに加熱硬化型接着剤を用い、単なる加熱圧着方式で原緞を接合させる場合にも、選択的に圧着できる圧着チップのないローラーまたはプレスを用いると、原緞の表面に表面の質感の差を選択的に発生させ難く、したがって、鮮明なパターン線を得ることが難しい。また、高周波加熱方式ではない一般の加熱方式で原緞を高温で加熱圧着する場合、原緞の表面の損傷なしに表面の質感の差のみを発生させるように温度を調節することは極めて難しい。
【0152】
一方、接着剤を用いた高周波接合工程は、プラスチック、紙、ゴムなどの接着分野においてはすでに知られている。しかし、接着液を印刷方式で印刷し、印刷された接着液をあらかじめ乾燥させ、そして、印刷パターンと圧着パターンとを一致させる方式、すなわち、印刷パターンに沿って圧着しながら高周波接合を行うことについては知られていない。さらに、接着しようとする両面にすべて接着液を塗布および乾燥し、これらのパターンに一致させて重なるようにした後、高周波接合を行うことを開示する文献は見出すことができなかった。さらに、既存のプラスチック、紙、ゴムなどの高周波接合において、接合線をパターン化し、形成されたパターンを審美的に用いることについてもほとんど知られていない。
【0154】
本発明によると、接着剤が塗布および乾燥された原緞を、または接着剤−固着された補強部材が挿入された原緞を、圧着下で高周波加熱することによって、高周波接合させてパターン接合線を形成させ、これによって、原緞を無縫製方式で結合させる。接着剤は、熱硬化性であるため、高周波加熱ステップにおいて、原緞は、圧着された状態で接合パターン線を形成する。したがって、接着剤の染み込んだ原緞は、元の状態(元の厚さ)に回復せず、その状態で、すなわち、圧着された状態で接合パターン線を形成する。これによって、接合パターン線は、周辺の原緞に比べて、原緞の厚さが少なくなり、全体的に凹んだ立体感を与えるようになる。
【0155】
本発明において、結果として得られたパターン接合線の厚さは、元の圧縮されていない原緞厚さを基準として、5%以上、具体的には5〜60%、好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜40%程度が減少され得る。原緞の間にメッシュのような補強材を挿入する場合には、上述の厚さ減少比率において補強材の厚さを含めて計算する。
【0157】
一般に、織物の無縫製結合方法は、第一、原緞を準備する原緞準備ステップ、第二、接着剤を準備し、印刷する印刷ステップ、第三、接着剤を乾燥する乾燥ステップ、第四、原緞を合布する合布ステップ、第五、高周波接合ステップ、第六、マーカーおよび裁断ステップ、第七、オーバーロッキング仕上げ、ダウン注入、ダウン注入口密封ステップ、第八、繋ぎ合わせおよび繋ぎ合わせ部位仕上げステップに大きく区分することができる。
【0158】
本発明による織物の無縫製結合方法は、下記のステップによって行われ得る:
【0159】
(1)裏地原緞および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0160】
(2)裏地原緞の内面および/または表地原緞の内面に、任意の補強部材の片面または両面に、熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで印刷する印刷ステップ、
【0161】
(3)上記原緞または任意の補強部材に印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0162】
(4)前述の表地原緞、任意の補強部材および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0163】
(5)上記合布された表地原緞、任意の補強部材および裏地原緞を、上記印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱してパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0164】
上述の方法で形成された本発明による無縫製結合線は、裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、表地の表面に形成された表面パターン線から構成されたパターン接合線であって、下記の特性を有することができる:
【0165】
−前述の内部接合線は、裏地または表地の表面に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで固着させ、固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって原緞が接合されている形態で、裏地および表地の間の内部に形成され、
【0166】
−前述の表面パターン線は、上記高周波加熱と同時に裏地および表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、表面の質感が異なる形態で表地の表面に形成され、
【0167】
−前述の印刷パターンに由来する内部接合線と、前述の圧着パターンに由来する表面パターン線は、パターン(形状)が互いに同一であり、幅の差が10%以内であり、
【0168】
−前述の表面パターン線は、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤によって内部接合線と実質的に一体化されている。
【0169】
本発明の明細書において、“パターン接合線を構成する表面パターン線と内部接合線とが一体化されている”という表現は、本発明において形成される表面パターン線は、原緞の高周波加熱および圧着による原緞の表面組織および表面構造の変化に起因する表面の質感の変化のみならず、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤による原緞の内部組織および内部構造の変化から結果として得られる表面の質感の変化を総合的に反映したものであることを意味する。このような表面パターン線と内部接合線との一体性は、液状接着剤を吸収する原緞の吸収能力が高いほど、および/または、液状接着剤が原緞内部に染み込むことができる浸透能力が高いほど増加される。
【0170】
一方、高周波接合法でパターン接合線(すなわち、接合線およびパターン線)を高品質および高効率で形成させる方法において、印刷ステップ、乾燥ステップ、合布ステップおよび高周波接合ステップに関する具体的な説明、ならびにこの重要性は、大韓民国特許出願10−2014−0132528号(PCT/KR2015/006776に対応)、および、大韓民国特許出願10−2014−0132529号(PCT/KR2015/006779に対応)に十分に記述されており、上記文献は、本発明に参照として取り込まれる。
【0171】
以下において、本発明は、図面を参照してさらに詳しく説明される。
【0172】
図1は、点線模様のパターン接合線で結合された織物、および、これらの結合様式と構造を図式的に示す図である。図(a)は、表地(102)の表面に形成された点線模様の表面パターン線およびこれらをなす一連の模様(109)を示し、図(b)は、点線の模様(109)が形成された内部には、硬化された接着剤(106)によって織物が接合され、内部接着線を形成していることを示し、図(c)は、表面パターン線と内部接合線とからなるパターン接合線によって結合された織物の全体的な結合構造を示す斜視図である。
【0173】
上述のように、高周波接合ステップにおいて裏地と表地とを圧着させた状態で接着剤が硬化されるため、表面パターン線をなす模様(109)の部分において、原緞は、圧縮されていない他の部位より厚さが薄い。前述の厚さ減少比率は、圧縮されていない原緞厚さを基準として、おおよそ5%以上、具体的に5〜60%、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは15〜40%から選択されることができるが、これらに限定されることはない。前述の厚さ減少比率または原緞の圧縮比率は、補強部材を含んでいない比率である。
【0174】
一方、
図1の図(b)に図示されたように、前述のパターン線またはパターン線をなす模様(109)は、圧縮チップまたは突出部を有する圧着用プレスまたはローラーでもって圧着される表地の表面においては、比較的に明らかな凹部または陰刻の形態を有するだけでなく、圧縮チップまたは突出部を有さない単なる受け台(159)でもって圧着される裏地の表面においては、ある程度凹んだ部分を形成することができる。
【0175】
図2は、接着剤−固着された原緞を輪型圧着ローラーによって高周波接合させて点線模様のパターン接合線を形成する過程を図式的に示す図である。
【0176】
図2の図(a)は、接着剤(103、104)が付着された裏地(101)および表地(102)を輪型圧着ローラー(157)およびローラー型の受け台(159)の間に位置させた後、高周波接合を行って、表地(102)の表面に点線形態のパターン線の模様(109)を形成する工程を描写する斜視図である。前述の2個のローラー(157、159)は、それぞれ表示された回転方向に回転し、原緞(101、102)は、矢印方向に進行するようになっている。裏地(101)および表地(102)に付着された接着剤(103、104)は、点線形態の圧着パターンで形成された突出部(154、159)でもって圧着されながら高周波加熱および硬化されると、原緞の内側には内部接合線を形成し、表地の表面には表面パターン線をなす模様(109)が連続的に形成され得る。
【0177】
図2の図(b)は、図(a)の透視図に対応する正面図であって、点線形態の圧着パターン(154)が突出した輪型圧着ローラー(154)、対応する圧着パターンが突出したローラー型の受け台(159)、および、これらの間に位置している裏地(101)および表地(102)を順に示している。接着剤(103、104)は、裏地(101)および表地(102)にそれぞれ塗布および乾燥されていることが分かる。
【0178】
図3は、接着剤−固着された補強部材が挿入された原緞を輪型圧着ローラーによって高周波接合させて点線模様のパターン接合線を形成する過程を図式的に示す図であって、接着剤が原緞に付着されず、接着剤−固着された補強部材の形態で用いられることを除いては、
図2と類似している。
【0179】
図3の図(a)は、接着剤(105)が付着された補強部材(105)が裏地(101)および表地(102)の間に挿入され、輪型圧着ローラー(157)およびローラー型の受け台(159)の間に供給されることを示し、図(b)は図(a)の透視図に対応する正面図である。
【0180】
図4は、補強部材(103)を挿入して形成されたパターン接合線の構造を示す図であって、(a)および(c)は、連続的に挿入される接着剤−固着された補強部材(103)およびこれを含むパターン接合線(108)の断面構造を描写する図であり、(b)および(d)は、断続的に挿入される接着剤−固着された補強部材(103)およびこれを含むパターン接合線の断面構造を描写する図である。
【0181】
一方、本発明において、接着液の乾燥は、高周波接合法でパターン接合線(すなわち、接合線およびパターン線)を高品質および高効率で形成させるのに非常に重要であり得る。原緞または補強部材にプリンティングされた接着液の乾燥は、合布工程において原緞の重なりまたは摩擦の際に接着液が付かないようにするだけでなく、高品質のパターン接合線を形成するためにも重要である。その理由は、高周波接合時に溶融される接着液の流動性が高すぎると、結果として得られた接合線において接着力の不足または仕上げ不良が引き起こされ得る。乾燥された接着液は、高周波加熱によって発生する高温で溶融され得るが、高周波加熱ローラーまたはプレスでもって圧着されるとき、流動性が大きすぎると、接着液が左右に広がりすぎるようになり、これによって、接合線を形成する接着液が不足するようになり得るだけでなく、高周波加熱範囲から外れるほど広く広がった接着液は、加熱されず、反応を進めないおそれもある。
【0182】
本発明において、このような乾燥の重要性は、
図5および
図6に図示されているように、高周波加熱圧着時における接着液の挙動、および、結果として得られた接合線およびパターン線の関係を検討することで理解することができる。
【0183】
図5は、適切に乾燥された接着液が高周波接合工程において示す挙動、および、結果として得られたパターン接合線の形態を説明する図である。図(a)は、高周波接合工程前の状態であって、裏地(101)と表地(102)が合布されており、同時に、裏地(101)に印刷された接着液(103)の印刷パターンと圧着チップ(154)の圧着パターンとが互いに一致するように整列されている状態を示し;図(b)は、高周波接合が進められている状態であって、圧着チップ(154)は表地(102)を圧着してパターン線(108)を形成し、同時に、接着液を加熱して硬化反応させることによって接合線(107)を形成することを示し;および、図(c)は、高周波接合工程が完結した後の状態であって、裏地(101)および表地(103)は接着剤に由来する接合線(107)によって結合されており、表地(103)の表面にパターン線(108)が形成されていることを示す。このとき、接着液は、適切に乾燥されているため、高周波加熱および圧着時に流れ落ちるか、または広がらず、高周波加熱領域内において硬化反応を進めることができ、結果として、パターン接合線の品質(鮮明度、仕上げ)および物性(接着力、耐久性)に優れるようになる。
【0184】
図6は、適切に乾燥されないか、または流動性の高い接着液が高周波接合工程において示す挙動、および、結果として得られたパターン接合線の形態を説明する図である。
図6の図(a)、(b)および(c)は、
図5の図(a)、(b)および(c)に対応する。ただし、裏地(102)に印刷された接着液(103)は高流動性であるため、高周波接合(図b)時に硬化反応による接合線(107)の形成以前に、点線で表示された高周波加熱範囲の外に広がることを示す。高周波加熱範囲の外に広がった接着液は、硬化反応を進める場合には、接合予定線の外の原緞に付着し、接合線の仕上げを不良にさせることができ、硬化反応を進めず、未反応接着液(107において
【表1】
で表示された部分)として残留すると、追って隔室内のダウンがもつれるようにすることができる。
【0185】
本発明の一つの好ましい具現例によると、高周波加熱ローラーまたはプレスにおいて、接着液印刷パターンと圧着チップの圧着パターンとは実質的に同一であることが好ましいが、これらの幅(width)の差が20%以内、具体的には10%以内、好ましくは5%以内でなければならない。圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも僅かに少ないことが鮮明なパターン線の形成および優れたパターン線の仕上げのために好ましいことがある。
【0186】
本発明において、高周波加熱ローラーまたはプレスの加熱チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンと形状およびサイズが実質的に同一であるか、またはその差が5%以内であると、接着剤の大部分が接着線に含まれ得るため、結果として得られたパターン接合線の品質(鮮明度、仕上げ)および物性(接着力、耐久性)に満足し得る。接着剤の乾燥程度および圧着パターンと印刷パターンとのサイズの差を適切に選択することによって、加熱圧着時に横に流れ出るかまたは抜け出て接合線に含まれない未反応接着剤の量を最小限に制御することができる。
【0187】
圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも広すぎると、用いられた接着剤は大部分が接合線の形成に用いられ得るのに対し、接着剤の量が圧着パターンの幅に比べて接着剤の量が相対的に少なく、圧着パターンをすべて包括することができなくなるため、内部接合線は縁がデコボコし、仕上げが不良となり、内部接合線で支持され得ない表面パターン線が部分的に形成される可能性があるため、パターン接合線の品質が全体として低下する。
【0188】
圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも狭すぎると、さらには、接着液の印刷パターンが圧着チップの印刷パターンよりも広すぎると、表面パターン線はすべて内部接合線によって支持され得るが、圧着パターンと類似の高周波加熱範囲の外に存在する接着液は加熱が不十分であり、未反応接着液の比率が増加するようになる。これにより、印刷されたすべての接着剤が接合線の形成に用いられなくなり、経済的に不利であり、場合によっては、接着力が不足するようになる可能性もある。また、未反応接着液は、接合線近隣の織物の接着を誘発し、高温洗濯または乾燥時に遅くても硬化反応を進め、パターン接着線の仕上げ品質を損なうため、製品不良の原因となり得る。
【0189】
図7は、本発明の高周波接合工程を高周波誘電加熱方式で行うことを説明する図である。
【0190】
図(a)に図示されたように、圧着プレス(153)および受け台(158)の内部には、それぞれ高周波回路(157)および高周波回路(159)が設置されており、上記圧着プレス(153)の末端に付着された突出部(154)は圧着チップとして作用する。
【0191】
図(b)に図示されたように、誘電加熱方式においては、前述の2個の高周波回路コイル(157および159)の磁力線内に位置する接着剤(103および104)は誘電加熱によって選択的に加熱される。上記磁力線内に位置する原緞も、場合によっては加熱され得る。前述の圧着プレス(153)における高周波の照射および突出部(154)の圧着が原緞の表面における同一の領域において同時に行われ、接着剤の硬化による内部接合線と、圧着チップの圧着による表面パターン線が同時に形成され得る。これに対し、誘導加熱方式においては、接着剤を直接加熱するか、または接着剤が熱を発生するようにする方式ではなく、誘導回路の内部において発生した熱が突出部に伝達または伝導され、突出部の熱が伝導によって原緞内部の接着剤に伝達または伝導され、接着剤の硬化反応を起こす。
【0192】
図(c)に図示されたように、所定の印刷パターンで印刷された接着剤(103および104)と、印刷パターンと同一の圧縮パターンを有する加熱チップ(154)とが互いに一致した状態で加熱圧着されると、高周波誘導加熱と同様に、優れた接着強度を有する接合線(107)および優れた仕上げ品質のパターン線(108)を同一のパターンで同時に得ることができるようになる。
【0193】
ただし、高周波誘電加熱方式においては、所望の接着剤の加熱温度および接着剤の誘電加熱定数を考慮して、適用する高周波の周波数、照射時間および電力を適切に選択することが必要である。
【0194】
もし、印刷パターンと圧縮パターンとが一致しない状態で高周波誘電加熱方式で接合工程が行われると、磁力線領域の外部に位置する接着剤は加熱されず、硬化を進めないか、または、硬化を進めても圧着されないこともあるため、原緞内部の接合線の不均一性、および、接合線とパターン線との不一致によって、パターン線の仕上げも不良であり、一部のパターン線部分においては、裏地および表地が互いに接合されない可能性もある。
【0195】
一方、高周波誘導加熱方式の接合手段を用いる場合、突出部は圧着加熱チップとして作用し、接着剤は、圧着加熱チップから発生し、原緞を通じて伝達された熱によって加熱される。圧着加熱チップは、印刷パターンが一致したままで合布された原緞を圧着パターンに沿って加熱圧着するが、もし、印刷パターンと圧着パターンとが同一であり、互いに一致した状態で加熱圧着されると、原緞内部には圧着パターンに沿って硬化された接着剤が形成する接合線、および、原緞の表面には圧着パターンに沿って形成されたパターン線が同時に同一のパターンで形成される。このような場合、接合線(すなわち、隔室区分線)の接合強度およびパターン線の仕上げ品質が非常に優れるようになる。ただし、高周波誘導加熱方式においては、原緞の表面の温度が上がりすぎないように、圧着加熱チップの温度および圧着時間を適切に調節することが必要である。
【0196】
もし、印刷パターンと圧縮パターンとが一致しない状態で高周波接合が行われると、加熱圧着チップの領域の外部に位置する接着剤は硬化反応を進めないか、または、硬化反応を進めても圧着されないこともあるため、上記と同様に、原緞内部の接合線の不均一性、および、接合線とパターン線との不一致によって、パターン線の仕上げも不良であり、一部のパターン線部分においては、裏地および表地が互いに接合されない可能性もある。
【0197】
図8は、圧着チップの圧着パターンの幅(Wt)と接着液の印刷パターンの幅(Wa)との差による接合線の形成様態および問題点を説明する図であって、
【0198】
図8の図(a)は、接着液(103)が印刷された裏地(101)、および、接着液(104)が印刷された表地(102)が合布された状態を示す。
【0199】
図8の図(b)は、圧着パターンと印刷パターンの幅が実質的に同一である場合(Wt=Wa)における接合線(107)の形成過程を示すが、接着剤の大部分が高周波加熱範囲(円形の点線)に含まれ、硬化後に接合線(107)がパターン線(108)とほぼ一致するように形成されることが分かる。所定のパターン予定線(すなわち、圧着パターンの幅)の外に広がった接着剤は最小化され、結果として得られた接合線(107)は幅が均一に形成され、この仕上げも優れている。
【0200】
図8の図(c)は、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より少ない場合(Wt<Wa)における、パターン線(108)より広い接合線(107)の形成過程、および、発生し得る問題点を示す。硬化後に接合線(107)はパターン線(108)より広く形成され、パターン線は優れた仕上げで形成され得るが、原緞内部には未反応接着液(点線の外部分)が過度に残存する可能性がある。結果として得られた接着線の仕上げは優れているが、未反応接着液は工程コストを増加させる。高周波加熱範囲の境界線が接着剤の反応の境界線でないため、反応した接着剤と未反応の接着剤の境界が明確でないことから接合線の境界が不明確であり、したがって、仕上げが不良である。加熱圧着後に残るようになる未反応接着液は、後続の工程またはダウン製品の使用中に硬化反応を進めることがあるが、これによって、付近の原緞をさらに結合させるか、または、近くのダウンがもつれるようにして、製品不良を引き起こすことがある。
【0201】
図8の図(d)は、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より広い場合(Wt>Wa)における、パターン線(108)より狭い接合線(107)の形成過程を示す。この場合、加熱圧着後に接着液は大部分が硬化され、未反応接着液はほとんどないが、接合線の縁または境界線が滑らかでなく、デコボコに形成され得る。また、パターン幅に比べて接着剤が相対的に不足しており、表面パターン線の一部が未接着部位(接着線の右下段および左上段に点線円で表示された部分)によって支持される状態が発生する。このように、内部接着線(107)と表面パターン線(108)とが一体化されないと、パターン接着線の仕上げが不良となり、品質(接着力および耐久性)が低下する。
【0202】
一方、添付の
図5、6および7において、接着剤の印刷幅と圧着チップの圧着幅との差に関する説明において、先行文献に、原緞に接着剤またはホットメルトを塗布または付着し、ローラーまたはプレスで加熱圧着することによって原緞を接合するか、または、原緞の表面にフィルムを付着または形成する技術が提案されているが、これらは、いずれも上記
図8の図(d)において、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より広い場合(Wt>Wa)と同一であり、したがって、同一または類似の問題点が引き起こされ得る。
【0203】
結論として、圧着パターンと印刷パターンの形状が類似し、サイズが実質的に同一であることが好ましく、このような圧着パターンと印刷パターンは、実際には圧着手段に陽刻された圧着パターン、および、印刷装置に陰刻された印刷パターンで形成されるため、前述の圧着手段の圧着パターン(例、圧着ローラーの圧着チップ)と印刷手段の印刷パターン(例、印刷ローラーの溝)は、パターンが同一であり、パターン幅の差が20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内であることが良い。
【0204】
一般に、高周波加熱によって形成された接合線の引っ張り強度は、接着剤の種類、使用量、接合線厚さ、織物の類型によって変わり得る。本発明によって形成された隔室区分用パターン接合線を有する二重原緞、および、これを用いたダウン製品において、接合線の幅が2〜10mmである場合、接合線はおおよそ1〜20kgf、具体的には1.2〜18kgf、好ましくは1.5〜15kgfの引っ張り強度を示すことができる。
【0205】
本発明の一つの具現例によると、幅6mmの接合線は、原緞が一般の原緞および高密度の原緞(例。ダウンプルーフ原緞)の場合には、おおよそ2.8kgf以上、好ましくは3.8kgf以上の引っ張り強度を示すことができ、原緞が機能性原緞である場合には、コーティング原緞またはラミネーティング原緞によって差があるが、少なくとも1.8kgf以上、好ましくは4.0kgf以上、特には6.0kgf以上の引っ張り強度を示すことができる。
【0206】
既存の縫製による縫製線の引っ張り強度は、縫製糸および原緞の種類によって差があるが、おおよそ1〜4kgfであることと比較すると、本願発明によるパターン接合線の引っ張り強度の範囲は不足しておらず、むしろさらに優れることもある。
【0207】
一部のラミネーティング原緞の場合には、原緞本体とラミネートされたフィルムとの間の接着力が、高周波加熱によって形成された接合線の引っ張り強度より低いため、本発明による優れた引っ張り強度の効果を十分に発揮することができないこともあるが、これらの原緞を縫製法で接合する場合、他の不利な点が多いため、これらの原緞にも、本願発明の高周波接合法がさらに有利に適用され得る。
【0208】
本発明によって形成されたパターン接合線は、せん断力に対する耐性にも優れており、洗濯耐久性にも優れている。本発明によって製造された製品に対し、機能性原緞製品の耐久性の検証のために通常行う洗濯テストを行ったとき、1回の洗濯工程が洗濯40分および脱水乾燥40分からなる洗濯テストを10回、20回および30回行った後にも、接合部位において分離、離脱などの損傷がないことを確認した。
【0209】
本発明において、パターン接合線による織物の結合方法を行うための装置は、特に限定されず、大韓民国特許出願10−2014−0132529号(または、国際特許出願PCT/KR2015/006779号)(発明の名称:高周波接合法で形成されたパターン接合線を有するダウン製品用二重原緞の製造装置)に記載された装置およびこの変形された装置を言及することができる。上記文献に記載された装置は、
図9に参照として例示され、上述の装置および運転方法は、本発明に参考として取り込まれる。
図9は、パターン接合線で結合された二重原緞の製造装置を例示したものであって、オーバーロッキング仕上げ用の結合線の形成、ズボン裾仕上げ用の結合線の形成、衣類への付着物付着用の結合線の形成などに本発明の方法を用いるためには、
図9の装置を適切に変形または変更して用いることができることは勿論である。
【0210】
図9の製造装置は、典型的に、投入手段(110)、印刷手段(120)、乾燥手段(130)、合布手段(140)、接合手段(150)および巻取手段(160)を含むが、それぞれの装置の役割および/または機能は、次のとおりである:
【0211】
投入手段(110)は、裏地原緞ロール(111)および表地原緞ロール(112)をそれぞれコンベヤー式またはローラー式工程ラインの導入部に連結し、原緞が工程ラインに連続的に投入され得るようにする手段を意味する。
【0212】
印刷手段(120)は、接着剤を所定の印刷パターンで原緞に印刷する手段であって、スタンピング印刷手段、圧延プレス印刷手段、ローラー印刷手段またはスクリーン印刷手段などから選択され得る。前述のスタンプ、プレスまたはローラーには、上記印刷パターンが陰刻または陽刻で、好ましくは陰刻で刻まれており、前述のスクリーンには、印刷パターンがスクリーンされている。印刷手段は、二重原緞を構成する第1原緞(表地)および第2原緞(裏地)に対してそれぞれ設置され得るが、接着剤は、第1原緞および第2原緞のうちいずれか一つまたは二つともに印刷される。
図9において、ローラー印刷方式の裏地印刷手段(121)およびスクリーン印刷方式の表地印刷手段(122)が図示されている。
【0213】
また、裏地原緞に印刷された接着剤(103)および表地原緞に印刷された接着剤(104)は、水平移動される裏地原緞(101)および表地原緞(102)の上向き面に印刷されるものと図示されているが、これは、便宜のためのものであって、必要に応じて、原緞の下向き面に印刷されるか、または垂直移動もしくは傾斜移動される原緞に印刷されることもあるが、このような場合には、接着液は流れ落ちない程度の粘度を有することが良い。
【0214】
裏地印刷装置として、ローラー印刷装置(121)が例示されているが、これを用いた印刷方法は、
図10に例示されている。ローラー印刷装置(121)は、
図10に図示されたように、接着液供給機(128)、リリースローラー(127)、メインローラー(125)およびガイドナイフ(129)を基本的に含む。接着液(103)は、接着液容器(128)からリリースローラー(127)に供給され[参照:図(a)]、次いで、印刷パターンが刻まれたメインローラー(125)の溝(124)に伝達され[参照:図(b)および(c)]、このようにメインローラーの溝(125)に伝達された接着液は、原緞と接触するとき、原緞の表面に付けられ、原緞に伝達される[参照:図(d)、(e)および(f)]。このように原緞に印刷された接着液(103)は、後続の乾燥装置において乾燥され、原緞に固着され得る。ローラー印刷装置(121)は、メインローラーの溝(124)(印刷パターンが陰刻された部分)以外に付いた印刷を除去するためのガイドナイフ(129)をさらに含むことができる。
【0215】
図9においては、表地印刷装置(122)として、スクリーン印刷装置が例として図示されているが、スクリーン印刷装置は、接着液供給機、スクリーンおよびブラシを含むことができる。スクリーン印刷装置において、接着液は、接着液供給機からスクリーンに供給され、次いで、スクリーンが原緞に接触したとき、ブラシでスクリーンを掃くと、スクリーンに刻まれたパターンに沿って接着液が原緞に塗布される。このように塗布された接着液(104)は、後続の乾燥装置(130)において乾燥され、原緞に固着され得る。
【0216】
乾燥手段(130)においては、原緞に印刷された接着液が乾燥されるが、合布時に互いに付くか、またはパターンが崩れないように適切な水準で乾燥または固化され、原緞に付着されるようにする。乾燥ステップにおいて、原緞の表面に付着された接着液は、高い乾燥温度によって粘度が低下し、原緞内部にさらに染み込んで固着され得る。裏地および表地は、同一または異なる乾燥手段で乾燥され得る。
図9においては、裏地と表地の乾燥を同一の乾燥手段で行うものと図示されているが、これは、例示のためのものであって、これによって本発明が限定されない。乾燥は、加熱、送風、赤外線照射またはこれらの組み合わせによって行われ得るが、これのための発熱体(例。発熱フィラメント)、送風機および発光体などは、
図9に具体的に記載しない。本発明の一つの好ましい具現例によると、上記乾燥手段は、テンター機から選択され得る。
【0217】
合布手段(140)は、裏地と表地とを互いに接近させて密着させることによって原緞を合布する手段であって、例えば、裏地および表地を密着させ、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを互いに一致するように密着させる。
【0218】
前述の合布手段は、第1原緞(または、下部原緞もしくは裏地)および第2原緞(または、上部原緞もしくは表地)を密着させる過程において、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを一致するように整列するための第1整列手段(原緞位置調整手段)をさらに含むことができる。本発明において、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを一致させる位置整列は、原緞の位置の調節および/または移送速度の調節によって達成され得るが、これのための手段として、可変ローラー手段(142)または原緞速度調節手段などを例示することができる。可変ローラー(142)は、原緞の移送経路において原緞と接触しているが、この位置を上下に移動させ、原緞の経路を変更することができる。これによって、裏地と表地に付着された接着剤の相対位置が調整され得る。
【0219】
一般に、原緞の移送速度の調節は、印刷工程または乾燥工程などの速度を調整することによって達成され得るが、工程ラインの全体にわたって原緞の移送速度を調節することが要求されるという問題点がある。したがって、移送速度の調節よりは、移送経路の調節によって原緞の位置を整列することがさらに容易または効率的であり得る。
【0220】
可変ローラー(142)を用いる第1整列手段の作動方式を説明すると、次のとおりである。例えば、裏地(101)に付着された接着剤(103)が、表地(102)に付着された接着剤(104)より少し遅れて合布装置内に引き込まれると、表地(102)の移送速度を全体的に少し遅らせることができる。さらには、表地の移送経路上に位置した可変ローラー(142)を上方へ移動し、表地(102)の移送経路を長くすることによって、表地の接着剤(104)の位置を後方に移すことができ、結果として、裏地と表地とのパターンを一致させることができる。
【0221】
このような第1整列手段(原緞位置調整手段)は、例えば、裏地原緞および表地原緞に付着された接着剤の相対位置を測定する手段、ならびに、上記相対位置が一致するように原緞の移送速度または原緞の移送経路を調節することができる調整手段をさらに含むことができる。位置測定装置は、原緞の移送速度および/または原緞の移送経路を調節することができる手段とともに連携してコンピューターで制御することによって、上述の整列過程を精密に行うことができるだけでなく、自動化することもできる。
【0222】
一方、補強部材(例。メッシュ部材)を用いる場合には、前述の投入手段、印刷手段、乾燥手段および合布手段ならびにこれらの作動様態は適切に変形または補完され得る。
【0223】
補強部材の投入は、補強部材原緞ロール(不図示)を用いて連続的に提供することができるか、または、切断された補強部材を裏地と表地との間に挿入することができる補強部材挿入手段(不図示)を用いて所定の位置に提供することができる。
【0224】
補強部材原緞ロール(不図示)および補強部材挿入手段(不図示)の位置は、特に決められておらず、補強部材原緞ロールは、補強部材が裏地原緞および表地原緞の間に連続的に挿入され得るように位置されなければならず、切断された補強部材の挿入手段は、好ましくは乾燥手段および合布手段の間に位置することができる。
【0225】
例えば、メッシュ部材印刷手段(不図示)およびメッシュ部材乾燥手段(不図示)を用いて、接着剤−固着されたメッシュ部材を先に形成させ、これを表地と裏地との間に連続的にまたは断続的に挿入することができる。接着剤−固着されたメッシュ部材を、裏地または表地と類似の幅を有する原緞の形態で用いて連続的に挿入する場合には、裏地および表地と単に挿入することによって合布され得るが、メッシュ部材を適切な長さに切断して断続的に挿入する場合には、メッシュ部材挿入手段(不図示)を用いて、裏地および表地の間の適切な位置(すなわち、パターン接合線を形成させる位置)に挿入および合布することができる。この場合、位置整列手段を用いて挿入位置を正確に調整することができる。
【0226】
接合手段(150)は、原緞の圧着下で高周波加熱によって接着剤を硬化させ、原緞を結合させる手段であって、表面に所定の圧着パターンを有する圧着用突出部もしくは圧着チップが形成されている圧延プレス、または、ローラー圧着手段を用いて行われ得る。
【0227】
接合手段(150)においては、突出部の圧着パターンが、合布された原緞の印刷パターンと一致するように、上記突出部と合布された原緞とをそれぞれ位置させた後、突出部を原緞の方に接近させ、原緞を圧着させ、同時に高周波加熱で接着剤を硬化反応させ、原緞を接合させるようになる。
【0228】
本発明の一つの好ましい具現例によると、前述の接合手段(150)は、接着剤の印刷パターンと突出部の圧着パターンとが互いに一致するように原緞および/または突出部の位置を調整できる第2整列手段(不図示)を含むことができる。第2整列手段は、合布された原緞の移送速度、突出部の位置、ローラーの速度などを調整する手段を含むことができる。
【0229】
合布された原緞の印刷パターンの位置は、可変ローラー(不図示)による位置の調整または移送速度の調整によって微細に変更され得る。合布された原緞の移送速度の調整は、全体の工程ラインにわたって原緞の移送速度を変更しなければならないという問題があるため、可変ローラーでもって合布された原緞の位置を変更し、合布された原緞の印刷パターンの位置を調整することが容易である。
【0230】
一方、印刷パターンと圧着パターンとの一致は、圧着パターンの位置を調整することによって達成されることもある。圧着パターンの位置、具体的には、圧着ローラーまたはプレスの圧着チップまたは突出部の位置は、これらの動作速度(すなわち、ローラーの回転速度またはプレスの圧着速度)、またはこれらの位置(例、高低)を変更することによって調整され得る。ローラーもしくはプレスの動作速度および/または位置を調節することが最も容易であり、効率的であり得る。したがって、印刷パターンおよび圧着パターンが一致するように原緞と圧着チップを整列させる第2整列手段の目的は、原緞の位置、圧着チップの位置、原緞の移送速度、圧着チップの動作速度などを調節する方式で達成され得るが、好ましくは、圧着チップの位置または動作速度を調節することによって達成され得る。
【0231】
前述の第2整列手段は、接着剤位置測定装置および/または加熱チップ位置調整装置を含むことができ、これらをコンピューターでもってともに制御することによって、上記整列工程をさらに精密に行うことができ、さらには自動化することもできる。
【0232】
上述の第1整列手段および第2整列手段は、印刷分野において2種以上の色相を印刷する印刷技法、例えば、3種の色相をそれぞれ印刷する3色印刷技法、または、4種の色相をそれぞれ印刷する4色印刷技法と類似の技術および装置を用いることができる。
【0233】
本発明の一つの具現例によると、印刷パターンおよび圧着パターンは、パターン中心線を基準としてパターン(形態)が互いに重畳され得るとともに、互いのサイズ(幅)の差が20%以下、好ましくは10%以下となるようにすることが良い。
【0234】
巻取手段(160)は、連続的に製造された二重原緞(161)を任意の冷却過程を経た後、ロール(162)形態で巻取る手段を指称するが、必ずしも巻取ロールの形態に限定されるものではなく、移送しやすい形態に合わせることができる。接合工程において製造された二重原緞は、巻取手段からそのまま、またはロールもしくは他の形態に合わせ、後続のダウン製品の製造工程、例えば、マーカーおよび裁断工程に直ちに移送されることもある。
【0235】
一方、裏地原緞および表地原緞から始め、
図9に記載の製造装置においてパターン接合線で結合された織物からなる二重原緞を製造する工程を順に沿って説明すると、次のとおりである。裏地原緞(101)は、裏地原緞ロール(111)から解れ、印刷手段(120)に供給される。印刷手段(120)の裏地印刷装置(121)は、
図9においてはローラー印刷技法で図示されているが、供給された裏地原緞(101)の内面に所定の印刷パターンで接着液(103)を印刷する。接着液(103)が印刷された裏地原緞(101)は、テンター機のような乾燥手段(130)に移送され、所定の温度および所定の時間の間、乾燥される。
【0236】
また、表地原緞(102)にも接着液を印刷することができ、好ましくは、裏地原緞と同一の印刷パターンで接着液を印刷する。表地原緞ロール(112)から解れた表地原緞(101)の内面には、表地印刷装置(122)によって接着液が所定の印刷パターンで印刷される。前述の表地印刷装置(122)は、
図9によると、スクリーン印刷技法を用いるものと図示されているが、他の印刷手段、例えば、ローラー、プレスを用いることができる。接着液(103)が印刷された表地原緞は、テンター機のような乾燥手段(130)に移送され、所定の温度および所定の時間の間、乾燥される。
【0237】
接着液(103)が印刷された裏地原緞(101)および接着液(104)が印刷された表地原緞(102)は、それぞれ乾燥された後、合布手段(140)に移送され、接着液(103)の印刷パターンおよび接着液(104)の印刷パターンが一致するように合布される。このとき、前述の印刷パターンの位置に差があり、互いに一致しない場合には、原緞の移送速度を調節することによって、または、移送ローラー(142)を用いて表地原緞の移送距離を調整することによって、印刷パターンの差を調整することができる。
【0238】
印刷パターンが一致するように合布された裏地原緞(101)および表地原緞(102)は、高周波接合手段(150)に供給され、高周波接合装置(153)の圧着チップ(154)で印刷パターンの位置において原緞を圧着しながら高周波加熱を行い、裏地原緞および表地原緞は、接着剤に由来する接合線で結合させることによって、二重原緞(161)を製造することができる。製造された二重原緞(161)は、巻取って二重原緞巻取ロール(162)を形成させる。
【0239】
図11aは、印刷手段(130)において用いられ、所定の印刷パターンで溝部(124)が陰刻されたプレス(123)、および、高周波接合手段(150)において用いられ、前述の印刷パターンと同一の圧縮パターンで突出部(154)が形成されたプレス(153)を示す図であり、
図11bは、
図11aにおいて、印刷手段および接合手段がプレスではなくローラー形態を有する場合を図示した図であって、所定の印刷パターンで溝部(124)が陰刻されたローラー(125)、および、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで突出部(153)が陽刻されたローラー(152)を示している。前述のプレス(123)およびローラー(125)において、左側の斜線の断面は切断面を意味し、陰刻された溝(124)は、両末端が塞がれているか(
図11aおよび
図11b)、または空けられていることもある。
【0240】
上記
図11aおよび
図11bにおいて、陰刻された溝(124)の印刷パターンおよび突出した圧着チップ(154)の圧着パターンは、形状およびサイズが互いに対応し、同一であり、具体的に、パターン中心線を基準としてパターン(形態)が互いに重畳され得るとともに、互いのサイズ(幅)の差が20%以下、好ましくは10%以下である。溝(124)の深さと圧着チップ(154)の高さは、互いに対応するものではなく、それぞれ独立して選択され得るが、例えば、陰刻の深さは一般に0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmから選択され得、陽刻の高さは1〜30mm、好ましくは5〜20mmから選択され得る。
【0241】
図11cは、一字模様の印刷パターンが陰刻された輪型印刷ローラー(c)、および、対応する一字模様の圧着パターンが突出した輪型圧着ローラー(a)を示す図であって、図(d)および(b)は、それぞれこれらの断面図である。
【0242】
図11dは、点線模様の印刷パターンが陰刻された輪型印刷ローラー(c)、および、対応する点線模様の圧着パターンが突出した輪型圧着ローラー(a)を示す図であって、図(d)および(b)は、それぞれこれらの断面図である。
【0243】
図12は、印刷パターンと圧着パターンとの一致に対する概念を示す概念図であって、突出した圧着チップ(154)の圧着パターン、表地(102)に印刷された接着剤(104)の印刷パターン、および、裏地(103)に印刷された接着剤(105)の印刷パターンは、一点鎖線に沿って一致するように整列されていることを示す。
【0244】
図13は、本発明の方法によって原緞の表面に形成された波模様のパターン接合線を示す写真である。
【0245】
図14は、高周波接合法で形成されたパターン接合線でもって結合された原緞の表面および接合の構造を説明する図であって、(a)不連続的な点線模様のパターン線(108)が形成された原緞の外側表面、(b)A−A切断線による断面における内部の構造の断面図、および(c)裏地(101)および表地(102)が接合された部位の構造と、接合されていない部位における構造を立体的に描写する斜視図である。図(b)において、パターン線(108)は点線模様で不連続的になっているため、接合部分においてパターン線が二重で表示されていることが分かる。
【0246】
図15は、高周波接合法で形成されたパターン接合線でもって結合された原緞の表面および構造を説明する図であって、
図1の不連続的な点線模様の代わりに、連続した波模様を有するパターン線およびこの内部構造を示す図である。
【0247】
本発明によると、印刷手段および圧着手段は、同一の類型の装置、すなわち、印刷プレス−圧着プレスの組み合わせ、または、印刷ローラー−圧着ローラーの組み合わせを選択することができ、互いに異なる類型の組み合わせ、例えば、印刷プレス−圧着ローラー、印刷ローラー−圧着プレス、または、印刷スクリーン−圧着プレスの組み合わせを選択することができる。
【0248】
本発明の明細書における、裏地と表地の二つともに接着剤を印刷し、高周波接合工程を行う方法に対する説明は、裏地と表地のうち一つにのみ接着剤を印刷し、高周波接合工程を行う方法にも適切に変形されて適用され得るが、このような変形は、当業者にとって容易に理解され得るであろう。