特許第6683740号(P6683740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683740ケーブルウインチの組み立てキット及びケーブルウインチの切り替え方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683740
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ケーブルウインチの組み立てキット及びケーブルウインチの切り替え方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/28 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   B66D1/28 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-564603(P2017-564603)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公表番号】特表2018-517642(P2018-517642A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2016063936
(87)【国際公開番号】WO2016202945
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】102015109884.9
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516083449
【氏名又は名称】コネクレーンズ グローバル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Konecranes Global Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】シュルト フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】モル オリバー
(72)【発明者】
【氏名】イムブッシュ ゲレオン
(72)【発明者】
【氏名】ウズン アフメット
(72)【発明者】
【氏名】ザットラー トールステン
(72)【発明者】
【氏名】コーレンバーグ トーマス
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−056497(JP,A)
【文献】 特開2000−110895(JP,A)
【文献】 特表2013−511452(JP,A)
【文献】 実開昭60−191750(JP,U)
【文献】 特表2009−523684(JP,A)
【文献】 特開昭63−165293(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0013593(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0308826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00 − 5/34
F16H 1/00 − 1/26
F16H 1/28 − 1/48
F16H 48/00 − 48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルドラム(4)と、駆動モータ(2)と、変速機ユニット(3A、3B)と、支持フレーム(5)とを含むケーブルウインチの組み立てキットであって、前記組み立てキットは、ケーブルウインチを所望に応じてC字形又は準同軸形に組み立てることができるようにするため、前記変速機ユニット(3A、3B)用の異なる変速機ハウジング部品を含んでおり、
前記C字形用の第1ハウジング(10A)、及び、これとは異なる、前記準同軸形用の第2ハウジング(10B)が、異なる変速機ハウジング部品として設けられており、前記第1ハウジング(10A)は、前記変速機ユニット(3A、3B)を前記C字形用の第1変速機ユニット(3A)として組み立てることができ、これによって組み立てられる前記ケーブルウインチのデザインが前記C字形に決まるように形成されており、前記第2ハウジング(10B)は、前記変速機ユニット(3A、3B)を前記準同軸形用の第2変速機ユニット(3B)として組み立てることができ、これによって組み立てられる前記ケーブルウインチのデザインが前記準同軸形に決まるように形成されていることを特徴とする、組み立てキット。
【請求項2】
前記第1ハウジング(10A)は、第1ハウジングシェル(11A)によって構成することができ、前記第2ハウジング(10B)は、第2ハウジングシェル(11B)によって構成することができることを特徴とする、請求項に記載の組み立てキット。
【請求項3】
前記第1ハウジング(10A)は、前記第2ハウジング(10B)よりも長状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み立てキット。
【請求項4】
前記ハウジング(10A、10B)は、第1又は第2変速機ユニット(3A、3B)を其々形成するために、同一のシャフト(12、13、14、15)、特に出力シャフト、好ましくはこれに加えて2つの中間シャフト、及び、特に好ましくはこれに加えて入力シャフトを、前記C字形と前記準同軸形とでは異なる配置で、対応する前記ハウジング(10A、10B)内に取り付けることができるように、形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組み立てキット。
【請求項5】
両方の変速機ユニット(3A、3B)用の前記組み立てキットが、前記ケーブルウインチ、特に、対応する前記変速機ユニット(3A、3B)を、前記C字形又は準同軸形に組み立てるための同一部品を含んでおり、当該同一部品には、シャフト(12、13、14、15)、特に出力シャフト、好ましくはこれに加えて2つの中間シャフト、及び、特に好ましくはこれに加えて入力シャフトが含まれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組み立てキット。
【請求項6】
前記組み立てキットが、前記C字形及び準同軸形用の異なる入力シャフト(12)を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の組み立てキット。
【請求項7】
前記C字形の前記変速機ユニット(3A)の前記シャフト(12、13、14、15)は、シャフトの長手方向に見て略一直線上に配置されており、好ましくは、2つの中間シャフトが、入力シャフトと出力シャフトとの間に配置されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の組み立てキット。
【請求項8】
前記準同軸形の前記変速機ユニット(3B)の前記シャフト(12、13、14、15)は、密集配置されており、好ましくは、入力シャフトが、出力シャフトと2つの中間シャフトとの間に配置されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の組み立てキット。
【請求項9】
請求項1〜8に記載のケーブルウインチの組み立てキットを用いて、C字形構成と準同軸形構成との間でケーブルウインチを変更する方法であって、そのために、前記変速機ユニット(3A、3B)は、単に、前記C字形用又は準同軸形用の異なるハウジング(10A、10B)を用いて、其々のハウジング(10A、10B)内に同じ部品を異なる態様で組み付けることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラム、駆動モータ、変速機ユニット、及び支持フレームを含む、ケーブルウインチの組み立てキットに関する。
【背景技術】
【0002】
実質的に2つの異なるデザインのケーブルウインチの使用が知られている。
【0003】
異なるデザインのうちの主要なタイプは、いわゆるC字形であり、このタイプでは、支持フレームに取り付けられたケーブルドラム又はケーブルウインチの下方(又は上方)に、駆動モータが配置されており、これにより、側方から見ると略C字形となっている。この場合、変速機は、通常、支持フレームの側面板に配置される。
【0004】
異なるデザインのうちの他方のタイプは、いわゆる同軸形であり、このタイプでは、駆動モータが、ケーブルウインチ軸又はケーブルドラム駆動シャフトのほぼ延長線上の側方で、支持フレームの面板に、変速機を介在させて、フランジ取り付けされている。この場合、モータ従動シャフトとケーブルドラム駆動シャフトとは、互いに同軸上に配置される。
【0005】
C字形にはコンパクトな配置、同軸形にはスリムという利点がある。
【0006】
C字形又は同軸形のケーブルウインチは、ドイツ特許公開第102010048946A1号公報、ドイツ特許公開第102005046900A1号公報、ドイツ特許公開第19530891A1号公報、及び、旧東ドイツ特許公開第42513A3号公報から周知である。
【0007】
また、Pahl and Beitzによるテキスト"Konstruktionslehre - Methoden und Anwendung" ["設計−方法及び用途"]第3版、1993年、589ページ以降から、組み立てキットも周知である。
【0008】
ドイツ実用新案第1951272U号公報からは、追加式微動変速機に関連するウインチ用の一種の組み立てキットシステムが周知である。この場合、追加式微動変速機の無いそのままの状態、又は、追加式微動変速機を備えた状態のいずれかで、駆動モータを、長さの短いC字形タイプ又は長さの長いC字形タイプとして作製することがきる。其々のC字形タイプを組み立てるために、異なる変速機ハウジング、ピニオン、及びギアホイールが用いられる。駆動モータも、各タイプによって、ウインチの変速機の異なる側に配置することができ、これによってC字形のバリエーションを作っている。
【0009】
C字形と同軸形のような、2つの根本的に異なるデザインを提供することは、非常に高いレベルの労力を必要とする。
【0010】
従って、このような労力を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102010048946A1号公報
【特許文献2】ドイツ特許公開第102005046900A1号公報
【特許文献3】ドイツ特許公開第19530891A1号公報
【特許文献4】旧東ドイツ特許公開第42513A3号公報
【特許文献5】ドイツ実用新案第1951272U号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Pahl and Beitzによるテキスト"Konstruktionslehre - Methoden und Anwendung" ["設計−方法及び用途"]第3版、1993年
【発明の概要】
【0013】
従って、本発明の目的は、異なるデザイン、特に、C字形と同軸形、又はこれに類するデザインのケーブルウインチを平行して提供する労力を低減するための方法を提供することである。
【0014】
当該目的は、請求項1に記載のケーブルウインチの組み立てキット、及び、請求項10による方法によって、達成される。従属クレームは、本発明のさらに有利な実施形態に関連している。
【0015】
本発明によれば、ケーブルドラムと、駆動モータと、変速機ユニットと、支持フレームとを含むケーブルウインチの組み立てキットが提供される。前記組み立てキットは、ケーブルウインチを所望に応じてC字形又は準同軸形に組み立てることができるようにするため、前記変速機ユニット用の異なる変速機ハウジング部品を含んでいる。
【0016】
本明細書において、準同軸形、又は準同軸形のデザインとは、モータ従動シャフトすなわち駆動モータの出力シャフトと、ケーブルドラムの回転軸を形成しているシャフトとが、ケーブルドラム駆動シャフト(上記参照)に対して同軸状ではなく、特定の実施形態及び特に負荷容量に応じて、少なくとも5センチで50センチ未満、互いに位置ずれ又はオフセットして配置されている構成を意味する。シャフト同士のオフセットは、ほぼ直角方向でもよいし、斜め方向であってもよい。
【0017】
換言すると、本発明によれば、完全な同軸状の配置が不要であり、ほぼ同軸状の配置あるいは準同軸形状で十分である場合、C字形用と準同軸形用の異なる変速機ハウジング部品だけで対応することができ、残りの変速機部品は、単に、異なる配置で取り付けるだけでよく、単に対応する変速機ハウジング部品を選択するだけで、C字形と準同軸形とで切り替える、あるいは、組み立て中に最終のデザインを決定してC字形又は準同軸形に固定することができることが、認識できる。
【0018】
構造的に簡単な態様において、異なる変速機ハウジング部品として、前記C字形用の第1ハウジング、及び、これとは異なる、前記準同軸形用の第2ハウジングが設けられており、前記第1ハウジングは、前記変速機ユニットを前記C字形用の第1変速機ユニットとして組み立てることができ、これによって組み立てられる前記ケーブルウインチのデザインが前記C字形に決まるように形成されており、前記第2ハウジングは、前記変速機ユニットを前記準同軸形用の第2変速機ユニットとして組み立てることができ、これによって組み立てられる前記ケーブルウインチのデザインが前記準同軸形に決まるように形成されている。
【0019】
好適には、前記第1ハウジングは、第1ハウジングシェルによって構成することができ、前記第2ハウジングは、第2ハウジングシェルによって構成することができる。この場合、前記第1ハウジングは、好ましくは、前記第2ハウジングよりも長状である。
【0020】
構造的に簡単な態様において、前記ハウジングは、第1又は第2変速機ユニットを其々形成するために、同一のシャフト、特に出力シャフト、好ましくはこれに加えて2つの中間シャフト、及び、特に好ましくはこれに加えて入力シャフトを、前記C字形と前記準同軸形とでは異なる配置で、対応する前記ハウジング内に取り付けることができるように、形成されている。
【0021】
また、好適には、両方の変速機ユニット用の前記組み立てキットが、前記ケーブルウインチ、特に、対応する前記変速機ユニットを、前記C字形又は準同軸形に組み立てるための同一部品を含んでおり、当該同一部品には、シャフト、特に出力シャフト、好ましくはこれに加えて2つの中間シャフト、及び、特に好ましくはこれに加えて入力シャフトが含まれる。
【0022】
これによって、従来の手順とは異なり、他の部品(シャフト、ピニオンなど)は同じままで、変速機又は変速機ユニットを、C字形又は準同軸形用の特定のハウジングシェル内に異なる態様で組み付けるだけでよい。従って、異なる変速機ハウジング部品、すなわち、ハウジング又は対応する組み付け可能なハウジングシェルのみを保管しておくだけでよい。
【0023】
従って、有利な方法では、選択されるデザインにかかわらず、各変速比について、一組の変速機部品、特に、シャフト、ピニオン及びギアホイールのみを保管しておけばよい。ベアリング及び他の標準部品は、必要であれば、デザインよって変更することができる。
【0024】
ケーブルドラム、駆動モータ、及び支持フレームなどの、ケーブルウインチのその他の部品は、同じままとすることができ、この点が、従来の手順とは異なる。オフセットを考慮に入れたことによって、両方のデザインに対して、特に、変速機又は変速機ユニット自体にさえも、同一のコンポーネントを使用することができる。ハウジングシェル及びシェル内の変速機部品の配置のみが、各デザインに固有のものである。
【0025】
変速機ハウジング部品又はハウジングシェルは、変速機コンポーネントの収容及び取り付けに加えて、駆動部及びケーブルドラムを支持フレームとともに組み付ける際に各デザインを達成するための、取り付け又は連結及び締結ポイントを提供する役割を果たす。
【0026】
必要であれば、特に準同軸性の要件に応じて、近似の度合いを正確な同軸状まで高めるために、すなわち、シャフトの回転軸同士の距離をできるだけ小さく保つと同時に、単純な切り替えが可能であるという利点が得られるようにするために、別の入力シャフトを用いてもよい。特に、入力シャフトの、いわゆるぶら下げ取り付けすなわち片側取り付けが、これに適している。
【0027】
従って、組み立てキットは、C字形用及び準同軸形用の異なる入力シャフトを追加的に含んでいてもよい。
【0028】
好適には、前記C字形の前記変速機ユニットの前記シャフトは、シャフトの長手方向に見て略一直線上に配置されており、好ましくは、2つの中間シャフトが、入力シャフトと出力シャフトとの間に配置されている。C字形用の変速機シャフト(又はその中心長軸)の略一直線上の配置は、図2の正面図に明らかに見ることができる。換言すれば、シャフトは、ほぼ共通の平面内において、互いに平行に延びている。
【0029】
これとは対照的に、準同軸形の変速機シャフトは、図4に示すように、密集配置されている。好適には、前記準同軸形の前記変速機ユニットの前記シャフトは、密集配置されており、好ましくは、入力シャフトが、出力シャフトと2つの中間シャフトとの間に配置されている。
【0030】
このように、モジュール式の構成が実現され、残りの追加部品はすべて、両方のデザインに用いることができる。
【0031】
本発明によれば、ケーブルドラムと、駆動モータと、変速機ユニットと、支持フレームとを含むケーブルウインチを、C字形構成と準同軸形構成との間で切り替える方法であって、そのために、前記変速機ユニットは、単に、異なるハウジング、特に、異なるハウジングシェルを用いて、其々のハウジング内に異なる態様で組み付けられ、前記ハウジングシェルは、組み付けることにより、同じ部品、特に、同一のシャフトを用いた前記C字形用又は準同軸形の前記異なるハウジングを形成することができる方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特徴及び詳細は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。図面において:
図1】本発明によるケーブルウインチの組み立てキットの概略分解斜視図である。
図2】変速機ハウジングのカバーを開けた状態の、C字形用のモータ‐変速機ユニットの正面図である。
図3図2のC字形用のモータ‐変速機ユニットの部分断面図である。
図4】駆動フランジを取り外した状態の、準同軸形用のモータ‐変速機ユニットの正面図である。
図5】準同軸形用のモータ‐変速機ユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による、ケーブルウインチの組み立てキット1の概略分解斜視図を示している。この概略図は、本発明による組み立てキット1、あるいは、組み立てキット1の部品によって、所望に応じてC字形又は準同軸形に組み立てることができるケーブルウインチのモジュール式構造を示している。従って、全体を符号1で示す当該組み立てキットは、一種のモジュール式ケーブルウインチシステムであり、好ましくは電気モータとして構成される駆動モータ2あるいは図1に示すように2つの駆動モータ2と、以下に述べるコンポーネントとを必須部品として含み、これらを用いて、C字形の第1変速機ユニット3A及び準同軸形の第2変速機ユニット3Bを組み立てることができる。2つの変速機ユニット3A、3Bのうちの一方に駆動モータ2を駆動連結することによって、モータ‐変速機ユニットを作製することができ、これによって、組み立て又は作製されるケーブルウインチのデザインが、C字形又は準同軸形となるかが決まる。C字形を形成するために、第1変速機ユニット3Aは、互いに組み付けることにより変速機ユニット3Aの第1ハウジング10Aを形成することができる第1ハウジングシェル11Aを含んでいる。同様に、準同軸形を形成するために、第2変速機ユニット3Bは、互いに組み付けることにより変速機ユニット3Bの第2ハウジング10Bを形成することができる第2ハウジングシェル11Bを含んでいる。ハウジング10Aと10B、あるいは、ハウジングシェル11Aと11Bの違いは、対応する図面を参照して、後に詳しく説明する。
【0034】
組み立てキット1は、ケーブルドラム4、及び、ケーブルドラム4が収容されるとともに回転可能に取り付けられている支持フレーム5をさらに含む。ケーブルドラム4は、対応するモータ‐変速機ユニットによって駆動することができる。ケーブルドラム4を支持している支持フレーム5を、対応するモータ‐変速機ユニットと組み付けることにより、所望するC字形又は準同軸形のケーブルウインチを作製することができる。本例では、より良い理解のため、ケーブルウインチをブリッジ6に取り付けることにより、モノレール走行クレーンを作製することができることを示している。
【0035】
ブリッジ6は、ケーブルウインチの支持フレーム5に連結するための穿孔締結部7を含んでおり、穿孔締結部は、長辺側の外端部領域に対になって設けられている。
【0036】
支持フレーム5のロッド8は、締結部7に挿通される。
【0037】
支持フレーム5は、実質的に矩形又は正方形の面板9を含んでおり、当該面板の角部には、3本のロッド8のうちの1本が其々挿入されており、さらに、中央には、ケーブルドラム4用の取り付け部が設けられている。
【0038】
変速機ユニット3A又は3Bをケーブルドラム4に駆動連結可能とするため、3本のロッド8は、面板9とは反対側では、同様に、変速機ユニット3A又は3Bの対応するハウジング10A又は10Bと係合している。
【0039】
所望のデザインに応じて、駆動モータ2を、ケーブルドラム4と同じ側(C字形)、あるいは、ケーブルドラム4の反対側(準同軸形)で、変速機ユニット3A、3B又はそのハウジング10A、10Bにフランジ取り付けすることができる。
【0040】
変速機ユニット3A及び3Bは、C字形用又は準同軸形用の各ハウジング10A、10Bの異なるハウジングシェル11A、11Bに加えて、他の互いに同様の部品、特に、シャフト、ピニオン、ギアホイールなどを含んでおり、これらは、単に、其々のハウジングシェル11A(C字形)又は11B(準同軸形)内に、異なる態様で配置されているに過ぎない。従って、ハウジングシェル11Aと11Bとは、C字形又は準同軸形を形成するために必要な以下に記載の部品の取り付け及び配置が可能となるように、これに応じた異なる態様で寸法設定されている。
【0041】
この点を、図2〜5を参照して以下に説明する。
【0042】
図2及び図3には、C字形が、より詳細に示されている一方、図4及び図5には、準同軸形が、より詳細に示されている。
【0043】
図からわかるように、各変速機ユニット3A、3Bは、いずれも、以下の4つのシャフトを含んでいる。すなわち、変速機ユニット3A、3Bの入力シャフトとしての役割を果たし、モータ従動シャフトに駆動連結することができる第1シャフト12、変速機ユニット3A、3Bの出力シャフト、ひいてはケーブルドラム駆動シャフトとしての役割を果たす第2シャフト13、そして、其々が追加シャフトとしての役割を果たす第3シャフト14及び第4シャフト15である。
【0044】
C字形のデザインでは、シャフト12〜14の長手方向に見て、シャフト12〜15の中心長軸が、図2に図示した仮想線上にほぼ位置している。従って、シャフト12〜14は、ほぼ共通の面内で互いに平行に延びるように配置されている。一方、中間シャフトとしての役割を果たす2つのシャフト14及び15は、その長手方向に見て、入力シャフトとして機能するシャフト12と、出力シャフトとして機能するシャフト13との間に配置されている。C字形を実現するためには、ハウジング内に取り付けられるシャフト12と13との間を、相応にオフセットさせなければならないため、C字形用の第1ハウジング10Aは、準同軸形用の第2ハウジング10Bよりも長状である。
【0045】
これに対して、準同軸形のデザインでは、シャフト12〜15は、密集配置されているように見える。この場合、入力シャフト(シャフト12)は、出力シャフト(シャフト13)と2つの中間シャフト(シャフト14及び15)との間に配置されている。このように、ハウジング10B内に取り付けられるシャフト12と13との間には、準同軸形に必要なわずかなオフセットだけを実現すればよいので、ハウジング10Bはハウジング10Aよりも長さを小さくすることができ、従って、このようなシャフト12〜15の重なり合い配置は、C字形用のシャフト12〜15の配置よりも、よりコンパクトである。このように、C字形と比べて、準同軸形は、完全な同軸形と同様にスリムである。特に、この場合、中間シャフト(シャフト14及び15)は、その長手方向に見て、入力シャフト(シャフト12)の周りに配置されており、特に、入力シャフト(シャフト12)の一方側に配置されており、入力シャフトの反対側に、出力シャフトが配置されている。このように、入力シャフトが、出力シャフトと2つの中間シャフトとの間に配置されている。これに対して、C字形では、両方の中間シャフト(シャフト14及び15)が、入力シャフト(シャフト12)の一方側に、出力シャフト(シャフト13)に対面するように配置されている。
【0046】
シャフト12、14及び15は、其々、「R]を付け足した符号で示すピニオン12R、14R、15Rを含み、「Z]を付け足した符号で示すギアホイール13Z、14Z、15Zが、其々、シャフト13、14、15に割り当てられている。図3及び図5に示すように、ピニオン12R、14R、15Rとギアホイール13Z、14Z、15Zとは、対応関係にて噛み合う。
【0047】
C字形及び準同軸形のいずれにおいても、シャフト12〜15は、それらのピニオンR又はギアホイールZと、入力シャフトから出力シャフトに向かって12−14−15−13又は12R−14Z−14R−15Z−15R−13Zの順に、同じように噛み合う。従って、デザインにかかわらず、同じ伝達比が達成される。
【0048】
上述したように、入力シャフトとしての役割を果たす第1シャフト12は、2つのデザイン用に異なる形態に作製することができる一方で、残りのシャフト13、14、15及びそれらのピニオン及びギアホイールは、両方のデザインに対して同じように、すなわち同一のものが用いられ、上述したように、デザインに応じて、対応する態様で其々のハウジング10A又は10Bに配置される。
【0049】
参照符号のリスト
1 組み立てキット
2 駆動モータ
3A C字形用第1変速機ユニット
3B 準同軸形用第2変速機ユニット
4 ケーブルドラム
5 支持フレーム
6 ブリッジ
7 締結部
8 ロッド
9 面板
10A C字形用第1ハウジング
10B 準同軸形用第2ハウジング
11A C字形用第1ハウジングシェル
11B 準同軸形用第2ハウジングシェル
12 第1シャフト
12R ピニオン
13 第2シャフト
13Z ギアホイール
14 第3シャフト
14R ピニオン
14Z ギアホイール
15 第4シャフト
15R ピニオン
15Z ギアホイール
図1
図2
図3
図4
図5