(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のワイヤレス電力送信機によって生成された第1の電磁場および第2のワイヤレス電力送信機によって生成された第3の電磁場からワイヤレス電力を受信するように構成された電力受信回路と、
前記第1のワイヤレス電力送信機および前記第2のワイヤレス電力送信機の存在を検出するように構成されたコントローラと、
前記第1のワイヤレス電力送信機および前記第2のワイヤレス電力送信機の前記検出された存在に応答して、前記第1のワイヤレス電力送信機において第1の電流および前記第2のワイヤレス電力送信機において第2の電流を誘起する前記電力受信回路によって、第2の電磁場を生成するように構成され、
前記第1の電流の大きさに基づいて、前記電力受信回路と前記第1のワイヤレス電力送信機との間の第1の距離を前記第1のワイヤレス電力送信機に決定させ、かつ、
前記第2の電流の大きさに基づいて、前記電力受信回路と前記第2のワイヤレス電力送信機との間の第2の距離を前記第2のワイヤレス電力送信機に決定させ、
前記第1のワイヤレス電力送信機によって生成された前記第1の電磁場を介して、前記第1のワイヤレス電力送信機からワイヤレス電力伝達中、電力を受信するように構成された
電源と、
を含むワイヤレス電力受信機。
前記電源は、前記ワイヤレス電力受信機に前記第1のワイヤレス電力送信機からワイヤレス電力伝達中、電力を受信するように構成されたバッテリーを含む、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
前記電力受信回路を含む回路に前記電源を結合するように構成された、電圧トランスフォーマと電流トランスフォーマとのうちの1つを含む、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
前記電源が前記第2の電磁場を生成する前に、前記第2のワイヤレス電力送信機に通知するように構成された通信送信機をさらに含む、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
前記第2のワイヤレス電力送信機が前記ワイヤレス電力受信機へのワイヤレス電力伝達を開始する前に、前記指示に基づいて、前記ワイヤレス電力受信機を前記第2のワイヤレス電力送信機と位置合わせするように構成された位置合わせコントローラを含む、請求項7記載のワイヤレス電力受信機。
前記ディスプレイは、前記ワイヤレス電力受信機を前記第2のワイヤレス電力送信機と位置合わせするのを支援するように構成されたユーザインターフェースを含む、請求項11に記載のワイヤレス電力受信機。
前記第1の誘導コイルは、前記ワイヤレス電力受信機への近接性の指示に基づいて、前記ワイヤレス電力受信機に前記ワイヤレス電力を伝達するため、前記第1の電磁場を生成するように構成される、請求項13に記載のワイヤレス電力送信システム。
前記ワイヤレス電力受信機から通知を受信するように構成された通信受信機であって、前記通知は、前記第2の電磁場が生成される前に、前記第1のワイヤレス電力送信機に通知する、通信受信機をさらに含む、請求項13に記載のワイヤレス電力送信システム。
前記第2のワイヤレス電力送信機が前記ワイヤレス電力受信機へのワイヤレス電力伝達を開始する前に、前記指示に基づいて、前記ワイヤレス電力受信機を前記第2のワイヤレス電力送信機と位置合わせするステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
前記指示を前記表示するステップは、前記ワイヤレス電力受信機を前記第2のワイヤレス電力送信機と位置合わせするのを支援するためのユーザインターフェースに前記指示を表示するステップを含む、請求項26に記載の方法。
第1のワイヤレス電力送信機によって生成された第1の電磁場および第2のワイヤレス電力送信機によって生成された第3の電磁場からワイヤレス電力を受信するための手段と、
前記第1のワイヤレス電力送信機および前記第2のワイヤレス電力送信機の存在を検出するための手段と、
前記第1のワイヤレス電力送信機および前記第2のワイヤレス電力送信機の前記検出された存在に応答して、前記第1のワイヤレス電力送信機において第1の電流および前記第2のワイヤレス電力送信機において第2の電流を誘起する第2の電磁場を生成するための手段であって、
前記第1の電流の大きさに基づいて、第2の電磁場を生成するための前記手段と前記第1のワイヤレス電力送信機との間の第1の距離を前記第1のワイヤレス電力送信機に決定させ、かつ、
前記第2の電流の大きさに基づいて、第2の電磁場を生成するための前記手段と前記第2のワイヤレス電力送信機との間の第2の距離を前記第2のワイヤレス電力送信機に決定させる、手段と
を含み、
ワイヤレス電力を受信するための前記手段が、前記第1のワイヤレス電力送信機によって生成された前記第1の電磁場を介して、前記第1のワイヤレス電力送信機からワイヤレス電力伝達中、電力を受信する、ワイヤレス電力受信機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に示された様々な特徴は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。したがって、明確にするために、様々な特徴の寸法は任意に拡大または縮小されている場合がある。加えて、図面のいくつかは、所与のシステム、方法、またはデバイスの構成要素のすべてを描写していない場合がある。最後に、本明細書および図の全体を通して、同様の特徴を示すために同様の参照番号が使用される場合がある。
【0017】
添付の図面に関連させて以下に記載される詳細な説明は、例示的な実施形態の説明を目的としたものであり、実践できる唯一の実施形態を表すことを意図したものではない。本明細書全体にわたって使用される「例示的な」という用語は、「例、実例、または図例として役立つ」ことを意味しており、他の例示的な実施形態よりも好ましい、または有利であると必ずしも解釈すべきではない。発明を実施するための形態は、例示的な実施態様の完全な理解をもたらす目的で、具体的な詳細を含んでいる。本発明の例示的な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実践できる。場合によっては、本明細書において提示される例示的な実施形態の新規性を曖昧にするのを避けるために、よく知られている構造およびデバイスがブロック図の形式で示されている。
【0018】
誘導電力伝達(IPT)システムは、一次インダクタと二次インダクタとが位置合わせされているときに最適に電力を伝達することができる。したがって、電気車両ワイヤレス電力充電システムが、充電の開始前にインダクタの位置合わせを最適化するように車両が位置付けられることを確実にするためのシステムを含むのが望ましい。
【0019】
準最適電力伝達のほか、二次インダクタが正しく位置合わせされる前に充電のために一次インダクタが作動している場合には安全性リスクがあり得る。たとえば、電気車両充電システムは、傍観者が容易にアクセスできる一次インダクタが収容されている地面取り付け電力デバイスを含むことがあり、破片などがデバイスの上または近くに存在することが可能になっていることがある。認識されたリスクであれ、現実のリスクであれ、人間または動物には、電磁場にさらされることによるリスクがあり得る。また、ワイヤレス電力伝達基地デバイス上に存在するいくつかのタイプの材料は、発火しやすいことがある。ピックアップ電力デバイスのない車両が、作動している一次デバイス上に位置付けられた場合、車両の一部の加熱が生じることがあり、これは危険であり得る。そのため、電気車両充電システムが法的に従う必要のある安全基準を課している国または地域もある。したがって、著しい費用および複雑性を伴わずにワイヤレス電力伝達システムに関するそのようなリスクを最小化することが望ましい。
【0020】
基地充電デバイスは、デバイスの近くの破片または移動物体の存在を検出するためのセンサを備え、正検出が行われたときに作動するのを控えることができる。しかしながら、場合によっては、センサは、誤差を生じやすく、さらなる構成要素のコストおよび複雑性を伴う。
【0021】
電気車両IPTシステムは、様々な位置合わせシステムを使用して、電気車両インダクタと充電デバイスインダクタとを位置合わせし、次いで、位置合わせが達成されたことを充電デバイスに通知し、それにより充電デバイスが安全に作動できるようにすることができる。たとえば、位置合わせシステムは、運転手または車両案内システムにフィードバックを提供する機械的ガイド、センサまたはワイヤレス通信リンク(たとえば、RF通信、ブルートゥース(登録商標)など)を含むことができる。適切な位置合わせが達成されると、信号が充電デバイスに送り戻され、次いで充電デバイスは安全に作動することができる。しかしながら、場合によっては、そのような位置合わせ機構は、位置合わせシステムにさらなる構成要素が必要になるので、ワイヤレス電力伝達システムの複雑性およびコストを増大させる。
【0022】
同様のシステムを使用して、電力を受信する際の充電デバイスの選択肢を車両が有する状況において、たとえば、各駐車スペースに充電デバイスを有する駐車場において、複数の充電デバイスのうちのいずれが作動すべきかを選択することができる。車両の位置を正確に確認することで、作動すべき適切な充電デバイスを選択することができるが、場合によっては、いくつかの通信デバイスを使用してそうするのは難しいことがある。
【0023】
ワイヤレス電力伝達システムは、ワイヤレス電力リンクを使用して、さらなる特別な通信アンテナなしに送信機デバイスと受信機デバイスとの間で通信することができる。たとえば、コントローラは、所定の間隔でワイヤレス電力経路上において振幅シフトキーイングを有効にすることができ、この振幅シフトキーイングは、受信機デバイスによって検出され得る。基地デバイスは、受信機デバイスの存在によって影響される負荷感知回路を含むことができ、それにより受信機デバイスを検出する。しかしながら、場合によっては、そのようなシステムは、電気車両が存在しないときでもある程度は充電デバイスの周期的な作動を伴い、このことは、安全性の観点から望ましくないことがある。
【0024】
図1は、例示的な実施形態による、電気車両112を充電するための例示的なワイヤレス電力伝達システム100の図である。ワイヤレス電力伝達システム100は、電気車両112が基地ワイヤレス電力充電システム102aの近くに駐車している間に、電気車両112の充電を可能にする。駐車エリアにおいて2台の電気自動車を対応する基地ワイヤレス電力充電システム102aおよび102bの上に駐車させるためのスペースが示されている。いくつかの実施形態では、ローカル分配センター130を電力バックボーン132に接続することができ、ローカル分配センター130は、交流(AC)または直流(DC)供給を、電力リンク110を介して、基地ワイヤレス電力充電システム102aに提供するように構成され得る。基地ワイヤレス電力充電システム102aはまた、電力をワイヤレスに伝達または受信するための基地システム誘導コイル104aを含む。電気車両112は、バッテリーユニット118と、電気車両誘導コイル116と、電気車両充電システム114とを含むことができる。電気車両誘導コイル116は、たとえば、基地システム誘導コイル104aによって生成された電磁場の領域を介して、基地システム誘導コイル104aと対話することができる。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、基地システム誘導コイル104aによって生成されたエネルギー場に電気車両誘導コイル116が位置するとき、電気車両誘導コイル116は電力を受信することができる。エネルギー場は、基地システム誘導コイル104aによって出力されたエネルギーが電気車両誘導コイル116によって捕捉され得る領域に対応する。場合によっては、エネルギー場は、基地システム誘導コイル104aの「近距離場」に対応し得る。近距離場は、基地システム誘導コイル104aから電力を放射しない、基地システム誘導コイル104a内の電流および電荷からもたらされる、強い反応場が存在する領域に対応することができる。場合によっては、近距離場は、基地システム誘導コイル104aの波長の約1/2πの範囲内にある領域に対応することができる(電気車両誘導コイル116の場合も同様)。
【0026】
ローカル分配130は、通信バックホール134を介して外部ソース(たとえば、電力網)と、通信リンク108を介して基地ワイヤレス電力充電システム102aと通信するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、単純に運転手が電気車両112を基地システム誘導コイル104aに対して正しく位置付けることによって、電気車両誘導コイル116は、基地システム誘導コイル104aと位置合わせすることができ、したがって、近距離場領域内に配置することができる。追加または代替として、ワイヤレス電力伝達のために電気車両112が適切に配置されたときを判断するために、運転手には、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、またはそれらの組合せを与えることができる。追加または代替として、電気車両112は、オートパイロットシステムによって位置付けることができ、オートパイロットシステムは、位置合わせ誤差が許容値に達するまで、電気車両112を(たとえば、ジグザグ運動で)前後に移動させることができる。これは、たとえば、電気車両112が、車両を調整するためのサーボハンドル、超音波センサ、およびインテリジェンスを備える場合、運転手が介入することなく、または運転手が最低限の介入を行って、電気車両112によって自動的、自律的に実行することができる。追加または代替として、電気車両誘導コイル116、基地システム誘導コイル104a、またはそれらの組合せは、誘導コイル116、104aを互いに対して変位および移動させて、それらをより正確に方向合わせし、それらの間により効率的な結合を生じさせるための機能を有することができる。
【0028】
基地ワイヤレス電力充電システム102aは、様々な場所に位置し得る。例として、いくつかの適切な場所は、電気車両112の所有者の自宅の駐車エリア、従来のガソリンスタンドに倣った電気車両ワイヤレス充電用に確保された駐車エリア、ならびにショッピングセンターおよび職場など、他の場所の駐車場を含む。
【0029】
ワイヤレスに電気車両を充電することで、数々の利点が提供される。たとえば、充電は、自動的に、実質的に運転手の介入および操作なしに実行することができ、それによって、ユーザの利便性を向上させる。露出した電気接点、および機械的摩耗をなくすこともでき、それによって、ワイヤレス電力伝達システム100の信頼性を高める。ケーブルおよびコネクタを用いる操作を不必要にすることができ、戸外の環境において湿気および水分にさらされることがある、ケーブル、プラグ、またはソケットをなくすことができ、それによって、安全性を向上させる。見えるまたは接近できるソケット、ケーブル、およびプラグをなくすこともでき、それによって、電力充電デバイスへの潜在的な破壊行為を減らす。さらに、電力網を安定させるために、電気車両112を分散貯蔵デバイスとして使用することができるので、ビークルツーグリッド(V2G:Vehicle-to-Grid)動作のための車両の利用可能性を高めるために、ドッキングツーグリッド(docking-to-grid)ソリューションが使用されることがある。
【0030】
図1に関して説明するワイヤレス電力伝達システム100は、美的で無害の利点も提供し得る。たとえば、車両および/または歩行者の妨害となることがある、充電カラムおよびケーブルをなくすことができる。
【0031】
ビークルツーグリッド機能のさらなる説明として、ワイヤレス電力送信および受信機能は、基地ワイヤレス電力充電システム102aが電力を電気車両112に伝達し、たとえばエネルギー不足のときに電気車両112が電力を基地ワイヤレス電力充電システム102aに伝達するように、相互的になるように構成され得る。この機能は、過剰な需要または再生可能エネルギー生産(たとえば、風または太陽)の不足によって引き起こされたエネルギー不足のときに電気車両が分配システム全体に電力を寄与できるようにすることによって電力分配網を安定させるのに役立ち得る。
【0032】
図2は、
図1のワイヤレス電力伝達システム100の例示的なコア構成要素の概略図である。
図2に示すように、ワイヤレス電力伝達システム200は、インダクタンスL
1を有する基地システム誘導コイル204を含む基地システム送信回路206を含むことができる。ワイヤレス電力伝達システム200は、インダクタンスL
2を有する電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222をさらに含む。本明細書で説明する実施形態は、一次構造(送信機)と二次構造(受信機)の両方が共通の共振周波数に合わせられている場合に、磁気または電磁気近距離場を介して一次構造から二次構造にエネルギーを効率的に結合することが可能な共振構造を形成する容量装荷ワイヤループ(すなわち、多巻きコイル)を使用することができる。
【0033】
共振周波数は、誘導コイル(たとえば、基地システム誘導コイル204)を含む送信回路のインダクタンスおよびキャパシタンスに基づき得る。
図2に示すように、インダクタンスは概して、誘導コイルのインダクタンスであってよく、一方でキャパシタンスは、所望の共振周波数で共振構造を形成するために誘導コイルに追加され得る。一例として、キャパシタが、電磁場を生成する共振回路(たとえば、基地システム送信回路206)を形成するために誘導コイルと直列に追加され得る。したがって、より大きい直径の誘導コイルでは、共振を誘起するためのキャパシタンスの値は、コイルの直径またはインダクタンスが増加するにつれて減少してよい。インダクタンスはまた、誘導コイルの巻数に左右され得る。さらに、誘導コイルの直径が増加するにつれて、近距離場の効率的なエネルギー伝達面積が増加してよい。他の共振回路も考えられる。別の例として、誘導コイル(たとえば、並列共振回路)の2つの端子間に並列にキャパシタを配置してよい。さらに、誘導コイルは、誘導コイルの共振を改善するための高品質(Q)係数を有するように設計され得る。
【0034】
コイルは、電気車両誘導コイル216および基地システム誘導コイル204に使用され得る。エネルギーを結合するために共振構造を使用することは、「磁気結合共振」、「電磁結合共振」、および/または「共振誘導」と呼ばれ得る。ワイヤレス電力伝達システム200の動作は、基地ワイヤレス電力充電システム202から電気車両112の電気車両充電システム214への電力伝達に基づいて説明されることになるが、これに限定されない。たとえば、電気車両112は、基地ワイヤレス電力充電システム202に電力を伝達し得る。
【0035】
図2を参照すると、電源208(たとえば、ACまたはDC)は、電気車両112にエネルギーを伝達するために電力P
SDCを基地ワイヤレス電力充電システム202に供給する。基地ワイヤレス電力充電システム202は、基地充電システム電力変換器236を含む。基地充電システム電力変換器236は、標準的なメインAC電力から適切な電圧レベルのDC電力に電力を変換するように構成されたAC/DC変換器、およびDC電力をワイヤレス高電力伝達に適した動作周波数の電力に変換するように構成されたDC/低周波数(LF)変換器などの回路を含み得る。基地充電システム電力変換器236は、所望の周波数で電磁場を放出するために、直列構成または並列構成または両方の組合せによる反応性同調構成要素からなり得る基地充電システム同調回路205および基地システム誘導コイル204を含む、基地システム送信回路206に電力P
1を供給する。所望の周波数で共振する基地システム誘導コイル204との共振回路を形成するように、キャパシタC
1が提供され得る。
【0036】
基地システム誘導コイル204を含む基地システム送信回路206と電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222の両方は、実質的に同じ周波数に合わせられてよく、基地システム誘導コイル204および電気車両誘導コイル216のうちの1つによって送出された電磁場の近距離場内に位置付けられ得る。この場合、電気車両充電システム同調回路221および電気車両誘導コイル216を含む電気車両受信回路222に電力が伝達され得るように、基地システム誘導コイル204および電気車両誘導コイル216は、互いに結合され得る。電気車両充電システム同調回路221は、所望の周波数で共振する電気車両誘導コイル216との共振回路を形成するように提供され得る。コイル分離で生じる相互結合係数は、要素k(d)によって表される。等価抵抗R
eq,1およびR
eq,
2は、誘導コイル204および216ならびにいくつかの実施形態では、それぞれ基地充電システム同調回路205および電気車両充電システム同調回路221において提供され得る逆リアクタンスキャパシタに固有であり得る損失を表す。電気車両誘導コイル216および電気車両充電システム同調回路221を含む電気車両受信回路222は、電力P
2を受信し、電気車両充電システム214の電気車両電力変換器238にP
2を提供する。
【0037】
電気車両電力変換器238は、たとえば、電気車両バッテリーユニット218の電圧レベルに整合する電圧レベルのDC電力に戻す形で動作周波数の電力を変換するように構成されたLF/DC変換器を含み得る。電気車両電力変換器238は、電気車両バッテリーユニット218を充電するために、変換された電力P
LDCを提供することができる。電源208、基地充電システム電力変換器236、および基地システム誘導コイル204は、静止し、本開示で論じた様々な場所に位置してよい。バッテリーユニット218、電気車両電力変換器238、および電気車両誘導コイル216は、電気車両112の一部またはバッテリーパック(図示せず)の一部である電気車両充電システム214中に含まれ得る。電気車両充電システム214はまた、電力網に電力を戻すために、電気車両誘導コイル216を通して基地ワイヤレス電力充電システム202にワイヤレスに電力を提供するように構成され得る。電気車両誘導コイル216および基地システム誘導コイル204の各々は、動作モードに基づいて送信誘導コイルまたは受信誘導コイルとしての働きをすることができる。
【0038】
図示されていないが、ワイヤレス電力伝達システム200は、電気車両バッテリーユニット218または電源208をワイヤレス電力伝達システム200から安全に切断する負荷切断ユニット(LDU)を含み得る。たとえば、緊急事態またはシステム障害の場合、LDUは、ワイヤレス電力伝達システム200から負荷を切断するようにトリガされ得る。LDUは、バッテリーへの充電を管理するためのバッテリー管理システムに加えて提供されてよく、またはバッテリー管理システムの一部であってもよい。
【0039】
さらに、電気車両充電システム214は、電気車両誘導コイル216を電気車両電力変換器238との間で選択的に接続および切断するための切替回路(図示せず)を含むことができる。電気車両誘導コイル216を切断することで、充電を中止することができ、(送信機としての働きをする)基地ワイヤレス電力充電システム202によって「見られる」ように「負荷」を調整することもでき、これを利用して、(受信機としての働きをする)電気車両充電システム214を基地ワイヤレス電力充電システム202から分離することができる。送信機が負荷感知回路を含む場合、負荷変動が検出され得る。したがって、基地ワイヤレス電力充電システム202などの送信機は、電気車両充電システム214などの受信機が基地システム誘導コイル204の近距離場に存在するときを判断するための機構を有し得る。
【0040】
動作中、車両またはバッテリーへのエネルギー伝達を仮定すると、基地システム誘導コイル204がエネルギー伝達を提供するための場を生成するように、電源208から入力電力が提供される。電気車両誘導コイル216は、放射場に結合し、電気車両112の電気車両充電システム214または電気車両バッテリーユニット218による蓄積または消費用の出力電力を生成する。上記のように、いくつかの実施形態では、電気車両誘導コイル216の共振周波数および基地システム誘導コイル204の共振周波数が非常に近くなるか、または実質的に同じになるように相互共振関係に従って、基地システム誘導コイル204および電気車両誘導コイル216は構成される。電気車両誘導コイル216が基地システム誘導コイル204の近距離場に位置するとき、基地ワイヤレス電力充電システム202と電気車両充電システム214との間の送電損失は最小である。
【0041】
効率的なエネルギー伝達は、電磁波内のエネルギーの大部分を遠距離場に伝播するのではなく、送信誘導コイルの近距離場内のエネルギーの大部分を受信誘導コイルに結合することによって生じ得る。この近距離場にあるとき、送信誘導コイルと受信誘導コイルとの間に結合モードが確立され得る。この近距離場結合が発生し得る誘導コイルの周りのエリアを、本明細書では近距離場結合モード領域と呼び得る。
【0042】
図示されていないが、基地充電システム電力変換器236および電気車両電力変換器238はいずれも、発振器、電力増幅器などのドライバ回路、フィルタ、およびワイヤレス電力誘導コイルと効率的に結合するための整合回路を含み得る。発振器は、調整信号に応答して調整され得る所望の周波数を生成するように構成され得る。発振器信号は、電力増幅器によって、制御信号に応答する増幅量で増幅され得る。フィルタおよび整合回路は、高調波または他の不要な周波数をフィルタ除去し、電力変換モジュールのインピーダンスをワイヤレス電力誘導コイルに整合させるために含まれ得る。電力変換器236および238はまた、1つまたは複数のバッテリーを充電するために適切な電力出力を生成するための整流器および切替回路を含み得る。
【0043】
電気車両誘導コイル216および基地システム誘導コイル204は、「ループ」アンテナ、より具体的には、多巻きループアンテナと呼ばれるか、またはそのようなものとして構成され得る。誘導コイル204および216はまた、本明細書において「磁気」アンテナと呼ばれるか、またはそのようなものとして構成され得る。「コイル」という用語は、別の「コイル」に結合するためのエネルギーをワイヤレスに出力または受信することができる構成要素を指すことが意図される。コイルは、電力をワイヤレスに出力または受信するように構成されるタイプの「アンテナ」と呼ぶこともできる。ループ(たとえば、多巻きループ)アンテナは、空芯、またはフェライトコアなどの物理的コアを含むように構成され得る。空芯ループアンテナにより、コアエリア内に他の構成要素を配置することが可能になり得る。強磁性材料またはフェリ磁性材料を含む物理的コアアンテナにより、より強い電磁場の生成および結合の改善が可能になり得る。
【0044】
送信機と受信機との間のエネルギーの効率的な伝達は、送信機と受信機との間に整合した共振またはほぼ整合した共振が生じている間に行われ得る。さらに、送信機と受信機との間の共振が整合しないときでも、効率性を下げてエネルギーを伝達することができる。エネルギーの伝達は、送信誘導コイルからのエネルギーを自由空間に伝播するのではなく、送信誘導コイルの近距離場からのエネルギーを、この近距離場が確立された領域内(たとえば、共振周波数の所定の周波数範囲内または近距離場領域の所定の距離内)に存在する受信誘導コイルに結合することによって生じる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、互いの近距離場にある2つの誘導コイルの間の電力結合が開示されている。近距離場は、電磁場が存在する誘導コイルの周りの領域に対応し得るが、誘導コイルから伝播または放射することはない場合がある。近距離場結合モード領域は、通常は波長のごく一部の中にある、誘導コイルの物理容積に近い容積に対応し得る。いくつかの実施形態によれば、1回巻きまたは多巻きループアンテナなどの電磁誘導コイルは、送信と受信の両方に使用され、その理由は、実際の実施形態における磁気近距離場振幅は、電気タイプアンテナ(たとえば、小さいダイポール)の電気近距離場と比較して、磁気タイプコイルの場合に高い傾向があることにある。これにより、ペア間の潜在的により高い結合が可能になる。さらに、「電気」アンテナ(たとえば、ダイポールおよびモノポール)または磁気アンテナと電気アンテナとの組合せが使用され得る。
【0046】
図4および
図5は、例示的な実施形態による、それぞれワイヤレス電力伝達システム400および500の図である。
図4では、複数の駐車スペース401はそれぞれ、たとえば、駐車スペース内の地面に取り付けられた、それらに関連するワイヤレス電力伝達送信機デバイス402を有する。送信機デバイス402は単一の電源403に結合され、電源403は通信手段404に結合される。送信機デバイス402は、たとえば、電力が誘導電力伝達によって伝達され得るように、送信機デバイスおよび受信機デバイスのインダクタを位置合わせするために、駐車スペース401のうちの1つに向かっている電気車両406によって、電気車両406に関連するワイヤレス電力伝達受信機デバイス405を充電するのに適している。
【0047】
図5に示すシステムでは、各駐車スペース501は、それに関連するワイヤレス電力伝達送信機デバイス502を有し、各送信機デバイス502は、それ自体の電源503に接続され、電源503の各々は、通信手段504に結合される。
【0048】
ここで、
図4および
図5に示すワイヤレス電力伝達システムの動作について、それぞれ例示的な実施形態によるワイヤレス電力伝達システムを動作させる方法600および610を示すフローチャートである
図6Aおよび
図6Bを参照しながら説明する。方法600および610は、ワイヤレス電力伝達受信機デバイスおよびワイヤレス電力伝達送信機デバイスを動作させる方法を含むことが理解されよう。
【0049】
図6Aの方法600では、ブロック601において、電気車両406または506aが、それぞれワイヤレス電力伝達システム400または500の充電装置に接近する。ブロック602において、電気車両またはその運転手は、充電装置の存在を検出し得る。運転手は、充電装置が駐車スペース401または501に存在することを示す視覚的インジケータ、たとえば表示または地面に横たわっている電力送信機デバイス402もしくは502の姿を見ることがある。追加または代替として、ワイヤレス通信が車両406または506aに、充電システムの存在を通知し得る。そのようなワイヤレス通信は、たとえばGPSを使用したロケーション、電源通信デバイス404もしくは504からの信号の信号強度のうちのいずれか1つまたは複数を判断するステップ、あるいは近接性を判断する任意の他のそのような方法を伴い得る。一例では、車両406または506aは、電源通信手段404または504と、あるいは送信機デバイス402または502に関連する他の通信システムとワイヤレスに通信することが可能であり得る。たとえば、RF通信、ブルートゥース(登録商標)、zigbee、セルラーなど、任意の適切な通信手段が使用されてよい。
【0050】
充電システムが検出されたとき、たとえば、
図5に示す車両506bの受信機デバイス505bの場合のように、受信機デバイス405または505aは作動し得る。適切な充電システムの検出のほか、受信機デバイスが作動するのを許容することに対して、適切な制約が課され得る。たとえば、車両の速度、充電システムの近接性、またはユーザの介入が車両IPTデバイスの作動を左右して、安全性を高め、作動したIPTデバイスによって危険な状況で引き起こされ得る潜在的悪影響を低減することができる。自動化された手段を介して検出された場合、車両は充電システムの存在を、たとえば、適切な視覚的またはオーディオメッセージまたはインジケータによって、運転手に示すことができる。
【0051】
ブロック603において、受信機デバイス405または505aは、運転手が自由に選択できる駐車スペースのうちの1つの送信機デバイス402または502との暫定的位置合わせに進む。このステップは、運転手が車両406または506bを選択された駐車スペースに向かわせることを伴い得る。運転手は、視覚的または物理的位置合わせガイド、たとえば、駐車スペース401または501に関連するマーキング、車輪ガイドなどを、大まかな位置合わせのために使用することができる。追加または代替として、車両406または506aは、車両を自動的に位置合わせするための位置合わせシステムを含むことができる。ブロック603における暫定的位置合わせの終了までに、車両406または506aが概ね送信機デバイス402または502上に位置付けられて、送信機デバイスへのアクセスが車両のために制限されるようになり得る。
【0052】
ブロック604において、受信機デバイス405または505aは、まだ作動していない場合に作動する。ワイヤレス電力伝達受信機デバイス405または505aの二次インダクタに交流が生成される。交流は、システムの二次または受信機側の電源によって、たとえば、車両406または506aにある電源によって生成される。
【0053】
ブロック603において暫定的位置合わせのステップが、送信機デバイス402または502と受信機デバイス405または505aとの間の誘導電力伝達を可能にするのに十分に実行された場合、受信機デバイス405または505aの二次インダクタにおける交流が、送信機デバイス402または502の一次インダクタに電流を誘起する。
【0054】
「送信機」、「受信機」、「一次」および「二次」などの用語が、電源から電気車両に、たとえば送信機または一次デバイスから受信機または二次デバイスに電力を伝達するために使用されるときのワイヤレス電力伝達システムの構成要素の通常使用を指すために本明細書で使用されることが理解されよう。しかしながら、本開示は、たとえば、送信機デバイスと受信機デバイスとの位置合わせを改善するための、またはどの送信機デバイスが受信機デバイスに電力を伝達するのにふさわしく配置されているかを識別するためのプロセスの一環として、ある程度の電力(いくつかの実施形態では、少量であり得る)を反対方向で伝達するためのこれらの構成要素の使用について説明している。したがって、「送信機」が電力を受信するために使用されることもあり、「受信機」が電力を送信するために使用されることもある。これらの用語の使用は、理解しやすいようにシステムのいくつかの構成要素の動作の通常の意味を指しているが、そのような構成要素の任意の特定の動作に実施形態を限定するものではない。
【0055】
受信機デバイス405または505aのインダクタにおける電流の生成に続いて、送信機デバイス402または502のインダクタに、これらのインダクタが適切に接近している場合に電流が誘起される。ブロック605において送信機インダクタで誘導電流が検出されなかった場合、ブロック603における暫定的位置合わせが再び実行され得る。たとえば、位置合わせを調整することを運転手が通知されることがあり、または位置合わせシステムが自動的にアクティブ化されて、暫定的位置合わせが再び試行されることがある。ブロック605において送信機インダクタで誘導電流が検出された場合、これは、インダクタが両者間のワイヤレス電力伝達に適した位置にあることを示す。
【0056】
ブロック606において、ワイヤレス電力伝達システムは、2つのインダクタ間の位置合わせの微同調を実行することができる。これは自動的プロセスであってよく、位置合わせを自動化することが可能なシステムの一例については、
図3に関して説明する。たとえば、位置合わせが最適化され、位置合わせしきい値に達すると、または一次インダクタと二次インダクタとの間のしきい値結合レベルに達すると、このステップは完了し得る。2つのインダクタの間で位置合わせを最適化することは、電源から電気車両への電力の伝達の効率性を最適化するために望ましいことであり得る。いくつかの実施形態では、ブロック606におけるさらなる位置合わせプロセスは実行されないことがある。
【0057】
ブロック607において、電源から電気車両への電力の供給が開始される。このステップでは、電気車両406または506aが、ワイヤレス電力伝達システムの通常の充電動作を使用して充電される。
【0058】
本明細書で説明する方法により、ワイヤレス電力伝達は、複数の送信機デバイス402にサービスする1つの電源403を伴う
図4に示すようなシステム、または送信機デバイス502ごとの電源503を伴う
図5に示すようなシステムを含むワイヤレス電力伝達システムにおいて安全かつ効率的に動作することが可能になり得ることがわかる。
【0059】
図4および
図5に示すワイヤレス電力伝達システムでは、電力送信機デバイス402または502と電力受信機デバイス405または505aとの間で電力をワイヤレスに伝達するのに適した位置に電力受信機デバイス405または505aがあるとき、電力送信機デバイス402または502に電力が供給され得る。そのような位置は、車両が送信機デバイス上に位置付けられ、それにより、歩行者または動物が送信機デバイスの近くに行き、潜在的に有害な電磁場にさらされる確率を低減または除去することを伴い得る。
【0060】
例示的な方法600により、車両の運転手は、駐車する際に選好するいずれの駐車スペースも選択することができ、システムは、選択された駐車スペースにおける送信機デバイスを作動させることができる。いくつかのシステムでは、運転手が、どの駐車スペースに駐車すべきかを告げられること(たとえば、それは、作動することになる送信機デバイスに関連するスペースであるので)、またはどの駐車スペースが選択されたかを判断するためにいくつかの送信機デバイスが作動することがある。
【0061】
例示的な方法600の別の利点は、位置合わせおよび送信機デバイス検出/選択が、電力伝達装置自体以外の追加の位置合わせシステムの使用なしに実行され得ることである。さらに、GPSまたはRFIDなど、システムのコストまたは複雑性を増大させることがあり、場合によっては不正確であり得る追加の位置合わせシステムの使用なしに、複数の車両が一度に位置合わせされ得る。
【0062】
受信機デバイスが送信機デバイスに対して適切に位置するまで送信機デバイスを作動させないさらに別の利点は、非IPT車両が、車体の一部に作用する磁場によって引き起こされる局部加熱のリスクなしに、送信機デバイスの近くに駐車することが可能になり得ることである。送信機デバイスに対して不適切に駐車している電気車両によって引き起こされる同様のリスクも低減される。
【0063】
いくつかの実施形態、特に、複数の車両が同時に充電デバイスと位置合わせし得るシステムでは、どの車両がどの充電デバイスに接近または関連しているかをシステムが識別できるのが有益であり得る。このために、コントローラは、受信機側に対する電流の生成を制御するように動作可能であり得る。たとえば、生成された電流は、変調されること、中断されること、あるいは何らかの方法で変更されることがある。結果的に、送信機デバイスにおける誘導電流は、変更を反映し、どの受信機デバイスがどの送信機デバイスに誘導結合されるかをシステムが識別できるようにする。各受信機デバイスは、固有の方法で、たとえば、固有の変調シグネチャを使用して電流を変更することができる。これにより、いくつかの充電デバイスの各々への電力供給を、充電デバイスが関連付けられる車両の要件に基づいて、正しく制御することが可能になり得る。
【0064】
図6Bの方法610では、ブロック611において、電気車両406または506aが、それぞれワイヤレス電力伝達システム400または500の充電装置に接近する。ブロック612において、車両406もしくは506aまたはその運転手は、充電装置の存在を検出し得る。運転手は、充電装置が駐車スペース401または501に存在することを示す視覚的インジケータ、たとえば表示または地面に横たわっている電力送信機デバイス402もしくは502の姿を見ることがある。追加または代替として、ワイヤレス通信が車両406または506aに、充電システムの存在を通知し得る。そのようなワイヤレス通信は、たとえばGPSを使用したロケーション、電源通信デバイス404もしくは504からの信号の信号強度のうちのいずれか1つまたは複数を判断するステップ、あるいは近接性を判断する任意の他のそのような方法を伴い得る。一例では、車両406または506aは、電源通信手段404または504と、あるいは送信機デバイス402または502に関連する他の通信システムとワイヤレスに通信することが可能であり得る。たとえば、RF通信、ブルートゥース(登録商標)、zigbee、セルラーなど、任意の適切な通信手段が使用されてよい。
【0065】
充電システムが検出されたとき、受信機デバイス405または505aの二次インダクタにおいて電流が生成され得る。いくつかの態様では、受信機デバイス405または505aの二次インダクタが作動する前に、車両406または506aは送信機デバイス402または502に、たとえば電源通信手段404または504を介して、車両406または506aが二次インダクタを作動させるつもりであることを通知することができる。
【0066】
受信機デバイス405または505aのインダクタにおける電流の生成に続いて、受信機デバイス405または505aの二次インダクタが送信機デバイス402または502の一次インダクタに適切に接近している場合に、送信機デバイス402または502のインダクタに電流が誘起され得る。ブロック613において、送信機デバイス402または502は、一次インダクタに対する二次インダクタの距離を判断することができる。送信機デバイス402または502は、たとえば、一次インダクタにおける誘導電流の大きさを測定して、二次インダクタと一次インダクタとの間の距離の指示を決定することができる。指示は、アンペアによる電流測定値またはしきい値電流に対する電流の量もしくは割合など、誘導電流の大きさを示す値であり得る。一方、誘導電流が検出されなかった場合または検出された電流が最低電流レベルを下回っている場合、送信機デバイス402または502は運転手に、位置合わせを調整することを通知することができ、または一次インダクタに対する二次インダクタの位置を判断する前に、位置合わせシステムが自動的にアクティブ化されて、より近い位置付けを試行することができる。
【0067】
ブロック614において、送信機デバイス402または502は、二次インダクタと一次インダクタとの間の距離の指示を、受信機デバイス405もしくは505aまたは駐車スペースの近くにある他のデバイスもしくは構造物に送信することができる。ブロック615において、運転手または位置合わせシステムは、車両406または506aの位置を、受信機デバイス405または505aを送信機402または502とよりしっかりと位置合わせするよう求める指示に基づいて調整することができ、特に、二次インダクタを一次インダクタと位置合わせすることができる。車両406もしくは506aまたは駐車スペースの近くにある他のデバイスもしくは構造物は、運転手への指示に基づく情報の表示を容易にするために、1つまたは複数のライトまたはディスプレイ画面などのディスプレイをさらに含むことができる。ディスプレイは、受信機デバイス405または505aを送信機デバイス402または502と位置合わせするのを支援するために、左に進む、右に進む、前に進むなどのような車両406または506aの移動方向を通信することができる。いくつかの態様では、ディスプレイは、車両406または506aの他の機能を実行または支援するために使用される車両406または506aに含まれるグラフィカルユーザインターフェースであり得る。
【0068】
ブロック616において、送信機デバイス402または502は、二次インダクタと一次インダクタとが適切に位置合わせされているかどうかを判断することができる。インダクタが適切に位置合わせされていない場合、方法610はブロック613に進み、送信機デバイス402または502は、一次インダクタに対する二次インダクタの距離を再び判断することができる。車両406または506aの受信機デバイス405または505aが移動している可能性があるので、二次インダクタが移動している可能性があることから、判断された距離は、前の距離判断から更新され得る。ブロック614において、更新された距離の指示が、受信機デバイス405もしくは505aまたは駐車スペースの近くにある他のデバイスもしくは構造物に送信され得る。ブロック615において、運転手または位置合わせシステムは、車両406または506aの位置を、更新された指示に基づいて調整することができる。したがって、送信機デバイス402または502は、継続的に二次インダクタと一次インダクタとの間の距離の指示を決定し、受信機デバイス405もしくは505aまたは駐車スペースの近くにある他のデバイスもしくは構造物に指示を送信することができる。受信機デバイス405もしくは505aまたは駐車スペースの近くにある他のデバイスもしくは構造物は、次に、継続的に指示を受信し、受信機デバイス405または505aと送信機デバイス402または502とがよりしっかりと位置合わせされるように、車両406または506aの位置合わせが調整され得る。
【0069】
代替として、ブロック616において、インダクタが適切に位置合わせされている場合、方法610はブロック617に進み、送信機デバイス402または502の電源から車両406または506aへの電力の供給が開始される。このステップでは、車両406または506aが、ワイヤレス電力伝達システムの通常の充電動作を使用して充電される。
【0070】
いくつかの態様では、1つまたは複数の送信機デバイス402または502を使用して、ブロック613または616など、方法610の1つまたは複数のブロックを実行することができる。たとえば、ブロック613において、ワイヤレス電力伝達システム400または500の2つの送信機デバイス402または502を使用して、ブロック615における車両位置合わせを支援するために車両406または506aまでの2つの距離を判断することができる。さらに、いくつかの態様では、方法610は有利なことに、受信機デバイス405または505aが送信機デバイス402または502に対するその距離または位置を直接判断または測定せず、送信機デバイス402または502との通信を介してその距離または位置を間接的に判断できるようにすることができる。代替として、方法610は有利なことに、受信機デバイス405または505aが送信機デバイス402または502と位置合わせするのを支援するために、受信機デバイス405または505aが送信機デバイス402または502から距離または位置に関する補足的情報を受信できるようにすることができる。
【0071】
ここで、送信機インダクタと受信機インダクタとの位置合わせが自動的に実行され得るワイヤレス電力伝達システムの例示的な構成要素について論じる。
【0072】
図3は、
図1のワイヤレス電力伝達システム100の例示的なコア構成要素および補助構成要素を示す機能ブロック図である。ワイヤレス電力伝達システム300は、通信リンク376、案内リンク366、ならびに基地システムまたは送信機インダクタ304および電気車両または受信機インダクタ316のための位置合わせシステム352、354を示している。
図2に関して、またエネルギーフローが電気車両に向かうときのシステムの使用に関して上述したように、
図3では、基地充電システム電力インターフェース334は、ACまたはDC電源などの電源からの電力を充電システム電力変換器336に提供するように構成され得る。基地充電システム電力変換器336は、基地充電システム電力インターフェース334からACまたはDC電力を受信して、基地システム誘導コイル304をその共振周波数においてまたはその共振周波数近くで励磁することができる。電気車両インダクタ316は、近距離場結合モード領域にあるとき、近距離場結合モード領域からエネルギーを受信して、共振周波数においてまたは共振周波数近くで発振することができる。電気車両電力変換器338は、電気車両誘導コイル316からの発振信号を、電気車両電力インターフェース340を介してバッテリーを充電するのに適した電力信号に変換する。
【0073】
基地ワイヤレス電力充電システム302は基地充電システムコントローラ342を含み、電気車両充電システム314は電気車両コントローラ344を含む。基地充電システムコントローラ342は、たとえば、コンピュータ、および電力分配センター、またはスマート電力網などの他のシステムへの基地充電システム通信インターフェース360を含むことができる。電気車両コントローラ344は、たとえば、車両搭載コンピュータ、他のバッテリー充電コントローラ、車両内の他の電子システム、およびリモート電子システムなどの他のシステムへの電気車両通信インターフェース368を含み得る。
【0074】
基地充電システムコントローラ342および電気車両コントローラ344は、別個の通信チャネルを有する特定のアプリケーションのためのサブシステムまたはモジュールを含み得る。これらの通信チャネルは、別個の物理チャネルまたは別個の論理チャネルであり得る。例として、基地充電位置合わせシステム352は、自律的に、かつ/またはオペレータの支援により、基地システム誘導コイル304と電気車両誘導コイル316とをよりしっかりと位置合わせするためのフィードバック機構を提供する位置合わせリンク356を介して、電気車両位置合わせシステム354と通信することができる。同様に、基地充電案内システム362は、基地システム誘導コイル304と電気車両誘導コイル316とを位置合わせする際に自律的に、かつ/またはオペレータの支援により電気車両を案内するためのフィードバック機構を提供する案内リンク366を介して、電気車両案内システム364と通信することができる。さらに、基地ワイヤレス電力充電システム302と電気車両充電システム314との間で他の情報を通信するための基地充電通信システム372および電気車両通信システム374によってサポートされる別個の汎用通信リンク(たとえば、チャネル)があり得る。この情報は、基地ワイヤレス電力充電システム302と電気車両充電システム314の両方の電気車両特性、バッテリー特性、充電ステータス、および電力容量に関する情報、ならびに電気車両に関する保守および診断データを含み得る。これらの通信チャネルは、たとえば、ブルートゥース(登録商標)、zigbee、セルラーなどの別個の物理通信チャネルであり得る。
【0075】
電気車両コントローラ344は、マイクロ波または超音波レーダー原理に基づく駐車支援システム、半自動式駐車動作を実行するように構成されたブレーキシステム、駐車の正確性を高め、ひいては基地ワイヤレス電力充電システム302および電気車両充電システム314における機械的水平誘導コイルの位置合わせの必要性を低減し得る、概ね自動化された駐車「park by wire」を支援するように構成されたハンドルサーボシステム(steering wheel servo system)も含むことができる。さらに、電気車両コントローラ344は、電気車両112の電子機器と通信するように構成され得る。たとえば、電気車両コントローラ344は、視覚的出力デバイス(たとえば、ダッシュボードディスプレイ)、音響/オーディオ出力デバイス(たとえば、ブザー、スピーカー)、機械的入力デバイス(たとえば、キーボード、タッチスクリーン、ポインティングデバイス、たとえば、ジョイスティック、トラックボールなど)、およびオーディオ入力デバイス(たとえば、電子音声認識によるマイクロフォン)と通信するように構成され得る。
【0076】
さらに、ワイヤレス電力伝達システム300は、検出およびセンサシステムを含み得る。たとえば、ワイヤレス電力伝達システム300は、運転手または車両を充電場所に適切に案内するためのシステムとともに使用するセンサ、必要な分離/結合により誘導コイルを相互に位置合わせするためのセンサ、結合を達成するために特定の高さおよび/または位置に電気車両誘導コイル316が移動するのを妨げ得るオブジェクトを検出するためのセンサ、ならびにシステムの信頼できる無害かつ安全な動作を実行するためのシステムとともに使用する安全センサを含み得る。たとえば、安全センサは、安全区域を越えてワイヤレス電力送信機/受信機デバイス304、316に近づいてくる動物または子供の存在の検出、(たとえば、誘導加熱により)加熱され得る基地システム誘導コイル304に近い金属オブジェクトの検出、基地システムインダクタ304上の白熱オブジェクトなどの危険な事象の検出、ならびに基地ワイヤレス電力充電システム302および電気車両充電システム314の構成要素の温度監視のためのセンサを含み得る。
【0077】
基地ワイヤレス充電システム302と電気車両充電システム314との間で通信するために、ワイヤレス電力伝達システム300は、帯域内シグナリングおよびRFデータモデム(たとえば、許可されていない帯域での無線によるイーサネット(登録商標))を使用することができる。帯域外通信は、車両の使用車/所有者への付加価値サービスの提供に十分な帯域幅を提供し得る。ワイヤレス電力キャリアの低深度振幅または位相変調は、干渉を最小限に抑えた帯域内シグナリングシステムとしての働きをし得る。
【0078】
さらに、特定の通信アンテナを使用せずにワイヤレス電力リンクを介して実行される通信もあり得る。たとえば、ワイヤレス電力インダクタ304および316はまた、ワイヤレス通信送信機としての働きをするように構成され得る。したがって、基地ワイヤレス電力充電システム302のいくつかの実施形態は、ワイヤレス電力経路におけるキーイングタイププロトコルを可能にするためのコントローラ(図示せず)を含むことができる。所定のプロトコルによる所定の間隔での送信電力レベルのキーイング(振幅シフトキーイング)によって、受信機は、送信機からのシリアル通信を検出することができる。基地充電システム電力変換器336は、基地システム誘導コイル304によって生成された近距離場の近傍における作動中の電子車両受信機の有無を検出するための負荷感知回路(図示せず)を含むことができる。例として、負荷感知回路は、基地システム誘導コイル304によって生成された近距離場の近傍における作動中の受信機の有無によって影響を及ぼされる電力増幅器に流れる電流を監視する。電力増幅器上の負荷に対する変化の検出は、エネルギーを伝送するために発振器を有効にすべきかどうか、作動中の受信機と通信すべきかどうか、またはそれらの組合せを決定する際に使用するために基地充電システムコントローラ342によって監視され得る。
【0079】
ここで、例示的な実施形態によるワイヤレス電力伝達システムで使用するのに適したいくつかの例示的な回路について説明する。
【0080】
図7は、一実施形態による、ワイヤレス電力伝達システム700の例示的な構成要素の概略図である。電源701は、
図7の実施形態では充電可能バッテリー704によって表される負荷に電力を提供する。電力は、ワイヤレス電力伝達送信機デバイス702とワイヤレス電力伝達受信機デバイス703との間の誘導電力伝達によって負荷に伝達され、ワイヤレス電力伝達送信機デバイス702およびワイヤレス電力伝達受信機デバイス703はそれぞれ誘導性要素705および706、たとえば誘導コイルを含む。受信機デバイス703における回路は、並列同調共振回路であり、これは、二次インダクタ706にわたって並列に接続された容量性要素707を含む。整流器708は、二次インダクタ706に誘起された交流を直流に変換し、直流はバッテリー704に供給される。また、直流誘導性要素709が整流器708とバッテリー704との間に結合され得る。
【0081】
ワイヤレス電力伝達システム700は、受信機側補助電源711を含む補助回路710をさらに含む。補助電源711は、たとえば、12Vのバッテリーを含むことができる。補助電源711は、二次インダクタ706と直列に接続された電流トランスフォーマ712によって電力受信機デバイス703における回路に電流を供給または投入することによって、二次インダクタ706に電流を生成するように動作可能である。電流トランスフォーマ712と補助電源711との間に、たとえば図示のHブリッジ713など、電源711が電力を選択的に受信または提供することを可能にするデバイスが接続される。
【0082】
バッテリー704の充電中に、電力は送信機デバイス702から受信機デバイス703に、そしてバッテリー704に伝達される。電力はまた、電流トランスフォーマ712を介して補助電源711に伝達されて、たとえば、補助電源711を充電すること、またはワイヤレス電力伝達受信機デバイス703の内部電子機器などの補助システムに電力を提供することができる。
【0083】
位置合わせまたはデバイス検出/識別の目的で受信機デバイス703を使用するとき、電力を補助電源711から供給して、電流を同調回路に投入し、それによって二次インダクタ706を作動させることができる。これは、送信機デバイス702の一次インダクタ705に電流を誘起し、この電流は、電源701によって検出可能であり、インダクタ位置合わせまたはデバイス検出/識別の実行を可能にし得る。送信機デバイス702に小さい電流を生成する目的で、電流トランスフォーマ712の巻数比を適切に選択することにより、12Vのバッテリーなどの低電圧を有する補助電源711から電力を提供することが可能になる。
【0084】
Hブリッジ713におけるスイッチが2つの状態および対応する2つの動作モードの間で切り替えられて、所望の方向で電圧を印加することが可能になり得る。スイッチは、適切な制御システム(図示せず)によって制御され得る。
【0085】
図8は、一実施形態による、ワイヤレス電力伝達システム800の例示的な構成要素の概略図である。
図8は、一実施形態による、ワイヤレス電力伝達送信機デバイス801の構成要素を示している。動作の暫定的位置合わせ段階中に、電力受信機デバイス802における誘導性要素803が、
図7に関して説明したのと同様の方法で電流によって作動し得る。結果的に、電力送信機デバイス801の誘導性要素804に電流が誘起される。送信機デバイス801は、共振誘導性回路を含み、この共振誘導性回路は、たとえば、同調キャパシタ805を誘導性要素804と直列に配置することによって形成され得る。同調回路は、たとえば、4つのMOSFET808から形成されたHブリッジ806によって、電源807に結合され得る。
【0086】
同調回路には電流測定デバイス809が結合され、この電流測定デバイス809は、任意の適切な方法で、たとえば、
図8に示す実施形態の場合のように電流トランスフォーマ810によって結合され得る。
【0087】
ワイヤレス電力伝達システム800により、受信機誘導性要素803における電流によって誘起された電力送信機デバイス801における電流を測定することが可能になる。電流測定デバイス809によって測定されると、適切な信号がシステムコントローラデバイスに送られ、それにより、たとえば
図6Aに関して説明した例示的な方法600に従って、位置合わせ改良プロセスを開始すること、または充電を始めることができる。
【0088】
有利なことに、
図8に示す電力送信機デバイス801の一部分が、既存のワイヤレス電力伝達システムで使用され得る。誘導電流の測定を可能にするために、電流測定デバイス809が追加されてよく、この電流測定デバイス809は単純な変更を伴い得る。誘導電流を流すために、MOSFET808のうちの2つを閉じて、短絡電流経路を作ることができ、たとえば、トランジスタ808aおよび808bを閉じること、またはトランジスタ808cおよび808dを閉じること、のいずれかでよい。したがって、システムコントローラはHブリッジ806の構成を制御することができる。
【0089】
図7および
図8に示すシステムおよび回路は、本開示で説明するシステムおよび方法を実行に移し、それらの利点を実現することができる例を示している。補助電源711を電力受信機回路に接続するために電流トランスフォーマ712を使用する1つの利点は、電流トランスフォーマが電流感知などの他の目的にも使用され得ることである。メイン電源障害の場合には補助電源も有用であることもあり、補助電源により、ある程度の電力が電力受信機デバイスの制御システムに利用可能になり、制御された方法でシステムがシャットダウンできる。
【0090】
いくつかの実施形態では、
図7に示す整流器708は、受信機回路に電流を投入する複雑性を緩和するために短絡し得る。たとえば、短絡スイッチが整流器708にわたって配置されてよく、または制御可能整流器が「短絡」モードで使用されてよい。整流器708が短絡する場合、同調キャパシタ707も短絡することになり、結果として生じる等価回路が、別の例示的な実施形態によるワイヤレス電力伝達システム700の簡素化された概略図である
図9に示されている。システム900では、回路経路901は、
図7に示す整流器と同調キャパシタの両方を短絡させている。
【0091】
同調キャパシタがショートすると、共振誘導性回路の同調に影響が及び、送信機デバイス902および受信機デバイス903における誘導性要素間の電力伝達の効率性に影響が及ぶことがある。補償するために、電流トランスフォーマ905と補助回路908におけるHブリッジ907との間に同調回路904が接続され得る。同調回路904は、短絡した回路を共振近くに戻す形で適切に合わせ、それにより高レベルの効率性を実現するための反応性要素の配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、同調回路904の要素が、当初の短絡していない回路の動作周波数に受信機回路を合わせるために選択され得る。様々なモードによるシステムの動作周波数を同じに維持する一方で、同調回路904を通常の動作中に、たとえば、短絡スイッチまたは開放スイッチを使用してバイパスすることが有利であり得る。他の実施形態では、同調回路904の要素は、異なる動作周波数による共振に受信機回路を合わせることができる。異なる共振周波数の1つの利点は、たとえば、
図7に示すように電源701から負荷704に電力が伝達されているときに、同調回路904が電力伝達システムの通常の動作に及ぼす影響が小さくなり得ることである。
【0092】
図10は、別の実施形態による、ワイヤレス電力伝達システム1000の例示的な構成要素の概略図である。システム1000は、
図7に示す電力伝達システム700に類似しており、類似する方法で動作することができる。システム700と異なり得る特徴について、ここで説明する。
【0093】
システム1000では、補助電源1011は、同調キャパシタ1007と並列に接続された電圧トランスフォーマ1012によって、電力受信機デバイス1003の共振回路に結合される。電圧トランスフォーマ1012はHブリッジ1013によって駆動されて、位置合わせまたは検出/識別モード中に受信機デバイス1003に電流を投入する。ここでも、送信機デバイス1002に小さい電流を生成する目的で、電圧トランスフォーマ1012の巻数比を適切に選択することにより、12Vのバッテリーなどの低電圧を有する補助電源1011から電力を提供することが可能になり得る。
【0094】
補助電源を結合して、電圧トランスフォーマを使用して電力受信機デバイスに電流を投入することは、いくつかの状況では利点を有し得る。いくつかの回路トポロジーは、補助回路によって出力され得る電圧の比較的低い範囲を伴い得る。出力電流は負荷によって変動することがあり、一方で出力電圧は一般に、補助バッテリー電圧に比例するが、これは一般的なバッテリータイプの化学的性質のために、出力電流の変動と比較してわずかに変動するだけであり得る。これにより、電圧トランスフォーマを含む実施形態はよりふさわしいものになり得る。
【0095】
図11は、別の実施形態による、ワイヤレス電力伝達システム1100の例示的な構成要素の概略図である。システム1100では、受信機デバイス1103の誘導性要素1106に電流を生成するための手段は、電気車両バッテリー1104を含んでおり、
図7および
図10に示すシステムの場合のような補助電源はなくてよい。可逆整流器1115がバッテリー1104を共振受信機回路に結合して、受信機インダクタ1106に誘起された交流を整流する。バッテリー1104が選択的に受信機誘導性要素1106から電力を受信すること、または受信機誘導性要素1106に電力を提供することができるように、可逆整流器1115はHブリッジの形をとることができる。
図11に示す実施形態では、Hブリッジ1115は4つのMOSFET1116から形成される。他の実施形態では、他の切替要素が使用され得る。
【0096】
図11に示すワイヤレス電力伝達受信機デバイス1103の回路は、
図8に示すワイヤレス電力伝達送信機デバイス801の回路に類似している。受信機デバイス1103の回路は、2つの方向で電力伝達を行って、バッテリー1104を充電することとバッテリー1104から電力網に戻る形で電力を伝達することの両方を行うことができる。しかしながら、例示的な方法によれば、バッテリー1104は、位置合わせおよび送信機検出/識別の目的で、送信機デバイス1102に戻る形で電力を供給することも可能である。
【0097】
一実施形態では、位置合わせ/識別モード中にバッテリー1104が電流を受信機インダクタ1106に投入するときに、Hブリッジ1115とバッテリー1104との間に接続されたDCインダクタ1109は、回路から切断することが可能であり得る。たとえば、MOSFETまたは他の短絡スイッチがDCインダクタ1109にわたって接続され、システムコントローラデバイス(図示せず)によって制御されることがある。
【0098】
図11に示す受信機デバイス1103の実施形態の1つの利点は、受信機デバイス1103が必要とする追加の構成要素が、本明細書で開示する例示的な方法を実行することができない他の受信機デバイスと比較して少なくなり得ることである。たとえば、
図11のシステム1100は、車両バッテリー1104を使用して、二次インダクタ1106に電流投入を行うことができ、したがって、いくつかの態様では、補助電源の複雑性およびコストを回避することができる。
【0099】
図7、
図10および
図11で論じたシステムでは、位置合わせまたは送信機検出/識別を実行するときに送信機デバイスに戻る形で伝達される電力の量は、電源に戻る形で使用可能電力を伝達するプロセス中に伝達されることになる電力の量よりもはるかに少なくなり得る。使用可能電力ではなく、小さい検出可能信号のみが伝達され得る。したがって、これらの目的のためのシステムの構成要素は、構成要素が反対方向で電力を伝達するために使用された場合とは別様に評価されてよく、トランジスタおよび/またはダイオードのようなより安価な構成要素を使用することが可能になり得る。
【0100】
図12、
図13および
図14は、さらなる実施形態による、それぞれワイヤレス電力伝達システム1200、1300および1400の例示的な構成要素の概略図である。システム1200、1300および1400は、それぞれ
図7、
図10および
図11に示すシステム700、1000および1100に類似しているが、システム1200、1300および1400は、並列同調の代わりに直列同調を使用する共振回路を示している。したがって、電力受信機回路1203、1303および1403の各々は、それぞれ電力受信機回路1203、1303および1403の誘導性要素1206、1306および1406と直列に存在する同調キャパシタ1207、1307および1407を含む。
【0101】
図15、
図16および
図17は、さらなる実施形態による、それぞれワイヤレス電力伝達システム1500、1600および1700の例示的な構成要素の概略図である。システム1500は、補助電源が電流トランスフォーマ1512によって受信機デバイス1503に接続されているという点で、システム700および1200に類似している。システム1600は、補助電源が電圧トランスフォーマ1612によって受信機デバイス1603に接続されているという点で、システム1000および1300に類似している。システム1700は、バッテリー1704が使用されて、可逆整流器1715を通して受信機回路1703に戻る形で電流が注入され得るという点で、システム1000および1400に類似している。システム1500、1600および1700が類似のシステムと異なる点として、受信機デバイスにおける共振回路はLCL同調回路であり、二次回路の同調が、受信インダクタ1506、1606、1706とそれぞれ並列、直列に接続されたキャパシタ1507、1607、1707およびAC同調インダクタ1520、1620、1720を使用して達成される。
【0102】
図18は、代替実施形態による、ワイヤレス電力伝達システム1800の例示的な構成要素の概略図である。
図8に示すシステム800と同様に、システム1800は、電流トランスフォーマ1810によって共振回路に結合された電流測定デバイス1809を有するワイヤレス電力伝達送信機デバイス1801の例示的な構成要素を示している。送信機デバイス1801における共振回路はLCL同調供給共振インダクタ1804を含み、インダクタ1804は、同調キャパシタ1821およびAC同調インダクタ1820と並列に接続されている。
【0103】
図19は、ワイヤレス電力受信機を動作させる例示的な方法1900のフローチャートである。方法1900は、たとえば、
図7のワイヤレス電力伝達受信機デバイス703および
図3の電気車両充電システム314を使用して実行され得る。方法1900については、
図3および
図7のワイヤレス電力伝達システム300および700の要素を参照して後で説明するが、ステップのうちの1つまたは複数を実施するために他の構成要素が使用されてよい。
【0104】
ブロック1905において、ワイヤレス電力受信機の1つの誘導性要素に電流が供給されて電磁場が生成され、ワイヤレス電力送信機の別の誘導性要素に電流が誘起される。ワイヤレス電力送信機は、別の誘導性要素における誘導電流に基づいて、1つの誘導性要素と別の誘導性要素との間の距離の指示を決定するように構成され得る。補助回路710は、電流を供給するように構成され得る。二次インダクタ706は1つの誘導性要素に対応することができ、一次インダクタ705は別の誘導性要素に対応することができる。
【0105】
ブロック1910において、ワイヤレス電力受信機においてワイヤレス電力送信機から誘導性要素間の距離の指示が受信される。指示は、案内リンク366および/または位置合わせリンク356を介して受信され得る。
【0106】
図20は、例示的なワイヤレス電力受信機2000の機能ブロック図である。ワイヤレス電力受信機2000は、電源2005、誘導性要素2010、および通信受信機2015を含む。電源2005は、
図19のブロック1905に関して説明した機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。電源2005は、たとえば
図7の補助回路710に対応し得る。誘導性要素2010は、たとえば
図7の二次インダクタ706に対応し得る。通信受信機2015は、
図19のブロック1910に関して説明した機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。通信受信機2015は、たとえば
図3の電気車両案内システム364または電気車両位置合わせシステム354に対応し得る。
【0107】
その上、一態様では、電流を供給するための手段は、電源2005を含むことができる。別の態様では、電磁場からワイヤレス電力を受信するための手段は、誘導性要素2010を含むことができる。さらなる態様では、インダクタ間の距離の指示を受信するための手段は、通信受信機2015を含むことができる。
【0108】
図21は、ワイヤレス電力送信機を動作させる例示的な方法2100のフローチャートである。方法2100は、たとえば、
図8のワイヤレス電力伝達送信機デバイス801または
図3の基地ワイヤレス電力充電システム302を使用して実行され得る。方法2100については、
図3および
図8のワイヤレス電力伝達システム300および800の要素を参照して後で説明するが、ステップのうちの1つまたは複数を実施するために他の構成要素が使用されてよい。
【0109】
ブロック2105において、ワイヤレス電力送信機の1つの誘導性要素において誘導電流が検出される。誘導電流は1つの誘導性要素において、ワイヤレス電力受信機の別の誘導性要素における電流によって生成された電磁場によって誘起される。電流測定デバイス809は、1つの誘導性要素において誘導電流を検出するように構成され得る。誘導性要素804は1つの誘導性要素に対応することができ、誘導性要素803は別の誘導性要素に対応することができる。
【0110】
ブロック2110において、1つの誘導性要素における誘導電流に基づいて、1つの誘導性要素と別の誘導性要素との間の距離の指示が決定される。たとえば、基地充電システムコントローラ342は、距離の指示を決定するように構成され得る。
【0111】
ブロック2115において、ワイヤレス電力受信機に指示が送信される。指示は、たとえば、基地充電案内システム362または基地充電位置合わせシステム352によって、案内リンク366または位置合わせリンク356を介して送信され得る。
【0112】
図22は、例示的なワイヤレス電力送信機2200の機能ブロック図である。ワイヤレス電力送信機2200は、検出器2205、誘導性要素2210、コントローラ2215および通信送信機2220を含む。検出器2205は、
図21のブロック2105に関して説明した機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。検出器2205は、
図8の電流測定デバイス809に対応し得る。誘導性要素2210は、
図8の誘導性要素804に対応し得る。コントローラ2215は、
図21のブロック2110に関して説明した機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。コントローラ2215は、
図3の基地充電システムコントローラ342に対応し得る。通信送信機2220は、
図21のブロック2115に関して説明した機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。通信送信機2220は、
図3の基地充電案内システム362または基地充電位置合わせシステム352に対応し得る。
【0113】
その上、一態様では、誘導性要素において誘導電流を検出するための手段は、検出器2205を含むことができる。別の態様では、電磁場を生成するための手段は、誘導性要素2210を含むことができる。さらなる態様では、インダクタ間の距離の指示を決定するための手段は、コントローラ2215を含むことができる。また別の態様では、指示を送信するための手段は、通信送信機2220を含むことができる。
【0114】
代替実施形態では、それぞれのワイヤレス電力伝達システムが動作すると予想される状況に応じて、適切な回路が使用され得ることが理解されよう。本開示は、誘導電力伝達回路とともに使用される同調反応性要素の任意の特定の構成に限定されず、並列同調共振回路、直列同調共振回路、およびLCL同調共振回路は、例として本明細書で提供されるにすぎない。さらに、本開示は、受信機インダクタに電流を生成する任意の特定の受信機側手段に限定されず、電圧トランスフォーマ、電流トランスフォーマ、および可逆整流器の技法は、例として本明細書で論じているにすぎない。
【0115】
電力をワイヤレスに伝達することは、物理的な電気導体を使用することなく、電場、磁場、電磁場などに関連する任意の形態のエネルギーを送信機から受信機に伝達する(たとえば、電力は、自由空間を通して伝達され得る)ことを指し得る。電力伝達を実現するために、ワイヤレス場(たとえば、磁場)内に出力された電力は、「受信コイル」によって受信、捕捉、または結合され得る。
【0116】
本明細書において、リモートシステムについて説明するために電気車両が使用され、その一例は、運動能力の一部として、充電可能なエネルギー蓄積デバイス(たとえば、1つまたは複数の再充電可能な電気化学セルまたは他のタイプのバッテリー)から導出された電力を含む車両である。例として、いくつかの電気車両は、直接運動のための、または車両のバッテリーを充電するための従来型内燃機関を含むハイブリッド電気車両であり得る。他の電気車両は、電力からすべての運動能力を引き出し得る。電気車両は、自動車に限定されず、オートバイ、カート、スクーターなどを含み得る。限定ではなく例として、リモートシステムは本明細書において、電気車両(EV)の形態で説明される。さらに、充電可能なエネルギー蓄積デバイスを使用して少なくとも部分的に電力供給され得る他のリモートシステム(たとえば、パーソナルコンピューティングデバイスなどの電子デバイス)も企図される。
【0117】
上記の方法の様々な動作は、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素、回路および/またはモジュールなどの、動作を実行することが可能な任意の適切な手段によって実行することができる。一般に、図に示される任意の動作は、動作を実行することが可能な対応する機能手段によって実行することができる。
【0118】
多種多様な技術および技法のうちのいずれかを使用して情報および信号を表すことができる。たとえば、上記の説明全体にわたって言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光場または光学粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0119】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組合せとして実装され得る。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概してそれらの機能に関して上記で説明されている。そのような機能をハードウェアとして実装するか、ソフトウェアとして実装するかは、特定の適用例および全体的なシステムに課される設計制約に依存する。上述の機能は、特定の各適用例のために様々な方法で実装できるが、そのような実装上の決定は、本発明の実施形態の範囲からの逸脱を生じさせると解釈すべきではない。
【0120】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する様々な例示的なブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、または、本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せで、実装または実行されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0121】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する方法またはアルゴリズムおよび機能のブロックまたはステップは、直接ハードウェアで具現化されても、またはプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで具現化されても、またはその2つの組合せで具現化されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、有形な非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶すること、または有形な非一時的コンピュータ可読媒体を介して送信することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能およびプログラム可能なROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、着脱可能ディスク、CD ROM、または当技術分野で知られた任意の他の形態の記憶媒体内に存在することができる。記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替として、記憶媒体はプロセッサと一体であり得る。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲の中に含まれるべきである。プロセッサおよび記憶媒体はASIC内に存在することができる。ASICはユーザ端末内に存在することができる。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内に個別構成要素として存在することができる。
【0122】
本開示の概要を述べるために、本発明のいくつかの態様、利点、および新規の特徴について本明細書で説明してきた。本発明の任意の特定の実施形態に従って、そのような利点の必ずしもすべてを実現できない場合があることを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書に教示される1つの利点または利点の群を、本明細書に教示または示唆され得る他の利点を必ずしも実現することなく実現または最適化するように具現化または実行され得る。
【0123】
上述の実施形態への様々な修正が容易に明らかになり、本明細書に定義する一般原理は、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理および新規の特徴に一致する最大の範囲を与えるものである。