(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒状部材には、長手方向に延在し、前記貫通孔に連通するスリットが前記筒状部材の一方の端部から他方の端部にまで至るように形成されている、請求項1に記載の釣り糸通し具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本願の釣り糸通し具は、棒状であって、一方の端部から他方の端部にまで至る貫通孔を有する筒状部材と、貫通孔に挿通可能な線状部材と、を備える。線状部材は、線状部材の少なくとも一方の端部に配置され、釣り糸を係止する糸止め部を含む。
【0010】
本願の釣り糸通し具は、筒状部材と、線状部材と、を備える。このような釣り糸通し具は、例えば以下のように使用することができる。まず、筒状部材に線状部材が挿通された釣り糸通し具を準備する。線状部材の糸止め部が手元側に配置されるようにガイドのリングに釣り糸通し具を挿通する。この際に、筒状部材は剛性を有するため、ガイドのリングに筒状部材を挿通することが容易となる。そして、糸止め部に釣り糸を係止する。線状部材を竿本体部の先端側に引き出し、筒状部材の内部に釣り糸を挿通する。最後に、筒状部材をガイドのリングから引き出す。このような釣り糸通し具によれば、固定ガイドを有する釣り竿において、ガイドのリングに1つずつ釣り糸を通す手間を省いて、効率良く釣り糸を通すことができる。特に、固定ガイドで小径のリングを含む釣り竿に対して、釣り糸を通すことが容易となる。
【0011】
したがって、本願の釣り糸通し具によれば、固定ガイドを有する釣り竿において、視力の弱い人でも効率良く釣り糸を通すことができる。
【0012】
上記釣り糸通し具における筒状部材には、長手方向に延在し、貫通孔に連通するスリットが筒状部材の一方の端部から他方の端部にまで至るように形成されてもよい。筒状部材の一方の端部から他方の端部にまで至るように上記スリットが形成されていることで、筒状部材の内部に挿通されている釣り糸はスリットに通されて、釣り糸と、筒状部材とを分離することができる。その結果、筒状部材を釣り糸の先端まで引き出さなくても、釣り糸の途中の部分において釣り糸と筒状部材とを分離することが出来る。したがって、筒状部材を釣り竿から容易に取り除くことができる。
【0013】
上記釣り糸通し具において、筒状部材は、線状部材よりも短くてもよい。このような構成とすることで、竿を分解した時の1本分の長さよりも筒状部材の長さを短くすることができる。固定ガイドを含む釣り竿において、ガイドのリングの内径は竿本体部の先端に近付くにしたがって小さくなる。筒状部材の外径を竿本体部の先端に配置されているガイドのリングの内径に合わせると、筒状部材の肉厚が薄くなり、筒状部材の強度が低下する。このような場合、ガイドのリングから筒状部材を引き出す際や、筒状部材を保管し、又は運搬する際に、筒状部材が折れ曲がってしまうおそれがある。上記のように筒状部材の長さを短くすることで、筒状部材の外径を竿本体部の手元側に配置されるガイドのリングの内径に合わせることができる。このため、筒状部材の外径をリングの内径に合せて大きくし、筒状部材の肉厚を大きくすることができる。したがって、筒状部材の強度を高くすることができる。
【0014】
上記釣り糸通し具において、筒状部材は、長手方向の一方の端部に近付くにしたがって外径が小さくなるテーパー形状を有してもよい。このような釣り糸通し具は、例えば以下のように使用することができる。竿本体部の手元側からガイドに釣り糸通し具を挿通する。この際に、筒状部材の外径とガイドのリングの内径とが一致したところで、竿本体部の先端側への筒状部材の移動を規制することができる。次に、線状部材を竿本体部の先端側に引き出して、筒状部材の内部に釣り糸を挿通する。この際に、筒状部材の移動が規制されていることで、線状部材を引き出すことが容易となる。最後に、筒状部材を竿本体部の手元側に引き出し、スリットを利用して、筒状部材と釣り糸とを分離する。
【0015】
上記釣り糸通し具において、筒状部材を構成する材料は、ステンレス鋼であってもよい。このようにすることで、筒状部材の剛性を高くすることができる。また、海水が付着した釣り糸が筒状部材に接触しても、筒状部材の腐食が抑制される。
【0016】
[実施形態の具体例]
次に、本発明の釣り糸通し具の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態における釣り糸通し具について説明する。
図1は、実施の形態1における釣り糸通し具の構造を示す概略斜視図である。
図1を参照して、釣り糸通し具1は、筒状部材10と、線状部材20と、を備える。釣り糸通し具1は、釣り竿のガイドに釣り糸を通すための器具である。なお、
図1において、矢印αは筒状部材の長手方向に沿った向きである。
【0018】
図2は、ガイドに本実施の形態における釣り糸通し具1を挿通した状態を示す概略図である。
図2において矢印βは、竿本体部の長手方向に沿った向きである。
図2を参照して、本実施の形態における釣り糸通し具1は、黒鯛のかかり釣り等に用いられる釣り竿2に用いることができる。釣り竿2は、棒状の竿本体部30と、ガイド31,32,33,34,35とを含む。竿本体部30は、複数の部分を長手方向に連結して使用される竿の場合、竿を分解した時の先端を含む部分に相当する。ガイド31,32,33,34,35は、竿本体部30の外周面上に竿本体部30の長手方向に並んで配置されている。ガイド31,32,33,34,35は、竿本体部30の長手方向に間隔をあけて配置されている。本実施の形態において、ガイド31,32,33,34,35は、竿本体部30に固定して取り付けられている固定ガイドである。ガイド31,32,33,34,35のそれぞれは、接続部311,321,331,341,351と、接続部311,321,331,341,351によって竿本体部30に対して支持される円環状のリング312,322,332,342,352とを含む。リング312,322,332,342,352の内径は、竿本体部30の先端に近付くにしたがって徐々に小さくなる。本実施の形態において、リング352の内径L
3は、例えば1.5mm程度である。
【0019】
図1および
図2を参照して、筒状部材10は、金属製である。本実施の形態において、筒状部材10を構成する材料は、ステンレス鋼である。本実施の形態における筒状部材10は、丸棒状の形状を有する。筒状部材10には、第1の端部11から第2の端部12にまで至る貫通孔13が形成されている。すなわち、筒状部材10は、中空円筒状の形状を有する。本実施の形態において、筒状部材10の外径L
1は、ガイド35のリング352の内径L
3よりもやや小さい。したがって、筒状部材10は、全てのリング312,322,332,342,352に挿通可能である。本実施の形態における筒状部材10の外径L
1は、例えば1.3mm程度である。本実施の形態における筒状部材10の内径L
2は、例えば1mm程度である。
【0020】
線状部材20は、金属製である。本実施の形態において、線状部材20はワイヤーであり、線状部材20を構成する材料はステンレス鋼である。線状部材20は、筒状部材10の貫通孔13に挿通可能である。線状部材20の長さは、筒状部材10の長さよりも長い。このため、線状部材20が筒状部材10に挿通されると、筒状部材10から線状部材20の一部の領域が露出する。線状部材20は、線状の本体部201と、糸止め部202とを含む。糸止め部202は、線状部材20の一方の端部20Aに配置されている。糸止め部202は、本体部201の長手方向に対して湾曲する第1湾曲部211および第2湾曲部212を含む。第1湾曲部211および第2湾曲部212は、それぞれ線状である。第1湾曲部211および第2湾曲部212は、本体部201の一方の端部側から連なって形成されている。第1湾曲部211および第2湾曲部212において、本体部201が位置する側とは反対側の端部同士は互いに接続されている。第1湾曲部211と第2湾曲部212との間隔は、端部20Aに近付くにしたがって狭くなる。このようにして、第1湾曲部211および第2湾曲部212によって囲まれた空間Sが形成される。空間Sは、釣り糸41を挿入可能な形状を有する。第1湾曲部211および第2湾曲部212によって釣り糸を挟むことにより、釣り糸を係止することができる。
【0021】
次に、本実施の形態の釣り糸通し具1を用いて釣り竿2に釣り糸を通す手順について説明する。
図3および
図4は、本実施の形態の釣り糸通し具1を用いて釣り竿2に釣り糸41を通す手順を説明するための概略図である。
【0022】
図1を参照して、まず、筒状部材10に線状部材20が挿通された釣り糸通し具1を準備する。線状部材20を筒状部材10の第1の端部11側から挿入して、矢印αの向きに挿通する。この時に線状部材20の一部の領域は、筒状部材10から露出している。
【0023】
次に、
図1および
図2を参照して、竿本体部30のガイド31,32,33,34,35のリング312,322,332,342,352に釣り糸通し具1を挿通する。釣り糸通し具1は、ガイド31側から矢印βの向きに挿通される。線状部材20の糸止め部202が手元側に配置されるように挿通される。次に、糸止め部202に釣り糸41を係止する。釣り糸41を空間Sに挿入し、第1湾曲部211および第2湾曲部212によって釣り糸41を挟むようにして釣り糸41を係止する。
【0024】
次に、
図2および
図3を参照して、線状部材20の筒状部材10から露出した領域203を把持して、矢印βの向きに線状部材20を引き出す。この時に、筒状部材10が矢印βの向きに移動しないように固定しておく。このようにして、釣り糸41を筒状部材10の内部に挿通することができる。そして、筒状部材10の第2の端部12から釣り糸41が露出するように引き出される。
【0025】
次に、
図3および
図4を参照して、筒状部材10がリング312,322,332,342,352から引き出される。糸止め部202に係止されている釣り糸41を取り外し、筒状部材10のみを矢印βの向きに引き出して、筒状部材10を取り除く。このようにして、リング312,322,332,342,352に釣り糸41を通すことができる。
【0026】
ここで、本実施の形態における釣り糸通し具1によれば、固定ガイドを有する釣り竿2において、ガイド31,32,33,34,35のリング312,322,332,342,352に1つずつ釣り糸41を通す手間を省いて、効率良く釣り糸41を通すことができる。特に、固定ガイドで小径のリング312,322,332,342,352を含む釣り竿2に対しても、釣り糸41を通すことが容易となる。
【0027】
上記実施の形態において、筒状部材10を構成する材料は、ステンレス鋼である。このようにすることで、筒状部材10の剛性を高くすることができる。また、海水が付着した釣り糸41が筒状部材10に接触しても、筒状部材10の腐食が抑制される。
【0028】
上記実施の形態において、筒状部材10および線状部材20を構成する材料は、ステンレス鋼である場合について説明したが、これに限られるものではなく、筒状部材10および線状部材20は樹脂製であってもよい。より具体的には、筒状部材10および線状部材20を構成する材料は、硬質の樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートまたはポリ塩化ビニル等であってもよい。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、線状部材20を筒状部材10から引き出した後に、筒状部材10をリング312,322,332,342,352から引き出す場合について説明したが、これに限られるものではなく、
図2のように釣り糸通し具1をリング312,322,332,342,352に挿通した後に、線状部材20および筒状部材10を同時に矢印βの向きに引き出してもよい。このようにすることで、さらに効率良く釣り糸41をリング312,322,332,342,352に通すことができる。
【0030】
(実施の形態2)
次に、本発明の釣り糸通し具1の実施の形態2について説明する。実施の形態2における釣り糸通し具1は、基本的に実施の形態1と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかしながら、実施の形態2においては、筒状部材10の構造が実施の形態1の場合と異なっている。以下、実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0031】
図5は、実施の形態2における筒状部材10の構造を示す概略斜視図である。
図6は、ガイド31,32,33のリング312,322,332に筒状部材10を挿通した状態を示す概略図である。
図5および
図6を参照して、筒状部材10には、筒状部材10の第1の端部11から第2の端部12にまで至るスリット14が形成されている。スリット14は、筒状部材10の長手方向に沿って形成されている。スリット14は、貫通孔13と連通する。スリット14の幅L
4は、釣り糸41の径よりも大きい。本実施の形態における筒状部材10の幅L
4は、例えば1mm程度である。筒状部材10の長さは、線状部材20の長さよりも短い。本実施の形態における筒状部材10の長さは、ガイド31からガイド34までに相当する竿本体部30の長さよりも短い。
【0032】
筒状部材10は、第2の端部12に近付くにしたがって外径が小さくなるテーパー形状を有する。すなわち、筒状部材10の第1の端部11側の外径L
3は、第2の端部12側の外径L
5よりも大きい。本実施の形態における筒状部材10の外径L
3は例えば2.8mm程度であり、筒状部材10の外径L
5は例えば2.3mm程度である。なお、本実施の形態における筒状部材10の内径L
2は、実施の形態1の場合と同程度である。
【0033】
図7は、筒状部材10をガイドのリングに挿通する状態を示す概略図である。
図8は、筒状部材10がガイドのリングに当接した状態を示す概略図である。
図6、
図7および
図8を参照して、筒状部材10はガイド31側から挿入され、矢印βの向きに挿通される。矢印βの方向から平面的に見て、筒状部材10の外径L
7よりもガイド33のリング332の内径L
6が小さい場合には、筒状部材10は矢印βの向きに移動可能である。矢印βの方向から平面的に見て、筒状部材10の外径L
7と、ガイド33のリング332の内径L
6とが一致したところで、筒状部材10の矢印βの向きへの移動が規制される。
図8においては、筒状部材10の外壁面と、リング332の内壁面とは接触点T
1、T
2で当接している。
【0034】
次に、本実施の形態の釣り糸通し具1を用いて釣り竿2に釣り糸を通す手順について説明する。
図9、
図10、
図11および
図12は、本実施の形態の釣り糸通し具1を用いて釣り竿2に釣り糸を通す手順を説明するための概略図である。なお、
図9において、矢印γの向きは、矢印βの反対の向きを示す。
【0035】
図6を参照して、まず、筒状部材10をリング312,322,332に挿通する。筒状部材10の第2の端部12側をガイド31のリング312に挿入して、矢印βの向きに筒状部材10を挿通する。筒状部材10は、矢印βの方向から平面的に見て、筒状部材10の外径L
7と、ガイド33のリング332の内径L
6とが一致したところで、矢印βの向きへの筒状部材10の移動が規制される。その結果、筒状部材10は、リング312,322,332によって保持される。なお、ガイド34,35のリング342,352には、筒状部材10は挿通されていない。
【0036】
次に、
図6および
図9を参照して、筒状部材10に線状部材20が挿通される。線状部材20は、筒状部材10の第1の端部11側から貫通孔13に挿入して、矢印βの向きに挿通される。この際に、線状部材20の糸止め部202が手元側に配置されるように挿通される。線状部材20の剛性によって、筒状部材10が挿通されていないガイド34,35のリング342,352にも、線状部材20を挿通することができる。次に、糸止め部202に釣り糸41を係止する。
【0037】
次に、
図9および
図10を参照して、線状部材20を矢印βの向きに引き出す。この際に、筒状部材10は矢印βの向きへの移動が規制されているため、線状部材20を引き出すことが容易となる。このようにして、釣り糸41を筒状部材10の内部に挿通することができる。そして、釣り糸41がリング342,352に挿通されるように線状部材20を引き出す。
【0038】
次に、
図10、
図11および
図12を参照して、筒状部材10だけをリング312,322,332から矢印γの向きに引き出す。筒状部材10のスリット14に釣り糸41を通して、釣り糸41と筒状部材10とを分離し、筒状部材10が取り除かれる。このようにして、リング312,322,332,342,352に釣り糸41を通すことができる。
【0039】
上記実施の形態2の構造を有する釣り糸通し具1によっても、実施の形態1と同様に、固定ガイドを有する釣り竿2において、効率良く釣り糸41を通すことができる。
【0040】
上記実施の形態における筒状部材10には、長手方向に延在し、貫通孔13に連通するスリット14が筒状部材10の第1の端部11から第2の端部12にまで至るように形成されている。筒状部材10の第1の端部11から第2の端部12にまで至るようにスリット14が形成されていることで、筒状部材10の内部に挿通されている釣り糸41はスリット14に通されて、釣り糸41と、筒状部材10とを分離することができる。その結果、筒状部材10を釣り糸41の先端まで引き出さなくても、釣り糸41の途中の部分において釣り糸41と筒状部材10とを分離することが出来る。したがって、筒状部材10を釣り竿2から容易に取り除くことができる。
【0041】
上記実施の形態において、筒状部材10は、線状部材20よりも短い。このような構成とすることで、竿を分解した時の1本分の長さよりも筒状部材10の長さを短くすることができる。固定ガイドを有する釣り竿2において、ガイド31,32,33,34,35のリング312,322,332,342,352の内径は、矢印βの方向から平面的に見て、竿本体部30の先端に近付くにしたがって小さくなる。筒状部材10の外径を竿本体部30の先端に配置されているガイド35のリング352の内径に合わせると、筒状部材10の肉厚が薄くなり、筒状部材10の強度が低下する。このような場合、リング312,322,332,342,352から筒状部材10を引き出す際や、筒状部材10を保管し、又は運搬する際に、筒状部材10が折れ曲がってしまうおそれがある。上記のように筒状部材10の長さを短くすることで、筒状部材10の外径を竿本体部30の手元側に配置されるガイド33のリング332の内径に合わせることができる。このため、筒状部材10の外径をリング332の内径に合せて大きくし、筒状部材10の肉厚を大きくすることができる。したがって、筒状部材10の強度を高くすることができる。
【0042】
上記実施の形態において、筒状部材10はガイド31,32,33に挿通される場合について説明したが、これに限られるものではなく、筒状部材10は、ガイド31からガイド32,33,34,35のうちのいずれか1つのガイドまでを挿通するようにしてもよい。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】釣り糸通し具1は、棒状であって、一方の端部11から他方の端部12にまで至る貫通孔13を有する筒状部材10と、貫通孔13に挿通可能な線状部材20と、を備える。線状部材20は、線状部材20の少なくとも一方の端部20Aに配置され、釣り糸41を係止する糸止め部202を含む。