特許第6683800号(P6683800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683800渦巻き状膜モジュール及び塩水シールを含むフィルタアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683800
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】渦巻き状膜モジュール及び塩水シールを含むフィルタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   B01D63/10
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-503512(P2018-503512)
(86)(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公表番号】特表2018-520869(P2018-520869A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】US2016041682
(87)【国際公開番号】WO2017019282
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年1月23日
(31)【優先権主張番号】62/198,283
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ディー・ジョンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・ワイ・シュー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・コレルツ
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・フランクリン
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−111473(JP,A)
【文献】 実開昭55−130701(JP,U)
【文献】 特開昭62−247804(JP,A)
【文献】 特開平6−114239(JP,A)
【文献】 特表2008−511437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32)を形成する軸(X)に沿って延びる中央透過液管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(6)、ならびに円筒形の外周表面(38)を備える、渦巻き状膜モジュール(2)と、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に配設された塩水シール(65)と、を備え、
前記供給液スペーサーシート(6)が、前記入口渦巻き面(30)から前記出口渦巻き面(32)へと向かって透過液回収管(8)に接して軸方向に延びかつ前記供給液スペーサーシート(6)の全区域の20%未満を構成する供給液入口区分(50)と、前記出口渦巻き面(32)から前記入口渦巻き面(30)へと向かって前記膜エンベロープ(4)の遠位端(20)に接して軸方向に延びかつ前記供給液スペーサーシート(6)の全区域の20%未満を構成する供給液出口区分(52)と、前記供給液入口区分(50)と前記供給液出口区分(52)との間に位置する中央供給液区分(54)と、を有し、
前記塩水シール(65)が、
i)前記圧力容器の前記内部チャンバに係合するように適合される、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)と、
ii)前記入口渦巻き面(30)の大部分を通る流れを制限する前記入口渦巻き面(30)にシールされた後端キャップ表面(72)と、
iii)流体が前記入口渦巻き面(30)を通って前記渦巻き状膜モジュール(2)の前記供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、前記中央透過液管(8)に隣接する前記後端キャップ表面(72)内の少なくとも1つの開口部(76)と、
iv)供給液スペーサーシート(6)を通ってびかつ中央透過液管(8)から供給液スペーサーシート(6)の遠位端(20)へ向かう流れ経路と、を備え、
前記後端キャップ表面(72)が、前記入口渦巻き面(30)の少なくとも75%を被覆しおよび前記中央透過液管(8)の半径方向の中央部に開口する開口部(76)を有して前記供給液入口区分(50)への供給液の流れに制限し、
a)前記供給液入口区分(50)の前記出口渦巻き面(32)側の端部、前記中央供給液区分(54)の前記入口渦巻き面(30)側の端部および前記出口渦巻き面(32)側の端部ならびに前記供給液出口区分(52)の前記入口渦巻き面(30)側の端部および前記出口渦巻き面(32)側の端部において前記膜エンベロープ(4)が前記供給液スペーサーシート(6)を挟んでシーラント(62)により封止されており、それによって前記供給液の流れの大部分が前記供給液入口区分(50)から前記渦巻き状膜モジュール(2)に入り前記中央供給液区分(54)を通って前記外周表面(38)から前記渦巻き状モジュール(2)を出るか、または
b)前記供給液入口区分(50)の前記出口渦巻き面(32)側の端部、前記中央供給液区分(54)の前記入口渦巻き面(30)側の端部および前記出口渦巻き面(32)側の端部ならびに前記供給液出口区分(52)の前記入口渦巻き面(30)側の端部において前記膜エンベロープ(4)が前記供給液スペーサーシート(6)を挟んでシーラント(62)により封止されており、それによって前記供給液の流れの大部分が前記供給液入口区分(50)から前記渦巻き状膜モジュール(2)に入り前記中央供給液区分(54)を通って前記供給液出口区分(52)から前記渦巻き状膜モジュール(2)を出ることを特徴とする、前記フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記塩水シール(65)の前記リップ(70)及び後端キャップ表面(72)が、非多孔性材料の複合単位を構成する、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記塩水シール(65)が、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置し、前記リップ(70)から前記後端キャップ表面(72)へと少なくとも1cm軸方向に延びる、スリーブ(74)を更に備える、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記スリーブ(74)、リップ(70)、及び後端キャップ表面(72)が、非多孔性材料の複合単位を構成する、請求項3に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記フィルタアセンブリにおいて、前記リップ(70)が、前記出口渦巻き面(32)よりも前記入口渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、入口渦巻き面(30)の中心から見て半径方向で外向きにしなる、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記渦巻き状膜モジュール(2)の前記外周表面(38)が、多孔性表面(80)を備える、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦巻き状膜モジュール及び関連する塩水シールを含むフィルタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
渦巻き状膜モジュールは、様々な逆浸透(RO)及びナノ濾過(NF)用途において使用される。典型的な一実施形態において、円筒形の渦巻き状膜モジュールは、1つ以上の膜エンベロープ及び供給液スペーサーを透過液回収管の周囲に同心円状に巻き付けて、2つの対向する渦巻き面及び外周表面を形成することによって構築される。結果として得られる渦状の束は、テープまたは他の手段によって適所に保持される。モジュールを圧力容器の内部チャンバ内に設置する前に、モジュールの外周表面の周囲に様々な種類のシールが適用されてもよい。代表的な例は、US4,016,083、US4,299,702、US4,600,512、US5,128,037、US5,389,260、US5,851,267、US6,299,772、US7,208,088、US8,110,016、US8,377,300、US8,388,842、US8,425,773、US8,728,213、及びUS8,778,182に記載されている。そのようなモジュールとともに使用するための多様な供給液スペーサー及び流れ構成が記載されている。例えば、US5,458,774、US6,881,336、US8,337,698、US2003/205520、US2004/0182774、US2013/146532、US2014/042080、US2014/183134、JP2013/071098、及びCN201799220を参照されたい。
【0003】
動作中、加圧された供給流体は膜エンベロープの表面を通過し、適用された圧力によって「溶媒」(例えば、水)の一部分が膜を通過する(すなわち、「透過液」を形成する)一方で、「溶質」(例えば、塩)は膜を通過することができず、残りの供給液中で濃縮される(すなわち、「濃縮液」溶液を形成する)。「回収率」は、透過液として膜を通過する供給溶液のパーセンテージとして定義される。スケール形成は、高回収率で動作するときの主要な問題である。それらの溶解度限度を超えて濃縮されると、保持される塩(例えば、CaCO、CaSO)は膜の上にスケールを形成し始める。これは、住居用ROシステムの長期的な動作にとって特に問題となる。pH調節、スケール阻害剤、または頻繁な清掃を使用することによって高回収率で動作する、より大きな工業用システムとは対照的に、ほとんどの住居用システムは、これらの選択肢のいずれも有しない。住居用ROシステムにおいて使用される渦巻き状モジュールは、典型的に、20〜35%の回収率で動作するように設計されている。軟水化されていない住居用水源は、しばしば有意な量のカルシウムイオン及び重炭酸塩イオンを含有しているため、より高い回収率(例えば、35%超)での動作は、スケール形成をもたらす。
【0004】
スケール形成のし易さの減少とともに、より高い回収率の動作を可能にする、新たなフィルタアセンブリ設計が求められている。
【発明の概要】
【0005】
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、入口渦巻き面及び出口渦巻き面を形成する軸(X)に沿って延びる中央透過液管の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ及び供給液スペーサーシート、ならびに円筒形の外周表面を含む、渦巻き状膜モジュールと、外周表面の一部分の周囲に同心円状に配設された塩水シールと、を含み、
i)圧力容器の内部チャンバに係合するように適合される、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップと、
ii)第1の渦巻き面の一部分を被覆する、後端キャップ表面と、
iii)流体が入口渦巻き面を通ってモジュールの供給液スペーサーシートへと流れることを可能にするための、後端キャップ表面内の少なくとも1つの開口部と、を含む塩水シールを特徴とする、フィルタアセンブリ。
【0006】
一実施形態において、特にアセンブリが35%超の回収率で動作するとき、膜の上のスケールの形成を軽減するように適合された本フィルタアセンブリ。別の実施形態において、本アセンブリは、高濃度のスケール形成イオンの領域内での流動を減少させる、モジュールを通した放射状の供給液流れ経路を促進する。更に別の実施形態において、本アセンブリは、同一の動作回収率にとって典型的であるよりも高い供給液流速を提供する。依然別の実施形態において、本アセンブリは、結果として得られるより高い供給液側の圧力低下にとって特に重要である、供給液の流れの迂回を防止するための改善された方法を提供する。多くの追加の実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】渦巻き状膜モジュールの透視、部分切断図である。
図2a】部分的に組み立てた渦巻き状膜モジュールの透視図である。
図2b】部分的に組み立てた渦巻き状膜モジュールの透視図である。
図3】塩水シールを含む渦巻き状膜モジュールを含むフィルタアセンブリの一実施形態の透視図、及び圧力容器に搭載されたアセンブリの透視図である。
図4a】塩水シール及び渦巻き状モジュールのいくつかの実施形態を説明する透視図である。図4c中、塩水シール及び渦巻き状モジュールは接合されて、アセンブリを形成する。
図4b】塩水シール及び渦巻き状モジュールのいくつかの実施形態を説明する透視図である。図4c中、塩水シール及び渦巻き状モジュールは接合されて、アセンブリを形成する。
図4c】塩水シール及び渦巻き状モジュールのいくつかの実施形態を説明する透視図である。図4c中、塩水シール及び渦巻き状モジュールは接合されて、アセンブリを形成する。
図5a】渦巻き状モジュールの渦巻き面に取り付けられたキャッピング部材の3つの異なる実施形態を説明する透視図である(部分切断)。
図5b】渦巻き状モジュールの渦巻き面に取り付けられたキャッピング部材の3つの異なる実施形態を説明する透視図である(部分切断)。
図5c】渦巻き状モジュールの渦巻き面に取り付けられたキャッピング部材の3つの異なる実施形態を説明する透視図である(部分切断)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、渦巻き状膜モジュールを含むフィルタアセンブリを含む。代表的な渦巻き状膜モジュールを、図1の2に概して示す。モジュール(2)は、軸(X)に沿って延びる透過液回収管(8)の周囲に1つ以上の膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(複数可)(「供給液スペーサー」)(6)を同心円状に巻き付けることによって形成される。各膜エンベロープ(4)は、好ましくは、膜シート(10、10’)の2つの実質的に長方形の区分を備える。膜シート(10、10’)の各区分は、膜または前側(34)及び支持体または裏側(36)を有する。膜エンベロープ(4)は、膜シート(10、10’)を重ね、それらの端を整列させることによって形成される。好ましい一実施形態において、膜シートの区分(10、10’)は、透過液スペーサーシート(12)を囲む。このサンドイッチ型構造は、3つの端(16、18、20)に沿って、例えば、シーラント(14)によって互いに固定されて、エンベロープ(4)を形成する一方で、エンベロープ(4)(及び任意の透過液スペーサー(12))の内側部分が、透過液回収管(8)の長さに沿って延びる複数の開口部(24)と流体連通するように、第4の端、すなわち、「近位端」(22)は、透過液回収管(8)に当接する。膜シート(10、10’)の各区分の活性膜領域(25)は、動作中に液体がエンベロープ(4)へと通過し得る膜の区域に対応する(これは、膜を通って透過液エンベロープの内側に入る液体の流れが防止されるように、接着剤、テープなどによって分離される、不活性膜領域(25’)とは対照的である)。モジュール(2)は、それぞれが供給液スペーサーシート(6)によって分離された、単一のエンベロープまたは複数の膜エンベロープ(4)を含み得る。説明される実施形態において、膜エンベロープ(4)は、隣接配置された膜リーフパケットの裏側(36)表面を接合することによって形成される。膜リーフパケットは、それ自体の上に折り畳まれて、2つの膜「リーフ」を画定する、実質的に長方形の膜シート(10)を備え、各リーフの前側(34)は、互いに直面し、折り畳みは、膜エンベロープ(4)の近位端(22)と軸方向に整列され、すなわち、透過液回収管(8)と平行である。供給液スペーサーシート(6)は、折り畳まれた膜シート(10)の直面する前側(34)の間に位置するように示される。供給液スペーサーシート(6)は、モジュール(2)を通る供給流体の流れを促進する。示されていないものの、追加の中間層もまた、アセンブリ内に含まれてもよい。膜リーフパケット及びそれらの製作の代表的な例は、HaynesらのUS7,875,177に更に記載される。
【0009】
モジュール製作中、透過液スペーサーシート(12)は、膜リーフパケットがその間に交互に挟まった状態で、透過液回収管(8)の円周の周囲に取り付けられてもよい。隣接配置された膜リーフ(10、10’)の裏側(36)は、透過液スペーサーシート(12)を囲んで、膜エンベロープ(4)を形成するように、それらの外周(16、18、20)の部分の周囲でシールされる。透過液スペーサーシートを透過液回収管に取り付けるための好適な技術は、SolieらのUS5,538,642に記載される。膜エンベロープ(複数可)(4)及び供給液スペーサー(複数可)(6)は、透過液回収管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられるか、または「巻かれ」て、2つの対向する渦巻き面(入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32))を形成し、膜リーフの遠位端は、円筒形の外周(39)を形成する。結果として得られる渦状の束は、テープまたは他の手段によって適所に保持される。その後、モジュールの渦巻き面(30、32)は整形されてもよく、LarsonらのUS7,951,295に記載されるように、渦巻き面(30、32)と透過液回収管(8)との間の接合部に任意でシーラントが適用されてもよい。外周表面(38)は、円筒形の外周(39)の周囲に形成されてもよい。外周表面(38)は、モジュールの円筒形の外周(39)に適用される繊維ガラスコーティングなどの不透過層(78)を含んでもよい。あるいは、McCollamらのUS8,142,588に記載されるように、テープ層が使用されてもよい。JP2005/279556及びJP1037560もまた参照されたい。更に別の実施形態において、多孔性材料は、液体がそれを通って流れ得る多孔性外表面(80)を形成するように選択され得る。一実施形態において、外周表面(38)の全てまたは一部にわたって孔を含む層(例えば、テープまたは熱収縮)が適用されてもよい。同様に、他の外表面またはコーティング材料を使用し、モジュールの円筒形の外周(39)への適用の前または後に多孔性としてもよい。好ましい一実施形態において、塩水シール(65)は、モジュール(2)の外周表面(38)の一部分の周囲に配設され、外周表面(38)は、塩水シール(65)の下流の位置においてのみ多孔性である。
【0010】
この用途に使用される膜は、逆浸透またはナノ濾過として分類され得る。エンベロープを形成するために使用されるRO膜は、実質的に全ての溶解した塩に対して比較的不透過性であり、典型的に、塩化ナトリウムなどの一価イオンを有する塩の約95%超を拒否する。RO膜はまた、典型的に、約100ダルトン超の分子量を有する無機分子及び有機分子の約95%超を拒否する。NF膜は、RO膜よりも透過性であり、典型的に、一価イオンを有する塩の約95%未満を拒否する一方で、二価イオンの種によって、二価イオンを有する塩の約50%超(及びしばしば90%超)を拒否する。NF膜はまた、典型的に、ナノメートル領域内の粒子及び約200〜500ダルトン超の分子量を有する有機分子を拒否する。この説明の目的で、「超濾過」という用語は、RO及びNFの両方を網羅する。
【0011】
膜シートは特に限定されず、幅広い材料(例えば、酢酸セルロース材料、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリフッ化ビニリデンなど)を使用することができる。好ましい膜は、1)不織裏打ちウェブの裏打ち層(裏側)(例えば、Awa Paper Companyから入手可能なポリエステル繊維織物などの不織布)と、2)約25〜125μmの典型的厚さを有する多孔性支持体を備える中間層と、3)典型的に、約1ミクロン未満、例えば、0.01ミクロン〜1ミクロンであるが、より一般的には約0.01〜0.1μmの厚さを有する薄膜ポリアミド層を備える上部切り替え層(前側)とを備える、3層の複合層である。裏打ち層は特に限定されないが、好ましくは、配向され得る繊維を含む不織布または繊維ウェブマットを備える。あるいは、帆布などの織布が使用されてもよい。代表的な例は、US4,214,994、US4,795,559、US5,435,957、US5,919,026、US6,156,680、US2008/0295951、及びUS7,048,855に記載される。多孔性支持体は、典型的に、透過液の本質的に非制限的な通過を可能にするのに十分な大きさであるが、その上に形成される薄膜ポリアミド層の架橋に干渉するほどには大きくない細孔径を有する高分子材料である。例えば、支持体の細孔径は、好ましくは、約0.001〜0.5μmの範囲である。多孔性支持体の非限定的な例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリフッ化ビニリデンなどの様々なハロゲン化ポリマーから作製されたものが挙げられる。切り替え層は、好ましくは、微多孔性ポリマー層の表面上の界面重縮合反応によって形成される。その比較的な薄さのため、結果として得られるポリアミド層は、しばしばそのコーティング被覆範囲または多孔性支持体上への搭載(例えば、1平方メートルの多孔性支持体の表面区域当たり約2〜5000mg、及びより好ましくは約50〜500mg/mのポリアミド)に関して記載される。
【0012】
逆浸透の原型的な膜は、m−フェニレンジアミンとトリメソイルクロリドとの反応によって作製されるFilmTec CorporationのFT−30(商標)型膜である。この及び他の界面重縮合反応は、いくつかの情報源(例えば、US4,277,344及びUS6,878,278)に記載される。ポリアミド膜層は、多孔性支持体の少なくとも1つの表面上で、多官能性アミンモノマーを多官能性ハロゲン化アシルモノマー(各用語は単一種または複数種の使用の両方を指すことが意図される)と界面重縮合することによって調製することができる。本明細書で使用される場合、「ポリアミド」という用語は、アミド結合(−C(O)NH−)が分子鎖に沿って生じるポリマーを指す。多官能性アミン及び多官能性ハロゲン化アシルモノマーは、最も一般的には溶液からのコーティングステップ(典型的に、多官能性アミンモノマーが水性系または極性溶液からコーティングされ、多官能性ハロゲン化アシルが有機系または非極性溶液からコーティングされる)によって多孔性支持体に適用される。
【0013】
渦巻き状モジュールの様々な構成要素を構築するための他の材料が、当該技術分野において周知である。膜エンベロープをシールするための好適なシーラントとしては、ウレタン、エポキシ、シリコーン、アクリレート、熱溶融性接着剤、及び紫外線硬化接着剤が挙げられる。あまり一般的ではないものの、熱、圧力、超音波溶接、及びテープの適用などの他のシール手段も使用されてもよい。透過液回収管は、典型的に、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンなどのプラスチック材料から作製される。トリコットポリエステル材料は、透過液スペーサーとして一般的に使用される。追加の透過液スペーサーが、US8,388,848に記載される。
【0014】
動作中、加圧された供給溶液は膜リーフ(10、10’)の前側(34)を通過し、それは濃縮液流及び透過液流へと分離される。図1中の矢印は、従来のモジュール(2)を通る供給液及び透過液の一般的な流れ方向(26、28)を説明する。供給流体は、入口渦巻き面(30)からモジュール(2)に入り、対向する出口渦巻き面(32)から(濃縮液として)モジュール(2)を出る。膜を通過した透過流体は、矢印(28)によって示されるように、透過液回収管(8)(すなわち、軸X)に一般的に垂直な方向で透過液スペーサーシート(12)に沿って流れる。
【0015】
図2a及びbは、支配的な供給液の流れの方向が透過液回収管(8)に対して放射状方向である、モジュール(2)の代替的な実施形態を説明する。これらの図において、供給液の流れの方向をより良好に説明するために、モジュール(2)は巻かれていない状態で示される。点線の矢印(48)は、主に透過液管から膜シートの遠位端(20)へと向かうものである、供給液スペーサーシート(6)内の供給液の流れ経路を説明する。本発明の目的で、供給液の大部分が透過液管(8)付近で入る場合、モジュールは、外向きの放射状流れ経路を有し、外周表面(38)付近を出、かつ透過液管(8)の中央軸(X)に垂直な供給液速度の構成要素の大きさは、活性膜領域(25)の大部分の供給液速度の50%を超える。図2a中の流れ経路は、モジュールをその外周表面(38)から出る供給液と一貫する。図2b中、流れ経路は、モジュールをモジュールの外周表面(38)付近の出口渦巻き面(32)から出る供給液と一貫する。好ましい配置としては、これらの流れ経路、ならびに供給液が外周表面(38)及び出口渦巻き面(32)の両方から出る配置が挙げられる。
【0016】
供給液スペーサーシート(6)は、好ましくは、VEXAR(商標)の商品名でConwed Plasticsから入手可能なもの、またはJohnsonらのUS6,881,336に記載されるものに類似した、複数の交差するフィラメントを含む、高分子ウェブまたはネットの材料のシートを備える。好ましい一実施形態において、供給液スペーサーは、0.5mm未満の厚さである。好ましくは、供給液スペーサーは、15cm/秒の平均流速で25℃で測定されるとき、0.5psi/フィート超、より好ましくは1psi/フィート超、または2psi/フィート超の、透過液回収管(8)に垂直な流れに対する抵抗中央値を有する。一実施形態において、供給液スペーサーは、モジュールを通して流れに対する均一な抵抗を有する。
【0017】
好ましい一実施形態において、供給液スペーサーシート(6)は、i)入口渦巻き面(30)から出口渦巻き面(32)へと向かって透過液回収管(8)に沿って延びる供給液入口区分(50)と、ii)出口渦巻き面(32)から入口渦巻き面(30)へと向かって外周表面(38)付近(すなわち、膜エンベロープ(20)の遠位端に隣接)に沿って延びる供給液出口区分(52)と、iii)供給液入口区分(50)と供給液出口区分(52)との間に位置する中央供給液区分(54)とを含む。供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分(50)及び中央供給液区分(54)はそれぞれ、流れに対する異なる抵抗中央値を有してもよく、「流れに対する抵抗」という用語は、25℃で、1cm/秒の水速度での、距離単位当たりの圧力低下を指す。より具体的には、供給液入口区分(50)は、透過液回収管(8)に垂直な方向の中央供給液区分(54)の流れに対する抵抗中央値の25%未満の、透過液回収管(8)に平行な方向の流体に対する抵抗中央値を有する。別の好ましい実施形態において、供給液スペーサーシート(6)の供給液出口区分(52)はまた、透過液回収管(8)に垂直な方向の中央供給液区分(54)の流れに対する抵抗中央値の25%未満の、流れに対する抵抗中央値も有する。このように、供給液入口(50)及び出口(52)区分は、供給流体が中央供給液区分(54)から、及びそこへと流れるために、抵抗の低い流れを分配する役割を効果的に果たす。好ましくは、中央供給液区分(54)内の透過液回収管(8)に垂直な流れに対する抵抗中央値は、15cm/秒の平均流速で25℃で測定されるとき、0.5psi/フィート(11.2kPa/m)超、より好ましくは1psi/フィート(22.6kPa/m)超、または2psi/フィート(45.2kPa/m)超ですらある。供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)内の透過液回収管(8)に平行な流れに対する抵抗中央値は、好ましくは、15cm/秒の流速で25℃で測定されるとき、1.0psi/フィート(22.6kPa/m)未満、より好ましくは0.5psi/フィート(11.2kPa/m)未満、または0.25psi/フィート(5.7kPa/m)未満ですらある。
【0018】
供給液スペーサーシート(6)は、流れに対する異なる抵抗を有する異なる区分(供給液入口(50)、供給液出口(52)、及び中央供給液(54))を有する単一のシートの形態であっても、任意で互いに固定されて、モジュールの組み立てを促進し得る別個の区分を含んでもよい。例えば、供給液スペーサーシート(6)は、異なる厚さ、自由体積、フィラメント数、フィラメント間の角度、及びストランド薄化を有する区分を有して作製されてもよい。流れの方向(48)に対する供給液スペーサーの配向を使用して、流れ抵抗を特定の方向に変化させることもできる。例えば、供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)と同一のスペーサー材料を、中央供給液区分(54)内で使用してもよいが、(例えば、90°の)個々のフィラメントを、透過液回収管(8)(すなわち、軸X)に平行な方向の流れに対するその抵抗を変更する様式で配向することによって、「異なる」ようにしてもよい。好ましくは、中央供給液区分(54)は、透過液管(8)に垂直な方向により低い流れ抵抗を提供するように配向されたネットを含有する。好ましくは、供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)は、透過液回収管(8)に平行な方向により低い流れ抵抗を提供するように配向されたネットを含有する。
【0019】
別の実施形態において、透過液回収管(8)に平行な供給液の流れに対する抵抗は、供給液スペーサーシート(6)全体の1つ以上の区分内の供給液スペーサーシート(6)の構成要素を変更することによって減少させることができる。例えば、供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)内のネットの領域は、省略されてもよい。好ましくは、除去される区分は、透過液回収管(8)の方向に伸長され、配向される。あるいは、透過液管(8)の方向の流れをより容易にするために、ネットに流れチャネルがエンボス加工されてもよい。更に別の代替的な実施形態において、スペーサーシート(6)の全体が、第1のスペーサーシート型を含んでもよく、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分及び供給液出口区分(50、52)の一方または両方の第1のスペーサーシート型に重なる、より抵抗の低い層を追加して、所与の区分内の流れに対する抵抗を低下させてもよい。より一般的には、モジュール(2)は、中央供給液区分(52)内に位置する第1のスペーサーシート型を含んでもよく、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分(50)または供給液出口区分(52)のいずれかが、第1のスペーサーシート型及び重なる第2のスペーサー型の両方を含んでもよく、第2のスペーサーシート型は、好ましくは、第1のスペーサーシート型よりも、透過液回収管(8)に平行な方向の流れに対する低い抵抗中央値を有する。より好ましくは、第2のスペーサーシート型は、透過液回収管(8)に垂直な方向よりも、透過液回収管(8)に平行な方向の流体に対してより低い抵抗を有するように配向されたネットである。第2のスペーサー型は、第1のスペーサーシート型に添付されて、モジュールの巻きを助けてもよい。図2中、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)は、破線(56、58)によって、中央供給液区分(54)から分離されるものとして示される。図2では正確な縮尺では示されていないものの、供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)はそれぞれ、好ましくは、供給液スペーサーシート(6)の全区域の20%未満(及びより好ましくは15%未満または10%)を構成し、中央供給液区分(54)が、全区域の大部分(例えば、60%、75%、90%など)を構成する。示される好ましい実施形態において、供給液入口及び出口区分(50、52)は一般に長方形の形状であり、それぞれ、透過液回収管(8)に沿って及び外周表面(38)付近に位置する。更に別の好ましい一実施形態において、供給液スペーサーシート(6)の供給液出口区分(52)の大部分(50%超の区域)は、好ましくは、活性膜領域(25)とモジュールの外周表面(38)との間の位置で、膜シート(10)の不活性膜領域(25’)と平面内接触している。依然更なる好ましい一実施形態において、供給液出口区分(52)は、その活性膜領域(25)に対して遠位の点で、膜シート(10)の不活性膜領域(25’)のみに接触する。
【0020】
動作中、透過液回収管(8)に隣接する入口渦巻き面(30)上に位置する供給液入口領域(60)への供給液の流れは、供給液入口区分(50)内の透過液回収管(8)に沿って軸方向に流れ、その後、中央供給液区分(54)を通って外周表面(38)へと向かって放射状に流れる。図2aは、多孔性外周表面(38)付近を通って拒否物として出る供給液と一貫する流れ経路を示す。図2bは、供給液が後続して軸方向に流れて、円筒形の外周(39)に隣接する出口渦巻き面(32)上に位置する供給液出口領域(64)でモジュール(2)を出る、供給液出口区分(52)内の供給液の流れ方向の変化を示す。したがって、本発明の好ましい一実施形態に従うと、供給液の流れは、モジュールに入り、供給液入口区分(50)を通過するとき、流れに対する比較的低い抵抗に出会うことになる。この抵抗の低い区域は、透過液回収管(8)付近で、さもなければ供給液速度が緩徐である「死」領域を防止しながら、供給液が放射状方向に再配向されることを可能にする。更に、供給液出口区分(52)は、供給液の流れが、スケール物濃度が最高であるモジュールの外周(39)付近の活性膜(25)にわたって、速く均一な速度を維持することを可能にする。モジュールの外周(39)(膜エンベロープ(4)の遠位端付近)は、透過液の背圧が最高となる場所であるため、この位置では流動が減少される。結果として、スケール形成が生じる可能性ははるかに低くなり、渦巻き状膜モジュールは従来の設計よりもより高い回収率で動作することができるようになる。
【0021】
図3に示されるように、本フィルタアセンブリは、モジュール(2)の外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に配設された塩水シール(65)を更に含む。塩水シール(65)は、i)圧力容器(90)の内部チャンバ(89)に係合するように適合される、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)と、ii)第1の渦巻き面(30)の一部分を被覆する、後端キャップ表面(72)と、iii)流体が渦巻き面(30)を通ってモジュール(2)の供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、後端キャップ表面(72)内の少なくとも1つの開口部(76)とを含む。リップ(70)及び後端キャップ表面(72)は、別個に設置され、その後(例えば、接着剤、シーラント、熱溶融性ポリマーなどの適用によって)互いにシールされ得る別個の部品を構成し得る。好ましい一実施形態において、リップ(70)及び後端キャップ表面(72)は、非多孔性(好ましくはエラストマー性)材料の単一の複合単位を構成する。後端キャップ表面(72)は、例えば、シーラント、接着剤、熱溶融性ポリマーなどの適用によって、第1の渦巻き面(30)にシールされてもよい。第1の渦巻き端を介したモジュールへの供給液の流れを制限するために、後端キャップ表面(72)は、好ましくは、1つ以上の開口部(76)が透過液回収管(8)に隣接して位置する状態で、第1の渦巻き面(30)の少なくとも75%を被覆する。この構成は、図2a及び2bを参照して既に記載したように、供給液の流れを促進する。モジュール(2)の外周表面(38)は、図2a中に説明される流れ経路の実施形態と一貫する、多孔性表面(80)、例えば、多孔性のテープ層を含んでもよい。
【0022】
図3中に更に示されるように、本フィルタアセンブリは、当該産業の標準的慣行に従って、圧力容器(90)の内部チャンバ(89)内に設置されるように設計される。圧力容器(90)の選択は特に限定されないが、好ましくは、動作中に使用される圧力に耐えることができる丈夫な構造を含む。容器構造は、好ましくは、その中に収容されるモジュール(複数可)の外周表面(38)の外径よりもわずかに大きい内径を有する円筒形の内部チャンバ(89)を含む。説明される実施形態において、圧力容器(90)は、チャンバ(89)の一端に位置する供給液入口(92)と、好ましくはチャンバの反対端に位置する濃縮液出口(94)と、少なくとも1つの透過液出口(96)とを含む。圧力容器(90)はまた、1つ以上のモジュール(2)を搭載すると内部チャンバ(89)をシールする1つ以上の端部(98)を含んでもよい。モジュール(2)が圧力容器(90)内に搭載されると、塩水シール(65)のリップ(70)が圧力容器(90)の内部チャンバ(89)を係合し、供給液の流れが第1の渦巻き面(30)の周囲を迂回するのを制限する。好ましい一実施形態において、リップ(70)は、方向的な偏りを有する(例えば、シールにわたる圧力の方向差のために直径が拡大する)。具体的には、リップ(70)は、第2の渦巻き面(32)よりも第1の渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、半径方向で外向きに曲がる。
【0023】
図3の実施形態において、放射状に延びる柔軟なリップ(70)は、後端キャップ表面(72)にシールされ、第1の渦巻き面(30)の上流に配置される。図4a〜cの実施形態において、放射状に延びる柔軟なリップ(70)は、2つの渦巻き面(30、32)の間の位置の周囲でモジュール(2)を囲む。いずれの場合も、リップ(70)の形状の変化は、圧力容器(90)の内部チャンバ(89)との係合を可能にする。後端キャップ表面(72)は、2つのモジュール渦巻き面(30、32)のうちの1つ(一般的に「当接された渦巻き面(31)」と呼ばれる)に当接する中央軸(X)に垂直に位置する。好ましくは、後端キャップ表面(72)は、当接された渦巻き面(31)の少なくとも75%、80%、または90%すらも被覆する。これらの目的で、渦巻き面区域は、膜、供給液スペーサー、透過液スペーサー、及び関連する接着剤からなる、透過液管(8)と外周表面(38)との間の環状領域の断面に対応する。好ましくは、後端キャップ表面(72)は、弾性表面または接着剤(例えば、溶融性ポリマーまたは反応性接着剤)のいずれかなどによって、当接する渦巻き面(31)の一部とともにシールされる。別の好ましい実施形態において、後端キャップ表面(72)は、透過液管(8)の全体または一部に対して配置されてもよい。後端キャップ表面(72)は、当接された渦巻き面(31)の大部分を通る流れを制限する。しかしながら、後端キャップ表面(72)は、供給流体がモジュール(2)の外側からモジュール内の供給液スペーサー(6)へと流れることを可能にする少なくとも1つの開口部(76)を含む。後端キャップ表面(72)内の開口部(複数可)は、透過液回収管(8)またはモジュールの外周表面(38)のいずれかにより近接して位置してもよい。好ましい一実施形態において、後端キャップ表面(72)内の開口部(76)は、透過液回収管(8)付近に位置する。この場合、塩水シール(65)のリップ(70)が方向的に偏っていること、及び対向する渦巻き面に適用されるよりも大きな圧力が後端キャップ表面(72)に当接するモジュールの渦巻き面(31)に適用されるとき、圧力容器(90)の内部チャンバ(89)に対する強化されたシールが提供されることが更に好ましい。代替的な一実施形態において、後端キャップ表面(72)に当接する渦巻き面(31)が対向する渦巻き面よりも低い圧力にあるとき、後端キャップ表面(72)内の複数の開口部(76)はモジュールの外周表面(38)付近に提供され、塩水シール(65)のリップ(70)は方向的に偏って、強化されたシールを提供する。図4cに説明されるように、塩水スペーサー(65)上の配置手段(37)は、塩水スペーサー(65)を透過液管(8)またはモジュールの外周表面(38)に整列させることができる。
【0024】
渦巻き面(31)に当接する後端キャップ表面(72)は、モジュール(2)の外周表面(38)の周囲に同心円状に配設され、軸(X)に沿って延びるスリーブ(74)によって、放射状に延びる柔軟なリップ(70)に接合されてもよい。スリーブ(74)は、好ましくは、後端キャップ表面とリップ(70)との間に流体シールを提供する。スリーブ(74)は、好ましくは、非多孔性材料から作製され、リップ(70)及び後端キャップ表面(72)にシールされるか、またはそれらと複合される、異なる構成要素(すなわち、好ましくはエラストマー性材料を含む非多孔性材料の単一の複合単位)であってもよい。好ましくは、スリーブ(74)は、当接された渦巻き面(31)を超えて少なくとも1cm、好ましくは少なくとも2cm延びる。これは、放射状に延びる柔軟なリップ(70)が圧力容器の内部領域に対して係合することが可能でありながら、標準的圧力容器内でより長いモジュールが使用されることを可能にする。
【0025】
塩水シール(65)は、好ましくは、後端キャップ表面(72)と当接された渦巻き面(31)との間の流体シールが維持されるように、モジュール(2)の一部に添付される。例えば、スリーブ(74)は、モジュール(2)の外周表面(38)に添付されてもよい。後端キャップ表面(72)は、渦巻き面(31)に添付されてもよい。後端キャップ表面(72)はまた、接着剤またはスピン溶接などによって透過液管(8)に添付されてもよい。供給液の流れの流体経路は、当接された渦巻き面(31)に隣接する(モジュール内の)供給液スペーサー内に依然として存在し得ることが認識される。しかしながら、後端キャップ表面(72)と当接された渦巻き面(31)との間のシールの維持は、供給溶液の少なくとも95%がモジュール(2)内の供給液スペーサー(6)を通過するように、供給液の流れの迂回を防止する。
【0026】
塩水シール(65)は、渦巻き面(30、32)への流れ、またはそれを出る特定の領域への流れ制限する。入口渦巻き面(30)に当接する後端キャップ表面(72)は、透過液回収管(8)に近くかつモジュールの外周表面(38)から離れ位置の区域への供給液の流れ制限する。同様に、出口渦巻き面(32)に当接する後端キャップ表面(72)は、モジュール(2)を出て、モジュールの外周(39)に隣接する外周表面(38)付近の出口渦巻き面(32)の区域に入る供給液の流れ制限することができる。塩水シール(65)の反対端では、モジュールへの、及びそこから出る流れを制限するための手段は特に限定されないが、図2a及び2bを参照して既に記載したシーラント(62)、または放射状の流れを促進するための渦巻き面(30、32)上でのキャッピング部材(33、35)の使用を含み得る。例えば、図5a及び5bは、軸方向の供給液の流れがモジュールから出る短経路を防止するための、出口渦巻き面(32)に好適なキャップ部材を説明する。図5cは、初期供給液の流れを透過液管付近の領域に配向するのに好適な入口渦巻き面のキャップ部材を説明する。
【0027】
主題の塩水シール(65)は、図2a及び2bに説明される供給液流れ経路の両方の組を有するモジュール、及びそれらの組み合わせとともに使用することができる。図2bの流れ経路と一貫して、図4bに示される実施形態は、出口渦巻き面(32)上に塩水シール(65)を含み、その外周表面(38)付近にいくつかの開口部(76)を有する。図2aに示される流れ経路と一貫して、図4aの実施形態は、入口渦巻き面(30)上の塩水シール(65)と、その後端キャップ表面(72)の中央付近の開口部(76)と、供給液の流れが濃縮液として出ることができる、その外周表面(38)上に多孔性表面(80)を有するモジュール(2)とを含む。図3の実施形態において、塩水シール(65)は、供給液がモジュール(2)の外周表面(38)の圧倒的大部分からモジュール(2)を出ることを可能にし得る。この実施形態において、外周表面(38)は多孔性であり、供給液は塩水シール(65)の下流の領域からモジュールの外周表面(38)を出ることができる。図4aにおいて、後端キャップ表面(72)とリップ(70)との間に流体シールを提供するスリーブ(74)はまた、供給液が塩水シール(65)下の空間から多孔性表面(80)を出ることも可能にする。図4bは、供給流体が後端キャップ表面(72)内の開口部(76)を通って拒否物として出るような、非多孔性表面(78)を説明する。図4cのフィルタアセンブリにおいて、供給流体は、塩水スペーサー(65)の下流にある外周表面(38)の多孔性部分のみからモジュール(2)を出ることができる。
【0028】
図3及び4a〜cに示されるモジュール及び塩水シールはまた、いくつかの他の任意の特徴も説明する。いずれかの端で、モジュールは渦巻き面(30、32)を超えて延びる透過液管(8)を有しても、透過液管(8)は渦巻き面と同じ高さであってもよい。容器(90)の透過液出口(96)と係合するように、透過液管(8)は、一端または両端上にOリングなどのシール膜(67)を含んでも、いずれの端にも含まなくてもよい。好ましくは、Oリングは、出口渦巻き面(32)の最近接で、かつ塩水シール(65)の最近接の渦巻き面の反対で透過液管(8)に取り付けられる。示されないものの、透過液回収管(8)は、透過液がその中を通過できないように、入口渦巻き面(30)の最近接でシールされた端を更に含んでもよい。塩水シール(67)またはキャッピング部材(33、35)上の配置手段(37)は、キャップ部材を、透過液管(8)またはモジュールの外周表面(38)に整列させることができる。
【0029】
本発明は、住居用用途のために設計されたシステム、例えば、2m未満、及びより好ましくは1m未満の膜区域を有するシステムにとって特に好適である。そのようなモジュールの軸Xの方向の、活性膜(25)の好ましい幅は、0.5m未満である。軸Xに垂直な方向の、活性膜(25)の好ましい長さは、1m超である。好ましい実施形態において、活性膜の長さ中央値対幅中央値の比率は、2を超え、より好ましくは3を超え、または4を超えすらする。高抵抗の供給液スペーサーシート(6)、及び放射状の流れを促進する(塩水シール(65)を含む)幾何設計と組み合わせると、特に付着物形成またはスケール形成後、対向する渦巻き面(30、32)間の圧力低下は、従来の動作の圧力低下を大いに超え得る。この状況において、放射状に延びる柔軟なリップ(70)を、渦巻き面(30)に当接する後端キャップ表面(72)にシールするスリーブ(74)は、モジュール(2)と塩水シール(65)との間の迂回を更に阻害することができる。
(態様)
(態様1)
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32)を形成する軸(X)に沿って延びる中央透過液管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(6)、ならびに円筒形の外周表面(38)を備える、渦巻き状膜モジュール(2)と、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に配設された塩水シール(65)と、を備え、
i)前記圧力容器の前記内部チャンバに係合するように適合される、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)と、
ii)前記第1の渦巻き面(30)の一部分を被覆する、後端キャップ表面(72)と、
iii)流体が前記入口渦巻き面(30)を通って前記モジュール(2)の前記供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、前記後端キャップ表面(72)内の少なくとも1つの開口部(76)と、を備える前記塩水シール(65)を特徴とする、前記フィルタアセンブリ。
(態様2)
前記塩水シール(65)の前記リップ(70)及び後端キャップ表面(72)が、非多孔性材料の複合単位を構成する、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様3)
前記塩水シール(65)が、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置し、前記リップ(70)から前記後端キャップ表面(72)へと少なくとも1cm軸方向に延びる、スリーブ(74)を更に備える、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様4)
前記スリーブ(74)、リップ(70)、及び後端キャップ表面(72)が、非多孔性材料の複合単位を構成する、態様3に記載のフィルタアセンブリ。
(態様5)
前記後端キャップ表面(72)が、前記第1の渦巻き面(30)の少なくとも75%を被覆する、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様6)
開口部(76)が、前記透過液回収管(8)に隣接する、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様7)
前記リップ(70)が、前記第2の渦巻き面(32)よりも前記第1の渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、入口渦巻き面(30)の中心から見て半径方向で外向きにしなる、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様8)
前記モジュール(2)の前記外周表面(38)が、多孔性表面(80)を備える、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様9)
後端キャップ表面(72)が、前記第1の渦巻き面(30)にシールされる、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様10)
前記供給液スペーサー(6)が、15cm/秒の平均流速で25℃で測定されるとき、0.5psi/フィート(11.2kPa/m)超の、前記透過液回収管(8)に垂直な流れに対する抵抗中央値を有する、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c