(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683814
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】接眼レンズ及び頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20200413BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20200413BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
G02B25/00 A
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-531461(P2018-531461)
(86)(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公表番号】特表2020-500318(P2020-500318A)
(43)【公表日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】CN2017117040
(87)【国際公開番号】WO2019080325
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】201711003312.8
(32)【優先日】2017年10月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518192666
【氏名又は名称】歌爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GoerTek Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】楊 春
【審査官】
森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106526852(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106526851(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106501943(CN,A)
【文献】
中国実用新案第206209198(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第106291940(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106019596(CN,A)
【文献】
国際公開第2016/115562(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第104614851(CN,A)
【文献】
中国実用新案第204964882(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
G02B 27/02
H04N 5/64 − 5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼レンズであって、
同軸に順次、正レンズ及び負レンズが設けられ、
前記正レンズの入光面は平面フレネル面で、出光面は凸面であり、前記負レンズの入光面は凹面で、出光面は凸面であり、
観測される光線は、前記負レンズの入光面に入射し、前記負レンズより前記正レンズの入光面に屈折し、更に前記正レンズより出射し、
前記正レンズの屈折率n1と分散v1は、1.5<n1<1.55、55<v1<60の関係を満たし、前記負レンズの屈折率n2と分散v2は、1.5<n2<1.55、55<v2<60の関係を満たすことを特徴とする接眼レンズ。
【請求項2】
前記正レンズの出光面は凸非球面であることを特徴とする請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項3】
頭部装着型表示装置であって、
請求項1又は2のいずれかに記載の接眼レンズ及び前記接眼レンズと同軸にある表示デバイスを含み、
前記表示デバイスから発したスクリーン光線は前記接眼レンズより人の目に屈折され、
前記正レンズの中心点から人の目までの距離T0は、0.35TTL<T0<0.45TTLの関係を満たし、前記正レンズの中心厚さT1は、0.09TTL<T1<0.1TTLの関係を満たし、
前記負レンズの中心厚さT2は、0.09TTL<T2<0.1TTLの関係を満たし、
前記装置の焦点距離Fは、0.9TTL<F<0.95TTLの関係を満たすことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記正レンズの出光面の中心点から前記表示デバイスのディスプレーの中心点までの距離TTLは、32mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記負レンズの焦点距離F2は、−700<F2<0の関係を満たし、前記正レンズの焦点距離F1はF1<Fの関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年10月24日に出願した「接眼レンズ及び頭部装着型表示装置」と題する第2017110033128号中国特許出願の全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、仮想現実(Virtual Reality)の技術に関し、特にその技術を用いた接眼レンズ及び頭部装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
VR(Virtual Reality、仮想現実)技術は、仮想世界を創り出し体験することが可能なコンピューターシミレーションシステムのことである。このシステムにおいて、使用者に多種の情報を融合した3次元ダイナミック画像と実体行為のシステムシミレーションを堪能できるモデル環境はコンピューターによって生成される。技術の進展に伴い、VR技術を用いた頭部装着型表示装置は、ゲーム、不動産、旅行などの分野で幅広く使用されている。
【0004】
携帯電話のスクリーンを表示デバイスとするVR頭部装着型表示装置があるが、携帯電話のスクリーンのサイズは通常大きく、2〜5インチくらいある。既存の頭部装着型表示装置では、そのようなサイズの大きい表示デバイスに合わせる接眼レンズの光学システムは、軸方向距離が長いという特徴がある。軸方向の長い接眼レンズでは頭部装着型表示装置の薄型化に対応できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、超薄型接眼レンズの光学システムと頭部装着型表示装置の小型化と軽量化を実現可能な接眼レンズ及び頭部装着型表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では以下の接眼レンズを提供する。
すなわち、本発明の接眼レンズは、
同軸に順次、正レンズと負レンズが設けられ、
上記正レンズの入光面は平面フレネル面で、出光面は凸面であり、上記負レンズの入光面は凹面で、出光面は凸面であり、
観測する光線は、上記負レンズの入光面に入射し、上記負レンズより上記正レンズの入光面に屈折され、更に上記正レンズより出射する。
上記正レンズの出光面は凸非球面とすることができる。
【0007】
上記正レンズの屈折率n1と分散v1は、1.5<n1<1.55、55<v1<60の関係を満たし、上記負レンズの屈折率n2と分散v2は 1.5<n2<1.55、55<v2<60の関係を満たすことが好ましい。
【0008】
本発明の実施形態では、さらに本発明の実施例の接眼レンズ及び上記接眼レンズと同軸にある表示デバイスを含む頭部装着型表示装置を提供する。上記表示デバイスから発したスクリーン光線は前記接眼レンズより人間の目に屈折される。
上記正レンズの出光面の中心点から上記表示デバイスのディスプレーの中心点までの距離TTLは、32mm以下であることが好ましい。
【0009】
上記正レンズの中心点から人の目までの距離T0は、0.35TTL<T0<0.45TTLの関係を満たし、上記正レンズの中心厚さT1は0.09TTL<T1<0.1TTLの関係を満たすことが好ましい。
上記負正レンズの中心厚さT2は、0.09TTL<T2<0.1TTLの関係を満たすことが好ましい。
上記装置の焦点距離Fは、0.9TTL<F<0.95TTLの関係を満たすことが好ましい。
上記正レンズの入光面のフレネル曲率半径Rは、−0.6F<R<−0.65Fの関係を満たすことが好ましい。
上記負レンズの焦点距離F2は、ー700<F2<0の関係を満たし、上記正レンズの焦点距離F1はF1<Fの関係を満たすことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる接眼レンズ及び頭部装着型表示装置では、接眼レンズの光学システムは、構造の簡単な正、負レンズから構成される。ここで、正レンズの出光面は凸面で、入光面は平面フレネル面であり、負レンズの入光面は凹面で、出光面は凸面である。このような接眼レンズの構造によれば、正、負レンズの光学性能が良好に保持されるとともに、レンズの厚さを大幅に薄くでき、超薄型接眼レンズの光学システム及び頭部装着型表示装置の小型化と軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面は、本発明をより明白に説明するためのものであり、本発明の一部である。本発明の実施例及びその説明は本発明を説明するためものであり、本発明を不適切に限定するものではない。
【
図1a】本発明の実施例の接眼レンズの構成を示す図である。
【
図1b】本発明の実施例の頭部装着型表示装置の構成を示す図である。
【
図2a】本発明の実施例の頭部装着型表示装置における表示デバイスの限界解像度によるMTF曲線である。
【
図2b】本発明の実施例の頭部装着型表示装置における表示デバイスの1/2限界解像度によるMTF曲線である。
【
図3】本発明の実施例の頭部装着型表示装置における光学フィールド曲率と歪みの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例の頭部装着型表示装置の点列図である。
【
図5】本発明の実施例の頭部装着型表示装置におけるシステム色収差曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、技術案及びメリットをさらに明白にするために、以下では本発明における具体的な実施例及び対応する図面を用いて、本発明の技術案に対し明確かつ総括的に説明する。無論、その実施例は単なる一部のものであり、本発明における実施例の全部ではない。また、本分野における当業者が、創作的な活動によらず、本発明の実施例に基づき想到した他の実施例は全て、本発明により保護されることになる。
図1aは、本発明の実施例の接眼レンズの構成を示す図である。
図1aに示す通り、前記接眼レンズの光学システムは以下のような構成となっている。
同軸に順次、正レンズ11及び負レンズ12が設けられる。正レンズ11の入光面Si1は負レンズの出光面Se2に隣接する。
【0014】
ここで、負レンズ12の入光面Si2は凹面で、出光面Se2は凸面である。Si2が凹面であるため、観測する光線が入射すると、負レンズ12は高効率で光を集め、可能な限り観測する光線を接収して送ることができる。Se2は凸面で、大きな角度で光を屈折できるため、発散角度の大きい光線を、大きな入射高度及び小さな発散角度で正レンズ11の入光面Si1に入射させることが可能である。これにより、Si1に入射されたエッジ光線及び主光線は、大きな発散角度及び小さな入射高度で人間の目に入射するため、視野角の拡大という目的が達成される。
【0015】
ここで、正レンズ11の入光面Si1は平面フレネル面で、出光面Se1は凸面である。光線がSi1に入射すると、Si1は入射した光線を収集及び整形し、要求される角度でSe1に到着させる。Se1は凸面で、大きな角度で光を屈折できるため、更に視野角を拡大できる。
【0016】
Se1を凸非球面に設計しても良い。凸非球面の曲率半径は中心からエッジまで所定の変化が連続して発生するため、各出射光線の方向が正確に制御される。そのため、光線は設定された角度で人間の目に出射し、視野角が拡大すると同時に収差も校正される。
【0017】
好ましい形態として、収差の校正需要及び光線の屈折度需要を確定してから、逆設計を行い、曲率半径が変化する凸非球面Se1を得ることも可能である。好ましい実施形態では、加工及び検出の利便性を保証するために、Se1の面型を偶数回非球面に設計しても良い。以下の偶数回非球面方程式に従い、Se1の面型を設計しても良い。
【0018】
ここで、zは光軸の方向に沿う座標で、rはレンズの高さの方向に沿う縦座標である。cは非球面の中心点の曲率に関する二次項の係数で、c=1/r0、r0は非球面中心点の曲率半径である。kは円錐の係数で、k=−e2である。aiは各偶数次項の係数である。好ましい実施形態として、本実施例を実際に設計する際、N=3、即ち偶数次項を最大6乗にしても良い。
好ましい形態として本実施例では、Se1の面型を奇数回非球面に設計しても良い。以下の奇数回非球面方程式に従い、Se1の面型を設定しても良い。
ここで、β
iは各奇数次項の係数である。
【0019】
好ましい実施形態では、正レンズ11及び負レンズ12を加工するためにプラスチック材質を使用しても良い。プラスチック材質は加工しやすく且つ軽いため、接眼レンズの光学システムを軽量化できる。ここで、正レンズ11の屈折率n1と分散v1は、1.5<n1<1.55、55<v1<60の関係を満たし、負レンズ12の屈折率n2と分散v2は 1.5<n2<1.55、55<v2<60の関係を満たす。好ましい形態として、実際正レンズ及び負レンズを加工する際、本実施例ではK26R型のプラスチック材質を使用する。K26R型のプラスチック材質の屈折率は1.535で、分散は55.6である。
【0020】
本実施例の接眼レンズは、構造が簡単な正、負レンズから構成される。ここで、正レンズの出光面は凸面で、入光面は平面フレネル面である。負レンズの入光面は凹面で、出光面は凸面である。このような接眼レンズの構造によれば、正、負レンズの光学性能が良好に維持されるとともに、レンズの厚さが大幅に薄くされ、超薄型接眼レンズの光学システム及び頭部装着型表示装置の小型化と軽量化を実現できる。また、正レンズ11の出光面は凸非球面であるため、接眼レンズの光学システム全体の収差が校正され、高品質の結像が生成される。また、正負レンズからなる接眼レンズは、接眼レンズの光学システム全体の収差が校正され、結像の品質を高めることが可能で、接眼レンズは構成が簡単で、原価も低いというメリットがある。
図1bは、本発明の実施例の頭部装着型表示装置の構成を示す図である。
図1bに示す通り、上記頭部装着型表示装置は以下の構成となっている。
【0021】
すなわち、同軸に順次、正レンズ11、負レンズ12及び表示デバイス13が設けられる。ここで、正レンズ11の入光面Si1は負レンズの出光面Se2に隣接し、負レンズの入光面Si2は表示デバイス13に隣接する。
【0022】
本実施例では、表示デバイス13はサイズの大きい表示デバイスで、例えば携帯電話の表示デバイスもしくはLCD(Liquid Crystal Display、液晶表示デバイス)等であっても良い。
【0023】
図1bに示す通り、表示デバイス13のディスプレーの中心点から正レンズ11の出光面Se1の中心点までの距離をTTL(total track length、光線追跡長さ)とする。本実施例の頭部装着型表示装置において、正レンズ11と負レンズ12は強い屈折力があり且つ薄いため、TTLは32mm以下になりうる。大きなディスプレーを用いた既存の頭部装着型表示装置に比べ、本実施例では、TTLが小さいことから頭部装着型表示装置のサイズを大幅に縮小できる。
【0024】
図1bに示す通り、使用者が本実施例の頭部装着型表示装置を装着した状態では、目は接眼レンズの光学システムにおいて瞳孔の位置である。正レンズ11の出光面Se1の中心点から人間の目までの距離をT0とする。使用者に頭部装着型表示装置を装着し高品質の画像を視認させるために、T0を0.35TTL<T0<0.45TTLの関係を満たす長さに設定しても良い。好ましい形態として、各種の髪型に適合させるために、頭部装着型表示装置に調整可能な部品を設けて、T0の長さを調整することもできる。
【0025】
好ましい形態として、本実施例では、接眼レンズにある2つのレンズの薄さと良好な光学性能を確保するために、正レンズ11の中心厚さT1が、0.09TTL<T1<0.1TTLの関係を満たし、負レンズ12の中心厚さT2が、0.09TTL<T2<0.1TTL、装置の焦点距離Fが、0.9TTL<F<0.95TTLの関係を満たすように設定しても良い。好ましい形態として、正レンズ11の入光面Si1のフレネル曲率半径Rが、−0.6F<R<−0.65Fの関係を満たし、正レンズ11の焦点距離F1が、F1<F、負レンズ12の焦点距離F2が、−700<F2<0の関係を満たすように設定しても良い。例えば、反復改良により、表示デバイス13の表示チップのピクセルサイズが39umである場合、F=29.24mm、F1=28.78mm、F2=ー677.6mmに選定しても良い。
【0026】
本実施例では、上記の構成及びパラメーター設計により、接眼レンズの光学システムの半視野角θは98°となる。即ち、tanθは1.1〜1.2になる。これにより、頭部装着型表示装置を装着し虚像を視認する場合、深い堪能感及びリアル感がが実感できる。
【0027】
本実施例では、接眼レンズと表示デバイスの整合性により、軸距離が短く、視野角が約98°に達することから、頭部装着型表示装置に十分な視野角が確保され、更なる小型化と軽量化も可能となる。
【0028】
以下、表1及び表2を用いて本発明の実施例の頭部装着型表示装置における光学システムについて具体例で説明する。表1は実施可能な設計を示す。表1では、Surfaceは人間の目から表示デバイスまでの順に番号を付けた光学面を、Typeは各光学面の面型を、Cは各光学面の曲率を、Tは各光学面と次の光学面との距離を、Glassは各光学面の材質を、Semi−Diameterは各光学面の口径を、Conicは二次曲面定数を表す。
【0029】
表1では、Surface1は人間の目の所在面を、Surface2は正レンズ11の出光面Se1を、Surface3は正レンズ11の入光面Si1を、Surface4は負レンズ12の出光面Se2を、Surface5は負レンズ12の入光面Si2を、Surface6は表示デバイス13のディスプレーを表す。
【0030】
表1に通り、実施可能な設計では、正レンズ11の厚さは3mmで、上記出光面Se1の中心点から人間の目までの距離は13mmで、Se1の中心点の曲率半径は118.402mmで、Si1のフレネル曲率半径は−17.642である。負レンズ12の厚さは3mmで、上記出光面Se2の中心点のフレネル曲率半径は53.788mmで、Se2からSi1の中心点までの距離は2.272mmで、入光面Si2の中心点の曲率半径は45.955である。Si2から表示デバイス13のディスプレーまでの距離は23.748mmで、表示デバイスの厚さは26.23mmである。
【0031】
このような設計によれば、光学システムのTTLはTTL=3+2.26+3+23.74=32mmになり、軸は既存技術では達成できない長さに縮小される。
本設計では、偶数回非球面係数α2、α3、α4は以下の表の通りである。
【0032】
上記設計に基づき、MTF(Modulation Transfer Function、調整伝達関数)曲線、光学フィールド曲率、及び歪み図、点列図、色収差曲線図を制作し、目標の光学システムの結像品質に対し分析を行っても良い。
【0033】
図2aは、本発明の実施例の接眼レンズの光学システムにおける表示デバイスの限界解像度によるMTF曲線で、
図2bは、表示デバイスの1/2限界解像度によるMTF曲線である。
図2aと
図2bでは、それぞれの色はそれぞれの視野の光線を表し、横軸は光学システムの点から光学システムの中心までの距離を、縦軸は結像品質と実物との相似度のパーセンテージを表す。MTFは総括的に光学システムの結像品質を反映している。MTFの曲線は平滑であればあるほど、そしてX軸に対する高さ(即ち1への近似度)が高ければ高いほど、上記光学システムの結像品質が良いことを示す。
図2aと
図2bからは、それぞれの色の曲線は平滑且つ緊密で、曲線が表すMTFの値が高いことがわかる、そして
図2bからは、表示デバイスの1/2限界解像度である場合、0.6視野以内のMTFの値は全て0.4以上となり、光学システムの結像の収差が良好に校正されたことがわかる。
【0034】
図3は、本発明の実施例の接眼レンズにおける光学システムの光学フィールド曲率と歪みの一例を示す図である。
図3の左の図はフィールド曲率(Field Curvature)を表す。ここで、波長は色により区別され、実線は正接(tangential)フィールド曲率を、点線は弓形(sagittal)フィールド曲率を表し、両者の差は光学システムの非点収差になる。非点収差とフィールド曲率は軸外視野光線に影響する重要な収差であり、非点収差が大きすぎるとシステム軸外光線の結像品質に重大な影響を及ぼし、フィールド曲率により中心とエッジの最良結像は同一平面からずれることになる。
図3の左の図より、本実施例の光学システムのフィールド曲率と非点収差は全て5mm以内に校正されることがわかる。
図3の右の図から、本実施例の光学システムの歪み(F−Tan(theta)distortion)は25%以下であることがわかる。
【0035】
図4は本発明の実施例の接眼レンズの光学システムの点列図である。点列図は光学システムの各視野光線が像面に集まり拡散ライトスポットになったことを表す。点列図のRMS(Root Mean Square、二乗平均平方根)の半径が小さければ小さいほどシステムにおける結像品質は良いことになる。
図4では、本実施例の光学システムの拡散ライトスポットのRMSの直径は全て120um以下であることから、収差は良好に校正されたことがわかる。
【0036】
図5は本発明の実施例の接眼レンズの光学システムのシステム色収差曲線の一例を示す図である。
図5では、横軸は色収差を、縦軸は視野角を表す。曲線と縦軸との偏差度は色収差の変化を表し、偏差度が大きければ大きいほど色収差は大きいことになる。
図5では、最大半視野角(Maximum Field)は49°であり、色収差は350um以内に制御されている。
【0037】
本文中の「第一」、「第二」等の文言は、情報、装置、モジュール等を区別するために使用され、前後の順序を示すものではない。また、「第一」と「第二」は異なるタイプとは限らない。
【0038】
更に、専門用語「含有」、「包含」もしくはその他のいかなる変形も、非排他的な意味を有する。そのため、一系列の要素を含めた過程、方法、商品及び装置は、その一系列の要素以外に、明確に記載していない他の要素、もしくは、その過程、方法、商品及び装置における固有の要素も含むことになる。より多くの条件が付かない限り、文章「……を含む」で限定される要素には、……といった要素を含む過程、方法、商品及び装置は他の同様な要素も含む可能性がある。
【0039】
上記の内容は単に本発明の実施例に過ぎず、本発明を限定することはない。当業者であれば、本発明にはかなりの変更を加える余地がある。本発明の技術的思想と本質に基づいた変更、同等な変換、改良等は全て、本発明の技術的範囲に含まれるものである。