【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、この課題は、請求項1において特許請求される一般式Iの化合物によって解決される。この化合物のさらなる有利な実施形態および本発明の化合物の有利な使用、ならびにこれらの化合物を含んでなる有機電子部品がさらなる請求項の主題である。
【0006】
請求項1において特許請求される本発明の主題は、一般式I:
EWG1−(T1)
a−(T2)
b−(Z)
c−(T3)
d−(T4)
e−EWG2
の化合物であって、式中、
− パラメータa、b、dおよびeは、それぞれ互いに独立して、0または1であり、
− パラメータcは、1、2、3、4または5であり、
− 一般基Zは、
*−M−N−
*または
*−N−M−
*のように結合された2つの基MおよびNのブロックであり、ここで、
*は、基T1〜T4またはEWG1もしくはEWG2への付加を示し、
− 基Mは、それぞれ互いに独立して、
【化1】
から選択され、
− 基Nは、それぞれ互いに独立して、
【化2】
から選択され、
− MおよびNは、基Mの少なくとも1つのN原子および基Nの少なくとも1つのO原子が、それぞれ2つのC原子を介して互いに連結されるようにそれぞれ結合され、かつ
【化3】
は、一般式Iの化合物における他の基への付加を示し、
− X
1〜X
16は、互いに独立して、NまたはC−Rから選択され、ただし、式3および6の基において、それぞれの場合に、基X
8/X
7およびX
16/X
15からの1つの基は、一般式Iの化合物における他の基への付加
【化4】
を示すことを条件とし、
− それぞれのRは、互いに独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキル(ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、その置換基は、特にハロゲン、例えばFであってよく、かつC
1〜C
20アルキルのC原子は、ヘテロ原子、例えばOまたはSによって置き換えられていてもよい);C
2〜C
20アルケニル、O−アルキル、S−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールであって、これらの基の全てにおいて水素原子が置換されることが可能である、C
2〜C
20アルケニル、O−アルキル、S−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール(置換Oアルキル基が好ましい);CN、NR’R’’(ここで、R’およびR’’は、それぞれ互いに独立して、H、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキル(ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、例えばハロゲンによって置換されていてもよく、かつC
1〜C
20アルキルのC原子は、ヘテロ原子、例えばOまたはSによって置き換えられていてもよい)から選択される)から構成される群から選択され、
− R
1、R
2、R
3は、それぞれ互いに独立して、H、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキル(ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、好ましくはハロゲンによって置換されていてもよく、かつC
1〜C
20アルキルのC原子は、ヘテロ原子、例えばOまたはSによって置き換えられていてもよい);置換または未置換C
2〜C
20アルケニル、置換または未置換アリール、置換または未置換ヘテロアリール、CNから構成される群から選択され、
− 各Qは、互いに独立して、S、O、Se、NR’’’(ここで、R’’’は、R
1〜R
3と同様に定義される)から選択され、
− 電子求引性基EWG1およびEWG2は、互いに独立して、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性基であり、
− 基T1、T2、T3およびT4は、それぞれ互いに独立して、
【化5】
から選択され、かつ
−
【化6】
は、一般式Iの化合物における他の基への付加を示し、
− R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、基:H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、C
2〜C
20アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、例えばハロゲンによって置換されていてもよく、式Iの化合物中に置換基R
13が存在する場合、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間の環閉鎖が可能であり、ただし、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間において、それぞれの場合に式11または式11
*からの二重結合が位置することが可能であることを条件とし、
− W
1〜W
8は、それぞれ互いに独立して、N、CRから選択され、ここで、Rは、上記で定義された通りであり、
− X
17〜X
27は、互いに独立して、C−Rから選択され、ここで、Rは、上記で定義された通りであり、ただし、式12、13および14の基において、それぞれの場合に、基X
20/X
21、X
23/X
24およびX
26/X
27からの1つの基は、一般式Iの化合物における他の基への付加
【化7】
を示すことを条件とし、
− Aは、S、O、NR’’’’、Seであり、
− Qは、S、O、NR’’’’、Seであり、
− 基AおよびQに関して、置換基R’’’’は、それぞれの場合に互いに独立して、H、CN、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキル(ここで、C
1〜C
20アルキルのH原子は、置換されていてもよく、特にハロゲン、例えばFによる置換があってもよい);C
2〜C
20アルケニル、O−アルキル、S−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、アルキニル、置換または未置換アリール、置換または未置換ヘテロアリールから選択される、化合物である。
【0007】
驚くべきことに、本発明の化合物の場合、ドナーブロックZにおける一般構造要素により、少なくとも1つの基Mおよび1つの基Nは、基Mの少なくとも1つのN原子および基Nの1つのO原子が、それぞれ2つのC原子を介して互いに連結されるようにそれぞれ結合され、これらの化合物は、広域にかつ強く、放射線、特に光を吸収し、有機光活性部品における高められた効率を導くことが可能なものであることが確認された。さらに、これらの化合物は、強化された電荷キャリア移動性も有し、したがって、本発明の化合物を含んでなるトランジスタなどの有機電子部品は、改善された電気的価値を示すことも可能である。
【0008】
本発明の化合物は、特に電荷キャリア輸送層、例えばp−導電性材料として使用され得る。吸収スペクトルおよび発光スペクトルは、より低いUVから開始して赤外線スペクトル域まで延在し得る。
【0009】
上記の少なくとも1つの基Mは、次の一般式1〜3:
【化8】
の、少なくとも1つのN原子を有するピロール構造または縮合ピロールスカフォードから選択される。
【0010】
この基Mは、次の一般式3〜5:
【化9】
の、少なくとも1つのO原子を有するフラン構造または縮合フランスカフォードから選択される少なくとも1つの基Nに直接連結する。
【0011】
ここで、中央の基Zにおいて、パラメータcが>1である場合、M−Nおよび/またはN−Mブロックから構成される複数の指標群の連続、例えば、−M−N−M−N−M−N−
*、
*−M−N−N−M−M−N−
*または
*−N−M−N−M−N−M−N−M−
*が存在し得ることも可能である。
【0012】
この構造的特徴(
*−M−N−
*)
cまたは(
*−N−M−
*)
cを基準にして、本化合物は、上記の構造要素を有さない本発明の化合物ではない化合物と比較して、好ましくは可視スペクトル域において高い光学密度、特に吸収スペクトルにおける光学密度上での高い積分を有する。「積分」とは、ここで、吸収スペクトルにおける曲線より下の面積含有量を意味し、これは、有機感光性材料として材料の適合性のために重要な特徴である。
【0013】
一般式Iの本発明の化合物は、常に存在する電子ドナー基Zに加えて、さらなる電子ドナー基T1、T2、T3およびT4を有してもよく、それにより、Zを通してすでに存在する共役π−電子系のさらなる拡張がもたらされる。電子ドナー基は、末端電子アクセプター基EWG1およびEWG2によって両側が挾まれている。
【0014】
本発明の化合物は、特に「小分子」と呼ばれるものであり、それは、100〜2000g/モルのモル質量を有し、特に単分散であってよい非ポリマー、オリゴマー有機分子を意味する。
【0015】
電子求引性基EWG1およびEWG2は、好ましくは、互いに独立して、
【化10】
から選択され得、かつ
−
【化11】
は、一般式Iの化合物における基T1〜T4またはZへの付加を示し、
− R
4およびR
12は、それぞれ互いに独立して、H、CN、COORから選択され、ただし、R
4およびR
12は、両方ともHであることはできないことを条件とし、
− Rは、R
1〜R
3の場合において定義されたのと同一の化合物の群から選択され、
− 各R
13は、互いに独立して、基:H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、式Iの化合物中に置換基R
5またはR
6が存在する場合、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間の環閉鎖が可能であり、ただし、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間において、それぞれの場合に式11または式11
*からの二重結合が位置することを条件とし、
− Vは、O、Sであり、
− Yは、O、S、C(CN)
2であり、
− Uは、O、S、C(CN)
2であり、
− R
7およびR
8は、それぞれ互いに独立して、基H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、基EWG1およびEWG2のそれぞれに関して、それぞれのC=C二重結合についてそれぞれの場合にそれぞれ互いに独立して、E−異性体およびZ−異性体の両方が存在し得る。
【0016】
したがって、式7、8および9におけるそれぞれのC=C二重結合に関して、E異性体(「E」=ドイツ語でentgegen=反対;すなわちトランス構造)およびZ異性体(「Z」=ドイツ語でzusammen=一緒;すなわちシス構造)の両方が存在し得、これらの異性体は、C=C二重結合の軸に対する180°の概念的回転によって形成される。これは、例として、式8:
【化12】
の基を使用して説明される。
【0017】
両方の異性体は、互いに別々に存在し得、C=C二重結合に対する概念的回転によって(二重結合上で矢印によって示される)他方へ変換可能であり、したがって式8の基に関して次の2つの異性体が得られる。
【化13】
【0018】
さらに特に、EWG1は、EWG2と同一であってよい。
【0019】
一般式Iの本発明の化合物において、アリール基およびヘテロアリール基は、好ましくは、C
5〜C
10アリールおよびC
5〜C
10ヘテロアリール基であってよい。置換基は、水素以外の全ての原子および原子団であると理解される。考慮された置換基としては、特にハロゲン、例えばフッ素、またはC
1〜C
5アルキル基が含まれ、それは順番に置換されてもよい。O−アルキル、S−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニルおよびアルキニル基は、それぞれC
1〜C
20基、好ましくはC
1〜C
5基であってよい。
【0020】
本発明の式Iの化合物の環式または開鎖C
1〜C
20アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってよく、好ましくはC
1〜C
5アルキル基である。これらのアルキル基の非隣接および非末端C原子は、ヘテロ原子によって置き換えられてもよい。
【0021】
「ヘテロ原子」は、式Iの化合物の意味において、特にO、S、Se、または置換基R’’’’’がすでに上記された置換基R
1〜R
3と同様に定義されるNR’’’’’を意味する。
【0022】
【化14】
によって示される個々の基の結合位置は、式Iの化合物における他の基へのそれぞれの基の付加点を特徴付ける。換言すれば、例えば、式Iの化合物の電子求引性基EWG1に関して、ドナー基T1(a=1)もしくはT2(a=0およびb=1)、またはパラメータaおよびbが両方とも0である場合、ドナー基Zへの付加である。
【0023】
これらの有機材料は、印刷、結合、コーティング、蒸着または別の様式で薄フィルムの形態でまたはホイルへと小体積で適用される。薄層の製造のために考察された方法は、全てガラス、セラミック支持体または半電導性支持体上でのエレクトロニクスのためにも使用される方法である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態に従って、式Iの化合物では、c=1であり、一般式
EWG1−(T1)
a−(T2)
b−Z−(T3)
d−(T4)
e−EWG2
である。
【0025】
本発明者らは、1つのドナーブロックZが、構造上異なる化合物と比較して増加した光学密度を得るために十分であることを確認した。
【0026】
さらに、電子求引性基EWG1およびEWG2は、互いに独立して、次の式7:
【化15】
の基であってよい。
【0027】
この種類の電子求引性基EWG1およびEWG2は、蒸着によって基体に特に効果的に適用されることが可能である式Iのオリゴマー化合物を導く。特に好ましくは、R
4およびR
12はCNであり、したがって、特に強電子求引性基ジシアノ−ビニレンがもたらされる。さらに、置換基R
13は、好ましくはHであり得る。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、c=1であり、一般式
EWG1−(T1)
a−(T2)
b−Z−(T3)
d−(T4)
e−EWG2
(式中、Z=
*−M−N−
*または
*−N−M−
*である)のものである式Iの化合物は、式1:
【化16】
の基Mを有する。
【0029】
さらなる縮合芳香族π−電子系を有さないドナーブロックMに関する、これらの単純なピロール構造単位は、それらが同様にドナー基Nを有する場合、本発明の化合物に関する放射の吸収における有意な増加をすでに導く。しかしながら、例えば、インドールなどのピロール、または一般式2もしくは3によって変換された他の化合物を含有するドナーブロックMとして縮合環系を使用することも可能である。
【0030】
「置換された」および「置換基」という用語は、本発明の意味において、1つ以上のH原子が他のいずれかの原子団または別の原子によって交換されたことを意味すると解釈されるべきである。この意味での「置換基」は、特にハロゲン、または擬似ハロゲン、例えばフッ素またはCN、また、アリール基、例えばフェニル、またはアルキル基、例えばC
1〜C
6アルキル基であってよい。
【0031】
一般式IのこのドナーブロックMにおける一般基および置換基は、次によって定義されてよい。
− X
1およびX
2は、互いに独立して、C−Rから選択され、ここで、それぞれのRは、互いに独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択される。
【0032】
構造断片ZにおけるさらなるドナーブロックNは、次の式4:
【化17】
の一般基であってよい。
【0033】
さらなる縮合芳香族π−電子系を有さないドナーブロックNに関する、これらの単純なピロール構造単位は、それらが同様にドナー基Mも有する場合、本発明の化合物に関する放射の吸収における有意な増加をすでに導く。しかしながら、例えば、ベンゾフランなどのフラン、または一般式5または6によって変換された他の化合物を受け取る縮合ドナーブロックを使用することも可能である。
【0034】
式4中の一般基X
9およびX
10は、好ましくは、互いに独立して、C−Rから選択され得、ここで、それぞれのRは、互いに独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択される。
【0035】
式Iの本発明の化合物のドナー領域の共役π−電子系は、少なくとも1つのさらなるドナーブロックT1、T2、T3またはT4の組み込みにより、かつ対応して式Iにおけるこれらのドナーブロックと関連するパラメータa、b、dまたはeを連続的に1に設定することにより、ドナーブロックZを超えて拡張され得る。
【0036】
特に、aは、1であってよく、その場合、基T1は、好ましくは、式10および/または11:
【化18】
の基から選択されてよい。
【0037】
式10に関して、特にA=SまたはOが適用され得る。
【0038】
さらに、式10において、X
17およびX
18は、C−Rであり得、ここで、Rは、それぞれの出現において独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択され、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、化合物中に置換基R
5およびR
6が存在する場合、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間の環閉鎖が可能であり、ただし、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間において、式11または式11
*からの二重結合が位置することを条件とする。
【0039】
ドナーブロックT2が存在する場合、bは、1であり、かつT2は、好ましくは、式10
【化19】
の一般基である。
【0040】
式10において、好ましくは、AはSまたはOである。さらに、式10において、X
17およびX
18は、C−Rであり得、ここで、Rは、それぞれの出現において独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択される。
【0041】
ドナーブロックT3が存在する場合、dは、1であり、かつ基T3は、好ましくは、式10または11:
【化20】
(式10中、A=SまたはOが当てはまり得る)の基から選択される。
【0042】
式10において、特に、X
17およびX
18は、C−Rであり得、ここで、Rは、それぞれの出現において独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択され、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、化合物中に置換基R
5およびR
6が存在する場合、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間の環閉鎖が可能であり、ただし、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間において、式11または式11
*からの二重結合が位置することを条件とする。
【0043】
T3と同様に、e=1であるT4は、好ましくは、式10または11の基から選択されてよく、この場合、これらの式に関する一般基および置換基は、好ましくはT3の場合と正確に同様に選択される。
【0044】
本発明者らは、特に、フランまたはチオフェン残基であり得るさらなる複素環基の存在、ならびにまた、好ましくは電子求引性基EWG1および/またはEWG2の少なくとも1つに隣接して位置するが、複素環基と中央ドナーブロックZとの間に位置していてもよい二重結合の存在により、すでに記載された有利な特性を有する本発明のさらなる分子を調製することが可能であることを確認した。
【0045】
さらに、二重結合(式11または式11
*)は、電子求引性基EWG1およびEWG2の両方に隣接して存在し得る。
【0046】
また、式11または11
*の基R
5と、電子求引性基EWG1および/もしくはEWG2の式7の基R
13との間、または式11もしくは11
*の基R
6と式7のR
13との間の環閉鎖が可能であり、ただし、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間において、式11からの二重結合が位置することを条件とし、環閉鎖は、特に、任意選択的に置換されているシクロペンテニル環の形態または任意選択的に置換されているシクロヘキセニル環の形態で存在する(例えば、表1の本発明の化合物1および2を参照されたい)。
【0047】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の化合物は、基ZおよびT1〜T4に関して特に好ましいドナーブロックを有し、一般構造式II:
【化21】
が得られる。
【0048】
置換基および一般基は、本明細書中にすでに説明された様式で定義されてよい。式IIに関して、次の定義が好ましいが、最も一般的な形態において、置換基および一般基に関して有効な定義は、式Iの化合物に関して定義されたものであり、
− Aは、OまたはSであり、
− X
17、X
18、X
1、X
2、X
9およびX
10は、互いに独立して、C−Rであり、ここで、Rは、それぞれの出現において独立して、H、ハロゲン、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから構成される群から選択され、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立して、H、CN、F、アリール、ヘテロアリール、C
2〜C
20アルケニル、アルキニル、分枝鎖または直鎖の環式または開鎖C
1〜C
20アルキルから選択され、ここで、C
1〜C
20アルキルの水素原子は、置換されていてもよく、置換基R
5およびR
6が存在する場合、それらは、R
5とR
13との間またはR
6とR
13との間に環閉鎖を形成し得、
− パラメータa、b、dおよびeの少なくとも1つは、1であり、かつこれらのパラメータの全てが1であることも可能であり、好ましくは、パラメータの少なくとも1つが0であり、例えば、T4であるが、他の全てのパラメータは1であり、
− R
4およびR
12は、それぞれ互いに独立して、HおよびCNから選択され、ただし、R
4およびR
12は、両方ともHであることはできないことを条件とする。
【0049】
本発明のさらなる態様において、上記の本発明の化合物の全てが有機電子部品で使用可能である。
【0050】
本発明の化合物の特に強い吸収の観点において、励起子は、これらの化合物を含んでなる層において特に良好な効果へと形成され、したがって、これらの化合物を含んでなる有機光活性部品において、より高い曲線因子FF、改善された開路電圧V
ocおよび改善された短絡電流密度J
scが導かれる。他の有機電子デバイスでは、より良好な電子的価値が同様に本発明の化合物の高められた電荷キャリア輸送特性の観点から予想される。
【0051】
「有機電子部品」という用語は、導電性または半導体材料を使用して製造することができる全ての電子部品を意味し、例は、有機電界効果トランジスタなどのトランジスタ、有機発光部品、有機光活性デバイスであり、その中で、照射によって光活性層中で励起子(電子−正孔対)が形成されることが可能であるもの、例えば、光検出器または有機太陽電池である。
【0052】
これらの有機電子部品は、一般に、それらの間に配置された有機機能層を有する電極および反対電極を有する。この有機機能層は、正孔(p−導電性)輸送または電子(n−導電性)輸送などの電荷キャリア輸送機能などの有機部品の電子操作のために重要な機能を実施し得る。さらに、有機機能層は、正孔(正電荷)および電極(負電荷)の再結合を通して、電圧が電極および反対電極に適用されるとき、放射、例えば光を放出する発光層も含んでなり得る。有機機能層は、励起子(電子−正孔対)が、放射、例えば光、またはUV放射またはIR放射の形態で照射時に形成される光活性層であってもよい。有機光活性層により、平面ヘテロ接合と呼ばれるものが形成され得、そこでは、特に、平面p−導電性層は、平面n−導電性相に隣接し、p−導電性層またはn−導電性層のいずれかにおいて照射によって形成された励起子は、2層間の境界面において正孔および電子に分離されることができる。さらに、光活性層は、バルクヘテロ接合と呼ばれるものも含んでなり得、そこでは、p−導電性およびn−導電性材料は相互侵入網目の形態で互いの中に移行し、再び、照射によって形成された励起子の分離がp−導電性およびn−導電性材料間の境界面において生じる。
【0053】
励起子は、電気的に中性の励振状態、電子−正孔対であり、これは、次いで、さらなるステップにおいて、p−n接合において電子および正孔へと分離する。したがって、分離は、電流流動に寄与する自由電荷キャリア中に生じる。ここでの制限因子は、半導体のバンドギャップのサイズであり、したがって、吸収されることができる光子のみがそのバンドギャップより大きいエネルギーを有するものである。光は、常に、自由電荷キャリアではなく励起子のみを生じ、したがって、低い再結合拡散は、光電流のレベルのために重要な成分である。ここでの励起子拡散長さは、光の典型的な浸透深さを超えなければならず、したがって、可能な限り大きい光の部分が電気的に利用されることができる。
【0054】
一般的な有機太陽電池に関する文献から既知の構成は、例えば、pinまたはnipダイオードから構成され[Martin Pfeiffer,“Controlled doping of organic vacuum deposited dye layers:basics and applications”,PhD thesis TU−Dresden,1999および国際公開第2011/161108A1号パンフレット]:pin太陽電池は、キャリア/基体、それに続いて通常透明なベースコンタクト、p層、i層、n層およびトップコンタクトからなる。nip太陽電池は、キャリア/基体、それに続いて通常透明なベースコンタクト、n層、i層、p層およびトップコンタクトからなる。
【0055】
ここで、nおよびpドーピングは、それぞれ熱平衡状態において、それぞれ自由電子および正孔の密度の増加を導くドーピングを意味する。したがって、そのような層は、主に輸送層として理解される。nまたはp層が少なくとも部分的に名目上未ドープであり、物理的特性(例えば、異なる可動性)のみに基づいて、または異なる不純物(例えば、合成または層製造から残る残渣)に基づいて、または環境の影響の結果として(例えば、隣接層、金属または他の有機材料の内部拡散、周囲大気からの気体ドーピング)、好ましくはn−導電性またはp−導電性を有することも可能である。これに関連して、そのような層は、好ましくは輸送層として理解されるべきである。
【0056】
励起子は、電子および正孔が互いから分離される、この種類の境界面へと拡散によって通過する。電子を受け取る材料はアクセプターと呼ばれ、正孔を受け取る材料はドナーと呼ばれる。
【0057】
「i層」という用語は、未ドープであるか、または本質的な層を特徴付ける。1つ以上のi層は、1つの材料からなってよく(平面ヘテロ接合)、または他に相互貫入網目構造を有するバルクヘテロ接合と呼ばれる2つ以上の材料の混合物からなってよい。
【0058】
有機pinタンデム電池およびpin複数電池も、文献(独国特許第102004014046号明細書)から既知である。これに関連して、国際公開第2011161108A1号パンフレットは、少なくとも1つの有機層系が電極間に配置されている電極および反対電極を有し、かつ少なくとも2つの光活性層系およびその光活性層系間の同一電荷キャリア型の少なくとも2つの異なる輸送層系も有し、輸送層系が、エネルギーに関して、2つの光活性層系の1つと適合し、かつ他の輸送層系が透明に実施されることを特徴とする光活性部品の形態での実施の提案を開示する。
【0059】
有機電子部品は、さらなる金属酸化物層も含んでなってよい。
【0060】
本発明の態様は、図面および例示的な実施形態を使用して以下でより詳細にさらに説明される。