(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683824
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】気体膨張装置および気体を膨張させる方法
(51)【国際特許分類】
F01C 1/16 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
F01C1/16 E
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-544470(P2018-544470)
(86)(22)【出願日】2017年2月13日
(65)【公表番号】特表2019-511663(P2019-511663A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】BE2017000011
(87)【国際公開番号】WO2017143408
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年8月31日
(31)【優先権主張番号】62/298,682
(32)【優先日】2016年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】2017/5006
(32)【優先日】2017年1月9日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】エーマン ヘンリク
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0034684(US,A1)
【文献】
実開昭63−202701(JP,U)
【文献】
特開昭60−056104(JP,A)
【文献】
特開昭63−215804(JP,A)
【文献】
特開平06−026309(JP,A)
【文献】
米国特許第04008573(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体又は気‐液混合物を膨張させる気体膨張装置(1)であって、前記気体膨張装置(1)は、膨張させるべき気体のための入口ポート(4)および膨張させるべき気体のための入口管(5)を備える気体膨張要素(2)を有し、前記入口管(5)は、前記入口ポート(4)に連結されており、前記気体膨張装置(1)は、液体の注入のための第1の液体注入箇所(13)を有し、前記第1の液体注入箇所(13)は、前記入口ポート(4)と同一高さ位置にあり又は前記入口ポート(4)から見て上流側の位置にあり、前記気体膨張装置(1)は、液体を前記気体膨張要素(2)内で膨張した気体から分離する液体分離器(7)を備え、前記第1の液体注入箇所(13)は、前記液体分離器(7)の液体出口(9)に連結され、
前記第1の液体注入箇所(13)は、前記液体の注入方向が上流側に向くように位置決めされている、気体膨張装置。
【請求項2】
前記液体は、油である、請求項1記載の気体膨張装置(1)。
【請求項3】
前記気体膨張要素(2)は、二軸スクリュー気体膨張要素である、請求項1又は2記載の気体膨張装置(1)。
【請求項4】
前記気体膨張装置(1)は、前記第1の液体注入箇所(13)への前記液体の流れを開始させたりオフに切り換えたりするための手段(12)を備えている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の気体膨張装置(1)。
【請求項5】
前記気体膨張装置(1)は、前記手段(12)を制御するための制御ユニット(15)を有する、請求項4記載の気体膨張装置(1)。
【請求項6】
前記気体膨張要素(2)は、発電機(3)に結合されており、前記気体膨張要素(2)は、前記発電機(3)を駆動することができ、前記制御ユニット(15)は、前記発電機(3)にデータ伝送方式で連結されている、請求項5記載の気体膨張装置(1)。
【請求項7】
前記気体膨張装置(1)は、前記液体を前記入口ポート(4)から見て下流側の位置で前記気体膨張要素(2)中に注入するよう構成された第2の液体注入箇所(14)を有する、請求項4〜6のうちいずれか一に記載の気体膨張装置(1)。
【請求項8】
前記気体膨張装置(1)は、前記液体のためのリザーバ又は供給管を備え、前記第1の液体注入箇所(13)と前記第2の液体注入箇所(14)は、両方共、前記供給管又は前記リザーバに連結されている、請求項7記載の気体膨張装置(1)。
【請求項9】
前記手段(12)は、3つの連結ポートを備えた三方弁から成り、前記連結ポートのうちの第1の連結ポートは、前記供給管又は前記リザーバに連結され、他の連結ポートは各々、前記液体注入箇所(13,14)の各々にそれぞれ連結されている、請求項8記載の気体膨張装置(1)。
【請求項10】
気体を膨張させる方法であって、前記気体を請求項1〜9のうちいずれか一に記載の気体膨張装置(1)によって案内し、液体を例外的な作動条件の検出時にのみ前記第1の液体注入箇所(13)を経て注入する、方法。
【請求項11】
過剰状態にある超過中のトルクの第1のしきい値が第1の例外的な作動条件を指示する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記気体膨張装置(1)の作動停止を必要とする非常事態の発生が第2の例外的な作動条件を指示する、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体膨張装置および気体を膨張させる方法に関する。なお、以下において気体という用語とガスという用語は、区別なく用いられる。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーのための発電機に結合された体積膨張要素における多相流体膨張のための用途は、様々な特性および制限をもたらす。
一例が中国公開特許第204,060,830号明細書中に見受けられ、この中国公開特許明細書には圧縮空気エネルギー貯蔵システムの記載が見受けられる。このシステムは、圧縮機、膨張機械、油リザーバ、高圧空気貯蔵タンクおよび油噴射器を含む。
【0003】
幾つかの
既知の用途では、圧力および気体組成は、経時的に比較的安定しており、それにより一定の作動特性および低い制御レベルの実現が可能である。
【0004】
他の用途では、作動条件は、実質的に変化する場合があり、その結果、非効率性および/又は信頼性の問題が生じる。
【0005】
幾つかの用途、例えば天然ガスのための減圧ステーションは、一般に、減圧ステーションから見て下流側では一定の圧力を維持するが、上流側では圧力が不定である。下流側の一定の圧力は、最終顧客へのガスの正確な配給のために必要であり、他方、上流側の圧力の変化の具合は、例えば供給部内の変動や制御の不安定さのような要因で決まる。
【0006】
かかる場合、膨張装置によって生じるエネルギーは、入口圧力によって大きな影響を受ける。これには2つの理由がある。第1に、高い入口圧力により、圧力比の増大が生じ、その結果、膨張質量の単位当たりの大きなエンタルピー低下が生じ、第2に、高い入口圧力の結果として、高い気体密度による大きな質量流量が生じる。
【0007】
下流側の圧力を維持することがシステムにとって極めて重要なので、膨張機械は、気体ネットワークの終点での気体に関する瞬時需要に釣り合った質量流量を膨張させることしかできない場合がある。
【0008】
これにより、可変入口圧力方式の体積膨張機械内での入口のところの体積流量の複雑な変動性についての要件が生じる。
【0009】
体積膨張装置内での体積流量を制御するための既存の解決策は、VSD(variable speed drive)、すなわち可変速度駆動装置、入口のところの流量減少、および膨張機械の行程容積を変化させる機械的手段を含む。
【0010】
入口のところの流量減少は、気体の密度を調節すると膨張させる質量流量を制御することができるということを意味している。欠点は、明らかな効率低下であり、と言うのは、膨張装置の圧力比が、稀であるような最大流量を必要とする場合を除き、常時実質的に減少するからである。
【0011】
・行程容積を制御するため、一般的に、膨張機械の行程容量を変化させる可動スリーブ弁又は他の機構体が用いられる。かかる解決策は、極めて効率的であると言えるが、高価であり、しかも設計の複雑さを増し、それにより信頼性を脅かす。
【0012】
・VSDは、膨張後の多量の体積の正確な制御を可能にすると共に高い効率および僅かな設計上の複雑さを維持する。しかしながら、体積膨張機械のトルクは、一般に、速度に対する依存性が僅かであり又はそれどころか逆の依存性を呈する。
【0013】
このことは、VSD発電機が低い速度でかつ高いトルクで安全に作動することができなければならないことを意味している。さらに、これは、体積膨張装置の内部に作用する力が入口圧力によって定められ、生じた動力によっては定められないことを意味している。換言すると、かかる力は、出力シャフト上に生じる機械的トルクで直接左右される。
【0014】
VSD用途では、膨張装置の構造的過負荷の恐れは、入口圧力が上方に向かってに変化する場合に明らかである。寸法が大きめの膨張機械が用いられる場合、効率は、通常の作動条件ではあらゆる入口圧力で悪化する。正確に寸法決めされた膨張装置が用いられる場合、効率は、通常の入口圧力で最適化され、他方、構造的損傷が入口圧力の高いピークで見込まれる場合がある。
【0015】
さらに、例外的に高いトルクおよび低い速度の状況において速度を制御することは、複雑であってかつ費用が高くつく。
【0016】
関連の問題は、速度が高すぎるという問題に対する高価でありかつ複雑な緩和である。制動(ブレーキ)トルクが失われると、膨張機械は、迅速に加速してシステムの信頼性を損ねる危険な作動条件を生じさせ、その結果、下流側の気体ネットワークへの過剰な供給が生じることになる。
【0017】
しばしば用いられる緩和技術は、膨張装置の前に迅速閉鎖弁を用い、その結果、質量流量およびトルクが1秒の何分の一かで効果的に遮断されるようにすることである。
【0018】
かかる迅速閉鎖弁は、膨張装置の回転遅延のために膨張装置の入口のところに一時的な真空を生じさせる。この真空は、膨張機械を停止状態に迅速に制動する。迅速閉鎖弁の使用は、極めて高い過渡的負荷が機械的システムに加わることを意味している。
【0019】
さらに、膨張機械は、これが適正に制御され、再始動し、そして再び電気ネットワークと同期するまで、非作動状態のままである。
【0020】
制動トルクがなくなることは、シャフト連結が壊されていることに起因している場合があり、すると、迅速閉鎖弁による作動停止は、適切である場合がある。しかしながら、これは、電気ネットワークの短時間又は長時間分断、VSDの不安定な速度制御、又はブレーキ発電機の過負荷にも起因している場合がある。
【0021】
例えば補助システムにおける又は非常ボタンによる現実の又は想定される非常事態の検出により、迅速閉鎖弁を用いる必要性が生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
かくして、膨張装置内でのトルクを制限する安全であって信頼性がありかつ迅速なやり方、好ましくはたとえ入口圧力が一時的に止められた場合でも膨張機械の作動時間を無駄にしないで連続的に稼働できる方法の提供が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、気体又は気‐液混合物を膨張させる気体膨張装置であって、気体膨張装置が膨張させるべき気体のための入口ポートおよび膨張させるべき気体のための入口管を備える気体膨張要素を有し、入口管が入口ポートに連結されており、気体膨張装置が液体の注入のための第1の液体注入箇所を有し、第1の液体注入箇所が入口ポートと同一高さ位置にありかつ好ましくは入口ポートから見て上流側の位置にあり、
気体膨張装置は、液体を気体膨張要素内で膨張した気体から分離する液体分離器を備え、第1の液体注入箇所は、液体分離器の液体出口に連結されていることを特徴とする気体膨張装置を提供することによって上述した欠点および他の欠点に対する解決策を提供することにある。
【0024】
その結果、高すぎるトルクが検出されたとき、液体を入口ポートから見て上流側で又は入口ポートと同一高さ位置で気体の流れ中に注入するのが良く、その結果、この液体は、気体と一緒に膨張チャンバに入るようになる。
【0025】
高い速度での作動時、注入された液体は、入口気体に対する制動効果を生じさせる。液体を加速するのに必要なエネルギーは、気体の全圧を減少させ、その結果、気体膨張装置の膨張および体積流入量の圧力比が減少する。その結果、トルクが制限される。
【0026】
低速での作動時、注入された液体は、もし上述のように構成していなければ入口ガスによって占められるチャンバ容積の大部分を満たす。その結果、気体の体積流入量が減少する。圧力比は、保たれたままであるが、質量流量が減少する。その結果、トルクが制限される。
【0027】
さらに、気体膨張装置の急激な作動停止を必要とする非常事態が検出されると、液体を入口ポートから見て上流側で注入するのが良い。
【0028】
すると、液体は、上述したような作用効果をもたらすが、さらに、もしそのようにしなければ短時間で起こる高い速度を実質的に減少させる。これは、膨張装置の前に置かれた保護弁をもしそのようにしない場合の作動速度よりも遅い作動速度で閉鎖可能である。その結果、極めて迅速かつ高価な迅速閉鎖弁は、不必要であり、このために標準の弁を用いることができ、短時間の過負荷の恐れが起こることはなく、気体膨張装置は、非常事態後に迅速に再び作動状態になる。
【0029】
かかる非常事態は、技術的故障、例えばエネルギーが供給されるエネルギーネットワークの切断又は膨張要素と発電機との機械的結合の損失の場合に起こることがあり、これを当業者に知られている多くの仕方で検出することができる。
【0030】
かかる非常事態は、補助装置が正確に又は不正確には、非常信号を出す場合又は非常停止手順が人間の介在によって又はソフトウェアによって始められた場合にも起こることがある。
さらに、気体膨張装置が液体分離器を有しているので、すでに気体から分離された液体、通常は油を用いて第1の液体注入ポートへの供給を行うことができる。
【0031】
好ましい実施形態では、気体膨張装置は、第1の液体注入箇所への液体の流れを開始させたりオフに切り換えたりするための手段を備え、その結果、第1の液体注入箇所を必要に応じて用い又は違ったやり方で使用することができる。
【0032】
好ましくは、これら手段は、これら手段を制御するための制御ユニットに連結され、気体膨張要素は、この膨張要素が発電機を駆動することができるよう発電機に機械的に結合され、制御ユニットは、発電機に連結される。
【0033】
その結果、発電機の作動条件および測定パラメータを用いてかかる手段を制御することができる。
【0036】
好ましくは、気体膨張装置は、液体を入口ポートから見て下流側の位置で気体膨張要素中に注入するよう構成された第2の液体注入箇所を有し、また、気体膨張装置は、液体のためのリザーバ又は供給管を備え、第1の液体注入箇所と第2の液体注入箇所は、両方共、供給管又はリザーバに連結される。
【0037】
その結果、通常すでに冷却および/又は潤滑のために第2の液体注入箇所を経て注入されている同一の液体もまた、第1の液体注入箇所に注入することができ、その結果、膨張装置の複雑さが減少する。
【0038】
好ましくは、第1の液体注入箇所への液体の流れを開始させたりオフに切り換えたりするための手段は、3つの連結ポートを備えた三方弁から成り、連結ポートのうちの第1の連結ポートは、供給管又はリザーバに連結され、他の連結ポートは各々、液体注入箇所の各々にそれぞれ連結される。
【0039】
その結果、作動上、第1の液体注入箇所の使用が望ましいようなものである場合、通常の作動において望ましい第2の液体注入箇所の供給を容易に第1の液体注入箇所にそらすことができる。
【0040】
好ましい実施形態では、第1の液体注入箇所は、液体の注入方向が上流側に向くように位置決めされる。これは、高速での作動時に大きなトルクの発生時に最大制動効果を保証し、と言うのは、次に液体の方向を流れている気体によって逆にしなければならないからである。
【0041】
本発明は更に、気体を膨張させる方法であって、気体を本発明の気体膨張装置によって案内し、気体を例外的な作動条件の検出時にのみ第1の液体注入箇所を経て注入することを特徴とする方法に関する。
【0042】
それにより、過剰状態にある超過中のトルクの第1のしきい値が第1の例外的な作動条件を指示する。
【0043】
このトルクは、発電機および膨張要素の機械的に結合されたトルクのシャフトである。これは、種々の場所で測定でき又は当業者により他の測定値、例えば回転速度および動力から公知の仕方で導き出すことができる。
【0044】
それにより、気体膨張装置の作動停止を必要とする非常事態の発生が、例えば第2の例外的な作動条件を指示する。
【0045】
それにより、例えば超過中の膨張要素の回転速度のしきい値又は超過中のトルクの第2のしきい値もしくは超過中の発生電力の第1のしきい値は、電力の非常事態を指示する。
【0046】
変形例として、本発明は、以下の実施例によって構成できる。
【0047】
〔実施例1〕
気体膨張装置であって、加圧ガスのための入口管に連結された入口ポートを備える気体膨張要素を有し、気体膨張装置は、入口ポートの前に配置された液体注入箇所を有することを特徴とする気体膨張装置。
【0048】
〔実施例2〕
上記気体膨張装置は、液体を入口ポートの後の場所で気体膨張要素内に注入するよう構成された主液体注入箇所を更に有することを特徴とする実施例1記載の気体膨張装置。
【0049】
〔実施例3〕
液体注入箇所と主液体注入箇所は両方共、液体管を経て三方弁の2つの連結ポートに連結され、上記三方弁の第3の連結ポートは、気体膨張要素の出口に連結された液体分離器の液体出口に連結されていることを特徴とする実施例1又は2記載の気体膨張装置。
【0050】
〔実施例4〕
液体注入箇所を経て注入された液体の流れおよび主液体注入箇所を経て注入された液体の流れを制御するための注入制御手段が設けられていることを特徴とする実施例1又は2記載の気体膨張装置。
【0051】
〔実施例5〕
上記制御手段は、三方弁から成ることを特徴とする実施例3又は4記載の気体膨張装置。
【0052】
〔実施例6〕
上記三方弁は、制御装置に連結されていることを特徴とする実施例3記載の気体膨張装置。
【0053】
〔実施例7〕
上記制御装置は、上記気体膨張要素に連結されている発電機に更に連結され、その結果、上記膨張要素が上記発電機を駆動することができるようになっていることを特徴とする実施例6記載の気体膨張装置。
【0054】
〔実施例8〕
実施例1記載の気体膨張装置を作動させる方法であって、上記液体注入箇所を経て液体注入を通常の作動中にオフに切り換えることを特徴とする方法。
【0055】
〔実施例9〕
実施例1記載の気体膨張装置を作動させる方法であって、高速での作動時、上記液体注入箇所経由の上記液体注入は、トルク又は入口圧力が第1のあらかじめ設定されたしきい値を超えた場合に始められることを特徴とする方法。
【0056】
〔実施例10〕
実施例1記載の気体膨張装置を作動させる方法であって、低速での作動時、上記液体注入箇所経由の上記液体注入は、トルク又は入口圧力が第2のあらかじめ設定されたしきい値を超えた場合に始められることを特徴とする方法。
【0057】
〔実施例11〕
実施例1記載の気体膨張装置を作動させる方法であって、通常の作動中、上記液体注入箇所経由の上記液体注入は、かかる液体注入が動力又はトルク限度を下回った場合又は速度限度を超えた場合に始められることを特徴とする方法。本発明は、関節連結された本体のリムの移動量を記録する方法に関する。
【0058】
本発明の特徴を良好に示す意図により、本発明の気体膨張装置の好ましい実施形態および関連方法について、添付の図面を参照して、本発明を何ら制限することなく例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の気体膨張装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
この実施例では、気体膨張装置1は、膨張のために油を注入する方式の二軸スクリュー型天然ガス膨張装置である。
【0061】
しかしながら、本発明は、他形式の体積膨張機械および油および天然ガス以外の流体に同じように利用できる。
【0062】
気体膨張装置1は、
図1に示されているように、二軸スクリュー膨張要素2および発電機3を有し、これらは、互いに機械的に結合されている。
【0063】
膨張要素2は、天然ガスのための入口管5に連結されている天然ガスのための入口ポート4を有する。遮断弁6が入口管5内に設けられている。
【0064】
油と気体を分離する油分離器7が膨張要素2から見て下流側に設けられている。これは、膨張後の気体のための出口8および油のための出口9を有する。
【0065】
油のための出口9は、油ポンプ11を経て三方弁12の第1の連結ポートに連結されている。
【0066】
三方弁12の2つの他の連結ポートは、液体注入箇所に連結されている。
【0067】
より具体的に説明すると、これは、膨張要素2内又は入口管5内に入口ポート4から見てすぐ上流側に取り付けられた第1の液体注入箇所13および入口ポート4から見て下流側に取り付けられた第2の液体注入箇所14に関する。
【0068】
第1の液体注入箇所13は、それにより、気体の流れ方向とは逆の注入方向を有する。
【0069】
気体膨張装置1は、遮断弁6、三方弁12および発電機3にデータ伝送方式で連結された電子制御ユニット15を更に備えている。
【0070】
気体膨張装置1の作動は、単純であり、次の通りである。
【0071】
通常の作動状態の場合、すなわち、所望のトルクよりも高いトルクが検出されない場合、三方弁12は、全ての油が第2の液体注入箇所14に送られるよう設定されている。この場合、この作動は、伝統的な気体膨張装置に類似している。
【0072】
これは、
図2に概略的に示されている。横軸は、膨張要素2のロータの回転の進捗状況を指示している。縦軸は、膨張チャンバの容積を指示している。
【0073】
それにより、入口ポート4は、AおよびBで指示された箇所相互間で膨張チャンバに対して開かれている。入口ポート4を閉じた直後、油が箇所Cから箇所Dまでの区間によって概略的に指示された第2の液体注入箇所14経由で注入される。
【0074】
これは、このように行われ、と言うのは、スクリュー膨張装置の費用効果の良い用途に関し、ロータの周辺速度ができるだけ高くなければならないからである。それゆえ、膨張機械の入口への油注入は、膨張チャンバの最適充填を減少させる摩擦損失を制限するよう最小限に抑えられなければならない。それゆえ、油注入は、一般に、入口ポートが閉じられた後、油が膨張チャンバのガス充填プロセスに対してそれ以上の影響を及ぼさない場合、油が膨張チャンバ内に入るよう制御される。
【0075】
注入された油の良好な作用効果を得るために、油は、入口ポートが閉じられた直後、高圧で注入される場合が多い。油圧力は、一般に、チャンバ圧力が入口ポートの閉鎖直後に減少するという事実にもかかわらず、配管の入口のところでの気体圧力よりも高い。
【0076】
第1の例外的な作動条件では、すなわち、所望レベルよりも高いトルクが制御ユニット15によって発電機3内で測定され又は計算された場合、三方弁12は、全ての油が第1の液体注入箇所13に流れるよう設定されている。
【0077】
これは、2つの作用効果を有する。第1の作用効果は、注入時、油が通り過ぎて流れることに起因して絞りおよび方向変化を生じ、その結果、気体の有効入口圧力が減少するということである。第2の作用効果は、油が膨張要素の膨張チャンバ内を流れ、その結果、気体のためのスペースがほとんどなくなることにある。第1の作用効果における高い回転速度では、第1の作用効果が著しく優勢であり、低い回転速度では、第2の作用効果が著しく優勢である。
【0078】
両方の場合、トルクは、気体膨張装置1の過負荷が阻止されるよう減少する。
【0079】
第2の例外的な作動条件では、非常事態の検出時、三方弁12はまた、全ての油が上述の作用効果をもって第1の液体注入箇所13に流れるよう設定され、加うるに、遮断弁6は、制御ユニット15によって閉じられ、その結果、気体膨張装置1は、気体膨張装置1への損傷を全く生じさせない仕方で停止状態になる。
【0080】
上記において、下流側および上流側という用語は、気体の流れ方向に関する。
【0081】
本発明は、一例として説明すると共に図面に示された実施形態には何ら限定されず、本発明の気体膨張装置および方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態および寸法で実現できる。