特許第6683832号(P6683832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683832
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】熱交換器用コアのスタック装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20200413BHJP
   B23P 19/04 20060101ALI20200413BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B23P21/00 301B
   B23P19/04 H
   F28F9/26
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-550974(P2018-550974)
(86)(22)【出願日】2016年11月18日
(86)【国際出願番号】JP2016084335
(87)【国際公開番号】WO2018092279
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 圭一
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−176754(JP,A)
【文献】 特開2006−123084(JP,A)
【文献】 特開2002−206875(JP,A)
【文献】 特開平10−263952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 21/00
B23P 19/04
F28F 9/26
B23P 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換器用コアと第2熱交換器用コアとを密着させた状態で起立支持可能なコア起立支持部と、
前記コア起立支持部に起立支持された前記第1熱交換器用コアを前記第2熱交換器用コアと密着させる方向に保持可能であって、前記第2熱交換器用コアとの密着面への当接体が短辺となる、J字型に形成された第1コア保持体と、前記コア起立支持部に起立支持された前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを密着させた方向に保持可能な第2コア保持体と、前記第1コア保持体および前記第2コア保持体を前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアの起立方向において前記密着面と直交する側面に対して接離動させる保持体移動手段と、を備えたコア保持部と、
搬送対象である前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの底面を支持する底面支持体と、当該底面支持体に保持させた前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向において前記密着面と直交する側面に対して接離動すると共に、前記底面支持体に保持させた前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを互いに密着させる方向に保持可能であって、前記コア起立支持部への前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの搬送時における前面側への当接体が短辺となる、J字型に形成された第3コア保持体と、移動機構と、を備えたコア搬送部と、
前記コア保持部および前記コア搬送部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記コア搬送部に前記第1熱交換器用コアを前記コア起立支持部に搬送させると共に、前記第1熱交換器用コアを前記コア起立支持部に起立支持させる動作と、
前記保持体移動手段に前記第1コア保持体を前記第1熱交換器用コアに接近させると共に、前記第1コア保持体により前記第1熱交換器用コアを保持させる動作と、
前記コア搬送部に前記第2熱交換器用コアを前記コア起立支持部に搬送させる動作と、
前記保持体移動手段に前記第1コア保持体の前記当接体の前記第1熱交換器用コアへの当接状態を解除させるべく前記第1熱交換器用コアから前記第1コア保持体を離反させると共に、前記第3コア保持体の前記当接体の前記第2熱交換器用コアへの当接状態を解除させるべく前記第2熱交換器用コアから前記第3コア保持体を離反させる動作と、
前記移動機構に前記第2熱交換器用コアを前記第1熱交換器用コアに密着させる動作と、
前記保持体移動手段に前記第2コア保持体を前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアに接近させると共に、前記第2保持体により前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを密着させた状態でスタック方向に保持させる動作と、
を実行させることを特徴とする熱交換器用コアのスタック装置。
【請求項2】
前記コア搬送部は、前記コア起立支持部の直上位置まで前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを搬送した後、前記底面支持体を前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向と交差する方向に退避させることにより前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを前記コア起立支持部に起立支持させることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用コアのスタック装置。
【請求項3】
前記コア搬送部は、前記コア起立支持部に起立支持されている前記第1熱交換器用コアの起立面に対して、前記底面支持体が搬送方向の先頭側になるように前記第2熱交換器用コアを傾斜させた状態で前記コア起立支持部に搬送することを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器用コアのスタック装置。
【請求項4】
前記第3コア保持体は、前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向に複数配設されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の熱交換器用コアのスタック装置。
【請求項5】
前記コア起立支持部は、前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを3体以上起立支持可能に形成されていて、
前記第1コア保持体と前記第2コア保持体の少なくとも1つは、保持厚さ寸法が変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱交換器用コアのスタック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器用コアをスタックさせるために用いられる熱交換器用コアのスタック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器用コアは、複数枚の熱交換器用フィンに熱交換チューブを挿通させ、適宜補強材により補強されることにより形成される。近年においてはこのような熱交換器用コアを複数スタックさせることにより、熱交換効率を高めた熱交換器用コアも採用されるようになっている。
【0003】
このように複数の熱交換器用コアをスタックさせてなる熱交換器用コアを製造する装置としては、例えば、特許文献1に開示されているような構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開特許公報 特開2006−123084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている熱交換器用コアの製造装置は、第1の熱交換器用コアと第2の熱交換器用コアを併設して一体的に仮組するものであり、第1の熱交換器用コアと第2の熱交換器用コアのそれぞれを、熱交換器用フィンに熱交換チューブを挿通させるところから始めるため、既存の熱交換器用フィンの製造装置を置き換えなければならず、既存の製造装置を有効利用することができないといった課題を有している。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、従来型の熱交換器用コアで製造した熱交換器用コアをスタック型の熱交換器用コアに組み立てすることが可能な熱交換器用コアのスタック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、第1熱交換器用コアと第2熱交換器用コアとを密着させた状態で起立支持可能なコア起立支持部と、前記コア起立支持部に起立支持された前記第1熱交換器用コアを前記第2熱交換器用コアと密着させた状態で保持可能であって、前記第2熱交換器用コアとの密着面への当接体が短辺となる、J字型に形成された第1コア保持体と、前記コア起立支持部に起立支持された前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを密着させた状態で保持可能な第2コア保持体と、前記第1コア保持体および前記第2コア保持体を前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアの起立方向において前記密着面と直交する側面に対して接離動させる保持体移動手段と、を備えたコア保持部と、搬送対象である前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの底面を支持する底面支持体と、当該底面支持体に保持させた前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向において前記密着面と直交する側面に対して接離動すると共に、前記底面支持体に保持させた前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを互いに密着させる方向に保持可能であって、前記コア起立支持部への前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの搬送時における前面側への当接体が短辺となる、J字型に形成された第3コア保持体と、移動機構と、を備えたコア搬送部と、前記コア保持部および前記コア搬送部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記コア搬送部に前記第1熱交換器用コアを前記コア起立支持部に搬送させると共に、前記第1熱交換器用コアを前記コア起立支持部に起立支持させる動作と、前記保持体移動手段に前記第1コア保持体を前記第1熱交換器用コアに接近させると共に、前記第1コア保持体により前記第1熱交換器用コアを保持させる動作と、前記コア搬送部に前記第2熱交換器用コアを前記コア起立支持部に搬送させる動作と、前記保持体移動手段に前記第1コア保持体の前記当接体の前記第1熱交換器用コアへの当接状態を解除させるべく前記第1熱交換器用コアから前記第1コア保持体を離反させると共に、前記第3コア保持体の前記当接体の前記第2熱交換器用コアへの当接状態を解除させるべく前記第2熱交換器用コアから前記第3コア保持体を離反させる動作と、前記移動機構に前記第2熱交換器用コアを前記第1熱交換器用コアに密着させる動作と、前記保持体移動手段に前記第2コア保持体を前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアに接近させると共に、前記第2コア保持体により前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを密着させた状態で保持させる動作と、を実行させることを特徴とする熱交換器用コアのスタック装置である。
【0008】
本構成を採用することによって、従来の熱交換器用コアの製造装置により製造された熱交換器用コアを複数スタックさせた状態で次の工程に送ることができる。
【0009】
また、前記コア搬送部は、前記コア起立支持部の直上位置まで前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを搬送した後、前記底面支持体を前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向と交差する方向に退避させることにより前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアを前記コア起立支持部に起立支持させることが好ましい。
【0010】
これにより、スタックさせる熱交換器用コアをコア起立支持部に起立させる際において熱交換器用コアを丁寧に起立させることができ、熱交換器用コアの破損を防ぐことができる。
【0011】
また、前記コア搬送部は、前記コア起立支持部に起立支持されている前記第1熱交換器用コアの起立面に対して、前記底面支持体が搬送方向の先頭側になるように前記第2熱交換器用コアを傾斜させた状態で前記コア起立支持部に搬送することが好ましい。
【0012】
これにより、第1熱交換器用コアが起立支持されているコア起立支持部に、第2熱交換器用コアを搬送する際に、第1熱交換器用コアを保持している第1コア保持体と、第2熱交換器用コアを保持している第3コア保持体との干渉を防ぐことができ、第2熱交換器用コアの搬送を円滑に行うことができる。
【0013】
また、前記第3コア保持体は、前記第1熱交換器用コアまたは前記第2熱交換器用コアの起立方向に複数配設されていることが好ましい。
【0014】
これにより、横向きに配設されている第1熱交換器用コアまたは横向きに配設されている第2熱交換器用コアを安定した状態で起立支持部に起立支持させるように、第1熱交換器用コアまたは第2熱交換器用コアの姿勢変化をさせることができる。
【0015】
また、前記コア起立支持部は、前記第1熱交換器用コアおよび前記第2熱交換器用コアを3体以上起立支持可能に形成されていて、前記第1コア保持体と前記第2コア保持体のうちの少なくとも1つは、保持厚さ寸法が変更可能に設けられていることが好ましい。
【0016】
これにより、3体以上の熱交換器用コアをスタック(積層)させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱交換器用コアのスタック装置によれば、従来型の熱交換器用コアで製造した熱交換器用コアをスタック型の熱交換器用コアに組み立てすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態にかかる熱交換器用コアのスタック装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図1中のコア搬送部部分の概略構成を示す正面図である。
図3図1中のコア搬送部部分の概略構成を示す平面図である。
図4】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その1である。
図5】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その2である。
図6】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その3である。
図7図6に対応する平面図である。
図8】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その4である。
図9図8に対応する平面図である。
図10】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その5である。
図11図10に対応する平面図である。
図12】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その6である。
図13図12に対応する要部斜視図である。
図14図12に対応する平面図である。
図15】第1熱交換器用コアに第2熱交換器用コアをスタックさせる際における経過状態を示す要部側面図その7である。
図16図15に対応する要部斜視図である。
図17図15に対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態にかかる熱交換器用コアのスタック装置(以下、単にスタック装置と称する)を図面に基づいて説明する。本実施形態にかかるスタック装置10は、図1に示すように、コア起立支持部20と、コア保持部30と、コア搬送部40と、コア保持部30およびコア搬送部40の動作を制御する動作制御部50とを具備している。なお、図1はコア搬送部40が第2熱交換器用コア70をコア起立支持部20に搬送した状態を示すものであり、コア搬送部40の当初位置は図1中の矢印Bの起点側位置となる。また、説明の便宜上、図1は本実施形態におけるスタック装置10の構成の一部について表示を省略している。
【0020】
本実施形態におけるスタック装置10がスタックさせる第1熱交換器用コア60は、板厚方向に複数枚積層させた熱交換器用フィンにヘアピン状の熱交換チューブ62を挿通させてなるものである。第2熱交換器用コア70も第1熱交換器用フィン60と同様に、板厚方向に複数枚積層させた熱交換器用フィンにヘアピン状の熱交換チューブ72を挿通させてなるものである。なお、本実施形態においては図示を簡略化するため、第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70において、板厚方向に複数枚積層させた熱交換器用フィンの図示は省略している。
【0021】
コア起立支持部20は、ベース22とベース22の上面に配設されたソケット体24を備えている。コア起立支持部20のソケット体24に第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の底面部分が差し込まれることで、第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の起立支持が可能になっている。ここでは、第1熱交換器用コア60におけるヘアピン状の熱交換チューブ62のU字形成部分が位置する部分と、第2熱交換器用コア70におけるヘアピン状の熱交換チューブ72のU字形成部分が位置する部分をそれぞれの底面部としてソケット体24に差し込まれるようになっている。
【0022】
コア保持部30は、ベース31とベース31に立設された支柱32と、支柱32に配設された保持体保持部33と、保持体保持部33に配設された第1コア保持体34および第2コア保持体35を備えている。
【0023】
保持体保持部33は支柱32のコア起立支持部20に対向する側面において、支柱32の起立方向に形成された図示しないスリットに沿って昇降可能である。保持体保持部33の昇降動作は図示しない保持体保持部昇降手段によりなされる。保持体保持部昇降手段の動作は動作制御部50により制御されている。
【0024】
第1コア保持体34は、コア起立支持部20に起立支持された第1熱交換器用コア60を第2熱交換器用コア70の密着させる方向(以下、第1熱交換器用コア60の厚さ方向または第2熱交換器用コア70の厚さ方向ということがある)に保持可能に形成されている。第2コア保持体35は、コア起立支持部20に起立支持された第1熱交換器用コア60に第2熱交換器用コア60を密着させる方向(スタックさせる方向)に保持可能に形成されている。
【0025】
第1コア保持体34は、第1熱交換器用コア60における第2熱交換器用コア70との密着面と当接する当接体34Aの長さが、第2熱交換器用コア70との密着面と対向する面と当接する当接体34Bの長さよりも短い短辺に形成されている。これら当接体34Aおよび当接体34Bとこれらに連結される連結体34Cとにより、第1コア保持体34は平面視略J字型に形成されている。連結体34Cは当接体34Aと当接体34Bとの離間距離(保持厚さ寸法)を変更可能にするために伸縮可能に形成されていることが好ましい。このような連結体34Cの構成により、保持対象である第1熱交換器用コア60の厚さ方向の寸法(または保持すべき第1熱交換器用コア60が複数になった場合)への対応が可能になる点において好都合である。
【0026】
第2コア保持体35は、密着された(スタックされた)第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70において、第1熱交換器用コア60に当接する当接体35Aと第2熱交換器用コア70に当接する当接体35Bと、当接体35Aと当接体35Bとを連結する連結体35Cを有する平面視コ字型に形成されている。連結体35Cは当接体35Aと当接体35Bとの離間距離(保持厚さ寸法)を調整可能にするために伸縮可能に形成されていることが好ましい。このような連結体35Cの構成により、保持対象である第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の厚さ方向の寸法(または保持すべき第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の少なくとも一方が複数になった場合)への対応が可能になる点において好都合である。
【0027】
第1コア保持体34および第2コア保持体35は、保持体移動手段36を介して保持体保持部33に取り付けられている。保持体移動手段36は、第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の起立方向において両者の密着面と直交する側面に対して図1中の矢印Aの方向に第1コア保持体34と第2コア保持体35を接離動可能にするものである。これにより第1熱交換器用コア60に対する長辺側の当接体34Bを当接させた状態を維持しながら短辺側の当接体34Aと第1熱交換器用コア60との当接状態を解除することができる。このような保持体移動手段36としては、油圧シリンダに代表される流体シリンダを採用することができる。保持体移動手段36の動作は動作制御部50により制御されている。
【0028】
コア搬送部40は、少なくとも底面支持体41と第3コア保持体42とコア搬送部40を第1熱交換器用コア60または第2熱交換器用コア70の載置位置からコア起立支持部20までの間で往復移動させる図示しない往復動手段とを備えている。また、図1図3に示すように、底面支持体41を底面支持体41に支持させている第1熱交換器用コア60における底部位置または第2熱交換器用コア70における底部位置と、それぞれの底部位置から退避した位置との間で接離動させる第1接離動手段43と、第3コア保持体42を図中矢印A方向に移動させる第2接離動手段44を有していてもよい。さらに、搬送中の第1熱交換器用コア60または第2熱交換器用コア70におけるヘアピン状の熱交換チューブ62またはヘアピン状の熱交換チューブ72からそれぞれの熱交換器用フィンが抜けることを防止するための押圧板45をさらに有していてもよい。
【0029】
底面支持体41は、搬送対象物である第1熱交換器用コア60の底面部または第2熱交換器用コア70の底面部を支持する平面視L字型に形成されている。底面支持体41は、第1熱交換器用コア60を支持する位置または第2熱交換器用コア70を支持する位置から第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70との密着面に対して直交する方向に退避可能である。底面支持体41が第1熱交換器用コア60の底面支持位置または第2熱交換器用コア70の底面支持位置から退避する動作は第1接離動手段43を駆動源としている。なお、第1接離動手段43の動作は動作制御部50により制御されている。
【0030】
第3コア保持体42は、搬送対象物である第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70において、搬送時の順方向(図1内の矢印B)において前面側になる面に当接する当接体42Aの長さが搬送時の順方向(図1内の矢印B)において後面側になる面に当接する当接体42Bよりも短い短辺に形成され、当接体42Aおよび当接体42Bと、これらを連結する連結体42Cとにより、平面視J字型に形成されている。第3コア保持体42の連結体42Cは保持対象となる第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70の厚さ寸法に応じて伸縮可能に形成されていることが好ましい。これにより第3コア保持体42により保持する第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70の保持厚さ寸法の変更に容易に対応することができる点において好都合である。図1に示すように第3コア保持体42は、第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70の起立方向において所要間隔をあけて複数配設されていることが好ましい。
【0031】
コア搬送部40を水平方向に往復移動させる図示しない往復動手段は、公知の構成を採用することができるためここでの詳細な説明は省略する。
【0032】
第2接離動手段44は、第3コア保持体42を第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70の起立方向において互いの密着面に対して直交する面(図1図3内の矢印Aの方向)に対し接離動させるものである。このような第2接離動手段44としては流体シリンダ等を採用することができる。また、第3コア保持体42に保持された第1熱交換器用コア60または第2熱交換器用コア70の上面を押圧可能な押圧板45が取付板46を介して第2接離動手段44と一体に設けられている。昇降手段47は熱交換器用フィンに対するヘアピン状の熱交換チューブ62の差し込み深さ、または、熱交換器用フィンに対するヘアピン状の熱交換チューブ72の差し込み深さのばらつきを抑えるために、底面支持体41を熱交換器用フィンまたは熱交換器用フィンの積層高さ(スタック)方向に昇降させるものである。第2接離動手段44、往復動手段、昇降手段47の動作はいずれも動作制御部50により制御されている。
【0033】
さらに本実施形態においては、第3コア保持体42に保持させた第2熱交換器用コア70をコア起立支持部20に起立支持させている第1熱交換器用コア60の密着対象面に対して傾斜させた状態および密着対象面に平行な状態との間で、第2熱交換器用コア70の底部側を回転軸として揺動可能にする揺動手段も有している(図示はしていない)。第3コア保持体42に保持させた第2熱交換器用コア70は、揺動手段によりコア起立支持部20に起立支持させている第1熱交換器用コア60の起立面に対して、底面支持体41が搬送方向の先頭側になるように傾斜させた状態で搬送される。このような揺動手段を採用することにより、第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70とを密着(スタック)させる際に、コア起立支持部20に起立支持させている第1熱交換器用コア60を保持している第1コア保持体34と第3コア保持体42との干渉を防ぐことができるため好都合である。このよう揺動手段の動作もまた、動作制御部50により制御されている。
【0034】
本実施形態におけるスタック装置10は、以上に説明したように、第1接離動手段43、第2接離動手段44、往復動手段、昇降手段47、揺動手段によって移動機構49が構成されている。
【0035】
続いて本実施形態にかかるスタック装置10を用いた第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70とを密着(スタック)させる方法について、図4図17に基づきながら説明する。
【0036】
図4に示すように、動作制御部50は、コア搬送部40の底面支持体41に第1熱交換器用コア60が載置されると、第2接離動手段44により第3コア保持体42を第1熱交換器用コア60の起立方向において第2熱交換器用コア70との密着面と直交する面(以下、第1熱交換器用コア60の側面または第2熱交換器用コア70の側面ということがある)に接近させる。そして第3コア保持体42によって第1熱交換器用コア60を厚さ方向に保持させる。
【0037】
続いて動作制御部50は、図示しない往復動手段によりコア搬送部40をコア起立支持部20まで移動させる。図5に示すようにコア起立支持部20のソケット体24の直上位置に第1熱交換器用コア60が搬送されたら、動作制御部50は、保持体移動手段36によりコア保持部30の第1コア保持体34を第1熱交換器用コア60の側面に接近させて第1コア保持体34で第1熱交換器用コア60を厚さ方向に保持させる。これと同時に、またはこの後、動作制御部50は、図6および図7に示すように第1接離動手段43により底面支持体41を搬送してきた方向と逆方向にスライド移動させ、第1熱交換器用コア60を自重によりソケット体24に差し込ませる。
【0038】
動作制御部50は、必要であればコア搬送部40を下降させ、ソケット体24に第1熱交換器用コア60を押圧させるようにしてもよい。押圧板45には第1熱交換器用コア60のヘアピン状の熱交換チューブ62および第2熱交換器用コア70のヘアピン状の熱交換チューブ72に対応する部分にヘアピン状の熱交換チューブ用切欠き45Aが形成されている。これにより押圧板45と昇降手段47とによって、第1熱交換器用コア60または第2熱交換器用コア70をソケット体24へ押圧させる際においてヘアピン状の熱交換チューブ62またはヘアピン状の熱交換チューブ72が邪魔になることはない。
【0039】
次に動作制御部50は、第2接離動手段44により、第3コア保持体42の保持状態を解除する。そして動作制御部50は、第1接離動手段43により、底面支持体41の位置を当初位置に復旧させると共に、コア搬送部40を搬送当初位置(図1参照)に復旧させる。そして図4に示すようにコア搬送部40に第2熱交換器用コア70が載置されると、動作制御部50は第2接離動手段44により第3コア保持体42を第2熱交換器用コア70の側面に接近させる。そして動作制御部50は第3コア保持体42によって第2熱交換器用コア70を厚さ方向に保持させるのである。
【0040】
動作制御部50は、図示しない揺動手段より、第2熱交換器用コア70の底面支持体41側が搬送時の順方向において前面側になるように第2熱交換器用コア70を傾斜させた後(または傾斜させながら)、往復動手段により図8および図9に示すようにコア搬送部40(第2熱交換器用コア70)をコア起立支持部20まで移動させる。第2熱交換器用コア70におけるヘアピン状の熱交換チューブ72のU字形成部分がコア起立支持部20のソケット体24の直上位置に到達した後、動作制御部50は保持体移動手段36によって図10および図11に示すようにコア保持部30の第1コア保持体34の短辺側の当接体34Aと第1熱交換器用コア60との当接部分がなくなるまで、第1コア保持体34を第1熱交換器用コア60の側面から離反させる。この状態においても、第1熱交換器用コア60は第1コア保持体34の長辺側の当接体34Bが当接しているので、第1熱交換器用コア60が倒れてしまうことはない。
【0041】
これと同時またはこの後、動作制御部50は、第2接離動手段44によりコア搬送部40の第3コア保持体42の短辺側の当接体42Aと第2熱交換器用コア70との当接部分がなくなるまで、第3コア保持体42を第2熱交換器用コア70の側面から離反させる。この状態においても、第2熱交換器用コア70は第3コア保持体42の長辺側の当接体42Bが当接しているので、第2熱交換器用コア70が倒れてしまうことはない。
【0042】
つづいて動作制御部50は、図12図14に示すように第1接離動手段43によりコア搬送部40の底面支持体41をコア搬送部40の搬送方向の戻り方向(コア搬送部40を当初位置に戻す方向)にスライド移動させ、自重により第2熱交換器用コア70をソケット体24に差し込ませる。動作制御部50は、必要であればコア搬送部40を下降させ、ソケット体24に第2熱交換器用コア70を押圧させるようにしてもよい。
【0043】
この後、動作制御部50は、図示しない揺動手段により第2熱交換器用コア70の傾斜支持状態を元の状態(第2熱交換器用コア70の密着対象面が第1熱交換器用コア60の密着対象面と平行になる起立状態)に戻す。
【0044】
動作制御部50は、図示しない往復動手段により、コア起立支持部20に起立されている第1熱交換器用コア60に第2熱交換器用コア70を密着させた後に、保持体移動手段36により第2コア保持体35を第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70の側面に接近させる。そして図15図17に示すように、第2コア保持体35により第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70を厚さ方向に保持させる。
【0045】
動作制御部50は第2コア保持体35により第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70が保持された後、コア搬送部40を当初位置に戻すと共に、第2コア保持体35によって密着した状態でスタックされた第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70を次の工程に搬出させる。スタックさせた第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の搬出時には、図示しない搬出部が第2コア保持体35から第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70の搬出を行う。そして、動作制御部50は、コア起立支持部20の底面支持体41に第1熱交換器用コア60または第2熱交換器用コア70が載置されている限り、以上の動作を繰り返し実行する。
【0046】
以上に本実施形態にかかるスタック装置10を用いた第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70をスタックさせる方法について説明したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70はいずれも一体ずつ取り扱いを行っているが、第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70は少なくとも一方について、複数体を取扱いすることもできる。この場合、コア起立支持部20のソケット体24の配設数は3体以上起立支持可能な数にすると共に、第1コア保持体34の連結体34C、第2コア保持体35の連結体35C、第3コア保持体42の連結体42Cを適宜伸縮させることにより対応することができる。
【0047】
また、以上の実施形態においては、同じ形態の第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70を用いているが、第1熱交換器用コア60と第2熱交換器用コア70は互いに形態および大きさのうち少なくとも一方が異なるものであってもよい。
【0048】
また、以上の実施形態においては、コア搬送部40により第2熱交換器用コア70を搬送させる際に、第2熱交換器用コア70を第1熱交換器用コア60に対して傾斜させた状態で搬送しているがこの形態に限定されるものではない。例えば、第2熱交換器用コア70の搬送高さ位置を第1熱交換器用コア60の上端高さ位置よりも上側高さ位置で搬送してもよい。この形態を採用したときは、第2熱交換器用コア70を傾斜させなくても第2熱交換器用コア70をソケット体24に差し込みする際において、昇降手段47により底面支持体41の高さ位置まで第2熱交換器用コア70を徐々に下降させ、第2接離動手段44により第3コア保持体42を第2熱交換器用コア70の側面から離反させるようにする。これにより第1コア保持体34と第3コア保持体42の干渉を回避することができる。
【0049】
また、底面支持体41を第1熱交換器用コア60の底面支持位置または第2熱交換器70の底面支持位置から退避させる際において、本実施形態においては、底面支持体41を第1熱交換器用コア60と第2熱交換器70との密着面に対して直交する方向(コア搬送部40の搬送方向)に接離動させているが、この接離動方向と水平面内で直交する方向(第1コア保持体34、第2コア保持体35、第3コア保持体42が第1熱交換器用コア60と第2熱交換器70に接離動する方向)に接離動させるようにしてもよい。要は、底面支持体41を直線的に移動させることによって底面支持体41による第1熱交換器用コア60の支持状態または第2熱交換器70の支持状態を解除し、第1熱交換器用コア60または第2熱交換器70をソケット体24に挿入させることができればよいのである。
【0050】
また、押圧板45のヘアピン状の熱交換チューブ用切欠き45Aの構成は省略することもできる。
【0051】
また、以上の実施形態においては、第2コア保持体35をコア保持部30の構成に含めているが、第2コア保持体35を搬出部の構成に含めさせることも可能である。この構成によれば、スタックさせた第1熱交換器用コア60および第2熱交換器用コア70を第2コア保持体35から搬送部に移し替えをするタクトタイムを短縮することができるため好適である。
【0052】
また、以上の実施形態で説明した変形例を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17