特許第6683834号(P6683834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683834
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ポリマー磁気流量計の流路体アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   G01F1/58 E
   G01F1/58 C
【請求項の数】30
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-551265(P2018-551265)
(86)(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公表番号】特表2019-510229(P2019-510229A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】US2017023291
(87)【国際公開番号】WO2017172404
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】15/086,826
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592225504
【氏名又は名称】マイクロ・モーション・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロヴナー,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ミコリチェック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボンド,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ワイゲルト,チャド
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−530529(JP,A)
【文献】 特表2015−529341(JP,A)
【文献】 特開平10−002771(JP,A)
【文献】 特開2006−249359(JP,A)
【文献】 実開昭55−018128(JP,U)
【文献】 特開平10−019617(JP,A)
【文献】 特開平11−148847(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0300212(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0010988(US,A1)
【文献】 米国特許第04774844(US,A)
【文献】 特表2012−507714(JP,A)
【文献】 特開平07−198436(JP,A)
【文献】 米国特許第04773275(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0024569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58,
G01P 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー流路体アセンブリであって、
所定ボア径の曲率面を備える測定ボアを有するポリマー流路体、
前記測定ボアに対して取り付けられ且つ前記測定ボア中で流体に接触するように配置された第1磁極部材の近傍に配置された第1コイル、
前記測定ボアに対して取り付けられ且つ前記測定ボア中で前記流体に接触するように配置された第2磁極部材の近傍に配置された第2コイルであって、前記第2磁極部材が、前記測ボアを横切る電磁場を生成するために前記第1磁極部材と協働するように構成されている第2コイル、及び
前記流体内に生成された起電力を測定するために、前記測定ボア中で前記流体に接触するように前記流路体アセンブリ内に配置された第1金属電極及び第2金属電極であって前記ポリマー流路体アセンブリの中心の方にテーパー付けられている前記第1金属電極及び前記第2金属電極、
を備え
記第1磁極部材及び前記第2磁極部材の少なくとも1つは、少なくとも部分的にポリマーで形成され、
前記第1金属電極及び前記第2金属電極の各々、及び前記第1磁極部材及び前記第2磁極部材の各々が、前記所定ボア径の曲率面の端部を有する、
上記ポリマー流路体アセンブリ。
【請求項2】
前記第1磁極部材及び第2磁極部材の各々は、ポリマー内に埋め込まれた磁気対応材料から形成されている、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項3】
前記磁気対応材料は鉄である、請求項に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項4】
前記ポリマーはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンである、請求項に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項5】
前記第1及び第2金属電極が、ポリマー内に埋め込まれた導電性材料で形成されている、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項6】
前記導電性材料は、炭素である、請求項に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項7】
前記ポリマーは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンである、請求項に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項8】
前記第1及び第2磁極部材は、前記第1及び第2金属電極と同じポリマーで形成されている、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項9】
前記第1及び第2磁極部材の少なくとも1つは、そこから半径方向に延在する封止用フィンを含む、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項10】
前記第1及び第2金属電極の少なくとも1つは、そこから半径方向に延在する封止用フィンを含む、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項11】
前記第1及び第2磁極部材の各々は、前記測定ボアに隣接するテーパー端部を含んでいる、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項12】
前記第1及び第2金属電極の各々は、前記測定ボアに隣接するテーパー端部を含んでいる、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項13】
前記第1及び第2金属電極の各々は、ステンレス鋼で形成されている、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項14】
前記第1磁極部材、前記第2磁極部材、前記第1金属電極及び前記第2金属電極の少なくとも1つと同じポリマーで形成されたフレームをさらに含んでいる、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項15】
ポリマー内に埋め込まれた磁気対応材料で形成された磁気帰還経路をさらに含んでいる、請求項1に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【請求項16】
磁気流量計のためのポリマー流路体アセンブリを作るための方法であって、前記方法は、
金型を得ること、
前記金型内の第1コイル内に第1磁極部材を配置すること、
前記金型内の第2コイル内に第2磁極部材を配置すること、
前記金型内に一対の金属電極を配置すること、
前記金型を実質的に満たすように前記金型に液体ポリマーを充填すること、
前記液体ポリマーを硬化させること、
前記硬化されたポリマーを前記金型から取り出すこと
記硬化されたポリマーを通して測定開口部を生成すること、
を包含し、
前記第1磁極部材及び前記第2磁極部材の少なくとも1つは、少なくとも部分的にポリマーで形成され、
前記第1金属電極及び前記第2金属電極の各々、及び前記第1磁極部材及び前記第2磁極部材の各々が、所定ボア径の曲率面の端部を有する、
上記方法。
【請求項17】
前記金型は円筒形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
測定開口部の直径を選択することをさらに含み、且つここで、硬化されたポリマーを通り抜ける測定開口部を生成することは、選択された測定開口部の直径を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記ポリマー流路体アセンブリの製造者によって実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記ポリマー流路体アセンブリの最終ユーザによって実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記開口部は、前記硬化されたポリマーを軸方向に貫通して延在する円筒形状ボアである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2磁極部材の各々の一部分は、前記円筒形状ボアの一部分に適合する表面を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の金属電極の各々の一部分は、前記円筒形状ボアの一部分に適合する表面を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記測定開口部を生成することは、前記硬化されたポリマーの中心線に沿って単一の開口部を軸方向に穿孔することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2磁極部材及び前記第1及び第2金属電極は、前記硬化されたポリマーと同じポリマーで形成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記開口部を生成することは、測定領域近傍の流体動態を改善するところの変形を含むように前記開口部を機械加工することを包んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記変形は、前記開口部の形状を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記金属電極の各々は、テーパー部分を含み且つ前記テーパー部分が前記測定開口部に近接するように配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
ポリマー流路体アセンブリであって、
所定ボア径の曲率面を備える測定ボアを有するポリマー流路体、
前記測定ボアに対して取り付けられ且つ前記測定ボア中で流体に接触するように配置された第1磁極部材の近傍に配置された第1コイル、
前記測定ボアに対して取り付けられ且つ第2磁極部材の近傍に配置された第2コイルであって、前記第2磁極部材もまた、前記測定ボア中で前記流体に接触するように配置され、前記測定ボアを横切る電磁場を生成するために前記第1磁極部材と協働するように構成されている第2コイル、及び
各々がポリマー及び導電材料を含む第1電極及び第2電極であって、前記測定ボアを横切る電磁場を検出するように構成され、前記ポリマー流路体アセンブリの中心の方にテーパー付けられている前記第1電極及び前記第2電極、
を備え、
前記第1電極及び前記第2電極の各々が、前記所定ボア径の曲率面の端部を有し、
前記第1磁極部材及び前記第2磁極部材の各々が、前記所定ボア径の曲率面の端部を有する、
上記ポリマー流路体アセンブリ。
【請求項30】
前記導電性材料は、ニッケルである、請求項5に記載のポリマー流路体アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
磁気流量計(又はマグメータ)は、ファラデー誘導、即ち電磁効果によって流量を測定する。磁気流量計は、流路体アセンブリの断面を横切る磁場を生成するコイルにエネルギーを与える。磁場は、導電性プロセス流体の流れに起電力(EMF)を誘起する。導電性流体を横切って作られた結果の電位は、流れるプロセス流体中に延在する一対の電極を用いて測定される。あるいは、いくつかの磁気流量計は、直接接触することなくEMFが測定されうるように、電極とプロセス流体との間の容量性結合を採用する。いずれにせよ、流速は一般に誘起されたEMFに比例し、容積流は流速と流路体の断面積に比例する。
【0002】
磁気流量計は、様々な流体流の測定環境において有用である。特に、水ベースの流体、イオン溶液、及び他の導電性流体の流れはすべて、磁気流量計を用いて測定することができる。このように、磁気流量計は、水処理施設、飲料及び衛生食品の製造、化学処理、高純度医薬品製造、ならびに危険かつ腐食性の流体処理施設において見い出しうる。磁気流量計は、炭化水素燃料産業においてもしばしば採用されうる。
【0003】
磁気流量計は、流量測定要素(例えば、オリフィス板)をプロセス流内に導入する他のフロー技術が適切でない応用において、迅速で正確な流量測定を提供する。磁気流量計の製造における重要なコストの1つは、プロセス流体がそこを通過して流れる流路体である。この流路体は、プロセス流体圧力に耐えなければならず、プロセスに漏れを導入してはならない。典型的には、流路体は管として形成され、堅固なプロセス流体接続を生成するようにパイプフランジにボルト止めされた一対のフランジを含んでいる。様々な異なるプロセス流路接続に適した流路体センブリを提供するために、異なる断面流路領域に対応するように流路体は設計され製造される。しかし、製造業者によって提供される流路管の場合の各断面流路領域サイズ又は内径は、通常、専用の工具及び製造工程を必要とする。従って、そのように様々な流路直径オプションの利用可能性の故に、追加のコスト及びリードタイムが、製造プロセスに導入されうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポリマー流路体アセンブリが提供される。上記流路体アセンブリは、流体が通過して流れるのを可能にするように構成された流れ導管を含む。第1コイルが、上記流れ導管に対して取り付けられ、第1磁極部材の近傍に配置される。第2コイルが、上記流れ導管に対して取り付けられ、第2磁極部材の近傍に配置される。上記第2磁極部材は、上記第1磁極部材と協働して、流量測定穴部を横切る電磁場を生成するように構成されている。第1及び第2電極は、流量測定穴部内の流体内に発生する起電力を測定するために、上記流路体アセンブリ内に配置されている。上記第1磁極部材、第2磁極部材、第1電極、及び第2電極の少なくとも1つは、少なくとも部分的にポリマーで形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態が有用であるところの典型的な環境の概略構成図である。
図2】本発明の1実施形態によるポリマー流路体アセンブリの概略図である。
図3A図2に示された領域の1の拡大模式図である。
図3B図2に示された領域の別の拡大模式図である。
図4】ポリマーが導入される前のポリマー流路体アセンブリのために組み付けられた金型の概略図である。
図5A】本発明の1実施形態による磁極部材の概略図である。
図5B】本発明の1実施形態による流量計流路体アセンブリの電極の概略図である。
図6】本発明の1実施形態によるコイル及び磁極部材の概略図である。
図7】本発明の1実施形態による流路体アセンブリの概略図である。
図8】本発明の1実施形態による流路体アセンブリを形成する方法の流れ図である。
図9A】本発明の1実施形態による、設置の様々な段階中のポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図9B】本発明の1実施形態による、設置の様々な段階中のポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図9C】本発明の1実施形態による、設置の様々な段階中のポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図9D】本発明の1実施形態による、設置の様々な段階中のポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図10A】本発明の1実施形態による、プロセス設備据え付けの異なる段階におけるポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図10B】本発明の1実施形態による、プロセス設備据え付けの異なる段階におけるポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図10C】本発明の1実施形態による、プロセス設備据え付けの異なる段階におけるポリマー流路体アセンブリの1の概略図である。
図11】本発明の1実施形態によるプロセス環境内に設置中の流路体アセンブリを形成する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、磁気流量計102の典型的な環境100を示す。磁気流量計102は、制御バルブ112にも結合するところの線104で概略的に示されたプロセス配管に結合されている。磁気流量計102は、プロセス設備におけるプロセス流体流についての流速の出力を提供するように構成されている。そのようなプロセス流体の例には、化学薬品、パルプ、医薬品、食品及び他の流体処理プラントにおけるスラリー及び液体が含まれる。
【0007】
磁気流量計102は、電子機器ハウジング120、又は流路体105に接続された適切な接続ボックスを含んでいる。図1に示された実施形態において、流路体105は、関連するパイプフランジに取り付けるために一対の取り付け用フランジ108の間に配置される。しかし、本発明の実施形態は、ウェーハ型の流路体にも同様に十分適用可能である。磁気流量計102の出力は、プロセス通信バス106を介してコントローラ又はインジケータに長距離伝送するように構成されている。典型的なプロセス設備において、通信バス106は、コントローラ(例えば、システムコントローラ/モニタ110又は他の適切なデバイス)への4〜20mAの電流ループ、FOUNDATION(商標)フィールドバス接続、パルス出力/周波数出力、Highway Addressable Remote Transduce (HART(商標))プロトコル通信、無線通信接続(例えば、IEC62591、イーサネット(登録商標)、又は光ファイバ接続による)でありうる。システムコントローラ110は、人間のオペレータのために流れ情報を表示するためのプロセスモニタとして、又はプロセス通信バス106を介して制御バルブ112を使用してプロセスを制御するためのプロセスコントローラとしてプログラムされている。本発明の実施形態はすべての磁気流量計に適用可能であるが、特に、比較的小径のプロセスパイプに結合された磁気流量計に関係する。これは、最小の流量計の流路体サイズにおいて、1つのサイズと次のサイズの測定可能な流量範囲での重複が非常に少ないためである。例えば、直径1.5インチ〜14インチの流量計は、44%〜82%で重複する流量範囲を有する。しかし、直径0.15インチから直径0.5インチの最小分画サイズは、25%未満で重複する流量範囲を測定しうる。このことは、広範な流量降下を測定できるサイズを最終ユーザが選択することを一層困難にする。しかし、上述したように、個々のサイズのオプションを追加することは、開発時間、固有な部品の品揃え、及び製造の複雑さの点でコストがかかる。
【0008】
図2は、本発明の1実施形態によるポリマー流路体アセンブリの概略図である。ポリマー流路体アセンブリ150は、広範囲の寸法に容易に機械加工されうる一体部品である。アセンブリ150は、様々な異なる流れ構成に対して同じコイル及び磁極部材を使用することができ、且つ機械加工に基づいて0.030インチから0.5インチを超える測定ボア(測定孔)径を有する流れを測定しうるところの単一の流路体を提供しうる。アセンブリ150は、接続ボックス又は電子機器ハウジング(例えば、上述された電子機器ハウジング120)を取り付けるように構成されたフランジ152を含む。いくつかの導体が、フランジ152を通り且つ頚部154を通って流路体156内に延びる。導体は複数のコイル158、160及び一対の電極162、164へ結合する。図2に示された実施形態において、4つの取り付け孔166が備えられ、それは取り付けボルトが流路体156を通過することを可能にする。図示された実施形態において、中央に置かれた測定穴部168が設けられており、それは電極162、164からほぼ90°オフセットされて配設された1対の径方向に対向する磁極部材170、172を有している。図2に示された実施例において、穴部168は、約0.080インチの直径を有する。磁極部材170、172は、1実施形態においては、磁性材料(磁気対応材料、例えば鉄粉)で充填されたポリマー(例えば、プラスチック)で形成されている。さらに、磁気帰還経路174もまた、1実施形態においては、磁性材料(例えば鉄粉)で充填されたポリマーで形成されている。1実施形態において、電極162、164もまた、導電性材料(例えば、炭素及び/又はニッケル)で充填されたポリマー(例えばプラスチック)で形成されている。さらに、いくつかの実施形態において、磁極部材170、172及び電極162、164に使用されるポリマーは同じであってもよい。また、流路体156の様々な構成要素の全てを維持するために、又はそうでない場合は最終本体がより容易に成形されうるように単一の中実の部品に取り付けるために、ポリマーフレーム178が流路体156内に設けられる。1実施形態において、ポリマーフレーム178はまた、磁極部材170、172及び電極162、164と同じポリマーで形成される。しかし、フレーム178は、いかなる導電性又は磁気的充填剤も有さないであろう。同様に、ポリマー充填材180が提供され、それは1実施形態において、フレーム178及び磁極部材170、172及び電極162、164と同じポリマーで形成されている。さらに、図2に示された実施形態において、各電極162、164は、各電極162、164から放射状に延在している1以上の封止用フィン182を含む。1実施形態において、これらの封止用フィンは、電極と同じ材料で形成され、成形被覆層からの熱がフィン182の薄い端部を溶融させるのに十分であり構成要素間に一貫した封止を形成するように設計されている。
【0009】
図3A及び3Bは、図2の領域184の拡大概略図である。図3Aに示されたように、磁極部材170は、コイル160の電気巻線が磁極部材170を取り囲むように置かれている。このようにして、電流がコイル160の巻線を通って流れると、磁場が磁極部材170によって生成される。同様に、電流がコイル158の巻線を通って流れると、磁場が磁極部材172によって生成される。この磁場は、測定ボア168を横切る方向に向けられており、こうして、電極162、164を用いて検出可能であるところのEMF(起電力)を生成する。測定ボア168は、一般に、単一の機械加工操作、例えばドリル穿孔によって形成される。このドリル穿孔操作は、磁極部材170、172及び電極162、164のそれぞれの一部分を除去する。したがって、測定ボア168と相互作用する磁極部材170、172及び電極162、164の部分は、一般に、端部、例えばボア168の内径に合致するところの電極162の端部190を有する。構成部品はポリマーであるので、それらは容易に機械加工可能である。こうして、異なる測定ボアは、ドリル穿孔操作において異なるサイズのドリルビットを用いることによって簡単に生成されうる。例えば、図3Bは、より大きな測定ボア196を示す。さらに、より大きなボアは、電極162、164及び磁極部材170、172によって容易に収容され、単に追加的に材料が除去される。磁極部材170、172及び電極162、164の端部は、依然として測定ボア196の内径に合致している。
【0010】
図4は、ポリマーを導入する前のポリマー流路体アセンブリのための組み付けられた金型の概略図である。金型300は、外側シェル302を含み、それは、ポリマー流路体アセンブリの外径を一般に限定し決定する。図4に示された実施例において、4つの円筒(シリンダ)形状部材304が設けられ、それは、ポリマーが円筒(シリンダ)304の位置を占めることを防止し、それにより取り付け孔166(図2に示された)を形成する。さらに、一対のコイル158、160は、それぞれの磁極部材172、170がその中に配置されるように置かれる。一対の導体306、308は、コイル158、160へ電気的に結合されている。同様に、導体310、312は、それぞれの電極164、162に動作可能に結合されている。磁極部材170、172の各々並びに電極162、164の各々は、一般に、中心320の方へテーパー付けられている。電極及び磁極部材についてのテーパーの量は、様々な用途に基づいて変更されうる。テーパーは、要望に応じて線形又は非線形であってもよい。それにもかかわらず、より大きな測定ボアについては、1実施形態において、各磁極部材及び電極から測定ボアと相互作用するところのより大きな表面領域が存在している。
【0011】
図5Aは、ポリマー(例えば、ABSプラスチック)で形成された一対の電極162、164の概略図である。図5Aに一層明瞭に示されているように、テーパー付けられた部分350は、電極162の1端部である。本発明の1実施形態によれば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、導電性材料(例えば、カーボン及び/又はニッケル)で充填されるか、さもなければ埋め込まれる。しかし、電極162、164の導電性材料は磁性材料でないことが好ましい。
【0012】
別の実施形態によれば、電極(例えば、図5Bに示された電極)は、金属(例えばステンレス鋼)で形成されうる。ステンレス鋼の機械加工は、図5Aに示されたABS電極の機械加工よりも複雑であるが、ステンレス鋼電極352は極めて頑丈である。
【0013】
図6は、コイル158、160及び磁極部材170、172の概略図である。図6に示されたように、磁極部材170、172は、一般的に互いに対向するテーパー部分360を有する。1実施形態では、磁極部材170、172は、鉄を充填されるか又さもなければ鉄を埋め込まれたポリマー(例えばABSプラスチック)で形成されている。従って、磁極部材170、172は、磁気的に軟性である。
【0014】
本発明の実施形態によれば、電極、コイル、及び磁極部材は、金型(例えば、図4に示されたような金型300)内に配設され、次に、ポリマー(例えば、ABSプラスチック)の導入に付される。しかし、任意の適切なポリマーを使用することができることは明らかである。一度、ポリマーが硬化してしまうか、又は他の方法で固化すると、ポリマーは金型300から取り出されうる。
【0015】
図7は、そのような除去された流路体アセンブリの概略図である。図示されているように、単一ポリマーブロック400は、4つの取り付け孔166と、このブロック400から延在しているワイヤー306、308、310、312とを含む。ポリマー構造体400の中心402には、究極の流れ適用のために選択された直径を有する測定穴部が生成される。本発明の1実施形態によれば、この測定ボアは、適切なサイズのドリルビットを選択し、中心402に沿って軸方向にドリル穿孔することによって簡単に形成される。
【0016】
図8は、本発明の1実施形態における流路体アセンブリを形成する方法500の流れ図である。方法500は、ブロック502で始まり、ここでは、金型、例えば金型302(図4に示された)が設けられる。次に、ブロック504で、流路体の構成要素が金型内で組み付けられる。このような構成要素及びアセンブリは、コイル506、電極508、磁極部材510、及び配線512を含む。一度、ブロック504のアセンブリが完了すると、ブロック514で示されたように、金型はポリマーで充填される。一度、ポリマーが金型を充填すると、ブロック516で示されるように、硬化するか、さもなければ固化することができる。ポリマーのタイプに応じて、この硬化/固化工程は、適切な熱、及び/又は圧力の導入を含みうる。次に、ブロック518で、金型が取り除かれ、単一のポリマー流路体ブロックが提供される。次に、ブロック520で、流路体の測定ボアの直径が選択される。最後に、ブロック522で、選択された直径に従ってポリマー流路体ブロックに穴部又はボアが生成される。1実施形態において、ブロック520及び522は、適切なサイズのドリルビットを選択して取得し、流路体ブロックの中心を通って軸方向にドリル穿孔することを含む。しかし、別の実施形態において、ボアの機械加工は、測定領域における流体力学を改善するために、ボア断面形状、及び/又はサイズの変更を可能にする、より複雑な工程でありうる。さらに、断面形状、及び/又はサイズは、加工動作が流路体の中心を通り軸方向に移動するにつれて変更されうる。このようにして、所望に応じて、半径方向及び軸方向の両方に変更が提供されうる。
【0017】
本発明の実施形態によって形成された様々な流路体は、最小ボアで約70から最大ボアで約180まで変化する適切な利得を有することが見出されている。これは、現在のところ流路体で利用可能な75〜140の範囲と比較して優れている。さらに、本発明の実施形態によって形成されたポリマー流路体は、良好な再現性及び直線性の特性を有していた。さらに、ポリマー流路体の材料コストは、伝統的な金属の流路体設計と比較して減少すると考えられる。
【0018】
図9A〜9Dは、本発明の1実施形態による、設置の様々な段階の間のポリマー流路体アセンブリの複数の概略図を示す。1実施形態において、流路体アセンブリ1150は、パイロットボア1168を用いて予め機械加工され、最終ボア径を機械加工する前にアセンブリ1100内に設置される。1実施形態において、これは、流路体アセンブリを初期パイロットボア径1168で予め製造して出荷し、その後、顧客によって(製造業者への依頼によるか又は納入時に顧客によるかのいずれかで)最終的な所望のボア径1172に機械加工することができるので、コスト及びリードタイムの短縮が可能になる。
【0019】
図9Aは、ライニング工程後の例示的な流路体アセンブリを示す。流路体アセンブリ1150は、前述の流路体150のものと実質的に同様でありうる一対のコイル1158、1160、及び一対の電極1162、1164を含む。図9Aに示されたように、流路体アセンブリ1150は、ライニング工程後、予め設定され製造された直径を有するパイロットボア1168のみを含む。1実施形態において、パイロットボア1168は、製造業者又は顧客による所望のボア径への後からの機械加工を可能にするように設計されている。
【0020】
図9Bは、組み付け工程の後の例示的な流路体アセンブリ1150を示し、流路体アセンブリ1150は依然としてパイロットボア1168を含んでいる。図9Bに示されるように、組み付け工程の後、流路体アセンブリ1150は、計器アセンブリ1100内に取り付けられる。
【0021】
流路体アセンブリ1150が一旦設置されると、ボアは、ユーザ又は用途によって必要とされる任意の選択された直径に機械加工されうる。例えば、図9Cに示されるように、機械加工されたボア1172は、初期パイロットボア1168よりも大きな直径を有する。機械加工されたボア1172の直径は、顧客によって選択され、1実施形態では、出荷前に最終的に機械加工される。別の実施形態では、最終機械加工されたボア1172の直径は顧客によって設定され、機械加工は顧客によって完了される。
【0022】
少なくとも1の実施形態において、流路管アセンブリ(例えば、アセンブリ1150)は、1又は複数の安全規格に準拠する必要がある。1実施形態において、流路体アセンブリは、危険な環境又は爆発性の環境内(例えば、有害及び/又は爆発性のプロセス流体の存在による)での使用に互換性がある必要がありうる。しかし、マグメータを機能させうるための十分な磁場を提供するために、コイル回路はエネルギー制限され得ないので、別の分離が用いられなければならない。隔壁、例えば図9Dに示された障壁1180及び1190は、流路体アセンブリ1150が有害な又は爆発性の雰囲気内で使用されるために、固有の安全基準に準拠した状態を維持するために用いられうる。1実施形態において、流路体アセンブリ1150は、国際的な危険基準FM3600に準拠している。別の実施形態において、流路体アセンブリ1150は、国際的な危険規格IEC60079に準拠している。1実施形態において、流路体アセンブリ1150は、ライン圧力を含むように境界が設定されるように、ASME B31によって認識される標準的な材料、例えば鋼及び/又は鉄を利用する。1実施形態において、境界1190は、危険な位置の分離とボイラー圧力容器の圧力境界が維持されるように、図9Dに示されたような流路体アセンブリの部分の周りに維持される。1実施形態において、境界1180は、ボイラー圧力容器の圧力境界が境界1180内に維持されるように、流路体アセンブリの周りに存在する。
【0023】
図10A〜10Cは、本発明の1実施形態による製造の異なる段階におけるポリマー流路体アセンブリの概略図を示す。図10Aは、初期ライニング工程の後の流路体アセンブリ1150の図を示す。図10Bは、組付工程の後の流路体アセンブリの図を示す。図10A及び図10Bの両方において、流路体アセンブリが、初期パイロットボア1168とともに示されている。図10Cは、初期パイロットボア1168よりも大きい直径を有する機械加工されたボア1172を有する最終流路体アセンブリを示す。1実施形態において、図10A〜10Cに示された工程は、顧客の注文を受けた後に製造業者によって実行されえ、最終ボア加工及び較正が製造業者によって完了されることを可能にする。しかし、図10Bに示されるように、予め製造されたパイロットボアを有する一連の流路体アセンブリは、製造者によってストックされえ、そして最終的機械加工及び較正が、図10Bから図10Cへの遷移に示されるように、顧客によって要求されたように完了されうる。
【0024】
図11は、本発明の1実施形態によるプロセス環境内での設置の間の、流路体アセンブリを形成する方法のフロー図である。方法1200は、製造業者又は顧客のどちらかが、選択されたボア径を有する流路体アセンブリを機械加工しうるような工程を提供する。
【0025】
ブロック1210において、流路体は、例えば製造工程内で提供される。流路体は、例えば、図9及び図10に関して説明されたような流路体1150であってもよく、ライニング工程が完了する前又は後のいずれでもよい。当初、流路体は、障壁1180及び1190の一方又は両方を適所に備えうる。
【0026】
ブロック1220において、提供されている流路体が、計器アセンブリ内に実装される。これは、流路体を計器アセンブリ内に実装する製造業者によって遂行されうる。ブロック1220において、ライニング工程もまた遂行されうる。
【0027】
ブロック1230において、提供されている流路体は、所望のボア径に機械加工される。1実施形態において、これは、最初に提供されたパイロットボア径を拡大することを含む。1実施形態において、これは、最終ボア径の較正を含む。流路体アセンブリが最終的に機械加工されたボア径を有した後に、それはプロセス環境内に実装されるか、又は実装のために顧客に出荷される。
【0028】
機械加工可能な流路体アセンブリ(例えば、アセンブリ150又は1150)を提供することの1つの利点は、最終の計器アセンブリ内の流路体センブリが顧客によって選択されたボア径を有するように、流路体の初期製造の後に実行された、ライナ及び電極の内側直径について1回の操作で同じ内径に機械加工又はリーマ(穴開け)加工することを可能にすることである。さらに、予め製造され機械加工可能な流路体アセンブリは、電極アセンブリ、コイルアセンブリ、配線及び溶接の重要な製造作業が製造業者によって完了された後に可変ボアの幾何学的形状を機械加工することを可能にする。さらに、上記の規格のいずれかに準拠する材料を使用することは、最終的に機械加工されたときに圧力境界が可変ボアの幾何学的形状によって影響されないように、可変ボアの幾何学的形状を機械加工することを可能にする。さらに、準拠した材料の使用は、可変ボアの幾何学的形状とは無関係に、危険なプロセス流体や環境を定格回路から分離することを可能にする。
【0029】
最終ユーザによって機械加工される得る流路体アセンブリ(例えば、アセンブリ150又は1150)の別の利点は、現場でボアが直径を変更するために機械加工されることを可能にすることであり、較正手段や別に必要とされる工程の除去を可能にする。少なくとも1の実施形態において、流路体アセンブリ1150は、機械加工可能な多点プロセス接続電極における接地リングの必要性を無くする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11