特許第6683858号(P6683858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683858スライスおよびワーピングを用いて雑音の存在下で信号を受信しデコードするための方法、デバイスおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683858
(24)【登録日】2020年3月30日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】スライスおよびワーピングを用いて雑音の存在下で信号を受信しデコードするための方法、デバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20200413BHJP
   H04L 27/14 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H04B1/10 L
   H04B1/10 G
   H04L27/14 A
【請求項の数】22
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-42240(P2019-42240)
(22)【出願日】2019年3月8日
(62)【分割の表示】特願2018-593(P2018-593)の分割
【原出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-110601(P2019-110601A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/880,786
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505222679
【氏名又は名称】プロテウス デジタル ヘルス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チェリー クシュナー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フレミング
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エイチ. マカリスター
(72)【発明者】
【氏名】マーク ズデブリック
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−006092(JP,A)
【文献】 特表2006−523425(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0120659(KR,A)
【文献】 特開2002−237820(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0075974(US,A1)
【文献】 特開平10−126454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
H04L 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号をデコードするための方法であって、前記方法は、
アナログ/デジタルコンバータを用いて時間間隔にわたって信号をサンプリングし、サンプルのセットを生成することと、
第1の周波数および第1の位相における第1の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第1の値の第1のセットを生成することと、
前記第1の周波数および前記第1の位相における第2の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第2の値の第1のセットを生成することであって、前記第2の参照関数は、前記第1の参照関数と異なる、ことと、
前記第1の値の第1のセットを組み合わせ、第1のスライスの第1の成分を生成することと、
前記第2の値の第1のセットを組み合わせ、前記第1のスライスの第2の成分を生成することと、
第2の周波数および第2の位相における前記第1の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第1の値の第2のセットを生成することであって、前記第2の周波数および前記第2の位相は、前記第1の周波数および前記第1の位相と異なり、前記第1の値の第2のセットは、第1の値の第1のセットと異なる、ことと、
前記第2の周波数および前記第2の位相における前記第2の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第2の値の第2のセットを生成することと、
前記第1の値の第2のセットを組み合わせ、第2のスライスの第1の成分を生成することと、
前記第2の値の第2のセットを組み合わせ、前記第2のスライスの第2の成分を生成することと、
前記アナログ/デジタルコンバータを用いて新しい時間間隔にわたって前記信号をサンプリングし、サンプルの新しいセットを生成することと、
前記サンプルの新しいセットに対して、乗算することおよび組み合わせることを繰り返し、前記第1のスライスを備える第1のスライスのセットと前記第2のスライスを備える第2のスライスのセットとを生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のスライスのセットを使用して自己相関値の少なくとも1つのベクトルを決定することと、
前記第2のスライスのセットを使用して自己相関値の少なくとも1つのベクトルを決定することと、
前記自己相関値の少なくとも1つのベクトルのそれぞれの組み合わせられた要素から導出されたメトリックを閾値と比較することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テンプレート値の第1のセットと、前記第1のスライスのセットのスライスインデックスで開始する前記第1のスライスのセットの第1のサブセットとの間の第1の相関値を決定することと、
テンプレート値の第2のセットと、前記第2のスライスのセットのスライスインデックスで開始する前記第2のスライスのセットの第1のサブセットとの間の第2の相関値を決定することと、
前記信号の有効開始位相を変動させる回転角度と、前記信号の有効周波数を変動させるワーピング角度とで前記第1および第2のスライスの各セットを回転させることと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のスライスのセットの後続スライスインデックスで開始する前記第1の相関値を決定することと、
前記第2のスライスのセットの後続スライスインデックスで開始する前記第2の相関値を決定することと、
前記信号の有効開始位相を変動させる回転角度と、前記信号の有効周波数を変動させるワーピング角度とで前記第1および第2のスライスの各セットを回転させることと
を繰り返すことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のスライスのセットおよび前記第2のスライスのセットの各スライスインデックスに対して、前記方法は、
各スライスインデックスおよび前記回転角度のそれぞれにおける相関値を比較することと、
各スライスに対する最大相関値を決定することと、
前記最大相関値に対応する、前記スライスインデックスおよび前記回転角度のそれぞれを決定することと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最適回転角度を決定することと、
最適ワーピング角度を決定することと、
前記最適回転角度および前記最適ワーピング角度で各スライスを回転させることと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
最適開始スライスを決定することと、
前記最適開始スライスで開始し、ビット長の数の第1の参照関数値を組み合わせて、ビットに対応する組み合わせられた第1の参照関数値を生成し、ビット長の数の第2の参照関数値を組み合わせて、前記ビットに対応する組み合わせられた第2の参照関数値を生成することと、
総和の符号を使用してパケットの第1のビットを決定することと、
前記組み合わせられた第1の参照関数値の大きさを最大にし、前記組み合わせられた第2の参照関数値の大きさを最小にする、回転角度で後続ビット長のスライスを回転させることと、
前記組み合わせられた第1の参照関数値の符号を使用して後続ビットを決定することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の参照関数は、正弦波、鋸歯波、三角形波、または正方形波関数、もしくはそれらの組み合わせのうちのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の参照関数は、余弦波、鋸歯波、三角形波、または正方形波関数、もしくはそれらの組み合わせのうちのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記時間間隔は、最小周波数におけるパケットの長さより長い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記時間間隔は、最小周波数における2つのパケットの長さより長い、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
信号受信機であって、前記信号受信機は、
時間間隔にわたって信号をサンプリングし、サンプルのセットを生成するように構成されている、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)と、
メモリと、
前記メモリと結合されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1の周波数および第1の位相における第1の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第1の値の第1のセットを生成することと、
前記第1の周波数および前記第1の位相における第2の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第2の値の第1のセットを生成することであって、前記第2の参照関数は、前記第1の参照関数と異なる、ことと、
前記第1の値の第1のセットを組み合わせ、第1のスライスの第1の成分を生成することと、
前記第2の値の第1のセットを組み合わせ、前記第1のスライスの第2の成分を生成することと、
第2の周波数および第2の位相における前記第1の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第1の値の第2のセットを生成することと、
前記第2の周波数および前記第2の位相における前記第2の参照関数を表す値のセットで前記サンプルのセットを乗算し、第2の値の第2のセットを生成することであって、前記第2の周波数および前記第2の位相は、前記第1の周波数および前記第1の位相と異なり、前記第1の値の第2のセットは、第1の値の第1のセットと異なる、ことと、
前記第1の値の第2のセットを組み合わせ、第2のスライスの第1の成分を生成することと、
前記第2の値の第2のセットを組み合わせ、前記第2のスライスの第2の成分を生成することと、
前記アナログ/デジタルコンバータを用いて新しい時間間隔にわたって前記信号をサンプリングし、サンプルの新しいセットを生成することと、
前記サンプルの新しいセットに対して、乗算することおよび組み合わせることを継続し、前記第1のスライスを備える第1のスライスのセットと前記第2のスライスを備える第2のスライスのセットとを生成することと
を行うように構成されている、信号受信機。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記第1のスライスのセットを使用して自己相関値の少なくとも1つのベクトルを決定することと、
前記第2のスライスのセットを使用して自己相関値の少なくとも1つのベクトルを決定することと、
前記自己相関値の少なくとも1つのベクトルのそれぞれの組み合わせられた要素から導出されたメトリックを閾値と比較することと
を行うようにさらに構成されている、請求項12に記載の信号受信機。
【請求項14】
前記コントローラは、
テンプレート値の第1のセットと、前記第1のスライスのセットのスライスインデックスで開始する前記第1のスライスのセットの第1のサブセットとの間の第1の相関値を決定することと、
テンプレート値の第2のセットと、前記第2のスライスのセットのスライスインデックスで開始する前記第2のスライスのセットの第1のサブセットとの間の第2の相関値を決定することと、
前記信号の有効開始位相を変動させる回転角度と、前記信号の有効周波数を変動させるワーピング角度とで前記第1および第2のスライスの各セットを回転させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項13に記載の信号受信機。
【請求項15】
前記コントローラは、
前記第1のスライスのセットの後続スライスインデックスで開始する前記第1の相関値を決定することと、
前記第2のスライスのセットの後続スライスインデックスで開始する前記第2の相関値を決定することと、
前記信号の有効開始位相を変動させる回転角度と、前記信号の有効周波数を変動させるワーピング角度とで前記第1および第2のスライスの各セットを回転させることと
を行い続けるようにさらに構成されている、請求項14に記載の信号受信機。
【請求項16】
前記第1のスライスのセットおよび前記第2のスライスのセットの各スライスインデックスに対して、前記コントローラは、
各スライスインデックスおよび前記回転角度のそれぞれにおける相関値を比較することと、
各スライスに対する最大相関値を決定することと、
前記最大相関値に対応する、前記スライスインデックスおよび前記回転角度のそれぞれを決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項15に記載の信号受信機。
【請求項17】
前記コントローラは、
最適回転角度を決定することと、
最適ワーピング角度を決定することと、
前記最適回転角度および前記最適ワーピング角度で各スライスを回転させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項16に記載の信号受信機。
【請求項18】
前記コントローラは、
最適開始スライスを決定することと、
前記最適開始スライスで開始し、ビット長の数の第1の参照関数値を組み合わせて、ビットに対応する組み合わせられた第1の参照関数値を生成し、ビット長の数の第2の参照関数値を組み合わせて、前記ビットに対応する組み合わせられた第2の参照関数値を生成することと、
総和の符号を使用してパケットの第1のビットを決定することと、
前記組み合わせられた第1の参照関数値の大きさを最大にし、前記組み合わせられた第2の参照関数値の大きさを最小にする、回転角度で後続ビット長のスライスを回転させることと、
前記組み合わせられた第1の参照関数値の符号を使用して後続ビットを決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項17に記載の信号受信機。
【請求項19】
前記第1の参照関数は、正弦波、鋸歯波、三角形波、または正方形波関数、もしくはそれらの組み合わせのうちのいずれかである、請求項12に記載の信号受信機。
【請求項20】
前記第2の参照関数は、余弦波、鋸歯波、三角形波、または正方形波関数、もしくはそれらの組み合わせのうちのいずれかである、請求項12に記載の信号受信機。
【請求項21】
前記時間間隔は、最小周波数におけるパケットの長さより長い、請求項12に記載の信号受信機。
【請求項22】
前記時間間隔は、最小周波数における2つのパケットの長さより長い、請求項12に記載の信号受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2013年9月20日に出願され、“Methods, Devices and Systems for Receiving and Decoding a Signal in the Presence of Noise Using Slices and Warping”と題された、米国仮出願第61/880,786号の35USC §119(e)のもとでの利益を主張するものであり、該出願の開示は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
摂取可能センサは、低電力通信機を備えてもよく、その伝送は、身体の外側に装着され得る受信機によって受信される。従来の「身体通信システム」は、利用可能な電力消費およびメモリサイズを考慮して、所定の量の時間内に高速未加工データを処理可能であるべきである。従来の受信機では、着信信号は、アナログフィルタおよびアナログ電子増幅器を備える、「アナログフロントエンド」回路を通して通過する。アナログフィルタは、典型的には、送信機搬送波周波数の製造公差によって決定されるように、広帯域幅を有し、全ての可能性として考えられる伝送される周波数の検出を可能にする。アナログフロントエンド内に提供されるフィルタリングは、限られており、有意な量の雑音が、所望の信号とともに通り抜けることを可能にする。アナログ増幅およびフィルタリング後、信号は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)によってデジタル化される。受信された信号の処理の残りは、とりわけ、内蔵されたマイクロプロセッサ、状態機械、論理ゲートアレイ等のデジタルハードウェア内で実施されてもよい。現時点でデジタル化されている信号は、1つまたはそれを上回る狭帯域デジタルフィルタを通して通過し、デコーディングが試行される前に、可能な限り多くの雑音を除去してもよい。
【0003】
搬送波周波数の受信機の推定値が、有意な量の不確実性を有する場合、受信機は、より広い帯域幅デジタルフィルタを用いて始動し、したがって、より大量の雑音を許容するように要求される。より大量の雑音は、弱信号が完全に逸失され得ることを意味する。しかしながら、大部分の雑音を拒否するために、受信機は、狭帯域幅を伴うデジタルフィルタを適用してもよい。しかし、狭フィルタが、正しくない搬送波周波数を中心とする場合、着信信号は、完全に逸失され得る。したがって、着信信号の効率的検出およびデコーディングのために、着信搬送波周波数の受信機の知識が不正確であるとき、可能な限り多くの雑音を除去するための狭帯域幅フィルタと、信号の搬送波周波数が捕捉される可能性を増加させるためのより大きな帯域幅を有するフィルタとの間において、均衡がとられなければならない。したがって、受信機は、狭フィルタの中心周波数を反復的に調節し、それを新しい中心に移動させ、その後、再び、検出を試行するように構成されてもよい。狭帯域幅フィルタを用いた搬送波の検索の本プロセスは、時間がかかり、かつ電力集約的である。有意には、新しい中心周波数に再フィルタリングするために、受信機は、オリジナルデータ記録のコピーをメモリ内に留保するか、またはオリジナルデータが利用不可能である場合、完全に新しいデータ記録を捕捉するかのいずれかを行わなければならない。本プロセスは、有意なメモリリソース(特に、高分解能ADCを使用する)を要求するだけではなく、また、単に、着信信号の搬送波周波数を識別するために、有意な量のデバイスバッテリ寿命を費やす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
その第1の側面における本発明は、請求項1から16に記載の方法を提供する。
【0005】
その第2の側面における本発明は、請求項17から34に記載の信号受信機を提供する。
【0006】
その第3の側面における本発明は、請求項35から39に記載の方法を提供する。
【0007】
その第4の側面における本発明は、請求項40から44に記載の受信機を提供する。
【0008】
その第5の側面における本発明は、請求項45から52に記載の方法を提供する。
【0009】
その第6の側面における本発明は、請求項53から61に記載の方法を提供する。
【0010】
その第7の側面における本発明は、請求項62から65に記載の方法を提供する。
【0011】
その第8の側面における本発明は、請求項66および67に記載の方法を提供する。
【0012】
その第9の側面における本発明は、請求項68から72に記載の方法を提供する。
【0013】
その第10の側面における本発明は、請求項73から79に記載の方法を提供する。
【0014】
さらなる側面における本発明は、プログラムを提供する。そのようなプログラムは、それだけで提供される、または搬送波媒体によって搬送されることができる。搬送波媒体は、記録または他の記憶媒体であってもよい。伝送媒体は、信号であってもよい。
【0015】
一実施形態によると、方法は、信号を受信およびサンプリングするステップを含んでもよい。信号は、データパケットをエンコードしてもよい。信号の選択された数のサンプル毎に、一対の値を含むスライスが、生成および記憶されてもよい。データパケットの存在は、次いで、検出され、検出されたパケットは、記憶されたスライスからデコードされてもよい。信号のサンプルは、信号と受信機内の参照関数の相関を表してもよい。スライスを生成および記憶するステップは、受信された信号がサンプリングされるにつれて実施されてもよい。信号のサンプリングされた値は、スライスが生成および記憶されるにつれて破棄されてもよい。信号のスライス表現は、フレキシブル帯域幅および中心周波数を伴うフィルタを生成するように操作されることができる。
【0016】
一実施形態によると、受信機に到着した信号を検出およびデコードする方法は、受信機が着信信号を受信するステップから開始し、随意に、アナログフロントエンドにおいて、いくつかのアナログ事前処理(例えば、増幅およびフィルタリング)を実施してもよく、その後、事前処理されたデータは、ADC内でサンプリングされてもよい。サンプリングされた未加工データは、一実施形態によると、次いで、例えば、相関アルゴリズムを使用して、メモリ内に記憶された内部参照テンプレートに対して比較されてもよい。一例示的技法は、ある時間周期にわたって、サンプリングされた着信信号と所定の参照テンプレートを相関させるステップを含む。
【0017】
実施形態は、算出能力およびメモリサイズの両方に歪みを及ぼす、大量の高速サンプルを捕捉および記憶するステップに固有の問題に対処する。実施形態は、「スライス」を捕捉することによって、両問題を解決する。スライスデータ表現は、一実施形態によると、着信信号を効率的かつコンパクトに表し、ほぼ任意の帯域幅のフィルタを実装するために十分な情報を含有する。一実施形態によると、スライスは、ワーピング演算を受けてもよく、それによって、スライスのセットは、検出プロセスを完了するために有用な方法において変換される。実際、スライスは、組み合わせられ、一実施形態によると、選択的に、広または狭通過帯域を有する、フィルタを作成してもよい。実施形態によると、ワーピング演算は、一周波数において捕捉されたスライスを別の近傍周波数におけるスライスに変換するように構成されてもよい。本ワーピング演算は、着信搬送波周波数を見出し、雑音環境内のデータパケットの証拠を見出すように構成されるアルゴリズムによって実施されてもよい。信号データのスライス表現は、実施形態によると、ワーピング関数と結合され、限られたハードウェアおよびメモリリソースを用いて、高度な検出アルゴリズムを行うための新規かつ非常に効率的方法を表す。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記受信された信号をサンプリングするステップと、
前記信号の選択された数のサンプル毎に、対の値を含む複数のスライスを生成および記憶するステップと、
前記データパケットの存在を検出し、それを前記記憶されたスライスからデコードするステップと
を含む、方法。
(項目2)
生成および記憶するステップは、前記受信された信号がサンプリングされるにつれて実施される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記スライスがそこから生成され、記憶されるにつれて、前記サンプリングされた信号を破棄するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
生成および記憶するステップは、前記スライスのそれぞれの成分値が、第1の参照関数および前記第1の参照関数と直交位相にある第2の参照関数を使用して生成されるのに伴って実施される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記複数のスライスのそれぞれを生成するステップは、
前記信号のサンプルと第1の参照テンプレートを相関させるステップと、
前記対の値の第1の値を生成するステップと、
前記信号の選択された数のサンプルと第2の参照テンプレートを相関させるステップと、
前記対の値の第2の値を生成するステップと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記第1の参照テンプレートは、参照周波数における余弦関数を備え、前記第2の参照テンプレートは、前記参照周波数における正弦関数を備える、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記スライスの対の値の第1の値は、前記サンプリングされた信号および前記参照周波数における余弦関数のドット積を備え、前記スライスの対の値の第2の値は、前記サンプリングされた信号および前記参照周波数における正弦関数のドット積を備える、項目6に記載の方法。
(項目8)
いくつかの前記複数のスライスを組み合わせることによって、フィルタを形成するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記フィルタの帯域幅は、前記いくつかの組み合わせられたスライスに関連する、項目8に記載の方法。
(項目10)
第1の数のスライスが組み合わせられると、前記フィルタは、第1の帯域幅を有し、前記第1の数を上回る、第2の数のスライスが組み合わせられると、前記フィルタは、前記第1の帯域幅より狭い、第2の帯域幅を有する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記パケットの存在を検出するステップは、前記複数のスライスによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記パケットの存在を検出するステップは、スライスを組み合わせることによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
検出するステップはさらに、前記フィルタの中心周波数を、前記記憶されたスライスを使用して、第1の中心周波数から、前記第1の中心周波数と異なる第2の中心周波数に再同調するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記フィルタの中心周波数を再同調するステップは、その個別の対の値をある量だけ回転させることによって、前記フィルタが形成されるスライスをワーピングするステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記量は、回転角度、スケーリング係数、および前記フィルタが形成されるスライスと関連付けられたインデックスを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記量は、参照周波数からの位相角度の総和および回転角度とスライスインデックスの積を含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
信号受信機であって、
受信された信号をサンプリングするように構成される、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)と、
メモリと、
前記メモリに結合されたコントローラであって、
前記信号の選択された数のサンプル毎に、一対の値を含むスライスを生成し、前記メモリ内に記憶することと、
前記データパケットの存在を検出し、それを前記記憶されたスライスからデコードすることと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、信号受信機。
(項目18)
前記コントローラは、前記ADCが前記受信された信号をサンプリングするにつれて、前記スライスを生成および記憶するように構成される、項目16に記載の信号受信機。
(項目19)
前記コントローラはさらに、前記スライスがそこから生成され、記憶されるにつれて、前記サンプリングされた信号を破棄するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目20)
前記コントローラはさらに、その成分値が、第1の参照関数および前記第1の参照関数と直交位相にある第2の参照関数を使用して生成されるように、前記スライスのそれぞれを生成するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目21)
前記メモリは、少なくとも第1の参照テンプレートおよび第2の参照テンプレートを記憶するように構成され、および前記コントローラはさらに、前記サンプリングされた信号の選択された数のサイクルと前記第1の参照テンプレートを相関させ、前記対の値の第1の値を生成し、前記信号の選択された数のサンプルと前記第2の参照テンプレートを相関させ、前記対の値の第2の値を生成するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目22)
前記第1の参照テンプレートは、参照周波数における第1の参照関数を備え、前記第2の参照テンプレートは、前記参照周波数における第2の参照関数を備える、項目21に記載の信号受信機。
(項目23)
前記第1の参照関数は、前記第2の参照関数と直交位相にある、項目22に記載の信号受信機。
(項目24)
前記第1の参照関数は、余弦関数を備え、前記第2の参照関数は、正弦関数を備える、項目23に記載の信号受信機。
(項目25)
前記スライスの対の値の第1の値は、前記サンプリングされた信号および前記参照周波数における余弦関数のドット積を備え、前記スライスの対の値の第2の値は、前記サンプリングされた信号および前記参照周波数における正弦関数のドット積を備える、項目24に記載の信号受信機。
(項目26)
前記コントローラはさらに、いくつかのスライスを組み合わせ、フィルタを形成するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目27)
前記フィルタの帯域幅は、前記いくつかの組み合わせられたスライスに関連する、項目26に記載の信号受信機。
(項目28)
第1の数のスライスが組み合わせられると、前記フィルタは、第1の帯域幅を有し、前記第1の数を上回る、第2の数のスライスが組み合わせられると、前記フィルタは、前記第1の帯域幅より狭い、第2の帯域幅を有する、項目27に記載の信号受信機。
(項目29)
前記コントローラはさらに、前記スライスを組み合わせることによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出することによって、前記パケットの存在を検出するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目30)
前記コントローラはさらに、前記記憶されたスライスを使用して、前記フィルタの中心周波数を、第1の中心周波数から前記第1の中心周波数と異なる第2の中心周波数に再同調するように構成される、項目29に記載の信号受信機。
(項目31)
前記コントローラはさらに、その個別の対の値をある量だけ回転させることにより、前記フィルタが形成されるスライスをワーピングすることによって、前記フィルタの中心周波数を再同調するように構成される、項目17に記載の信号受信機。
(項目32)
前記量は、回転角度、スケーリング係数、および前記フィルタが形成されるスライスと関連付けられた個別のスライスインデックスを含む、項目31に記載の信号受信機。
(項目33)
前記スケーリング係数は、整数である、項目32に記載の信号受信機。
(項目34)
前記スケーリング係数は、代数式を含む、項目32に記載の信号受信機。
(項目35)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、第1の周波数において、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と、前記第1の周波数と異なる第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートを相関させ、前記第2の周波数において、複数のスライスを生成するステップであって、前記スライスのそれぞれは、一対の値を含む、ステップと、
前記第2の周波数における前記複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数におけるスライスに変換するステップと、
前記変換されたスライスを組み合わせることによって、前記オフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数に中心周波数を有するフィルタを生成するステップと
を含む、方法。
(項目36)
前記第1の周波数が前記生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第1の周波数が前記フィルタの通過帯域内になるまで、それぞれ、異なるオフセットを使用して、反復的に変換、生成、および判定するステップをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記受信された信号のサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目39)
前記生成された複数のスライスをメモリ内に記憶し、インデックス化するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
受信機であって、
第1の周波数において受信された信号からサンプリングされた値を生成するように構成される、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)と、
メモリと、
前記メモリに結合されたコントローラであって、
個別の選択された数のサンプリングされた値にわたってサンプリングされた値と前記第1の周波数と異なる第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートを相関させ、それぞれ一対の値を含む、複数のスライスを生成することと、
前記第2の周波数における前記複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数におけるスライスに変換することと、
前記変換されたスライスを組み合わせることによって、前記オフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数に中心周波数を有するフィルタを生成することと
を行うように構成される、コントローラと
を備える、受信機。
(項目41)
前記コントローラはさらに、前記スライスをメモリ内に記憶し、インデックス化するように構成される、項目40に記載の受信機。
(項目42)
前記受信された信号のサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、項目40に記載の受信機。
(項目43)
前記コントローラはさらに、前記第1の周波数が前記生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するように構成される、項目40に記載の受信機。
(項目44)
前記受信機はさらに、前記第1の周波数が前記フィルタの通過帯域になるまで、それぞれ、異なるオフセットを使用して、反復的に変換、生成、および判定するように構成される、項目43に記載の受信機。
(項目45)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、複数のスライスを備える、スライス記録を生成するステップであって、前記第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、前記第2の参照テンプレートは、前記第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
前記スライス記録の一部分と前記スライス記録の前記部分の遅延バージョンを自己相関させ、自己相関項を生成するステップと、
自己相関項の大きさが、所定の数の自己相関項に関する所定の閾値を超えるときを判定するステップと
を含む、方法。
(項目46)
前記所定の閾値は、所定の雑音閾値である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記所定の数の相関項は、前記データパケットの少なくともプリアンブルの予期される幅と関連付けられる、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記第1の参照関数は、余弦関数を備え、前記第2の参照関数は、正弦関数を備える、項目45に記載の方法。
(項目49)
前記受信された信号の搬送波周波数を判定するステップをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目50)
判定するステップは、
前記複数のスライスの少なくともいくつかを周波数オフセットによってワーピングするステップと、
前記ワーピングされたスライスからフィルタを生成するステップと、
前記搬送波周波数が、前記生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するステップと
を含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
ワーピングおよび生成するステップは、前記信号を再取得または再サンプリングせずに、前記生成されたフィルタの中心周波数をシフトさせるステップを含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記スライス記録を生成後、前記受信された信号のサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目53)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、前記サンプリングされた値から複数のスライスを備えるスライス記録を生成するステップであって、前記第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、前記第2の参照テンプレートは、前記第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
前記スライス記録と記憶されたテンプレートを相互相関させ、相互相関項を生成するステップと、
前記相互相関項の大きさが、前記記憶されたテンプレートの幅に関する所定の閾値を超えるかどうかを判定するステップと
を備える、方法
(項目54)
前記所定の閾値は、所定の雑音閾値である、項目51に記載の方法。
(項目55)
前記記憶されたテンプレートは、前記データパケットのプリアンブルのスライス記録を含む、項目51に記載の方法。
(項目56)
前記第1の参照関数は、余弦関数を備え、前記第2の参照関数は、正弦関数を備える、項目51に記載の方法。
(項目57)
前記受信された信号の搬送波周波数を判定するステップをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目58)
判定するステップは、
前記複数のスライスの少なくともいくつかを周波数オフセットによってワーピングするステップと、
前記ワーピングされたスライスからフィルタを生成するステップと
を含む、項目51に記載の方法。
(項目59)
前記搬送波周波数が、前記生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するステップをさらに含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
ワーピングおよび生成するステップは、前記信号を再取得または再サンプリングせずに、前記生成されたフィルタの中心周波数をシフトさせるステップを含む、項目58に記載の方法。
(項目61)
前記スライス記録を生成後、前記受信された信号のサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目62)
方法であって、
信号を受信するステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と第1の周波数において得られた値の所定の第1および第2のテンプレートを相関させ、前記第1の周波数における複数のスライスを生成するステップと、
前記第1の周波数において生成された複数のスライスの少なくともいくつかを前記第1の周波数と異なる第2の周波数におけるスライスに変換するステップと、
第1のフィルタを前記第2の周波数におけるスライスから生成するステップと、
前記第1の周波数において生成された複数のスライスの少なくともいくつかを前記第1および第2の周波数と異なる第3の周波数におけるスライスに変換するステップと、
前記第3の周波数におけるスライスから第2のフィルタを生成するステップと
を含む、方法。
(項目63)
変換および生成するステップは、前記信号を再取得または再サンプリングせずに、前記生成された複数のスライスから実施される、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記第1の周波数における前記複数のスライスを生成後、前記受信された信号の生成されたサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記第1のフィルタの通過帯域内の第1の搬送波周波数を検出するステップと、前記第2のフィルタの通過帯域内の第2の搬送波周波数を検出するステップとをさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目66)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、第1の周波数において、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記受信された信号を数値化し、所定の雑音閾値を上回るまたは下回る、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と、前記第1の周波数と異なる第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートを相関させ、前記第2の周波数において、複数のスライスを生成するステップであって、前記スライスのそれぞれは、一対の値を含む、ステップと、
前記第2の周波数における前記複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数におけるスライスに変換するステップと、
前記変換されたスライスを組み合わせることによって、前記オフセットをプラスまたはマイナスされた前記第2の周波数に中心周波数を有するフィルタを生成するステップと
を含む、方法。
(項目67)
数値化するステップは、1−ビットアナログ/デジタルコンバータを使用して、前記サンプリングされた値を生成するステップを含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
方法であって、
信号を受信するステップであって、前記信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、前記サンプリングされた値から複数のスライスを備えるスライス記録を生成するステップであって、前記第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、前記第2の参照テンプレートは、前記第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
前記エンコードされたデータパケットの少なくとも2つのプリアンブルに及ぶ前記スライス記録の一部分とその遅延バージョンを自己相関させ、自己相関項を生成するステップと、
自己相関項の大きさが、所定の数の自己相関項に関する所定の閾値を超えるときを判定するステップと
を含む、方法。
(項目69)
前記所定の閾値は、所定の雑音閾値である、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記第1の参照関数は、余弦関数を備え、前記第2の参照関数は、正弦関数を備える、項目68に記載の方法。
(項目71)
少なくとも1つのスライスによって、前記スライス記録の部分の遅延バージョンをシフトさせるステップと、前記自己相関および判定を繰り返すステップとをさらに含む、項目68に記載の方法。
(項目72)
前記自己相関項の大きさから前記データパケットの境界を判定するステップをさらに含む、項目68に記載の方法。
(項目73)
方法であって、
データパケットを含む信号を受信するステップと、
前記信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
前記サンプリングされた値と第1の周波数において得られた値の余弦テンプレートおよび正弦テンプレートを相関させ、前記第1の周波数における複数のスライスを生成するステップであって、前記複数のスライスはそれぞれ、余弦成分および正弦成分を備える、ステップと、
前記第1の周波数において生成された複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットだけ前記第1の周波数から異なる周波数におけるスライスに変換するステップと、
前記変換されたスライスから、前記データパケットのビット毎に、位相角度を計算するステップと、
それぞれ、異なるオフセットを使用して、反復的に変換および計算し、前記信号の搬送波周波数を検出するステップと
を含む、方法。
(項目74)
前記信号の搬送波周波数は、前記データパケットのビットを横断する連続位相角度が、第1の所定のパターンに最も類似しないときと、第2の所定のパターンに最も類似するときに検出される、項目68に記載の方法。
(項目75)
前記第1の所定のパターンは、鋸歯パターンを備え、前記第2の所定のパターンは、直線を備える、項目69に記載の方法。
(項目76)
計算するステップは、前記生成されたスライスの正弦成分と余弦成分の比率の逆正接を計算するステップを含む、項目68に記載の方法。
(項目77)
ビットを横断して計算された位相角度は、0〜2πと変動する、項目68に記載の方法。
(項目78)
前記計算された位相角度は、第1のワーピング角度から第2のワーピング角度にシフトし、集合的に、方形波に類似する、項目68に記載の方法。
(項目79)
前記第1の位相角度は、前記信号の第1のシンボルを示し、前記第2の位相角度は、第2のシンボルを示す、項目73に記載の方法。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、添付の図面を参照して、例示的実施形態の以下の説明から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態による、種々の波形および例示的スライスを示す。図1はまた、一実施形態に従って構成された送信機および受信機を備える、システムを示す。
図2A図2Aは、2つのサンプリングされた波形の相関を図示する。
図2B図2Bは、一実施形態による、1つの項(この場合、正弦項)が計算される様式を図示する。
図3図3は、一実施形態による、組み合わせられたスライス項(この場合、余弦項)を計算する方法の側面を図示する。
図4図4は、一実施形態による、正弦および余弦スライス項を組み合わせ、より長い相関を形成する方法の側面を示す。
図5図5は、極座標系内の回転ベクトルとして描写される信号の位相を示す。
図6図6Aは、極座標系内の参照周波数における回転ベクトルを示す。図6Bは、極座標系内の参照周波数における回転ベクトルと、参照周波数を上回る周波数における信号の回転ベクトルを示す。図6Cは、極座標系内の参照周波数における回転ベクトルと、参照周波数を下回る周波数における信号の回転ベクトルを示す。
図7図7は、一実施形態による、ワーピングの側面を示す。
図8図8は、一実施形態による、ワーピング、整合され、組み合わせの準備ができたスライスを示す。
図9図9は、一実施形態による、スライスのワーピングを使用して、搬送波周波数を検索するための方法の側面を示す
図10図10は、一実施形態による、周波数偏移変調(FSK)搬送波検出の側面を示す。
図11図11は、一実施形態による、微同調FSK搬送波検出の側面を示す。
図12図12は、一実施形態による、信号を検出する方法の論理フローである。
図13図13は、一実施形態による、方法の論理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、一実施形態による、低電力発振送信機102と、受信機104とを備える、システムを示す。その中に示されるように、発振送信機102は、通信チャネル103によって、受信機104から分離され得る。例えば、発振送信機102は、摂取可能センサ内に配置されてもよく、その伝送105は、皮膚106上等、身体の外側に装着され得る、受信機104を備える受信機パッチによって受信される。この場合、通信チャネル103は、身体の水性環境を含んでもよい。受信機104は、アナログフロントエンドを備えてもよく、受信された信号は、ADC110に入力される前に、事前処理されてもよく、これは、未加工デジタルサンプルの時系列を生成し得る。サンプルは、例えば、サイズが1から24ビットの2進数として表され得る。受信機104はまた、メモリ114に結合され得る、コントローラ112を備えてもよい。メモリ114は、以下に詳述されるように、コントローラ112によって、必要に応じて、スライスデータ、参照テンプレート、および他の一時的値を記憶するように構成されてもよい。受信機はまた、通信インターフェース(図示せず)を備え、受信された信号内でエンコードされたパケットのデコードされたペイロードが外界に通信されることを可能にしてもよい。
【0021】
一実施形態によると、受信機104に到着した信号を検出およびデコードするコンピュータ実装方法は、受信機104が着信信号105を受信するステップから開始してもよく、アナログフロントエンド108において、いくつかのアナログ事前処理(例えば、増幅およびフィルタリング)を実施し、その後、事前処理されたデータは、ADC110内でサンプリングされてもよい。サンプリングされた未加工データは、一実施形態によると、次いで、コントローラ112によって、相関アルゴリズムを使用して、メモリ114内に記憶された内部参照テンプレートに対して比較されてもよい。一技法は、ある時間周期にわたって、サンプリングされた着信信号と所定の参照テンプレートを相関させるステップを含む。
【0022】
実施形態は、算出能力およびメモリサイズの両方に歪みを及ぼす、大量の高速サンプルを捕捉および記憶するステップに固有の問題に対処する。実施形態は、「スライス」を捕捉することによって、両問題を解決する。スライスデータ表現は、一実施形態によると、着信信号を効率的かつコンパクトに表し、ほぼ任意の帯域幅のフィルタを実装するために十分な情報を含有する。一実施形態によると、スライスは、ワーピング演算を受けてもよく、それによって、スライスのセットは、検出プロセスを完了するために有用な方法において変換される。実際、スライスは、一実施形態によると、組み合わせられ、選択的に、広または狭通過帯域を有するフィルタを作成してもよい。実施形態によると、ワーピング演算は、1つの周波数において捕捉されたスライスを別の近傍周波数におけるスライスに変換するように構成されてもよい。本ワーピング演算は、着信搬送波周波数を見出し、雑音環境内のデータパケットの証拠を見出すように構成されるアルゴリズムによって実施されてもよい。信号データのスライス表現は、実施形態によると、ワーピング関数と結合され、限られたハードウェアおよびメモリリソースを用いて、高度な検出アルゴリズムを行うための新規かつ非常に効率的方法を表す。例えば、1つまたはそれを上回るマイクロコントローラ、1つまたはそれを上回るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAS)、または特定用途向け集積回路(ASICS)が、本明細書に開示される処理を実施するために使用されてもよい。デジタル信号プロセッサ(DSP)もまた、有利には、使用されてもよい。
【0023】
スライス:一実施形態によると、スライス構成概念が、導入される。着信信号の比較的に短い部分(例えば、約4−8サイクル)の相関を通して達成される、短い相関は、本明細書では、スライスとして示される。スライス間隔は、一実施形態によると、所定の時間周期として定義されてもよい。図1は、20,000Hz信号の種々のセグメントを示す。示されるように、参照番号102は、そのような20,000Hz信号の単一サイクルを示し、その周期Tは、1/20,000Hzまたは50μsecである。参照番号104は、20,000Hz信号の4サイクルに等しい時間、すなわち、200μsecとして定義される、単一スライス間隔を示す。本明細書では、スライス間隔は、任意に、着信信号の4サイクルとして定義される。しかしながら、スライス間隔は、異なる量の時間または数のサイクルを備えてもよい。例えば、スライス間隔は、8サイクルに等しい時間を備えてもよい。以下、具体的に記載されない限り、スライス間隔は、着信信号の4サイクルを備えるものとして定義され、他のスライス間隔も、容易に実装され得ることを理解されたい。例えば、スライス定義は、サイクルで表され得るが、任意の信号またはテンプレートの全サイクルの倍数であるように要求されない。スライスは、任意の定義される量の時間であってもよい。スライス時間は、必要に応じて、受信機内で変更されてもよい。例えば、受信機は、2つのスライスルーチンを実装し、例えば、1つは、20kHzにおいて、もう1つは、12.5kHzにおいて、2つのスライスストリームを同時に捕捉し得る。2つのスライス算出は、チャネル毎に好適な異なるスライス時間を使用し得る。図1における106に示されるように、4つのスライス間隔は、16サイクルを備え、800μsecの周期を有してもよい。最後に、参照周波数の64サイクルは、108に示されるように、16のスライス間隔に分割されてもよい。1つのスライス内に含まれる着信信号のサンプルの数は、以下のADCのスライス間隔およびサンプリング率の定義によって左右される。
スライスあたりのサンプル=ADCサンプル率・スライス間隔
【0024】
ADCサンプリング率は、少なくとも、ナイキストの定理が要求する頻度、すなわち、少なくとも、着目周波数の2倍であり得る。一実施形態によると、ADCサンプリング率は、5倍またはそれを上回る倍数等、着信信号の着目周波数より高くなるように選定されてもよい。他のサンプリング率も、利用されてもよい。一実施形態では、受信機(例えば、患者の腹部に接着される)内のADCは、1秒あたり40またはそれを上回る回数、サンプリングを実施するように構成されてもよい。連続スライスの開始時間は、有利には、ある固定された、例えば、間隔に従って、周期的であるように選択されてもよい。しかしながら、容認可能結果はまた、サンプリングが実施されていない、短時間周期が存在するときでも得られ得る。
【0025】
着信信号のデジタル化されたサンプルと参照テンプレートとの間の類似性を判定するために、ドット積(対応するサンプルの積の総和)または相関演算が、実施されてもよい。図2Aは、デジタル化された着信信号と余弦テンプレートのそのような相関演算を示す。ここでは、Aは、デジタル化された着信信号を表し得、Bは、例えば、参照周波数(例えば、20,000Hz)における余弦テンプレート等の第1の参照関数のテンプレートを表し得る。言い換えると、余弦テンプレートBは、一実施形態によると、受信機104が、受信された信号の余弦成分に期待する様態の表現であって、相関演算は、信号Aと余弦テンプレートBとの間の類似性の程度を判定する。示されるように、信号Aのサンプルは、余弦テンプレートBの対応するサンプルと乗算され、これらの加算の結果は、サンプルの数Nにわたって総和される。より形式的に述べると、Cは、AとBのスカラー積であって、以下のように表され得る。
【数1】
【0026】
同様に、図2Bは、正弦テンプレートとの相関を示す。ここでは、Aは、デジタル化された着信信号を表し得、Dは、第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数のテンプレートを表し得る。例えば、第2の参照関数のテンプレートは、例えば、参照周波数(例えば、20,000Hz)における正弦テンプレートであってもよい。示されるように、信号Aのサンプルは、正弦テンプレートDの対応するサンプルと乗算され、これらの加算の結果は、サンプルの数Nにわたって総和される。より形式的に述べると、Sは、AとDのスカラー積であって、以下のように表され得る。
【数2】
直交余弦および正弦テンプレートは、直角位相関係にある。2つの相関結果CおよびSは、まとめられると、スライスを表す。複素極表記では、C+j・Sは、着信信号と受信機の参照テンプレートとの間の位相を示す角度を伴うベクトルである。実際は、スライスは、1/(スライス間隔)フィルタと考えられ得る。
【0027】
一実施形態によると、スカラーCおよびSは、スケーリング係数によってスケーリングされてもよい。例えば、CおよびSは、例えば、0と1との間の値の範囲をとり得るようにスケーリングされてもよい。他のスケーリング係数および範囲も、適応され得る。
【0028】
本明細書で示され、論じられるように、参照テンプレートは、正弦テンプレートおよび余弦テンプレートである。しかしながら、例えば、鋸歯、三角形、または正方形信号等、他の周期的形状が、参照テンプレートとして使用されてもよい。参照テンプレートのための非正弦波波形の選択は、ある情報が破棄される結果をもたらし得るが、着目信号は、依然として、受信された信号から抽出され得る。さらに、相互に90度位相がずれた(直交位相にある)参照テンプレートを有するが、相互に他の位相関係を有する参照テンプレートが、使用されてもよい。例えば、2つの参照テンプレートは、実質的悪影響を及ぼすことなく、相互に89度または91度位相がずれ得る。
【0029】
一実施形態によると、スライス相関(または、単に、スライス)は、受信機のADC110によって生成された未加工デジタル化サンプルから計算されてもよい。これらの未加工デジタル化サンプルは、受信機104に記憶された参照周波数(freqRef)における余弦および正弦参照テンプレートの両方のサンプルに対して相関されてもよい。スライスの余弦項および正弦項は、一実施形態によると、以下として定義され得る。
【数3】
式中、Nは、1つのスライス中のサンプルの数である。
スライスのベクトルの大きさは、以下のように、二乗平均平方根(RMS)方式で算出されてもよい。
【数4】
スライスの大きさの量は、組み合わせられたスライスの大きさを示すスカラーである。
そのスライスのベクトル角度(スライス角度)、以下によって与えられる。
【数5】
【0030】
スライスの組み合わせ:図3は、2つのスライス間隔(本図では、スライス間隔は、余弦テンプレートの1つのサイクルを包含する)にわたる信号AおよびテンプレートBのスカラードット積を示す略図であって、相関の付加的性質を示す。一実施形態によると、スライスが組み合わせ可能であるために、各参照テンプレートの参照信号はそれぞれ、コヒーレント(相互に同相であることを意味する)であるべきである。示されるように、2つのスライス間隔(この場合、2Nサンプル)にわたるAおよびBの相関またはドット積は、AおよびBの第1のNサイクルにわたる相関と第2のNサイクルにわたる相関の単純スカラー総和(累積)に対応する。すなわち、以下となる。
【数6】
【0031】
さらに、AおよびBの3つのスライス間隔に対応する時間間隔に関する相関を算出するために、C1およびC2を再算出する必要はない。単に、相関C3を算出し、結果をC12に加算し、相関(3つのスライス間隔の信号長にわたるベクトルAおよびBのドット積)C13を生成する。スライスは、以下にさらに詳述されるように、1/(スライス間隔)フィルタと等価であるため、スライスがより長い相関に組み合わせられるにつれて、フィルタ帯域幅は、対応して、減少される。
【0032】
一実施形態によると、スライスは、余弦項および正弦項の両方を備える、複素対として取り扱われる。スライスの余弦項は、一実施形態によると、サンプリングされた着信信号と参照周波数(freqRef)における受信機104内に記憶された余弦テンプレートとの間の相関を表す。同様に、スライスの正弦項は、一実施形態によると、サンプリングされた着信信号とfreqRefにおける受信機104内に記憶された正弦テンプレートとの間の相関を表す。freqRefは、送信機が伝送するために規定される、予期または公称周波数に設定されることができるが、製造上のばらつき(送信機および受信機の両方において生じ得る)、送信機および受信機の温度等の周囲条件、通信チャネル(例えば、胃および周囲組織の塩分等のヒト身体の水性および生理学的環境)を通した歪曲に起因して変動し得る。他の要因として、例えば、送信機および受信機上で使用される周波数較正プロセスのばらつき(あまり正確ではない、またはその調節方法における周波数ステップが大きい場合がある)が挙げられ得る。
【0033】
実施形態によると、いったんスライス計算が、実施され、スライス項が、メモリ114内に記憶されると、全ての後続パケット検出、周波数判定、およびペイロードデコーディングステップは、ADCによって生成されたデジタル化サンプルを照会または再生成する必要なく、記憶されたスライスデータに基づき得るため、ADCによって生成された(および、そこからスライスが生成された)オリジナル未加工サンプルは、ここで、破棄されてもよい。実施形態によると、スライス計算およびメモリ114内へのスライスデータの記憶は、受信機104内に提供される好適なコントローラによって、リアルタイムで「オンザフライ」で実施されてもよい。一実施形態によると、スライス相関データは、ADCサンプル時間の合間に利用可能なコントローラコマンド実行サイクルにおいて、受信機のコントローラ112によって計算され、メモリ114内に記憶されてもよい。故に、ADC110からの未加工デジタル化サンプルストリームをメモリ114内に記憶する必要はなくなり得、これは、有意な効率を表す。
【0034】
実施形態によると、受信機104によって記憶されるデータの量の有意な削減が、達成され得る。例えば、搬送波の参照周波数は、20,000Hzであってもよく、ADCのサンプリング率は、搬送波のサイクルあたり160個のADCサンプルに相当する、1秒あたり320万個のサンプル(SPS)であってもよい。しかしながら、ADCのサンプリング率は、自由に選定されてもよい。例えば、ADCのサンプリング率は、1秒あたり数千個のサンプルとなるように選択されてもよい。例えば、ADCのサンプリング率は、搬送波のサイクルあたり10個のADCサンプルに対応する、約200kSPSとなるように選定されてもよい。コントローラ112は、例えば1秒あたり、1,600万個の命令を実行するように構成されてもよい。スライス間隔が、サンプリング率200kSPSにおける参照周波数の4サイクルとして定義される場合、各スライス内に10・4または40個のADCサンプルが存在する。各ADCサンプルの合間に利用可能な16,000,000/20,000または80個のプロセッササイクルが存在し、これは、概して、スライス記録を生成および記憶するために十分である。一実施形態によると、各個々の新しいサンプルは、累積スライス余弦および正弦ドット積に組み込まれ、これらの利用可能なプロセッササイクル内に記憶され、それによって、コントローラ112が、ADCによって生成されるにつれて、サンプリングと並行しながら、スライスデータを生成することを可能にし得る。スライス相関計算の結果は、40:2のスライス(例えば、着信信号の4サイクル)あたりの圧縮または未加工サンプルストリームに対して20の圧縮係数を表す、2つの数(余弦項および正弦項)となる。本特定の実施例では、これは、メモリ要件の1桁を上回る削減を表す。スライス時間またはサンプリング率の線形増加は、本圧縮率を増加させる。一実施形態では、サンプリング率760kSPSは、サンプル間に21個のプロセッササイクルを可能にし、これは、到着するにつれて、サンプリングと並行しながら、スライスデータを生成するために十分な算出能力である。各サイクルは、760/20または38個のサンプルによって表され、したがって、各スライスは、着信信号の4・38または152個のサンプルを表す。結果として生じる圧縮係数は、152:2または圧縮係数71である。
【0035】
アナログスライス処理−一実施形態によると、着信信号は、2つのアナログ乗算器(例えば、直交ミクサ)によって、2つの参照信号と乗算されてもよい。積信号はそれぞれ、次いで、ある時間周期の間、総和され(例えば、貯蔵されたキャパシタ電荷に基づくキャパシタまたはアクティブ回路を使用したアナログ積分によって)、次いで、はるかに低い周波数においてサンプリングされてもよい。各そのようなサンプル対は、スライス対を表す。そのようなアナログ実施形態は、電力消費利点が実現されることを可能にし得る。
【0036】
スライスの組み合わせ、フィルタリング−事実上、スライス相関計算は、参照周波数20,000Hzおよびスライスあたり4サイクルの場合の実施例では、比較的に広い帯域幅を有するフィルタである、1/200μsecまたは5,000Hzに算定される、1/(スライス間隔)の帯域幅を伴うフィルタを表す。一実施形態によると、スライス対の構成余弦成分は、組み合わせられてもよく、スライス対の構成正弦成分も、組み合わせられてもよく、それによって、スライス時間を増加させ、より狭い帯域幅を有するフィルタを作成する。スライス間隔とフィルタ帯域幅との間の逆関係に起因して、一実施形態によると、より狭い帯域幅フィルタは、スライス項の組み合わせを通して達成されてもよい。実際、短い時間周期にわたって算出されたスライス相関は、そのような短い時間周期を組み合わせることによって、すなわち、スライスを組み合わせることによって、より長い相関に拡張されてもよい。スライス項の組み合わせは、一実施形態によると、いくつかの連続余弦スライス項を総和し、同一数の連続正弦スライス項を総和することによって実施されてもよい。結果として生じる2つの新しい項は、ともに対合されると、より長い相関を表す、組み合わせられたスライスを形成する。
【0037】
実施形態によると、そのようなスライス組み合わせ計算は、全てのスライスインデックス(すなわち、N番目のスライスインデックスまでスキップすることなく)において行われてもよい。図4は、事前に算出され、記憶されたスライス対の余弦および正弦成分の組み合わせのグラフィカル表現である。示されるように、記憶されたスライスデータのオリジナル余弦成分は、「オリジナルスライス余弦項」として標識され、スライスデータのオリジナル正弦成分は、「オリジナルスライス正弦項」として標識される。4つのスライスを組み合わせるために、最初の4つの余弦項(i=1、2、3、4)は、スライスインデックス1を用いて、「組み合わせられたスライス余弦項」に総和される。同様に、スライスデータの最初の4つの正弦成分は、現在のインデックス1から開始する、「組み合わせられたスライス正弦項」に総和される。したがって、最初の反復では、i=1であって、i=1、i=2、i=3、およびi=4にインデックス化された事前に算出された余弦項は、総和され、SliceCosTermを形成し、i=1、i=2、i=3、およびi=4にインデックス化された事前に算出された正弦項は、組み合わせられ、SliceSinTermを形成し、iは、2までインクリメントされる。SliceCosTermは、次いで、現在のi=2スライスインデックスから開始して、4つの連続スライス余弦項、すなわち、i=2、i=3、i=4およびi=5によって形成されてもよい。同様に、SliceSinTermは、次いで、類似算出によって形成されてもよい。本演算は、スライス記録全体に関して実施されてもよい。組み合わせが実施されるスライスの数を変動させることによって、得られたフィルタの帯域幅は、自由に選択され得る。迅速かつ単純に、異なるフィルタを生成する本能力は、概して、受信機における有用な能力である。単純実施例として、受信機104が、受信された信号の搬送波周波数を検索しているとき、小数のスライス余弦および正弦項が、組み合わせられ、事実上、比較的に広帯域幅を有するフィルタであるものを生成し、それによって、搬送波が広帯域幅フィルタによって包含される周波数範囲内のいずれかに存在するであろう確率を増加させ得る。しかしながら、そのような広帯域幅フィルタはまた、対応して、大量の雑音も許容し、特に、弱信号の検出を困難にし得る。代替として、より大きい数のスライス項が、組み合わせられ、事実上、対応して狭帯域幅を有するフィルタであるものを生成してもよい。しかしながら、そのような狭帯域幅フィルタは、大量の雑音を許容せず、搬送波周波数の検出を促進し得る。
【0038】
実施形態によると、スライスの組み合わせの結果の1つは、オリジナルスライスの時間分解能を維持しながら帯域幅が減少されたデジタルフィルタである。そのようなフィルタは、オリジナル未加工ADCデータが、すでに破棄されており、したがって、利用不可能であり得るため、メモリ114内に記憶されたスライスデータのみを使用して構築され得ることに留意されたい。実施形態によると、より多数のスライスにわたるスライス組み合わせが、実装されてもよい。さらに、スライス組み合わせは、オリジナル未加工ADCサンプル(いずれにしても、事前に破棄されている場合がある)を再参照せずに、かつ着信信号を再取得し、新しい未加工ADCサンプルを再サンプリングせずに、オリジナルスライスデータを使用して、または事前に組み合わせられたスライス記録を使用して、異なる数のスライスにわたって繰り返し行われてもよい(故に、異なる帯域幅のフィルタを実装する)。スライスデータによって表される高レベルの圧縮(すなわち、本明細書を用いて開発された実施例では、1桁を上回る)のため、スライスデータの長い記録が、厳しいメモリサイズ制約に直面する場合でも、例えば、コントローラメモリ内に記憶され得る。図1に示されるメモリ114は、コントローラ112の外部またはその内部にあってもよい。
【0039】
一実施形態によると、オリジナルスライス間隔が、スライスが組み合わせられ、組み合わせられたスライスと同じ長さの時間周期となるように定義される場合、スライスを組み合わせる必要はない。例えば、スライス間隔は、本明細書で論じられる例示的実装である、4サイクルより長くなるように定義されてもよい。これは送信機および受信機の優れた結晶制御が存在するシステムでは望ましくあり得る。そのような場合、ワーピング(本明細書で以下に論じられるように)が、狭周波数範囲にわたってのみ実施され、搬送波周波数を見出し、および/または雑音環境内のパケットの存在を検出する必要がある。したがって、一実施形態によると、スライスのオリジナル捕捉セットが、本明細書に説明されるように、スライスを組み合わせる必要なく、フィルタを形成するために使用されてもよい。
【0040】
本明細書に説明され、示される、スライス組み合わせ計算は、大部分が、加算から成るため、そのような組み合わせ計算は、効率的に実施され得る。また、スライス組み合わせ演算は、メモリ114内に記憶され、インデックス化されたスライス余弦および正弦項にのみ作用し得るため、組み合わせ演算は、未加工サンプルが到着するにつれて、リアルタイムで実施される必要はなく、全スライス対が、着信信号の未加工ADCサンプルから生成され、メモリ114内に記憶された後に実施されてもよい。さらに、組み合わせ演算は、一実施形態によると、記憶されインデックス化されたスライス対を改変しないため、スライス組み合わせ演算は、全体的検出およびデコーディングアルゴリズムの必要性に応じて、任意の回数、繰り返されてもよい。すなわち、オリジナルスライスデータは、自由に何回でも再使用されてもよい。代替として、スライス組み合わせ演算は、それ自体が組み合わせ演算の結果である、スライスに行われてもよい。例えば、4つのスライス(「4−スライス」スライス記録)の組み合わせは、1)4つのオリジナルスライスを組み合わせ、4−スライススライス記録を生成すること、または2)2つのオリジナルスライスを2−スライススライス記録に組み合わせ、次いで、2−スライススライス記録からの2つのスライスを組み合わせ、所望の4−スライス記録を生成することのいずれかによって、達成されてもよい。そのようなフレキシブル性は、例えば、プロセッサ内のメモリを節約するために利用されることができる。
【0041】
概要:スライスおよびスライス組み合わせ−本議論におけるここまでのスライス表現を再考するために、着信信号が、参照テンプレートに対して短い相関のシーケンスによって捕捉されることができる。テンプレートは、第1の参照関数および第2の参照関数を備えてもよい。一実施形態によると、第1および第2の参照関数は、直交位相にある。例えば、第1の参照関数は、余弦関数である、またはそれを備えてもよく、第2の参照関数は、正弦関数である、またはそれを備えてもよい。相関の長さは、テンプレート関数のより短い周期(または、より長い)となるように便宜的に選択されてもよい。相関の結果は、複素数:costerm+j・sintermを表すと考えられ得る、2つのスカラー項である。各相関結果は、本明細書では、スライスと称され、いくつかのスライスが、スライス記録としてメモリ内に捕捉される。スライス記録に適用され得る演算の1つは、前述のように、スライス組み合わせである。スライスの組み合わせは、個々のスライス項の単純加算を用いて行われる。スライスの組み合わせは、オリジナルスライス記録より狭い帯域幅のフィルタを表す、新しいスライス記録をもたらす。本能力は、雑音中に埋め込まれた信号を受信およびフィルタリングする際に非常に有用である。
【0042】
本議論においてここまで、組み合わせられたスライス狭帯域フィルタの中心周波数は、参照テンプレート関数の周波数である。単一中心周波数のみの本選択肢は、ここまで説明されたスライス捕捉およびスライス組み合わせ演算に対する有意な限界である。以下のセクションは、一実施形態による、スライス記録を任意の近傍周波数に移動させ、それによって、スライス表現の有用性を有意に増加させる方法を説明する。
【0043】
ワーピング−任意の信号処理デバイスにおける重要な機能は、伝送される信号周波数の変動に応答する能力である。前述のスライス表現として信号を捕捉するシステムに関して、同じことが当てはまる必要がある。参照テンプレートとの相関を使用して、信号をスライス形態として捕捉後、参照周波数以外の周波数(例えば、周波数freqRef+周波数デルタ(freqDelta))においてフィルタを作成することが望ましくあり得る。周波数デルタは、freqRefからの正または負いずれかのオフセットであってもよい。一実施形態によると、freqRef+freqDeltaを中心とするそのような新しい狭帯域フィルタは、a)参照周波数(freqRef)においてスライス記録を捕捉し、b)回転角度が、いわゆるワーピング関数(WF)によって左右または判定される、複素ベクトル回転演算を使用して、オリジナルスライス記録を新しいワーピングされたスライス記録に変換(また、本明細書では、「ワーピング」として示される)し、c)ワーピングされたスライスを組み合わせ、現時点で周波数freqRef+freqDeltaを中心とする、狭帯域フィルタを生成することによって、作成されてもよい。
【0044】
一実施形態は、したがって、1つの周波数(例えば、freqRef)で採取されたスライスデータが、別の周波数、例えば、freqRef+freqDeltaにおけるスライスデータにワーピングされることを可能にする。これは、一実施形態によると、そのようなオリジナルデータストリームが、破棄され得る、または、単に、記憶され得ないため、新しいデータを取得せずに、かつ受信機104のアナログフロントエンドにおいてADC110から生成されたオリジナルサンプルを再使用する必要なく、実施され得る。一実施形態によると、したがって、ワーピング方法は、新しいデータを取得せずに、かつ(処理された)着信信号が入力されるADC110によって生成されたオリジナルサンプルを再使用することなく、デジタルフィルタの中心周波数をシフトさせるように構成されてもよい。
【0045】
極表記−図5は、極座標系502内の長さ1のベクトル504を示す。示されるように、極座標系502内の任意の点は、複素対、すなわち(x、y)として表され得る。等価的に、極座標系502内の任意の点は、大きさ504および角度(r、θ)によって表されることができ、θ(505)は、正のx−軸に対するベクトル504の角度である。複素面における点zは、方程式z=rcosθ+j・rsinθを満たすそれらの点として定義され得る。任意の点の座標は、余弦項:rcosθ(508)および正弦項:rsinθ(506)の両方を備える。
【0046】
図6Aに示されるように、相関演算において使用される参照テンプレートの周波数等の参照周波数freqRefは、極座標系内の回転ベクトルとして表され得る。理想的には、受信機によって受信された信号の周波数は、伝送された参照周波数と全く同一周波数となるであろう。しかしながら、実践上、多くの場合、当てはまらない。受信された着信信号の周波数は、参照周波数freqRefより高くなるであろう。その場合、図5の回転ベクトル表現を使用して、着信信号を表すベクトルは、図6Bに示されるように、参照周波数freqRefを表すベクトルより先行する(それより高速に回転する)であろう。同様に、受信された着信信号の周波数は、参照周波数freqRefより低くなり得る。その場合、着信信号を表すベクトルは、図6Cに示されるように、参照周波数freqRefを表すベクトルから遅行(より低速で回転する)であろう。
【0047】
図7の実施例では、着信信号は、参照周波数より高い周波数として示される。図7を参照すると、極座標系が、図示され、x−軸は、余弦項に対応し、y−軸は、正弦項に対応する。参照信号(freqRef、実線)は、慣例により、正のx−軸(余弦軸)に沿って指すベクトルとして示される。着信信号から生成されたスライスデータは、スライス1、2、3、4等を表す、破線ベクトルとして示される。本静的表現では、第1のスライスを表すベクトルは、参照周波数ベクトルに対して任意の(0〜2πラジアン)位相角度αを確立することが分かる。本実施例では、スライスインデックス2、3、4等を有する後続スライスベクトルは、増加する角度だけ参照ベクトルより先行する(すなわち、より高速で回転する)。ワーピング概念の観察の中心は、連続スライス毎の角度が、全スライスに対して一定角度Φだけ増加するということである。すなわち、第2のスライスベクトルは、第1のスライスベクトルに対して角度Φにあって、第3のスライスベクトルは、第2のスライスベクトルに対して角度Φにある、または等価的に、第1のスライスベクトルに対して2Φであって、第4のスライスは、第3のスライスに対して角度Φに位置する、または等価的に、第1のスライスベクトルに対して3Φである。角度Φおよびその倍数は、したがって、スライスからスライスの先行または遅行量と考えられ得、その倍数は、参照ベクトルに対する先行または遅行量を表す。図7は、参照周波数に完全に一致しない着信信号周波数に関して、スライスデータが、スライス数が増加するにつれて、参照ベクトルに対してますます位相がずれる(先行または遅行する)ことを実証する。非常にわずかな初期角度Φでも、スライスが経時的に位相が有意にずれるように大きくなる傾向にある。角度Φは、freqDelta(受信機内の着信信号と参照テンプレートとの間の周波数差)と参照テンプレートの周波数freqRefの比率に比例する。角度Φはまた、スライス間隔に比例する。一実施形態によると、ラジアン単位の角度Φは、以下として定義され得る。
【数7】
式中、freqDeltaは、着信信号の周波数(freq信号)と参照信号の周波数(freqRef)との間の差異である。
freqDelta=freqSignal−freqRef
【0048】
一定周波数を伴う信号の場合、スライス間の角度シフトは、スライスを横断して一貫している。図7に図式的に見られるように、連続スライスのための回転量は、参照に対して一定角度ではない。むしろ、各連続スライスが第1のスライスに対してシフトされる角度は、本例証的実施例では、角度Φの整数倍数である。
【0049】
ベクトル回転−角度θだけの複素ベクトル回転の一般形態は、以下のように、マトリクス形態で表されることができる。
【数8】
式中、xおよびyは、オリジナルベクトル座標であって、θは、回転角度であって、正の回転は、反時計回り方向である。結果として生じる回転ベクトル座標は、x¢およびy¢である。代数形態では、回転演算は、以下の2つの方程式によって表されることができる。
【数9】
演算は、以下のように形式的に表されてもよい。
回転ベクトル=VectorRotate(入力ベクトル、角度)
スライス表記では、costermは、x値の役割を果たし、sintermは、y値の役割を果たす。
【0050】
ワーピング関数−複素表現は、スライスが、複素極面上のベクトルとして表示されることを可能にする。複素ベクトル表記は、いわゆるワーピング関数(WF)の以下の説明において、ワーピング演算を例証するための便宜的方法である。スライスは、複素対、すなわち、costerm+j・sintermとして表され得る。一実施形態によると、スライスデータが演算される様式は、回転角度がワーピング関数(WF)によって判定される、ベクトル回転として特徴付けられ得る。スライス記録のワーピングは、複素ベクトル回転演算の結果(例えば、VectorRotate)となり得、これは、2つの引数、すなわち、入力スライスデータ記録(以下、入力スライスと示される)と、スライスデータ記録内の各スライスが回転される回転角度(ワーピング関数の出力によって判定される)をとる。より簡潔に述べると、一般化されたワーピング演算は、以下のように説明され得る。
ワーピングされたスライス(i)=VectorRotate(入力スライス(i)、WF(q,i,他の引数))
式中、iは、1からスライス記録内のスライスの数までをとる。回転角度は、以下のワーピング関数から導出される。
角度(i)=WF(θ,i,他の引数)
【0051】
種々の実施形態では、方程式中のワーピング関数WFおよび角度θの選択は、結果として生じるワーピングされたスライス記録の特性を決定する。
【0052】
ワーピング関数実施例−本セクションは、いくつかの有用定義が導出され得る、単純な例からより複雑な例のいくつかのワーピング関数を説明する。
【0053】
比較的に単純な実施例から始めると、ワーピング関数は、WF()=1・θとして定義され得る。スライス記録への本ワーピング関数の適用は、スライス記録全体が一定位相角度θだけシフトされる結果をもたらす。図5の極座標図では、本ワーピング関数は、全スライスベクトルを同一量θだけ回転させることに対応する。時間ドメインでは、一定位相シフトは、その他の点では信号の特性を改変せずに、受信機の参照テンプレートに対して着信信号を前進または遅延させる。
【0054】
スライスを新しい中心周波数に同調させるためのワーピング−一実施形態では、ワーピング関数は、以下として定義され得る。
WF()=−i・Φ
式中、規準的インデックスiは、スライスインデックスの数であって(複素根「i」ではない)、Φは、連続スライス間の角度である。したがって、以下となる。
ワーピングされたスライス(i)=VectorRotate(入力スライス(i),−i・Φ)
【0055】
ワーピング演算が、以下のように、オリジナルスライス項(costerm、sinterm)に実施され、ワーピングされたスライス項(ワーピングされたcosterm、ワーピングされたsinterm)を備える、ワーピングされたスライス記録を生成する。
ワーピングされたcosterm(i)=costerm(i)・cos(−i・Φ)−sinterm(i)・sin(−i・Φ)
ワーピングされたsinterm(i)=costerm(i)・sin(−i・Φ)+sinterm(i)・cos(−i・Φ)
【0056】
直上のワーピング演算は、効果的に、記憶されたスライスを使用して、新しい周波数(freqRef+freqDelta)に受信機104を再同調させる。実施形態によると、本再同調は、ある他の周波数(新しい周波数等)におけるスライスデータの再取得またはオリジナルADCサンプル(破棄され得る、またはその取得時に記憶さえされない)の再処理からではなく、記憶されたスライスデータから達成される。さらに、そのような演算は、スライスに対する直接的ベクトル回転ではなく、むしろ、スライス上のワーピング演算であって、スライス記録をある周波数(freqRef)から別の周波数(freqRef+freqDelta)に同調させる、結果として生じる効果を有する。図8に示されるように、スライス1、2、3、および4、…Nは、相互に整合される。前述のように、一式のワーピングされたスライスにスライス組み合わせ演算を行うことは、ワーピングされた周波数freqRef+freqDeltaにおけるピーク応答をもたらす。これは、本中心周波数と同調されたフィルタに対応する。図8は、一実施形態による、スライス組み合わせ(ベクトル加算)が、ワーピング演算から生じる整合されたスライスベクトルをどのように組み合わせかを図示する。着信信号が、freqRef+freqDeltaに等しい周波数である場合、ワーピングされたスライス記録内のスライスは、相互に整合または実質的に相互に整合され、最大可能フィルタ応答を与えるように組み合わせられるであろう。
【0057】
ワーピングおよびスライス組み合わせによる搬送波の発見−一実施形態によると、本明細書に示され、説明されるワーピングおよびスライス組み合わせ関数は、検出プロセスの初期位相の間、ある範囲の周波数にわたって伝送される搬送波を検索することによって、着信搬送波を識別するために使用されてもよい。図9に示されるように、freqRefは、例えば、送信機が公称上伝送するように設計された周波数等、参照周波数である。実際の搬送波904は、受信機104に対して先験的に未知であり得、次いで、参照周波数の知識およびおそらく送信機のある知識(例えば、受信機における実際の周波数が、あるHertz数を上回って参照周波数から逸脱する可能性が低い)のみ与えられ、実際の搬送波を検索し得る。一実施形態によると、着信信号の実際の搬送波904を見つけるために、着信信号が、サンプリングされ、デジタル形態にコンバートされ(随意に、いくつかのアナログ事前処理後)、スライスデータ(複素余弦、正弦対)にコンバートされてもよい。受信された着信データは、したがって、ADC110が、着信し事前処理された(例えば、他の可能性として考えられる演算の中でもとりわけ、フィルタリング、増幅、および/または正規化される)アナログデータからサンプルを生成するにつれて、スライスデータにコンバートされ、インデックス化され、記憶される(既知のメモリ場所から開始するスライスデータの連続記憶は、本質的に、スライスデータをインデックス化するように動作し得る)。サンプリングされた着信データ(例えば、ADC110によって生成されたサンプル)は、記憶される必要はなく、記憶される場合、スライスデータの生成および記憶後、破棄されてもよい。記憶されたスライスは、次いで、選択可能数のスライスにわたって組み合わせられ、対応して選択可能帯域幅を有する、フィルタ905を達成してもよい。フィルタの帯域幅は、より少ない(より広いフィルタをもたらす)またはより多い数のスライス(より狭いフィルタをもたらす)を組み合わせることによって選択されてもよい。フィルタリングされたスライスデータ内のピークは、実際の搬送波を示し得る。フィルタの通過帯域内の実際の搬送波904の存在を示すピークが検出されない場合、上記に示され、説明されるワーピング関数が、使用され、オリジナルスライス(例示的図9では)を、図9におけるfreqDeltaHzのシフトである、次の候補周波数906にワーピングしてもよい。ワーピングされたスライスは、再び、組み合わせられ、新しい中心周波数907における選択可能狭または広フィルタを形成してもよく、実際の搬送波を示すピーク908の存在が、確認されてもよい。本プロセスは、実際の搬送波904の周波数が、フィルタ909の通過帯域内に包含されるまで、迅速に繰り返され得る。実際の搬送波904の周波数の良好な推定が、次いで、より狭い帯域幅を有する(より多い数のスライスを組み合わせることによって)1つまたはそれを上回るフィルタを構築し、実際の搬送波904の存在を確認することによって行われ得る。そのようなより狭いフィルタは、フィルタの通過帯域内のエネルギーの多くが、搬送波904に由来するように、大量の雑音が減衰され得るため、検出プロセスを補助し得る。前述の搬送波捜索方略は、実際の搬送波を特定するための1つの単純方略である。同一目的を達成するために、ワーピングおよびスライス組み合わせ関数を使用する、他の方略も、想定され得る。
【0058】
FSKを検出するための単一スライス記録の使用−一実施形態によると、本明細書に示され、説明されるワーピング関数は、周波数偏移変調(FSK)変調の効率的検出のために使用されてもよい。FSK検出もまた、1つは、freq0において、1つは、freq1において、2つの並行スライス算出を行うことによって実施され得ることに留意されたい。ここで図10を参照すると、着信データは、一実施形態によると、例えば、既知または公称上限(freq1)1002と公称下限(freq0)1003FSK周波数との間の約中間となるように選択され得る、ある参照周波数(freqRef)1001におけるスライスデータにコンバートされてもよい。まだの場合、スライスデータは、次いで、ADC110が着信し事前処理されたアナログデータからデジタルサンプルを生成するにつれて、インデックス化および記憶されてもよい。着信データ(例えば、ADC110からのサンプル)は、記憶される必要はなく、記憶される場合、スライスデータの取得および記憶後、破棄されてもよい。記憶されたスライスは、次いで、選択可能数の周波数にわたって選択可能にワーピングされ、組み合わせられ、2つの公称FSK周波数のうちの一方、例えば、freq01004を中心とする中心周波数を有する第1の比較的に広帯域フィルタを達成し得る。効果的に、これは、受信機104を第1の周波数(本実施例では、freqRef)から、freqRefとfreq0との間の差異に等しい量(Hz単位)だけ第1の周波数から離れた第2の周波数freq0に再同調させる。同様に、オリジナルの記憶されたスライスは、次いで、選択可能数の周波数にわたって選択可能にワーピングされ、組み合わせられ、公称FSK周波数の第2のもの、すなわち、本実施例では、freq11005を中心とする中心周波数を有する第2の比較的に広帯域フィルタを達成し得る。受信機104のfreq0への再同調の場合と同様に、これは、効果的に、受信機104を第1の周波数(本実施例では、freqRef)から、freq1とfreqRefとの間の差異に等しい量だけ第1の周波数から離れた第2の周波数freq1に再同調させる。受信機104をfreq0およびfreq1に再同調させるとき、第1の1004および第2の1005フィルタの通過帯域は、各事例において、実際のFSK周波数(おそらく、freq0およびfreq1の近傍)が、個別の第1および第2のフィルタの通過帯域内に位置するであろう可能性を増加させるように、比較的に広くなる(比較的に少ないスライスを組み合わせることによって)ように構成されてもよい。ワーピング関数は、必要に応じて、適用され、実際のFSK周波数を捜索またはそれに微同調してもよい。検出は、より大量の雑音を減衰させることによって、出力のS/Nを増加させるであろう、比較的により狭いフィルタ(比較的に多数のスライスを組み合わせることによって)を構築することによって精緻化されてもよい。
【0059】
実際、一実施形態によると、かつ図11を参照すると、実際の第1および第2のFSK周波数(参照番号1104におけるactualfreq0および参照番号1110におけるactualfreq1)のインジケーションが、スライスデータから生成された広帯域幅フィルタの通過帯域内で検出されたと仮定すると、ワーピング関数が、再び、2つの実際のFSK周波数actualfreq0 1104およびactualfreq1 1110の精密な識別のために使用されてもよい。示されるように、freq0 1102およびactualfreq0 1104は、参照番号1106に示されるように、freqDelta0Hzだけ異なる。同様に、freq1 1108およびactualfreq1 1110は、参照番号1112に示されるように、freqDelta1Hzだけ異なる。2つのデルタ、すなわちfreqDelta0 1106およびfreqDelta1 1112は、送信機が伝送するように設計された公称FSK周波数freq0 1102およびfreq1 1108から離れた2つのFSK周波数の逸脱量を表す。そのような逸脱は、例えば、工場における送信機の不完全同調、温度効果、または伝送される周波数に影響を及ぼす送信機の局所伝導性等の他の環境効果によって生じる、較正誤差によって生じ得る。したがって、freq0 1102およびfreq1 1108は、それぞれ、actualfreq0 1104およびactualfreq1 1110の場所の一次近似式として考えられ得る。受信機104を2つの実際のFSK周波数actualfreq0 1104およびactualfreq1 1110に微同調させ、望ましくない信号(該当する場合)を拒否するために、ワーピング関数が、再び、すでにワーピングされたスライスデータに適用され、1104および1110における実際の周波数の存在を示す強ピークが、フィルタの通過帯域内に現れるまで、異なる中心周波数における好適な狭帯域幅フィルタを反復的に(要求される場合)作成してもよい。本プロセスは、1104および1110における実際の周波数が、十分に隔離され、そのように作成された狭帯域フィルタの両側の周波数(概して、雑音)が、拒否され、信頼性のある検出およびデコーディングを可能にするまで、反復的に実施されてもよい。
【0060】
再び、図11を参照すると、公称周波数freq0 1102およびfreq1 1108の周囲において実際のFSK信号を検出後、ワーピング関数が、適用され、freqDelta0 1106において、図11に示される数Hzだけフィルタをワーピングすることによって、受信機104をfreq0 1102からactualfreq0 1104に再同調してもよい(2つの実際のFSK周波数の検索の結果、まだ再同調されていない場合)。同様に、ワーピング関数はまた、適用され、再び、freqDelta1 1112において、図11に示される数Hzだけフィルタをワーピングすることによって、受信機104をfreq1 1108からactualfreq1 1110に再同調してもよい。したがって、本微同調の結果、freqRefにおいて取得されたスライスデータを利用し、第1および第2の実際のFSK周波数、すなわち、freqwarp0 1114(freq0−freqRef+freqDelta0に等しい)およびfreqwarp1 1116(freq1−freqRef+freqDelta1に等しい)に再同調された受信機104をもたらす。2つのFSK周波数間の関係は、受信機に対して先験的に既知であるため(既知の比率関係等)、そのような関係は、2つの別個のFSK周波数に同調するにつれて、受信機によって利用されてもよい。
【0061】
一実施形態によると、したがって、FSK受信機104は、第1のFSK周波数freq0でも第2のFSK周波数freq1でもない、周波数freqRefにおいて同調されるように構成されてもよい。受信機104は、次いで、ワーピングおよびスライス組み合わせ関数を使用して、第1および第2のFSK周波数freq0およびfreq1のそれぞれに、その後、微同調を通して実際のFSK周波数に再同調させることによって再同調されてもよい(但し、これらの周波数のいずれかにおいてデータを再取得せずに、すなわち、再同調された周波数において新しい未加工ADCデータを再取得せずに、または事前に記憶されたサンプリングされた未加工データをメモリ114から読み出さずに)。さらに、そのような再同調は、実施形態によると、そうでなければ、新しいADCデータが取得される、またはオリジナルデータがメモリ114内に維持され、再処理され、freq0およびfreq1FSK周波数を検出することが要求されるであろうものより著しく少ない(例えば、数桁またはそれを上回る)データを処理することによって実施されてもよい。すなわち、一実施形態によると、受信機104の再同調は、大部分が、事前に取得されたスライスデータの限定記憶における加算演算といくつかの乗算演算であるものを実施することだけによってもたらされ得る。
【0062】
雑音を低減し、スライスを軸に整合させるためのワーピング−図8を参照すると、整合されたスライスベクトルは、x−軸に沿った非ゼロ余弦成分と、y−軸に沿った非ゼロ正弦成分とを有する。これらの成分はそれぞれ、ある信号成分と、ある雑音とを含み得る。一実施形態によると、図8の整合されたスライスベクトルが、例えば、x−軸と整合させられる場合(それによって、その正弦成分をゼロに駆動する)、その正弦成分は、ゼロ信号と、雑音のみを含むであろう。本雑音は、スライス(したがって、信号)のエネルギーの全てが、現時点では、x−軸と整合されているため、確実に無視され得る。故に、一実施形態は、全スライスエネルギーを2つの次元のうちの1つにまとめるために、検出におけるワーピング関数WFを変更する。例えば、全スライスが、実軸(余弦、x−軸)に沿って示されるべき場合、信号は、虚(正弦、y−軸)軸に残されず、雑音のみをその中に残すであろう。一実施形態によると、したがって、xまたはy軸のいずれかへのワーピングされたスライスの整合は、一定角度(Θ)をワーピングされたスライスに加算することによって実施されてもよい。
WF(Φ)=(i・Φ)+Θ
【0063】
故に、ワーピング関数の本実装は、Φをスライスインデックス数であるiによってスケーリングした後、一定角度を加算する。一定角度Θ(正または負の符号であり得る)の加算は、出力スライスを選択された(かつ好ましい)方向に整合させる、例えば、実軸(余弦成分またはx−軸)または虚軸(正弦成分またはy−軸)と整合させる。しかしながら、ワーピングされるスライスは、一定角度の慎重な選択を通して、任意の角度にワーピングすることによって整合されてもよい。
【0064】
周波数欠陥を補正するためのワーピング−さらなる実施形態によると、ワーピング関数は、スライスインデックス数のより高度なパターンまたはシーケンスに基づいて工夫されてもよい。例えば、スケーリング係数は、整数である必要はない。例えば、送信機が、その周波数がパケットの終端に向かって降下(または、上昇)する、パケットを伝送する場合、ワーピング関数は、パケットの終端に向かって降下している周波数を追跡するように適合されてもよい。例えば、受信機が、パケットの開始スライスインデックスを識別したと仮定すると、以下のワーピング関数が、パケット内の全スライスを整合させる目的のために、スライス記録に適用され得る。
WF()=(スケーリング係数・i・Φ)式中、例えば、スケーリング係数=[11111111.9.9.8.8.7.6.5.3等]である。スケーリング係数は、代数式であってもよく、またはその中に記憶された好適な値を伴う、メモリ114内に記憶されたテーブルから読み出されてもよい。ワーピング関数は、このように、受信されたパケットの周波数プロファイル内の任意の定量化可能変化を追跡し、それによって、例えば、スライスからスライスのワーピング角度Φの非一定および/または非整数連続調節を可能にするように構成されてもよい。
【0065】
チャープを検出するためのワーピング−ワーピングはまた、一実施形態によると、意図的チャープタイプ信号等、非一定周波数を有する任意の着信信号、または伝送される信号の周波数は、送信機バッテリが枯渇するにつれて、増加または減少する、不良周波数制御を伴う送信機に適用されてもよい。
【0066】
例えば、着信信号が、立ち上がりチャープである場合、スライスデータは、図7および8に関して示され、説明される整数パターンより高速に増加する角度だけ、ワーピングされてもよい。例えば、第1のスライスは、1・Φだけワーピングされてもよく、第2のスライスは、2.2・Φだけワーピングされてもよく、第3のスライスは、3.3・Φだけワーピングされてもよい等となる。実施形態によると、したがって、ワーピング角度の算出は、予期される着信信号の周波数構造を反映する、任意の関数を備えてもよい。スライスの使用は、実施形態によると、高度なデータ圧縮が、ADC110からの未加工サンプルストリームをスライスデータにコンバートし、未加工サンプルデータを破棄する(または、記憶しない)ことによって達成され得るという点において、リソースの効率的使用を可能にする。これは、要求されるメモリ114のサイズの観点からだけではなく、また、検出およびデコーディングプロセスにおいて後に実施される計算量の観点からも有意である。スライス、ワーピング関数、およびスライス組み合わせ関数の使用はまた、実施形態によると、受信機104に、検出アルゴリズム内の複数の場所において高度なフレキシブル性をもたらす。オリジナルスライスは、比較的に広帯域幅を有するように設計され得るため、両方向において、大Hz数にわたって、再同調/ワーピングされることができる。例えば、5000Hz帯域幅を伴うスライスは、実施形態によると、信号強度の有意な損失を伴わずに、上方または下方に、1000〜2000Hertzまたはそれを上回ってワーピングされてもよい。スライス相関:既知のパターンの発見−一実施形態によると、検出手技が、スライス記録内の1つまたはそれを上回るデータパケットの存在を判定するために実施されてもよい。一実施形態によると、分析されるのは、オリジナル未加工ADCサンプリングデータストリームではなく(いずれにしても、事前に破棄されている場合がある)、インデックス化および記憶されたスライスデータである。一実施形態によると、関数(例えば、実または複素相関関数)が、スライスデータに適用され、スライスデータと信号内の既知のスライスパターンに対応する1つまたはそれを上回る記憶されたスライスパターンを比較してもよい。一実施形態によると、検出される(および、その境界を判定するためにフレーム化される)ように模索されるデータパケットは、既知の長さおよび構成のプリアンブル後、有用情報がデコーディングプロセスによって抽出され得る、既知の長さのペイロードを備えてもよい。例えば、検出されることが模索される各データパケットは、11ビットから成るプリアンブルを備えてもよい。例えば、プリアンブルは、例えば、7つのゼロのシーケンス後、1010(00000001010)等の既知のシーケンスを備えてもよい。パケットの存在を判定するために、したがって、実または複素相関関数が、適用される、一実施形態によると、スライスデータと既知のプリアンブルに対応するスライスパターンを相互相関させてもよい。スライスデータが、1つまたはそれを上回るデータパケットの1つまたはそれを上回るプリアンブルに対応するデータをエンコードする限り、相関関数は、入力スライスデータのプリアンブルおよびテンプレートのプリアンブルが相互に整合されるとき、より高い結果を返し、対応して、入力スライスデータおよびテンプレート内のプリアンブルが相互に部分的にのみ整合されると、より低い結果を返し、入力スライスデータおよびテンプレート内のプリアンブルが相互に整合されない、または入力スライスがいかなるパケットも備えないとき、最低結果を返すであろう。本相互相関演算は、超狭帯域フィルタを表し、帯域幅は、既知のプリアンブル内のスライスの数の逆数に比例する。
【0067】
一実施形態では、スライス相関およびワーピングは、ともに使用され、受信機104が、ワーピングを通して反復的に再同調され、得られたワーピングされたスライスが、例えば、プリアンブルの存在および境界を判定するために使用される、予期されるスライスパターンと相関するために、受信された信号の実際の搬送波周波数の有望な推定値を提供し得る。このように、高相関値は、受信された信号の実際の搬送波周波数と関連付けられ得る。
【0068】
スライス相関:パケットの証拠の発見−一実施形態によると、検出手技が、実施され、搬送波の周波数の判定に先立って、スライス記録内の1つまたはそれを上回るデータパケットの存在を判定してもよい。前述の事前に記憶されたテンプレートとの相互相関の議論におけるように、インデックス化および記憶されたスライスデータのみ、分析される必要がある。一実施形態によると、関数(例えば、実または複素相関関数)が、スライスデータに適用され、スライスデータとそれ自体を比較してもよい(自己相関)。多くの場合、ごくわずかな異なる遅行において、相関計算を行うことが有用である。例えば、スライス記録全体に対するエネルギーAが、遅行=0を伴うスライス相関によって推定され得る場合、以下となる。
【数10】
【0069】
AutoCorr(0)は、スライス記録に対するベースラインエネルギーレベルを表し、それに対して、他の自己相関も比較されることができる。
【0070】
パケットを含有しないスライス記録の場合、遅行=1を伴うスライス自己相関は、以下となる。
【数11】
【0071】
一実施形態によると、搬送波の周波数の判定に先立って、自己相関は、スライス記録Aに行なわれ、パケットがその中に存在するかどうかを判定してもよい。スライス記録が1つまたはそれを上回るパケットを含有する場合、Corr(1)は、Corr(0)に対してより高い値を有するであろう。これは、パケットがスライス記録内のいずれかに存在することのインジケーションである。パケットを含有しないスライス記録の場合では、遅行=1を伴うスライス自己相関は、スライス記録が非相関雑音のみを含有する場合、AutoCorr(0)に対して超低値を有するであろう。一実施形態によると、パケットは、自己相関項Corr(1)/Corr(0)が所定の閾値を上回ると判定されるときに検出されたと見なされ得る。
【0072】
パケットの存在に関する確証的証拠は、複数のパケットが、既知のパケット分離m(スライス単位で測定される)において、スライス記録内に存在する場合、明らかとなり得る。スライス記録と遅行=m(パケット間隔に等しい遅行)の相関は、以下のように、パケットが予期される間隔において存在する場合、高相関結果をもたらす。
【数12】
【0073】
一実施形態によると、パケットは、予期されるパケット分離範囲にわたって複数回算出された相関項Corr(m±range)が、Corr(0)に対して所定の閾値を上回ると判定されると検出されたと見なされ得る。パケット分離の予期される範囲は、まだ判定されていないパケット周波数の変動に起因して生じる。このように、スライスデータを使用して、パケット検出は、スライス記録Aの遅延バージョンとスライス記録Aを相関させ、結果として生じる相関項の大きさを監視することによって実施されてもよい。
【0074】
重複パケット−一実施形態によると、スライスデータ記録内のパケットの数が多いほど、自己相関結果は、良好となり得る。複数の可能性のあるパケットを表すスライスが、相互に加算され、正しいパケット検出の可能性を増加させてもよい。さらに、パケット境界が、2つまたはそれを上回る可能性のあるパケットを相互に加算することによって判定されてもよい。加算の結果は、個別のパケットが完璧に整合されるとき、最高となるであろう。可能性のあるパケットは、1つまたはそれを上回るスライスだけ(一実施形態によると、パケット間のスライスの数だけ)シフトされてもよく、加算演算が、このようにシフトされたパケットに適用されることにより、パケットの境界を判定してもよい。しかしながら、パケット検出およびフレーム化の1つを上回る方法が存在することを理解されたい。全てのそのような方法は、本実施形態によって包含されると理解される。また、パケットの境界が識別されると、存在する唯一の雑音は、パケット内のものであって、かつパケット境界の外側の全雑音は、排除または大幅に減衰され得るため、信号対雑音比は、パケットのみ観察されるとき増加されることを理解されたい。
【0075】
変調方式:BPSK−パケットは、FSK変調を使用して、エンコードおよびデコードされる必要はない。一実施形態によると、例えば、2相偏移変調(BPSK)等の別の形態のデジタル変調が、使用されてもよい。そのようなエンコーディング方式では、シンボル0は、ある数のサイクルの正弦波形を使用してエンコードされてもよく、シンボル1は、同一数のサイクルのπラジアンだけ位相がずれた、正弦波形を使用してエンコードされてもよい。例えば、BPSKを使用してエンコードされたパケットは、プリアンブルと、ペイロードとを備えてもよい。プリアンブルは、例えば、形態(000000001010)において、7つの0後、1、0、1、および0を備えてもよい。実または複素相関方法が、前述のように利用され、スライス記録とプリアンブルを表す所定のスライスパターンを比較することによって、1つまたはそれを上回るパケットの存在を判定してもよい。本演算は、パケットの存在を識別し、受信機104とプリアンブルの開始ビットを同期させる役割を果たす。前述のように、相関関数は、加えて、信号の実際の搬送波周波数の推定値を提供してもよい。
【0076】
反復デコーディング−一実施形態によると、パケットペイロードのビットは、連続して、1度に1つ、受信機内でデコードされてもよい。ビットが、論理ゼロまたは論理1であるかどうかを判定するために、「ゼロテンプレート」および「1テンプレート」に対する連続相関が、使用されてもよく、2つの相関結果のうちのより大きい方が、ビットの値を示す。そのような方法は、一実施形態によると、ペイロード内のビットシーケンスが、ほとんどの場合、受信機によって先験的に未知であるため、そのプリアンブル後に現れるパケットのペイロードをデコードするために使用されてもよい。
【0077】
逆正接−一実施形態によると、信号対雑音比が合理的である場合(例えば、約0dBまたはそれを上回る)、考えられるパケットを含有するスライスの逆正接をとることは、意義深くあり得、パケットの有無を識別し得る。
【0078】
搬送波捜索方略−一実施形態によると、いったんスライスデータ内の1つまたはそれを上回るパケットの存在が判定され、パケットが変調される周波数を判定すると、FSKまたはPSK(例えば)を使用してエンコードされるか、またはエンコードされたものの、信号の実際の周波数のおおよその推定値が、把握される(例えば、例示的20kHz信号の場合、例えば、20Hz以内)場合にかかわらず、例えば、プリアンブルの相関の大きさが、1Hz(またはそれ未満)ずつのインクリメントにおいて、20個の異なる周波数のそれぞれにおいて判定されてもよい。一実施形態によると、搬送波周波数のおおよその推定値は、送信機が伝送するように設計された公称周波数であってもよい。通信チャネルのある知識は、実際の信号が見出される可能性が高い周波数範囲に関するそのような知識に基づく推測を可能にし得る。そのような場合、周波数範囲内の周波数毎の相関を算出後、最大相関大きさと関連付けられた周波数は、搬送波周波数(または、そのうちの1つ)であると確実に仮定され得る。
【0079】
位相平坦化におる検出の調整−検出されたパケットの周波数を判定する他の方法が、本開示に説明される実施形態の範囲から逸脱することなく、採用されてもよいことを理解されたい。例えば、パケットのビット毎に、ビットの構成スライスの位相角度が、判定されてもよい。位相角度は、一実施形態によると、各スライスの逆正接(スライスの正弦成分と余弦成分の比率)をとることによって判定されてもよい。そのような方法は、信号対雑音比が、例えば、約0dB等の所定の閾値を上回るときに最良に実装され得る。BPSK変調の場合、そのような位相角度は、鋸歯状方式において、0〜2π間で変動し得る。そのような鋸歯パターンの存在は、検討されているビットを成す構成スライスが、図中、スライス1、2、3、および4であるような図7の極表現を使用して、誤整合されることを示唆する。図8を参照すると、試験されている周波数が、略直線(鋸歯パターンとは対照的に)を形成する、ワーピング角度をもたらすとき、その周波数は、着目信号の実際の周波数またはその近似であり得る。PSKの場合、例えば、ワーピング角度は、あるワーピング角度から、データがエンコードされたPSK周波数を示す、別のワーピング角度にシフトするであろう。得られたパターンは、次いで、方形波に類似し得、そこから、データは、容易に明白となり得る。
【0080】
変調方式:MSK−前述のものに類似する方法を使用して、他の変調形式を使用してエンコードされたデータは、本明細書に説明される記憶されたスライスおよびワーピング関数のみを使用して、検出およびデコードされてもよい。例えば、スライス内のデータは、異なるシンボルを表す、例えば、4周波数または、例えば、16周波数を使用する、例えば、多相偏移変調(MSK)を使用して、エンコードされていてもよい。この場合、各シンボルは、複数(例えば、16)の周波数のうちの1つまたはそれを上回る周波数(例えば、1つまたは2つ)でエンコードされた情報ビットを備えてもよく、各シンボルは、潜在的に、1つを上回るビットを表す。データをエンコードする他の変調形式は、本明細書に説明されるスライス情報(破棄されているため、ADC110からのオリジナルデータではない)ならびにワーピングおよびスライス組み合わせ関数のみを使用してデコードされてもよい。さらに、変調形式の組み合わせを使用してエンコードされたデータもまた、同様に、スライス情報、ワーピング、およびスライス組み合わせのみを使用して、検出およびデコードされてもよい。例えば、MSKおよびPSKの組み合わせでエンコードされたデータは、留保されたスライスデータからデコードされてもよい。
【0081】
いずれの場合も、受信機104のコントローラ112部分にかかる算出負荷は、そうでなければ、コントローラ112が、オリジナル未加工データストリームを再処理することを余儀なくされるであろうものより軽くなる。類似理由から、受信機のコントローラ112のメモリ要件も、検出およびデコーディングの間、後にそれに作用するために、オリジナル未加工着信データを記憶する必要がある場合より数桁も小さくなる。
【0082】
1ビットADC−特に低信号対雑音比を呈する状況の場合、受信機104が、アナログコンパレータまたは1ビットADCを使用して、所定の閾値を上回るまたは下回るように信号を数値化することが有用であり得る(2つの値:+1および−1としてエンコードされる)。このように、スライス構成概念内に記憶されるデータの量は、実施形態によると、信号の多重ビット表現の記憶と比較して、大幅に減少する。コンパレータまたは1ビットADCは、依然として、通常プロセッサ上の高速リアルタイムループ内でスライスを算出しながら、サンプルが、超高サンプリング率で収集されることを可能にするため、有利には、低信号対雑音比を呈する状況において使用され得る。リアルタイムループの内側では、乗算演算は、演算子のうちの1つが、+1または−1のいずれかであるため、大幅に簡略化される。
【0083】
図12は、一実施形態による、方法の論理フローである。その中に示されるように、B121では、1つまたはそれを上回るデータパケットをエンコードする信号が、受信される。B122では、受信された信号は、次いで、ADC内でサンプリングされ、サンプリングされた値を生成してもよい。B123では、スライスは、次いで、生成され、メモリ内に記憶されてもよく、各スライスは、選択されるスライス時間間隔を表す一対の値を備える。B124では、データパケットが、検出され、ワーピングおよびスライス組み合わせ演算の種々の組み合わせを使用して、記憶されたスライスからデコードされる。
【0084】
図13は、一実施形態による、方法の論理フローである。その中に示されるように、B131では、第1の周波数においてデータパケットをエンコードする信号が、受信されてもよい。受信された信号は、B132に示されるように、次いで、ADC内でサンプリングされ、サンプリングされた値を生成してもよい。サンプリングされた値は、B133において求められるように、次いで、第1の周波数と異なり得る第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートと相関され、第2の周波数におけるスライスを生成してもよい。一実施形態によると、本明細書に説明され、示されるように、第1のテンプレートは、第1の参照関数を使用して生成されてもよく、第2のテンプレートは、第1の参照関数と直交位相にある第2の参照関数を使用して生成されてもよい。第2の周波数におけるスライスの一部または全部は、B134に示されるように、あるオフセット(本明細書では、「freqDelta」として示される)がプラスまたはマイナスされた第2の周波数(また、本明細書では、「freqRef」として示される)におけるスライスに変換されてもよい(また、本明細書では、「ワーピングされた」として示される)。B135に示されるように、オフセットがプラスまたはマイナスされた第2の周波数における中心周波数を有するフィルタが、変換された(ワーピングされた)スライスを組み合わせることによって生成されてもよい。
【0085】
一実施形態によると、B136に示唆されるように、第1の周波数(データパケットがエンコードされる着目周波数)が、生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかの判定が、次いで、行われてもよい。第1の周波数が、実際、そのように生成されたフィルタの通過帯域内にある場合、例えば、本明細書に詳述されるような検出およびデコーディングステップ等、さらなるステップが、実施されてもよい。第1の周波数が、生成されたフィルタの通過帯域内に存在しない場合、スライス変換(ワーピング)およびフィルタ生成(スライス組み合わせ)ステップは、第1の周波数が、B136の無分岐によって示されるように、実際、フィルタの通過帯域内になるまで、それぞれ、異なるオフセットを使用して、反復的に繰り返されてもよい。
【0086】
本開示のある実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、一例として提示されるにすぎず、本開示の範囲を限定するように意図されるものではない。実際、本明細書に説明される新規方法、デバイス、およびシステムは、種々の他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に説明される方法およびシステムの形態における種々の省略、代用、および変更が、本開示の精神から逸脱することなく、行なわれてもよい。付随の請求項およびその均等物は、本開示の範囲および精神内にあるであろう、そのような形態または修正を網羅するように意図される。例えば、当業者は、種々の実施形態では、実際の物理的および論理的構造が、図に示されるものと異なり得ることを理解するであろう。実施形態に応じて、前述の実施例に説明されるあるステップは、除去されてもよく、他のものは、追加されてもよい。また、前述に開示される具体的実施形態の特徴および属性は、付加的実施形態を形成するために、異なる方法で組み合わせられてもよく、その全ては、本開示の範囲内にある。本開示は、ある好ましい実施形態および用途を提供するが、本明細書に記載される特徴および利点の全てを提供しない実施形態を含む、当業者に明白な他の実施形態もまた、本開示の範囲内にある。故に、本開示の範囲は、添付の請求項を参照することによってのみ定義されることが意図される。
【0087】
本発明の実施形態が、前述された。本発明のさらなる実施形態はまた、前述の実施形態の機能を果たすメモリデバイス上に記憶されたプログラムを読み取り、実行する、システムまたは装置と、そのステップが、例えば、前述の実施形態の機能を果たすようにメモリデバイス上に記録されたプログラムを読み取り、実行することによって行なわれる方法とによって、実現されることができる。本目的のために、プログラムが、例えば、ネットワークを介して、またはメモリデバイス(例えば、コンピュータ可読媒体)としての役割を果たす、種々のタイプの記録媒体から、システムまたは装置(例えば、受信機)に提供されてもよい。
【0088】
本発明は、以下の付記によって定義され得る。列挙される特徴は、以下の付記およびその従属付記によって互換可能に定義されることを理解されるであろう。すなわち、付記の特徴は、本発明を定義するために組み合わせられてもよい。
(付記)
1.方法であって、
信号を受信するステップであって、信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
受信された信号をサンプリングするステップと、
信号の選択された数のサンプル毎に、対の値を含む複数のスライスを生成および記憶するステップと、
データパケットの存在を検出し、それを記憶されたスライスからデコードするステップと
を含む、方法。
2.複数のスライスのそれぞれを生成するステップは、
信号のサンプルと第1の参照テンプレートを相関させるステップと、
対の値の第1の値を生成するステップと、
信号の選択された数のサンプルと第2の参照テンプレートを相関させるステップと、
対の値の第2の値を生成するステップと
を含む、付記1に記載の方法。
3.第1の参照テンプレートは、参照周波数における余弦関数を備え、第2の参照テンプレートは、参照周波数における正弦関数を備える、付記2に記載の方法。
4.いくつかの複数のスライスを組み合わせることによって、フィルタを形成するステップをさらに含む、付記1から3のいずれかに記載の方法。
5.パケットの存在を検出するステップは、複数のスライスによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出するステップを含む、付記1から4のいずれかに記載の方法。
6.パケットの存在を検出するステップは、スライスを組み合わせることによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出するステップを含む、付記1から4のいずれかに記載の方法。
7.検出するステップはさらに、フィルタの中心周波数を、記憶されたスライスを使用して、第1の中心周波数から、第1の中心周波数と異なる第2の中心周波数に再同調するステップを含む、付記4から6のいずれかに記載の方法。
8.フィルタの中心周波数を再同調するステップは、その個別の対の値をある量だけ回転させることによって、フィルタが形成されるスライスをワーピングするステップを含む、付記7に記載の方法。
9.量は、回転角度、スケーリング係数、およびフィルタが形成されるスライスと関連付けられたインデックスを含む、付記8に記載の方法。
10.量は、参照周波数からの位相角度の総和および回転角度とスライスインデックスの積を含む、付記8に記載の方法。
11.信号受信機であって、
受信された信号をサンプリングするように構成される、アナログ/デジタルコンバータ手段(ADC)と、
メモリ手段と、
メモリ手段に結合されたコントローラであって、
メモリ手段内に、信号の選択された数のサンプル毎に、一対の値を備えるスライスを生成および記憶することと、
データパケットの存在を検出し、それを記憶されたスライスからデコードすることと
を行うように構成される、コントローラ手段と
を備える、信号受信機。
12.メモリ手段は、少なくとも第1の参照テンプレートおよび第2の参照テンプレートを記憶するように構成され、コントローラ手段はさらに、サンプリングされた信号の選択された数のサイクルと第1の参照テンプレートを相関させ、対の値の第1の値を生成し、信号の選択された数のサンプルと第2の参照テンプレートを相関させ、対の値の第2の値を生成するように構成される、付記11に記載の信号受信機。
13.コントローラ手段はさらに、いくつかのスライスを組み合わせ、フィルタを形成するように構成される、付記11または付記12に記載の信号受信機。
14.フィルタの帯域幅は、いくつかの組み合わせられたスライスに関連する、付記13に記載の信号受信機。
15.コントローラ手段はさらに、スライスを組み合わせることによって形成されるフィルタの通過帯域内の搬送波周波数を検出することによって、パケットの存在を検出するように構成される、付記11から14のいずれかに記載の信号受信機。
16.コントローラ手段はさらに、記憶されたスライスを使用して、フィルタの中心周波数を、第1の中心周波数から第1の中心周波数と異なる第2の中心周波数に再同調するように構成される、付記13から15のいずれかに記載の信号受信機。
17.信号は、第1の周波数においてデータパケットをエンコードし、コントローラ手段はさらに、
サンプルと第1の周波数と異なる第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートを相関させ、それぞれ一対の値を備える複数のスライスを生成することと、
第2の周波数における複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットをプラスまたはマイナスされた第2の周波数におけるスライスに変換することと、
変換されたスライスを組み合わせることによって、オフセットをプラスまたはマイナスされた第2の周波数に中心周波数を有するフィルタを生成することと
を行わせるように構成される、付記11から16のいずれかに記載の信号受信機。
18.方法であって、
信号を受信するステップであって、信号は、第1の周波数において、データパケットをエンコードする、ステップと、
信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
サンプリングされた値と、第1の周波数と異なる第2の周波数において得られた値の第1および第2のテンプレートを相関させ、第2の周波数において、複数のスライスを生成するステップであって、スライスのそれぞれは、一対の値を含む、ステップと、
第2の周波数における複数のスライスの少なくともいくつかをあるオフセットをプラスまたはマイナスされた第2の周波数におけるスライスに変換するステップと、
変換されたスライスを組み合わせることによって、オフセットをプラスまたはマイナスされた第2の周波数に中心周波数を有するフィルタを生成するステップと、
を含む、方法。
19.第1の周波数が、生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するステップをさらに含む、付記18に記載の方法。
20.それぞれ、異なるオフセットを使用して、第1の周波数がフィルタの通過帯域になるまで、反復的に変換、生成、判定するステップをさらに含む、付記19に記載の方法。
21.方法であって、
信号を受信するステップであって、信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、複数のスライスを備える、スライス記録を生成するステップであって、第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、第2の参照テンプレートは、第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
スライス記録の一部分とスライス記録の部分の遅延バージョンを自己相関させ、自己相関項を生成するステップと、
自己相関項の大きさが、所定の数の自己相関項に関する所定の閾値を超えるときを判定するステップと、
を含む、方法。
22.受信された信号の搬送波周波数を判定するステップをさらに含む、付記21に記載の方法。
23.判定するステップは、
複数のスライスの少なくともいくつかを周波数オフセットによってワーピングするステップと、
ワーピングされたスライスからフィルタを生成するステップと、
搬送波周波数が、生成されたフィルタの通過帯域内にあるかどうかを判定するステップと、
を含む、付記22に記載の方法。
24.方法であって、
信号を受信するステップであって、信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、サンプリングされた値から複数のスライスを備えるスライス記録を生成するステップであって、第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、第2の参照テンプレートは、第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
スライス記録と記憶されたテンプレートを相互相関させ、相互相関項を生成するステップと、
相互相関項の大きさが、記憶されたテンプレートの幅に関する所定の閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
を含む、方法。
25.第1の参照テンプレートは、余弦関数を備え、第2のテンプレート関数は、正弦関数を備える、付記24に記載の方法。
26.受信された信号の搬送波周波数を判定するステップをさらに含む、付記24に記載の方法。
27.方法であって、
信号を受信するステップと、
信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
サンプリングされた値と第1の周波数において得られた値の所定の第1および第2のテンプレートを相関させ、第1の周波数における複数のスライスを生成するステップと、
第1の周波数において生成された複数のスライスの少なくともいくつかを第1の周波数と異なる第2の周波数におけるスライスに変換するステップと、
第1のフィルタを第2の周波数におけるスライスから生成するステップと、
第1の周波数において生成された複数のスライスの少なくともいくつかを第1および第2の周波数と異なる第3の周波数におけるスライスに変換するステップと、
第3の周波数におけるスライスから第2のフィルタを生成するステップと、
を含む、方法。
28.第1の周波数における複数のスライスを生成後、受信された信号の生成されたサンプリングされた値を破棄するステップをさらに含む、付記27に記載の方法。
29.第1のフィルタの通過帯域内の第1の搬送波周波数を検出するステップと、第2のフィルタの通過帯域内の第2の搬送波周波数を検出するステップとをさらに含む、付記27または付記28に記載の方法。
30.方法であって、
信号を受信するステップであって、信号は、データパケットをエンコードする、ステップと、
信号をサンプリングし、サンプリングされた値を生成するステップと、
サンプリングされた値と第1および第2の参照テンプレートを相関させることによって、サンプリングされた値から複数のスライスを備えるスライス記録を生成するステップであって、第1の参照テンプレートは、第1の参照関数を備え、第2の参照テンプレートは、第1の参照関数と直交位相にある、第2の参照関数を備える、ステップと、
エンコードされたデータパケットの少なくとも2つのプリアンブルに及ぶスライス記録の一部分とその遅延バージョンを自己相関させ、自己相関項を生成するステップと、
自己相関項の大きさが、所定の数の自己相関項に関する所定の閾値を超えるときを判定するステップと、
を含む、方法。
31.自己相関項の大きさからデータパケットの境界を判定するステップをさらに含む、付記30に記載の方法。
32.信号の搬送波周波数は、データパケットのビットを横断する連続位相角度が、第1の所定のパターンに最も類似しないときと、第2の所定のパターンに最も類似するときに検出される、付記30または付記31に記載の方法。
33.コンピュータによって実行されると、コンピュータに、付記1から10および18から32のいずれかに記載の方法を実施させる、プログラム。
34.コンピュータによって実行されると、コンピュータに、付記11から17のいずれかに記載の信号受信機として機能させる、プログラム。
35.付記33または付記34に記載のプログラムを記憶する、記憶媒体。
【0089】
故に、前述は、単に、本発明の原理を図示する。当業者は、本明細書に明示的に説明または図示されないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる、種々の配列を考案可能であろうことを理解されるであろう。さらに、本明細書に列挙される全ての実施例および条件付き言語は、主に、読者が、発明者らによって寄与される本発明の原理および概念を理解し、当該技術を助成するように意図され、そのような具体的に列挙される実施例および条件に限定されるように解釈されない。さらに、本明細書における全ての記述、列挙原理、側面、および本発明の側面ならびにその具体的実施例は、その構造および機能上の両方の均等物を包含するように意図される。加えて、そのような均等物は、現在既知の均等物と、将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同一機能を果たすように開発される任意の要素の両方を含むように意図される。本発明の範囲は、したがって、本明細書に示され、説明される例示的側面に限定されるように意図されない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項によって具現化される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13