(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明樹脂からなる第1樹脂材部と、前記第1樹脂材部とは光の屈折率が異なる透明樹脂からなる第2樹脂材部と、前記第1樹脂材部と前記第2樹脂材部との境界として形成された所定の曲折形状を呈する内部模様面と、を具備し、遮蔽部材に配置される樹脂成形品であり、
光源側となる前記第1樹脂材部の側または前記第2樹脂材部の側から入射した光が前記内部模様面を透過することで、所定の模様が視覚的に形成され、
前記内部模様面は、一方向に向かって傾斜する平坦な第1傾斜面と、前記第1傾斜面と連続して他方向に向かって傾斜する平坦な第2傾斜面と、を交互に有することで凹凸形状を形成し、
前記凹凸形状の幅、高さ及び、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とが形成する角の角度が周囲に向かって徐々に変化し、
前記内部模様面の、前記光の入射方向に対する角度が変更することで、前記光が前記内部模様面を透過する領域が変化することを特徴とする樹脂成形品。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品10およびその製造方法を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0041】
図1および
図2を参照して、樹脂成形品10の構成を説明する。
図1は樹脂成形品10を上方から見た斜視図であり、
図2は樹脂成形品10を下方から見た斜視図である。
【0042】
図1を参照して、樹脂成形品10を説明する。
図1(A)は樹脂成形品10を全体的に示す斜視図であり、
図1(B)は第1樹脂材部11を示す斜視図であり、
図1(C)は第2樹脂材部12を示す斜視図である。
【0043】
図1(A)を参照して、樹脂成形品10は、平面視で略矩形形状の成形品本体部17を有しており、成形品本体部17の内部に後述する内部模様面19が形成されている。
【0044】
樹脂成形品10の角隅部付近には、周囲に向かって伸びる各ランナー部が形成されている。具体的には、成形品本体部17の前方右端近傍から右方に向かって伸びる第1注入ランナー部13が形成され、成形品本体部17の後方左端側近傍から左方に向かって伸びる第1排出ランナー部14が形成され、成形品本体部17の前方左端近傍から左方に向かって伸びる第2注入ランナー部15が形成され、成形品本体部17の後方右端側から右方に向かって伸びる第2排出ランナー部16が形成されている。
【0045】
ここでは、後述する射出成形工程を終了した直後の樹脂成形品10を示している。従って、製品としての樹脂成形品10は、第1注入ランナー部13等は除去され、略矩形の板材を呈している。
【0046】
また、樹脂成形品10は、後述するように、光学的特性が異なる第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とから構成されている。第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とは厚み方向に積層されている。
【0047】
成形品本体部17の上面に、外側模様面30が形成されている。外側模様面30は、後述する内部模様面19よりも深く形成されており、樹脂成形品10が形成する透明模様の一部を構成している。しかしながら、本実施形態において外側模様面30は必須の構成要素ではなく、樹脂成形品10の上面および下面は平滑面とされても良い。更には、成形品本体部17の両主面に外側模様面30が形成されても良い。
【0048】
図1(B)に第1樹脂材部11を抜き出して示す。第1樹脂材部11は、樹脂成形品10の下方部分を構成している。第1樹脂材部11は、略矩形形状の第1樹脂材部本体部24を有しており、第1樹脂材部本体部24の上面に第1内部模様面部20が形成されている。第1内部模様面部20は、所定の光学的模様を形成する部位であり、所定の凹凸形状を呈している。第1内部模様面部20は、第1樹脂材部本体部24の略全面に形成されている。第2内部模様面部21の詳細な形状等は、
図3等を参照して後述する。また、第1樹脂材部本体部24の前方右側端部近傍に第1注入ランナー部13が連続し、第1樹脂材部本体部24の後方左端部近傍に第1排出ランナー部14が連続している。
【0049】
更に
図1(B)を参照して、第1内部模様面部20は対角線に沿って凹凸形状が形成されている。換言すると凹凸形状を構成する谷部が対角線に沿って走っている。このようにすることで、後述する樹脂封止工程に於いて、この凹凸形状に沿って樹脂を流動させることができ、第1内部模様面部20の形状を保持しつつ樹脂成形工程を行うことができる。
【0050】
図1(C)に第2樹脂材部12を抜き出して示す。第2樹脂材部12は、第1樹脂材部11の上方部分を構成している。第2樹脂材部12は、略矩形状の第2樹脂材部本体部25と、第2樹脂材部本体部25の前方左方端部近傍に連続する第2注入ランナー部15と、第2樹脂材部本体部25の後方右端近傍に連続する第2排出ランナー部16と、を有している。また、上記した外側模様面30は、第2樹脂材部本体部25の上面に形成されている。
【0051】
図2を参照して、樹脂成形品10を更に説明する。
図2(A)は樹脂成形品10を下方から見た斜視図であり、
図2(B)は第1樹脂材部11を下方から見た斜視図であり、
図2(C)は第2樹脂材部12を下方から見た斜視図である。
【0052】
図2(A)を参照して、各ランナー部の下面を下方に向かって突出することで各当接部が形成されている。具体的には、第1注入ランナー部13の下面を部分的に下方に向かって突出させることで第1当接部54が形成されている。また、第1排出ランナー部14の下面を部分的に下方に向かって突出させることで第2当接部55が形成されている。更に、第2注入ランナー部15の下面を部分的に下方に向かって突出させることで第3当接部56が形成されている。また、第2排出ランナー部16の下面を部分的に下方に向かって突出させることで第4当接部57が形成されている。第1当接部54、第2当接部55、第3当接部56および第4当接部57は、略円筒状の部材であり、製造工程に於いて樹脂成形品10を離型する際に用いられる。
【0053】
図2(B)を参照して、上記した第1当接部54および第2当接部55は、第1樹脂材部11の対角位置に配置される。
【0054】
図2(C)を参照して、第1樹脂材部11と同様に、上記した第3当接部56および第4当接部57は、第2樹脂材部12の対角位置に配置されている。また、第2樹脂材部本体部25の下面には第2内部模様面部21が形成されている。第2内部模様面部21は、
図1(B)に示した第1内部模様面部20と凹凸が反転した形状を呈している。
【0055】
図3を参照して、樹脂成形品10を更に説明する。
図3(A)は樹脂成形品10の分解断面図であり、
図3(B)は樹脂成形品10の断面図である。
【0056】
図3(A)を参照して、第1樹脂材部11の上面には第1内部模様面部20が形成されており、第2樹脂材部12の下面には第2内部模様面部21が形成されている。第1内部模様面部20と第2内部模様面部21とは互いに反転した凹凸形状を呈している。内部模様面19は、第2内部模様面部21と第1内部模様面部20との境界として形成されている。
【0057】
本実施形態では、第1樹脂材部11および第2樹脂材部12として、外部から入射する光を透過させる透明樹脂材料が採用される。更に、第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とは、屈折率などの物理特性が異なる透明樹脂が採用される。
【0058】
第1樹脂材部11としては、無色透明樹脂または有色透明樹脂を採用することができる。具体的には、第1樹脂材部11としては、着色されたポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を採用することができる。ポリカーボネートは、屈折率が1.59である。
【0059】
第2樹脂材部12としては、無色透明樹脂または有色透明樹脂を採用することができる。第2樹脂材部12の色は、第1樹脂材部11と同様であっても良いし、第1樹脂材部11と異なる色が採用されても良い。具体的には、第2樹脂材部12としては、アクリル等の熱可塑性樹脂を採用することができる。アクリルは、屈折率が1.50である。
【0060】
本実施形態では、第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とで光の屈折率が異なる透明樹脂を採用することで、両者の境界面で光学的模様を形成することができる。
【0061】
図3(B)を参照して、樹脂成形品10は、下方から、第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とから構成されている。また、第1樹脂材部11と第2樹脂材部12との境界である内部模様面19は、光学的模様を形成するための凹凸面である内部模様面19が形成されている。一例として、内部模様面19は、右方に向かって下方に傾斜する第1傾斜面22と、右方に向かって上方に傾斜する第2傾斜面23と、を有している。内部模様面19は、第1傾斜面22と第2傾斜面23とが交互に形成される繰り返し形状を呈している。
【0062】
本実施形態では、内部模様面19の凹凸差T1は、例えば、0.3mm以上0.7mm以下とされている。凹凸差T1の更に好適な値は、例えば、0.5mmである。凹凸差T1が0.3mm以上であることで、入射光を好適に屈折させることができ、所定の光学的模様を形成することができる。更には、このような範囲とすることで、内部模様面19で光が反射することで発生する反射光を低減することができる。また、内部模様面19の凹凸差T1が0.7mm以下であることで、内部模様面19の凹凸の程度を抑制し、射出工程に於ける樹脂の流動を促進することができる。
【0063】
更に、本実施形態では、第1傾斜面22と第2傾斜面23とで形成される角の角度θの角度範囲を、125度以上165度以下としている。好適には、角度θは例えば145度である。角度θを125度以上とすることで内部模様面19の形状を滑らかにすることができ、樹脂封止工程に於ける樹脂の流動を促進することができる。また、角度θを165度以下とすることで、内部模様面19で光が屈折することによる光学的効果を得ることができる。
【0064】
具体的には、外部からの光L10は、第1樹脂材部11の下面で屈折して第1樹脂材部11に光L11として入射する。その後、光L11は、内部模様面19で反射し、内部模様面19から離れる方向に進む。このことから、反射した光L12は樹脂成形品10を透過しないので、樹脂成形品10を利用するユーザは、反射光である光L12を肉眼で認識することは出来ない。よって、内部模様面19を反射する反射光は、内部模様を形成しないので、反射光により光学的模様が乱されることは無い。
【0065】
一方、外部から入射する他の光L21は、第1樹脂材部11の下面で屈折して光L22として第1樹脂材部11の内部を進行する。そして、上記したように、第1樹脂材部11と第2樹脂材部12とで屈折率が異なるので、内部模様面19で光L22は屈折する。屈折後の光L23は、第2樹脂材部12の内部を進行し、第2樹脂材部12の上面で更に屈折した後に光L24として外部を進行する。このように、内部模様面19で光が屈折することで、深みのある光学的模様が樹脂成形品10の内部に形成される。
【0066】
ここで、樹脂成形品10の上面および下面に凹凸模様を形成することもできる。このようにすることで、樹脂成形品10の上面、下面および内面に光学的模様を形成することができ、複雑な模様を形成し、樹脂成形品10の製品としての付加価値を向上することができる。
【0067】
また、樹脂成形品10の内部模様面19は、LED等の光源からの照射の有無で、光学的模様の見え方が変化する。即ち、樹脂成形品10に光源からの照射が無い場合では、内部模様面19で光が屈折することで形成される光学的模様がそれほど明瞭ではない。一方、樹脂成形品10に光源からの光が照射されると、光源からの光が内部模様面19で屈折し、明瞭な光学的模様が形成される。
【0068】
更に、樹脂成形品10の内部模様面19は、樹脂成形品10の主面を光学的に遮蔽する遮蔽部材の有無で、光学的模様の見え方が変化する。具体的には、樹脂成形品10に入射する光を遮蔽部材で遮ると、内部模様面19で形成される光学的模様がそれほど明瞭ではない。一方、遮蔽部材による遮蔽を解除すると、内部模様面19で比較的明瞭な光学的模様が形成される。
【0069】
更にまた、樹脂成形品10の内部模様面19は、ユーザと樹脂成形品10との相対角度で変化する。即ち、当該角度を変化させることで、内部模様面19で形成される光学的模様の鮮明度および色を変化させることができる。
【0070】
更に、後述するように、内部模様面19の凹凸形状は、樹脂射出工程に於ける樹脂の流動や凹凸形状の保持も考慮して決定されている。係る事項は後述する。
【0071】
また、上記説明では、第1樹脂材部11側から入射した光が第2樹脂材部12側に透過する場合を説明したが、逆に、第2樹脂材部12側から入射した光が第1樹脂材部11側に透過する場合でも、所定の光学的模様を形成することができる。
【0072】
図4を参照して、他の形態に係る樹脂成形品10の構成を説明する。
図4(A)は他の形態に係る樹脂成形品10の断面図であり、
図4(B)は更なる他の形態に係る樹脂成形品10の断面図である。
図4(A)および
図4(B)に示す樹脂成形品10の基本的構成は
図1等を参照して示したものと基本的には同様であり、内部模様面19の形状が異なる。また、
図4(A)および
図4(B)では、樹脂成形品10の左右方向に於ける中心を一点鎖線で示している。また、樹脂成形品10の上下方向に於ける中心、即ち第1樹脂材部11と第2樹脂材部12との境界の平均的位置を点線で示している。内部模様面19は、一点鎖線で示す中心線および点線で示す中心線に対して線対称に形成されている。
【0073】
図4(A)を参照して、樹脂成形品10は、第1樹脂材部11および第2樹脂材部12から成り、両者の間に内部模様面19が形成されている。ここでは、内部模様面19は、左右方向に於いて不均一に形成されている。即ち、内部模様面19の凹凸形状は、その中央部と周辺部に於いて異なる。
【0074】
具体的には、凹凸形状の幅は、中心部の方が短く、且つ、周辺部の方が長く形成されている。即ち、内部模様面19の凹凸形状の幅を、中心部から、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9とした場合、この順番で幅が徐々に長くなるように設定されている。一例を挙げると、L1が約1mmであり、L9が約2.6mmである。即ち、L1が最も短く、L9が最も長い。
【0075】
更に、内部模様面19の凹凸形状の角度を、中心部から、θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8、θ9とした場合、この順番で角度が徐々に大きくなるように設定されている。即ち、θ1が最も小さく、θ9が最も大きい。一例を挙げると、θ1が約58度であり、θ9が約105度である。
【0076】
このようにすることで、後述するように、樹脂成形品10の中心部と周辺部で視覚的効果を変化させることができる。例えば、樹脂成形品10の中心部に於いて内部模様面19が光を反射させる一方、樹脂成形品10の周辺部に於いて内部模様面19が光を透過し、全体として特異な意匠的効果が得られる。
【0077】
図4(B)を参照して、ここでは、内部模様面19を構成する凹凸形状の高さに、不均一性を持たせている。具体的には、各凹凸形状の頂部の高さが異なり、頂部の位置をP1ないしP15とした場合、中心部からP1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P15の順番で、徐々に低く設定されている。即ち、中央部に形成される凹凸形状の頂部P1が最も高く、周辺部に形成される凹凸形状の頂部P15が最も低い。一例として、P1が、点線で示す内部模様面19の平均位置から上方に突出する高さは約0.9mmであり、P15の高さは約0.2mmである。
【0078】
また、内部模様面19の各凹凸形状の角度を、中心部から、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、β9、β10、β11、β12、β13、β14、β15とした場合、この順番で角度が徐々に大きくなるように設定されている。即ち、β1が最も小さく、β15が最も大きい。一例を挙げると、β1が約56度であり、β9が約167度である。ここで、
図4(B)に示す樹脂成形品10では、各凹凸形状の幅は、均一でも良いし、中央部から周辺部に向けて一定の不均一さを持たせても良い。
【0079】
図4(B)に示す構成であっても、
図4(A)の場合と同様に、樹脂成形品10の中心部と周辺部で視覚的効果を変化させることができる。ここで、
図4(A)には中心部から周辺部に向かって凹凸形状の幅が徐々に広くなる例を説明したが、逆に凹凸形状の幅を周辺部に向かって徐々に狭くすることもできる。更には、凹凸形状の角度を周辺部に向かって徐々に小さくすることもできる。
【0080】
図5を参照して、
図4(A)または
図4(B)に示した樹脂成形品10により奏される効果を説明する。
図5(A)ないし
図5(D)では、左側に樹脂成形品10および遮蔽板26の側面図を示し、右側に樹脂成形品10を正面から撮影した画像を示している。
図5(A)ないし
図5(D)では、樹脂成形品10が垂直面から傾斜する角度を変化させて、樹脂成形品10の意匠的効果を示している。また、
図5(A)ないし
図5(D)では、樹脂成形品10を観察する方向を矢印で示している。ここでは、樹脂成形品10を水平に観測している。また、
図4に示した内部模様面19における不均一形状は、樹脂成形品10の上下方向に沿って形成されている。
【0081】
図5(A)を参照して、ここでは、樹脂成形品10を構成する各樹脂は無色透明の樹脂であり、樹脂成形品10の後面に黒色の遮蔽板26を配置している。ここで、樹脂成形品10の傾斜角ζ1は、5度とされている。この傾斜角の場合は、画像に示すように、中央部のみに於いて光が反射されるので、白色の筋が確認される。一方、中央部以外の大部分に於いては、樹脂成形品10は光を透過させる割合が大きいので、樹脂成形品10は黒色を呈する。
【0082】
図5(B)を参照して、ここでは、樹脂成形品10の傾斜角ζ2は、10度とされている。この傾斜角の場合は、右側の画像に示すように、上記した内部模様面19により光が反射される領域が広くなり、白色を呈する領域が広くなる。
【0083】
図5(C)を参照して、ここでは、樹脂成形品10の傾斜角ζ3は、15度とされている。この傾斜角の場合は、画像に示すように、上記した内部模様面19により光が反射される領域は更に広くなるので、これに伴い、白色を呈する領域が更に広くなる。
【0084】
図5(D)を参照して、ここでは、樹脂成形品10の傾斜角ζ4は、20度とされている。この傾斜角の場合は、画像に示すように、上記した内部模様面19により光の大部分が反射される領域が極めて広くなり、これに伴い、樹脂成形品10の大部分が白色を呈する。
【0085】
上記したように、本実施形態の樹脂成形品10では、内部模様面19の形状に不均一性を持たせたことで、視線方向に対する樹脂成形品10の角度を変化させると、樹脂成形品10の見え方が大きく変化するので、樹脂成形品10の意匠性を大きく変化させることができる。
【0086】
次に、
図6以降の図を参照して、上記した構成を有する樹脂成形品10の製造方法を説明する。樹脂成形品10の製造方法は、第1成形金型41と第2成型金型42とから成る成型金型40を準備する工程と、第1成形金型41で第1樹脂材部11を射出成形する工程と、第2成型金型42で第2樹脂材部12を射出成形する工程と、を具備する。これらの各工程を、以下に各図を参照して後述する。
【0087】
図6を参照して、先ず、第1成形金型41および第2成型金型42を有する成型金型40を準備する。
図6(A)は成型金型40を示す断面図であり、
図6(B)は第1キャビティ48を示す図であり、
図6(C)は第2キャビティ49を示す図である。
【0088】
図6(A)を参照して、成型金型40は、第1成形金型41と、第2成型金型42と、回動機構47と、を有する。
【0089】
第1成形金型41は、第1固定金型43と、第1可動金型44と、を有する。第1固定金型43と第1可動金型44との間隙として第1キャビティ48が形成されている。第1固定金型43は、その位置が固定されている金型である。一方、第1可動金型44は回動機構47で移動される金型である。
【0090】
第2成型金型42は、第2固定金型45と、第2可動金型46と、を有する。第2固定金型45と第2可動金型46との間隙として第2キャビティ49が形成されている。第2固定金型45は、その位置が固定されている金型である。一方、第2可動金型46は回動機構47で移動される金型である。
【0091】
回動機構47は、第1可動金型44および第2可動金型46を回転移動するための機構である。回動機構47が、第1可動金型44および第2可動金型46を180度回転させることで、第1可動金型44と第2可動金型46との位置が入れ替わる。これにより、後述するように、第1キャビティ48で射出成形された第1樹脂材部11を、第1可動金型44に収納した状態のまま、第2キャビティ49に輸送することができる。
【0092】
図6(B)を参照して、第1キャビティ48の上方右側端部近傍には、第1注入口60を介して、第1樹脂供給路50が連続している。第1樹脂供給路50は、溶融された状態の樹脂材料が供給される径路である。第1注入口60は、第1樹脂供給路50を経由した樹脂材料が第1キャビティ48に注入される開口である。また、第1キャビティ48の左方下端部近傍には、第1排出口61を介して、第1樹脂排出路52が連続している。第1樹脂排出路52は、第1キャビティ48の内部の空気および剰余の樹脂材料が外部に放出されるための径路である。第1排出口61は、第1キャビティ48から外部に空気等が放出される開口である。
【0093】
図6(C)を参照して、第2キャビティ49の下方右端部近傍には、第2注入口62を介して、第2樹脂供給路51が連続している。第2樹脂供給路51は、溶融された状態の樹脂材料が供給される径路である。第2注入口62は、第2キャビティ49に樹脂材料が注入されるための開口である。また、第1キャビティ48の上方左端部近傍には、第2排出口63を介して、第2樹脂排出路53が連続している。第2排出口63は、第2キャビティ49から空気等が排出されるための開口である。第2樹脂排出路53は、第2キャビティ49の内部の空気および剰余の樹脂材料が外部に放出されるための径路である。
【0094】
図7を参照して、第1キャビティ48に、第1樹脂材66を注入する工程を説明する。
図7(A)は成型金型40を示す断面図であり、
図7(B)から
図7(E)は樹脂注入工程を示す図である。
【0095】
図7(A)を参照して、成型金型40は第1成形金型41と第2成型金型42とを備えているが、本工程では第1成形金型41を用いて樹脂成形を行う。具体的には、第1成形金型41の第1キャビティ48に、後述する第1樹脂材66を注入する。ここで、第1固定金型43の第1キャビティ48に面する部分には、
図1(B)の第1内部模様面部20を反転させた凹凸形状が形成されている。
【0096】
図7(B)を参照して、本工程では、ここでは図示しないポッドで溶融された液状または半固形状の第1樹脂材66を、第1樹脂供給路50を流通させた後に、第1注入口60を経由して、第1キャビティ48に注入している。
【0097】
第1樹脂材66としては、例えばポリカーボネートを採用することができる。第1樹脂材66が注入される際の温度は、例えば300度程度である。また、第1樹脂材66が第1キャビティ48に注入される際の注入速度は、例えば、100mm/sである。更に、第1樹脂材66を射出成形する際の第1キャビティ48の内部圧力は、例えば120MPaに保たれている。
【0098】
図7(C)を参照して、ここでは、第1キャビティ48の右方上端に第1注入口60が配置され、第1キャビティ48の左方下端に配置されている。よって、第1注入口60から第1キャビティ48に注入された第1樹脂材66は、左方下側を向く第1方向64に沿って流動する。
【0099】
図7(D)を参照して、第1キャビティ48に注入された第1樹脂材66は、左方上側から徐々に右方下端に向かって、第1キャビティ48に徐々に充填される。この注入の進行に伴い、第1キャビティ48の内部の空気は、第1排出口61および第1樹脂排出路52を経由して外部に放出される。
【0100】
図7(E)に示すように、本工程では、第1樹脂材66を第1キャビティ48に完全に注入する。更に本工程では、第1排出口61および第1樹脂排出路52まで、第1樹脂材66を注入する。
【0101】
図8を参照して、上記した注入工程に於ける第1樹脂材66の流動を詳述する。
図8(A)は
図7(B)のA−A線に於ける断面図であり、
図8(B)は
図7(E)のB−B線に於ける断面図である。
【0102】
図8(A)を参照して、第1成形金型41は第1固定金型43および第1可動金型44から構成されるが、第1可動金型44には第1凹状部68と流通規制部58が形成されている。第1凹状部68は、第1可動金型44を部分的に円柱状に窪ませることで形成され、
図2(A)に示す第1当接部54を形成する部位である。また、流通規制部58は、第1樹脂供給路50の内部で、第1可動金型44の一部を壁状に突出させた部位であり、第1樹脂材66の注入速度を調節するための部位である。更に、流通規制部58により、第1樹脂材66が攪拌される。また、流通規制部58の周辺部では、同様の目的のため、第1樹脂供給路50の断面が拡大されている。
【0103】
ここでは図示しないゲートから第1樹脂供給路50に第1樹脂材66を注入すると、注入された第1樹脂材66の一部は第1凹状部68に充填される。また、第1樹脂供給路50に注入された第1樹脂材66の大部分は、第1キャビティ48に向かって、第1樹脂供給路50の内部を進行する。第1樹脂材66の流れは、流通規制部58により部分的に堰き止められることで、注入速度が低減される。また、流通規制部58の近傍で第1樹脂供給路50の断面積が大きいことによっても、第1樹脂材66の注入速度が調整される。流通規制部58を経た第1樹脂材66は、好適な注入速度で第1キャビティ48の内部に注入される。
【0104】
上記したように、注入される第1樹脂材66の温度は約300度である一方、第1可動金型44の温度は約140度である。よって、第1キャビティ48に注入される第1樹脂材66の注入速度が速すぎると、第1キャビティ48に注入される第1樹脂材66が急激に冷却され、フローマークが発生してしまう懸念がある。
【0105】
そこで本実施形態では、流通規制部58で第1樹脂材66の流れを部分的に堰き止めることで、第1樹脂材66の注入速度を低減させ、第1キャビティ48で第1樹脂材66が急激に冷却されることを抑制し、フローマークの発生を抑止している。
【0106】
図8(B)を参照して、第1可動金型44を部分的に円柱状に窪ませることで第2凹状部69が形成されている。第1キャビティ48に第1樹脂材66が充填されると、剰余の第1樹脂材66は、第1樹脂排出路52に排出されて充填される。また、第1樹脂材66の一部は第2凹状部69に充填される。第2凹状部69に充填された樹脂は、
図2(B)に示す第2当接部55となる。
【0107】
図9(A)を参照して、第1キャビティ48への樹脂充填が完了したら、第1成形金型41の温度を例えば80度まで降下させ、これにより第1キャビティ48に充填された第1樹脂材66を硬化させる。
【0108】
図9(B)を参照して、硬化処理が終了したら、第1固定金型43と第1可動金型44とを離間させ、第1キャビティ48から第1樹脂材部11を離型させる。離型後の第1樹脂材部11は、第1可動金型44に配置されている。
【0109】
図9(C)を参照して、次に、回動機構47で第1可動金型44および第1可動金型44を180度回転させ、第1可動金型44と第2可動金型46との位置を入れ替える。このことで、第1成形金型41は、第1固定金型43と第2可動金型46とから構成され、第2成型金型42は第1可動金型44と第2固定金型45とから構成される。
【0110】
図10を参照して、第2キャビティ49に、第2樹脂材67を注入する工程を説明する。
図10(A)は成型金型40を示す断面図であり、
図10(B)から
図10(E)は第2樹脂材67を注入する工程を示す図である。
【0111】
図10(A)を参照して、本工程では第2成型金型42に樹脂注入する。具体的には、第2成型金型42の第2キャビティ49に、後述する第2樹脂材67を注入する。また、本工程では、第1キャビティ48にも上記した第2樹脂材67を注入する。このようにすることで、第1キャビティ48への第1樹脂材66の注入と、第2キャビティ49への第2樹脂材67の注入を同時に行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0112】
図10(B)を参照して、本工程では、ここでは図示しないポッドで溶融された液状または半固形状の第2樹脂材67を、第2樹脂供給路51を流通させた後に、第2注入口62を経由して、第2キャビティ49に注入している。
【0113】
第2樹脂材67としては、例えばアクリルを採用することができる。第2樹脂材67が注入される際の温度は、例えば240度程度である。また、第2樹脂材67が第2キャビティ49に注入される際の注入速度は、例えば、80mm/sである。更に、第2樹脂材67を射出成形する際の第2キャビティ49の内部圧力は、例えば100MPaに保たれている。
【0114】
即ち、本工程に於ける樹脂温度、射出速度およびキャビティ内部圧力は、第1樹脂材66を樹脂成形する際と比較して低い。このようにすることで、後述するように、内部模様面19の形状を保ちつつ、第2樹脂材67の射出成形を行い、より鮮明な内部模様を形成することができる。
【0115】
図10(B)を参照して、ここでは、第2キャビティ49の右方下端に第2樹脂供給路51が配置され、第2キャビティ49の左方上端に第2樹脂排出路53が配置されている。よって、第2注入口62から第2キャビティ49に注入された第2樹脂材67は、左方上側を向く第2方向65に沿って流動する。ここで、
図7(B)に示した第1樹脂材66が進行する第1方向64と、ここで第2樹脂材67が進行する第2方向65は、交差している。
【0116】
図10(C)および
図10(D)を参照して、第2キャビティ49に注入された第2樹脂材67は、右方下側から徐々に左方上端に向かって、第2キャビティ49に徐々に充填される。この注入の進行に伴い、第2キャビティ49の内部の空気は、第2排出口63および第2樹脂排出路53を経由して外部に放出される。
【0117】
図10(E)に示すように、本工程では、第2樹脂材67を第2キャビティ49に完全に注入する。更に本工程では、第2排出口63および第2樹脂排出路53まで、第2樹脂材67を注入する。
【0118】
図11を参照して、上記した注入工程に於ける第2樹脂材67の流動を詳述する。
図11(A)は
図10(B)のA−A線に於ける断面図であり、
図11(B)は
図10(E)のB−B線に於ける断面図である。
【0119】
図11(A)を参照して、第1可動金型44には第3凹状部70と流通規制部59が形成されている。第3凹状部70は、第1可動金型44を部分的に円柱状に窪ませることで形成され、
図2(A)に示す第3当接部56を形成する部位である。また、流通規制部59は、第2樹脂供給路51の内部で、第1可動金型44の一部を壁状に突出させた部位であり、第2樹脂材67の注入速度を調節するための部位である。更に、流通規制部59により、第2樹脂材67が攪拌される。また、流通規制部59の周辺部では、同様の目的のため、第2樹脂供給路51の断面が拡大されている。
【0120】
こでは図示しないゲートから第2樹脂供給路51に第2樹脂材67を注入すると、注入された第2樹脂材67の一部は第3凹状部70に充填される。また、第2樹脂供給路51に注入された第2樹脂材67の大部分は、第2キャビティ49に向かって、第2樹脂供給路51の内部を進行する。第2樹脂材67は、流通規制部59に部分的に堰き止められることで、注入速度が低減される。また、流通規制部59の近傍で第2樹脂供給路51の断面積が大きいことによっても、第2樹脂材67の注入速度が調整される。流通規制部59を経た第2樹脂材67は、好適な注入速度で第2キャビティ49の内部に注入される。
【0121】
ここで、第2キャビティ49には、上記した工程にて射出成形された第1樹脂材部11の第1樹脂材部本体部24が収納されている。よって、第2キャビティ49の内部では、第2樹脂材67は、第1樹脂材部11の上面と、第2固定金型45の内面との間に注入される。
【0122】
上記したように、注入される第2樹脂材67の温度は約240度である一方、第1可動金型44の温度は約140度である。よって、第2キャビティ49に注入される第2樹脂材67の注入速度が速すぎると、第2キャビティ49に注入される第2樹脂材67が急激に冷却され、フローマークが発生してしまう懸念がある。
【0123】
そこで本実施形態では、流通規制部59で第2樹脂材67の流れを部分的に堰き止めることで、第2樹脂材67の注入速度を低減させ、第2キャビティ49で第2樹脂材67が急激に冷却されることを抑制し、フローマークの発生を抑止している。
【0124】
図11(B)を参照して、第1可動金型44を部分的に円柱状に窪ませることで第4凹状部71が形成されている。第2キャビティ49に第2樹脂材67が充填されると、剰余の第2樹脂材67は、第2樹脂排出路53に排出されて充填される。また、第2樹脂材67の一部は第4凹状部71に充填される。第4凹状部71に充填された樹脂は、
図2(A)に示す第4当接部57となる。
【0125】
図12を参照して、本工程では、第2キャビティ49の内部に於いて、液状または半固形状の第2樹脂材67は、第1樹脂材部11の上面である内部模様面19の上面を流動する。ここで、内部模様面19の上面は、第2樹脂材67の流動を好適化できる形状を呈している。
【0126】
具体的には、
図3(B)を参照して上記したように、第1内部模様面部20の凹凸差T1は、例えば、0.3mm以上0.7mm以下とされている。更に、本実施形態では、第1傾斜面22と第2傾斜面23とで形成される角の角度θの角度範囲を、125度以上165度以下としている。
【0127】
このようにすることで、第1内部模様面部20の上面は、液状または半固形上の樹脂が流動しやすい凹凸状況を形成している。よって、第2キャビティ49に注入された液状または半固形状の第2樹脂材67は、第1内部模様面部20の上面に沿って良好に流動する。よって、第1内部模様面部20の凹凸形状が、ほぼ元の形状のまま維持されている。更に、第1内部模様面部20の上面を第2樹脂材67が良好に流動することで、第1内部模様面部20と第2樹脂材67との間に空気が介在せず、第1内部模様面部20に第2樹脂材67を良好に密着させることができる。
【0128】
図13(A)を参照して、次に、第2キャビティ49に注入された第2樹脂材部12を例えば80度まで冷却する。本工程では、第1キャビティ48に充填された第1樹脂材部11も同時に冷却する。
【0129】
図13(B)を参照して、次に、第1可動金型44と第2固定金型45とを離型することで、第2キャビティ49から樹脂成形品10を取り出す。この際、
図2(A)を参照して、樹脂成形品10の周囲には、第1当接部54、第2当接部55、第3当接部56、第4当接部57が形成されているが、これらの各当接部を厚み方向に押し出すことで、良好に樹脂成形品10の取り出しを行っている。
【0130】
本工程が終了した後は、
図9(C)に戻り、回動機構47で第2可動金型46および第1可動金型44を回転させることで両者の位置を入れ替え、再び射出成形の工程を続行する。
【0131】
以上、本発明の実施の形態の説明を行ったが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更ができる。